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特許7538111太陽光発電プラント及び太陽光発電プラントの据付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】太陽光発電プラント及び太陽光発電プラントの据付方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 10/40 20140101AFI20240814BHJP
   H02S 30/10 20140101ALI20240814BHJP
【FI】
H02S10/40
H02S30/10
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021507521
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 NO2019050164
(87)【国際公開番号】W WO2020040643
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】1813842.0
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518387066
【氏名又は名称】オーシャン サン エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ビョルンクレット,ボーエ
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/209625(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/022655(WO,A1)
【文献】特開2013-138040(JP,A)
【文献】特表2004-535678(JP,A)
【文献】特開2012-023293(JP,A)
【文献】特開2016-105472(JP,A)
【文献】特開2013-138065(JP,A)
【文献】特開2011-253917(JP,A)
【文献】特開2005-285969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 10/00-99/00
H01L 31/04-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟なマットを備える太陽光発電プラントであって、
前記マットは、取付けアセンブリによって、前記マットの上に固定された光電池モジュール(PVモジュール)を有し、
前記取付けアセンブリは、前記PVモジュールの相互に反対側にある平行な縁辺に固定された少なくとも1つの長いモジュール異形材と、前記マットに取り付けられた対応する長いマット異形材とを有し、
前記縁辺は、前記PVモジュールの側面に対応しており、
前記異形材は、
前記モジュール異形材を前記対応するマット異形材に接触させることと、
前記PVモジュールの前記縁辺に概して垂直な力を加わることによる前記2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置に前記異形材が到達するまでに、前記モジュール異形材が固定された前記PVモジュールの前記縁辺に概して平行な方向において、前記異形材を相対的にスライドさせることと、
によって、前記PVモジュールを前記マットに固定させるように構成されている、
太陽光発電プラント。
【請求項2】
前記PVモジュールには、前記PVモジュールの互いに対向しかつ概して平行な2つの縁辺に固定された2つのモジュール異形材と、対応する概して平行な2つのマット異形材とが設けられている、請求項1に記載の太陽光発電プラント。
【請求項3】
ファスナが設けられており、
前記ファスナは、係合するとき、前記2つの異形材が、前記PVモジュールの前記縁辺に概して平行にそれ以上相対移動しないようにする、請求項1又は2に記載の太陽光発電プラント。
【請求項4】
前記モジュール異形材又は各モジュール異形材は、前記PVモジュールの前記縁辺に接着されて結合されている、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽光発電プラント。
【請求項5】
前記モジュール異形材又は各モジュール異形材は、前記マットに溶接又は縫い止めされている、請求項1~4の何れか一項に記載の太陽光発電プラント。
【請求項6】
前記モジュール異形材は、第1保持部を有し、
前記第1保持部は、前記第1保持部が取り付けられた前記PVモジュールの前記縁辺に概して平行に延びている、請求項1~5の何れか一項に記載の太陽光発電プラント。
【請求項7】
前記第1保持部は、長いフレーム部によって、前記PVモジュールに接続されており、
前記長いフレーム部は、基部により接続された概して平行な2つの脚を有する、請求項6に記載の太陽光発電プラント。
【請求項8】
各PVモジュールは、上板と下板との間に挟まれた光電池セルの層を有する、請求項7に記載の太陽光発電プラント。
【請求項9】
前記脚は、接着剤によって前記下板及び上板に固定されている、請求項8に記載の太陽光発電プラント。
【請求項10】
前記フレーム部は、前記第1保持部と一体化されている、請求項7に記載の太陽光発電プラント。
【請求項11】
前記モジュール異形材は、前記PVモジュールの前記縁辺全体に沿って延びている、請
求項1~10の何れか一項に記載の太陽光発電プラント。
【請求項12】
前記マット異形材は、長い第2保持部を有し、
前記長い第2保持部は、前記モジュール異形材の前記第1保持部と嵌合するように構成され、かつ、ウェブを介して、前記マットに固定されており、
前記ウェブは、前記マットと前記第2保持部との間の分離が前記第2保持部の実質的に全長に沿って概して一定であることを確実にする、請求項6~10の何れか一項に記載の太陽光発電プラント。
【請求項13】
前記第1保持部及び前記第2保持部の一方は、雄部を有し、
前記雄部は、前記第1保持部及び前記第2保持部の他方の対応する雌部に挿入されるものである、請求項12に記載の太陽光発電プラント。
【請求項14】
前記雄部は、長い管又はロッドを有し、
前記雌部は、前記雌部の長さ方向軸に対して平行に延びる割れ目を有する長い管を有する、請求項13に記載の太陽光発電プラント。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載の水上光電池発電プラントの据付方法であって、
前記モジュール異形材を前記対応するマット異形材に接触させることと、前記PVモジュールの前記縁辺に概して垂直な力を加わることによる前記2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置に前記異形材が到達するまでに、前記モジュール異形材が固定された前記PVモジュールの前記縁辺に概して平行な方向において、前記異形材を相対的にスライドさせることと、によって、前記PVモジュールを前記マットに固定するステップを含む、
方法。
【請求項16】
請求項15の方法を実行した後に、前記2つの異形材が前記PVモジュールの前記縁辺に概して平行にそれ以上相対移動を防止するために、ファスナを動作させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記モジュール異形材又は前記マット異形材のうちの、一方の異形材は雄部である保持部を有し、他方の異形材は雌部である保持部を有し、
前記方法は、前記モジュール異形材が固定された前記PVモジュールの前記縁辺に概して平行に前記雌部を前記雄部に対してスライドさせる前に、前記一方の異形材の前記雄部を、各対応する異形材の前記雌部の端に、前記雄部が前記雌部によって少なくとも実質的に取り囲まれるまで挿入することを含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記PVモジュールには、前記PVモジュールの前記縁辺に固定された2つのモジュール異形材が設けられ、前記マットには、対応する概して平行な2つのマット異形材が設けられていてもよく、
前記方法は、両方の前記モジュール異形材をそれらに対応するマット異形材に接触させることと、前記PVモジュールの前記縁辺に概して垂直な力を加わることによる前記2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置に前記異形材が到達するまでに、前記モジュール異形材が固定された前記PVモジュールの前記縁辺に概して平行な方向において、前記異形材を相対的にスライドさせることと、同時に、一度に、又は逐次的に行うことによって、PVモジュールを前記マットに固定することを含む、請求項15~17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記PVモジュールを前記マットに固定するステップを実行する前に、前記マットを水体上に展開するステップをさらに含む、請求項15~18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記PVモジュールが前記マットに固定された後に、前記マットを水体上に展開するステップをさらに含む、請求項15~18の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記PVモジュールは、上板と下板との間に挟まれた光電池セルの層を有し、
前記方法は、前記発電プラントを、前記下板が前記水体と直接接触するように展開することを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギー生成に関し、より詳しくは、フレキシブルウェブ又はメンブレン上に取り付けられた複数の光電池モジュールを含む水上ソーラー発電プラントに関する装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
水上光電池(PV)太陽光発電システムは知られているが、現時点では広く普及していない。このようなシステムは典型的に、平水に、すなわち湖水、水力発電所のダム、貯水池、河川等に展開される。水上太陽光発電システムに係わる問題の幾つかとしては、波や流れからの負荷にさらされること、プラント(又はその構成要素)の展開が困難であり、多大な労力を要すること、並びにシステムの保守及び(例えば、プラント表面に堆積する塩又は固体粒子の)クリーニングのためのアクセスに伴う問題が含まれる。現在利用可能な水上太陽光発電システムはまた、それらの比較的高いコストによっても限定される。
【0003】
背景を理解する上で有益であり得る先行技術の例としては、大規模海洋移動式太陽光発電システムが記載されている米国特許出願公開第2012/0242275 A1号、ソーラーパネル用支持装置が記載されている米国特許出願公開第2015/0162866 A1号、太陽光発電パネル支持用装置が記載されている米国特許出願公開第2014/0224165 A1号、浮動機器上に配置される太陽電池が記載されている韓国特許第1011013316 B号及び韓国特許第101612832 B号、並びに使用時に水体表面上に浮上するフレキシブルメンブレン上に複数の硬質PVモジュールを含む太陽光発電プラントが開示されている国際公開第2017/209625号が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、水上PV発電プラントには技術的、経済的両方の問題がある。その結果、様々な用途及び目的のためのこのような再生可能発電のための改良されたシステムと方法が求められている。本発明は、水上太陽光発電プラントに関する改良された装置と方法を提供し、有利となる、及び/又は既知のシステム及び技術に伴う現在の問題若しくは欠点を修復することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
第一の態様によれば、本願は、その上に固定された複数の光電池(PV)モジュールを有する柔軟マットを含み、各モジュールは、上板と下板との間に挟まれた光電池セルの層を含み、下板がマットの上面上に、又はそれに直接隣接して配置されるようにマットに固定される、太陽光発電プラントを提供する。
【0006】
下板は、ガラス板であってよい。
【0007】
下板の厚さは0.5mm~4mmの間、1mm~3mmの間、又は約2.5mmであってよい。
【0008】
上板は透明又は半透明であってよい。上板は、ガラス板又はポリマ板であってよい。
【0009】
上板の厚さは0.5mm~4mmの間、1mm~3mmの間、又は約2.5mmであってよい。
【0010】
上及び下板は同じ厚さを有していてよい。
【0011】
マットの厚さは0.3mm~5mmの間、0.5mm~1.5mmの間、又は約1mmであってよい。
【0012】
PVモジュールの少なくとも1つは、PVモジュール1の相互に反対側にある概して平行な2つの縁辺に固定される2つの長いモジュール異形材と、マットに取り付けられる、対応する2つの長いマット異形材とを含む取付けアセンブリによってマットに固定されてよい。
【0013】
異形材は、PVモジュールがマットに、PVモジュール上の異形材をマット上の対応する異形材と接触させ、これらの異形材を、PVモジュールのその縁辺に概して垂直な力が加えられることによる2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置にそれらが到達するまで、モジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行な方向に相互に関してスライドさせることによって固定されるように構成されてよい。
【0014】
ファスナが提供されてよく、ファスナは、係合すると、2つの異形材がそれ以上、PVモジュールの縁辺に概して平行に相対移動するのを防止する。
【0015】
モジュール異形材は、PVモジュールの縁辺に接着剤で結合されてよい。
【0016】
マット異形材は、マットに溶接又は縫い止めされてよい。
【0017】
モジュール異形材は、それが取り付けられるPVモジュールの縁辺に概して平行に延びる長い保持部を含んでいてもよい。
【0018】
保持部は、基部により接続される概して平行な2つの脚を有する長いフレーム部によりPVモジュールに接続されてよい。
【0019】
脚は、接着剤によって下及び上ガラス板に固定されてよい。
【0020】
フレーム部は、保持部と一体化されてよい。
【0021】
モジュール異形材は、PVモジュールの縁辺全体に沿って延びていてよい。
【0022】
マット異形材は長い保持部を含んでいてよく、これはモジュール異形材の保持部と嵌合するように構成され、ウェブを使ってマットに固定される。ウェブにより、マットと保持部との間の分離が、保持部の実質的に全長に沿って概して一定であることが確実となってもよい。
【0023】
保持部の一方は、他方の保持部の対応する雌部に挿入される雄部を有していてよい。
【0024】
雄部は長い管又はロッドを含んでいてよく、他方で雌部はその長さ方向軸に平行に延びる割れ目を有する長い管を含む。
【0025】
マットは浮動要素に固定されてよい。
【0026】
浮動要素は、マットを取り囲む無限の長い浮動要素であってよい。
【0027】
第二の態様によれば、本願は、フレキシブルマットを水体上に、マットが水体表面上又はその付近に浮くように展開するステップを含む、第一の態様による水上光電池発電プラントの据付方法を提供する。
【0028】
マットは、下ガラス板が水体と直接接触するように展開されてよい。
【0029】
太陽光発電プラントを展開するステップは、船舶から行われてよい。
【0030】
方法は、折り畳み、積み重ねた太陽光発電プラントを船舶に載せて輸送することをさらに含んでいてもよい。
【0031】
太陽光発電プラントを展開するステップは、陸上位置から行われてよい。
【0032】
第三の態様によれば、本願は、柔軟マットであって、その上に光電池(PV)モジュールであって、PVモジュールの縁辺に固定される少なくとも1つの長いモジュール異形材と、マットに取り付けられる対応する長いマット異形材とを含む取付けアセンブリによって固定された光電池(PV)モジュールを有する柔軟マットを含む太陽光発電プラントを提供する。
【0033】
これらの異形材は、PVモジュールがマットに、モジュール異形材を対応するマット異形材と接触させ、両方の異形材を、PVモジュールの縁辺に概して垂直な力が加えられることによる2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置にそれらが到達するまで、そのモジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行な方向に相互に関してスライドさせることによって固定されるように構成されてよい。
【0034】
PVモジュールは、第一の態様による太陽光発電プラントにおけるPVモジュールの何れの特徴又は特徴の組合せを有していてもよい。
【0035】
PVモジュールには、PVモジュールの相互に反対側にある概して平行な2つの縁辺に固定される2つのモジュール異形材と、対応する概して平行な2つのマット異形材が提供されてよい。
【0036】
ファスナが提供されてよく、ファスナは、係合すると、2つの異形材がPVモジュールの縁辺に概して平行にそれ以上相対移動しないようにする。
【0037】
モジュール異形材は、PVモジュールの縁辺に接着剤で結合されてよい。
【0038】
マット異形材は、マットに溶接又は縫い止めされてよい。
【0039】
モジュール異形材は、それが取り付けられるPVモジュール1の縁辺に概して平行に延びる長い保持部を含んでいてもよい。
【0040】
保持部は、基部により接続される概して平行な2つの脚を有する長いフレーム部によってPVモジュールに接続されてよい。
【0041】
PVモジュールは、上板と下板との間に挟まれた光電池セルの層を含んでいてもよい。
【0042】
脚は、接着剤によって下板及び上板に固定されてよい。
【0043】
フレーム部は保持部と一体化されてよい。
【0044】
モジュール異形材は、PVモジュールの縁辺全体に沿って延びてよい。
【0045】
マット異形材は長い保持部を含んでいてよく、これは、モジュール異形材の保持部と嵌合するように構成され、ウェブを使ってマットに固定される。ウェブにより、マットと保持部との間の分離が保持部の実質的に全長に沿って概して一定であることが確実となってもよい。
【0046】
保持部の一方は、他方の保持部の対応する雌部に挿入される雄部を有していてよい。
【0047】
雄部は長い管又はロッドを含んでいてよく、他方で雌部はその長さ方向軸に平行に延びる割れ目を有する長い管を含む。
【0048】
マットは、浮動要素に固定されてよい。
【0049】
浮動要素は、マットを取り囲む無限の長い浮動要素であってよい。
【0050】
第四の態様によれば、本願は、第三の態様による水上光電池光発電プラントの据付方法を提供し、これは、PVモジュールをマットに、モジュール異形材を対応するマット異形材と接触させ、これらの異形材を、PVモジュールの縁辺に概して垂直な力が加えられることによる2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置にそれらが到達するまで、モジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行な方向に相互に関してスライドさせることによって固定するステップを含む。
【0051】
方法は、この方法ステップを実行した後に、2つの異形材がPVモジュールの縁辺に概して平行にそれ以上相対移動しないようにするためにファスナを動作させることを含んでいてもよい。
【0052】
モジュール異形材又はマット異形材の一方は、雄部である保持部を有し、他方は雌部である保持部を有していてよく、方法は、雌部をモジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行に雄部に関してスライドさせる前に、一方の異形材の雄部を、対応する各異形材の雌部の端に、雄部が少なくとも実質的に雌部により取り囲まれるまで挿入することを含む。
【0053】
PVモジュールには、PVモジュールの相互に反対側にある概して平行な縁辺に固定される2つのモジュール異形材が設けられてよく、マットには、対応する、概して平行な2つのマット異形材が設けられていてよく、方法は、PVモジュールをマットに、同時に、一度に、又は逐次的に、両方のモジュール異形材をそれらの対応するマット異形材と接触させ、これらの異形材を、PVモジュールの縁辺に概して垂直な力が加えられることによる2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置にそれらが到達するまで、モジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行な方向に相互に関してスライドさせることによって固定することを含んでいてもよい。
【0054】
方法は、PVモジュールをマットに固定するステップを実行する前に、マットを水体上に展開するステップをさらに含んでいてもよい。
【0055】
方法は、PVモジュールがマットに固定された後に、マットを水体上に展開するステップを含んでいてもよい。
【0056】
PVモジュールは、上ガラス板と下ガラス板との間に挟まれた光電池セルの層を含んでいてよく、方法は、発電プラントを、下ガラス板が水体と直接接触するように展開することをさらに含んでいてもよい。
【0057】
太陽光発電プラントを展開するステップは、船舶から実行されてよい。
【0058】
方法は、折り畳み、積み重ねた太陽光発電プラントを船舶上で輸送することをさらに含んでいてもよい。
【0059】
太陽光発電プラントを展開するステップは、陸上位置から実行されてよい。
【0060】
態様の何れにおいても、各モジュールは、上板が硬質の板である、下板が硬質の板である、又は上及び下板の両方が硬質の板であることによって実質的に硬質であってよい。モジュールは、有利には、折れるか又は曲がるほどしなやかでなくてよい。
【0061】
態様の何れにおいても、モジュールは、相互に接続されず、マットにのみ固定される別々のモジュールであってよい。各モジュールは、他のモジュールから離間されていてよい。
【0062】
態様の何れにおいても、モジュールは、モジュールの行と列のx-yパターンに配置されてよく、各行及び各列は複数の個別のモジュールを含む。
【0063】
態様の何れにおいても、各モジュールは、配電のための1つ又は複数の接続箱を含んでいてもよい。接続箱は、それぞれのモジュールの上面上、モジュールの側面上、又は長いモジュール異形材上に位置付けられてよい。
【0064】
図面の簡単な説明
以下に、例示的な実施形態を下記のような添付の図面に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】海上に浮いている本発明の第一及び第三の態様による太陽光発電プラントの線図を示す。
図2】本発明の第一の態様による太陽光発電プラントでの使用に適した光電池(PV)モジュールの一部の横断面の略図を示す。
図3】本発明の第一の態様による太陽光発電プラントでの使用に適したPVモジュールの分解図を示す。
図4】取付けアセンブリを使って柔軟マットに取り付けられた図2及び3に示されるPVモジュールの縁辺の断面図を示す。
図5】取付けアセンブリの代替的実施形態を示す。
図6】取付けアセンブリの別の代替的実施形態を示す。
図7】本発明の第一及び第三の態様による太陽光発電プラントでの使用に適したPVモジュールの平面図を示す。
図8】本発明の第一及び第三の態様による洋上太陽光発電プラントの略図を示す。
図9】より多くの接続箱を含むモジュールの実施形態を示す。
図10】より多くの接続箱を含むモジュールの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
詳細な説明
石油ガス生産プラットフォーム、ボーリング、又は処理施設等の多くの固定又は洋上浮体式ユニットでは、稼働に膨大なエネルギーが必要となる。需要の多いその他の施設としては、大規模養殖場又は、送電網から離れた場所にある有人島が含まれる。これらの現場のエネルギー需要に対しては、一般にディーゼル又はガスタービン発電機を介して供給される。化石燃料源からの高いエネルギー消費及びその後の二酸化炭素放出により、この活動は環境問題専門家と政治家の間の活発な議論の的となっている。それに加えて、エネルギーコストはこのような施設の事業者及び所有者による重要な検討事項である。
【0067】
本明細書に記載の実施形態によれば、通常の陸上送電網とのケーブルを通じた接続に適した、又は独立したオフグリッド発電に適した水上再生可能発電施設が提供される。実施形態は、沖合若しくは沿岸での洋上でも陸水上でも利用されてよく、例えば化石燃料に基づく発電機又は発電プラントに代わるものとして設計でき、それによって発電のカーボンフットプリントを削減できる。例えば、多くのメガシティを含む多くの人口密集地は沿岸部にある。このような地域では、風力及びソーラー等の従来の再生可能発電に利用可能な面積又は使用できる屋根が非常に限定されている。本明細書に記載の実施形態によれば、このような地域における再生可能発電に対する重要な貢献を、低コスト且つ高い動作信頼度で行うことができる。
【0068】
このシステムの実施形態は様々な用途に適しており、例えば春、夏、秋の日中のエネルギー需要の大部分に置き換わり、又はそれを賄うように設計できる。例えば、PVは、ハイブリッド発電システムにおいてうまく機能し、このシステムでは、雲及び太陽の位置に応じた太陽エネルギーシステムからの出力変動に伴って発生する典型的な不規則性をフレックス燃料ベースの発電機によって容易に均すことができる。代替的に、エネルギー貯蔵のためにバッテリも使用されてよい。
【0069】
本発明は、以下においてマット2と呼ぶフレキシブルメンブレン又はウェブ上に取り付けられて、PVアレイを形成する複数のPVモジュール1を含む太陽光発電プラントを含む。PVアレイは浮揚性を有し、したがって海等の水体表面に浮いて、洋上太陽光発電プラントを形成することができる。これを実現するために、マット2は少なくとも部分的に浮力材で製作されてよく、及び/又はPVアレイはマット2に固定されるか、又はそこに組み込まれる浮動要素をさらに含んでいてもよい。この浮揚性を実現した様々方法は国際公開第2017/209625号に記載されている。
【0070】
基材マット2は十分にフレキシブルであり、基本的に海波の動きに追従し、一般に、いわゆる流力弾性挙動を見せる。裁断波や波しぶきは、大きい面積を覆ってよいマット2の存在によって有効に防止される。複数のマット2は相互に接続されてもよい。
【0071】
マット2は、有孔であってもそうでなくても、凹部、一方向弁、ポンプ又は、マットの最上面に溜まる水(雨水等)を排出できるようなその他の装置を有していてもよく、いなくてもよい。マット2は、代替的に網で製作されてもよく、すなわち、比較的大きい開口を有していてもよい。希望に応じて、マット2の浮揚性は、マット2の一部又は実質的に全体の上に薄い水の膜が保持されるように設計できる。これは、マット2自体及び/又はPVモジュール1の冷却に有利であり得る。
【0072】
好ましい実施形態において、マット2の厚さは0.3mm~5mmの間、より好ましくは0.5mm~1.5mmの間、最も好ましくは約1mmである。これらの数値の典型的誤差は+/-0.2mmであってよい。
【0073】
マット2は、大きい区画で製造可能な、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、EVA、合成ゴム、又はコポリマ製のシート、網、織物、フィルム、又は板で構成できる。代替的に、布は多層にされ、及び又は気体、塩分濃度の低い水、浮揚性固体、オイル、ゼリー、発泡材、若しくはその他の構成要素を含むポケット又は長いトンネル状部分により部分的に膨張されてもよい。1つの好ましい実施形態において、マット2はポリマコーティングテキスタイルメンブレンである。複数のポリマ、例えばマット2の各面で異なるポリマ及び/又はポリマコーティングを構成する異なるポリマの層が使用されてもよい。
【0074】
前述のように、PVアレイは、PVモジュール1の裏面が部分的に水中に沈んでいて熱を水に伝えられる状態で浮くのに十分な浮揚性を有するように設計できる。PVモジュール1は、それら自体が浮揚性を有していてもいなくてもよい。モジュールストリング2、すなわちアレイを形成する複数のストリングは、錨5、鎖によって、及び例えばポリエステル又はナイロン製の軽量ロープ4と組み合わせて海底に係留される。代替的な係留手段も可能であり、例えばモジュールストリング2は、例えば沿岸部又はダムでの使用においては、陸地に固定できる。図1に示される実施形態において、PV施設が海流及び/又は波漂流力によって引きずられないようにするために、ブイ3も取り付けられてよい。錨5及びブイ3の形状のほか、数と大きさは、横方向の漂流力を最小化するように設計できる。適切な浮揚力と錨の固定位置はまた、マットの周辺を取り囲む1つ又は複数の無限管状要素によっても提供できる。ブイ3には、船乗りに対して発電プラントの位置を表示するための適切なランタンも備えられてよい。
【0075】
この実施形態のPVモジュール1は、図2及び3に示されるように、上板7と下ガラス板8との間に挟まれた太陽電池6の層を含む二重ガラスモジュールである。
【0076】
上板7の厚さは、好ましくは0.5mm~4mmの間、より好ましくは1mm~3mmの間、さらにより好ましくは約2.5mmである。上板は代替的に、透明又は半透明ポリマ、1つの実施形態ではポリカーボネートで構成されてよい。
【0077】
下板8の厚さは、好ましくは0.5mm~4mmの間、より好ましくは1mm~3mmの間、さらにより好ましくは約2.5mmである。
【0078】
1つの実施形態において、上板7と下板8はどちらもガラス板である。
【0079】
1つの実施形態において、上板7と下板8は同じ厚さを有する。
【0080】
本発明者は、これらの構成及び厚さの設計は、洋上で使用される場合にPVモジュールの特に有利な性能を提供しながら、構造的信頼度と長い寿命が確保されることを発見した。
【0081】
太陽電池6の層は典型的に複数の太陽電池からなり、これらは電池の表面と裏面にはんだ付けされる金属導体によって直列に接続される。例えば、標準的な6×6インチの太陽電池の複数のストリングは、6×10又は6×12の電池のアレイに配置され、その後、相互接続されてもよい。
【0082】
この例では、太陽電池は、上下板間に挟まれたEVA(エチレン酢酸ビニル)の2つの層9間に積層される。
【0083】
太陽電池の層を水の浸入から保護するために、シーラント、典型的にはEVAの層がPVモジュール1の周辺全体に沿った縁辺1aに塗布される。
【0084】
PVモジュール1は、水没可能な高品質の非分解性コンタクトを使って電気的に相互接続される。各PVモジュール1に、プラス及びマイナス導体のほか電池の個々のストリングを分離するダイオードのための1つ又は複数のより小さい接続箱(JB)を取り付けることができる。さらに、任意選択により、電気ケーブルをPVモジュール1に機械的に取り付けることにより、通常の接続箱端子により提供されるものより応力除去を強化できる。
【0085】
PVアレイの大きさ、PVモジュール1の数、設計上のピークワット数等に応じて、PVアレイは電力を所期の陸上又は洋上消費者のために変圧できるインバータに接続される。インバータと変圧器がエンドユーザの洋上施設に直接取り付けられていない場合、これらをカプセル化して、浮揚力を持たせることができる。これは、例えば複数のストリングインバータを用いる大規模施設に、及び電力が主電源ケーブルを通じてエンドユーザに送達される場合に、特に当てはまる。
【0086】
JBを考慮しなければ、二重ガラスモジュールの大きさは典型的に以下の範囲、すなわち厚さ4~8mm、幅0.9~1m、長さ1.6~1.7メートルの間である。
【0087】
最大効率で動作するために、PVモジュール1の過熱を回避すべきである。従来、これはPVモジュール1の裏面が、例えばそれを空気循環にさらされたままにすることで、断熱体の上に載らないようにすることによって実現される。前述のように水上PVアレイで使用される場合、下板8はマット2と直接接触し、これも同じく、アレイが浮く水体上に配置される。そのため、モジュール1は水体により冷却される。PVモジュール1のこのような安定した有効な冷却によって、このようなPVアレイを利用する太陽光発電プラントの効率が改善され得る。PVモジュール1の冷却をさらに促進するために、マット2は、少量の水がその上に流れ、その表面上に保持されるように、又は水面よりわずかに下の位置に浮いて、下板8が水体と直接接触する配置とされてよい。
【0088】
本発明は、PVモジュール1を柔軟マット2に平らに取り付ける新しい方法を利用してよい。
【0089】
取付けアセンブリの1つの実施形態が図4に示されている。この場合、2つの長い異形材10は、PVモジュール1の相互に反対側にある概して平行な2つの縁辺1aに固定され、PVモジュール1をマット2に固定するために、マット2に取り付けられる対応する長い異形材11と係合するように設計される。異形材10、11は、PVモジュール上の異形材10をマット2上の対応する異形材11と接触させ、これらの異形材を、PVモジュール1の縁辺1aに概して垂直な力が加えられることによる2つの異形材10、11の分離が実質的に防止される所望の最終位置にこれらが到達するまで、異形材10が固定されるPVモジュール1の縁辺1aに概して平行な方向に相互に関してスライドさせることによってPVモジュール1がマット2に固定されるように設計される。すると、2つの異形材がPVモジュール1の縁辺1aに概して平行にそれ以上相対移動しないようにするためにファスナが適用されてよく、その地点でPVモジュール1はマット2に固定される。この配置により、PVモジュール1をマット2に固定することは、比較的迅速且つ簡単なプロセスであることがわかるであろう。
【0090】
PVモジュール1を交換する必要が生じた場合、このプロセスを逆転させて、PVモジュール1をマット2から素早く容易に取り外すことができる。さらに、PVモジュール1は積み重ねることができ、このようなクイックリリースを利用することにより、異常気象時にも取付けアセンブリを容易に展開又は撤去できる。
【0091】
この実施形態において、長い異形材10はPVモジュールの縁辺1aに接着剤で結合され、他方で長い異形材11はマット2に溶接又は縫い止めされる。
【0092】
PVモジュール1に固定される異形材10は、アルマイト又はステンレススチール等の耐食性金属から製作されてよく、他方で、マット2に固定される異形材は、PVC又は複合材料等のポリマで製作されてよい。
【0093】
この実施形態において、PVモジュール1に取り付けられる異形材10は、保持部12を含み、これは、それが取り付けられるPVモジュール1の縁辺1aに概して平行に延びる。図4に示される実施形態において、保持部12は、基部10cにより接続される概して平行な2つの脚10a、10bを有する長いフレーム部によってPVモジュール2に接続される。フレーム部は、PVモジュール1の縁辺1aをくわえ込むように嵌められ、それによってPVモジュール1の縁辺1aが2つの脚10a、10b間に挟まれ、EVAシールが基部10cとPVモジュール1の縁辺1aとの間に挟まれる。脚10a、10bはシリコン接着剤等の接着剤によって下及び上ガラス板7、8に固定される。この実施形態において、フレーム部は保持部12と一体化される。
【0094】
有利には、異形材10はPVモジュール1の縁辺1aの全長に沿って延びるが、これが当てはまる必要はない。同様に、複数の短い異形材10が縁辺1aの各々又は幾つかに取り付けられてよい。異形材10の1つのペア又は複数のペアがモジュール1の相互に反対側にある側面1aにおいてモジュール1に固定されてもよい。これは、図7に概略的に示されている。
【0095】
好ましい実施形態において、各異形材10の長さは縁辺1aの長さの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%である。モジュール1は、相互に反対側にある縁辺1aに配置された正確に2つのこのような異形材10を含んでいてもよい。代替的に、モジュール1は、相互に反対側にある縁辺1aに配置された正確に4つのこのような異形材10を含んでいてよく、2つの異形材10の合計の長さは縁辺1aの長さの少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%である。
【0096】
マット2に固定される異形材11は、マット2にウェブ14を使って固定される対応する保持部13を含み、ウェブによってマット2と保持部13との間の分離が保持部13の実質的に全長に沿って概して一定となることが確実になる。保持部12の一方は雄部であり、それが他方の保持部13の対応する雌部に挿入される。
【0097】
例えば、雄部は、その長さ方向軸がPVモジュール1の縁辺1aに概して平行に延びるように配置された長い管又はロッドを含むことができ、他方で、雌部は、その長さ方向軸に沿って延びる割れ目を有する長い管を含む。割れ目の開口は、管又はロッドの幅より小さくてよい。
【0098】
これは、図4に示される実施形態に当てはまり、その中では、雌部がPVモジュール1に固定される異形材10の一部を形成し、他方で、雄部はマット2に固定される異形材11の一部を形成している。PVモジュール1をマット2に固定するために、各異形材11の雄部13は、ウェブ14が割れ目を通って延びる状態で、対応する各異形材10の雌部12の端に挿入される。
【0099】
また、図4に示される実施形態においては、雄部13が概して環状の横断面を有する管であり、他方で雌部12が概してC字形の断面の割り管である。しかしながら、図5及び6に示されるもののような部品の様々な構成も同様に有効であることがわかるであろう。例えば、雄部は正方形、長方形、又は三角形の横断面を有する管又はロッドであり得、雌部は対応する形状の横断面を有する割り管であり得る。代替的に、雄部は概してT字形の横断面を有し得、他方で雌部は概して長方形の断面を有する割り管である。また、図6に示される例のように、雄部をPVモジュール1に同様に固定でき、他方で雌部がマット2に固定されることも理解すべきである。
【0100】
前述のように、雌部が雄部の所望の位置に取り付けられ、好ましくはそれが雄部によって完全に取り囲まれる状態になったら、クリップ、ねじ、又はその他のファスナを適用して、マットが波、水流、又は据付要員がマットの上を歩くことによって動いたときに雄部から滑って外れるのを防止する。このプロセスはその後、PVモジュール1の反対側の縁辺1aで異形材10、11について繰り返され、PVモジュール1がマット2に完全に固定される。
【0101】
上述の実施形態において、保持部13はマット2にフレキシブルウェブ14によって固定され、他方は形態を保持する。有利には、PVモジュール1をさらに取り付けやすくするために、そのウェブ14には少量のたるみがあり、それによって、PVモジュール1が取り付けられたときに、取り付けられたPVモジュール1とマット2との間の移動可能量が限定される。しかしながら、これは、保持部12をPVモジュール1にフレキシブルウェブによって接続し、他方で保持部13とマット2との間の接続は剛体的とすることによっても同様に実現できると理解されたい。
【0102】
代替的な実施形態において、二重ガラスPVモジュールには、1つ又は複数のブラケットが設けられる。ブラケットは、スリット、穴、又は同様の特徴物を有することができ、これはモジュールに縛り付け、折り込み、又は包むためのポリマ製バンド又はロープの固定点としての役割を果たすことができる。
【0103】
他の代替的な実施形態において、PVモジュールは、マット自体の特徴物を利用する場合のように固定される。これらはポケット、ベルクロ(登録商標)ストラップ、ジッパ等とすることができ、マット表面に熱可塑性樹脂溶接、接着剤結合、又は縫い止めによって一体化される。
【0104】
有利には、上述の実施形態による固定装置により、PVモジュールのより容易でより安全な取付け及び/又は回収が提供されてもよい。追加的又は代替的に、異形材10及びそれらの配置によって、波動等を受けたときのモジュール1に対する構造的負荷が軽減され、このようにして、本来は不可能であった上及び下板7、8の材料の組合せ及び/又は厚さの使用、例えばガラス/ガラスの組合せの使用が可能となってもよい。異形材10にはゴム製ライナを取り付けて、直接的な金属接触を避けることができる。それゆえ、全体として本明細書に記載の実施形態により、モジュール1の比較的脆い構成要素の破壊のほか、その他の機械的損傷又は疲労のリスクが軽減される。
【0105】
太陽光発電プラントは、各PVアレイを海等の水体上に、それが水体表面に、又はその上に浮くように展開することによって据え付けられる。このステップは船舶から、又は岸から行われてよい。所望の位置に据え付けられたところで、マット2が前述のように浮動要素を介して海底に固定されてよい。
【0106】
PVモジュールは、マット2が水体上に展開される前に、又はマット2が水体表面上に浮いているときに、前述のようにマット2に固定され、又はマットから取り外されてよい。
【0107】
PVアレイが船舶から展開されるか又は船舶に回収される場合、船外で折り畳み、積み重ねてから、船舶上で輸送されてよい。
【0108】
図8は、洋上光電池発電プラント100の実施形態を示す。発電プラント100は、都市等の人口密集地101の付近の沿岸の位置に配置される。発電プラント100は、前述のような複数のPVアレイを含み、この実施形態では円形マット2の上に取り付けられている。図8に示される実施形態において、6つのユニットが沿岸に係留されている。発電プラント100は陸上発電所101に電気的に接続されて、生産された電力を都市101に、及び/又はその他の陸上の消費者に対し、オンショアグリッド(図示せず)を介して分配する。したがって、図8に示されるような実施形態により、例えば一般的に限定的な人口密集地付近の陸地面積を考えると、陸上太陽光発電プラントから入手できるものより顕著に多くの電力が提供されてもよい。
【0109】
PV発電プラントはまた、バッテリと組み合わせられてもよく、好ましくは、低エネルギー密度のレドックスフロー電池技術と組み合わせて使用されてよい。
【0110】
本明細書に記載の実施形態によるPV発電プラントは、有利には、風力発電等の他の洋上再生可能発電機と組み合わせられてよい。
【0111】
本発明の実施形態は、荒波の場合にウィンドミルとの行き来が困難であり得る洋上ウインドパークと組み合わせて、うまく機能することができる。上述のような幾つかの大型PVアレイの存在には、洋上施設付近の海に対する波浪抑制効果があり得る。例えば、これは風による砕波、さざ波、及び逆波を防止してもよく、また、個々のPVモジュール1は大きなうねりを受けたときにゆっくりと上下に揺れる。波の減衰は、風波を鎮める油の効果又はグリースアイス等による波浪減衰と同様に、洋上建設物の作業環境及び/又は全体的な疲労寿命に対して重大な影響を有する可能性がある。これによって、風力発電機の耐用年数が延び、保守点検の必要性が低下し、他方でまた、風力発電機へのアクセスも容易となる。太陽PVはまた、例えば風力が弱く、日差しが強い場合及びその逆の場合等の重複する発電気象条件から、風力発電と組み合わせてもうまく機能する。さらに、このような用途では、水上太陽PV及び洋上ウィンドミルは陸までの電力ケーブルインフラストラクチャを共有してよい。
【0112】
上述の実施形態によるPV発電プラントは、例えば国際公開第2017/209625号に記載されているように、養殖場用の電力を提供するために使用できる。
【0113】
本発明による実施形態はこのようにして、新規で改良された洋上光電池発電プラント及び関連する方法を提供する。幾つかの実施形態によれば、厳しい洋上環境へのこのような発電プラントの据付は、より容易に、より確実に、より少ない据付費用で行うことができる。
【0114】
幾つかの実施形態において、太陽電池の加熱により生じる電力生産減少の問題を軽減でき、電池動作温度を下げることができ、それによってエネルギー効率が高まる。発電プラントの据付、稼働、及び構造的完全性に対する波の影響は、既知の解決策より小さいことがあり、それゆえ、信頼性が高く、寿命の長い動作が確実となる。
【0115】
各々が本開示の特許保護が求められる発明的態様を構成する他の実施形態において、以下が提供される:
1.水体上に浮くように配置される柔軟マットを含む太陽光発電プラントであって、マットはその上に固定された複数の光電池(PV)モジュールを有し、各モジュールは、上板と下板との間に挟まれた光電池セルの層を含み、マットに、下板がマットの上面の上に載るか、又はそこに直接隣接するように固定される、太陽光発電プラント。
2.下板がガラス板である、実施形態1による太陽光発電プラント。
3.下板の厚さは0.5mm~4mmの間、1mm~3mmの間、又は約2.5mmである、実施形態2による太陽光発電プラント。
4.上板はガラス板又はポリマ板である、実施形態1~3の何れかによる太陽光発電プラント。
5.上板の厚さは0.5mm~4mmの間、1mm~3mmの間、又は約2.5mmである、実施形態4による太陽光発電プラント。
6.上及び下板は同じ厚さを有する、実施形態1~5の何れかによる太陽光発電プラント。
7.マットの厚さは0.3mm~5mmの間、0.5mm~1.5mmの間、又は約1mmである、実施形態1~6の何れかによる太陽光発電プラント。
8.PVモジュールの少なくとも1つは、PVモジュールの縁辺に固定される長いモジュール異形材とマットに取り付けられる対応する長いマット異形材とを含む取付けアセンブリによってマットに固定される、実施形態1~7の何れかによる太陽光発電プラント。
9.PVモジュールには、PVモジュールの相互に反対側にある概して平行な2つの縁辺に固定される2つのモジュール異形材と、対応する概して平行な2つのマット異形材が設けられる、実施形態8による太陽光発電プラント。
10.異形材は、PVモジュール上の異形材をマット上の対応する異形材と接触させ、これらの異形材を、PVモジュールの縁辺に概して垂直な力がかかることによる2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置にそれらが到達するまで、モジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行な方向に相互に関してスライドさせることによってPVモジュールがマットに固定されるように構成される、実施形態8又は9による太陽光発電プラント。
11.ファスナが提供され、ファスナは係合すると、2つの異形材がPVモジュールの縁辺に概して平行にそれ以上移動しないようにする、実施形態10による太陽光発電プラント。
12.モジュール異形材はPVモジュールの縁辺に接着剤で結合される、実施形態8~11の何れか1つによる太陽光発電プラント。
13.マット異形材はマットに溶接又は縫い止めされる、実施形態8~12の何れか1つによる太陽光発電プラント。
14.モジュール異形材は、それが取り付けられるPVモジュールの縁辺に概して平行に延びる長い保持部を含む、実施形態8~13の何れか1つによる太陽光発電プラント。
15.保持部は、基部により接続される概して平行な2つの脚を含む長いフレーム部によってPVモジュールに接続される、実施形態14による太陽光発電プラント。
16.脚は下及び上ガラス板に接着剤によって固定される、実施形態15による太陽光発電プラント。
17.フレーム部は保持部と一体化される、実施形態15又は16による太陽光発電プラント。
18.モジュール異形材はPVモジュールの縁辺全体に沿って延びる、実施形態8~17の何れか1つによる太陽光発電プラント。
19.マット異形材は長い保持部を含み、これはモジュール異形材の保持部と嵌合するように構成され、マットと保持部との間の分離が保持部の実質的に全長に沿って概して一定であることを確実にするウェブを使ってマットに固定される、実施形態15~18の何れか1つによる太陽光発電プラント。
20.保持部の一方は、他方の保持部の対応する雌部に挿入される雄部を有する、実施形態19による太陽光発電プラント。
21.雄部は長い管又はロッドを含み、雌部は、その長さ方向軸に平行に延びる割れ目を有する長い管を含む、実施形態20による太陽光発電プラント。
22.マットは浮動要素に固定される、実施形態1~21の何れかによる太陽光発電プラント。
23.浮動要素はマットを取り囲む無限の長い浮動要素である、実施形態22による太陽光発電プラント。
24.実施形態1~23の何れか1つによる水上光電池発電プラントの据付方法であって、フレキシブルマットを水体上に、マットが水体の表面上に、又は表面に浮くように展開するステップを含む方法。
25.マットは、下板が水体と直接接触するように展開される、実施形態24による方法。
26.太陽光発電プラントを展開するステップは船舶から行われる、実施形態24又は25の方法。
27.折り畳まれ、積み重ねられた太陽光発電プラントを船舶上で輸送することをさらに含む、実施形態26の方法。
28.太陽光発電プラントを展開するステップは陸上位置から行われる、実施形態24又は25の方法。
29.柔軟マットであって、光電池(PV)モジュールであって、PVモジュールの縁辺に固定される少なくとも1つの長いモジュール異形材とマットに取り付けられる対応する長いマット異形材とを含む取付けアセンブリによって固定された光電池(PV)モジュールを有する柔軟マットを含む太陽光発電プラントであって、異形材は、モジュール異形材を対応するマット異形材と接触させ、これらの異形材を、PVモジュールの縁辺に概して垂直な力が加わることによる2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置にそれらが到達するまで、モジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行な方向に相互に関してスライドさせることによってPVモジュールがマットに固定されるように構成される、太陽光発電プラント。
30.PVモジュールには、PVモジュールの相互に反対側にある概して平行な2つの縁辺に固定される2つのモジュール異形材と、対応する概して平行な2つのマット異形材が設けられる、実施形態29による太陽光発電プラント。
31.ファスナが提供され、これは、係合すると、2つの異形材がPVモジュールの縁辺に概して平行にそれ以上相対移動しないようにする、実施形態29又は30による太陽光発電プラント。
32.その又は各モジュール異形材はPVモジュールの縁辺に接着剤で結合される、実施形態29~31のうちの1つによる太陽光発電プラント。
33.その又は各マット異形材はマットに溶接又は縫い止めされる、実施形態29~32の何れか1つによる太陽光発電プラント。
34.モジュール異形材は、それが取り付けられるPVモジュールの縁辺に概して平行に延びる長い保持部を含む、実施形態29~33の何れか1つによる太陽光発電プラント。
35.保持部はPVモジュールに、基部により接続される概して平行な2つの脚を有する長いフレーム部によって接続される、実施形態34による太陽光発電プラント。
36.各PVモジュールは、上板と下板との間に挟まれる光電池セルの層を含む、実施形態29~36の何れか1つによる太陽光発電プラント。
37.脚は下及び上板に接着剤によって固定される、実施形態36による太陽光発電プラント。
38.フレーム部は保持部と一体化される、実施形態35による太陽光発電プラント。
39.モジュール異形材はPVモジュールの縁辺全体に沿って延びる、実施形態29~38の何れか1つによる太陽光発電プラント。
40.マット異形材は長い保持部を含み、これはモジュール異形材の保持部と嵌合するように構成され、マットと保持部との間の分離が保持部の実質的に全長に沿って概して一定であることを確実にするウェブを使ってマットに固定される、実施形態34~39の何れか1つによる太陽光発電プラント。
41.保持部の一方は、他方の保持部の対応する雌部に挿入される雄部を有する、実施形態34~40の何れか1つによる太陽光発電プラント。
42.雄部は長い管又はロッドを含み、雌部は、その長さ方向軸に平行に延びる割れ目を有する長い管を含む、実施形態41による太陽光発電プラント。
43.実施形態29~42の何れか1つによる水上光電池発電プラントの据付方法であって、PVモジュールを、モジュール異形材を対応するマット異形材と接触させ、これらの異形材を、PVモジュールの縁辺に概して垂直な力が加わることによる2つの異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置にそれらが到達するまで、モジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行な方向に相互に関してスライドさせることによってマットに固定するステップを含む方法。
44.実施形態43の方法を実行した後に、PVモジュールの縁辺に概して平行な2つの異形材がそれ以上相対移動しないようにするためにファスナを動作させることをさらに含む、実施形態43による方法。
45.モジュール異形材又はマット異形材の一方は雄部である保持部を有し、他方の異形材は雌部である保持部を有し、雌部を雄部に関してモジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行にスライドさせる前に、雄部が雌部により少なくとも実質的に取り囲まれるまで、1つの異形材の雄部を対応する各異形材の雌部の端に挿入することを含む、実施形態43又は44の方法。
46.PVモジュールには、PVモジュールの相互に反対側にある概して平行な縁辺に固定される2つのモジュール異形材が提供され、マットには、対応する概して平行な2つのマット異形材が提供されてよく、PVモジュールをマットに、同時に、一度に、又は逐次的に両方のモジュール異形材をそれらの対応するマット異形材と接触させ、これらの異形材を、PVモジュールの縁辺に概して垂直な力が加わることによる異形材の分離が実質的に防止される所望の最終位置にそれらが到達するまで、各モジュール異形材が固定されるPVモジュールの縁辺に概して平行な方向に相互に関してスライドさせることによって固定することを含む、実施形態43~45の何れか1つの方法。
47.PVモジュールをマットに固定するステップを実行する前に、マットを水体の上に展開するステップをさらに含む、実施形態43~46の何れか1つの方法。
48.PVモジュールがマットに固定された後に、マットを水体の上に展開するステップをさらに含む、実施形態43~46の何れか1つの方法。
49.PVモジュールは、上板と下板との間に挟まれた光電池セルの層を含み、方法は、下板が水体と直接接触するように発電プラントを展開することを含む、実施形態47又は48の何れかの方法。
【0116】
上記の実施形態の何れにおいても、各モジュール1は、硬質の板である上板7、硬質の板である下板8、又は硬質の板である上及び下板の両方によって実質的に硬質であってよい。実質的に硬質であることにより、モジュールは折れるか又は曲がるほどしなやかではない。
【0117】
上述の実施形態の何れにおいても、モジュールは、相互に接続されず、マット2のみに固定された別々のモジュールであってよい。各モジュール1はそれゆえ、他のモジュールから分離されていてよい。相互に分離されることにより、モジュール1自体は物理的に連結されていない。これによって、例えばモジュール1への、又はモジュール内部に配置されたPVセルへの損傷のリスクが低減し得る。
【0118】
モジュール1は、モジュールの行と列のx-yパターンに配置されてよく、各行及び各列は複数の個別のモジュール1を含む。
【0119】
図9及び10には、上述の実施形態の何れかにおいて、各モジュール1が配電のための1つ又は複数の接続箱21a~c、22a~cを含んでいてもよいことが示されている。接続箱は、接続箱21a~cを有する図9に示されるように、モジュール1の上面、すなわち上向きの表面の上に位置付けられてよい。代替的に、接続箱は、接続箱22a~cを有する図10に示されるように、モジュール1の側面上に位置付けられてよい。代替的に、接続箱は異形材10の上に位置付けられてもよい(このケースは図示されていない)。
【0120】
有利には、接続箱をこれらの構成の1つに位置付けることによって、モジュール1とマット2との間に中断されない平面を実現できる。接続箱22a~c、23a~cは好ましくは、図9及び10からわかるように、ソーラーパネルモジュール1の側辺又は前面上に、又はそれに隣接して設置することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10