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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】骨固定のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/82 20060101AFI20240814BHJP
   A61B 17/88 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
A61B17/82
A61B17/88
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021105275
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2022008254
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】63/043,841
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517070626
【氏名又は名称】ネクストレミティ ソルーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Nextremity Solutions, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ロン エス. ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート ディー. カッチス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アール. ペッパー
(72)【発明者】
【氏名】ライアン シュロッターバック
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ デナム
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0018807(US,A1)
【文献】特表2018-509276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0313435(US,A1)
【文献】特開2016-168086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0184720(US,A1)
【文献】特表2014-511221(JP,A)
【文献】特開2012-232027(JP,A)
【文献】特開2010-234078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56 - 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨折固定システムであって、
骨の骨折部を固定するために骨の周囲を伸びるように構成されたコードの第1の端部に接続するための基端部を有するコネクタを具備しており、前記基端部は、骨折部を固定するためにコードを締め付けるようにコードに係合するためのスロットの境界を形成している複数の係止バーを具備しており、かつ
前記コネクタは、骨の周囲を伸びる前記コードの第2の端部に取り付けるための、前記基端部に対して前記コネクタの反対側にある先端側接続用端部を有しており、
前記先端側接続用端部はフック又はループを具備しており、そして、
前記骨折固定システムは、骨折部を固定するためにユーザがコードに張力をかけることを可能にするための、前記コネクタを保持するために長手方向における前記コネクタの両側面にあるスロットに係合されたテンショナーをさらに具備し、長手方向における前記コネクタの両側面にある前記スロットは、コネクタの長手方向における両側面に整列しており、そして前記テンショナーのアームに係合するように構成されている、骨折固定システム。
【請求項2】
前記複数の係止バーのうち第1の係止バーは断面が涙滴形状を有している、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
コードは係止バーの周りを縫うように通されかつ締め付けられて、コードが骨折部の固定を可能とする特定の緊密度に保持されるようになっている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年6月25日に出願された米国仮特許出願第63/043,841号、2020年11月18日に出願された米国仮特許出願第63/115,460号(代理人整理番号3768.098P2)、及び2020年5月7日に出願された米国仮特許出願第63/185,761号(代理人整理番号3768.098P3)に基づく優先権を主張するものであり、米国仮特許出願第63/043,841号、同第63/115,460号、及び同第63/185,761号は全て、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年6月24日に出願された米国仮特許出願第62/865,676号(代理人整理番号3768.085P)及び2019年9月24日に出願された米国仮特許出願第62/905,017号(代理人整理番号3768.085P2)の利益を主張する2020年6月24日に出願された米国特許出願第16/910,328号(代理人整理番号3768.085A)の関連出願であり、米国特許出願第16/910,328号、米国仮特許出願第62/865,676号、及び同第62/905,017号は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0003】
本出願は、概して骨固定のための装置、デバイス、及び方法に関し、かつより詳細には、骨折整復を容易にするための骨格の骨折固定及びインストゥルメンテーションに関係する締結術のための装置、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
大腿骨の骨折は、自然に生じる場合もあれば、人工股関節全置換術の際に医原性に生じる場合もある。骨折パターンに応じて、締結術単独、1若しくは複数のプレートを用いる締結術、支柱を用いる締結術、延長型股関節ステムを用いる締結術、又はプレート、支柱、及び/若しくは延長型股関節ステムの組み合わせを用いる締結術を、骨固定のために使用可能である。しかしながら、締結術に伴う問題点は、追加の支持デバイスを使用しないと骨結合部が貧弱になる場合があるということである。特に人工股関節全置換術を行う場合、追加の支持物の使用は、望ましくない場合も、可能でない場合もある。大腿骨の骨折では、締結ワイヤに高い負荷がかかる結果、ワイヤの移動を原因とする隣接骨の浸食及び固定不良が生じる可能性がある。
【0005】
長骨の骨折整復には、螺旋骨折部及び複数の骨断片を再整列させる必要があることが多い。骨鉗子は、骨をつかむ(例えば係合及び保持する)ための特殊な突端部又は突起部を備えた蝶番付きデバイス(例えばプライヤ)であることが多い。そのような鉗子を閉じると骨片に力がかかり、骨片を押して互いに近づける。従来の鉗子の限界は、直線的又はほぼ直線的に力を加えるということである。そのような鉗子はさらに、よくあるように複数の鉗子が使用される時には大きくて場所をとることがあり、ハードウェア(例えばプレート又はねじ)を設置するための骨折部位への接近が制限される場合がある。さらに、鉗子がもたらす単一面の力では十分に整復することができない骨折もある。さらに、鉗子は固定後に除去せねばならず、後日そのような除去が原因で整復の消失及び整列不良が生じる可能性がある。
【0006】
別の例では、骨折部を整復するための円周力を提供するために堅固な締結ワイヤが使用されてきた。そのようなワイヤの使用には、ワイヤが非常に堅いのでワイヤの扱いが極めて難しい場合があるなど、いくつかの欠点がある。さらに、ワイヤが最初に最善な状態に配置されなければ、別の位置に合うようにワイヤを修正することはほとんど不可能である。さらに、堅固な締結ワイヤに張力をかける従来の方法は、端部を緊密な螺旋状に撚り合わせることを必要とする。これには特殊な大型の用具が必要であり、かつ結果として得られる撚り合わせワイヤは極端に堅い可能性がありどう対処するにせよ平らにすることはできないことが多い。撚り合わせワイヤがその場に残されると、ワイヤが軟組織を刺激する可能性がある。これらの制約から堅固な仮ワイヤの固定の使用が減少してきた結果、この方法はほとんど使用されていない。
【0007】
骨結合を改善すると同時にワイヤの移動に起因する骨の浸食及び固定不良を最小限にするデバイスが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明は、本明細書中以下に記載の詳細な説明から、及び添付された本発明の好ましい実施形態の図面からより十分に理解されるであろうが、詳細な説明及び図面は、本発明を限定すると解釈されるべきではなく、単に説明及び理解のためのものである。
【0009】
図1】本発明による、バックル及びコードを備えている骨固定のためのシステムを示す斜視図。
【0010】
図2】係止用バーを備えている図1のバックルの一部分を示す断面図。
【0011】
図3】係止用バーを備えている図1のバックルを示し、かつ係止用バーの周りを図1のコードが通るのを示している側面断面図。
【0012】
図4】バックルに取り付けるためのループを備えている図1のコードの末端部を示す側面図。
【0013】
図5図1のコードを内部空洞に受承しているパッサーを示す側面図。
【0014】
図6図5のパッサーの側面図。
【0015】
図7】バックルの基端部にコードが取り付けられており、かつコードのループはバックルに取り付けられるように構成されている、図5のシステムを示す側面図。
【0016】
図8】バックル及びループが相互に取り付けられた状態の図7のシステムを示す側面図。
【0017】
図9】テンショナーをさらに備えている図8のシステムを示す側面図。
【0018】
図10】コードの基端部がテンショナーの通路を通して受承された状態の図9のシステムを示す側面図。
【0019】
図11】テンショナーがバックルに接続するように位置合わせされた状態の図10のシステムを示す側面図。
【0020】
図12】バックル及び骨に対してコードを締め付けるようにコードを引き寄せるためのテンショナーのハンドルの回転方向を示している、図11のシステムの側面図。
【0021】
図13】コードが切断されていることを示す図11のシステムの側面図。
【0022】
図14図13のテンショナーを示す斜視図。
【0023】
図15図1のバックルの代わりとして有用な別例のバックルを示す斜視図。
【0024】
図16図15のバックルの平面図。
【0025】
図17】本発明による複数のバックルを有するプレートを示す斜視図。
【0026】
図18図17のプレートの平面図。
【0027】
図19】本発明による複数の係止バーを有するワッシャーを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明について、添付図面を参照しながら本発明による様々な例示の実施形態に関して以下に詳細に議論する。以降の詳細な説明において、数多くの具体的詳細が本発明の完全な理解のために示される。しかしながら、本発明がそれらの具体的詳細を伴わずに実行されうることは当業者には明白であろう。他の実例では、周知の構造物は本発明を不必要に不明瞭とするのを回避するため詳細には示されない。したがって、以下に記載される実装は全て、当業者が本開示の実施形態を作製又は使用することを可能にするために提供される例示の実装であり、特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲を限定するようには意図されていない。
【0029】
以降の説明では、大腿骨の固定に使用されるシステム、方法及び装置に言及する。しかしながら、当業者は、他の骨の固定も前述のシステム、方法及び装置と共に使用するのに適していることを認識するであろう。同様に、様々な図面、ステップ、手順、及び作業の流れは単に例として示されており、記載されたシステム、方法又は装置が異なる時間枠又は順序でそれぞれの役割を果たし又は結果を出すことを全く制限するものではない。本発明の教示は任意の骨に関する固定に適用可能である。
【0030】
更に、先述の技術分野、背景、概要、又は以降の詳細な説明において示されるどのような明示又は黙示の理論によっても拘束される意図はない。また、添付図面において例証され、かつ以降の明細書中に記載される具体的なデバイス及び方法は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の概念の例示の実施形態にすぎないということも理解されるべきである。従って、本明細書中に開示された実施形態に関する具体的な寸法及びその他の物理的特性は、特許請求の範囲に明示的に別段の定めがないかぎり、限定と見なされるべきではない。
【0031】
骨20を固定又は整復するためのシステム10は、図1に示されるように、骨20の周りを伸びるストラップ、ベルト又はコード40に接続されたコネクタ又はバックル30を備えることができる。
【0032】
バックル30は、図2~3に断面で示されるように、複数の係止バー70及び接続用端部又はフック50を備えることができる。係止バーは図面に示されるように断面が涙滴形状を有していてもよいし、断面が円形であることも考えられる。フック50はバックル30の先端部にあってよく、かつ開口部55を有していてコード(例えばコード40)が該開口部を通り抜けてフック50の内側表面によって境界が形成された受承キャビティ60の中に入ることが可能となっていてもよい。コード40はループ42を有して、ループ42の開口部44がその中にバックル30の先端側部分32を受承するときにループ42が先端側部分に接続可能であってもよい。バックル30に接続された時、コード40の先端部46はキャビティ60の中に受承されることが可能である。コード40は、例えば結び目、はめ輪、アイスプライス以外のスプライス接続、ヒッチ接続又は埋め込み型内部ストッパなど、ループ以外の他の方法でバックル30に接続されることも可能である。
【0033】
バックル30は、例えば、ステンレス鋼、外科用等級のプラスチック、チタン、PEEK、又はコバルトクロムで作製されることが考えられる。さらに、コード40は、例えば超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のような、骨を治癒させる期間の間は身体内に残しておくことができる材料で作製可能である。コード40は、例えば、幅3.5mm及び厚さ0.6mmの50cmのテープであってよい。さらにコード40は可撓性(例えば縫合テープ)であってよく、かつ例えばコバルトクロム、ステンレス鋼、チタン及びチタン合金のような金属又は金属合金の微細ワイヤの撚り線又は編組撚り線から、作製されてもよい。
【0034】
コード40の基端部48はバックル30の基端部31に接続可能である。例えば、コード40は図2~3に示されるように係止バー70に接続されてもよい。図1に示されるように骨20の周りを伸びた後、コード40は、係止バー70の下でフック50に向かって先端側へと伸び、かつ骨20から離れて上向きに伸びて、その後係止用バー70のうち先端側のバー72の周りで進路を反転してフック50から離れるように基端側へと向きを変えていてよい。コード40は、フック50から離れて先端側のバー72から基端側へ、次いで骨20に向かって下向きに伸びた後、先端側へと伸びてコード40が係止バー70のうち基端側のバー74の周りを回るようになっていてよい。基端側のバー74の底側75から、コード40は上向きに、かつ先端側のバー72の上側73に向かって先端側へ伸びることができる。コード40は再び上に向かって伸び、かつ/又は上側73をコード40の第1のコード部分80と接触させると同時に第2のコード部分82が上側73に対して第1のコード部分80の反対側に接触することができる。コード40は、上側73からフック50に向かって先端側へ、次いでバー72と接触しながら骨20に向かって下向きに伸びてよい。第1のコード部分80及び第2のコード部分は、コード40がバー72から基端側へフック50から離れるように伸びるにつれて、互いに接触することができる。コード40の基端部48は、係止用バー70から離れて骨20の周りを回ってフック50に向かって伸びている先端側伸長部分49の上に位置することができる。基端部48をユーザがフック50とは反対の方向に引いて、上述のように係止用バー70の間を通り抜けかつ通り過ぎるようにコード40を引くことが可能である。コード40がバー70を通り越しかつバー70に接触して通ることにより、バー70からコード40が外れることに対する摩擦抵抗が生じて、コード40が締め付けられてそのような配置状態が骨20の骨折部分を一定期間保持するように保たれるか、又はコード40が適所にとどまって、骨折部の整復が可能となるようになっていてもよい。
【0035】
記載のように、システム10は骨20を固定又は整復するために利用可能であり、そのような固定又は整復の方法は以下のように説明される。
【0036】
コード40は、図5~7に示されるようにパッサー100を使用して骨20の周囲かつ組織及び筋肉11の下を通すことができる。パッサー100は、処置の前にコード40を受承するためのキャビティ104を内周側面沿いに有している湾曲した延長部分102を有していて、キャビティ104の中にコード40を保持したパッサー100を操作して骨20の周囲かつ組織及び筋肉11の下に通す処置が行われて、先端部46をパッサー100のハンドル部分101に対して骨20の反対側へと通すことが可能となっていてもよい。パッサー100は、先端部46及び基端部48が骨20の同じ側に位置することができるように骨20の周囲にコード40を残したまま、骨20から取り除くことが可能である。
【0037】
図7~9に概略的に示されるように、コード40のループ42は、フック50に接続されかつキャビティ55に受承されることが可能である。コード40は、上述され、図1~3に示され、かつ図7~9に概略的に示されるように、係止バー70の周りを縫うように通されて係止バー70に接続されることができる。ユーザは、バックル30を保持しながら基端部48を引くことにより骨20の骨折部14を整復するために骨20の周囲のコード40を締め付けることができる。
【0038】
一例において、バックル30は、図1に示されるように骨20に対してバックル30の軸方向又は長手方向の両側面に位置している1対のスロット35を備えることができる。スロット35は、図14に示されかつ図9~13に概略的に示されたテンショナー200のアーム210を受承するように構成される(例えば、形状及び寸法が作られる)ことが可能である。コード40が骨20の周りに通されてバックル30に接続された後、コード40がテンショナー200によって引き寄せられる又は引っ張られることが可能となるように、コード40の基端部48をテンショナー200の中の受承用通路230に通すことができる。アーム210は、テンショナー200をバックル30に接続するためにスロット35に受承されることが可能である。
【0039】
テンショナー200のハンドル240はユーザによって回転されて、図12に示されるようにテンショナー200によってコード40を骨20から離れてテンショナー200の基端部250に向かうように引き寄せるようにすることができる。テンショナー200による引き寄せでコード40にかかる力は、上述のように、コード40をバックル30の係止バー70の周りを回るように引いてコード40を骨20の周りで締め付けて、例えば、コード40が係止バー70の周りを回って通ることにより提供される摩擦でコード40が特定の緊密度に保持されて骨折部14の整復が可能となるようになっていてもよい。
【0040】
テンショナー200は、説明されたようなコード40の引き寄せをもたらすために、ハンドル240に接続されておりかつ通路230を備えているロッド260を備えることができる。
【0041】
コード40が骨20の周りで望ましい程度に締められた後、例えば骨折部14がユーザ又は外科医によって決定されるような望ましい配置状態に置かれた時、コード40を切断して、基端部48が例えば図1に示されるようにバックル30の基端部31にあるか又は基端部31に隣接するようにすることができる。骨折部周辺域の全ての縫合を、バックル30及びコード40が残ったままで終わらせることができる。
【0042】
既述のように、バックル30及びコード40は骨(例えば骨20の骨折部14)の一時的固定のために利用されて、期間を終えたら(例えば骨が治癒した後に)該バックル及びコードが除去されてもよいし、又はバックル30及びコード40は骨の治癒後も体内に残っていてもよい。一例において、骨プレートがテープ(例えばコード40)の上から設置されて、そのようなプレートを骨(例えば骨20)の適切な部分に取り付けることが可能となされてもよく、コード40及びバックル30は骨折部(例えば骨折部14)を整復するために定位置にある。コード40は、プレートが骨を保持するのに十分でありかつコード40も必要でない場合は、切断されて除去されてもよい。そのようなプレートは、例えば、骨折部を整復するために、コードの上以外で骨に対して適用されてその骨を保持することも可能である。そのようなプレート又はその他の外科用ハードウェアは、骨の硬化中に骨(例えば骨折部14)を安定させるために、前記のバックル及びコード(例えばバックル30及びコード40)のハードウェアの有無に関わらず、体内に残っていてもよい。
【0043】
一例において、バックル及びコードの多数の実例(例えばバックル30及びコード40)を、骨折部(例えば骨折部14)を固定するために、又は他の方法で骨(例えば骨20)をその骨に沿った長手方向の様々な場所で一緒に保持するために、利用することができる。骨折部はこのように、骨(例えば骨20)の断片を少しずつ寄せ集めることにより部分ごとに整復させることができる。そのような骨折整復は動力学的な作業となる可能性があり、かつ、一連のバックル及びコード(例えばバックル30及びコード40の多数の実例)を操作することによりまとめて調整及び逆戻しが行われる可能性のある合わせ面の幾何学的形状が多くの場合複雑であることから、力の向きを変える必要がある場合もある。
【0044】
図示されていない別の例では、テンショナー200の代わりに保持部材(図示せず)が使用されてもよく、該保持部材は、テンショナー200について上述されたアーム210のように構成されたアームを備えているが、コード40を引き寄せるための機構は備えていない保持部材である。代わりに保持部材は、アームから離れるように伸びる保持部分を備えて、ユーザが該保持部分により、アームでバックル30を保持している保持部材を保持することが可能となっていてもよい。バックルを保持するために保持部材を保持しながら、ユーザは、例えば、骨折部14を整復するために骨20の周りにコード40を固定するようにコード40の基端部48を引くことができる。
【0045】
図15~16に示された別の例では、バックル300が上述のバックル30の代わりに利用されてもよく、バックル300は、コード40のループ42に取り付けられるように構成された2つの外側に向かい突出するプロング320を有するフック310を備えることができる。係止バー350は係止バー70について上述されたようにしてコード40に接続するために利用可能である。
【0046】
図17~18に示された例において、プレート120は、係止バー170を有するバックル130と、プレート120の骨(例えば骨20)への締着が可能となるようにねじを受承して通すための複数の開口部140とを備えることができる。コード(例えばコード40)は、バックル30に取り付けられているコード40について上述されたようにして、バックル130の第1のバックル131及び第2のバックル132に取り付け可能である。図示されていない例において、第2のバックル132は上述のフック50に類似したフックに置き換えられてもよく、コード(例えばコード40)は、バックル131の係止バー171及び該フックに対して、係止バー70、フック50及びコード40について説明されたようにして取り付けることが可能である。そのようなバックルの多数の実例が、プレート(例えばプレート120)の長さに沿って存在しうる。対向するバックル(例えば第1のバックル131及び第2のバックル132)に取り付けられたコードのそれぞれの実例(例えばコード40)には、骨折部(例えば骨折部14)を整復するための特定の治療目的を達成するために、骨(例えば骨20)の周囲で同程度に又は程度を変えて張力をかけることが可能である。1以上のそのようなコードが骨(例えば骨20)の骨折部を固定及び整復するためにプレート120に沿ったバックル130のうち1以上に取り付けられた後、ねじを開口部140に挿入することができる。
【0047】
図19に示された例において、ワッシャー400は、係止バー470と、ワッシャー400を骨(例えば骨20)に締着させるためねじを受承して通すための開口部440とを備えることができる。ワッシャー400は、他のハードウェアが設置されていない骨(例えば骨20)の上の所望の場所に設置されることも可能であるし、又はワッシャー400がプレート上に設置されて、開口部440がプレートの穴と位置合わせされてねじが開口部440及びプレートの開口部を通り抜けてワッシャー400をそのようなプレートに接続することが可能となっていてもよい。コード(例えばコード40)は、例えば、骨折部を整復するために骨(例えば骨20)の部分どうしをまとめて保持するために、係止バー470、及び別のワッシャー、バックル又はプレートの係止バー又はフックに、取り付けることができる。他の例において、係止バーは、他の骨折固定用ハードウェア、例えばワッシャー、プレート、歯付ワッシャー、骨アンカーと一体化されてもよい。この場合のバックルは、コード(例えばコード40)の両端部を固定することが可能であってもよいし、又はコードが、ハードウェアの2つの別々の部品(例えば第1のバックル131、第2のバックル132、及びワッシャー400)の間に固定されてもよい。

【0048】
本発明について少なくとも1つの実施形態に関して説明してきたが、本発明は、本開示の思想及び範囲の範囲内でさらに改変されることが可能である。したがって本願は、本発明の一般的原則を使用する本発明のあらゆる変形物、使用法、又は適応物を対象とするように意図されている。さらに本願は、本発明が属する分野における既知又は通常の実務に入るような、かつ添付の特許請求の範囲の範囲内にあるような、本開示からの発展を対象とするように意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19