(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】高い屈折率を有するガラス材料
(51)【国際特許分類】
C03C 3/097 20060101AFI20240814BHJP
C03C 3/062 20060101ALI20240814BHJP
G02B 1/00 20060101ALI20240814BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
C03C3/097
C03C3/062
G02B1/00
G02B27/02 Z
(21)【出願番号】P 2021527881
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 US2019061416
(87)【国際公開番号】W WO2020112368
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-10
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,チアン
(72)【発明者】
【氏名】マルケス,パウロ ホルヘ ガスパール
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/090645(WO,A1)
【文献】特開2017-105702(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221678(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
G02B 1/00
G02B 27/02
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス材料用の組成物であって、酸化物ベースで、
35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO
2
)と、
9.25~15.0重量パーセントの酸化リチウム(Li
2
O)と、
0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na
2
O)と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO
2
)と、
0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P
2
O
5
)と、
36~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb
2
O
5
)と
を含み、
二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物と、
酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO
2)と、
36~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb
2O
5)からなる1つの遷移金属酸化物と
を含む、組成物。
【請求項2】
(i)二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)の両方が、二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択され、前記組成物が、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO
2)および0.1~3.5重量パーセントの五酸化リン(P
2O
5)を含む、または
(ii)二酸化ケイ素(SiO
2)のみが、二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択され、二酸化ケイ素(SiO
2)が、前記組成物の37~41重量パーセントである、
のうちの一方である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)の両方が、酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)からなる群から選択される前記1つ以上のアルカリ金属酸化物から選択され、酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)が合わせて前記組成物の10~16重量パーセントである、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
ガラス材料であって、酸化物ベースで、
35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO
2
)と、
9.25~10.25重量パーセントの酸化リチウム(Li
2
O)と、
0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na
2
O)と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO
2
)と、
0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P
2
O
5
)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb
2
O
5
)と
を含み、
二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物と、
酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物であって、酸化リチウム(Li
2O)が、選択される場合、9.25~10.25重量パーセントの量で存在する、アルカリ金属酸化物と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO
2)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb
2O
5)からなる1つの遷移金属酸化物と
を含み、
前記ガラス材料が酸化ランタン(La
2O
3)を含まず、
633nmでの前記ガラス材料の屈折率が1.6070~1.7660であり、
前記ガラス材料の密度が2.70g/cm
3~3.29g/cm
3であり、
前記ガラス材料の液相温度が1200℃未満である、
ガラス材料。
【請求項5】
(i)二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)の両方が、二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択され、前記ガラス材料が、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO
2)および0.1~3.5重量パーセントの五酸化リン(P
2O
5)を含む、または
(ii)二酸化ケイ素(SiO
2)のみが、二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択され、二酸化ケイ素(SiO
2)が、前記ガラス材料の37~41重量パーセントである、
のうちの一方である、請求項
4記載のガラス材料。
【請求項6】
酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)の両方が、酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)からなる群から選択される前記1つ以上のアルカリ金属酸化物から選択され、酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)が合わせて前記ガラス材料の10~16重量パーセントである、請求項
4記載のガラス材料。
【請求項7】
液相としての前記ガラス材料の粘度が14.9~25.1ポアズ(1.49~2.51Pa・s)である、請求項5
または6記載のガラス材料。
【請求項8】
頭部装着型ウェアラブルデバイスであって、
可視光が伝播するガラス材料を含む導光デバイスに対して可視光を発する画像形成デバイスを備え、前記ガラス材料が、酸化物ベースで、
35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO
2
)と、
9.25~10.25重量パーセントの酸化リチウム(Li
2
O)と、
0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na
2
O)と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO
2
)と、
0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P
2
O
5
)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb
2
O
5
)と
を含み、
二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物と、
酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO
2)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb
2O
5)からなる1つの遷移金属酸化物と
を含み、
前記ガラス材料が酸化ランタン(La
2O
3)を含まず、
633nmでの前記ガラス材料の屈折率が1.6070~1.7660であり、
前記ガラス材料の密度が2.70g/cm
3~3.29g/cm
3であり、
前記ガラス材料の液相温度が1200℃未満である、
頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【請求項9】
(i)二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)の両方が、二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択され、前記ガラス材料が、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO
2)および0.1~3.5重量パーセントの五酸化リン(P
2O
5)を含む、または
(ii)二酸化ケイ素(SiO
2)のみが、二酸化ケイ素(SiO
2)および五酸化リン(P
2O
5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択され、二酸化ケイ素(SiO
2)が、前記ガラス材料の37~41重量パーセントである、
のうちの一方である、請求項
8記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【請求項10】
酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)の両方が、酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)からなる群から選択される前記1つ以上のアルカリ金属酸化物から選択され、酸化リチウム(Li
2O)および酸化ナトリウム(Na
2O)が合わせて前記ガラス材料の10~16重量パーセントである、請求項
8記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【請求項11】
頭部装着型ウェアラブルデバイスであって、
ガラス材料を含み、該ガラス材料が、
35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO
2)と、
9.25~15.0重量パーセントの酸化リチウム(Li
2O)と、
0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na
2O)と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO
2)と、
0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P
2O
5)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb
2O
5)と
からなる、頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【請求項12】
頭部装着型ウェアラブルデバイスであって、
ガラス材料を含み、前記ガラス材料が、
37~43重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO
2)と、
9.25~10.25重量パーセントの酸化リチウム(Li
2O)と、
0.75~1重量パーセントの酸化ナトリウム(Na
2O)と、
8.5~10重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO
2)と、
36~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb
2O
5)と
からなる、頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【請求項13】
液相としての前記ガラス材料の粘度が14.9~25.1ポアズ(1.49~2.51Pa・s)である、請求項
8から
12までのいずれか1項記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2018年11月26日に出願された米国仮特許出願第62/771,288号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、比較的高い屈折率を有するガラス材料に関する。より詳細には、本開示は、ガラス材料から作製されたレンズ、およびガラス材料を組み込んだ仮想または拡張現実ウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
電磁波は、或る媒質中を別の媒質中とは異なった形で伝播する。例えば、或る特定の波長を有する電磁波は、真空中を光速で伝播するが、別の媒質中を別の速度(光速未満)で伝播する。電磁波が真空中を伝播する速度(すなわち、光速)と、電磁波が問題の媒質中を伝播する速度(位相速度と称される)との比は、その物質の屈折率と呼ばれる。これは全て、媒質が電磁波に対して透明または本質的に透明であり、ひいては電磁波が媒質中を伝播することが可能であると仮定している。以下の考察は全ての波長の電磁波に当てはまるが、電磁スペクトルの可視領域内の波長を有する電磁波のみを考察し、可視電磁波を以下で「可視光」と称する。
【0004】
ガラス材料は、周囲媒質の屈折率とは異なる屈折率を有し得る媒質である。ガラス材料では、この屈折率の差を利用して可視光を操作することができる。例えば、屈折率の差を用いて、ガラス材料を、可視光を或る媒質から別の媒質へと(例えば、空気からレンズを通って再び空気へと)収束または分散させるレンズの形状にすることができる。別の例としては、屈折率の差および内部反射の概念を用いて、可視光を或る場所から別の場所へと導くためにガラス材料を利用することができる。
【0005】
他の全てが同じならば、レンズを作製するガラス材料の屈折率が大きいほど、レンズの焦点距離が短くなり、ひいては屈折力が高くなる。これは、デジタルカメラに組み込まれるレンズ等の、検知のために可視光を操作することを意図したレンズの重要な属性である。加えて、レンズの屈折率が大きいほど、レンズの開口数が大きくなり、ひいてはレンズが解像することができる物体の最小長が小さくなる(すなわち、レンズの屈折率が大きいほど、レンズの解像度が「高くなる」)。これは、可能な限り小さな物体を解像することができるのが理想である、顕微鏡に組み込まれるレンズの重要な属性である。加えて、カメラの画角は、カメラに用いられるレンズの焦点距離の関数である。具体的には、レンズの焦点距離が短いほど、レンズを組み込んだカメラの画角が広くなる。上述のように、レンズの屈折率が大きいほど、レンズの焦点距離が短くなる。したがって、レンズの屈折率が大きいほど、カメラの画角が広くなる。
【0006】
上述のようにレンズとして働くことに加え、ガラス材料は、周囲媒質に対する屈折率の差に依存して、可視光を或る場所から別の場所へと空間を横切って導くように作製することができる。可視光が第1の屈折率を有する第1の媒質(ガラス材料等)中を伝播し、第1の媒質と第2のより低い屈折率を有する第2の媒質(空気等)との間の境界と、境界に対して法線方向の入射角で接触する場合、可視光の一部が第1の媒質から離れ、第2の媒質中を伝播する。また、可視光の一部が反射され、再び第1の媒質中を伝播する。入射角を境界に対して法線方向から境界に平行な方向へと変化させると、反射されて再び第1の媒質(ガラス材料)中を伝播する可視光の量が増加し、境界を透過して第2の媒質(空気)中を伝播する量が減少する。或る角度(「臨界角」)では、全ての可視光が反射されて第1の媒質(ガラス材料)中を伝播し、これは「内部全反射」と称される。臨界角、および境界に対して法線方向の角度と臨界角との間の角度で反射される光の量は、2つの媒質間の屈折率の差の関数である。したがって、他の全てが同じならば、ガラス材料の屈折率が高いほど、ガラス材料による内部反射の量が大きくなり、臨界角がガラス材料と周囲媒質との間の境界の法線に近くなる。これは、ウェアラブル拡張現実または仮想現実デバイスに可視光ガイドとして利用されるガラス材料の重要な属性である。
【0007】
かかるガラス材料は、二酸化ケイ素(SiO2)および/または三酸化ホウ素(B2O3)等の1つ以上のガラス網目形成物を含む化学成分、ならびに場合によっては得られるガラス材料に或る特定の特性を与えるように選択される1つ以上の他の化学成分の組成物から作製される。通例、化学成分は固体粉末形態であり、粉末を液化するまで加熱し、液体状態で混合する。次いで、液状材料を所望の形状にプレス成形するか、またはバーとして鋳造し、冷却し、ガラス材料へと凝固させるが、これが光学ガラスと称される場合もある。次いで、ガラス材料を再加熱し、レンズ等の所望の形状にプレス成形する。レンズをその後、プレス成形が十分に正確でない場合に研削および研磨してもよい。液状材料をガラス材料へと冷却するか、またはガラス材料を再加熱する場合、失透(すなわち、結晶の沈殿)のリスクがある。結晶化により可視光に対するガラス材料の透明度が低下する。失透に抵抗するガラス材料の能力が高いほど、ガラス材料がより高い「熱安定性」を有するとされる。
【0008】
純粋な二酸化ケイ素(SiO2)のガラス材料の屈折率は、1.5(したがって、多くの用途にとって最適以下)である。得られるガラス材料に対して或る特定の特性を与えるように選択される上述の1つ以上の他の化学成分は、得られるガラス材料の屈折率を高めるように選択される1つ以上の化学成分を含んでいてもよい。しかしながら、かかる化学成分は、ガラス材料の「熱安定性」を低下させ、すなわち、ガラス材料の冷却および再加熱の際に起こる失透のレベルを高くする恐れがある。
【0009】
拡張/仮想現実デバイスまたはデジタルカメラ等のガラス材料の一部の用途では、ユーザを疲労させないよう、可能な限り軽くすることが用途にとって有益である。したがって、ガラス材料も同様に可能な限り軽く、ひいては可能な限り低密度とする必要がある。しかしながら、ガラス材料の屈折率を高めるために添加される化学成分は、ガラス材料の密度、ひいてはレンズの重量を付加的に増大させる可能性がある。
【0010】
さらに、上で示唆したように、ガラス材料は、可視光に対して可能な限り透明である必要がある。すなわち、ガラス材料は、可能な限り少ない可視光を吸収するものである必要がある。しかしながら、ガラス材料の屈折率を高めるために添加される化学成分は、レンズの透過率を付加的に低下させる可能性がある。
【0011】
さらに、組成物の化学成分を液体となるまで加熱するか、またはガラス材料を液体へと再加熱する場合、それに必要とされる温度は、化学成分または副生成物が揮発し、容器(坩堝等)を腐食する温度よりも低いことが好ましい。同様に、温度が十分に高い場合、容器を形成する元素または化合物が液体に浸出し、それによりガラス材料の変色を引き起こす場合がある。ガラス材料の屈折率を高めるために添加される化学成分は、ガラス材料または初期化学成分の液化に必要とされる温度を付加的に上昇させる可能性がある。
【0012】
最後に、液状材料が或る特定の範囲内の粘度を有する場合、レンズまたはガラス材料の他の最終製品を、液体をガラス材料へと冷却した後に研削および研磨する必要なしに、液状材料から直接形成することができる。このプロセスは、精密プレス成形または直接成形と称されることもある。上記の特性と同様、ガラス材料の屈折率を高めるために添加される化学成分は、ガラス材料の粘度を直接成形に許容可能な範囲外へと付加的に変化させる可能性がある。
【0013】
したがって、許容できないレベルの失透を引き起こさず、ガラス材料の密度を許容できないほど増大させず、レンズの透過率を許容できないほど低下させず、ガラス材料を液相に維持するために必要とされる温度を許容できないほど上昇させず、またガラス材料の粘度を、ガラス材料をレンズに直接成形することができないほど逸脱させずに十分に高い屈折率をレンズに与える、レンズの形成に使用されるガラス材料を作製するための化学組成物が必要とされる。
【0014】
ガラス材料の屈折率を高めるために添加することができる化学成分としては、(i)酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)および酸化バリウム(BaO)等のアルカリ土類金属酸化物、(ii)五酸化ニオブ(Nb2O5)、二酸化チタン(TiO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、五酸化タンタル(Ta2O5)等の遷移金属酸化物、ならびに(iii)酸化ランタン(La2O3)、酸化エルビウム(Er2O3)、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化セリウム(CeO2)および酸化プラセオジム(Pr2O3)等の希土類金属酸化物が挙げられる。五酸化ニオブ(Nb2O5)および二酸化チタン(TiO2)は特に、ガラス材料の透明度を妨げることなく屈折率を高め、熱安定性を改善することが知られている。
【0015】
しかしながら、ガラス材料の屈折率を高めるために、ガラス材料の網目構造、密度、粘度および熱安定性を不適切にすることなく、多量の五酸化ニオブ(Nb2O5)を添加することは困難であった。1986年11月4日に出願された「Optical and ophthalmic glasses」と題する特許文献1では、ガラス材料を作製するための5~26重量%の五酸化ニオブ(Nb2O5)を含む組成物が開示されている。しかしながら、上で示唆したように、熱安定性が問題となり、網目形成物である三酸化ホウ素(B2O3)の添加が失透を低減するために必要とされることが教示されている。加えて、網目形成用の二酸化ケイ素(SiO2)と三酸化ホウ素(B2O3)とが合わせて36重量%を超えてはならないことが教示されている。それというのも、その量を上回る重量百分率がガラス材料の屈折率を低下させ、失透を大幅に増大させるためである。さらに、屈折率を高めるために、組成物が15~28重量パーセントの酸化カルシウム(CaO)を含む必要があることが教示されている。最後に、組成物中の五酸化ニオブ(Nb2O5)の重量百分率が26%を超えてはならないことが教示されている。それというのも、それを上回る重量百分率が顕著な失透を引き起こし、すなわち、ガラス材料が熱安定性を有しないためである。最後に、報告された全てのガラス材料例の密度は、3.56g/cm3以上であった。
【0016】
1967年1月20日に出願された「CORE GLASS FOR FIBER-OPTIC STRUCTURES HAVING HIGH INDEX OF REFRACTION」と題する特許文献2では、5~20重量%(組成物の具体例では7~16重量%の範囲)の五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。しかしながら、特許文献1と同様、提示の組成物例のいずれについても三酸化ホウ素(B2O3)が二酸化ケイ素(SiO2)と共に網目形成物として含まれる。加えて、網目形成用の二酸化ケイ素(SiO2)および三酸化ホウ素(B2O3)の重量百分率の合計は、最高で30重量%であることが教示され、提示の最高の組成物例は24重量%を含むものであった。最後に、溶融温度は、2450°F(1343℃)~2600°F(1426℃)であることが開示され、これは溶融容器に対して腐食性である可能性がある。
【0017】
1972年11月27日に出願された「NIOBIUM PENTOXIDE-CONTAINING BOROSILICATE GLASSES」と題する特許文献3では、2~53重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。しかしながら、上記と同様、組成物が三酸化ホウ素(B2O3)を網目形成物として二酸化ケイ素(SiO2)と共に8重量%~14重量%の量で含む必要があることが教示されている。組成物例には、合計30.6重量%~41.0重量%の二酸化ケイ素(SiO2)および三酸化ホウ素(B2O3)が提示される。加えて、酸化カリウム(K2O)が組成物に含まれることが教示され、提示のどの例にも存在する。
【0018】
1975年7月22日に出願された「OPTICAL GLASS」と題する特許文献4では、4~20重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。しかしながら、上記と同様、組成物が三酸化ホウ素(B2O3)を網目形成物として二酸化ケイ素(SiO2)と共に15重量%~36重量%の量で含むことが教示されている。例として三酸化ホウ素(B2O3)を25.8重量%~35.8重量%の量で含む組成物が開示される。さらに、組成物は6重量%~12重量%のフッ素(F)を含む必要がある。
【0019】
1976年10月8日に出願された「OPTICAL GLASSES」と題する特許文献5では、ガラス材料の耐久性を高めるために0~5重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。しかしながら、上記の特許と同様、開示の組成物は、三酸化ホウ素(B2O3)を網目形成物として二酸化ケイ素(SiO2)と共に少なくとも30重量%の量で含む。五酸化ニオブ(Nb2O5)を含む組成物例は、僅か1.94重量%および1.96重量%の五酸化ニオブ(Nb2O5)を含む。これらの組成物例はまた、36.70重量%および36.34重量%の三酸化ホウ素(B2O3)と、10重量%を超える二酸化ケイ素(SiO2)とを含む。
【0020】
1982年6月2日に出願された「ACIDPROOF, HYDROLYSIS-RESISTANT OPTICAL AND OPHATHALMIC [sic] GLASS OF LOW DENSITY」と題する特許文献6では、6~11重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。しかしながら、上記の特許と同様、開示の組成物は、三酸化ホウ素(B2O3)を網目形成物として二酸化ケイ素(SiO2)と共に6重量%~12重量%の量で含む。
【0021】
1982年12月1日に出願された「GLASSES OF HIGH REFRACTIVE INDEX, LOW DISPERSION, AND LOW DENSITY」と題する特許文献7では、3重量%~11重量%の五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。しかしながら、上記の特許と同様、開示の組成物は、三酸化ホウ素(B2O3)を網目形成物として二酸化ケイ素(SiO2)と共に20.5重量%~25重量%の量で含む。特許文献7には、かかる量が失透を防ぐために必要であると述べられている。さらに、得られるガラス材料の屈折率をさらに高めるために、少なくとも3.5重量%の二酸化チタン(TiO2)が添加されることが教示されている。さらに、特許文献7には、五酸化ニオブ(Nb2O5)が11重量%を超えてはならないことが教示されている。それというのも、その重量百分率を上回る量が密度および分散を過度に増大させるためである。酸化カルシウム(CaO)がガラスの必要な成分であることも教示されている。
【0022】
1993年3月1日に出願された「Highly refractive ophthalmic and optical glass」と題する特許文献8では、10重量%~25重量%の五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。組成物例では14.21重量%~16.30重量%の五酸化ニオブ(Nb2O5)に限定される。また、酸化セシウム(Cs2O)が、ガラス材料の融点を低下させるのに不可欠な組成物の成分であることが教示されている。加えて、上で要約した他の特許と同様、酸化カルシウム(CaO)が組成物の不可欠な成分であることが教示されている。さらに、酸化ランタン(La2O3)が必要な成分であることが教示されている。最後に、組成物例の全てが三酸化ホウ素(B2O3)を網目形成物として二酸化ケイ素(SiO2)と共に含む。
【0023】
1979年6月5日に出願された「LIGHTWEIGHT, HIGH REFRACTIVE INDEX GLASSES FOR SPECTACLE LENSES」と題する特許文献9では、18重量%~24重量%の五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。組成物例の全てが三酸化ホウ素(B2O3)を網目形成物として二酸化ケイ素(SiO2)と共に含む。組成物は、10%重量%~15重量%の二酸化チタン(TiO2)および7重量%~10重量%の酸化バリウム(BaO)をさらに含む。酸化バリウム(BaO)が失透を防ぐのに特に重要であるとされている。
【0024】
1987年5月28日に出願された「OPHTHALMIC AND OPTICAL GLASS」と題する特許文献10では、1重量%~30重量%の五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。しかしながら、上記の他の特許と同様、組成物は、21.5重量%~26重量%の三酸化ホウ素(B2O3)を網目形成物として二酸化ケイ素(SiO2)と共に含む。三酸化ホウ素(B2O3)が失透を防ぐのに重要であるとされている。
【0025】
2007年7月16日に出願された「GLASS」と題する特許文献11では、0.5~15モル百分率の五酸化ニオブ(Nb2O5)を含むガラス材料用の組成物が開示されている。しかしながら、二酸化チタン(TiO2)が、高い屈折率および低い比重を有するガラス材料を得るのに必要な成分として教示されている。加えて、アルカリ土類金属酸化物が、分散を減少させ、屈折率を高めるのに必要な組成物の成分として教示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】欧州特許出願公開第0227269号明細書
【文献】米国特許第3,503,764号明細書
【文献】米国特許第3,877,953号明細書
【文献】米国特許第3,999,997号明細書
【文献】米国特許第4,057,435号明細書
【文献】米国特許第4,400,473号明細書
【文献】米国特許第4,404,290号明細書
【文献】英国特許出願公開第2265367号明細書
【文献】米国特許第4,213,786号明細書
【文献】米国特許第4,732,876号明細書
【文献】米国特許第7,897,531号明細書
【発明の概要】
【0027】
本発明者らは驚くべきことに、上記とは対照的に、得られるガラス材料の屈折率を高めるために、ガラス材料の網目構造、密度、粘度および熱安定性を不適切にすることなく、五酸化ニオブ(Nb2O5)を組成物に添加することができることを発見した。さらに、本発明者らは驚くべきことに、(a)三酸化ホウ素(B2O3)を組成物に組み込む必要なく、(b)36重量%を上回る網目形成用の二酸化ケイ素(SiO2)を用いて、(c)酸化カルシウム(CaO)または酸化バリウム(BaO)等のアルカリ土類金属酸化物を組成物に組み込む必要なく、(d)26重量%を上回る五酸化ニオブ(Nb2O5)を組み込み、(e)酸化カリウム(K2O)を組成物に組み込む必要なく、(f)フッ素(F)を組成物に組み込む必要なく、(g)二酸化チタン(TiO2)を組成物に組み込む必要なく、(h)酸化セシウム(Cs2O)を組成物に組み込む必要なく、(i)酸化ランタン(La2O3)を組成物に組み込む必要なく、また(j)酸化ランタン(La2O3)を組成物に組み込む必要なく、五酸化ニオブ(Nb2O5)を上記のために添加することができることを発見した。
【0028】
本開示の第1の態様では、ガラス材料用の組成物が、酸化物ベースで、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物と、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物と、8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる1つの遷移金属酸化物とを含む。一実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)の両方が、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物から選択される。一実施形態では、組成物は、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および0.1~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む。一実施形態では、組成物は、39~59重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および1.9~3.0重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む。一実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)のみが、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物から選択される。一実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)は、組成物の37~41重量パーセントである。一実施形態では、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)の両方が、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物から選択される。一実施形態では、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)が合わせて組成物の10~16重量パーセントである。一実施形態では、酸化リチウム(Li2O)が、組成物の9~15重量パーセントであり、酸化ナトリウム(Na2O)が、組成物の0.5~1.5重量パーセントである。一実施形態では、組成物は、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)、9.25~15.0重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)、0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)、8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)、0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)および9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる。一実施形態では、組成物は、37~43重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)、9.25~10.25重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)、0.75~1重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)、8.5~10重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)および36~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる。
【0029】
本開示の第2の態様では、ガラス材料は、酸化物ベースで、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物と、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物と、8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる1つの遷移金属酸化物とを含み、633nmでのガラス材料の屈折率が1.6070~1.7660であり、ガラス材料の密度が2.70g/cm3~3.29g/cm3であり、ガラス材料の液相温度が1200℃未満である。一実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)の両方が、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物から選択される。一実施形態では、ガラス材料は、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および0.1~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む。一実施形態では、ガラス材料は、39~59重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および1.9~3.0重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む。一実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)のみが、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物から選択される。一実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)は、ガラス材料の37~41重量パーセントである。一実施形態では、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)の両方が、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物から選択される。一実施形態では、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)が合わせてガラス材料の10~16重量パーセントである。一実施形態では、酸化リチウム(Li2O)が、ガラス材料の9~15重量パーセントであり、酸化ナトリウム(Na2O)が、ガラス材料の0.5~1.5重量パーセントである。一実施形態では、ガラス材料は、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)、9.25~15.0重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)、0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)、8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)、0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)および9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる。一実施形態では、ガラス材料は、37~43重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)、9.25~10.25重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)、0.75~1重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)、8.5~10重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)および36~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる。一実施形態では、液相としてのガラス材料の動的粘度は、14.9~25.1ポアズ(1.49~2.51Pa・s)である。
【0030】
本開示の第3の態様では、頭部装着型ウェアラブルデバイスが、可視光が伝播するガラス材料を含む導光デバイスに対して可視光を発する画像形成デバイスを備え、ガラス材料が、酸化物ベースで、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物と、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物と、8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる1つの遷移金属酸化物とを含み、633nmでのガラス材料の屈折率が1.6070~1.7660であり、ガラス材料の密度が2.70g/cm3~3.29g/cm3であり、ガラス材料の液相温度が1200℃未満である。一実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)の両方が、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物から選択される。一実施形態では、ガラス材料は、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および0.1~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む。一実施形態では、ガラス材料は、39~59重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および1.9~3.0重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む。一実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)のみが、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物から選択される。一実施形態では、二酸化ケイ素(SiO2)は、ガラス材料の37~41重量パーセントである。一実施形態では、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)の両方が、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物から選択される。一実施形態では、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)が合わせてガラス材料の10~16重量パーセントである。一実施形態では、酸化リチウム(Li2O)が、ガラス材料の9~15重量パーセントであり、酸化ナトリウム(Na2O)が、ガラス材料の0.5~1.5重量パーセントである。一実施形態では、ガラス材料は、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)、9.25~15.0重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)、0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)、8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)、0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)および9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる。一実施形態では、ガラス材料は、37~43重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)、9.25~10.25重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)、0.75~1重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)、8.5~10重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)および36~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる。一実施形態では、液相としてのガラス材料の動的粘度は、14.9~25.1ポアズ(1.49~2.51Pa・s)である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】組成物中の五酸化ニオブ(Nb
2O
5)のモル百分率の関数としての本明細書に開示される新規のガラス材料の屈折率(上の線)と、(b)組成物中の五酸化ニオブ(Nb
2O
5)のモル百分率の関数としての得られるガラス材料の密度(下の線)との両方を示すグラフである。
【
図2】下記実施例4~11の組成物についてのガラス材料の密度の関数としてのガラス材料の屈折率のグラフである。
【
図3】下記実施例8~10に記載する組成物のそれぞれから作製されたガラス材料の1.0mm厚のサンプルを通した様々な波長(200nm~2000nm)の電磁波の軸方向透過率(axial transmittance)を示すグラフである。
【
図4】様々なガラス材料のガラス転移温度(T
g)、結晶化ピーク温度(T
x)および溶融温度(T
m)を明らかにする、下記実施例8~10および比較例の組成物から作製されたガラス材料の示差走査熱量測定(DSC)分析を示す図である。
【
図5】本開示の新規のガラス材料を組み込んだ導光デバイスを示す、画像形成デバイスと導光デバイスとを備える頭部装着型ウェアラブルデバイスの俯瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
下記表において、組成物の成分の処方は、ガラス科学の技術分野で認められているように、酸化物モルパーセントおよび酸化物重量パーセントである。酸化物の重量百分率は、モル百分率から算出され、便宜上提示される。合計が100モルパーセントまたは重量パーセントと異なる場合はいずれも端数処理のためである。全ての組成物例において、二酸化ケイ素(SiO2)がガラス材料の主要網目形成物であり、全ての例で安定したガラス網目を形成するのに十分なモル百分率である。
【0033】
表1に3つのガラス材料組成物を提示する。3つ全てのガラス材料組成物に様々な量の二酸化ジルコニウム(ZrO2)が組み込まれ、二酸化ジルコニウムの量は、実施例の番号の順に増加する。アルカリ金属酸化物、ここでは酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)を、ガラス材料の溶融能を高め、粘度を低下させるために添加する。二酸化ケイ素(SiO2)と同様、五酸化リン(P2O5)も網目形成物であるが、より高い屈折率を有する。
【0034】
【0035】
3つ全ての組成物から作製されたガラス材料の633nmの波長での可視光の屈折率(n)を決定した。二酸化ジルコニウム(ZrO2)を、失透を低減し、ガラス材料の液相温度を低下させ、さらには屈折率を高めるために添加する。驚くべきことに、ガラス組成物の密度を低レベル(すなわち、3.3g/cm3未満)に維持しながら、組成物中の二酸化ジルコニウム(ZrO2)の量を増加させることで適度に高い屈折率を達成することができる。実施例により、ガラス材料の屈折率が二酸化ジルコニウム(ZrO2)のモル百分率(または重量百分率)の関数であることが示される。組成物に含まれる二酸化ジルコニウム(ZrO2)が多いほど、得られるガラス材料の屈折率が高くなる。第1の組成物(実施例1)の密度のみを特に測定したが、屈折率により、実施例2および実施例3の組成物から作製されたガラス材料の密度が同じ範囲内であり、3.3g/cm3未満であると仮定しても差し支えない。したがって、適度に高い屈折率(1.5776~1.5974)を有するが、低い密度(3.3g/cm3未満)を有するガラス材料(およびそれから作製されるレンズ)を得るために、以下のモル百分率を用いることができる:(a)58.3~60.3モルパーセントの二酸化ケイ素(SiO2);(b)29.2~30.2モルパーセントの酸化リチウム(Li2O);および(c)6.9~10モルパーセントの二酸化ジルコニウム(ZrO2)。組成物は、例えばそれぞれ1~3モルパーセントの酸化ナトリウム(Na2O)および五酸化リン(P2O5)をさらに含んでいてもよい。
【0036】
下記表2に、ガラス材料用の組成物の8つの付加的な例を提示する。引き続き、8つ全ての組成物に様々な量の二酸化ジルコニウム(ZrO2)が組み込まれるが、二酸化ジルコニウムの量は、実施例の番号の順に減少する。この場合も、アルカリ金属酸化物である酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)、ならびに網目形成物である五酸化リン(P2O5)を添加する。これらの表2の組成物例では、漸増量の五酸化ニオブ(Nb2O5)を添加した。しかしながら、本発明者らは驚くべきことに、酸化カルシウム(CaO)等のアルカリ土類金属酸化物を加えず、二酸化チタン(TiO2)を加えることなく、ガラス材料が低い密度(3.30未満)を有することを可能にしながら、ガラス材料の屈折率を大幅に高める(1.7600超)ために五酸化ニオブ(Nb2O5)を用いることができることを発見した。言い換えると、3.3g/cm3未満の密度を有した上で1.6073~1.7655の屈折率を有するガラス材料が作製されるように、五酸化ニオブ(Nb2O5)のモル百分率を操作することができる。表2に挙げる最後の組成物は比較例である。比較例は市販のガラス材料であり、五酸化ニオブ(Nb2O5)が組成物に組み込まれているが、3.65g/cm3の最適以下の密度を有する。比較例の屈折率(1.800)は、実施例11の屈折率(1.7655)を僅かに上回っているにすぎないが、はるかに高い密度(3.25に対して3.65)を有する。8つ全ての組成物例において、三酸化ホウ素(B2O3)、酸化カリウム(K2O)、酸化カルシウム(CaO)または酸化バリウム(BaO)等のアルカリ土類金属酸化物、およびフッ素(F)は全く含まれない。
【0037】
ここで
図1を参照すると、(a)組成物中の五酸化ニオブ(Nb
2O
5)のモル百分率の関数としての得られるガラス材料の屈折率(上の線)および(b)組成物中の五酸化ニオブ(Nb
2O
5)のモル百分率の関数としての得られるガラス材料の密度(下の線)の両方をプロットする。どちらの場合も関係は線形である。左端のデータ点は、上記表1の実施例1の組成物によるものである。残りのデータ点は、下記実施例4~11の組成物によるものである。
【0038】
ここで
図2を参照すると、下記実施例4~11の組成物について、ガラス材料の屈折率をガラス材料の密度の関数としてプロットする。図から明らかなように、関係は線形である。
【0039】
【0040】
【0041】
また、表2の組成物は驚くべきことに、腐食の過度のリスクを伴わない一般的な市販の坩堝でのガラス材料の作製を可能にするのに十分に低い液相温度を示す。表2から明らかなように、実施例8~11の液相温度は、1155℃~1180℃であり、一般的な市販の坩堝が耐えにくくなる1300℃~1400℃の範囲をはるかに下回る。液相温度は、ガラス材料の温度を液体状態から低下させたときに結晶が初めて現れる温度、またはガラス材料の温度をより低い温度から上昇させたときに最後の結晶が融解する温度である。同様に、この場合も表2から明らかなように、実施例9~11の組成物から作製されたガラス材料の液相粘度は、許容可能であり(15~25ポアズ(1.5~2.5Pa・s))、比較例(15ポアズ(1.5Pa・s))と同様である。
【0042】
また、上記の組成物は驚くべきことに、適切な透過率を示す。ここで
図3を参照すると、実施例8~10として上に記載される組成物のそれぞれによるガラス材料を透明度について試験した。より具体的には、上述の組成物のそれぞれから作製された1.0mm厚のガラス材料を通した様々な波長(200nm~2000nm)の電磁波の軸方向透過率を試験した。図に示すグラフから明らかなように、実施例8~10の組成物から作製されたガラス材料はそれぞれ、可視光(400~700nm)および赤外領域のより長い波長(700nm超)に対して十分に透明であった(85%以上)。
【0043】
また、上記の組成物は驚くべきことに、網目形成物として三酸化ホウ素(B
2O
3)を組み込むことなく良好な熱安定性を示す。ここで
図4を参照すると、実施例8~10の組成物から作製されたガラス材料の示差走査熱量測定(DSC)分析を示す。加えて、比較例の組成物から作製されたガラス材料のDSC分析を図に示す。DSC分析では、粉砕ガラス材料を漸増温度に曝す。粉砕ガラス材料は、任意の特定の温度で熱を吸収するか、または熱を発生させる。発生または吸収された熱を測定する。データをプロットすることで、吸収または発生した熱が温度の関数としてプロットされたDSC曲線が明らかとなる。DSC曲線の傾きの変化から、分析されるガラス材料のガラス転移温度(T
g)、結晶化温度(T
x)および溶融温度(T
m)が明らかとなる。これらの温度はそれぞれ、開始点、ピーク/中間点および終点温度にさらに細分することができる。例えば、ガラス転移温度(T
g)を特定する傾きの変化は、傾きの変化が始まる温度(開始点)、傾きの変化が終わる温度(終点)および間の温度(中間点)を含む範囲であり得る。結晶化温度(T
x)および溶融温度(T
m)を特定する曲線の領域は、正から負またはその逆に変化するために頂点を形成する曲線の傾きから、中間点の代わりにピークを有する傾向がある。
【0044】
DSC曲線の傾きの最初の変化は、ガラス材料が硬質とゴム状との間を転移する温度範囲であるガラス転移温度(Tg)であり得る。昇温方向の傾きの次の変化は、ガラス材料から結晶が沈殿する温度範囲である結晶化温度(Tx)である。昇温方向の傾きの次の変化は、ガラスが液化する温度範囲である溶融温度(Tm)である。
【0045】
ガラス材料のT
gとT
xとの間の差Δ(すなわち、Δ=T
x-T
g)の大きさは、熱安定性、すなわちガラス材料の再加熱時の失透に対する耐性の指標である。差Δが大きいほど、ガラス材料の熱安定性が高くなる。これは、ガラス材料を成形するためにガラス材料を少なくともガラス転移温度T
gまで再加熱する必要があるためである。しかしながら、ガラス材料の温度が結晶化ピーク温度(T
x)に達すると失透が起こる。したがって、Δが大きくなると、失透を引き起こすことなくガラス材料がレンズに成形される温度範囲が広くなる。100℃のΔをガラス材料が熱安定性を有する最低値とみなすことができ、Δが少なくとも150℃以上であるのがより好ましい。
図4のグラフから明らかなように、ガラス材料(実施例8~10の組成物から作製された)は全て、熱安定性を有するとみなすのに十分に高いΔ(200℃近く)を有し、比較例を僅かにしか下回らないΔを有する。加えて、熱安定性の別の指標は、ガラス材料が500℃超、より好ましくは550℃超のT
xを有することである。ガラス材料(実施例8~10の組成物から作製された)は全て、500℃を超え、550℃を超えるか、または550℃に近いT
xを有する。
【0046】
さらに、熱安定性の別の指標は、DSC曲線のベースラインと結晶化温度(T
x)を示す曲線の頂点との間の面積である。頂点とベースラインとの間の面積は、結晶化エンタルピーである。したがって、結晶化エンタルピーが大きいほど、その結晶化温度範囲で結晶化が急速に生じる。言い換えると、結晶化エンタルピーが大きいほど、ガラス材料の温度がその温度範囲となった場合に激しく、強力な失透が生じる。
図4のDSC曲線から明らかなように、実施例8~10の組成物から作製されたガラス材料は、頂点とベースラインとの間の面積が殆ど存在せず、したがって結晶化エンタルピーが小さく、比較例の結晶化エンタルピーよりもはるかに小さい。したがって、実施例8~10の組成物から作製されたガラス材料は、非常に熱的に安定し、比較例よりも熱的に安定している。このことは、網目形成物として三酸化ホウ素(B
2O
3)を含まず、これらの組成物に含まれる五酸化ニオブ(Nb
2O
5)の重量/質量百分率が大きいことを考えると驚くべき結果である。
【0047】
同様に、650℃未満のガラス転移温度Tgが、ガラス材料を直接成形(精密プレス成形)によってガラス材料からレンズを作製するのに適したものにする。ガラス材料(実施例8~10の組成物から作製された)は全て、650℃未満のガラス転移温度Tgを有する。
【0048】
ここで
図5を参照すると、頭部装着型ウェアラブルデバイス10が、画像形成デバイス12と導光デバイス14とを備える。画像形成デバイス12は光源16を備え、光源16が投影する可視光20を、可視光20が導光デバイス14中を伝播する前に操作するレンズ18を備えていてもよい。導光デバイス14は、上に開示される新規のガラス材料22の一実施形態を含む。(レンズ18が新規のガラス材料22から作製されていてもよい。)ガラス材料22内で(例えば20mm~300mmの距離にわたって)繰り返し反射されることで、可視光20はガラス材料22を通って伝播し、ガラス材料22から出て、頭部装着型ウェアラブルデバイス10を装着しているユーザ26の眼24に入射する。このように、ガラス材料22は、可視光20を光源16からユーザ26の眼24へと伝達するライトガイドとして働く。その結果として、ユーザ26は、可視光20(バーチャル画像等)と外界像とを重ね合わせて感知することができる。ユーザ26は、頭部装着型ウェアラブルデバイス10をユーザ26の頭28に装着する。
【0049】
請求項の趣旨または範囲から逸脱することなく様々な修正および変形を行うことができることが当業者には明らかである。
【0050】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0051】
実施形態1
ガラス材料用の組成物であって、酸化物ベースで、
二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物と、
酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる1つの遷移金属酸化物と
を含む、組成物。
【0052】
実施形態2
二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)の両方が、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択される、実施形態1記載の組成物。
【0053】
実施形態3
前記組成物が、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および0.1~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む、実施形態2記載の組成物。
【0054】
実施形態4
前記組成物が、39~59重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および1.9~3.0重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む、実施形態3記載の組成物。
【0055】
実施形態5
二酸化ケイ素(SiO2)のみが、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択される、実施形態1記載の組成物。
【0056】
実施形態6
二酸化ケイ素(SiO2)が、前記組成物の37~41重量パーセントである、実施形態5記載の組成物。
【0057】
実施形態7
酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)の両方が、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される前記1つ以上のアルカリ金属酸化物から選択される、実施形態1から6までのいずれか1つ記載の組成物。
【0058】
実施形態8
酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)が合わせて前記組成物の10~16重量パーセントである、実施形態7記載の組成物。
【0059】
実施形態9
酸化リチウム(Li2O)が、前記組成物の9~15重量パーセントであり、酸化ナトリウム(Na2O)が、前記組成物の0.5~1.5重量パーセントである、実施形態8記載の組成物。
【0060】
実施形態10
前記組成物が、
35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)と、
9.25~15.0重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)と、
0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、
0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)と
からなる、実施形態1記載の組成物。
【0061】
実施形態11
前記組成物が、
37~43重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)と、
9.25~10.25重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)と、
0.75~1重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)と、
8.5~10重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、
36~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)と
からなる、実施形態1記載の組成物。
【0062】
実施形態12
ガラス材料であって、酸化物ベースで、
二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物と、
酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる1つの遷移金属酸化物と
を含み、
633nmでの前記ガラス材料の屈折率が1.6070~1.7660であり、
前記ガラス材料の密度が2.70g/cm3~3.29g/cm3であり、
前記ガラス材料の液相温度が1200℃未満である、
ガラス材料。
【0063】
実施形態13
二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)の両方が、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択される、実施形態12記載のガラス材料。
【0064】
実施形態14
前記ガラス材料が、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および0.1~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む、実施形態13記載のガラス材料。
【0065】
実施形態15
前記ガラス材料が、39~59重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および1.9~3.0重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む、実施形態14記載のガラス材料。
【0066】
実施形態16
二酸化ケイ素(SiO2)のみが、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択される、実施形態12記載のガラス材料。
【0067】
実施形態17
二酸化ケイ素(SiO2)が、前記ガラス材料の37~41重量パーセントである、実施形態16記載のガラス材料。
【0068】
実施形態18
酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)の両方が、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される前記1つ以上のアルカリ金属酸化物から選択される、実施形態12から17までのいずれか1つ記載のガラス材料。
【0069】
実施形態19
酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)が合わせて前記ガラス材料の10~16重量パーセントである、実施形態18記載のガラス材料。
【0070】
実施形態20
酸化リチウム(Li2O)が、前記ガラス材料の9~15重量パーセントであり、酸化ナトリウム(Na2O)が、前記ガラス材料の0.5~1.5重量パーセントである、実施形態19記載のガラス材料。
【0071】
実施形態21
前記ガラス材料が、
35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)と、
9.25~15.0重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)と、
0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、
0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)と
からなる、実施形態12記載のガラス材料。
【0072】
実施形態22
前記ガラス材料が、
37~43重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)と、
9.25~10.25重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)と、
0.75~1重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)と、
8.5~10重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、
36~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)と
からなる、実施形態12記載のガラス材料。
【0073】
実施形態23
液相としての前記ガラス材料の動的粘度が14.9~25.1ポアズ(1.49~2.51Pa・s)である、実施形態12から22までのいずれか1つ記載のガラス材料。
【0074】
実施形態24
頭部装着型ウェアラブルデバイスであって、
可視光が伝播するガラス材料を含む導光デバイスに対して可視光を発する画像形成デバイスを備え、前記ガラス材料が、酸化物ベースで、
二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される1つ以上の網目形成物と、
酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される1つ以上のアルカリ金属酸化物と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)からなる1つの遷移金属酸化物と
を含み、
633nmでの前記ガラス材料の屈折率が1.6070~1.7660であり、
前記ガラス材料の密度が2.70g/cm3~3.29g/cm3であり、
前記ガラス材料の液相温度が1200℃未満である、
頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0075】
実施形態25
二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)の両方が、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択される、実施形態24記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0076】
実施形態26
前記ガラス材料が、35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および0.1~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む、実施形態25記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0077】
実施形態27
前記ガラス材料が、39~59重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)および1.9~3.0重量パーセントの五酸化リン(P2O5)を含む、実施形態26記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0078】
実施形態28
二酸化ケイ素(SiO2)のみが、二酸化ケイ素(SiO2)および五酸化リン(P2O5)からなる群から選択される前記1つ以上の網目形成物から選択される、実施形態24記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0079】
実施形態29
二酸化ケイ素(SiO2)が、前記ガラス材料の37~41重量パーセントである、実施形態28記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0080】
実施形態30
酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)の両方が、酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)からなる群から選択される前記1つ以上のアルカリ金属酸化物から選択される、実施形態24から29までのいずれか1つ記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0081】
実施形態31
酸化リチウム(Li2O)および酸化ナトリウム(Na2O)が合わせて前記ガラス材料の10~16重量パーセントである、実施形態30記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0082】
実施形態32
酸化リチウム(Li2O)が、前記ガラス材料の9~15重量パーセントであり、酸化ナトリウム(Na2O)が、前記ガラス材料の0.5~1.5重量パーセントである、実施形態31記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0083】
実施形態33
前記ガラス材料が、
35~60重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)と、
9.25~15.0重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)と、
0.5~2重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)と、
8~15重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、
0~3.5重量パーセントの五酸化リン(P2O5)と、
9~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)と
からなる、実施形態24記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0084】
実施形態34
前記ガラス材料が、
37~43重量パーセントの二酸化ケイ素(SiO2)と、
9.25~10.25重量パーセントの酸化リチウム(Li2O)と、
0.75~1重量パーセントの酸化ナトリウム(Na2O)と、
8.5~10重量パーセントの酸化ジルコニウム(ZrO2)と、
36~45重量パーセントの五酸化ニオブ(Nb2O5)と
からなる、実施形態24記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。
【0085】
実施形態35
液相としての前記ガラス材料の動的粘度が14.9~25.1ポアズ(1.49~2.51Pa・s)である、実施形態24から34までのいずれか1つ記載の頭部装着型ウェアラブルデバイス。