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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】緩衝液製剤の方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/00 20060101AFI20240814BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240814BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20240814BHJP
   C07K 1/34 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
C12N1/00 F
C12M1/00 C
C07K1/16
C07K1/34
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021545876
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020016937
(87)【国際公開番号】W WO2020167568
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】62/803,747
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【弁理士】
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】ウェブスター,タディーアス
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,キャリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンス,トリスタン
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/117883(WO,A1)
【文献】特開2008-203129(JP,A)
【文献】特表2017-526390(JP,A)
【文献】特表2008-501347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオプロセスに供給するための緩衝産物を製剤化するためのプロセスであって、
複数の緩衝溶液を組み合わせて最終緩衝産物を形成することであって、前記複数の緩衝溶液が、少なくとも1つの第1の緩衝溶液および1つの第2の緩衝溶液を含む、ことと、
前記最終緩衝産物の導電率を測定することと、
前記最終緩衝産物の屈折率を測定することと、
前記測定された導電率を事前設定された導電率範囲と比較すること、および前記測定された屈折率を事前設定された屈折率範囲と比較することと、
前記事前設定された範囲内で前記最終緩衝産物の前記導電率および前記屈折率を維持するために、前記第2の緩衝溶液の流量に対する前記第1の緩衝溶液のうちの少なくとも1つの流量を選択的に調整することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記プロセスが緩衝溶液を連続的に製剤化し、前記複数の緩衝溶液がインラインで組み合わされて、前記最終緩衝産物を形成する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第1の緩衝溶液および前記第2の緩衝溶液の各々他の緩衝溶液と組み合わされて前記最終緩衝産物を形成しているときに、前記複数の緩衝溶液を含む各緩衝溶液の前記屈折率を測定するステップをさらに含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記緩衝溶液のうちの少なくともいずれかのものが、前記最終緩衝産物中で希釈されるようになる濃縮緩衝成分を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記最終緩衝産物の前記測定された導電率および屈折率が、制御装置に供給され、前記制御装置が、前記屈折率および前記導電率を前記事前設定された範囲内に維持するために、1つ以上の緩衝溶液の流れを選択的に増加または減少させる、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
少なくとも3つの緩衝溶液を組み合わせて、前記最終緩衝産物を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
少なくとも4つの緩衝溶液を組み合わせて、前記最終緩衝産物を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記第1の緩衝溶液および前記第2の緩衝溶液が、少なくとも1つの共通のカチオンまたはアニオンを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記第1の緩衝溶液および前記第2の緩衝溶液が、少なくとも1つの緩衝成分を含有し、前記緩衝成分が、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、または塩化ナトリウムを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記屈折率測定値および前記最終緩衝産物の温度を測定して、前記測定された屈折率が前記事前設定された制限値内にあるかどうかを判定する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記最終緩衝産物が、屈折率設定点を有し、前記事前設定された屈折率の値が、前記屈折率設定点の±10%の範囲内にある、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記最終緩衝産物が、哺乳動物細胞を含有する細胞培養物に供給される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記最終緩衝産物がクロマトグラフィープロセスに供給される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記最終緩衝産物が、濾過プロセスに供給される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記濾過プロセスが、限外濾過プロセス、透析濾過プロセス、または限外濾過/透析濾過プロセスを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
バイオプロセスシステムであって、
細胞培養物を受け取るための中空内部を画定するバイオリアクターであって、前記バイオリアクターが、前記中空内部材料を供給するためのおよび/または前記中空内部から材料を除去するための複数のポートを含む、バイオリアクターと、
前記バイオリアクターの前記中空内部に栄養培地を供給するための栄養培地供給部であって、前記栄養培地供給部が前記バイオリアクター上で前記中空内部に材料を供給するための前記ポートのうちの少なくとも1つと流体連通している、栄養培地供給部と、
前記バイオリアクターの前記中空内部に、または前記バイオリアクターと連通している下流プロセスに、最終緩衝産物を供給するための緩衝液供給部と、
前記緩衝液供給部と各々連通している複数の緩衝溶液供給部であって、各々、最終緩衝産物を製剤化するための前記緩衝液供給部へのそれぞれの緩衝溶液の流れを制御するための制御デバイスと連通している、複数の緩衝液供給部と、
前記最終緩衝産物の導電率を測定するための導電率プローブと、
前記最終緩衝産物の屈折率を測定するための屈折率測定デバイスと、
前記導電率プローブおよび前記屈折率測定デバイスと連通している制御装置であって、前記制御装置が、導電率測定値および屈折率測定値を、事前設定された導電率範囲および事前設定された屈折率範囲とそれぞれ比較するように構成されており、前記制御装置が、前記事前設定された導電率範囲および前記事前設定された屈折率範囲内で前記最終緩衝産物を維持するために、前記測定された導電率および屈折率に基づいて、前記緩衝液供給部への緩衝溶液の流れを選択的に増加または減少させるために、前記緩衝溶液の流量を制御するように構成されている、制御装置と、を備える、バイオプロセスシステム。
【請求項17】
前記システムが、前記緩衝液供給部と流体連通している少なくとも3つの緩衝溶液供給部を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御装置が、1つ以上のマイクロプロセッサを備える、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
各緩衝溶液供給部を離れる各緩衝溶液の屈折率を測定するように位置付けられた屈折率測定デバイスをさらに備える、請求項16~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御装置が、前記緩衝溶液供給部の各々と連通している前記屈折率測定デバイスによって取られた屈折率測定値を受け取る、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムが、前記最終緩衝産物の温度を測定するための温度センサをさらに含み、前記温度センサによって取られた前記温度測定値が、前記制御装置に供給され、前記制御装置は、前記最終緩衝産物が前記事前設定された屈折率範囲内にあるかどうかを判定するために、前記測定された温度を前記最終緩衝産物の前記測定された屈折率と比較するように構成されている、請求項16~20のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
前記制御装置が、屈折率設定点を使用してプログラムされており、前記事前設定された屈折率の値が、前記屈折率設定点の±10%の範囲内にある、請求項16~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記緩衝溶液が、各々、トリシン、ビシン、スルホン酸、カコジル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸、グリシンアミド、またはアセトアミドグリシンのうちの少なくとも1つを含有する、請求項16~22のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年2月11日に出願された米国仮特許出願第62/803,747号に基づいており、この優先権を主張するものであり、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
バイオリアクターは、生物学的反応またはプロセスが実験室規模または工業規模で実行され得る装置であり、バイオ医薬品産業内で広く使用されている。バイオリアクターは、すべての異なるタイプの生物産物を産生するために使用することができる。生物産物は、例えば、細胞培養物、ならびに飲料、バイオ燃料、バイオエネルギー、バイオケミカル、抗生物質、アミノ酸、酵素、モノクローナル抗体、モノマー、タンパク質、食品培養物、バイオポリマー、アルコール、着香料、および芳香剤などを含む、細胞培養物に由来する材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、細胞培養物は、細胞療法のために増殖することができる。細胞療法は、エクスビボで操作または改変された自己、同種異系、または異種細胞の投与によるヒトにおける疾患または傷害の予防、治療、治癒、または緩和である。細胞療法の1つの目標は、損傷した組織または臓器を修復、置き換え、または復元することである。
【0003】
細胞培養物は、典型的には、生体物質が反応時間の終了までバイオリアクター内に留まるバッチプロセスにおいて一般的に増殖される。これらのプロセスのうち特定のものにおいて、バイオリアクターに含有される流体培地が、流体培地に含有される栄養分を補充するために、およびおそらくはプロセス期間中に産生された損傷による副産物を除去するために、定期的または連続的に除去および再供給され得る。
【0004】
細胞培養物の増殖中、様々な流体が製剤化され、プロセスの異なる部分に供給される。そのような流体は、栄養培地、様々な異なるタイプの試薬、および緩衝液製剤を含むことができる。緩衝液製剤は、例えば、細胞培養物内で所望のpHレベルを維持するために使用されるだけでなく、最終産物の精製中に多くの下流プロセスで使用される。例えば、緩衝液製剤は、クロマトグラフィー中および/または様々な異なる濾過動作中に使用される。しかしながら、1つのユニットの動作プロセスに必要な緩衝液製剤は、他のプロセスに必要な緩衝液製剤と非常に異なる場合がある。
【0005】
過去に、大量の異なる緩衝液製剤を大型タンクに貯蔵し、必要に応じてバイオプロセスに供給した。しかしながら、個々の緩衝液製剤を大量に維持することは、非効率的であり得、かなりの量のスペースを必要とし得、柔軟性をほとんどまたは全く提供することができない。さらに、バイオプロセスの複雑さが増加するにつれて、異なる緩衝液製剤の数は増加し続け、それによって上記の問題を悪化させる。
【0006】
上記を考慮して、緩衝溶液を連続的かつインラインで製剤化することができるインライン緩衝液製剤システムの必要性が存在する。しかしながら、緩衝溶液をインラインで製剤化する際の1つの問題は、緩衝液製剤が所望の濃度の所望の量の緩衝成分を含有することを確実にするために、異なる溶液の品質管理を維持する能力である。したがって、緩衝液製剤を産生するためのインラインシステムだけでなく、緩衝産物が正しく製剤化されることも確実にするための監視および制御システムに対する必要性も存在する。
【発明の概要】
【0007】
一般に、本開示は、複数の緩衝溶液を混合して、下流プロセスのための最終緩衝産物を産生することができるインライン緩衝液製剤システムおよび方法を対象とする。本開示によれば、緩衝産物は、最終緩衝産物が異なる下流プロセス要件の所望の緩衝液仕様を満たすことを確認するために、最終緩衝産物内に含有される緩衝成分が事前設定された制限値内に維持されることを確実にするために監視され得る。一実施形態において、例えば、複数の緩衝溶液から製剤化される最終緩衝産物の変化を監視するオルトガノール法が利用される。
【0008】
一実施形態において、例えば、本開示は、生物産物に供給するための緩衝産物を製剤化するためのプロセスを対象とする。プロセスは、複数の緩衝溶液を組み合わせて最終緩衝産物を形成するステップを含む。複数の緩衝溶液は、少なくとも第1の緩衝溶液および第2の緩衝溶液を含むことができる。様々な実施形態において、プロセスは、第3の緩衝溶液、第4の緩衝溶液、第5の緩衝溶液などを含むことができる。最終緩衝産物の導電率、pH、および/または温度は、最終緩衝産物が製剤化された後に測定される。加えて、最終緩衝産物に対して屈折率を測定する。次いで、測定された導電率を、事前設定された導電率範囲と比較する。さらに、測定された屈折率を、事前設定された屈折率範囲と比較する。次に、緩衝産物の導電率および屈折率を事前設定された範囲内に維持するために、他の緩衝溶液に対する緩衝溶液のうちの少なくとも1つの流量を選択的に調整する。一実施形態において、最終緩衝産物はインラインで形成され、プロセスは連続的である。さらに、最終緩衝産物の導電率および屈折率は、緩衝産物が製剤化されているときに連続的に監視することができる。1つ以上のマイクロプロセッサなどの制御装置を利用し、導電率および屈折率データを受け取るように構成することができ、測定されたパラメータに基づいて緩衝溶液の流量を自動的に制御することができる。最終緩衝産物の導電率および最終緩衝産物の屈折率は、事前設定された制限値を有することができる。事前設定された屈折率範囲は、事前設定された屈折率制限値の約10%以内とすることができる。同様に、事前設定された導電率範囲は、事前設定された導電率制限値の約10%以内とすることができる。一実施形態において、各緩衝溶液の屈折率は、各緩衝溶液が組み合わされて最終緩衝産物を形成するときに測定することもできる。各緩衝溶液の測定された屈折率は、それぞれの流量を判定する際に使用するために制御装置に供給することもできる。
【0009】
緩衝溶液の各々は、様々な異なる緩衝成分を含有することができる。例えば、緩衝溶液のうちの少なくとも1つは、最終緩衝産物中で希釈されるようになる濃縮緩衝成分を含有することができる。緩衝溶液に含有され得る緩衝成分としては、トリシン、ビシン、スルホン酸、カコジレートナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸、グリシンアミド、またはアセトアミドグリシンが挙げられる。一実施形態において、第1の緩衝溶液および第2の緩衝溶液は、少なくとも1つの共通のカチオンまたはアニオンを含む。
【0010】
最終緩衝産物は、インラインで変更し、様々な下流プロセスに供給することができる。例えば、緩衝産物は、例えば、哺乳動物細胞を含有する細胞培養物に供給することができる。他の実施形態において、最終緩衝産物は、クロマトグラフィープロセスおよび/または濾過プロセスに供給することができる。
【0011】
本開示はまた、緩衝産物を製剤化するためのシステムも対象とする。一実施形態において、システムは、細胞培養物を受け取るための中空内部を画定するバイオリアクターを含む。バイオリアクターは、中空内部からの材料を供給および/または除去するための複数のポートを含むことができる。栄養培地をバイオリアクターの中空内部に供給するために、栄養培地供給部を含むことができる。栄養素培地供給部は、バイオリアクター上のポートのうちの少なくとも1つと流体連通することができる。システムは、バイオリアクター上のポートのうちの1つと連通することができる、および/またはバイオリアクターに含有される細胞および/または細胞から収集された生物産物を処理する様々な下流プロセスと連通することができる緩衝産物供部をさらに含むことができる。緩衝産物供給部は、複数の緩衝溶液供給部と連通している。緩衝溶液供給部は、緩衝溶液を保持するように構成されており、その後、緩衝産物を製剤化するために、制御された比率で一緒に組み合わされる。
【0012】
本開示によれば、システムは、形成されている緩衝産物の温度を測定するための温度センサ、形成されている緩衝産物の導電率を測定するための導電率プローブ、pHを測定するためのpHセンサ、および形成されている緩衝産物の屈折率を測定するための屈折率測定デバイスをさらに含む。温度センサ、pHセンサ、導電率プローブ、および屈折率測定デバイスは、温度測定値、pH測定値、導電率測定値、および屈折率測定値を受け取る制御装置と連通することができる。制御装置は、導電率測定値および/または屈折率測定値のうちの少なくとも特定のものに基づいて、緩衝産物を事前設定された制限値内に維持するための1つ以上の緩衝溶液の流れを選択的に増加または減少させるように構成されている。例えば、緩衝溶液供給部の各々は、各緩衝溶液供給部からの緩衝溶液の流れを制御するための流れ制御デバイスを含むことができる。制御装置は、流量を選択的に調整するために、流量制御デバイスの各々を制御するように構成することができる。
【0013】
本開示の他の特徴および態様を、以下でより詳細に考察する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の完全かつ有効な開示は、添付の図面を参照することを含む、本明細書の残りの部分でより具体的に記載されている。
図1】本開示に従って作製されたバイオリアクターシステムの一実施形態の概略図である。
図2】本開示に従って作製された緩衝液製剤システムの一実施形態の概略図である。
【0015】
本明細書および図面における参照符号の使用の繰返しは、本発明の同じまたは類似の特徴または要素を表すことが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本考察は、例示的な実施形態の説明に過ぎず、本開示のより広い態様を制限するようには意図されないものと当業者には理解されるであろう。
【0017】
一般に、本開示は、異なる緩衝産物を産生するためのプロセスおよびシステムを対象とする。緩衝産物は、インラインで形成され、バイオプロセス内で発生する様々な動作に供給され得る。バイオプロセスは、例えば、酵素、またはタンパク質などの生物産物を産生するために細胞培養物を増殖させるためのバイオリアクターを含むことができる。バイオプロセスは、下流クロマトグラフィーおよび/または濾過などの精製システムをさらに含んでもよい。本開示によれば、緩衝液製剤は、複数の緩衝溶液からインラインで形成され、バイオプロセス内で発生する様々な異なるサブプロセスに供給することができる。製剤化された緩衝産物は、例えば、バイオリアクター、クロマトグラフィー動作、および/または濾過動作に供給することができる。本開示によれば、様々な制御部は、バイオプロセス内のサブプロセスに供給される前に、緩衝産物が所望の成分を所望の濃度で含有していることを確実にするために、緩衝液製剤システムに組み込むことができる。
【0018】
例えば、一実施形態において、複数の緩衝溶液から製剤化される緩衝産物の変化を監視するオルトガノール法が利用される。例えば、緩衝産物の導電率、屈折率、および/またはpHを連続的に監視することができる。マイクロプロセッサなどの制御装置は、緩衝産物が目標仕様を満たすことを確認するように構成することができる。一実施形態において、制御装置は、緩衝産物が仕様内に留まっていることを確実にするために、異なる緩衝溶液供給部を制御することによって、緩衝産物に変更を加えるように構成することができる。
【0019】
緩衝産物が複数の緩衝溶液から産生されるため、一実施形態において、緩衝産物は、導電率および屈折率に対して連続的に監視することができる。これらの測定値の両方は、緩衝産物流体の異なる特性を測定する。本開示によれば、緩衝産物が仕様内にあることを確実にするために、両方の測定値を組み合わせて使用する。
【0020】
導電率測定値は、例えば、溶液が電流を伝達する能力を測定する。導電率は、例えば、緩衝産物内の溶解溶質の量または濃度を示す。緩衝産物の導電率を測定することにより、溶液中の導電性イオンの濃度を比較的正確に評価することができるが、導電率測定にはいくつかの欠点がある。特に、導電率測定は、非イオン性および弱いイオン性物質を含有する溶液の濃度を測定する能力に制限がある。
【0021】
導電率測定で発生し得る別の欠点は、共通のアニオンまたはカチオンを有し得る溶質間の差を識別する能力である。例えば、同じアニオンまたはカチオンを有する複数の溶質を含有する溶液、例えば、リン酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムの両方を含有する溶液の導電率測定は、溶質の各々が正しい割合で溶液中にあるかどうかを判定するのに十分な情報を提供しない。
【0022】
これに関して、緩衝産物の導電率は、屈折率の測定値と併せて測定される。屈折率測定は、培地中の光の速度の測定である。液体中の屈折率は、溶質の濃度が変化するにつれて変化する。したがって、異なる濃度の所与の溶質を有する溶液は、異なる屈折率を有するであろう。導電率とは異なり、屈折率測定値はイオンの強度に依存しない。
【0023】
したがって、導電率および屈折率測定値は、異なる様式であっても、溶液に関する比較的瞬時の情報を提供することができる。本開示によれば、緩衝産物が適切な成分および正しい濃度で作製されることを確実にするために、緩衝産物の導電率測定および屈折率測定の両方が行われる。両方の測定技術の使用を通じて、本開示は、事前設定された濃度範囲内で緩衝産物を維持するためのオルソガノールモニタリングシステムを使用する。
【0024】
緩衝液製剤システムによって作製された緩衝産物の導電率および屈折率の両方を監視することは、様々な利点および利点を提供することができる。例えば、導電率測定単独でも屈折率測定単独でも、緩衝産物内に含有される様々な成分の濃度に関する十分な情報および詳細を提供しない。導電率と屈折率の両方を監視すること、およびこれらの測定値の各々を組み合わせて比較することによって、緩衝産物中の成分の濃度を判定するために必要な推定または推測作業の量が最小限に抑えられる。屈折率測定値および導電率測定値の両方を使用することは、例えば、個々の緩衝産物を識別し、実際に見分けるのに役立ち、これは、緩衝産物をインラインかつリアルタイムで作成するときに非常に有用であり得る。
【0025】
一実施形態において、緩衝産物を産生するためのシステムおよびプロセスは、細胞培養物の収穫中にバイオプロセス内で発生する。本開示に従って作製した緩衝産物は、バイオリアクターに直接供給することができるが、多くの下流プロセスでも使用することができる。例示の目的のみのために、図1は、本開示に従う緩衝産物を産生するためのシステムおよびプロセスを組み込むことができるバイオプロセスの一例を例示する。バイオリアクターシステムは、バイオリアクター10を含む。一般に、本開示のシステムおよびプロセスは、任意の好適なバイオリアクターを使用することができる。バイオリアクターは、例えば、発酵器、撹拌タンク反応器、接着性バイオリアクター、波形バイオリアクター、使い捨てバイオリアクターなどを備えてもよい。図1に示す実施形態において、バイオリアクター10は、流体増殖培地内で細胞培養物を受け取るためのバイオリアクター体積12を含む中空容器または容器を備える。図1に示すように、バイオリアクターシステムは、デュアルインペラ16および18などの撹拌器およびモータ24に結合される回転軸14をさらに含むことができる。
【0026】
バイオリアクター10は、様々な異なる材料から作製することができる。一実施形態において、例えば、バイオリアクター10は、ステンレス鋼などの金属から作製することができる。あるいは、バイオリアクター10は、剛性ポリマーまたは可撓性ポリマーフィルムから作製された単回使用バイオリアクターを備えてもよい。
【0027】
バイオリアクター10は、任意の好適な体積を有することができる。例えば、バイオリアクター10の容積は、0.1mL~約25,000L以上とすることができる。例えば、バイオリアクター10の体積12は、約0.5L超、例えば約1L超、例えば約5L超、例えば約10L超とすることができる。バイオリアクター10の体積は、概して、約25,000L未満、例えば約15,000L未満、例えば約10,000L未満、例えば約5,000L未満、例えば約1,000L未満、例えば約100L未満、例えば約50L未満、例えば約20L未満である。
【0028】
インペラ16および18に加えて、バイオリアクター10は、生体細胞の培養および増殖を可能にする、バッフル、スパージャー、ガス供給部、熱交換器、または熱循環器ポートなどの様々な追加の機器を含むことができる。例えば、図1に示す実施形態において、バイオリアクター10は、スパージャー20およびバッフル22を含む。
【0029】
図1に示すように、バイオリアクター10はまた、複数のポートも含む。ポートは、流体およびその他の材料を追加および除去するための、バイオリアクター10に入る、およびバイオリアクター10から出る供給ライン(supply line)および供給ライン(feed line)を含むことができる。さらに、1つ以上のポートは、バイオリアクター10内の状態を監視するための1つ以上のプローブに接続するためのものであってもよい。加えて、バイオリアクター10は、バイオリアクター内の培養物の質量を測定するために、ロードセルと関連付けて配置することができる。
【0030】
図1に示す実施形態において、バイオリアクター10は、バイオリアクターから材料を連続的または定期的に引き出すために流出部28に接続された底部ポート26を含む。材料は、任意の好適な方法を使用してバイオリアクター10から引き出すことができる。例えば、代替の実施形態において、浸漬管を使用してバイオリアクター10からの流出液をバイオリアクターの上部から除去することができる。さらに、バイオリアクター10は、ポート30、32、および34などの複数の上部ポートを含む。ポート30は、第1の流体供給部36と流体連通しており、ポート32は、第2の供給部38と流体連通しており、ポート34は、第3の供給部40と流体連通している。供給部36、38、および40は、栄養培地などの様々な異なる材料をバイオリアクター10に供給するためのものである。
【0031】
図1に示すように、バイオリアクターは、複数の栄養供給部と連通することができる。このようにして、栄養培地は、単一の栄養分のみを含有する栄養培地をバイオリアクターに供給することで、プロセス中のバイオリアクター内の栄養分の濃度をより適切に制御することができる。加えて、または代替的に、異なる供給ラインは、バイオリアクターに別々にガスおよび液体を供給するために使用することができる。
【0032】
細胞培養物がバイオリアクター10内で増殖すると、一実施形態において、細胞培養物は、生物産物を収穫するための収穫システムに供給される。図示しないが、例えば、システムは、収穫タンク、および遠心分離器を含んでもよい。多くのシステムでは、収穫されている生物産物は次いで、下流精製プロセスに供給することができる。例えば、図1では、バイオリアクター10から収穫された生物産物は、第1の濾過デバイス42、クロマトグラフィーデバイス44、および第2の濾過デバイス46に供給することができる。図1に例示されるシステムは、単なる例示であり、システムは、所望に応じて、2つ以上のクロマトグラフィーデバイス、2つ未満の濾過デバイス、または2つ以上の濾過デバイスを含むことができることを理解されたい。
【0033】
濾過デバイス42および46は、様々な濾過機構を含んでもよい。例えば、一実施形態において、濾過デバイスのうちの1つは、接線流濾過(TFF)デバイスを備えてもよい。接線流濾過デバイスは、例えば、産物流の透析濾過を可能にし得る。接線流濾過デバイスは、体積低減および透析濾過の2つの段階を含んでもよい。体積低減ステップ中、細胞培養物のかさ体積は、保持タンク内で所望の産物濃度に達するまで、フィルタの透過液側を通して濾過される。体積低減段階の後の透析濾過段階では、濃縮産物を緩衝液などの流体で洗浄して、望ましくないかまたは許容されない細胞培養物または収穫培地成分を除去する。さらなる体積低減は、所望の産物密度に到達するために、透析濾過後にも行うことができる。
【0034】
一実施形態において、濾過デバイス42および46は、限外濾過を使用してもよい。限外濾過中、産物流は半透過性膜を通して供給される。高分子量の懸濁固体および溶質として保持され、水および低分子量溶質は、透過物として膜を通過する。限外濾過は、特に、タンパク質溶液の精製および濃縮に適している。一実施形態において、限外濾過は、上述した透析濾過とともに使用することができる。図1に示されるクロマトグラフィーデバイス44は、親和性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーなどの様々な異なるクロマトグラフィー方法を使用してもよい。
【0035】
本開示のプロセスおよびシステムは、例えば、任意の好適なクロマトグラフィー方法を使用することができる。
【0036】
濾過デバイス42および46と同様に、クロマトグラフィーデバイス44はまた、デバイスの適切な動作のための緩衝液も必要とする。クロマトグラフィーデバイス44に必要な緩衝液は、第1の濾過デバイス42に必要な緩衝液とは異なっていてもよく、第2の濾過デバイス46に必要な緩衝液とも異なっていてもよい。また、上述したように、システムは、さらに多くの異なる緩衝液の必要性につながる、より多くの濾過デバイスおよびより多くのクロマトグラフィーデバイスを含むことができる。
【0037】
これに関して、図1に示すように、システムは、緩衝液分配サブシステム50を含む。緩衝液分配サブシステム50を図2により詳細に示す。緩衝液分配サブシステム50は、各々異なる緩衝溶液を含有する複数の緩衝液供給タンクを含む。異なる緩衝溶液は、バイオプロセスに供給するための緩衝産物を製剤化するために使用される。図に示される実施形態において、例えば、システムは、緩衝液供給タンク52、54、56、および58を含む。一般に、システムは、2~約12個の緩衝液供給タンクの任意の場所を含むことができる。図に示される実施形態は、例示的な目的のみのためである。緩衝液供給タンク52、54、56、および58は、異なる緩衝溶液から緩衝産物を製剤化するための混合デバイス60と流体連通している。混合デバイス60は、任意の好適な混合装置を備えることができる。例えば、混合デバイス60は、混合タンクであってもよい。代替の実施形態において、混合デバイス60は、インライン混合デバイスであってもよい。
【0038】
本開示によれば、緩衝産物が緩衝溶液から製剤化されると、最終緩衝産物が緩衝産物が仕様内にあり、正しい成分を正しい割合の量で含有することを確実にするために、緩衝産物を監視する。これに関して、緩衝産物は、様々な異なる測定デバイスと流体連通している。図に示される実施形態において、例えば、システムは、導電率プローブ62と、屈折率測定デバイス64と、pHプローブ66と、を含む。さらに、システムは、温度測定デバイスを含むことができる。屈折率測定値および導電率測定値は、例えば、温度依存性であり得る。これに関して、温度測定デバイスは、導電率プローブ62および/または屈折率測定デバイス64に組み込まれてもよい。
【0039】
図1に示すように、システムは、制御装置70をさらに含むことができる。制御装置は、1つ以上のプログラマブルデバイスまたはマイクロプロセッサを備えてもよい。図示するように、制御装置70は、1つ以上の供給部36、38、および40と、および1つ以上の流出部28と連通ことができる。さらに、制御装置70は、緩衝液分配サブシステム50を制御することができる。例えば、制御装置70は、導電率プローブ62、屈折率測定デバイス64、およびpHプローブ66から測定値および他のデータを受け取るように構成されている。さらに、制御装置70は、緩衝液供給タンク52、54、56、および58の各々からの緩衝溶液の流れを制御することができる。例えば、緩衝液供給タンク52は、流れ制御デバイス72を含み、緩衝液供給タンク54は、流れ制御デバイス74を含み、緩衝液供給タンク56は、流れ制御デバイス76を含み、緩衝液供給タンク58は、流れ制御デバイス78を含む。流れ制御デバイス72、74、76、および78は、混合デバイス60内で緩衝産物を産生するために使用される各それぞれの緩衝溶液の量を制御する。加えて、各流れ制御デバイス72、74、76、および78は、制御装置70と連通しており、制御装置70によって制御される。このようにして、制御装置70は、混合デバイス60内に緩衝産物を製剤化し、形成されている緩衝産物を監視し、所望に応じて修正または変更するために使用され得る。
【0040】
例えば、緩衝産物が製剤化されると、緩衝産物の導電率測定値、屈折率測定値、およびpHを制御装置70に供給することができる。制御装置70は、測定されたパラメータを、各パラメータに対して所定のもしくは事前設定された制限値または所定の範囲と比較することができる。
【0041】
例えば、制御装置70は、導電率プローブ62から導電率測定値を受け取り、測定された導電率を事前設定された導電率範囲と比較することができる。測定された導電率が事前設定された範囲外である場合、制御装置70は、緩衝産物が事前設定された導電率範囲内に留まることを確実にするように是正措置を取るために、流れ制御デバイス72、74、76、および78を制御することによって、緩衝溶液の流量を変更するように構成することができる。同様に、制御装置70は、屈折率測定値を受け取り、それらを事前設定された屈折率範囲と比較することができる。緩衝産物が事前設定された屈折率範囲外にある場合、制御装置70は、緩衝産物を事前設定された屈折率範囲内に維持するために、緩衝溶液の流れを制御し、緩衝溶液の相対的な比率を変更することができる。制御装置70はまた、pHおよび緩衝産物上で行われる任意の他の測定に関して同じ是正措置を取ることができる。緩衝産物を製剤化する際、制御装置70は、緩衝溶液タンク52、54、56、および58の各々に含有される特定の緩衝溶液を使用してプログラムすることができ、バイオプロセス内の1つの場所に供給される所望の緩衝産物を作成するための配合法で事前プログラムすることができる。例えば、図1に示すように、製剤化された特定の生物産物は、供給ポート40を通してバイオリアクター10に、第1の濾過デバイス42に、クロマトグラフィーデバイス44に、または第2の濾過デバイス46に代替的に供給することができる。
【0042】
本導電率範囲および事前設定された屈折率範囲は、様々な異なる要因に基づいて設定および判定することができる。一実施形態において、ある特定の配合法に従って作製された緩衝産物は、特定の温度に従って決定される導電率設定点および屈折率設定点を有する。制御装置70は、導電率設定点および屈折率設定点の許容制限値内にある事前設定された導電率範囲および/または事前設定された屈折率範囲でプログラムすることができる。例えば、一実施形態において、事前設定された導電率範囲は、導電率設定点の約15%以内、例えば約10%以内、例えば約5%以内とすることができる。同様に、屈折率範囲は、約15%以内、例えば、約10%以内、例えば、屈折率設定点の約5%以内とすることができる。
【0043】
緩衝溶液供給タンク52、54、56、および58に含有される緩衝溶液は、特定の用途に応じて変化し得る。一実施形態において、例えば、緩衝溶液のうちの少なくとも1つは、バイオリアクター内などの標的環境内の所与のpHレベルを維持するための重炭酸塩溶液を含有する。緩衝溶液タンクに含有され得る他の緩衝溶液としては、トリシン、ビシン、スルホン酸、カコジル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸、グリシンアミド、アセトアミドグリシン、またはこれらの混合物のうちの少なくとも1つが挙げられる。
【0044】
緩衝溶液に含有され得る様々な緩衝成分には、以下のうちのいずれかが含まれ得る:トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリシン、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジブエタンスルホン酸、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、ピペラジン-N-n’-ビス(2-エタンスルホン酸)、[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸、ビシン、N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]-2-アミノエタンスルホン酸、2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸、カコジル酸ナトリウム、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸、酢酸、2[(2-アミノ-2-オキソエチル)-(カルボキシメチル)アミノ]酢酸、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸、グリシナミド、アセトアミドグリシン、酢酸、またはそれらの混合物。
【0045】
緩衝溶液の各々に含有される異なる緩衝溶液成分を変化させることに加えて、各成分の濃度も変化させることができる。一実施形態において、例えば、緩衝溶液成分は、緩衝産物を製造する際に後に希釈される比較的高い濃度で緩衝溶液中に含有され得る。例えば、一実施形態において、緩衝産物を製剤化するために、蒸留水などの希釈剤も混合デバイス60と連通して配置され得る。
【0046】
緩衝溶液内に含有される緩衝成分の多くは、共通のアニオンまたはカチオンを有する。したがって、多くの緩衝産物は、同じカチオンまたはアニオンを有する緩衝成分を含有するであろう。しかしながら、屈折率測定デバイスと併せて導電率プローブを使用することによって、両方の測定値を使用して、正しい緩衝成分が存在するかどうか、および緩衝成分が所望の濃度レベルで緩衝産物中に存在するかどうかを確認することができる。
【0047】
一実施形態において、制御装置70を使用して、緩衝液供給タンク52、54、56、および58に含有される緩衝溶液のそれぞれを監視することもできる。例えば、図1および2に示すように、各緩衝液供給タンク52、54、56、および58は、対応する屈折率測定デバイス82、84、86、および88と連通することができる。所望される場合、各緩衝液供給タンク52、54、56、および58はまた、導電率プローブおよび/またはpHプローブと連通することができる。導電率測定デバイス82、84、86、および88は、測定値および他のデータを制御装置70に送信することができる。このようにして、制御装置70は、各緩衝溶液の組成をより正確に判定することができる。各緩衝溶液の成分をより正確に知ることによって、制御装置70は、流量をより良好に制御し、緩衝産物を事前設定されたパラメータ範囲内に維持することができる。例えば、一実施形態において、制御装置70は、導電率プローブ62、屈折率測定デバイス64、およびpHプローブ66から測定値を受信し、緩衝産物が事前設定された範囲内にあるかどうかを判定することができる。制御装置70はまた、屈折率測定デバイス82、84、86、および88から個々の緩衝溶液の各々の屈折率測定値を受け取ることができる。緩衝産物が任意の事前設定範囲外にある場合、制御装置70は、次いで、製剤化されている緩衝産物に対して任意の補正を行うために、個々の緩衝溶液の屈折率測定値に基づいて、流れ制御デバイス72、74、76、および78を自動的に制御することができる。プロセスおよびシステムは、インラインで発生することができ、バイオプロセスの異なる段階に送達するための多くの異なる緩衝産物を製剤化するために使用することができる。例えば、バイオリアクター10、第1の濾過デバイス42、クロマトグラフィーデバイス44、および/または第2の濾過デバイス46のために、異なる緩衝産物を製剤化することができる。
【0048】
本明細書に記載されるデバイス、施設、および方法は、原核細胞株および/または真核細胞株を含む任意の所望の細胞株を培養するのに好適である。さらに、実施形態において、デバイス、施設、および方法は、懸濁細胞またはアンカージ依存性(付着性)細胞の培養に好適であり、ポリペプチド産物、核酸産物(例えばDNAもしくはRNA)、または細胞、ならびに/または細胞療法および/またはウイルス療法で使用されるものなどの医薬品および生薬製品の産生のために構成される産生動作に好適である。
【0049】
実施形態において、細胞は、組換え治療産物または診断産物等の産物を発現または産生する。以下により詳細に記載されるように、細胞によって産生される産物の例としては、抗体分子(例えば、モノクローナル抗体、二重特異性抗体)、抗体模倣物(抗原と特異的に結合するが、抗体と構造的に関連しないポリペプチド分子、例えばDARPin、アフィボディ(Affibody)、アドネクチン、またはIgNARなど)、融合タンパク質(例えば、Fc融合タンパク質、キメラサイトカイン)、他の組換えタンパク質(例えば、グリコシル化タンパク質、酵素、ホルモン)、ウイルス治療薬(例えば、抗がん腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子療法およびウイルス免疫療法のためのウイルスベクター)、細胞治療薬(例えば、多能性幹細胞、間葉幹細胞、および成体幹細胞)、ワクチンまたは脂質封入粒子(例えば、エクソソーム、ウイルス様粒子)、RNA(例えば、siRNAなど)もしくはDNA(例えば、プラスミドDNAなど)、抗生物質、またはアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態において、デバイス、施設、および方法は、バイオシミラーを産生するために使用することができる。
【0050】
言及されるように、実施形態において、デバイス、施設、および方法は、真核細胞、例えば、大規模に真核細胞によって合成される、哺乳動物細胞もしくは低級真核細胞、例えば、酵母細胞もしくは糸状真菌細胞、または原核細胞、例えば、グラム陽性もしくはグラム陰性細胞、および/または真核細胞もしくは原核細胞の産物、例えば、タンパク質、ペプチド、抗生物質、アミノ酸、核酸(DNAもしくはRNAなど)の産生を可能にする。本明細書に別段の記載がない限り、デバイス、施設、および方法は、ベンチスケール、パイロットスケール、および完全生産スケール容量を含むが、これらに限定されない任意の所望の容量または生産容量を含むことができる。
【0051】
さらに、本明細書に別段の定めがない限り、デバイス、設備、および方法は、攪拌タンク、エアリフト、繊維、マイクロファイバー、中空繊維、セラミックマトリックス、流動床、固定床、および/またはスプートベッドバイオリアクターを含むがこれらに限定されない、任意の好適な反応器(複数可)を含むことができる。本明細書で使用される場合、「反応器」は、発酵器もしくは発酵ユニット、または任意の他の反応容器を含むことができ、用語「反応器」は、「発酵器」と互換的に使用される。例えば、いくつかの態様では、例示的なバイオリアクターユニットは、栄養素および/または炭素源の供給、好適なガス(例えば、酸素)の注入、発酵または細胞培養培地の入口および出口の流れ、ガスおよび液体相の分離、温度の維持、酸素およびCO2レベルの維持、pHレベルの維持、撹拌(例えば、撹拌)、および/または洗浄/滅菌のうちの1つ以上、またはすべてを実行することができる。発酵ユニットなどの例示的な反応器ユニットは、ユニット内に複数の反応器を含んでよく、例えば、ユニットは、各ユニット内に1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個、または100個以上のバイオリアクターを有することができ、および/または施設内に単一または複数の反応器を有する複数のユニットを含んでよい。様々な実施形態において、バイオリアクターは、バッチ、半供給バッチ、供給バッチ、灌流、および/または連続発酵プロセスに好適であり得る。任意の好適な反応器直径を使用することができる。実施形態では、バイオリアクターは、約100mL~約50,000Lの体積を有し得る。非限定的な例としては、100mL、250mL、500mL、750mL、1リットル、2リットル、3リットル、4リットル、5リットル、6リットル、7リットル、8リットル、9リットル、10リットル、15リットル、20リットル、25リットル、30リットル、40リットル、50リットル、60リットル、70リットル、80リットル、90リットル、100リットル、150リットル、200リットル、250リットル、300リットル、350リットル、400リットル、450リットル、500リットル、550リットル、600リットル、650リットル、700リットル、750リットル、800リットル、850リットル、900リットル、950リットル、1000リットル、1500リットル、2000リットル、2500リットル、3000リットル、3500リットル、4000リットル、4500リットル、5000リットル、6000リットル、7000リットル、8000リットル、9000リットル、10,000リットル、15,000リットル、20,000リットル、および/または50,000リットルの体積である。さらに、好適な反応器は、マルチユース、シングルユース、ディスポーザブル、または非ディスポーザブルでよく、ステンレス鋼(例えば、316Lまたは任意の他の好適なステンレス鋼)ならびにインコネル、プラスチック、および/またはガラスなどの金属合金を含む任意の好適な材料から形成され得る。
【0052】
実施形態において、および本明細書に別段の定めがない限り、本明細書に記載されるデバイス、施設、および方法は、任意の適切なユニット動作および/または別段の定めがない設備、例えば、そのような産物の分離、精製、および分離のための動作および/または設備も含むことができる。任意の適切な設備および環境、例えば、従来のスティック建設設備、モジュラー設備、移動設備および仮設設備、または任意の他の適切な建設、設備、および/またはレイアウトを使用することができる。例えば、ある実施形態では、モジュラークリーンルームを使用することができる。加えて、特に明記しない限り、本明細書に記載されるデバイス、システム、および方法は、単一の場所または施設に収容および/または実行され得るか、あるいは、別個のまたは複数の場所および/または施設に収容および/または実行され得る。
【0053】
参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる非限定的な例として、限定するものではないが、米国公開第2013/0280797号、同第2012/0077429号、同第2011/0280797号、同第2009/0305626号、ならびに米国特許第8,298,054号、同第7,629,167号、および同第5,656,491号は、好適であり得る例示的な施設、設備、および/またはシステムを記載する。
【0054】
実施形態において、細胞は真核細胞、例えば哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞は、例えば、ヒトまたはげっ歯類もしくはウシ細胞系または細胞系統であり得る。そのような細胞、細胞系、または細胞系統の例は、例えば、マウスミエローマ(NSO)-細胞系、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)-細胞系、HT1080、H9、HepG2、MCF7、MDBK Jurkat、NIH3T3、PC12、BHK(ベビーハムスター腎臓細胞)、VERO、SP2/0、YB2/0、Y0、C127、L細胞、COS、例えば、COS1およびCOS7、QC1-3、HEK-293、VERO、PER.C6、HeLA、EB1、EB2、EB3、腫瘍溶解性またはハイブリドーマ-細胞系である。好ましくは、哺乳動物細胞は、CHO細胞系である。一実施形態において、細胞は、CHO細胞である。一実施形態において、細胞は、CHO-K1細胞、CHO-K1SV細胞、DG44 CHO細胞、DUXB11 CHO細胞、CHOS、CHO GSノックアウト細胞、CHO FUT8 GSノックアウト細胞、CHOZN、またはCHO由来細胞である。CHO GSノックアウト細胞(例えば、GSKO細胞)は、例えば、CHO-K1SVGSノックアウト細胞である。CHO FUT8ノックアウト細胞は、例えば、プロテリジェント(登録商標)CHOK1SV(Lonza Biologics,Inc.)である。真核細胞は、鳥類の細胞、細胞系または細胞系統、例えば、EBx(登録商標)細胞、EB14、EB24、EB26、EB66、またはEBvl3などであり得る。
【0055】
一実施形態において、真核細胞は幹細胞である。幹細胞は、例えば、胚性幹細胞(ESC)、成人幹細胞、誘導多能性幹細胞(iPSC)、組織特異的幹細胞(例えば、造血幹細胞)、および間葉系幹細胞(MSC)を含む多能性幹細胞であり得る。
【0056】
一実施形態において、細胞は、細胞療法のためのものである。
【0057】
一実施形態において、細胞は、T細胞または免疫細胞を含んでよい。例えば、細胞は、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、腫瘍浸潤リンパ球、単球、またはメガ核酸球などを含むことができる。
【0058】
一実施形態において、細胞は、本明細書に記載される細胞のいずれかの分化形態である。一実施形態において、細胞は、培養中の任意の一次細胞に由来する細胞である。
【0059】
実施形態において、細胞は、ヒト肝細胞、動物肝細胞、または非実質細胞などの肝細胞である。例えば、細胞は、プレーティング可能な代謝機能のあるヒト肝細胞、プレーティング可能な誘導機能のあるヒト肝細胞、プレーティング可能なQualyst Transporter Certified(商標)ヒト肝細胞、懸濁機能のあるヒト肝細胞(10ドナーおよび20ドナーがプールされた肝細胞を含む)、ヒト肝臓のクッパー細胞、ヒト肝臓の星状細胞、イヌ肝細胞(単一およびプールされたビーグル犬肝細胞を含む)、マウス肝細胞(CD-1およびC57BI/6肝細胞を含む)、ラット肝細胞(Sprague-Dawley系、Wistar Han系、およびWistar系肝細胞を含む)、サル肝細胞(カニクイザルまたはアカゲザル肝細胞を含む)、ネコ肝細胞(ドメスティック・ショートヘア肝細胞を含む)、およびウサギ肝細胞(ニュージランドホワイト種肝細胞を含む)であり得る。例示的な肝細胞は、Triangle Research Labs,LLC社(6 Davis Drive Research Triangle Park、North Carolina、米国27709)から市販されている。
【0060】
一実施形態において、真核細胞は、下等真核細胞、例えば、酵母菌細胞(例えば、ピキア属(例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)、およびピキア・アングスタ(Pichia angusta))、Komagataella属(例えば、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)、コマガタエラ・シュードパストリス(Komagataella pseudopastoris)、またはコマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii))、サッカロミセス属(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)、セレビシエ(cerevisiae)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum))、クルイベロミセス属(例えば、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・マルキサヌス(Kluyveromyces marxianus))、カンジダ属(例えば、カンジダ・ユチリス(Candida utilis)、カンジダ・カカオイ(Candida cacaoi)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii))、ゲオトリクム属(例えば、ゲオトリクム・ファーメンタンス(Geotrichum fermentans))、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、またはシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などである。好ましいのは、ピキア・パストリス種である。ピキア・パストリス系統の例は、X33、GS115、KM71、KM71H;およびCBS7435である。
【0061】
一実施形態において、真核細胞は、真菌細胞(例えば、アスペルギルス属(例えばA.niger、A.fumigatus、A.orzyae、A.nidula)、アクレモニウム属(例えばA.thermophilum)、ケトミウム属(例えばC.thermophilum)、クリソスポリウム属(例えばC.thermophile)、コルディセプス属(例えばC.militaris)、コリナスカス属、テノマイセス属、フサリウム属(例えばF.oxysporum)、グロメレラ属(例えばG.graminicola)、ヒポクレア属(例えばH.jecorina)、マグナポルテ属(例えばM.orzyae)、マイセリオフトラ属(例えばM.thermophile)、ネクトリア属(例えばN.heamatococca)、ニューロスポラ属(例えばN.crassa)、ペニシリウム属、スポロトリクム属(例えば、S.thermophile)、チラビア属(例えば、T.terrestris、T.heterothallica)、トリコデルマ属(例えばT.reesei)、またはベルチシリウム属(例えばV.dahlia))である。
【0062】
一実施形態において、真核細胞は、昆虫細胞(例えば、Sf9、Mimic(商標)Sf9、Sf21、High Five(商標)(BT1-TN-5B1-4)、またはBT1-Ea88細胞)、藻類細胞(例えば、アンフォラ属(Amphora)、珪藻類(Bacillariophyceae)、ドナリエラ(Dunaliella)、クロレラ(Chlorella)、クラミドモナス(Chlamydomonas)、藍藻類(Cyanophyta)(シアノバクテリア)、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)、スピルリナ属(Spirulina)、またはオクロモナス属(Ochromonas))、あるいは植物細胞(例えば、単子葉植物(例えば、トウモロコシ、米、小麦、もしくはセタリア属(Setaria))、または双子葉植物(例えば、キャッサバ、ジャガイモ、大豆、トマト、タバコ、アルファルファ、ニセツリガネゴケ(Physcomitrella patens)、もしくはシロイヌナズナ属(Arabidopsis)由来の細胞)である。
【0063】
一実施形態において、細胞は細菌細胞または原核細胞である。
【0064】
実施形態において、原核細胞は、グラム陽性細胞、例えば桿菌(Bacillus)、ストレプトミセス属(Streptomyces)、連鎖球菌属(Streptococcus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、または乳酸杆菌属(Lactobacillus)である。使用することができる桿菌は、例えば、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、B.licheniformis、B.natto、またはB.megateriumである。実施形態において、細胞は、B.subtilis、例えばB.subtilis3NAおよびB.subtilis168である。桿菌は、例えば、Bacillus Genetic Stock Center、Biological Sciences 556(484 West 12th Avenue、Columbus OH 43210-1214)から取得可能である。
【0065】
一実施形態において、原核細胞は、グラム陰性細胞、例えばサルモネラ属菌(Salmonella)、またはEscherichia coli、例えば、TG1、TG2、W3110、DH1、DHB4、DH5a、HMS174、HMS174(DE3)、NM533、C600、HB101、JM109、MC4100、XL1-Blue、およびOrigamiなど、ならびにE.coliB系統細胞、例えば、BL-21またはBL21(DE3)などであり、これらのすべてが市販されている。
【0066】
好適な宿主細胞が、例えば、培養物コレクション、例えばDSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen、およびZellkulturen GmbH、Braunschweig、ドイツ)またはアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection、ATCC)から市販されている。
【0067】
実施形態において、培養された細胞が、治療用途のタンパク質、例えば抗体、例えばモノクローナル抗体および/または組換えタンパク質を産生するのに使用される。実施形態において、培養された細胞は、ペプチド、アミノ酸、脂肪酸、またはその他の有用な生化学的中間体または代謝物を産生する。例えば、実施形態において、約4000ダルトン~約140,000ダルトンを超える分子量を有する分子を産生することができる。実施形態において、これらの分子は、ある範囲の複雑性を有する可能性があり、またグリコシル化を含む翻訳後修飾を含み得る。
【0068】
実施形態において、タンパク質は、例えば、ボトックス、Myobloc、Neurobloc、Dysport(またはボツリヌス神経毒素のその他の血清型)、アルグルコシダーゼアルファ、ダプトマイシン、YH-16、絨毛性ゴナドトロピンアルファ、フィルグラスチム、セトロレリックス、インターロイキン-2、アルデスロイキン、テセロイキン(teceleulin)、デニロイキンジフチトクス、インターフェロンアルファn3(注射剤)、インターフェロンアルファnl、DL-8234、インターフェロン、サントリー(ガンマ-1a)、インターフェロンガンマ、サイモシンアルファ1、タソネルミン、ジギファブ、ViperaTAb、EchiTAb、CroFab、ネシリチド、アバタセプト、アレファセプト、Rebif、エプトテルミンアルファ、テリパラチド(骨粗鬆症)、カルシトニン注射用(骨疾患)、カルシトニン(鼻腔、骨粗鬆症)、エタネルセプト、ヘモグロビングルタマー250(ウシ)、ドロトレコギンアルファ、コラゲナーゼ、カルペリチド、組換えヒト上皮増殖因子(局所用ゲル、創傷治癒)、DWP401、ダルベポエチンアルファ、エポエチンオメガ、エポエチンベータ、エポエチンアルファ、デシルジン、レピルジン、ビバリルジン、ノナコグアルファ、モノニン(Mononine)、エプタコグアルファ(活性化)、組換え第VIII因子+VWF、リコンビナート(Recombinate)、組換え第VIII因子、第VIII因子(組換え)、アルフマート、オクトコグアルファ、第VIII因子、パリフェルミン、インジキナーゼ、テネクテプラーゼ、アルテプラーゼ、パミテプラーゼ、レテプラーゼ、ナテプラーゼ、モンテプラーゼ、フォリトロピンアルファ、rFSH、hpFSH、ミカファンギン、ペグフィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチム、セルモレリン、グルカゴン、エキセナチド、プラムリンチド、イミグルセラーゼ(iniglucerase)、ガルスルファーゼ、ロイコトロピン、モルグラモスチム(molgramostirn)、トリプトレリンアセテート、ヒストレリン(皮下移植、ハイドロン(Hydron))、デスロレリン、ヒストレリン、ナファレリン、ロイプロリド持続放出型デポ(アトリゲル(ATRIGEL))、ロイプロリドインプラント(デュロス(DUROS))、ゴセレリン、ユートロピン、KP-102プログラム、ソマトロピン、メカセルミン(増殖不全)、エンルファビルチド(enlfavirtide)、Org-33408、インスリングラルギン、インスリングルリジン、インスリン(吸入式)、インスリンリスプロ、インスリンデテミル(insulindeternir)、インスリン(バッカル、RapidMist)、メカセルミンリンファバート、アナキンラ、セルモロイキン、99mTc-アプシタイド注射剤、ミエロピド、ベタセロン(Betaseron)、酢酸グラチラマー、ゲポン(Gepon)、サルグラモスチム、オプレルベキン、ヒト白血球由来のアルファインターフェロン、ビリブ(Bilive)、インスリン(組換え)、組換えヒトインスリン、インスリンアスパルト、メカセルミン(mecasenin)、ロフェロン-A(Roferon-A)、インターフェロン-アルファ2、アルファフェロン(Alfaferone)、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ、Avonex社の組換えヒト黄体形成ホルモン、ドルナーゼアルファ、トラフェルミン、ジコノチド、タルチレリン、ジボテルミンアルファ、アトシバン、ベカプレルミン、エプチフィバチド、ゼマイラ(Zemaira)、CTC-111、シャンバック-B(Shanvac-B)、HPVワクチン(四価)、オクトレオチド、ランレオチド、アンセスチム(ancestirn)、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、酢酸プレザチド銅(局所用ゲル)、ラスブリカーゼ、ラニビズマブ、アクティミューン(Actimmune)、PEG-イントロン、トリコミン(Tricomin)、組換えチリダニアレルギー脱感作注射剤、組換えヒト副甲状腺ホルモン(PTH)1-84(sc、骨粗鬆症)、エポエチンデルタ、トランスジェニックアンチトロンビンIII、グランジトロピン(Granditropin)、ビトラーゼ(Vitrase)、組換えインスリン、インターフェロンアルファ(口腔ロゼンジ)、GEM-21S、バプレオチド、イデュルスルファーゼ、オマパトリラート(omnapatrilat)、組換え血清アルブミン、セルトリズマブペゴル、グルカルピダーゼ、ヒト組換えC1エステラーゼ阻害剤(血管性浮腫)、ラノテプラーゼ、組換えヒト成長ホルモン、エンフビルチド(針を使用しない注射、Biojector2000)、VGV-1、インターフェロン(アルファ)、ルシナクタント、アビプタジル(吸入式、肺疾患)、イカチバント、エカランチド、オミガナン、オーログラブ(Aurograb)、ペキシガナンアセテート、ADI-PEG-20、LDI-200、デガレリクス、シントレデキンベスドトクス(cintredelinbesutodox)、Favld、MDX-1379、ISAtx-247、リラグルチド、テリパラチド(骨粗鬆症)、チファコギン、AA4500、T4N5リポソームローション、カツマキソマブ、DWP413、ART-123、クリサリン(Chrysalin)、デスモテプラーゼ、アメジプラーゼ、コリフォリトロピンアルファ、TH-9507、テデュグルチド、ディアミド(Diamyd)、DWP-412、成長ホルモン(持続放出型注射剤)、組換えG-CSF、インスリン(吸入式、AIR)、インスリン(吸入式、Technosphere)、インスリン(吸入式、AERx)、RGN-303、DiaPep277、インターフェロンベータ(C型肝炎ウイルス性感染症(HCV))、インターフェロンアルファn3(口腔用)、ベラタセプト、経皮インスリンパッチ、AMG-531、MBP-8298、キセレセプト(Xerecept)、オペバカン、AIDSVAX、GV-1001、リンホスキャン(LymphoScan)、ランピルナーゼ、リポキシサン(Lipoxysan)、ルスプルチド、MP52(ベータ-リン酸三カルシウム担体、骨再生)、メラノーマワクチン、シプリューセル-T、CTP-37、インセジア(Insegia)、ビテスペン、ヒトトロンビン(凍結品、外科的出血)、トロンビン、TransMID、アルフィメプラーゼ、プリカーゼ(Puricase)、テルリプレシン(静脈内、肝腎症候群)、EUR-1008M、組換えFGF-I(注入型、血管疾患)、BDM-E、ロチガプチド、ETC-216、P-113、MBI-594AN、デュラマイシン(吸入式、嚢胞性繊維症)、SCV-07、OPI-45、エンドスタチン(Endostatin)、アンジオスタチン(Angiostatin)、ABT-510、ボーマン-バークインヒビター濃縮品、XMP-629、99mTc-Hynic-アネキシンV、カハラリドF、CTCE-9908、テベレリクス(徐放型)、オザレリクス、ロミデプシン(rornidepsin)、BAY-504798、インターロイキン4、PRX-321、ペプスキャン(Pepscan)、イボクタデキン、rhラクトフェリン、TRU-015、IL-21、ATN-161、シレンギチド、アルブフェロン(Albuferon)、ビファジックス(Biphasix)、IRX-2、オメガインターフェロン、PCK-3145、CAP-232、パシレオチド、huN901-DMI、卵巣癌免疫療法ワクチン、SB-249553、オンコバックス-CL(Oncovax-CL)、オンコバックス-P(OncoVax-P)、BLP-25、セルバックス(CerVax)-16、マルチエピトープペプチド・メラノーマワクチン(MART-1、gp100、チロシナーゼ)、ネミフィチド、rAAT(吸入式)、rAAT(皮膚科学)、CGRP(吸入式、喘息)、ペグスネルセプト、サイモシンベータ4、プリチデプシン、GTP-200、ラモプラニン、グラスパ(GRASPA)、OBI-1、AC-100、サケカルシトニン(口腔、エリゲン)、カルシトニン(口腔用、骨粗鬆症)、エキサモレリン、カプロモレリン、カルデバ(Cardeva)、ベラフェルミン、131I-TM-601、KK-220、T-10、ウラリチド、デペレスタット、ヘマタイド、クリサリン(Chrysalin)(局所用)、rNAPc2、組換え第VIII因子(ペグ化されたリポソーム)、bFGF、ペグ化された組換えスタフィロキナーゼバリアント、V-10153、ソノリシスプロリーゼ(SonoLysis Prolyse)、ニューロバックス(NeuroVax)、CZEN-002、島細胞新生治療、rGLP-1、BIM-51077、LY-548806、エキセナチド(制御放出、Medisorb)、AVE-0010、GA-GCB、アボレリン、ACM-9604、リナクロチドアセテート(linaclotid eacetate)、CETi-1、ヘモスパン(Hemospan)、VAL(注入型)、速効性インスリン(注射用、Viadel)、鼻腔内インスリン、インスリン(吸入式)、インスリン(口腔用、エリゲン)、組換えメチオニルヒトレプチン、ピトラキンラ(皮下注射剤、湿疹)、ピトラキンラ(吸入式乾燥粉末、喘息)、マルチカイン(Multikine)、RG-1068、MM-093、NBI-6024、AT-001、PI-0824、Org-39141、Cpn10(自己免疫疾患/炎症)、タラクトフェリン(局所用)、rEV-131(眼科用)、rEV-131(呼吸器系疾患)、口腔用組換えヒトインスリン(糖尿病)、RPI-78M、オプレルベキン(口腔用)、CYT-99007 CTLA4-lg、DTY-001、バラテグラスト、インターフェロンアルファn3(局所用)、IRX-3、RDP-58、タウフェロン(Tauferon)、胆汁酸塩刺激リパーゼ、メリスパーゼ(Merispase)、アルカリホスファターゼ(alaline phosphatase)、EP-2104R、メラノタン(Melanotan)-II、ブレメラノチド、ATL-104、組換えヒトマイクロプラスミン、AX-200、SEMAX、ACV-1、Xen-2174、CJC-1008、ダイノルフィンA、SI-6603、LAB GHRH、AER-002、BGC-728、マラリアワクチン(ビロソーム、PeviPRO)、ALTU-135、パルボウイルスB19ワクチン、インフルエンザワクチン(組換えノイラミニダーゼ)、マラリア/HBVワクチン、炭疽病ワクチン、Vacc-5q、Vacc-4x、HIVワクチン(口腔用)、HPVワクチン、Tatトキソイド(Tat Toxoid)、YSPSL、CHS-13340、PTH(1-34)リポソームクリーム(Novasome)、オスタボリン-C(Ostabolin-C)、PTH類似体(局所用、乾癬)、MBRI-93.02、MTB72Fワクチン(結核)、MVA-Ag85Aワクチン(結核)、FARA04、BA-210、組換えペストFIVワクチン、AG-702、OxSODrol、rBetVI、Der-p1/Der-p2/Der-p7アレルゲン標的ワクチン(塵性ダニアレルギー)、PR1ペプチド抗原(白血病)、突然変異体rasワクチン、HPV-16E7リポペプチドワクチン、ラビリンチンワクチン(腺癌)、CMLワクチン、WT1-ペプチドワクチン(がん)、IDD-5、CDX-110、ペントリス(Pentrys)、ノレリン(Norelin)、CytoFab、P-9808、VT-111、イクロカプチド、テルベルミン(皮膚科学用、糖尿病の足部潰瘍)、ルピントリビル、レティキュロース、rGRF、HA、アルファガラクトシダーゼA、ACE-011、ALTU-140、CGX-1160、アンジオテンシン治療ワクチン、D-4F、ETC-642、APP-018、rhMBL、SCV-07(
口腔用、結核)、DRF-7295、ABT-828、ErbB2特異的免疫毒素複合体(抗がん)、DT3SSIL-3、TST-10088、PRO-1762、コンボトックス(Combotox)、コレシストキニン-B/ガストリン受容体結合ペプチド、111In-hEGF、AE-37、トラスツズマブ(trasnizumab)-DM1、アンタゴニストG、IL-12(組換え)、PM-02734、IMP-321、rhlGF-BP3、BLX-883、CUV-1647(局所用)、L-19に基づく放射免疫療法(がん)、Re-188-P-2045、AMG-386、DC/1540/KLHワクチン(がん)、VX-001、AVE-9633、AC-9301、NY-ESO-1ワクチン(ペプチド)、NA17.A2ペプチド、メラノーマワクチン(パルス式抗原治療)、前立腺癌ワクチン、CBP-501、組換えヒトラクトフェリン(ドライアイ)、FX-06、AP-214、WAP-8294A(注入用)、ACP-HIP、SUN-11031、ペプチドYY[3-36](肥満、鼻腔内)、FGLL、アタシセプト、BR3-Fc、BN-003、BA-058、ヒト副甲状腺ホルモン1-34(鼻腔用、骨粗鬆症)、F-18-CCR1、AT-1100(セリアック病/糖尿病)、JPD-003、PTH(7-34)リポソームクリーム(Novasome)、デュラマイシン(眼科用、ドライアイ)、CAB-2、CTCE-0214、グリコペグ化エリスロポエチン、EPO-Fc、CNTO-528、AMG-114、JR-013、第XIII因子、アミノカンジン、PN-951、716155、SUN-E7001、TH-0318、BAY-73-7977、テベレリクス(即時放出)、EP-51216、hGH(制御放出、Biosphere)、OGP-I、シフビルチド、TV4710、ALG-889、Org-41259、rhCC10、F-991、チモペンチン(肺疾患)、r(m)CRP、肝臓選択性インスリン、スバリン、L19-IL-2融合タンパク質、エラフィン、NMK-150、ALTU-139、EN-122004、rhTPO、トロンボポイエチン受容体アゴニスト(血小板減少性疾患)、AL-108、AL-208、神経成長因子アンタゴニスト(疼痛)、SLV-317、CGX-1007、INNO-105、経口テリパラチド(エリゲン)、GEM-OS1、AC-162352、PRX-302、LFn-p24融合ワクチン(Therapore)、EP-1043、S肺炎小児ワクチン、マラリアワクチン、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)B群ワクチン、新生児用B群連鎖球菌ワクチン、炭疽病ワクチン、HCVワクチン(gpE1+gpE2+MF-59)、中耳炎の治療、HCVワクチン(コア抗原+ISCOMATRIX)、hPTH(1-34)(経皮用、ViaDerm)、768974、SYN-101、PGN-0052、アビスクムミン、BIM-23190、結核ワクチン、マルチエピトープ・チロシナーゼペプチド、がんワクチン、エンカスチム、APC-8024、GI-5005、ACC-001、TTS-CD3、血管標的TNF(固形腫瘍)、デスモプレシン(バッカル制御放出型)、オネルセプト、およびTP-9201である。
【0069】
ある実施形態において、ポリペプチドは、アダリムマブ(ヒュミラ)、インフリキシマブ(レミケード(商標))、リツキシマブ(リツキサン(商標)/マブテラ(商標))エタネルセプト(ENBREL(商標))、ベバシズマブ(アバスチン(商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン(商標))、ペグリルグラスチム(ニューラスタ(商標))、またはバイオシミラーおよびバイオベターを含む任意の他の好適なポリペプチドである。
【0070】
他の好適なポリペプチドは、以下およびUS2016/0097074の表1に列挙されるものである。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0071】
実施形態において、ポリペプチドは、表2に示されるホルモン、血液凝固/凝固因子、サイトカイン/成長因子、抗体分子、融合タンパク質、タンパク質ワクチン、またはペプチドである。
【表2-1】
【表2-2】
【0072】
実施形態において、タンパク質は、多重特異性タンパク質、例えば、表3に示される二重特異性抗体である。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0073】
本発明に対するこれらおよびその他の改変形態および変化形態は、添付の特許請求の範囲においてより具体的に定める本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、当業者により実践され得る。加えて、様々な実施形態の側面は、全体または一部において交換され得るものと理解すべきである。さらに、上記説明は例示目的に限定されること、およびかかる添付の特許請求の範囲にさらに記載されるような本発明に制限を設けるように意図されないことを当業者は認識するであろう。
図1
図2