(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】UHF帯で動作する受動型無線識別タグのための回路および回路を動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
H04B 5/79 20240101AFI20240814BHJP
H04B 1/59 20060101ALI20240814BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240814BHJP
H04B 5/45 20240101ALI20240814BHJP
H04B 5/48 20240101ALN20240814BHJP
【FI】
H04B5/79
H04B1/59
G06K19/07 090
G06K19/07 170
G06K19/07 230
H04B5/45
H04B5/48
(21)【出願番号】P 2021550312
(86)(22)【出願日】2020-02-19
(86)【国際出願番号】 FR2020050306
(87)【国際公開番号】W WO2020174159
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-12-22
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521380627
【氏名又は名称】アシン
【氏名又は名称原語表記】ASYGN
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲイネ、リオネル デー.
(72)【発明者】
【氏名】ドローム、ニコラ
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/005043(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/00 - 5/79
H04B 1/59
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的な読み取り信号を送信するリーダと無線通信を行うように構成され、前記読み取り信号の一周期は、エネルギ回収段階および通信段階を含む、UHF帯で動作する受動型無線識別タグのための回路(1)であって、
前記エネルギ回収段階において電波からエネルギの貯蔵を蓄積するとともに、前記通信段階において前記リーダと通信するように構成された制御装置(3)と、
外部のアナログセンサを接続するインターフェース(4)と
を備えており、
前記インターフェースは、
前記外部のアナログセンサを接続し、前記外部のアナログセンサに電気を供給するとともに、前記
外部のアナログセンサからアナログ測定値を取得するように構成された電気接続部(41)と、
前記
外部のアナログセンサからの前記アナログ測定値の信号を増幅するように構成された増幅器(42)と、
前記
外部のアナログセンサからの前記増幅されたアナログ測定値をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)(43)と
を備え、
前記エネルギ回収段階は、前記インターフェースが
、前記外部のアナログセンサへの
電気の供給、ならびに前記
外部のアナログセンサからの前記
アナログ測定値の取得、増幅、およびデジタル化を行う取得段階を含んでいる、回路(1)であり、
前記制御装置は、
前記取得段階において、前記インターフェース(4)
を供給
して、前記増幅およびデジタル化された測定値を取得し、
同じ周期の前記通信段階において前記リーダに前記増幅およびデジタル化された測定値を転送する
ようにさらに構成されて
おり、
前記制御装置は、前記取得段階の前かつ同じエネルギ回収段階の最中の始動段階において始動するように構成されており、
前記始動段階と前記取得段階との間において、前記エネルギ回収段階は、当該回路がオフにされ、前記電波からエネルギの貯蔵がもっぱら蓄積される第1の中間エネルギ回収段階をさらに含む、回路(1)。
【請求項2】
周期的な読み取り信号を送信するリーダと無線通信を行うように構成され、前記読み取り信号の一周期は、エネルギ回収段階および通信段階を含む、UHF帯で動作する受動型無線識別タグのための回路(1)であって、
前記エネルギ回収段階において電波からエネルギの貯蔵を蓄積するとともに、前記通信段階において前記リーダと通信するように構成された制御装置(3)と、
外部のアナログセンサを接続するインターフェース(4)と
を備えており、
前記インターフェースは、
前記外部のアナログセンサを接続し、前記外部のアナログセンサに電気を供給するとともに、前記外部のアナログセンサからアナログ測定値を取得するように構成された電気接続部(41)と、
前記外部のアナログセンサからの前記アナログ測定値の信号を増幅するように構成された増幅器(42)と、
前記外部のアナログセンサからの前記増幅されたアナログ測定値をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)(43)と
を備え、
前記エネルギ回収段階は、前記インターフェースが、前記外部のアナログセンサへの電気の供給、ならびに前記外部のアナログセンサからの前記アナログ測定値の取得、増幅、およびデジタル化を行う取得段階を含んでいる、回路(1)であり、
前記制御装置は、
前記取得段階において、前記インターフェース(4)を供給して、前記増幅およびデジタル化された測定値を取得し、
同じ周期の前記通信段階において前記リーダに前記増幅およびデジタル化された測定値を転送する
ようにさらに構成されており、
前記制御装置は、前記取得段階の前かつ同じエネルギ回収段階の最中の始動段階において始動するように構成されており、
前記取得段階の後かつ前記通信段階の前に、前記エネルギ回収段階は、当該回路がオフにされ、前記電波からエネルギの貯蔵がもっぱら蓄積される第2の中間エネルギ回収段階をさらに含む
、回路(1)。
【請求項3】
周期的な読み取り信号を送信するリーダと無線通信を行うように構成され、前記読み取り信号の一周期は、エネルギ回収段階および通信段階を含む、UHF帯で動作する受動型無線識別タグのための回路(1)であって、
前記エネルギ回収段階において電波からエネルギの貯蔵を蓄積するとともに、前記通信段階において前記リーダと通信するように構成された制御装置(3)と、
外部のアナログセンサを接続するインターフェース(4)と
を備えており、
前記インターフェースは、
前記外部のアナログセンサを接続し、前記外部のアナログセンサに電気を供給するとともに、前記外部のアナログセンサからアナログ測定値を取得するように構成された電気接続部(41)と、
前記外部のアナログセンサからの前記アナログ測定値の信号を増幅するように構成された増幅器(42)と、
前記外部のアナログセンサからの前記増幅されたアナログ測定値をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)(43)と
を備え、
前記エネルギ回収段階は、前記インターフェースが、前記外部のアナログセンサへの電気の供給、ならびに前記外部のアナログセンサからの前記アナログ測定値の取得、増幅、およびデジタル化を行う取得段階を含んでいる、回路(1)であり、
前記制御装置は、
前記取得段階において、前記インターフェース(4)を供給して、前記増幅およびデジタル化された測定値を取得し、
同じ周期の前記通信段階において前記リーダに前記増幅およびデジタル化された測定値を転送する
ようにさらに構成されており、
前記制御装置(3)は、前記インターフェースの要素に電気を順次に供給するように構成され、とりわけ前記
外部のアナログセンサを接続する前記電気接続部(41)、前記増幅器、および前記アナログ-デジタル変換器(ADC)に順次に
電気の供給を行うように構成される
、回路(1)。
【請求項4】
周期的な読み取り信号を送信するリーダと無線通信を行うように構成され、前記読み取り信号の一周期は、エネルギ回収段階および通信段階を含む、UHF帯で動作する受動型無線識別タグのための回路(1)であって、
前記エネルギ回収段階において電波からエネルギの貯蔵を蓄積するとともに、前記通信段階において前記リーダと通信するように構成された制御装置(3)と、
外部のアナログセンサを接続するインターフェース(4)と
を備えており、
前記インターフェースは、
前記外部のアナログセンサを接続し、前記外部のアナログセンサに電気を供給するとともに、前記外部のアナログセンサからアナログ測定値を取得するように構成された電気接続部(41)と、
前記外部のアナログセンサからの前記アナログ測定値の信号を増幅するように構成された増幅器(42)と、
前記外部のアナログセンサからの前記増幅されたアナログ測定値をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)(43)と
を備え、
前記エネルギ回収段階は、前記インターフェースが、前記外部のアナログセンサへの電気の供給、ならびに前記外部のアナログセンサからの前記アナログ測定値の取得、増幅、およびデジタル化を行う取得段階を含んでいる、回路(1)であり、
前記制御装置は、
前記取得段階において、前記インターフェース(4)を供給して、前記増幅およびデジタル化された測定値を取得し、
同じ周期の前記通信段階において前記リーダに前記増幅およびデジタル化された測定値を転送する
ようにさらに構成されており、
前記制御装置(3)は、
最初にもっぱら前記電気接続部に
電気の供給を行うことで、前記外部のアナログセンサに
電気の供給を行い、前記
外部のアナログセンサから前記アナログ測定値を取得し、
その後にもっぱら前記増幅器に
電気の供給を行うことで、前記
外部のアナログセンサからの前記アナログ測定値の前記信号を増幅し、
その後にもっぱら前記アナログ-デジタル変換器(ADC)に
電気の供給を行うことで、前記
外部のアナログセンサからの前記増幅されたアナログ測定値をデジタル化する
ように構成される
、回路(1)。
【請求項5】
前記制御装置は、もっぱら前記取得段階において前記インターフェース(4)に電気の供給を行うように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項6】
前記アナログ-デジタル変換器(ADC)によって前記
アナログ測定値をデジタル化した後かつ前記取得段階の最中に、前記デジタル化された測定値が、前記制御装置によって読み取られて記憶される、請求項1~5のいずれか一項に記載の回路(1)。
【請求項7】
UHF帯で動作する受動型無線識別システムであって、
周期的な読み取り信号を送信するように構成され、前記読み取り信号の一周期は、エネルギ回収段階および通信段階を含むリーダと、
請求項1~6のいずれか一項に記載の回路(1)と
を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源を必要とせずに長期間にわたってイベントを記録するためのセンサを備える例えばRFID型の非接触デバイスに関する。本発明は、とくには、周期的な読み取り信号を送信するリーダと無線通信を行うように構成され、読み取り信号の一周期は、エネルギ回収段階および通信段階を含む、UHF帯で動作する受動型無線識別タグのための回路に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から知られているように、RFID型(「Radio Frequency Identification」)の回路は、マーカとも呼ばれる無線タグ(または、「RFIDタグ」)として機能することができ、監視対象の物体に組み合わせられる。回路は、例えば周囲温度、湿度、または加速度など、この物体に関する少なくともいくつかの物理的パラメータを測定するためのセンサを備え、あるいは随意によりインターフェースを介してこのようなセンサに接続される。
【0003】
回路は、一般に、監視対象の物体に貼り付けられた自己接着性ラベルの形態であり、あるいは、おそらくは監視対象の物体に組み込まれたチップの形態である。監視対象の物体は、例えば、測定される少なくとも1つの物理的パラメータによる監視が必要な産業機器、商品、製品、または生物である。
【0004】
一般に、そのようなセンサは、測定モジュールによって取得された測定値を記憶することができるメモリモジュールと、これらの測定値を電磁信号を介して照会元へと送信することができるアンテナと、とくには測定モジュールへの供給のための電源とを備える。
【0005】
そのようなシステムは、一般に、リーダまたはRFID照会器と、監視対象の物体に添えられ、あるいは固定される回路(または、タグ)(または、複数の回路)とを含む。RFIDリーダは、一般に、照会信号と呼ばれるUHF信号をRFID回路へと送信する。UHF信号の使用は、以下の利点を有する:通信速度が速い、多数のタグと同時に通信できる。
【0006】
これらのシステムにおいて使用されるRFIDタグは、一般に、受動型タグであり、具体的には、電池または電力貯蔵手段を含まない。これらのタグは、リーダの信号の搬送波に含まれるエネルギを使用し、リーダから信号の変調されたものをRFIDリーダへと送信する。照会信号のエネルギの少なくとも一部が、エネルギ収集装置によって回収され、タグの構成要素に供給される。受動型タグの利点は、それらが軽量かつ安価であり、長い貯蔵寿命を有することである。
【0007】
受動型RFIDタグは、例えば仏国特許出願公開第3015729号明細書、またはC.Feliniらによる「Fully RF Powered UHF-RFID Sensors Platform」、Procedia Engineering 87(2014)1346-1349に記載されている。RFIDタグは、米国特許出願公開第20080136619号明細書、米国特許出願公開第20130099897号明細書、米国特許第6720866号明細書、中国特許出願公開第104361388号明細書、米国特許第9789738号明細書、または米国特許出願公開第20100231407号明細書からも知られている。
【0008】
しかしながら、UHFの照会信号と受動型タグとを組み合わせて使用すると、受動型タグによって回収されるエネルギが限定的になるため、(とりわけ回路がセンサに接続されている場合に)読み取り距離が短くなり、例えば20cm未満になるという欠点がある。この文脈において、インターフェースを介して回路に接続される外部センサの使用が、とりわけ、このセンサが個別の電子機器(または、デジタル構成要素)を備え、インターフェースがデジタルインターフェース(例えば、SPIまたはI2C)であり、さらには/あるいは外部センサから信号を取得するためのチャネルが過剰なエネルギを消費する場合に、エネルギの大部分を消費する可能性がある。さらに、読み取り時間がきわめて長くなる可能性があり、例えば、500msを超えて続く可能性がある。また、インターフェースを介して接続された回路および外部センサを含むシステムは、デジタルインターフェースが使用される場合に、大きなサイズになる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】仏国特許出願公開第3015729号明細書
【文献】米国特許出願公開第20080136619号明細書
【文献】米国特許出願公開第20130099897号明細書
【文献】米国特許第6720866号明細書
【文献】中国特許出願公開第104361388号明細書
【文献】米国特許第9789738号明細書
【文献】米国特許出願公開第20100231407号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】C. Felini et al. “Fully RF Powered UHF-RFID Sensors Platform”, Procedia Engineering 87(2014)1346-1349
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上述の欠点のすべてまたは一部を取り除くことであり、とりわけ、例えば3メートルにもなる長い読み取り距離を可能にすること、ならびにインターフェースを介して接続された回路および外部センサを備えるが、寸法が小さいシステムを可能にすることである。しかしながら、本発明の別の目的は、EPC UHF Gen2 Air Interface Protocolに準拠することである。
【0012】
この目的のために、本発明は、周期的な読み取り信号を送信するリーダと無線通信を行うように構成され、読み取り信号の一周期は、エネルギ回収段階および通信段階を含む、UHF帯で動作する受動型無線識別タグのための回路を提案する。回路は、エネルギ回収段階において電波からエネルギの貯蔵を蓄積するとともに、通信段階においてリーダと通信するように構成された制御装置と、(少なくとも)外部のアナログセンサを接続するインターフェースとを備える。インターフェースは、外部のアナログセンサを接続し、外部のアナログセンサに電気を供給するとともに、センサからアナログ測定値を取得するように構成された電気接続部と、センサからのアナログ測定値の信号を増幅するように構成された増幅器と、センサからの増幅されたアナログ測定値をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)とを備え、エネルギ回収段階は、インターフェースが外部のアナログセンサへの供給、ならびにセンサからの測定値の取得、増幅、およびデジタル化を行う取得段階を含む。
【0013】
結果として、このようなインターフェースにより、追加の電子素子/回路を備えるデジタルセンサと比べて少ないエネルギしか消費しないアナログセンサを回路に直接接続することができる。さらに、エネルギ回収段階の最中であり、したがって通信段階よりも前である取得段階、したがって周期的な読み取り信号の単一の周期中に、センサからの測定値を取得、増幅、およびデジタル化できるがゆえに、この測定値を、この通信段階においてすぐに、すなわち同じ周期の最中に、リーダへと送信することができる。結果として、回路の応答時間を短縮することができる。したがって、いくつかの外部回路をきわめて迅速に読み取る(照会する)ことが可能である。例えば、本発明による回路を備える物体を箱にまとめて配置することができ、各々をきわめて迅速に読み取ることができる。別の例によれば、車両が検出器を通り過ぎるときにタイヤの圧力を測定することが可能である。
【0014】
さらに、制御装置を、取得段階において増幅およびデジタル化された測定値を取得するためにインターフェースに供給を行い、同じ周期の通信段階において増幅およびデジタル化された測定値をリーダに転送するように構成することもできる。
【0015】
制御装置を、取得段階の前かつ同じエネルギ回収段階の最中の始動段階において始動するように構成することができる。
【0016】
始動段階の前に、エネルギ回収段階は、回路がオフにされ、電波からエネルギの貯蔵がもっぱら蓄積される初期エネルギ回収段階をさらに含むことができる。
【0017】
結果として、蓄積されたエネルギのレベルが充分に高いため、確実な始動を保証することができる。
【0018】
始動段階と取得段階との間において、エネルギ回収段階は、回路がオフにされ、電波からエネルギの貯蔵がもっぱら蓄積される第1の中間エネルギ回収段階をさらに含むことができる。
【0019】
結果として、蓄積されたエネルギのレベルが充分に高いため、測定値の確実な取得を保証することができる。
【0020】
取得段階の後かつ通信段階の前に、エネルギ回収段階は、回路がオフにされ、電波からエネルギの貯蔵がもっぱら蓄積される第2の中間エネルギ回収段階をさらに含むことができる。
【0021】
結果として、蓄積されたエネルギのレベルが充分に高いため、測定値のリーダへの確実な送信を保証することができる。
【0022】
制御装置は、随意により、取得段階においてもっぱらインターフェースに供給を行うように構成される。
【0023】
したがって、インターフェースによってアナログセンサに供給を行うことができる。さらに、インターフェースをもっぱら取得段階において動作させる場合、エネルギ消費を低減することができる。
【0024】
制御装置は、随意により、インターフェースの要素に電気を順次に供給するように構成され、例えばセンサに接続された電気接続部、増幅器、およびアナログ-デジタル変換器(ADC)に順次に供給を行うように構成される。
【0025】
したがって、測定値を取得するためにこの時点において不可欠であるインターフェースのこの要素のみに供給が行われるため、エネルギ消費を低減することができる。
【0026】
したがって、制御装置を、最初にもっぱら電気接続部に供給を行うことで、外部のアナログセンサに供給を行い、センサからアナログ測定値を取得し、その後にもっぱら増幅器に供給を行うことで、センサからのアナログ測定値の信号を増幅し、その後にもっぱらアナログ-デジタル変換器(ADC)に供給を行うことで、センサからの増幅されたアナログ測定値をデジタル化するように構成することができる。
【0027】
アナログ-デジタル変換器(ADC)によって測定値をデジタル化した後、かつ取得段階の最中に、デジタル化された測定値は、制御装置によって読み取られて記憶される。
【0028】
したがって、測定値は、通信段階の開始時にすぐにリーダに転送できる状態にある。
【0029】
回路は、例えば、EPC UHF Gen2 Air Interface Protocolと互換性がある(または、EPC UHF Gen2 Air Interface Protocolに従って通信する)。
【0030】
さらに、本発明は、UHF帯で動作する受動型無線識別システムであって、周期的な読み取り信号を送信するように構成され、読み取り信号の一周期は、エネルギ回収段階および通信段階を含むリーダと、上述したとおりの回路と、を含むシステムを提案する。
【0031】
さらに、本発明は、リーダによってUHF帯で動作する受動型無線識別タグのための回路を動作させ、回路を読み取る方法であって、回路は、外部のアナログセンサに接続されており、リーダは、周期的な読み取り信号を送信し、読み取り信号の一周期は、エネルギ回収段階および通信段階を含み、回路は、エネルギ回収段階において電波からエネルギの貯蔵を蓄積し、通信段階においてリーダと通信し、外部のアナログセンサは、回路が同じエネルギ回収段階の最中にセンサから測定値を取得し、増幅し、デジタル化するように、エネルギ回収段階において回路によって供給される、方法を提案する。
【0032】
回路は、エネルギ回収段階に続く通信段階であって、同じ周期の通信段階において、センサからのデジタル化された測定値をリーダへと転送することができる。
【0033】
本発明の特徴および利点は、あくまでもこれに限られるわけではない例として提示され、添付の図面を参照して行われる以下の説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明による回路のアーキテクチャの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明によるエネルギ回収段階の概略図である。
【
図3】
図3は、本発明によるエネルギの取得段階の図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1が、本発明による回路1のアーキテクチャの概略図である。回路1は、UHF帯で動作するRFID型(「Radio Frequency Identification」)の回路であり、無線タグ(または、「RFIDタグ」)として機能することができる。回路は、例えば、EPC UHF Gen2 Air Interface Protocolと互換性がある(または、EPC UHF Gen2 Air Interface Protocolに従って通信する)。
【0036】
回路は、例えば、監視対象の物体に貼り付けられた自己接着性ラベルの形態であり、あるいは、おそらくは監視対象の物体に組み込まれたチップの形態である。監視対象の物体は、例えば、測定される少なくとも1つの物理的パラメータを介した監視が必要な商品、製品、または生物である。
【0037】
回路1は受動的に動作し、具体的には、電池またはエネルギ貯蔵手段を含まない。しかしながら、リーダの信号の搬送波に含まれるエネルギを使用して、リーダの信号の変調されたものをRFIDリーダへと送り返す。照会信号のエネルギの少なくとも一部が、エネルギ収集装置によって回収され、回路の構成要素に供給される。詳細には、
【0038】
回路1は、アンテナ21に接続され、アンテナで受信される外部のリーダによって送信された電波によるエネルギを回収するとともに、通信信号を受信および送信するアナログモジュール2を備える。
【0039】
この目的のために、アナログモジュール2は、(例えば、通信信号を送信するための)変調ユニット22を備える。さらに、(例えば、通信信号を受信するための)復調ユニット25も備える。また、エネルギ回収段階において電波からのエネルギ貯蔵を進め、さらには/あるいは蓄積するために、整流ユニット23および供給制御ユニット24をさらに備える。整流ユニット23は、無線エネルギを連続エネルギに変換し、回路に供給することができる。また、供給制御ユニット24は、取得チェーン(例えば、インターフェース)に供給するための「個別」の連続電圧の生成、および取得チェーンに供給するための連続電流の生成を実行することができる。例えば、蓄積されるエネルギを、キャパシタ(例えば、コンデンサ)に蓄えることができる。
【0040】
アナログモジュール2は、デジタルモジュール3(または、制御装置3)に接続される。このデジタルモジュール3は、データの処理および/またはセンサによって取得された測定値の記憶が可能なプロセッサおよび/または記憶ユニット31を備える。また、デジタルモジュール3は、随意により、例えばSPIまたはI2Cなどのデジタルインターフェースを備える。デジタルモジュール3は、例えば蓄積されたエネルギを受け取り、アンテナ21を介してリーダと通信するなど、アナログモジュール2を制御する。したがって、エネルギの蓄積、消費、および貯蔵は、デジタルモジュール3によって制御される(以下の
図2の説明を参照されたい)。
【0041】
さらに、デジタルモジュール3は、インターフェース(または、インターフェースモジュール)4にも接続される。インターフェース4は、外部のアナログセンサを接続し、電気を供給するとともに、センサからアナログ測定値を取得するように構成された電気接続部41を備える。また、センサからのアナログ測定値の信号を増幅するように構成された増幅器42も備える。さらに、増幅されたセンサからのアナログ測定値をデジタル化するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)43も備える。変換器43を出る信号は、記憶およびリーダへの送信のために、デジタルモジュール3に送られる。変換器を、「CLK」信号を受信するために発振器28に接続することができる。
【0042】
回路は、例えば変換器43に接続される内部アナログセンサ26および/または内部温度センサ27をさらに備えることができる。
【0043】
図2が、本発明によるエネルギ回収段階の図の概略図である。図は、4つの動作(または、4つのサブチャート)を示しており、これらの軸Xは、時間を表している。
【0044】
外部のリーダが、周期的な読み取り信号を送信する。読み取り信号の一周期Pは、エネルギ回収段階RECおよび通信段階COMを含む。エネルギ回収段階RECにおいて、エネルギの貯蔵が、外部のリーダの電波から蓄積される。エネルギ回収段階RECは、以下で説明される段階を含む。
【0045】
「RF Harvesting」のサブチャートに示されているように、蓄えられたエネルギは、初期エネルギ回収段階において、回路のいかなる要素またはユニットもアクティブでなく、したがってすべてのエネルギが蓄えられるため、(例えば、500マイクロ秒の間に5マイクロワットまで)増加する。
【0046】
その後に、すなわち信頼できる動作を可能にするための充分なエネルギが蓄えられると、デジタルモジュール3は、始動段階(「Boot」)において(例えば、250マイクロ秒で6マイクロワットの消費で)始動される。同時に、デジタルモジュール3のこの動作のために、蓄えられたエネルギが減少する。
【0047】
このため、始動段階の後に、エネルギ回収段階は、回路のいかなる要素またはユニットもアクティブでなく、したがってすべてのエネルギが蓄えられるため、蓄えられたエネルギが再び(例えば、100マイクロ秒の間に5マイクロワットまで)増加する第1の中間エネルギ回収段階を含む。
【0048】
その後に、すなわち信頼できる動作を可能にするための充分なエネルギが蓄えられると、インターフェース4は、取得段階(「Acquisition」)において、(例えば、250マイクロ秒の間に6マイクロワットを消費して)外部のアナログセンサへの供給を行い、センサからの測定値を取得、増幅、およびデジタル化する。同時に、デジタルモジュール3のこの動作のために、蓄えられたエネルギが減少する。
【0049】
このため、取得段階の後に、エネルギ回収段階は、回路のいかなる要素またはユニットもアクティブでなく、したがってすべてのエネルギが蓄えられるため、蓄えられたエネルギが再び(例えば、100マイクロ秒の間に5マイクロワットまで)増加する第2の中間エネルギ回収段階を含む。
【0050】
その後に(あるいは、所定の周期の後に)、エネルギ回収段階を終え、通信段階COMを始めることができる。通信段階において、すなわち同じ周期において、測定値は外部のリーダに転送される。
【0051】
図3は、本発明によるエネルギ取得段階ACQの図の概略図である。図は、8つの動作(または、8つのサブチャート)を示しており、これらの軸Xは、時間を表している。エネルギの取得段階ACQにおいて、インターフェース4の要素に電気が順次に供給される。
【0052】
開始時のサブチャート「SENSOR_EN」に示されるように、電気接続部のみ、したがって外部のアナログセンサにのみエネルギが(例えば、1マイクロ秒にわたって)供給され、センサによって生成された信号が読み取られ、サンプリングされる。その後に、もっぱら増幅器42に供給が行われ、センサからのアナログ測定値の信号が増幅される(サブチャート「AMP_EN」を参照されたい)。結果として、アナログ-デジタル変換器(ADC)43のみに供給が行われ、増幅されたセンサからのアナログ測定値がデジタル化される(サブチャート「ADC_EN」を参照されたい)。アナログ-デジタル変換器(ADC)による測定値のデジタル化後、より好ましくは取得段階の最中に、デジタル化された測定値は、プロセッサ31によって読み取られて保存され、したがって読み取りデジタルモジュール3へともたらされる(サブチャート「DATA_RDY」を参照されたい)。
【0053】
この順次的な動作ゆえに、増幅されてデジタル化された測定値を得るための総消費を、例えば1マイクロワットに削減することができる。この理由で、測定値の取得および送信を、リーダの信号の一周期の間に実行することができる。