(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】基準電圧生成回路
(51)【国際特許分類】
G05F 3/30 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
G05F3/30
(21)【出願番号】P 2021562617
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 JP2020044149
(87)【国際公開番号】W WO2021111994
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2019221241
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 精一
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-096318(JP,A)
【文献】特開2003-005846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドギャップ基準電圧及び電源電圧に依存する第1基準電圧を生成するバンドギャップリファレンス回路と、
前記第1基準電圧を第2基準電圧に変換する変換回路と、
を備え、
前記第2基準電圧は前記バンドギャップ基準電圧及び接地電圧に依存し、前記接地電圧は前記電源電圧より低
く、
前記変換回路はアンプを備え、
前記バンドギャップリファレンス回路の出力端と前記アンプの第1入力端とが抵抗素子を介さずに接続され、
前記変換回路は、
前記電源電圧が印加される第1印加端と前記アンプの第2入力端との間に設けられる第1トランジスタと、
前記アンプの前記第2入力端と前記接地電圧が印加される第2印加端との間に設けられる第2トランジスタと、
をさらに備え、
前記第1トランジスタの制御端が前記第1印加端に接続され、
前記第2基準電圧又は前記第2基準電圧の分圧が前記第2トランジスタの制御端に供給される、基準電圧生成回路。
【請求項2】
前記第1トランジスタのゲート長及び前記第2トランジスタのゲート長は、前記アンプ内部のトランジスタのゲート長より長い、請求項
1に記載の基準電圧生成回路。
【請求項3】
前記第1トランジスタのゲート長及び前記第2トランジスタのゲート長はそれぞれ5μm以上である、請求項
2に記載の基準電圧生成回路。
【請求項4】
前記第1トランジスタのゲート長と前記第2トランジスタのゲート長とは、略同一である、請求項
2又は請求項
3に記載の基準電圧生成回路。
【請求項5】
前記変換回路は、前記アンプの前記第2入力端と前記第2トランジスタとの間に設けられる第3トランジスタをさらに備え、
前記第3トランジスタの制御端にバイアス電圧が供給される、請求項
1~
4のいずれか一項に記載の基準電圧生成回路。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の基準電圧生成回路を備える、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準電圧を生成する基準電圧生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バンドギャップリファレンス回路と呼ばれる基準電圧生成回路が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1で開示されている基準電圧生成回路によって生成される基準電圧は、接地電圧を基準とする電圧であって、バンドギャップ基準電圧によって定まる電圧である。なお、バンドギャップ基準電圧は、半導体のバンドギャップ電圧を利用して得られる基準電圧である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、
図8に示す構造の半導体装置を考えた場合、パワートランジスタがNDMOSトランジスタ(N型2重拡散MOSトランジスタ)であれば、HVNW(高電圧N型ウェル)に印加される電圧そのものがパワートランジスタの出力電圧になるため、パワートランジスタのスイッチングによりHVNWに印加される電圧が変動する。そして、その電圧変動が容量結合によってノイズとして伝搬する。
【0005】
また、
図9に示す構造の半導体装置(=
図8に示す構造の半導体装置)を考えた場合、パワートランジスタがNDMOSトランジスタであれば、例えば回生電流によってHVNWに印加される電圧そのものが負電圧になったときに、寄生トランジスタPTRの寄生コレクタ電流が流れてしまう。
【0006】
基準電圧生成回路に上述したノイズや寄生電流による悪影響が及ばないようにするためには、全てのHVNWに電源電圧を印加する必要がある。しかしながら、特許文献1で開示されている基準電圧生成回路は、アンプ内の差動対トランジスタのバックゲートに対応するHVNWとダイオードのアノードに対応するHVNWとが電源電圧に接続されていない構成であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示されている基準電圧生成回路は、バンドギャップ基準電圧及び電源電圧に依存する第1基準電圧を生成するバンドギャップリファレンス回路と、前記第1基準電圧を第2基準電圧に変換する変換回路と、を備え、前記第2基準電圧は前記バンドギャップ基準電圧及び接地電圧に依存し、前記接地電圧は前記電源電圧より低い構成(第1の構成)である。
【0008】
上記第1の構成の基準電圧生成回路において、前記変換回路はアンプを備え、前記バンドギャップリファレンス回路の出力端と前記アンプの第1入力端とが抵抗素子を介さずに接続される構成(第2の構成)としてもよい。
【0009】
上記第2の構成の基準電圧生成回路において、前記変換回路は、前記電源電圧が印加される第1印加端と前記アンプの第2入力端との間に設けられる第1トランジスタと、前記アンプの前記第2入力端と前記接地電圧が印加される第2印加端との間に設けられる第2トランジスタと、をさらに備え、前記第1トランジスタの制御端が前記第1印加端に接続され、前記第2基準電圧又は前記第2基準電圧の分圧が前記第2トランジスタの制御端に供給される構成(第3の構成)としてもよい。
【0010】
上記第3の構成の基準電圧生成回路において、前記第1トランジスタのゲート長及び前記第2トランジスタのゲート長は、前記アンプ内部のトランジスタのゲート長より長い構成(第4の構成)としてもよい。
【0011】
上記第4の構成の基準電圧生成回路において、前記第1トランジスタのゲート長及び前記第2トランジスタのゲート長はそれぞれ5μm以上である構成(第5の構成)としてもよい。
【0012】
上記第4又は第5の構成の基準電圧生成回路において、前記第1トランジスタのゲート長と前記第2トランジスタのゲート長とは、略同一である構成(第6の構成)としてもよい。
【0013】
上記第3~第6のいずれかの構成の基準電圧生成回路において、前記変換回路は、前記アンプの前記第2入力端と前記第2トランジスタとの間に設けられる第3トランジスタをさらに備え、前記第3トランジスタの制御端にバイアス電圧が供給される構成(第7の構成)としてもよい。
【0014】
本明細書中に開示されている半導体装置は、上記第1~第7のいずれかの構成の基準電圧生成回路を備える構成(第8の構成)である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノイズや寄生電流による悪影響を回避できる基準電圧生成回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】一実施形態に係る基準電圧生成回路の第1構成例を示す図
【
図3】一実施形態に係る基準電圧生成回路の第2構成例を示す図
【
図4】一実施形態に係る基準電圧生成回路の第3構成例を示す図
【
図5】一実施形態に係る基準電圧生成回路の第3構成例でオペアンプの非反転入力端に接続されるNチャネル型MOSトランジスタの特性を示す図
【
図6】一実施形態に係る基準電圧生成回路の第4構成例を示す図
【
図7】一実施形態に係る基準電圧生成回路を備える半導体装置の各例を示すブロック図
【
図8】半導体装置の構造例を模式的に示す断面斜視図
【
図9】半導体装置の構造例を模式的に示す断面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において、MOSトランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「P型、N型、又は真性の半導体層」の少なくとも3層からなる電界効果トランジスタをいう。つまり、MOSトランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。本明細書において、基準電圧とは、理想的な状態において一定である電圧を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電圧である。
【0018】
<1.一実施形態に係る基準電圧生成回路>
図1は、一実施形態に係る基準電圧生成回路を示す図である。基準電圧生成回路1は、バンドギャップリファレンス回路2と、変換回路3と、を備える。
【0019】
バンドギャップリファレンス回路2は第1基準電圧VREF1を生成する。第1基準電圧VREF1はバンドギャップ基準電圧及び電源電圧VCCに依存する。具体的には、第1基準電圧VREF1は、電源電圧VCCを基準とする電圧であって、バンドギャップ基準電圧によって定まる電圧である。なお、バンドギャップ基準電圧は、半導体のバンドギャップ電圧を利用して得られる基準電圧である。
【0020】
変換回路3は、第1基準電圧VREF1を第2基準電圧VREF2に変換する。第2基準電圧VREF2は、バンドギャップ基準電圧及び接地電圧VSSに依存する。具体的には、第2基準電圧VREF2は、接地電圧VSSを基準とする電圧であって、バンドギャップ基準電圧によって定まる電圧である。なお、接地電圧VSSは電源電圧VCCより低い電圧である。
【0021】
バンドギャップリファレンス回路2は、電源電圧VCCを基準とする第1基準電圧VREF1を生成する構成である。したがって、バンドギャップリファレンス回路2を形成するために用いられている全てのHVNWを電源電圧VCCに接続することができる。これにより、ノイズや寄生電流による悪影響を回避できる。
【0022】
そして、基準電圧生成回路1は、変換回路3を備えるので、ノイズや寄生電流による悪影響を回避しながら、接地電圧VSSを基準とする電圧である第2基準電圧VREF2を生成することができる。第2基準電圧VREF2は、接地電圧VSSを基準とする電圧であるため、他の回路で制限なく広く使用することができる。
【0023】
<2.第1構成例>
図2は、基準電圧生成回路1の第1構成例を示す図である。基準電圧生成回路1の第1構成例である基準電圧生成回路1Aは、バンドギャップリファレンス回路2Aと、変換回路3Aと、を備える。バンドギャップリファレンス回路2Aは
図1中のバンドギャップリファレンス回路2の一例であり、変換回路3Aは
図1中の変換回路3の一例である。
【0024】
バンドギャップリファレンス回路2Aは、抵抗R1~R3(いずれもポリ抵抗)と、NPNバイポーラトランジスタQ1及びQ2と、オペアンプAMP1と、を備える。NPNバイポーラトランジスタQ1及びQ2はそれぞれダイオード接続され、ダイオードとして機能する。
【0025】
オペアンプAMP1の第1電源端は、電源電圧VCCの印加端に接続されている。オペアンプAMP1の第2電源端は、接地電圧VSSの印加端に接続されている。
【0026】
抵抗R1の第1端と抵抗R2の第1端は、いずれもオペアンプAMP1の出力端に接続されている。抵抗R1の第2端とNPNバイポーラトランジスタQ1のエミッタは、いずれもオペアンプAMP1の非反転入力端(+)に接続されている。抵抗R2の第2端と抵抗R3の第1端は、いずれもオペアンプAMP1の反転入力端(-)に接続されている。抵抗R3の第2端は、NPNバイポーラトランジスタQ2のエミッタに接続されている。NPNバイポーラトランジスタQ1及びQ2それぞれのベース及びコレクタは、いずれも電源電圧VCCの印加端に接続されている。
【0027】
オペアンプAMP1の出力端は、バンドギャップリファレンス回路2Aの出力端である。オペアンプAMP1の出力端から第1基準電圧VREF1が出力される。
【0028】
変換回路3Aは、抵抗R11~R14(いずれもポリ抵抗)と、Nチャネル型MOSトランジスタQ11と、オペアンプAMP11と、を備える。変換回路3Aは、オペアンプAMP11を用いた差動増幅回路である。
【0029】
オペアンプAMP11の第1電源端は、電源電圧VCCの印加端に接続されている。オペアンプAMP11の第2電源端は、接地電圧VSSの印加端に接続されている。
【0030】
抵抗R11の第1端は変換回路3Aの入力端であって、第1基準電圧VREF1が供給される。抵抗R11の第2端と抵抗R12の第1端は、いずれもオペアンプAMP11の反転入力端(-)に接続されている。抵抗R12の第2端は、オペアンプAMP11の出力端に接続されている。抵抗R13の第1端は、電源電圧VCCの印加端に接続されている。抵抗R13の第2端と抵抗R14の第1端は、いずれもオペアンプAMP11の非反転入力端(+)に接続されている。抵抗R14の第2端は、Nチャネル型MOSトランジスタQ11のドレインに接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ11のソース及びバックゲートは、接地電圧VSSの印加端に接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ11のゲートには、Nチャネル型MOSトランジスタQ11のオン/オフを切り替えるための信号であるゲート電圧VSWが供給される。Nチャネル型MOSトランジスタQ11をオフにすることで、変換回路3Aの定常電流をカットすることができる。
【0031】
オペアンプAMP11の出力端は、基準電圧生成回路1Aの出力端である。オペアンプAMP11の出力端から第2基準電圧VREF2が出力される。
【0032】
抵抗R11及びR13の各抵抗値をいずれもr1とし、抵抗R12及びR14の各抵抗値をいずれもr2とすると、基準電圧生成回路1Aから出力される第2基準電圧VREF2は下記の式(1)で表される。なお、式(1)中のBGRはバンドギャップ基準電圧である。
VREF2≒BGR・r2/r1 …(1)
【0033】
基準電圧生成回路1Aでは、バンドギャップリファレンス回路2Aの出力端とオペアンプAMP11の反転入力端(-)との間に抵抗R11が設けられている。すなわち、バンドギャップ基準電圧BGRが供給される負荷として、電流の流れる抵抗R11が設けられているので、基準電圧生成回路1Aは消費電流の観点から改良の余地がある回路となっている。
【0034】
<3.第2構成例>
図3は、基準電圧生成回路1の第2構成例を示す図である。なお、
図3において
図2と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。基準電圧生成回路1の第2構成例である基準電圧生成回路1Bは、バンドギャップリファレンス回路2Aと、変換回路3Bと、を備える。変換回路3Bも上述した変換回路3Aと同様に
図1中の変換回路3の一例である。
【0035】
変換回路3Bは、オペアンプAMP21と、抵抗R21及びR22(いずれもポリ抵抗)と、Pチャネル型MOSトランジスタQ21と、を備える。
【0036】
オペアンプAMP21の第1電源端は、電源電圧VCCの印加端に接続されている。オペアンプAMP21の第2電源端は、接地電圧VSSの印加端に接続されている。
【0037】
オペアンプAMP21の非反転入力端(+)は、変換回路3Bの入力端であって、第1基準電圧VREF1が供給される。オペアンプAMP21の出力端はPチャネル型MOSトランジスタQ21のゲートに接続されている。抵抗R21の第1端は、電源電圧VCCの印加端及びPチャネル型MOSトランジスタQ21のバックゲートに接続されている。抵抗R21の第2端は、オペアンプAMP21の反転入力端(-)及びPチャネル型MOSトランジスタQ21のソースに接続されている。Pチャネル型MOSトランジスタQ21のドレインは、抵抗R22の第1端に接続されている。抵抗R22の第2端は、接地電圧VSSに接続されている。
【0038】
Pチャネル型MOSトランジスタQ21のドレインと抵抗R22の第1端との接続ノードは、基準電圧生成回路1Bの出力端である。Pチャネル型MOSトランジスタQ21のドレインと抵抗R22の第1端との接続ノードから第2基準電圧VREF2が出力される。
【0039】
オペアンプAMP21の仮想接地の条件から、抵抗R21の第2端に第1基準電圧VREF1が供給され、抵抗R21の両端電位差はバンドギャップ基準電圧になる。したがって、抵抗R21を流れる電流の値は、バンドギャップ基準電圧を抵抗R21の抵抗値で除した値になる。そのため、抵抗R21の抵抗値をr1とし、抵抗R22の抵抗値をr2とすると、基準電圧生成回路1Bから出力される第2基準電圧VREF2は下記の式(2)で表される。なお、式(2)中のBGRはバンドギャップ基準電圧であり、ISUBは基板を流れる電流である。
VREF2≒r2・ISUB+BGR・r2/r1 …(2)
【0040】
基準電圧生成回路1Bは、第2基準電圧VREF2が基板を流れる電流ISUBの影響を受けるため、温度特性の観点から改良の余地がある回路となっている。
【0041】
<4.第3構成例>
図4は、基準電圧生成回路1の第3構成例を示す図である。なお、
図4において
図2と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。基準電圧生成回路1の第3構成例である基準電圧生成回路1Cは、バンドギャップリファレンス回路2Aと、変換回路3
Cと、を備える。変換回路3Cも上述した変換回路3A及び3Bと同様に
図1中の変換回路3の一例である。
【0042】
変換回路3Cは、Nチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32と、オペアンプAMP31と、抵抗R31及びR32(いずれもポリ抵抗)と、を備える。
【0043】
オペアンプAMP31の第1電源端は、電源電圧VCCの印加端に接続されている。オペアンプAMP31の第2電源端は、接地電圧VSSの印加端に接続されている。
【0044】
オペアンプAMP31の反転入力端(-)は、変換回路3Cの入力端であって、第1基準電圧VREF1が供給される。Nチャネル型MOSトランジスタQ31のドレイン及びゲートは、電源電圧VCCの印加端に接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ31のソース及びバックゲート並びにNチャネル型MOSトランジスタQ32のドレインは、オペアンプAMP31の非反転入力端(+)に接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ32のソース及びバックゲートは、接地電圧VSSに接続されている。
【0045】
オペアンプAMP31の出力端は、基準電圧生成回路1Cの出力端である。オペアンプAMP31の出力端から第2基準電圧VREF2が出力される。
【0046】
オペアンプAMP31の出力端は、抵抗R31の第1端に接続されている。抵抗R31の第2端は、抵抗R32の第1端及びNチャネル型MOSトランジスタQ32のゲートに接続されている。抵抗R32の第2端は接地電圧VSSに接続されている。なお、抵抗r31及び抵抗R32を設けずに、ペアンプAMP31の出力端が直接Nチャネル型MOSトランジスタQ32のゲートに接続されるようにしてもよい。すなわち、Nチャネル型MOSトランジスタQ32のゲートに第2基準電圧VREF2の分圧ではなく第2基準電圧VREF2が供給されてもよい。
【0047】
Nチャネル型MOSトランジスタQ31とNチャネル型MOSトランジスタQ32とは直列接続されているので、Nチャネル型MOSトランジスタQ31のドレイン電流とNチャネル型MOSトランジスタQ32のドレイン電流は同一である。
【0048】
基準電圧生成回路1Cでは、Nチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32を
図4に示す特性にしている。すなわち、Nチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32それぞれで、Nチャネル型MOSトランジスタのゲート-ソース間電圧が一定であれば、飽和領域においてNチャネル型MOSトランジスタ
のドレイン-ソース間電圧にかかわらず、Nチャネル型MOSトランジスタのドレイン電流が略一定になるようにしており、さらにNチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32が略同一特性になるようにしている。これにより、後述する式(3)が成立する。
【0049】
Nチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32がいずれも
図4に示す特性になるように、Nチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32のチャネル長を長くし、Nチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32の形状を略同一にしている。例えば、Nチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32のチャネル長は、オペアンプAMP31内部のトランジスタのゲート長より長くするとよい。要求される第2基準電圧VREF2の精度にもよるが、例えばNチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32のゲート長をそれぞれ5μm以上にすれば、飽和領域においてNチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32のドレイン電流が略一定度合いが良好になり、第2基準電圧VREF2の精度が良好になる。また例えば、Nチャネル型MOSトランジスタQ31のゲート長とNチャネル型MOSトランジスタQ32のゲート長とは、略同一にするとよい。
【0050】
オペアンプAMP31の仮想接地の条件から、Nチャネル型MOSトランジスタQ31のソースに第1基準電圧VREF1が供給され、Nチャネル型MOSトランジスタQ31のゲート-ソース間電圧はバンドギャップ基準電圧になる。一方、Nチャネル型MOSトランジスタQ32のゲート-ソース間電圧は、第2基準電圧VREF2の分圧になる。そのため、抵抗R31の抵抗値をr1とし、抵抗R32の抵抗値をr2とすると、基準電圧生成回路1Cから出力される第2基準電圧VREF2は下記の式(3)で表される。なお、式(3)中のBGRはバンドギャップ基準電圧である。
VREF2≒BGR・(r1+r2)/r2 …(3)
【0051】
<5.第4構成例>
図6は、基準電圧生成回路1の第4構成例を示す図である。なお、
図6において
図4と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。基準電圧生成回路1の第4構成例である基準電圧生成回路1Dは、バンドギャップリファレンス回路2Aと、変換回路3Dと、を備える。変換回路3Dも上述した変換回路3A~3Cと同様に
図1中の変換回路3の一例である。
【0052】
図6中の変換回路3Dは、
図4中の変換回路3CにNチャネル型MOSトランジスタQ33を追加した構成である。
【0053】
Nチャネル型MOSトランジスタQ33は、Nチャネル型MOSトランジスタQ31とNチャネル型MOSトランジスタQ32との間に設けられる。Nチャネル型MOSトランジスタQ33のドレインは、Nチャネル型MOSトランジスタQ31のソース及びバックゲート並びにオペアンプAMP31の非反転入力端(+)に接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ33のソース及びバックゲートは、Nチャネル型MOSトランジスタQ32のドレインに接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタQ33のゲートには、所定のバイアス電圧VBが供給される。
【0054】
図6中の変換回路3Dは、
図4中の変換回路3Cに比べて、電源電圧VCCが変動した場合でもNチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32それぞれのドレイン-ソース間電圧の変動を抑えることができる。したがって、
図6に示す基準電圧生成回路1Dは、
図4に示す基準電圧生成回路1Cに比べて第2基準電圧VREF2の安定性が向上する。
【0055】
図6中の変換回路3Dが、
図4中の変換回路3Cに比べて、電源電圧VCCが変動した場合でもNチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32それぞれのドレイン-ソース間電圧の変動を抑えることができるので、要求される第2基準電圧VREF2の精度にもよるが、
図6に示す基準電圧生成回路1Dでは、Nチャネル型MOSトランジスタQ31及びQ32のチャネル長を長くしない構成にすることも可能である。
【0056】
<6.用途>
次に、先に説明した基準電圧生成回路1の用途例について説明する。
図7(a)~(c)は、基準電圧生成回路1を備える半導体装置の各例を示すブロック図である。
図7(a)の半導体装置10Aは、基準電圧生成回路1に加えて、D/Aコンバータ11及びA/Dコンバータ12の少なくとも一方を備える。D/Aコンバータ11は、デジタル信号DINをアナログ電圧VOUTに変換する。基準電圧生成回路1から出力される第2基準電圧VREF2は、D/Aコンバータ11の基準電圧端子に供給される。
【0057】
A/Dコンバータ12は、アナログ電圧VINをデジタル信号DOUTに変換する。基準電圧生成回路1から出力される第2基準電圧VREF2は、A/Dコンバータ12の基準電圧端子に供給される。半導体装置10Aとしては、例えば、オーディオその他の用途向けのDSP(デジタル信号処理装置)、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specified IC)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを挙げることができる。
【0058】
図7(b)の半導体装置10Bは、DC/DCコンバータの制御回路である。半導体装置10Bは、基準電圧生成回路1に加えて、エラーアンプ13、パルス変調器14、及びドライバ15を備える。エラーアンプ13は、DC/DCコンバータの出力電圧に応じたフィードバック電圧VFBと、第2基準電圧VREF2との誤差を増幅した電圧である誤差電圧VERRを出力する。パルス変調器14は、エラーアンプ13から出力される誤差電圧VERRに応じたデューティ比を有するパルス信号SPWMを生成する。ドライバ15は、パルス信号SPWMに基づいてDC/DCコンバータのスイッチングトランジスタ(不図示)を駆動する。なお、DC/DCコンバータのトポロジー及び制御方式は限定されない。
【0059】
なお、半導体装置10Bは、フィードバック電圧VFBを生成する回路及びスイッチングトランジスタの少なくとも一方を内蔵してもよい。
【0060】
図7(c)の半導体装置10Cは、リニアレギュレータの制御回路である。半導体装置10Cは、基準電圧生成回路1に加えて、エラーアンプ16、出力トランジスタ17、並びに分圧抵抗18及び19を備える。分圧抵抗18及び19は、リニアレギュレータの出力電圧に応じたフィードバック電圧VFBを生成する。エラーアンプ16は、リニアレギュレータの出力電圧に応じたフィードバック電圧VFBと、第2基準電圧VREF2との誤差を増幅した電圧である誤差電圧VERRを出力する。出力トランジスタ17は、誤差電圧VERRに応じて駆動する。
【0061】
なお、フィードバック電圧VFBを生成する回路(分圧抵抗18、19)及び出力トランジスタ17の少なくとも一方を半導体装置10Cの外部に設けてもよい。
【0062】
上記のように、基準電圧生成回路1は、種々の半導体装置に使用することができる。
【0063】
<7.留意点>
なお、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0064】
例えば基準電圧生成回路1を構成する各回路素子は、電源電圧VCCが印加されるN型ウェル内部に形成されることが好ましい。これにより、電源電圧VCCが変動した場合にバンドギャップ基準電圧が変動することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、1A~1C 基準電圧生成回路
2 バンドギャップリファレンス回路
3、3A~3C 変換回路
10A~10C 半導体装置