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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】情報通信ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
H05K7/20 F
H05K7/20 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021105028
(22)【出願日】2021-06-24
(62)【分割の表示】P 2020174594の分割
【原出願日】2018-02-21
(65)【公開番号】P2021180313
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-07-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2017031875
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年9月22日~平成30年2月21日に添付資料の「出荷日および出荷(販売)した場所などの一覧表」に記載した各出荷先(販売店)に卸した
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康智
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】富澤 哲生
【審判官】野崎 大進
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-72561(JP,A)
【文献】特開2016-119395(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045671(WO,A1)
【文献】特開2015-80059(JP,A)
【文献】特開2012-109157(JP,A)
【文献】特開2001-345562(JP,A)
【文献】特開2006-286757(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163135(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板と、それら複数の基板を収容するケーシングと、そのケーシングの外方に露出する露出部とが備えられ、
前記露出部は、前記ケーシングの外面部にて構成され、
前記ケーシングとは別に備えられて、前記ケーシングの外方に露出しない状態で前記ケーシングの内部に配設された伝熱部が備えられ、
前記伝熱部は、複数の基板の熱を自己に伝熱させて集めて、その集めた複数の基板の熱を基板の面方向に沿って伝熱させた後、基板の表裏方向へも伝熱させて前記露出部に伝熱させて放熱させる放熱構造を備えた情報通信ユニットにおいて、
アンテナ素子、情報通信のための部品、及び、電源部品が備えられ、
前記ケーシングは、少なくとも後方側の一部が設置対象部位の内部に埋設される埋設状態にて設置対象部位に設置され、
前記露出部は、設置対象部位の前方側に配置される化粧カバーよりも設置対象部位の後方側に配設されている情報通信ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に設置された電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱して放熱する放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような放熱構造として、電子部品(被冷却構成要素)と放熱部(ヒートシンク)が基板の表裏方向で同じ側に備えられている場合には、電子部品と放熱部との間に伝熱部材(伝熱ギャップ・パッド)を配置して、電子部品から発生する熱を、伝熱部材を通して放熱部に伝熱して放熱している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、特許文献1に記載の放熱構造では、電子部品が基板の表裏方向の一方側に備えられ、放熱部が基板の表裏方向の他方側に備えられ、電子部品と放熱部が基板の表裏方向で反対側に備えられている場合であっても、基板の表裏方向の一方側から基板の周囲を通して他方側に延設されたU字状の伝熱部材(サーマル・ジャンパ)を備え、電子部品から発生する熱を、U字状の伝熱部材を通して放熱部に伝熱して放熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4361310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の放熱構造では、電子部品から放熱部までの熱経路の距離が短くなるように、電子部品と放熱部との間を直接的に伝熱部材にて繋ぐことで、電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱する際の熱抵抗を小さくしている。よって、放熱部に伝熱される熱が大きくなるので、放熱部の放熱能力を大きなものにしなければ、効果的な放熱を行うことができない。しかしながら、放熱部の放熱能力を大きなものにすれば、コストアップ及び構成の複雑化を招くことになる。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、基板に設置された電子部品から発生する熱を効果的に放熱することができる放熱構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板に設置された電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱して放熱する放熱構造において、
前記基板の表裏方向の一方側に前記電子部品が配置され、
前記電子部品から発生する熱を、前記基板の表裏方向の他方側に伝熱する第1伝熱部と、
前記基板の表裏方向の他方側から一方側に延設されて、前記第1伝熱部にて前記基板の表裏方向の他方側に伝熱された熱を、前記基板の周囲を通して前記放熱部に伝熱させて放熱する第2伝熱部とが備えられ、
前記基板は、前記表裏方向に間隔を隔てて複数備えられ、
前記第1伝熱部は、
複数の基板同士の間に配置されて、基板における前記表裏方向の他方側に伝熱して、前記表裏方向の他方側に隣接する別の基板に伝熱する熱伝導体と、
前記別の基板における前記表裏方向の他方側に配置されて、前記別の基板における前記表裏方向の他方側に伝熱する別の熱伝導体とが備えられ、
前記第2伝熱部は、前記別の熱伝導体にて前記別の基板における前記表裏方向の他方側に伝熱された熱を、複数の基板の周囲を通して、前記表裏方向の一方側の前記放熱部に伝熱させると好適である。
【0008】
本構成によれば、第1伝熱部が、一旦、電子部品から発生する熱を基板の表裏方向の一方側から他方側に伝熱し、第2伝熱部が、第1伝熱部とは逆に、基板の表裏方向の他方側から一方側に伝熱させて放熱部にて放熱する。よって、電子部品から発生する熱は、基板の表裏方向の一方側から他方側に移動し、その後、基板の表裏方向の他方側から一方側に移動した上で、放熱部に伝熱させて放熱させている。これにより、電子部品から発生する熱が放熱部に伝熱されるまでの移動距離を大きく取ることができる。そして、熱の移動過程では、その移動に伴って放熱されるだけでなく、例えば、熱エネルギーが運動エネルギーに変換されることから、熱の移動距離を大きく取ることで、より多くの熱を放熱させることができる。よって、放熱部の放熱能力を大きくしなくても、基板に設置された電子部品から発生する熱を効果的に放熱することができる。
本発明は、前記基板の表裏方向を前後方向として、前記基板を収容するケーシングが備えられ、前記ケーシング内に、前記第1伝熱部、及び、前記第2伝熱部が備えられ、
前記ケーシングは、前後方向の前方側に位置する樹脂製の前方側ケーシングと、前後方向の後方側に位置する前記放熱部となる金属製の後方側ケーシングとに分割自在に構成され、
前記ケーシングは、後方側ケーシング側が設置対象部に埋設された埋設状態で、且つ、前方側ケーシング側が設置対象部よりも前方側に膨出する状態で設置されていると好適である。
【0009】
本発明は、前記基板の表裏方向の一方側において前記電子部品と前記第2伝熱部とを接触させて、前記電子部品から発生する熱を前記第2伝熱部に伝熱可能とする接触伝熱部が備えられていると好適である。
【0010】
本構成によれば、接触伝熱部は、電子部品から発生する熱を第2伝熱部に伝熱するので、電子部品から発生する熱は、接触伝熱部、及び、第2伝熱部を介して、放熱部に伝熱させて放熱させている。これにより、電子部品から発生する熱は、上述の如く、第1伝熱部、及び、第2伝熱部を介して、放熱部に伝熱させて放熱させているだけでなく、接触伝熱部、及び、第2伝熱部を介しても、放熱部に伝熱させて放熱させているので、より効果的に放熱させることができる。
【0011】
本発明は、前記基板の表裏方向の他方側において前記基板から離れる側に延設されて、前記第1伝熱部にて前記基板の表裏方向の他方側に伝熱された熱を、その延設方向の先端部に伝熱させる第3伝熱部が備えられていると好適である。
【0012】
本構成によれば、第3伝熱部は、基板の表裏方向の他方側において、第1伝熱部にて伝熱された熱を基板から離れる側に伝熱させるので、基板の表裏方向の他方側に配置された放熱部とは別の放熱部にも伝熱させて放熱させることができる。これにより、基板の表裏方向の一方側の放熱部にて放熱するだけでなく、基板の表裏方向の他方側の別の放熱部でも放熱することができ、電子部品から発生する熱を効率よく放熱することができる。
【0013】
本発明は、前記第2伝熱部と前記第3伝熱部とが一体的に形成されていると好適である。
【0014】
本構成によれば、第2伝熱部と第3伝熱部とを一体的に形成することで、構成の簡素化を図ることができる。しかも、第1伝熱部にて伝熱された熱を、第2伝熱部と第3伝熱部との一体物に伝熱するだけで、第2伝熱部と第3伝熱部との両方に伝熱させることができ、伝熱するための構成についても簡素化を図ることができる。
【0015】
本発明は、前記第3伝熱部の延設方向の先端部には、その先端部に伝熱される熱を冷却させる冷却部が備えられていると好適である。
【0016】
本構成によれば、冷却部は、第3伝熱部の延設方向の先端部に伝熱される熱を冷却するので、第3伝熱部に伝熱される熱を効果的に放熱させることができる。よって、基板の表裏方向の他方側においても、第3伝熱部に伝熱される熱を効果的に放熱させて、電子部品から発生する熱をより効率よく放熱することができる。
【0017】
本発明は、前記基板を収容するケーシングが備えられ、そのケーシング内に、前記第1伝熱部、前記第2伝熱部、及び、前記第3伝熱部が備えられ、前記ケーシングにおいて前記第3伝熱部の延設方向の先端部に対向する対向部位には、前記ケーシングの内部と外部とを連通させる連通部が備えられていると好適である。
【0018】
本構成によれば、ケーシングに連通部が備えられているので、その連通部を通してケーシング内の熱を外部に放熱することができる。しかも、ケーシングにおいて第3伝熱部の延設方向の先端部に対向する対向部位に連通部が備えられているので、第3伝熱部の延設方向の先端部に伝熱された熱が、連通部を通してケーシングの外部に放熱される。よって、基板の表裏方向の他方側においても、第3伝熱部に伝熱される熱を効果的に放熱させることができ、電子部品から発生する熱をより効率よく放熱することができる。
【0019】
本発明は、前記基板の表裏方向の他方側には、前記基板の表裏方向に直交する第1幅方向及び第2幅方向に延設されて、前記基板の表裏方向の他方側に伝熱された熱を、前記基板の面方向に沿って伝熱させる面方向伝熱部が備えられ、
前記面方向伝熱部は、第1幅方向の一方側から切り欠いた切欠部が形成され、高温域の熱が伝熱される高温領域部位と高温域よりも低温の低温域の熱が伝熱される低温領域部位とを有し、
前記高温領域部位は、第2幅方向で前記切欠部に隣接する位置に配置され、前記低温領域部位は、第1幅方向で前記切欠部に隣接する位置に配置されていると好適である。
【0020】
本構成によれば、高温領域部位は、第2幅方向で切欠部に隣接し、低温領域部位は、第1幅方向で切欠部に隣接するので、基板の面方向で熱を伝熱させるに当たり、高温領域部位と低温領域部位との間に切欠部を存在させることができる。これにより、高温領域部位から低温領域部位への熱の伝熱面積を小さくすることができ、高温領域部位に伝熱された高温域の熱が低温領域部位に直接的に伝熱されるのを防止することができる。よって、高温領域部位の熱が、基板において低温領域部位に相当する部位に配置される電子部品に伝熱されるのを防止して、その電子部品の故障等を防止することができる。
【0021】
本発明は、前記基板の表裏方向の他方側には、前記基板の面方向に延設されて、前記基板の表裏方向の他方側に伝熱された熱を、前記基板の面方向に沿って伝熱させる面方向伝熱部が備えられ、
前記面方向伝熱部は、高温域の熱が伝熱される高温領域部位と、高温域よりも低温の低温域の熱が伝熱される低温領域部位とを有し、
前記高温領域部位と前記低温領域部位とは、前記面方向伝熱部において、前記基板の面方向で異なる位置に配置され、
前記第2伝熱部は、前記面方向伝熱部にて前記基板の面方向に沿って伝熱された熱を、前記基板の周囲を通して前記放熱部に伝熱させ、
前記第2伝熱部は、前記基板の面方向で前記面方向伝熱部の前記高温領域部位が位置する側から前記基板の表裏方向の一方側に延設された第1延設部と、前記基板の面方向で前記面方向伝熱部の前記低温領域部位が位置する側から前記基板の表裏方向の一方側に延設された第2延設部とが備えられ、
前記第1延設部は、前記第2延設部よりも熱が伝熱される伝熱面積が小さく設定されていると好適である。
【0022】
本構成によれば、第2延設部の方が第1延設部よりも伝熱面積が大きいので、第2延設部の方が第1延設部よりも多くの熱を伝熱することができる。第1延設部は、高温領域部位が位置する側から延設されているので、高温域の熱を伝熱させる。それに対して、第2延設部は、低温領域部位が位置する側から延設されているので、低温域の熱を伝熱させる。よって、第1延設部と第2延設部とでは、第1延設部の方が第2延設部よりも高温の熱を伝熱させるが、第2延設部の方が第1延設部よりもより多くの熱を伝熱させることになる。その結果、第1延設部にて放熱部に伝熱される熱が有する熱量と第2延設部にて放熱部に伝熱される熱が有する熱量との均等化を図ることができ、放熱部における放熱をバランスよく効率的に行うことができる。
【0023】
本発明は、前記基板の表裏方向の他方側には、前記基板の面方向に延設されて、前記基板の表裏方向の他方側に伝熱された熱を、前記基板の面方向に沿って伝熱させる面方向伝熱部が備えられ、
前記面方向伝熱部は、高温域の熱が伝熱される高温領域部位と、高温域よりも低温の低温域の熱が伝熱される低温領域部位とを有し、
前記第2伝熱部は、前記面方向伝熱部にて前記基板の面方向に沿って伝熱された熱を、前記基板の周囲を通して前記放熱部に伝熱させ、
前記第2伝熱部は、前記面方向伝熱部において、前記基板の面方向で前記低温領域部位よりも前記高温領域部位に隣接する箇所に配置されていると好適である。
【0024】
本構成によれば、第2伝熱部は、基板の面方向で低温領域部位よりも高温領域部位に隣接する箇所に配置されているので、高温領域部位に伝熱される高温域の熱が、低温領域部位に伝熱されるのを抑制しながら、第2伝熱部に効率よく伝熱させることができる。よって、面方向伝熱部の高温領域部位に伝熱された高温の熱を、第2伝熱部を介して放熱部に伝熱させて、効率よく放熱することができる。
本発明は、基板に設置された電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱して放熱する放熱構造において、
前記基板の表裏方向を前後方向として、前記基板を収容するケーシングが備えられ、
前記ケーシングは、前後方向の前方側に位置する樹脂製の前方側ケーシングと、前後方向の後方側に位置する前記放熱部となる金属製の後方側ケーシングとに分割自在に構成され、
前記ケーシングは、後方側ケーシング側が設置対象部に埋設された埋設状態で、且つ、前方側ケーシング側が設置対象部よりも前方側に膨出する状態で設置され、
前記ケーシング内には、前記基板よりも前方側の熱を、前記基板よりも後方側に移動させ、前記後方側ケーシングに伝熱させて放熱する第2伝熱部が備えられていると好適である。
本発明は、前記第2伝熱部は、その途中部分が前記前方側ケーシングの内壁部に接触するのを抑制する状態で、前記基板と前記ケーシングの内壁部との間を通して前記基板の前方側から後方側に延設されていると好適である。
本発明は、前記ケーシング内には、前記基板よりも後方側の熱を、前記基板よりも前方側に伝熱させる第1伝熱部が備えられていると好適である。
本発明は、前記基板の前方側には、前後方向に直交する第1幅方向及び第2幅方向に延設されて、前記基板の前方側に伝熱された熱を、前記基板の面方向に沿って伝熱させる面方向伝熱部が備えられ、
前記面方向伝熱部は、第1幅方向の一方側から切り欠いた切欠部が形成され、高温域の熱が伝熱される高温領域部位と高温域よりも低温の低温域の熱が伝熱される低温領域部位とを有し、
前記高温領域部位は、第2幅方向で前記切欠部に隣接する位置に配置され、前記低温領域部位は、第1幅方向で前記切欠部に隣接する位置に配置されていると好適である。
本発明は、前記基板の前方側には、前記基板の面方向に延設されて、前記基板の前方側に伝熱された熱を、前記基板の面方向に沿って伝熱させる面方向伝熱部が備えられ、
前記面方向伝熱部は、高温域の熱が伝熱される高温領域部位と、高温域よりも低温の低温域の熱が伝熱される低温領域部位とを有し、
前記第2伝熱部は、前記面方向伝熱部にて前記基板の面方向に沿って伝熱された熱を、前記基板の周囲を通して前記放熱部に伝熱させ、
前記第2伝熱部は、前記基板の面方向で前記面方向伝熱部の前記高温領域部位が位置する側から前記基板の後方側に延設された第1延設部と、前記基板の面方向で前記面方向伝熱部の前記低温領域部位が位置する側から前記基板の後方側に延設された第2延設部とが備えられ、
前記第1延設部は、前記第2延設部よりも熱が伝熱される伝熱面積が小さく設定されていると好適である。
本発明は、前記基板の前方側には、前記基板の面方向に延設されて、前記基板の前方側に伝熱された熱を、前記基板の面方向に沿って伝熱させる面方向伝熱部が備えられ、
前記面方向伝熱部は、高温域の熱が伝熱される高温領域部位と、高温域よりも低温の低温域の熱が伝熱される低温領域部位とを有し、
前記第2伝熱部は、前記面方向伝熱部にて前記基板の面方向に沿って伝熱された熱を、前記基板の周囲を通して前記放熱部に伝熱させ、
前記第2伝熱部は、前記面方向伝熱部において、前記基板の面方向で前記低温領域部位よりも前記高温領域部位に隣接する箇所に配置されていると好適である。
本発明は、上述の構成の何れかに記載の放熱構造を備えた情報通信ユニットであり、アンテナ素子、情報通信のための部品、及び、電源部品が備えられていると好適である。
本発明は、基板に設置された電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱して放熱する放熱構造であって、
前記基板の表裏方向の一方側には、前記基板の表裏方向に直交する第1幅方向及び第2幅方向に延設されて、前記基板の表裏方向の一方側に伝熱された熱を、前記基板の面方向に沿って伝熱させる面方向伝熱部が備えられ、
前記面方向伝熱部は、第1幅方向の一方側から切り欠いた切欠部が形成され、高温域の熱が伝熱される高温領域部位と高温域よりも低温の低温域の熱が伝熱される低温領域部位とを有し、
前記高温領域部位は、第2幅方向で前記切欠部に隣接する位置に配置され、前記低温領域部位は、第1幅方向で前記切欠部に隣接する位置に配置されていると好適である。
【0025】
本発明は、基板に設置された電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱して放熱する放熱構造であって、
前記基板の表裏方向の一方側には、前記基板の面方向に延設されて、前記基板の表裏方向の一方側に伝熱された熱を、前記基板の面方向に沿って伝熱させる面方向伝熱部が備えられ、
前記面方向伝熱部は、高温域の熱が伝熱される高温領域部位と、高温域よりも低温の低温域の熱が伝熱される低温領域部位とを有し、
前記基板よりも表裏方向の一方側の熱を、前記基板よりも表裏方向の他方側に移動させ、前記放熱部に伝熱させて放熱する第2伝熱部が備えられ、
前記第2伝熱部は、前記面方向伝熱部にて前記基板の面方向に沿って伝熱された熱を、前記基板の周囲を通して前記放熱部に伝熱させ、
前記第2伝熱部は、前記基板の面方向で前記面方向伝熱部の前記高温領域部位が位置する側から前記基板の表裏方向の他方側に延設された第1延設部と、前記基板の面方向で前記面方向伝熱部の前記低温領域部位が位置する側から前記基板の表裏方向の他方側に延設された第2延設部とが備えられ、
前記第1延設部は、前記第2延設部よりも熱が伝熱される伝熱面積が小さく設定されていると好適である。
本発明は、前記第1延設部は、前記基板の表裏方向の一方側となる基端側部位が、その延設方向に直交する方向での幅が狭い幅狭形状であり、前記基板の表裏方向の他方側となる先端側部位が、その延設方向に直交する方向での幅が基端側部位よりも大きな幅を有する形状に形成され、
前記第2延設部は、前記基板の表裏方向の一方側となる基端側部位から前記基板の表裏方向の他方側となる先端側部位まで、その延設方向に直交する方向での幅が前記第1延設部の基端側部位よりも大きな幅を有する形状に形成されていると好適である。
本発明は、前記基板の表裏方向の一方側には、前記基板の面方向に延設されて、前記基板の表裏方向の一方側に伝熱された熱を、前記基板の面方向に沿って伝熱させる面方向伝熱部が備えられ、
前記面方向伝熱部は、前記高温領域部位と、前記低温領域部位と、その低温領域部位よりも低温の第2低温域の熱が伝熱される第2低温領域部位とを有し、
前記基板よりも表裏方向の一方側の熱を、前記基板よりも表裏方向の他方側に移動させ、前記放熱部に伝熱させて放熱する第2伝熱部が備えられ、
前記第2伝熱部は、前記面方向伝熱部にて前記基板の面方向に沿って伝熱された熱を、前記基板の周囲を通して前記放熱部に伝熱させ、
前記第2伝熱部は、前記面方向伝熱部において、前記基板の面方向で前記第2低温領域部位よりも高温側の前記低温領域部位及び前記高温領域部位に隣接する箇所に配置されていると好適である。
(1)本発明の第1特徴構成は、複数の基板と、それら複数の基板を収容するケーシングと、そのケーシングの外方に露出する露出部とが備えられ、
前記複数の基板の熱を、前記露出部に伝熱させて放熱させる伝熱部が備えられている点にある。
(2)本発明の第2特徴構成は、前記基板の面方向において、前記露出部が前記伝熱部よりも外方側に配設されている点にある。
(3)本発明の第3特徴構成は、前記ケーシングは、少なくとも後方側の一部が設置対象部位の内部に埋設される埋設状態にて設置対象部位に設置されている点にある。
(4)本発明の第4特徴構成は、請求項1~3の何れか1項に記載の放熱構造を備えた情報通信ユニットにおいて、アンテナ素子、情報通信のための部品、及び、電源部品が備えられている点にある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】情報コンセントが設置された状態を示す正面図
図2】情報コンセントが設置された状態を示す側面図
図3】第1実施形態における情報通信ユニットの分解斜視図
図4】第1実施形態における情報通信ユニットの横断面図
図5】第1板状体と第2板状体を示す斜視図
図6】第2実施形態における情報通信ユニットの分解斜視図
図7】第2実施形態における情報通信ユニットの横断面図
図8】第3実施形態における情報通信ユニットの分解斜視図
図9】第3実施形態における第4板状体の正面図
図10】第3実施形態における第4板状体の右側の側面図
図11】第3実施形態における第4板状体の左側の側面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る放熱構造を適用した情報通信ユニットの実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この情報通信ユニット2は、図1及び図2に示すように、例えば、壁W等の設置対象部位に設置された情報コンセント1に備えられている。情報通信ユニット2は、その大部分が壁Wに埋設された埋設状態で、且つ、その前方側部位の一部だけが壁Wよりも前方側に膨出する状態で設置されている。以下、壁Wに対して直交する表裏方向の表側を前後方向の前方側として、表裏方向の裏側を前後方向の後方側として説明する。
【0028】
情報コンセント1は、壁Wに貫通形成された矩形状の設置用孔10(図2参照)の後面側に配置されたコンセントボックス11と、壁Wの前面側に配置された化粧カバー12とを、それらの間において壁Wの前面に当接する取り付けフレーム13を介して固定されている。
【0029】
この情報コンセント1には、情報通信ユニット2に加えて、電源コンセントユニット3が備えられている。情報コンセント1の左右方向の一方側(図1中右側)に、情報通信ユニット2が配置され、情報コンセント1の左右方向の他方側(図1中左側)に、電源コンセントユニット3が配置されている。情報通信ユニット2の前面側には、LAN用モジュラープラグが着脱自在に接続されるLAN用モジュラーアダプタ用の接続口21、及び、電話回線用モジュラープラグが着脱自在に接続される電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口22が備えられている。電源コンセントユニット3の前面側には、上下に2つの差込口4が備えられている。
【0030】
コンセントボックス11の上下には、図2に示すように、壁Wの後方側空間(裏側空間)に配線された電源ケーブル14、電話ケーブル(図示省略)、及び、WAN側の通信ケーブル15等の各ケーブルの端部が挿入される挿入口16が形成されている。
【0031】
通信ケーブル15、及び、電話ケーブルは、上側の挿入口16を通してコンセントボックス11内に引き込まれて、情報通信ユニット2に接続されている。電源ケーブルは、商用電源を電源コンセントユニット3に供給するための電源ケーブル(図示省略)と、商用電源を電源コンセントユニット3から情報通信ユニット2に供給するための電源ケーブル14とを有している。商用電源を電源コンセントユニット3に供給するための電源ケーブルは、上側の挿入口16を通してコンセントボックス11内に引き込まれて電源コンセントユニット3に接続され、商用電源を電源コンセントユニット3から情報通信ユニット2に供給するための電源ケーブル14は、下側の挿入口16を通してコンセントボックス11内に引き込まれて情報通信ユニット2に接続されている。
【0032】
化粧カバー12には、各ユニット2,3に対応した形状の取り付け窓17が形成され、各取り付け窓17を通して各ユニット2,3の前面部分が前方に露出する形態で取り付けられている。
【0033】
(情報通信ユニット)
情報通信ユニット2は、図2図4に示すように、アンテナ素子25(図3参照)が内蔵されたアンテナユニット23と、アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容された本体ユニット20とを備えており、アンテナユニット23が本体ユニット20の前方側部位に着脱自在に構成されている。
【0034】
アンテナユニット23は、本体ユニット20の前方側部位の外周を囲む矩形リング状に形成され、複数のアンテナ素子25が内蔵されている。アンテナユニット23の底面部には、情報通信ユニット2の電源をON状態とOFF状態とに切り替え自在な電源スイッチ24(図2参照)が備えられている。アンテナユニット23は、本体ユニット20の前方側部位に装着されることで、本体ユニット20と電気的に接続自在に構成されている。
【0035】
本体ユニット20は、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とに分割自在に構成されている。前方側ケーシング26は、例えば、合成樹脂製に構成されているのに対して、後方側ケーシング27は、例えば、アルミや亜鉛鋼等の金属製に構成されており、良好な熱導電性を有するように構成されている。前方側ケーシング26と後方側ケーシング27との着脱については、図示は省略するが、例えば、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27との一方側に係合爪を形成し、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27との他方側に係合爪が係合する係合孔を形成し、係合爪と係合孔との係合又は係合解除により、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とを着脱自在に構成することができる。そして、例えば、後方側ケーシング27に形成された貫通孔を通して、前方側ケーシング26に形成されたビス孔にビスを止めることで、前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とが係合した状態で固定可能に構成されている。
【0036】
前方側ケーシング26は、前方側に面する前面部28と、その前面部28の外周縁部から後方側に延出する周側面部29とを有する後方側が開放された箱状に形成されている。前方側ケーシング26には、周側面部29の後端部位から側方側に延出するフランジ部30が備えられ、このフランジ部30が取り付けフレーム13に固定自在に構成されている。
【0037】
前方側ケーシング26の前面部28の上方側部位には、電話回線用モジュラープラグが着脱自在に接続させる電話回線用モジュラーアダプタの接続口22が配置されている。そして、前面部28の上方側部位には、図1に示すように、接続口22に加えて、情報通信ユニット2の電源の投入状態を示す電源インジケータ、ルーティング機能(有線LANや無線LANを利用した情報通信機能)の利用可能状態を示すLANインジケータ、及び、ネットワークのアクセス状態を示すアクセスインジケータ等の表示ランプ部31、及び、リセット操作するためのリセットボタン部32が配置されている。前方側ケーシング26の前面部28の下方側部位には、LAN用モジュラープラグが着脱自在に接続させるLAN用モジュラーアダプタの接続口21が配置されている。
【0038】
図2図4に戻り、後方側ケーシング27は、後方側に面する後面部33と、その後面部33の外周縁部から前方側に延出する周側面部34とを有する前方側が開放された箱状に形成されている。図示は省略するが、後方側ケーシング27の後面部33及び周側面部34には、電源ケーブル14、電話ケーブル(図示省略)、及び、WAN側の通信ケーブル15等の各ケーブルの接続口が備えられている。
【0039】
前方側ケーシング26と後方側ケーシング27とを組み付けることで、前後、左右及び上下が閉塞された収容空間35が形成され、その収容空間35に、アンテナ素子25以外の情報通信のための各部品が収容されている。各部品として、例えば、コンバータ等の電源部品36、その他の電子部品、電源部品36やその他の電子部品を設置する第1~第3基板37~39、基板37~39同士を接続するコネクタ部40等が備えられている。図3及び図4では、電源部品36、第1~第3基板37~39、コネクタ部40等だけを図示し、その他の電子部品等は図示を省略している。ちなみに、前方側ケーシング26、及び、後方側ケーシング27について、前後方向、左右方向、及び、上下方向の夫々における大きさは、基板37~39の大きさ等に応じて、適宜変更が可能である。
【0040】
図3及び図4に示すように、基板37~39は、前後方向の前方側から、第1基板37、第2基板38、第3基板39の順に間隔を隔てて積層させた積層構造にて配置されている。左右方向における長さは、第2基板38と第3基板39が同一の長さとなっており、第1基板37が第2基板38及び第3基板39よりも小さい長さとなっている。第1基板37の前面部には、電話回線用モジュラーアダプタ用の接続口22、及び、LAN用モジュラーアダプタ用の接続口21が設置され、第3基板39の後面部には、電源部品36が設置されている。コネクタ部40は、第1基板37の後面部、第2基板38の前面部と後面部の両面部、及び、第3基板39の前面部の夫々に配置されており、コネクタ部40によって、第1基板37と第2基板38とが電気的に接続されているとともに、第2基板38と第3基板39とが電気的に接続されている。
【0041】
(放熱構造)
情報通信ユニット2の電源をON状態に切り替えると、電源部品36やその他の電子部品が作動状態となって、情報通信等の各種の機能が作動される。このとき、電源部品36から多くの熱が発生するとともに、その他の電子部品からも熱が発生する。この実施形態では、電源部品36から発生する熱を主とし、他の電子部品から発生する熱も含めて放熱する放熱構造を採用しており、以下、この放熱構造について説明する。
【0042】
この放熱構造では、第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱を主として、他の電子部品から発生する熱も含めて、金属製の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱して放熱するように構成されている。
【0043】
放熱構造では、第2基板38の前面部の中央部に第1熱伝導体51が配置され、第3基板39の前面部の中央部に第2熱伝導体52が配置されている。第1熱伝導体51は、例えば、第2基板38の前面部に設置された各種の電子部品やそれら電子部品に備えられた熱伝導性シート等を含めたものであり、第2基板38の後面側の熱を前面側に伝熱できるものであればよい。第2熱伝導体52は、例えば、熱伝導性シート等の熱導電性を有するものであり、第3基板39の後面側の熱を前面側に伝熱できるものであればよい。これにより、第3基板39の後面部に設置された電源部品36から発生する熱(その他の電子部品から発生する熱も含む)を、第2熱伝導体52に伝熱させて、第3基板39の前方側に伝熱可能としている。そして、第2熱伝導体52は、第2基板38の後面部に接触されているので、第2熱伝導体52により、第3基板39の前方側に伝熱された熱を第2基板38に伝熱させている。また、第2基板38に伝熱された熱を、第1熱伝導体51に伝熱させて、第2基板38の前方側に伝熱可能としている。第1熱伝導体51及び第2熱伝導体52は、電源部品36から発生する熱(その他の電子部品から発生する熱も含む)を、第3基板39(基板に相当する)の後方側(一方側)から前方側(他方側)に伝熱する第1伝熱部として構成されている。
【0044】
また、放熱構造では、図3図5に示すように、第1基板37と第2基板38との間において左右方向に延びて、その左右方向の両端部から後方側に延びる第1板状体53が備えられている。第1板状体53は、第1熱伝導体51、第2基板38及び第2熱伝導体52によって、第2基板38及び第3基板39の前方側に伝熱された熱を、第2基板38及び第3基板39の周囲を通して第2基板38及び第3基板39の後方側(一方側)の後方側ケーシング27(放熱部に相当する)に伝熱させて放熱する第2伝熱部として構成されている。
【0045】
第1板状体53は、例えば、金属製の板体に熱伝導性弾性材料を塗布して良好な熱伝導性を有するとともに、弾性変形可能に構成されている。第1板状体53は、第1基板37と第2基板38との間において左右方向に延びる第1左右延設部53aと、その第1左右延設部53aの両端部の夫々から後方側に延びる一対の第1前後延設部53bとを有する平面視でコ字状に形成されている。
【0046】
第1左右延設部53aは、第1熱伝導体51の前面部に接触して、第1熱伝導体51から伝熱可能に配置されている。一対の第1前後延設部53bの夫々は、前後方向において、第1基板37と第2基板38との間から、第2基板38の左右端部とケーシング26,27の内壁部との間(第2基板38の周囲)、及び、第3基板39とケーシング26,27の内壁部との間(第3基板39の周囲)を通して、第3基板39の後方側まで延びるように配置されている。一対の第1前後延設部53bの夫々は、その後端部が後方側ケーシング27の内壁部に形成された板状体接触部55に接触されている。
【0047】
ここで、一対の第1前後延設部53bは、例えば、第1前後延設部53bの後端部側を左右方向の外側に湾曲させた外広がり形状に形成することができる。そして、第1前後延設部53bの後端部側を左右方向の内方側に弾性変形させた状態で、後方側ケーシング27の内部に一対の第1前後延設部53bを挿入し、第1前後延設部53bの後端部を後方側ケーシング27の板状体接触部55に接触させて、第1前後延設部53bを固定させている。これにより、第1前後延設部53bの後端部側に左右方向の外側への弾性復帰力が作用することになり、その弾性復帰力によって第1前後延設部53bの後端部を板状体接触部55に押し付ける状態で接触させながら、第1前後延設部53bの途中部分が前方側ケーシング26の内壁部に接触するのを抑制することができる。その結果、一対の第1前後延設部53bによって、第2基板38及び第3基板39の前方側に伝熱された熱を、前方側ケーシング26に伝熱させるのを抑制しながら、後方側ケーシング27に対して適切に伝熱させることができる。また、第1前後延設部53bの途中部分が前方側ケーシング26の内壁部に接触するのを抑制するためには、例えば、第2基板38や第3基板39の左右両端部に切欠部を形成し、その切欠部を通して第1前後延設部53bを後方側に延びるように配置することでも実現可能である。
【0048】
一対の第1前後延設部53bの後端部を板状体接触部55に接触させるに当たり、例えば、板状体接触部55に溝部を形成して、その溝部にジェル等の充填剤を充填させることで、第1前後延設部53bの後端部を板状体接触部55に対して面接触させることができ、第1前後延設部53bから後方側ケーシング27の板状体接触部55に対する伝熱を効率よく行うことができる。
【0049】
一対の第1前後延設部53bの夫々における後方側部位と電源部品36との間には、一対の第1前後延設部53bの夫々と電源部品36との間を繋いで接触させる接触伝熱部56が備えられている。接触伝熱部56は、電源部品36から発生する熱を、一対の第1前後延設部53bの夫々における後方側部位に伝熱可能に構成されている。接触伝熱部56は、例えば、熱伝導性パッド等により良好な熱導電性を有するように構成されている。また、例えば、第1板状体53を折り曲げて電源部品36に接触させることにより、第1板状体53にて接触伝熱部56を構成することもでき、その他、各種の構成を適用することができる。
【0050】
この放熱構造では、第1板状体53に加えて、第1基板37と第2基板38との間において左右方向に延びて、その左右方向の両端部から前方側に延びる第2板状体54が備えられている。第2板状体54は、第1熱伝導体51、第2基板38及び第2熱伝導体52によって、第2基板38及び第3基板39の前方側に伝熱された熱を、その延設方向の先端部(前端部)に伝熱させる第3伝熱部として構成されている。
【0051】
第2板状体54は、例えば、金属製の板体に熱伝導性弾性材料を塗布して良好な熱伝導性を有するとともに、弾性変形可能に構成されている。第2板状体54は、第1基板37と第2基板38との間において左右方向に延びる第2左右延設部54aと、その第2左右延設部54aの両端部の夫々から前方側に延びる一対の第2前後延設部54bとを有する平面視でコ字状に形成されている。第1基板37が第2基板38及び第3基板39よりも左右方向の長さが小さいので、第2左右延設部54aが第1板状体53の第1左右延設部53aよりも左右方向の長さが小さく構成されている。
【0052】
第2左右延設部54aは、第1左右延設部53aに接合されており、第1板状体53と第2板状体54とが一体的に形成されている。ちなみに、第1板状体53と第2板状体54の支持については、図示は省略するが、例えば、第1基板37や第2基板38の基板側に、又は、前方側ケーシング26や後方側ケーシング27のケーシング側に固定具にて固定する等の支持構造を備えることができる。一対の第2前後延設部54bの夫々は、前後方向において、第1基板37と第2基板38との間から、第1基板37の左右端部とケーシング26,27の内壁部との間(第1基板37の周囲)を通して、第1基板37の前方側まで延びるように配置されている。一対の第2前後延設部54bの夫々は、前方側ケーシング26の周側面部29の内壁部と間隔を隔てる状態で配置されており、第2基板38及び第3基板39の前方側に伝熱された熱を、前方側ケーシング26に伝熱するのを防止しながら、第2前後延設部54bの先端部(前端部)に伝熱させるようにしている。
【0053】
一対の第2前後延設部54bの夫々における前端部には、その前端部に伝熱される熱を冷却する冷却部57が備えられている。この冷却部57は、例えば、放熱フィンを上下方向に間隔を隔てて複数積層させて構成されている。そして、前方側ケーシング26において一対の第2前後延設部54bの夫々における前端部に対向する部位には、前方側ケーシング26の内部と外部とを連通させるスリット部58(連通部に相当する)が備えられている。
【0054】
図4に基づいて、電源部品36から発生する熱(その他の電子部品から発生する熱も含む、以下同様とする)の流れについて説明する。ちなみに、図4では、熱の流れを分かり易くするために、前方側ケーシング26及び後方側ケーシング27の一部の図示を省略している。
【0055】
電源部品36から発生する熱は、まず、図中T1の矢印にて示すように、第2熱伝導体52によって、第3基板39の後方側から前方側に伝熱される。次に、図中T2の矢印にて示すように、第2熱伝導体52と第2基板38との接触により、第2熱伝導体52から第2基板38に伝熱され、更に、第1熱伝導体51によって、第2基板38の後方側から前方側に伝熱される。このように、電源部品36から発生する熱は、第3基板39だけでなく、第2基板38も、後方側から前方側に伝熱されることになり、その熱の移動距離を大きく取ることができる。よって、熱の移動過程では、その移動に伴って放熱されるだけでなく、例えば、熱エネルギーが運動エネルギーに変換されることから、熱の移動距離を大きく取ることで、電源部品36から発生する熱を効果的に放熱させることができる。
【0056】
そして、第1熱伝導体51及び第2熱伝導体52にて第2基板38の前方側に伝熱された熱は、図中T3の矢印にて示すように、第1板状体53によって、左右方向の両端側に伝熱された後、第2基板38の前方側から、第2基板38及び第3基板39の周囲を通して第3基板39の後方側まで伝熱され、金属製の後方側ケーシング27に伝熱させて放熱させている。このように、電源部品36から発生する熱は、第3基板39の後方側から第2基板38の前方側に移動されるだけでなく、更に、第2基板38の前方側から第3基板39の後方側に移動されるので、その熱の移動距離を極力大きく取ることができ、電源部品36から発生する熱をより効果的に放熱させることができる。しかも、後方側ケーシング27は、金属製であり、更に、後方側ケーシング27の後面部33及び周側面部34に複数の溝を形成することで、表面積が拡大されているので、伝熱された熱を後方側ケーシング27の外部に効率よく放熱させることができる。
【0057】
ここで、第1板状体53により後方側ケーシング27に伝熱させて放熱されるに当たり、後方側ケーシング27の配置位置をより後方側に配置させることで、熱の移動距離をより大きく取ることができ、電源部品36から発生する熱をより効率よく放熱させることができる。そこで、例えば、後方側ケーシング27の収容空間35に第3基板39のみを収容し、前方側ケーシング26の収容空間35に第1基板37及び第2基板38を収容し、第3基板39の後方側に後方側ケーシング27を配置させることができる。ちなみに、前方側ケーシング26及び後方側ケーシング27に対して、第1~第3基板37~39をどのように収容させるかは適宜変更が可能である。
【0058】
また、第1熱伝導体51及び第2熱伝導体52にて第2基板38の前方側に伝熱された熱は、図中T4の矢印にて示すように、第2板状体54によって、左右方向の両端側に伝熱された後、第2基板38の前方側から、第1基板37の周囲を通して、第1基板37の前方側に位置する第2前後延設部54bの前端部に伝熱される。第2前後延設部54bの前端部に伝熱された熱は、冷却部57によって放熱されて冷却されるとともに、図中T5の矢印にて示すように、スリット部58によって、ケーシング26,27の内部から外部に放熱される。ちなみに、スリット部58からケーシング26,27の外部に流出する空気は、アンテナユニット23の開口部等を通して情報通信ユニット2の外部に流出することになるので、ケーシング26,27の内部の熱を、情報通信ユニット2の外部に適切に放熱させることができる。このように、本体ユニット20内の熱を、壁Wの後方側に埋設された後方側ケーシング27を通して情報通信ユニット2の外部に放熱させるだけでなく、壁Wの前方側に膨出する前方側ケーシング26の前方側部位及びアンテナユニット23を通して情報通信ユニット2の外部に放熱させることができる。よって、情報通信ユニット2において、壁Wの後面側に埋設された部位だけでなく、壁Wの前方側に膨出する部位をも有効に活用して、効果的な放熱を行うことができる放熱構造となる。
【0059】
更に、電源部品36から発生する熱は、上述の如く、第1熱伝導体51、第2熱伝導体52、及び、第1板状体53を介して、金属製の後方側ケーシング27に伝熱させるだけでなく、図中T6の矢印にて示すように、接触伝熱部56によって、第1板状体53を介して金属製の後方側ケーシング27に伝熱させて放熱させている。
【0060】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、第1実施形態における第1板状体53の別実施形態を示すものであり、その他の構成は第1実施形態と同様である。そこで、第1実施形態と異なる構成のみを説明して、その他の同様の構成については説明を省略する。
【0061】
この第2実施形態では、第1板状体53に代えて、第3熱伝導体61と一対の第3板状体62とが備えられており、第1熱伝導体51及び第2板状体54が備えられていない。第3熱伝導体61は、例えば、金属製の板体や熱伝導性シート等にて良好な熱伝導性を有するように構成され、図示省略の支持構造により第2基板38の前面部の中央部に接触する状態で配置されている。
【0062】
一対の第3板状体62の夫々は、例えば、金属製の板体に熱伝導性弾性材料を塗布して良好な熱伝導性を有するとともに、弾性変形可能に構成されている。一対の第3板状体62の夫々は、第3熱伝導体61の左右両端部の夫々に接合されており、第3熱伝導体61と一対の第3板状体62とが一体的に形成されている。一対の第3板状体62の夫々は、左右方向に延びて、その左右端部から後方側に延びる平面視L字状に形成されている。一対の第3板状体62の夫々は、前後方向において、第1基板37と第2基板38との間から、第2基板38の左右端部とケーシング26,27の内壁部との間(第2基板38の周囲)、及び、第3基板39とケーシング26,27の内壁部との間(第3基板39の周囲)を通して、第3基板39の後方側まで延びるように配置されている。一対の第3板状体62の夫々は、その後端部が後方側ケーシング27の内壁部に形成された板状体接触部55に接触されている。
【0063】
図7に基づいて、電源部品36から発生する熱(その他の電子部品から発生する熱も含む、以下同様とする)の流れについて説明する。
電源部品36から発生する熱は、まず、図中T11の矢印にて示すように、第2熱伝導体52によって、第3基板39の後方側から前方側に伝熱される。次に、図中T12の矢印にて示すように、第2熱伝導体52と第2基板38との接触により、第2熱伝導体52から第2基板38に伝熱され、更に、第3熱伝導体61によって、第2基板38の後方側から前方側に伝熱される。この第2実施形態では、第1伝熱部が、第2熱伝導体52及び第3熱伝導体61にて構成されている。このように、電源部品36から発生する熱は、第3基板39だけでなく、第2基板38も、後方側から前方側に伝熱されることになり、その熱の移動距離を大きくとることができ、電源部品36から発生する熱を効果的に放熱させることができる。
【0064】
そして、第2熱伝導体52及び第3熱伝導体61にて第2基板38の前方側に伝熱された熱は、図中T13の矢印にて示すように、第3板状体62によって、左右方向の両端側に伝熱された後、第2基板38の前方側から、第2基板38及び第3基板39の周囲を通して第3基板39の後方側まで伝熱され、最終的に金属製の後方側ケーシング27に伝熱させて放熱させている。このように、電源部品36から発生する熱は、第3基板39の後方側から第2基板38の前方側に移動されるだけでなく、第2基板38の前方側から第3基板39の後方側に移動されるので、その熱の移動距離を極力大きくとることができ、電源部品36から発生する熱をより効果的に放熱させることができる。
【0065】
更に、電源部品36から発生する熱は、上述の如く、第2熱伝導体52、第3熱伝導体61、及び、第3板状体62を介して、金属製の後方側ケーシング27に伝熱させるだけでなく、図中T14の矢印にて示すように、接触伝熱部56によって、第3板状体62を介して金属製の後方側ケーシング27に伝熱させて放熱させている。
【0066】
ちなみに、この第2実施形態においても、第3基板39の後方側の熱が、第2熱伝導体52及び第3熱伝導体61にて、第2基板38の前方側に伝熱されるので、第1実施形態と同様に、情報通信ユニット2において、壁Wの後面側に埋設された部位だけでなく、室内等に開放された壁Wの前方側に膨出する部位にも伝熱させるので、その膨出する部位における放熱も期待できる。
【0067】
〔第3実施形態〕
この第3実施形態は、第1実施形態における第1板状体53等の別実施形態を示すものであり、第1実施形態と異なる構成のみを説明して、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0068】
第2基板38には、図8に示すように、第1温度域(例えば、98℃程度)の熱を発生する第1電子部品64a(例えば、チップ部品)と、第1電子部品64aよりも低温の第2温度域(例えば、95℃程度)の熱を発生する第2電子部品64b(例えば、チップ部品)と、第2電子部品64bよりも低温の第3温度域(例えば、76℃程度)の熱を発生する第3電子部品64c(例えば、チップ部品)とが備えられている。図8では、前方視において、第1電子部品64aは、第2基板38の右上方側部位に配置され、第2電子部品64bは、第2基板38の左上方側部位に配置され、第3電子部品64cは、第2基板38の左下方側部位に配置されている。
【0069】
第1熱伝導体51は、第1電子部品64aに接触して第1温度域の熱を第2基板38の前方側に伝熱させる第1伝導領域部位51aと、第2電子部品64bに接触して第2温度域の熱を第2基板38の前方側に伝熱させる第2伝導領域部位51bと、第3電子部品64cに接触して第3温度域の熱を第2基板38の前方側に伝熱させる第3伝導領域部位51cとが備えられている。第1熱伝導体51は、第1伝導領域部位51aと第2伝導領域部位51bと第3伝導領域部位51cとに各別に区画されており、第1~第3伝導領域部位51a~51c同士での熱の伝熱を防止している。
【0070】
第1基板37と第2基板38との間には、第4板状体63が備えられている。第4板状体63は、例えば、金属製の板体や熱伝導性シート等にて良好な熱伝導性を有するように構成されている。第4板状体63は、第2基板38の左右幅方向及び上下幅方向に延設された面状に形成されている。第4板状体63は、第1熱伝導体51における第1~第3伝導領域部位51a~51cの夫々によって第2基板38の前方側に伝熱された熱を、第2基板38の面方向に沿って伝熱させるように構成されている。これにより、第4板状体63が、面方向伝熱部に相当する。
【0071】
第4板状体63は、図8及び図9に示すように、第2基板38の左右方向(第1方向に相当する、以下、単に「左右方向」と略称する)において、第2基板38の全幅よりも大きな幅を有する幅広部位63dと、その幅広部位63dよりも左右方向の幅が狭い幅狭部位63eとを有し、幅広部位63dが上方側に位置する状態で幅広部位63dと幅狭部位63eとが第2基板38の上下方向(第2方向に相当する、以下、単に、「上下方向」と略称する)に並ぶように形成されている。第4板状体63では、左右方向の右側(一方側)から切り欠いた切欠部65を形成することで、幅狭部位63eが形成されている。左右方向における切欠部65の幅は、例えば、幅広部位63dの幅の略1/2又はそれよりも大きく設定されており、幅狭部位63eは、左右方向で左側(他方側)に偏倚した位置に形成されている。
【0072】
第4板状体63は、図9に示すように、熱が伝熱される領域部位として、第1熱伝導体51の第1伝導領域部位51aにて第1温度域の熱が伝熱される第1温度領域部位63aと、第1熱伝導体51の第2伝導領域部位51bにて第2温度域の熱が伝熱される第2温度領域部位63bと、第1熱伝導体51の第3伝導領域部位51cにて第3温度域の熱が伝熱される第3温度領域部位63cとを有している。
【0073】
ここで、第2基板38において、第1~第3電子部品64a~64cをどのような位置に配置させるかは適宜変更が可能である。そして、第1~第3電子部品64a~64cの配置位置に対応して、第1熱伝導体51の第1~第3伝導領域部位51a~51cの配置位置、及び、第4板状体63の第1~第3温度領域部位63a~63cの配置位置を適宜変更させることができる。
【0074】
第4板状体63において、図9に示すように、第1温度領域部位63aは、上下方向で切欠部65に隣接する位置に配置され、第3温度領域部位63cは、左右方向で切欠部65に隣接する位置に配置されている。第2温度領域部位63bは、上下方向で第3温度領域部位63cに隣接する位置で、且つ、左右方向で第1温度領域部位63aに隣接する位置に配置されている。第1温度領域部位63aと第2温度領域部位63bは、幅広部位63dにおいて、第1温度領域部位63aが右側に位置する状態で左右方向に並ぶように配置され、第3温度領域部位63cは、幅狭部位63eに配置されている。
【0075】
第3温度領域部位63cは、上下方向で第1温度領域部位63aと異なる位置であり、左右方向で第1温度領域部位63aとは反対側となる左側に配置されており、第1温度領域部位63aから離れた位置に配置されている。第1温度領域部位63aと第3温度領域部位63cとを比較すると、第1温度領域部位63aが高温領域部位となり、第3温度領域部位63cが低温領域部位となる。切欠部65は、上下方向で高温領域部位となる第1温度領域部位63aに隣接し、且つ、左右方向で低温領域部位となる第3温度領域部位63cに隣接しているので、第4板状体63において第2基板38の面方向に熱を伝熱させるに当たり、高温領域部位となる第1温度領域部位63aと低温領域部位となる第3温度領域部位63cとの間に切欠部65を存在させることができる。よって、第3温度領域部位63cへの熱の伝熱面積を小さくすることができ、第1温度領域部位63aから第3温度領域部位63cへの直接的な熱の伝熱を防止することができる。
【0076】
第1温度領域部位63aと第2温度領域部位63bと第3温度領域部位63cとを比較すると、第1温度領域部位63aが高温領域部位となり、第2温度領域部位63bが中温領域部位となり、第3温度領域部位63cが低温領域部位となる。第2温度領域部位63bは、左右方向で第1温度領域部位63aに隣接し、且つ、上下方向で第3温度領域部位63cに隣接するので、高温領域部位となる第1温度領域部位63aと低温領域部位となる第3温度領域部位63cとの間に、切欠部65だけでなく、中温領域部位となる第2温度領域部位63bを存在させることができる。よって、第1温度領域部位63aから第3温度領域部位63cへの直接的な熱の伝熱をより効果的に防止することができる。
【0077】
このようにして、高温領域部位となる第1温度領域部位63aに伝熱された第1温度域の熱が低温領域部位となる第3温度領域部位63cに直接的に伝熱されるのを防止することができるので、第1温度域の熱が、第4板状体63の第3温度領域部位63c及び第1熱伝導体51の第3伝導領域部位51cを介して、第3電子部品64cに伝熱されるのを防止して、第3電子部品64cの故障等を防止することができる。
【0078】
第4板状体63には、切欠部65に加えて、第3温度領域部位63cの上方側部位において、右側に第1切欠部65aが形成され、左側に第2切欠部65bが形成されているので、第3温度領域部位63cへの熱の伝熱面積をより一層小さくすることができる。第1切欠部65aと第2切欠部65bとは、第1切欠部65aが上方側に位置する状態で上下方向に異なる位置に配置されている。また、第1温度領域部位63aの上方側部位には第3切欠部65cが形成され、第2温度領域部位63bの上方側部位には第4切欠部65dが形成されている。このように、複数の切欠部65a~65dを形成することで、第4板状体63において熱を第2基板38の面方向に沿って伝熱させるに当たり、熱の伝熱面積を小さくしたり、熱の伝熱方向を規制して、第2基板38の面方向での熱の伝熱を好適に行うようにしている。
【0079】
第4板状体63には、左右方向において、図9及び図10に示すように、第1温度領域部位63aが位置する側(右側)から後方側に延設された第1延設部66と、図9及び図11に示すように、第2温度領域部位63bが位置する側(左側)から後方側に延設された第2延設部67とが備えられている。第1延設部66及び第2延設部67は、第4板状体63の左右方向の端部側部位を後方側に折り曲げて形成されており、第4板状体63に一体的に備えられている。第1延設部66及び第2延設部67の夫々における後方側部位が、図8に示すように、後方側ケーシング27の板状体接触部55に接触されており、第4板状体63に伝熱された熱を、第1延設部66及び第2延設部67を介して、後方側ケーシング27を伝熱させて放熱している。第1延設部66及び第2延設部67が第2伝熱部に相当する。
【0080】
第1延設部66は、図9に示すように、上下方向で第1温度領域部位63aの配置位置に相当する位置で、且つ、左右方向で第1温度領域部位63aに隣接する箇所に配置されている。しかも、第1延設部66には、電子部品64a~64c等から発生する熱が直接的に伝熱されないので、第1延設部66は、第1温度領域部位63aよりも低温となっている。これにより、第1温度領域部位63aに伝熱された第1温度域の熱を、第1延設部66に直接的に伝熱させることができる。よって、第1温度領域部位63aに伝熱された第1温度域の熱を、第1延設部66を介して、後方側ケーシング27に伝熱させて効率よく放熱させることができる。
【0081】
第2延設部67は、図9に示すように、上下方向で第2温度領域部位63bの配置位置に相当する位置で、且つ、左右方向で第2温度領域部位63bに隣接する箇所に配置されている。第2温度領域部位63bと第3温度領域部位63cとを比較すると、第2温度領域部位63bが高温領域部位となり、第3温度領域部位63cが低温領域部位となる。これにより、第2延設部67は、第2基板38の面方向で低温領域部位となる第3温度領域部位63cよりも高温領域部位となる第2温度領域部位63bに隣接する箇所に配置されている。しかも、第2延設部67には、電子部品64a~64c等から発生する熱が直接的に伝熱されないので、第2延設部67は、第3温度領域部位63cよりも低温となっている。高温領域部位となる第2温度領域部位63bに伝熱される熱が、低温領域部位となる第3温度領域部位63cに伝熱されるのを抑制しながら、第2延設部67に効率よく伝熱させることができる。よって、高温領域部位となる第2温度領域部位63bに伝熱された熱を、第2延設部67を介して、後方側ケーシング27に伝熱させて効率よく放熱させることができる。
【0082】
ちなみに、上述の如く、第1延設部66は、上下方向で第1温度領域部位63aの配置位置に相当する位置で、且つ、左右方向で第1温度領域部位63aに隣接する箇所に配置されている。よって、第1温度領域部位63a及び第2温度領域部位63bを高温領域部位としても、第1延設部66及び第2延設部67は、第2基板38の面方向で低温領域部位となる第3温度領域部位63cよりも高温領域部位となる第1温度領域部位63a及び第2温度領域部位63bに隣接する箇所に配置されている。
【0083】
第1延設部66は、図10に示すように、その前方側部位となる基端側部位66aが、上下方向での幅が狭い幅狭形状であり、基端側部位66aよりも後方側部位となる先端側部位66bが、上下方向で基端側部位66aよりも下方側に延設させて、基端側部位66aよりも大きな上下方向での幅E1を有する形状となっている。それに対して、第2延設部67は、図11に示すように、その前方側部位となる基端側部位から後方側部位となる先端側部位まで上下方向での幅が同一の幅E2を有する矩形状となっている。図10及び図11に示すように、第2延設部67の上下方向での幅E2は、第1延設部66の上下方向での幅E1と同じ大きさに設定されており、第1延設部66の基端側部位66aの上下方向での幅よりも大きくなっている。つまり、第2延設部67の基端側部位の上下方向での幅は、第1延設部66の基端側部位66aの上下方向での幅よりも大きくなっている。これにより、第2延設部67の方が第1延設部66よりも後方側への熱の伝熱面積が大きくなっており、第2延設部67の方が第1延設部66よりも多くの熱を後方側に伝熱するように構成されている。第1延設部66は、左右方向で第1温度領域部位63aが位置する左側から延設されているので、第1温度域の熱を後方側に伝熱させる。それに対して、第2延設部67は、左右方向で第2温度領域部位63bが位置する右側から延設されているので、第1温度域よりも低温の熱を後方側に伝熱させる。よって、第1延設部66と第2延設部67とでは、第1延設部66の方が第2延設部67よりも高温の熱を後方側に伝熱させるが、第2延設部67の方が第1延設部66よりもより多くの熱を後方側に伝熱させることになる。その結果、第1延設部66にて後方側ケーシング27に伝熱される熱が有する熱量と第2延設部67にて後方側ケーシング27に伝熱される熱が有する熱量との均等化を図ることができ、後方側ケーシング27における放熱をバランスよく効率的に行うことができる。
【0084】
第1延設部66は、図10に示すように、その先端側部位66bが基端側部位66aよりも大きな上下方向の幅E1を有している。第1延設部66は、図10及び図11に示すように、第4板状体63から後方側に延びる長さがD1に設定されており、第2延設部67における第4板状体63から後方側に延びる長さD2よりも大きな長さD1を有している。これにより、第1延設部66では、先端側部位66bの面積をより大きくすることができ、先端側部位66bに伝熱された熱を拡散させるだけの面積を確保することができる。よって、第1延設部66の先端側部位66bやその先端側部位66bに接触する後方側ケーシング27の部位に第1温度域等の高温の熱が伝熱されることが長時間継続されても、先端側部位66bにおける熱の拡散により温度低下させることができ、第1延設部66の先端側部位66bやその先端側部位66bに接触する後方側ケーシング27の部位が高温になり過ぎるのを防止することができる。
【0085】
第4板状体63には、図10及び図11に示すように、第1延設部66及び第2延設部67に加えて、左右方向の端部側部位を後方側に折り曲げた複数の後方側延設部68が一体的に備えられている。後方側延設部68は、第4板状体63において、上下方向の上端側部位に相当する位置に左右一対備えられ、上下方向の下端側部位に相当する位置に左側のみ備えられている。
【0086】
〔別実施形態〕
(1)上記第1実施形態では、第1板状体53における第1左右延設部53a及び第2板状体54における第2左右延設部54aが、第1基板37と第2基板38との間に位置するように、第1板状体53及び第2板状体54を配置したが、第1左右延設部53a及び第2左右延設部54aの位置は、第3基板39よりも前方側であればよく、例えば、第1左右延設部53a及び第2左右延設部54aが、第2基板38と第3基板39との間に位置するように、第1板状体53及び第2板状体54を配置することもできる。
【0087】
(2)上記第1~第3実施形態では、多くの熱を発生する電源部品36が設置された第3基板39に加えて、第1基板37、及び、第2基板38の合計3つの基板を備えているが、電源部品36が設置された第3基板39を備えていればよく、他に追加する基板の数については適宜変更が可能である。例えば、第3基板39とは別に1つの基板を備えて、2つの基板を備えることもできる。
【0088】
また、第1~第3実施形態では、第1基板37と第2基板38との間に、第1板状体53、第3熱伝導体61、及び、第4板状体64を配置しているが、例えば、第2基板38と第3基板39との間に、第1板状体53、第3熱伝導体61、及び、第4板状体64を配置することもできる。これにより、第1板状体53、第3熱伝導体61、及び、第4板状体64の配置位置としては、第3基板39よりも前方側(他方側)であれば適宜変更が可能である。上述の如く、第3基板39とは別に1つの基板を備えて、2つの基板を備える場合には、第3基板39と別の基板との間に、第1板状体53、第3熱伝導体61、及び、第4板状体64を配置することができる。
【0089】
(3)上記第1実施形態における第1板状体53及び第2板状体54の形状や長さ等は適宜変更が可能である。第1板状体53については、第1熱伝導体51にて第1基板37と第2基板38との間に伝熱された熱を、第2基板38及び第3基板39の周囲を通して、後方側ケーシング27に伝熱できるものであればよい。第2板状体54は、第1熱伝導体51にて第1基板37と第2基板38との間に伝熱された熱を、第1基板37の前方側に伝熱できるものであればよい。
また、第1板状体53と第2板状体54とを一体的に形成するものに限らず、第1板状体53と第2板状体54とを別体に形成することもできる。
【0090】
(4)上記第2実施形態における第3板状体62の形状や長さ等は適宜変更が可能である。第3板状体62については、第3熱伝導体61にて第1基板37と第2基板38との間に伝熱された熱を、第2基板38及び第3基板39の周囲を通して、後方側ケーシング27に伝熱できるものであればよい。
【0091】
(5)上記第1実施形態における第1熱伝導体51、第2熱伝導体52、及び、接触伝熱部56や、第2実施形態における第2熱伝導体52、及び、第3熱伝導体61については、その配置位置、形状、厚みやその構成等を適宜変更することができる。
【0092】
(6)上記第1~第3実施形態では、本発明に係る放熱構造を情報通信ユニット2に適用した例を示したが、基板に設置された電子部品から発生する熱を放熱部に伝熱して放熱するものであればよく、基板と電子部品と放熱部とを有する各種の装置に適用することができる。
【0093】
(7)上記第3実施形態では、第4板状体63において、第1温度領域部位63aと第2温度領域部位63bと第3温度領域部位63cとの3つの温度領域部位を備えた例を示したが、例えば、高温域の熱が伝熱される高温領域部位と高温域よりも低温の低温域の熱が伝熱される低温領域部位との2つの領域部位を備えることも可能であり、いくつの温度領域部位を備えるかは適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
63 第4板状体(面方向伝熱部)
66 第1延設部(第2伝熱部)
67 第2延設部(第2伝熱部)

図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
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図11