(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】気密封止パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20240814BHJP
H01L 23/06 20060101ALI20240814BHJP
B81B 3/00 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
H01L23/02 B
H01L23/06 Z
B81B3/00
(21)【出願番号】P 2021506416
(86)(22)【出願日】2019-07-31
(86)【国際出願番号】 US2019044297
(87)【国際公開番号】W WO2020033193
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,ミン-ホアン
(72)【発明者】
【氏名】キム,フン
(72)【発明者】
【氏名】オウヤン,シュィ
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-181626(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0008566(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101746706(CN,A)
【文献】特表2009-500848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/00-23/10
B81B 1/00- 7/04
B81C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コンポーネントパッケージであって、
ガラス基板と、
前記ガラス基板上に位置決めされ、デバイスキャビティを有する挿入パネルと、
前記デバイスキャビティが前記ガラス基板、前記挿入パネル、およびウェハにより密閉されるように前記挿入パネル上に位置決めされたウェハと、
前記挿入パネルと前記ウェハとの間に配置された金属シード層と、
誘電体コーティングと
を含み、
前記誘電体コーティングは、
前記挿入パネルを前記ガラス基板に対して気密に封止しており、
前記挿入パネルを前記金属シード層および前記ウェハに対して気密に封止しており、かつ
前記金属シード層を前記ガラス基板に対して気密に封止しており、これにより、前記デバイスキャビティが周囲雰囲気から気密に封止され、
前記誘電体コーティングはALD層を
有し、
前記誘電体コーティングの少なくとも一部は、前記ガラス基板の、前記ウェハとは反対の側の外面に配置されている、
電気コンポーネントパッケージ。
【請求項2】
前記誘電体コーティングの少なくとも一部は、前記デバイスキャビティ内で前記ガラス基板の表面の少なくとも一部に配置されている、請求項1記載の電気コンポーネントパッケージ。
【請求項3】
前記誘電体コーティングの少なくとも一部は、前記挿入パネルにより形成された前記デバイスキャビティの側壁に配置されている、請求項1記載の電気コンポーネントパッケージ。
【請求項4】
前記挿入パネルと前記ガラス基板との間には、クロム開口およびエポキシ樹脂層が配置されている、請求項1記載の電気コンポーネントパッケージ。
【請求項5】
前記金属シード層はALD層を有する、請求項1記載の電気コンポーネントパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2018年8月7日に出願された米国仮特許出願第62/715523号明細書の優先権の利益を主張し、その内容に依拠して全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、微小電気機械システム(MEMS)といった電子コンポーネントを気密に封止するためのデバイスおよび方法、より詳細には、原子層堆積を用いてMEMSを気密に封止するためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)および電荷結合素子(CCD)を含む微小電気機械システム(MEMS)といった特定の電子コンポーネントは、パッケージの少なくとも1つの表面を介してデバイスに光を透過させることは可能にするが、酸素および湿分といった空気の環境成分がデバイスパッケージのキャビティに侵入することは防ぐパッケージを必要とする場合がある。このような環境成分は、MEMSの動作に影響を及ぼす恐れがある。
【0004】
目下入手可能なパッケージは、MEMSの設計寿命基準を満たすために必要とされるように、環境成分がデバイスに影響を及ぼすことを防ぐことはできない場合がある。例えば、DMDはおよそ650,000時間の所要の平均故障間隔(MTBF)を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、空気、湿分等がパッケージに侵入することを防ぐ、電子コンポーネント用の代替パッケージが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態では、電気コンポーネントパッケージには、ガラス基板と、ガラス基板上に位置決めされ、デバイスキャビティを有する挿入パネルと、デバイスキャビティがガラス基板、挿入パネル、およびウェハにより密閉されるように挿入パネル上に位置決めされたウェハとが含まれる。電気コンポーネントパッケージには、挿入パネルとウェハとの間に配置された金属シード層と、誘電体コーティングとがさらに含まれる。誘電体コーティングは、挿入パネルをガラス基板に対して気密に封止しており、挿入パネルを金属シード層およびウェハに対して気密に封止しており、かつ挿入パネルは、金属シード層をガラス基板に対して気密に封止しており、これにより、デバイスキャビティが周囲雰囲気から気密に封止されている。
【0007】
別の実施形態では、気密封止電気コンポーネントパッケージを形成する方法は、ガラス基板上に、デバイスキャビティを有する挿入パネルを積層するステップと、挿入パネルおよびガラス基板に誘電体コーティングを被着するステップと、挿入パネル上に金属シード層を堆積させるステップと、挿入パネル上に堆積させられた金属シード層にウェハを結合して周囲雰囲気からデバイスキャビティを閉鎖するステップとを含み、これにより、誘電体コーティングおよび金属シード層が、周囲雰囲気からデバイスキャビティを気密に封止している。
【0008】
本明細書に記載の気密封止パッケージの追加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に示され、この説明から当業者には一部が容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、請求項、ならびに添付の図面を含む本明細書に記載の各実施形態の実施により理解されるであろう。
【0009】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は両方共、様々な実施形態を説明すると共に、請求する内容の本質および特徴を理解するための全体像または枠組をもたらすことを意図したものである、ということを理解されたい。添付の図面は、様々な実施形態のさらなる理解をもたらすために含まれているものであり、本明細書に組み込まれて一部を構成するものである。図面は、本明細書で説明する様々な実施形態を例示するものであり、説明と共に、請求した内容の原理および動作の説明に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、DMDまたはCCD等の微小電気機械システムといった電気コンポーネントを気密に封止するための複数の層を示す分解図である。
【
図2】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、デバイスの周りに気密封止パッケージを形成するガラス基板、エポキシ樹脂層、およびウェハに結合されたALD層により包囲された挿入パネルを示す図である。
【
図3A】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、
図2に示したガラス基板を含むガラス基板パネルの上面を示す図である。
【
図3B】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、
図3Aに示したガラス基板パネルの底面を示す図である。
【
図4】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、エポキシ樹脂層を含む、
図2に示したガラス基板および挿入パネルを示す図である。
【
図5】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、挿入パネルおよびガラス基板を密閉する誘電体コーティングを含む、
図4に示した挿入パネルおよびガラス基板を示す図である。
【
図6】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、感光性ポリマー層を含む、
図5に示した挿入パネル、ガラス基板および誘電体コーティングを示す図である。
【
図7】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、誘電体コーティングを覆う感光性ポリマー層の一部が除去された、
図6に示した挿入パネル、ガラス基板および誘電体コーティングを示す図である。
【
図8】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、
図7に示した誘電体コーティングを覆う金属シード層を示す図である。
【
図9】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、
図8に示した金属シード層を覆う、デバイスを含むウェハを示す図である。
【
図10】本明細書に示して説明する1つ以上の実施形態による、
図2に示したガラス基板、挿入パネル、および誘電体コーティングをウェハに積層することにより形成された複数の気密封止電気コンポーネントパッケージを含むウェハレベルのパッケージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、添付の図面に示した例示的な実施形態を詳細に参照する。可能な場合にはいつでも、同じまたは類似の部分を参照するために各図面を通じて同じ参照番号が使用される。図中のコンポーネントは必ずしも縮尺通りではなく、代わりに例示的な実施形態の原理を説明することに重点を置いたものである。
【0012】
以下により詳細に論じるように、本開示は、微小電気機械システム(MEMS)等の電子コンポーネントを気密に封止するための電気コンポーネントパッケージに向けられたものである。MEMSには、周囲雰囲気の成分、例えば酸素および湿分に曝されると時間の経過と共に劣化するかまたはさもなければ使用不能になるコンポーネントが含まれている場合がある。一例として、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)は、雰囲気成分に曝されると劣化する恐れがある、CMOS基板等のシリコン基板に取り付けられた微視的な電気および機械部品を含んでいる場合がある。よって、DMD等のMEMSは、MEMSを支持し、MEMSを他のコンポーネントと電気的に接続し、かつMEMSを周囲雰囲気から封止してシステムの寿命を延ばす、「パッケージ」としても知られるケースに収容され得る。
【0013】
本明細書中、範囲は、「約」1つの特定の値から、かつ/または「約」別の特定の値まで、と表される場合がある。このような範囲が表されている場合、別の実施形態には、1つの特定の値からかつ/または別の特定の値までが含まれる。同様に、先行詞「約」を用いることにより、複数の値が近似値として表される場合には、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。さらに、各範囲の終点は、他方の終点に関しても、他方の終点に関係しなくても重要である、ということが理解されるであろう。
【0014】
本明細書で使用されるような方向用語-例えば上、下、右、左、前、後、上部、底部-は、描かれた図面を参照して使用したものであるに過ぎず、絶対的な方向を意味することを意図したものではない。
【0015】
特に明記しない限り、本明細書に記載の任意の方法は、そのステップが特定の順序で実施されることと、任意の装置の特定の向きが要求されることとが要件として解釈されることを意図したものでは全くない。よって、方法請求項が、そのステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、または任意の装置請求項が、個々のコンポーネントに対して順序または向きを実際に記載していない場合、またはステップは特定の順序に限定されるということが請求項または説明に特に明記されていない場合、または装置のコンポーネントに対して特定の順序または向きが記載されていない場合には、いかなる点でも順序または向きを示すことを全く意図していない。このことは、ステップの配置、動作フロー、コンポーネントの順序、またはコンポーネントの向きに関する論理事項、文法的な構成または句読点から導かれる明瞭な意味、および、本明細書に記載の実施形態の数または形式を含む、あらゆる可能な非明示的な説明根拠に当てはまる。
【0016】
本明細書中で使用されるように、単数形“a”、“an”および“the”には、文脈上特に明確に指示されていない限り、複数の指示対象が含まれる。よって例えば「1つの」コンポーネントに言及した場合には、文脈上特に明確に指示されていない限り、このようなコンポーネントを2つ以上有する態様が含まれる。
【0017】
光を動的に投影するために用いられるDMD用のパッケージも、少なくとも1つの半透明の窓を有する必要がある。投影される光は、窓を通して照射され、DMDの複数のマイクロミラーにより外面に反射され得る。各マイクロミラーは、マイクロミラーにより反射される光の照準を変更して、各マイクロミラーが光を投影するかしないか(すなわち「オン」または「オフ」)を明らかにすることができるようにするためにマイクロミラーが十分に回転することを可能にする、ヨーク、ヒンジ、およびスプリングチップ等のコンポーネントを用いて取り付けられていてよい。これにより、マイクロミラーは動的な画像を投影することができる。マイクロミラーを制御するために用いられるコンポーネントは、環境成分との接触に基づき劣化しやすいため、このようなコンポーネントを、封止されたキャビティ内にパッケージングすることが必要とされている。よって、半透明の窓は、CMOSウェハ等の、パッケージの1つ以上の別のコンポーネントに結合される必要があり、アセンブリは封止される必要がある。
【0018】
典型的なデバイスパッケージには、MEMSを収容するデバイスキャビティを密閉する壁を形成するように積層された1つ以上のコンポーネントが含まれている。従来のパッケージの壁の内側のコンポーネントは、紫外線(UV)硬化型エポキシ樹脂を用いて封止され得る。エポキシ樹脂の分子間の間隔の寸法に基づき、エポキシ樹脂で封止された壁は、酸素および湿分等の環境成分がデバイスキャビティに侵入することを完全に防ぐことはできない。代替的に、エポキシ樹脂は、空気および/または湿分の侵入を許す「ピンホール」破断部を含んでいる場合がある。よって、エポキシ樹脂で封止された壁を備えたデバイスパッケージ内に含まれるMEMSの実用性は、時間の経過と共に低下することになる。このことは特に、自動車および屋外等の過酷な環境に適用されるMEMSに当てはまる。
【0019】
従来のパッケージに比べ、原子層堆積により堆積させられた層(「ALD層」)で封止されたコンポーネントを含むパッケージは、環境成分がデバイスキャビティに侵入することをより良好に防止する傾向になり得る。つまり、ALD層を備えた壁は、気密に封止されたデバイスキャビティを形成すると共に、デバイスの寿命を延ばすことができる。よって、1つ(以上)のALD層により封止された壁を含むデバイスパッケージは、自動車および屋外等の過酷な環境における使用を含む、ほぼ全ての用途に使用され得る。これらのより丈夫なパッケージは、ウェハレベルパッケージング(「WLP」)として知られる有効な加工法を用いて形成され得る。
【0020】
本明細書で用いるような「原子層堆積」および「ALD」という文言は、複数の重なり合わないパルスで堆積させられる前駆体のガスの連続的な堆積を用いた薄膜堆積技術を指す。前駆体は、一度に1つの前駆体(すなわち原子または分子)が自己制限式に(すなわち表面上の全ての反応部位が消費されると、反応は終了する)表面上に膜を形成するように反応する。薄膜は、ガス状の前駆体に繰り返し曝されて、指定された厚さまで成長する。従来のパッケージ(例えばエポキシ樹脂により結合された1つ以上の層を備えたパッケージ)は、エポキシ樹脂に、空気の通過を許容するのに十分大きな1つ以上の間隙が含まれている場合があるため、空気およびその他の環境成分がパッケージの壁に侵入することを許容する場合がある。ALD層は、一度に1つの前駆体が堆積させられるため、このような間隙を含んでおらず、空気およびその他の環境成分の侵入を効果的に防ぐ。
【0021】
ウェハを個々の回路に切り分け(ダイシング)、次いでデバイスをパッケージングする、より慣例的な方法とは対照的に、ウェハレベルパッケージまたはウェハレベルチップスケールパッケージ(WLP)は、デバイス(例えばMEMS、DMD、集積回路(IC)等)をパッケージングするために用いられる一方で、デバイスは、ウェハの一部である。WLPは、ウェハの製造、パッケージング、テスト、および焼付けをウェハレベルで統合し、シリコンに始まり顧客に出荷するまでデバイスが受ける製造プロセスを能率的にすることができる。WLPには、デバイス連結プロセスおよびデバイス保護プロセスを含むためにウェハ製造プロセスを延長するステップが含まれていてよい。WLPには、パッケージの上下の外層および電気的なバンプ(すなわちはんだバンプ)を、依然としてウェハ内にあるうちにデバイスに取り付けてから、ウェハをダイシングするステップが含まれる。
【0022】
本明細書に記載の実施形態では、WLPで形成される電気コンポーネントパッケージは、ガラス基板、挿入パネル、金属シード層、およびCMOSウェハ等のウェハを積層させることにより形成され得る。挿入パネルは、半透明のガラスパネルとCMOSウェハとの間に気密封止を形成するALD式に堆積させられた誘電体コーティングにより、ガラス基板に対して封止されている。ガラスパネルは、光がパッケージ内のデバイスに到達することを可能にし、CMOSウェハは、1つ以上の外部デバイスとの電気的な接続部を提供する。いくつかの実施形態では、その他の層、例えば限定はしないが、望ましくない光がパッケージに侵入することを防ぐ金属(例えばクロム)開口層が含まれていてもよい。
【0023】
ALD層でデバイスキャビティを気密に封止することは、酸素および湿分等の周囲雰囲気成分への曝露の防止により、MEMSの耐用年数を延ばすことができる。さらに、1つのガラス基板上に複数の挿入パネルを位置決めすることができかつ1つのウェハ上に複数のMEMSを位置決めすることができるため、一度に複数の電気コンポーネントパッケージのアレイを形成してから個別のコンポーネントに「ダイシング」することができ、製造時間およびコストが減じられ、ひいては歩留まりが向上することになる。
【0024】
図1および
図2を参照すると、
図1は、気密封止電気コンポーネントパッケージ100の1つの例示的な実施形態を概略的に示す分解図であり、気密封止電気コンポーネントパッケージ100は、ガラス基板102、開口層104、エポキシ樹脂層105によりガラス基板102に結合される挿入パネル106、挿入パネル106と金属シード層110との間の誘電体コーティング108、およびウェハ112を含んでいる。
図2は、組み立てられた気密封止電気コンポーネントパッケージの横断面図である。挿入パネル106は、ガラス基板102とウェハ112とにより密閉されたデバイスキャビティ114を包囲している。デバイスキャビティ114は一般に、MEMS、DMD、CCD等のデバイス116、またはデバイスキャビティ114内でウェハ112に取り付けられた、いくつかの別のタイプのデバイスを収容している。
【0025】
いくつかの実施形態では、ガラス基板102、開口層104、挿入パネル106、金属シード層110、およびウェハ112のうちの1つ以上が、これらの間に配置されたいかなる接着剤、ポリマー層、コーティング層等も無しに、共に融合されている。別の実施形態では、複数の層のうちの1つ以上が、エポキシ樹脂接着剤等といった接着剤を用いて共に結合(例えば接着)されている。
【0026】
ガラス基板102は、任意の適当な組成を有していてよくかつ任意の適当な方法を用いて製造され得る。適当なガラス組成の例には、アルカリ土類アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸亜鉛ガラス、およびソーダ石灰ガラスならびに酸化マグネシウム、イットリア、ベリリア、アルミナ、またはジルコニアにより強化されたガラスセラミックスといったガラスセラミックスが含まれていてよい。一般に、ガラス基板102およびガラス基板102内に形成され得るあらゆる層は、2016年5月17日付けで発行された”Machining of Fusion-Drawn Glass Laminate Structures Containing a Photomachinable Layer”と題された米国特許第9340451号明細書、2017年3月16日付けで公開された”Glass Article and Method for Forming the Same”と題された米国特許出願公開第2017/0073266号明細書、および2017年11月6日付けで出願された”Precision Structured Glass Articles, Integrated Circuit Packages, Optical Devices, Microfluidic Devices, and Methods for Making the Same”と題された米国仮特許出願第62/582297号明細書に開示された、いずれの組成を有していてもよいかまたはいずれの方法を用いて製造されていてもよく、よって前記各明細書は、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれている。ただし、別のガラス組成および/またはガラス積層体もガラス基板用に考慮され得るということを理解されたい。いくつかの実施形態では、ガラス基板102は0.1~1.7mmの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、ガラス基板102は0.2~1.6mmの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、ガラス基板は0.3~1.5mmの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、ガラス基板は0.5~1.3mmの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、挿入層は0.05~0.45mmの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、挿入層は0.1~0.4mmの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、挿入層は0.15~0.35mmの厚さを有していてよい。
【0027】
開口層104は、ガラス基板102の少なくとも1つの表面上に形成され得る。例えば、
図1に示す実施形態では、開口層104は、挿入パネル106とガラス基板102との間でガラス基板102上に配置されている。開口層104は、望ましくない光がデバイス116に到達することを防止する。例えば、MEMSがDMDである場合には、開口層104は、DMDの1つ以上のマイクロミラーで反射されることになる光のみがデバイスのデバイス外層を通過するように1つ以上のマイクロミラーに到達することを可能にする。つまり、開口層104は、光が、開口層104に形成された開口109を通過することだけを可能にする。よって、開口層104の部分は不透明でありかつ/または光を反射してよい。複数の実施形態において、開口層104はクロム開口を含んでいてよい。さらに別の実施形態では、開口層104は銀、金、タングステン、スズ、銅、白金、またはいくつかの別の金属を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、開口層は100~600nmの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、開口層は200~500nmの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、開口層は300~400nmの厚さを有していてよい。
【0028】
気密封止電気コンポーネントパッケージ100の図示の挿入パネル106は、ガラス基板102とウェハ112との間に延在し、デバイス116を収容するためのデバイスキャビティ114を形成していてよい。挿入パネル106は、ケイ素、二酸化ケイ素、またはその他の任意の適当な材料のうちの1つ以上から形成され得る。挿入パネル106は、UV硬化型のエポキシ樹脂、例えばエポキシ樹脂層105等のエポキシ樹脂を用いてガラス基板102に結合され得る。
【0029】
図2に示すように、誘電体コーティング108が挿入パネル106、エポキシ樹脂層105、および開口層104を密閉し、挿入パネル106をガラス基板102に対して気密に封止することで、挿入パネル106、エポキシ樹脂層105、および開口層104を共に封止しかつ気密に封止されたデバイスキャビティ114を形成してよい。複数の実施形態において、誘電体コーティング108は、ガラス基板102の上面102aの少なくとも一部および底面102bの少なくとも一部に被着され得る。いくつかの実施形態では、誘電体コーティング108は、屈折率が異なる複数の材料層を含んでいてよい。これらの層は、入射光107の特定の波長をフィルタリングまたは反射するための光学フィルタを形成し得る。例えば限定はしないが、誘電体コーティング108は低帯域および/または高帯域の光学フィルタを含んでいてよい。1つ以上の実施形態において、誘電体コーティングは、反射防止フィルタ、UVカットフィルタ、および/またはUV・赤外線(IR)カットフィルタのうちの1つ以上であり得る多層光学コーティングを含んでいてよい。追加的または代替的に、誘電体コーティング108はいずれの帯域通過、帯域拒絶、低域、または高域光学コーティングであってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、誘電体コーティング108は積層コーティングであってもよい。積層コーティングは、屈折率が異なる1つ以上の層を含んでいてよい。例えば、1つの例示的な積層コーティングは、高屈折率の光学材料と低屈折率の光学材料とを交互に含んでいてよい。低屈折率の材料は、限定はしないがMgF2、SiO2を含んでいてよい。高屈折率の材料は、限定はしないがHfO2、TiO2、Nb2O5、ZrO2、Y2O3を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、1つの例示的な積層コーティングは、1つ以上の中屈折率の材料を含んでいてよい。中屈折率の材料は、限定はしないがAl2O3を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、積層コーティングは次のAlF3、ZnO、Ta2O5、In2O3、SnO2、LaF3、GdF3のうちの1つ以上を含んでいてよい。
【0031】
誘電体コーティング108は、電気コンポーネントパッケージ100の1つ以上の露出面にわたり均一な厚さを有していてよいかまたは1つ以上の露出面にわたり不均一な厚さを有していてよい。例えば、いくつかの実施形態では、誘電体コーティング108は、入射光107の角度強度に影響を及ぼすように誘電体コーティング108が被着された電気コンポーネントパッケージ100の外面に沿って変化する厚さt’,t’’でもって被着され得る。いくつかの実施形態では、誘電体コーティングの厚さは200~1000nmである。いくつかの実施形態では、誘電体コーティングの厚さは300~900nmである。いくつかの実施形態では、誘電体コーティングの厚さは500~700nmである。
【0032】
本明細書で述べたように、誘電体コーティング108は、例えば原子層堆積(ALD)、またはいくつかの別のタイプの化学的堆積といった、化学蒸着(CVD)プロセスを用いて被着され得る。いくつかの実施形態では、誘電体コーティング108の1つ以上の層を堆積させるために、気相シリコン前駆体が気相酸素前駆体と協調して使用される。誘電体コーティング108の層を堆積させるためには、様々な気相シリコン前駆体および酸素前駆体が使用され得る。シリコン前駆体と酸素前駆体との化合物の一例には、O3と化合したトリス(ジメチルアミド)シラン(TDMAS)が含まれる。別のシリコン前駆体には、限定はしないがビス(ジエチルアミノ)シラン(BDEAS)、およびSAM-24が含まれる。さらに別の実施形態では、誘電体コーティング108の1つ以上の層を堆積させるために、ハフニウム気相前駆体が酸素気相前駆体と協調して使用される。例えば、誘電体コーティング108の層を堆積させるために、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(IV)(TDMAH)がH2Oと反応させられてよい。さらに別の実施形態では、マグネシウム気相前駆体がフッ素気相前駆体と化合させられて使用され得る。例示的なマグネシウム前駆体には、限定はしないがMg(thd)2、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)マグネシウム、およびビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウムが含まれる。例示的なフッ素前駆体には、限定はしないがHF、NF3、CF4、SF6、TaF5、TiF4、およびNH4Fが含まれる。
【0033】
誘電体コーティング108は、挿入パネル106、エポキシ樹脂層105、開口層104、およびガラス基板102の内面および外面に、共にデバイスキャビティ114を形成するこれらのコンポーネントを誘電体コーティング108が取り囲んで密閉するように被着され得る。簡単に
図2および
図3を参照すると、ガラス基板上に複数の電気コンポーネントパッケージ100を同時に形成するために、開口層104、エポキシ樹脂層105、挿入パネル106、および誘電体コーティング108のアレイが、ガラス基板102に被着され得る。次いでガラス基板の上面102aおよび底面102b(およびこれらに配置された任意の追加的な層)はそれぞれ、複数のデバイスキャビティ114を形成するように誘電体コーティングによりコーティングされ得る。
図3Aには、例示的なガラス基板102の上面102aが示されており、
図3Bには、ガラス基板102がウェハ112と結合され、複数の個別の電気コンポーネントパッケージ100にダイシングされる前の、例示的なガラス基板の底面102bが示されている。つまり、
図3Aに示す図には、ガラス基板102の上面102aに積層させられたいくつかの挿入パネル106が示されており、
図3Bには、透明なガラス基板102の底面102bを通して見た開口層104が示されている。
【0034】
再び
図1および
図2を参照すると、誘電体コーティング108上には金属シード層110が堆積され得る。複数の実施形態において、金属シード層110は、スパッタリング、プラズマスパッタリング等の物理蒸着(PVD)、またはイオン堆積スパッタリング、蒸着、電気めっき、化学蒸着(CVD)、または原子層堆積(ALD)を用いて堆積させられてよい。いくつかの実施形態では、金属シード層110は、パラジウム、白金、金、銀、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、および亜鉛のうちの1つ以上を含んでいてよい。金属シード層110と誘電体コーティング108との間のインタフェースは、湿分および酸素等の空気の環境成分の侵入に対して不透過性であってよく、これにより、金属シード層110が誘電体コーティング108に被着されると、金属シード層110と誘電体コーティング108との間のインタフェースは、環境成分がデバイスキャビティ114に侵入することを阻止し、これによりデバイスキャビティ114を気密に封止する。
【0035】
(「基板」、「ウェハ基板」または(「CMOS」は単に1つのタイプのウェハのみに当てはまるものであり、各実施形態はCMOSウェハに限定されないが)「CMOSウェハ」とも呼ばれる)ウェハ112は、シリコンまたは二酸化ケイ素等の半導体材料を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、ウェハ112はCMOSウェハである。ウェハ112は、ウェハ・トゥ・ダイ接着技術を用いて第1の側112aにおいて金属シード層110に接着され得る。非限定的な接着技術の例には、はんだ付け、ろう付け、融着、共晶接合等が含まれる。1つの例示的な実施形態では、ウェハ112はSi-金(Au)共晶接合プロセスを用いて金属シード層110に接着されている。いくつかの実施形態では、ウェハ112は、ウェハ112と外部コンポーネントとを電気的に接続するためのオーバハング132を有していてよい。
【0036】
なお
図1を参照すると、ウェハ112はデバイス116を有していてよい。具体的には、デバイス116はウェハ112の第1の側112aに結合されていてよく、ウェハ112が、金属シード層110と誘電体コーティング108とにより挿入パネル106に取り付けられている場合には、デバイスキャビティ114内に位置決めされている。上述したように、デバイスは、限定はしないがデジタルマイクロミラーディスプレイ(DMD)デバイス、またはCCDデバイス等の電気機械デバイスまたはシステムを含む、任意の電気コンポーネントであってよい。デバイス116がDMDである実施形態では、DMDのミラーを含む外面116aがガラス基板102に面していてよく、これにより、入射光107がガラス基板102を通過し、デバイス116により電気コンポーネントパッケージ100の外側に反射し戻されるようになっている。
【0037】
次に
図3A~
図10を参照して、
図1および
図2に示した電気コンポーネントパッケージ100を形成する1つの例示的な方法を説明する。
図3Aには、複数の挿入パネル行106aおよび挿入パネル列106bを形成するためにガラス基板102の上に積層された複数の挿入パネル106の平面図が示されている。ウェハ112は次のステップで追加されるため、
図3Aには図示されていない。デバイススタックが完成し、ウェハ112がデバイススタックと結合されると、複数の挿入パネル106の挿入パネル行106aはダイシングされ、気密封止電気コンポーネントパッケージが形成される。
【0038】
図4には、ガラス基板102の図示の部分102c(
図3A)の側面図が示されている。図示の部分102cは、別個の電気コンポーネントパッケージ100の左側になる部分と右側になる部分との間のインタフェースである。
図4に示すように、挿入パネル106は、ガラス基板パネル103を形成するために1つ以上の開口層104およびエポキシ樹脂層105を介してガラス基板102に結合され得る。
図3Aおよび
図4を簡単に参照すると、各挿入パネル行106aは、2つの矢印12で示すように、水平方向において隣り合う挿入パネル106の間で2重にダイシングされており、隣り合う挿入パネル106の間に2つの平行な間隙118が形成されている。ガラス基板102は、例えばスクライビングおよびブレーキング、メカニカルソーイング、レーザカッティングを含む、シリコンウェハをダイシングする任意の方法を用いてダイシングされ得る。各挿入パネル列106bも、垂直方向において隣り合う挿入パネル106の間で2重にダイシングされて、垂直方向において隣り合う挿入パネルの間に平行な間隙118と同様の平行な間隙を形成していてよい。ガラス基板102上で隣り合う挿入パネル106の間の2重ダイシングは、各挿入パネル106が誘電体コーティング108により密閉され得るように誘電体コーティング108を堆積させるためのスペースを形成する。個別の挿入パネル106を形成するために2つの平行な間隙118が形成されると、
図5に示すように、ガラス基板パネル103の外面に誘電体コーティング108が被着され得る。
【0039】
誘電体コーティング108は、ALD、CVD、または上述したようないくつかの他の化学堆積プロセスを用いて被着され得る。いくつかの実施形態では、誘電体コーティングは、異なる光学特性を有する複数の層を含む、複数のコーティング層を有していてよい。誘電体コーティングは、ガラス基板パネル103の外面に被着され、気密に封止されたデバイスキャビティ114を形成する。
図5に示すように、誘電体コーティング108は、開口層104とガラス基板102との間のインタフェースにおける気密封止を保証するために、ガラス基板102と開口層104との間のインタフェース104aよりも下に延在していてよい。追加的に、誘電体コーティングは開口層104とガラス基板102との間の内側のインタフェース104bにも被着されて、開口層104とガラス基板102との接触維持を保証してもよい。
【0040】
次に
図6を参照して、誘電体コーティング108がガラス基板102に被着されると、感光性ポリマー層122が、誘電体コーティング108の上面108aにわたり、一時的に被着されてよい。金属シード層110を被着するときに、感光性ポリマー層122により被覆された面の上に金属シード層110が堆積してしまうことを防ぐために、感光性ポリマー層122は、蒸着ガラス、ポリマー、1つ以上のフォトレジスト、1つ以上のポリイミド、およびその他の適当な層のうちの1つ以上の層を含んでいてよい。感光性ポリマー層122は、スピンコーティング技術またはいくつかの他の適当なコーティング技術を用いて堆積され得る。
【0041】
次に
図7を参照すると、金属シード層110の堆積準備において、感光性ポリマー層122の1つ以上の部分124がアセンブリから除去されている。いくつかの実施形態では、除去された感光性ポリマー層122の部分124は、金属シード層110が堆積させられる誘電体コーティング108の上面108aを被覆している感光性ポリマー層122の部分である。除去されるこれらの部分124は、フォトリソグラフィを用いて除去される。具体的には、感光性ポリマー層122は、挿入パネル106の上の誘電体コーティング108の上面108aが露出させられ、これにより誘電体コーティング108の上面108aの上に金属シード層110を堆積させることができるように除去される。誘電体コーティング108の上面108aを覆っていない感光性ポリマー層122の部分は、金属シード層110を形成する金属が不本意に堆積させられることがないように、除去されない。
【0042】
図7および
図8を参照して、感光性ポリマー層122の部分124が除去されると、金属シード層110が誘電体コーティング108の上面108aを覆って配置される。金属シード層110は、例えば限定はしないが、Ti/Cu合金、NiCr合金、および/またはインコネル(登録商標)等のニッケル基合金を含んでいてよい。金属シード層110と誘電体コーティング108との間の結合部は、湿分および酸素等の環境成分が、金属シード層110と誘電体コーティング108との間のインタフェース110aにおいてデバイスキャビティ114に侵入することを防止することができるようになっている。
【0043】
誘電体コーティング108の上に金属シード層110が配置された状態で、感光性ポリマー層122は矢印14で示す化学またはフォトエッチングプロセスを用いて除去されてよい。感光性ポリマー層122を除去すると、デバイスキャビティ114が再び開き、誘電体コーティング108は、誘電体コーティング108を覆う金属シード層110と共に所定の位置に残される。
図8に示すように、ガラス基板102、挿入パネル106、誘電体コーティング108、および金属シード層110は、1つのガラス基板アセンブリ126を形成している。
【0044】
図9を参照すると、ウェハアセンブリ128にはウェハ112およびデバイス116が含まれている。
図10には、ガラス基板アセンブリ126の内側126aにおいて挿入パネル106のアレイにより形成されたデバイスキャビティ114のアレイが、ウェハアセンブリ128の内側128aに配置されたデバイス116のアレイと合わせられたところが略示されている。ガラス基板アセンブリ126は、各デバイスキャビティ114が1つのデバイス116を含むように、ウェハアセンブリ128と整合させられている。
図9に示すように、ウェハアセンブリ128は、金属シード層110に結合され得る。本明細書で説明したように、ウェハアセンブリ128は、任意の結合技術を用いて結合され得る。例えば、ウェハアセンブリ128は共晶結合を用いて金属シード層110に結合され得る。ガラス基板アセンブリ126をウェハアセンブリ128に結合すると、気密に封止されたデバイスキャビティ114のアレイの内部にデバイス116のアレイを密閉した複数の気密封止電気コンポーネントパッケージ100のアレイを含む、気密封止ウェハアセンブリ130が形成されることになる。
【0045】
各電気コンポーネントパッケージ100を個別のデバイスパッケージに分離するために、気密ウェハアセンブリ130は、ガラス基板アセンブリ126の側およびウェハアセンブリ128の側において、
図9および
図10に矢印16で示すように、2つの垂直な方向にダイシングされる。気密ウェハアセンブリ130は、例えばスクライビングおよびブレーキング、メカニカルソーイング、レーザカッティングを含む、ウェハをダイシングする任意の方法を用いてダイシングされ得る。気密ウェハアセンブリ130は、気密ウェハアセンブリ130の上面130aおよび底面130bからダイシングされる。気密ウェハアセンブリ130をダイシングすると、気密封止電気コンポーネントパッケージのアレイが複数の個別の気密封止電気コンポーネントパッケージ100に分離される。簡単に
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、ウェハアセンブリ130は、ウェハ112の側方から外側に向かってオーバハング132が延在し、デバイス116と1つ以上の別のデバイスとの間を電気的に接続するためのスペースを残すように、上面130aでダイシングされ得る。
【0046】
ALD層は、挿入パネルをガラス基板に密閉し、気密に封止されたデバイスキャビティを形成するために使用され得ると理解されたい。ALD層は、ガラス基板と、DMDまたはCCD等のデバイスを有するウェハとの間に配置され得る。ALDプロセスを用いて個々の前駆体層を堆積させると、酸素、湿分、および他の環境成分が気密に封止されたデバイスキャビティに侵入することを防ぐ、ピンホール漏れの無い封止が生じる。
【0047】
本明細書に記載の各実施形態に対し、請求する内容の思想および範囲から逸脱すること無しに様々な修正および変更を行うことができる、ということは、当業者にとって明らかであろう。したがって本明細書は、添付の請求項およびその均等物の範囲内でもたらされる、本明細書に記載の様々な実施形態の修正および変更をカバーすることを意図したものである。
【0048】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0049】
実施形態1
電気コンポーネントパッケージであって、
ガラス基板と、
前記ガラス基板上に位置決めされ、デバイスキャビティを有する挿入パネルと、
前記デバイスキャビティが前記ガラス基板、前記挿入パネル、およびウェハにより密閉されるように前記挿入パネル上に位置決めされたウェハと、
前記挿入パネルと前記ウェハとの間に配置された金属シード層と、
誘電体コーティングと
を含み、
前記誘電体コーティングは、
前記挿入パネルを前記ガラス基板に対して気密に封止しており、
前記挿入パネルを前記金属シード層および前記ウェハに対して気密に封止しており、かつ
前記金属シード層を前記ガラス基板に対して気密に封止しており、これにより、前記デバイスキャビティが周囲雰囲気から気密に封止されている、
電気コンポーネントパッケージ。
【0050】
実施形態2
前記誘電体コーティングの少なくとも一部は、前記デバイスキャビティ内で前記ガラス基板の表面の少なくとも一部に配置されている、実施形態1記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0051】
実施形態3
前記誘電体コーティングの少なくとも一部は、前記挿入パネルにより形成された前記デバイスキャビティの側壁に配置されている、実施形態1記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0052】
実施形態4
前記誘電体コーティングの少なくとも一部は、前記挿入パネルと前記ガラス基板との間に配置されている、実施形態3記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0053】
実施形態5
前記挿入パネルと前記ガラス基板との間に配置された前記誘電体コーティングの前記部分は、前記デバイスキャビティ内にある、実施形態4記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0054】
実施形態6
前記挿入パネルと前記ガラス基板との間に配置された前記誘電体コーティングの前記部分は、前記挿入パネルにより形成された前記デバイスキャビティの前記側壁に配置された前記誘電体コーティングにつながっている、実施形態5記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0055】
実施形態7
前記誘電体コーティングは、前記ガラス基板の、前記ウェハとは反対の側の外面に配置されている、実施形態1記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0056】
実施形態8
前記挿入パネルと前記ガラス基板との間には、クロム開口およびエポキシ樹脂層が配置されている、実施形態1記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0057】
実施形態9
前記クロム開口は、前記デバイスキャビティ内で前記ガラス基板の表面に直接に配置されている、実施形態8記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0058】
実施形態10
前記エポキシ樹脂層は、エポキシ樹脂層開口を含む、実施形態8記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0059】
実施形態11
前記誘電体コーティングは、反射防止フィルタである、実施形態1記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0060】
実施形態12
前記誘電体コーティングは、前記ガラス基板の外面に配置されており、前記ガラス基板の前記外面に配置された前記誘電体コーティングは少なくとも、高屈折率の光学材料および低屈折率の光学材料を含む、実施形態11記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0061】
実施形態13
前記ガラス基板の前記外面に配置された前記誘電体コーティングは、高屈折率の光学材料と低屈折率の光学材料とを交互に含む、実施形態12記載の電気コンポーネントパッケージ。
【0062】
実施形態14
気密封止電気コンポーネントパッケージを形成する方法であって、
ガラス基板上に、デバイスキャビティを有する挿入パネルを積層するステップと、
前記挿入パネルおよび前記ガラス基板に誘電体コーティングを被着するステップと、
前記挿入パネル上に金属シード層を堆積させるステップと、
前記挿入パネル上に堆積させられた前記金属シード層にウェハを結合して周囲雰囲気から前記デバイスキャビティを閉鎖するステップと
を含み、これにより、前記誘電体コーティングおよび前記金属シード層が、周囲雰囲気から前記デバイスキャビティを気密に封止している、方法。
【0063】
実施形態15
前記ガラス基板の、前記ウェハとは反対の側の外面に前記誘電体コーティングを被着するステップをさらに含む、実施形態14記載の方法。
【0064】
実施形態16
前記誘電体コーティングは、反射防止フィルタを含む、実施形態15記載の方法。
【0065】
実施形態17
前記挿入パネルと前記ガラス基板との間において、前記誘電体コーティングにより前記ガラス基板に対してクロム開口を封止する、実施形態14記載の方法。
【0066】
実施形態18
前記ガラス基板は、複数のデバイスキャビティを含む複数の挿入パネルを含み、
前記複数の挿入パネルにウェハを被着して、周囲雰囲気から前記複数のデバイスキャビティを閉鎖することにより、複数の気密封止電気コンポーネントパッケージを形成する、実施形態14記載の方法。
【0067】
実施形態19
前記複数の気密封止電気コンポーネントパッケージをそれぞれ分離するステップをさらに含む、実施形態18記載の方法。
【0068】
実施形態20
前記複数の気密封止電気コンポーネントパッケージをそれぞれ、2重ダイシング技術を用いて別の各前記気密封止電気コンポーネントパッケージから分離する、実施形態19記載の方法。