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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】アンテナネットワークを備えた自動車
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0404 20170101AFI20240814BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240814BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240814BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240814BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20240814BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20240814BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H04B7/0404
B60R11/02 A
H01Q1/22 A
H01Q21/06
H04B1/38
H04B7/06 020
H04B7/06 950
H04B7/08 020
H04B7/08 372A
H04B7/08 800
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021571730
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2020065195
(87)【国際公開番号】W WO2020245107
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102019208098.7
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス スミッツ
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/113859(WO,A2)
【文献】特表2018-524954(JP,A)
【文献】特開2005-268924(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0203308(US,A1)
【文献】特開2005-117614(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0184641(US,A1)
【文献】特開平08-279778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0404
B60R 11/02
H01Q 1/22
H01Q 21/06
H04B 1/38
H04B 7/06
H04B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4つの側面(22)よって画定される牽引車両(14)と、同一のネットワークアドレスが割り当てられている少なくとも2つのアンテナユニット(20)を備えたアンテナネットワーク(18)とを有する自動車(10)であって、前記少なくとも2つのアンテナユニット(20)は、前記牽引車両(14)の前記少なくとも4つの側面(22)の異なる側面(22)に配置されており、前記少なくとも2つのアンテナユニット(20)はそれぞれ、少なくとも1つのアンテナ(32)と1つのネットワークインタフェース(34)とを有し、前記アンテナユニット(20)は、前記ネットワークインタフェース(34)を介して中央制御ユニット(36)にデジタル接続されており、
前記アンテナユニット(20)の前記ネットワークインタフェース(34)は、
- 前記中央制御ユニット(36)から前記少なくとも2つのアンテナユニット(20)に送信され同じデータ内容を有するデータパケットをそれぞれ受信し、
- 指定された通信プロトコルに基づいて、受信した前記データパケットの前記データ内容と、前記少なくとも2つのアンテナユニット(20)の前記割り当てられた、同一のネットワークアドレスとを含む、送信データパケットを前記アンテナ(32)にそれぞれ提供し、
- それぞれの前記アンテナ(32)を介して提供された前記送信データパケットを送信する、
ように設計され、
前記自動車(10)は、ミラー代替システム(38)をさらに有し、前記ミラー代替システム(38)の少なくとも1つのカメラ(42)と、動作中に、前記少なくとも1つのカメラ(42)の信号と送信用の前記少なくとも2つのアンテナユニット(20)の前記アンテナ(32)のうちの少なくとも1つのアンテナ(32)を介して送信される前記送信データパケットの信号とを組み合わせるように構成されたネットワークコンセントレータ(48)とによって特徴づけられる、
自動車(10)。
【請求項2】
前記少なくとも2つのアンテナユニット(20)が、前記データパケットを同期して受信するように、及び/又は前記送信データパケットを同期して送信するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の自動車(10)。
【請求項3】
前記少なくとも2つのアンテナユニット(20)が前記牽引車両(14)の反対側の側面(22)に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車(10)。
【請求項4】
前記少なくとも2つのアンテナユニット(20)がそれぞれ、外部ミラー(46)又は前記ミラー代替システム(38)のカメラアーム(44)に統合されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車(10)。
【請求項5】
前記少なくとも2つのアンテナユニット(20)の前記アンテナ(32)がそれぞれ、全方向性アンテナ特性(Co)又は指向性アンテナ特性(Cg)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車(10)。
【請求項6】
前記アンテナユニット(20)の少なくとも1つが少なくとも2つのアンテナ(32)を有し、第1のアンテナ(32a)は全方向性アンテナ特性(Co)を有し、第2のアンテナ(32b)は指向性アンテナ特性(Cg)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の自動車(10)。
【請求項7】
アンテナユニット(20)が、前記全方向性アンテナ特性(Co)を有する前記第1のアンテナ(32a)と前記指向性アンテナ特性(Cg)を有する前記第2のアンテナ(32b)との間で切り替えるためのスイッチングデバイス(50)を有することを特徴とする、請求項6に記載の自動車(10)。
【請求項8】
前記牽引車両(10)に固定され、前記アンテナネットワーク(18)のさらなるアンテナユニット(20)を有するトレーラ(16)を特徴とし、前記さらなるアンテナユニット(20)は、前記牽引車両(14)上に配置された前記2つのアンテナユニット(20)と同じネットワークアドレスが割り当てられており、前記さらなるアンテナユニット(20)は、少なくとも1つのアンテナ(32)及び1つのネットワークインタフェース(34)を有し、前記ネットワークインタフェース(34)は、
- 前記牽引車両(14)に配置された前記アンテナユニット(20)に送信され同じデータ内容を有するデータパケットを受信し、
- 前記指定された通信プロトコルに基づいて、受信した前記データパケットの前記データ内容と、前記さらなるアンテナユニット(20)の前記割り当てられたネットワークアドレスとを含む、送信データパケットを提供し、
- 前記アンテナ(32)を介して提供された前記送信データパケットを送信する、
ように設計されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載の自動車(10)。
【請求項9】
前記さらなるアンテナユニット(20)の前記少なくとも1つのアンテナ(32)が全方向性アンテナ特性(Co)を有することを特徴とする、請求項8に記載の自動車(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いにデジタル接続された複数のアクティブアンテナユニットを有するアンテナネットワークを備えた自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部門、特にトラック、建設機械又は農業機械などの商用車の分野では、自動車間又は自動車とインフラストラクチャ又は他の端末又は技術機器との間の無線通信又はデータ伝送には、特定の通信プロパティに起因する様々な課題が発生する。移動性と非静的使用により、多重路伝搬とその結果としてのフェージング効果、ドップラー効果などに起因する要件が増加する。さらに、特に商用車の幾何学的寸法と、送信/受信アンテナ、増幅器、受信機などの可能な設置位置に対する構造仕様とにより、配置に制限がある。加えて、車両のシャーシと上部構造は主に金属で構成されているため、反射、シャドーイング、又は吸収が発生する。考慮すべき別の態様は、自動車部門のコスト敏感度と、堅牢で信頼性が高く、さらに経済的なソリューションの必要性である。
【0003】
従来のアーキテクチャでは、送信アンテナ及び/又は受信アンテナ、並びに関連する出力段又は増幅器は、同軸ケーブルを介してそれぞれの自動車内においてアナログ方式で接続されている。しかしながら、同軸ケーブルの減衰損失をできるだけ低く保つために、ケーブルの長さをできるだけ短くすることが望ましい。特に5GHz~5.9GHzの周波数範囲で減衰値が低い同軸ケーブルは、比較的高いコストを発生させる。同軸ケーブルの曲げ半径が制限されているのも非常に不利である。
【0004】
したがって、減衰損失を補償できるようにするために、受信側と送信側の両方で信号を増幅する、いわゆる補償回路をアンテナの近くに配置することが既知の慣行である。これらの補償回路は信号をアナログ形式で増幅するため、歪みや非線形性の増幅、ノイズ、及び送信と受信の間で必要となるスイッチングによる欠点がある。
【0005】
「Method for operating an antenna unit,antenna unit and antenna network」と題する、以前に公開されていない独国特許第10 2018 206 598号明細書は、その内容が参照により本開示の一部を形成することを意図しており、これは、複数のアンテナが互いにデジタル接続されており、そのため自動車がアンテナネットワーク外の外部通信デバイスとの信頼性の高い通信接続を行うことができるアンテナネットワークを説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、有利なアーキテクチャを有するようなアンテナネットワークを備えた自動車を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴の組み合わせを有する自動車によって達成される。
【0008】
本発明の有利な構成が従属請求項の主題である。
【0009】
自動車、特にトラックなどの商用車は、少なくとも4つの側面によって画定される牽引車両と、同一のネットワークアドレスが有利に割り当てられる少なくとも2つのアンテナユニットを備えたアンテナネットワークとを有する。少なくとも2つのアンテナユニットは、牽引車両の少なくとも4つの側面の異なる側面に配置され、それぞれが少なくとも1つのアンテナ及び1つのネットワークインタフェースを有する。少なくとも2つのアンテナユニットのネットワークインタフェースは、少なくとも2つのアンテナユニットに送信されるのと同じデータ内容を有するデータパケットを受信し、指定された通信プロトコルに基づいて、受信したデータパケットのデータ内容及び少なくとも2つのアンテナユニットの割り当てられた、好ましくは同一のネットワークアドレスを含む送信データパケットをそれぞれ提供し、且つそれぞれのアンテナを介して提供された送信データパケットを送信するように設計されている。
【0010】
通信フェーズ中、少なくとも2つのアンテナユニットがネットワークインタフェースを介して複数のデータパケットを受信するので、2つのアンテナユニットは、受信するデータパケットを提供するユニットにデジタル接続されている。デジタル接続により、少なくとも2つのアンテナユニットを自動車の任意の位置に配置できる。特に、例えばほとんどが牽引車両とトレーラで構成されているトラックなどの商用車の場合、トレーラは頻繁に交換され、場合によっては外部企業から提供されていることが想定され得る。したがって、通信技術の要素、例えば、V2X、Wi-Fiなどを、自動車の牽引車両に配置することが有利である。牽引車両から開始する通信を複数の方向でカバーすることを有利に可能にするために、少なくとも2つのアンテナユニットが牽引車両を画定する牽引車両の異なる側面に配置されることが好ましい。
【0011】
少なくとも2つのアンテナユニットは、好ましくは、データパケットを同期して受信するように、及び/又は送信データパケットを同期して送信するように設計されている。
【0012】
したがって、2つのアンテナユニットは個別に動作するのではなく、一緒に、具体的には同期して動作するため、全方向性の特性を実現することが可能である。例えば、受信方向では、次に少なくとも2つのアンテナユニットの両方が受信機と同時にアクティブになり、それぞれが、それぞれのアンテナユニットが配置されている側面に割り当てられた自動車の側の1つをカバーする。受信信号はデコードされ、データ又はパケットレベルで中央制御ユニットに送信される。最良のケースでは、両方のアンテナユニットが同じデータパケットを完全に受信しているため、冗長性がある。このような冗長データパケットは、中央制御ユニットによって破棄できる。しかしながら、アンテナユニットがデータパケットを不正確に受信した場合、つまりCRCチェックサムがデータと一致しない場合、このデータパケットが中央制御ユニットに送信され得る。これは、2番目のアンテナユニットがデータパケットを完全且つ正しく受信した結果、不完全なデータパケットが破棄されるか、又は両方のアンテナユニットがデータパケットを不正確に受信した結果、それらをビットレベルで組み合わせることにより、中央制御ユニットに送信後に再構築できるためである。この場合、両方のアンテナユニットに同じネットワークアドレスが割り当てられていると有利である。
【0013】
少なくとも2つのアンテナユニットは、牽引車両の反対側の面に有利に配置され、具体的には、牽引車両の運転室の右側に第1のアンテナユニット及び左側に第2のアンテナユニットが配置される。
【0014】
2つのアンテナユニットが自動車の右側と左側に配置されている場合、それによって側面に割り当てられた両側の通信のカバレッジを確保でき、したがって、可能であれば、トレーラまでも含んで自動車の周囲全体のカバレッジも確保できる。
【0015】
ネットワークインタフェースを介したアンテナユニットのデジタル接続は、アンテナユニットを自動車全体の広い領域に分散させることを可能にするが、有線接続に基づくそのような組み合わせは、これまでかなり不適切なものであった。アンテナユニットと中央制御ユニットの間の可能な接続は、例えば、イーサネット又はBroadR-Reachによって達成することができる。異なる伝送媒体でアンテナユニットにアプローチすることも可能であり、例えば、アンテナユニットはUSB又はBroadR-Reachを介して接続できる。ジッタなどは、すべてのアンテナユニットをそれぞれの伝送媒体を介して中央制御ユニットと同期させることで補正できる。それぞれのアンテナユニットにパケットバッファを提供することも有利に可能である。
【0016】
少なくとも2つのアンテナユニットは、好ましくは、それぞれが外部ミラー又はミラー代替システムのカメラアームに統合されている。
【0017】
この場合、ミラー代替システムは、有利には、カメラアーム内に同様に配置された少なくとも1つのカメラを有する。1つの有利な構成では、動作中に、この少なくとも1つのカメラの信号と、送信用の少なくとも2つのアンテナユニットのアンテナの少なくとも1つの信号とを組み合わせる、ネットワークコンセントレータが存在する。
【0018】
したがって、2つのアンテナユニットのうちの少なくとも1つは、ミラー代替システムの1つ又は複数のカメラを備えたミラー代替システムのカメラアームに組み込むことができる。この場合、アンテナユニットは自動車の中央制御ユニットにデジタル接続されている。
【0019】
ネットワークコンセントレータ、例えばスイッチ、ハブなどが利用可能である場合、カメラ又は複数のカメラの、及びアンテナ又は複数のアンテナのデジタル信号を組み合わせて(例えば、多重化、優先順位付けして)送信することができる。この場合、プラグとハウジングの配置の任意の組み合わせが考えられる。例えば、言及されたすべてのコンポーネントは、カメラアーム内に別々のハウジングを持つことができるが、1つのハウジング内のコンポーネントとプラグの組み合わせも同様に可能である。例えば、ネットワークスイッチをアンテナユニットの1つと一緒に、カメラのプラグイン接続を含めて1つのハウジング内に配置することが考えられる。この場合、個々のコンポーネントには、デジタル接続の1つを介して、又は個別に、例えばPower-over-Ethernet、Power-over-Coax、USBなどを介して電力を供給することができる。
【0020】
少なくとも2つのアンテナユニットのアンテナは、好ましくは、それぞれが全方向性アンテナ特性又は指向性アンテナ特性を有する。
【0021】
2つのアンテナユニットのうちの少なくとも1つは、有利には、少なくとも2つのアンテナを有し、アンテナの第1のものは全方向性アンテナ特性を有し、アンテナの第2のものは指向性アンテナ特性を有する。
【0022】
この場合、アンテナユニットは、全方向性アンテナ特性を有する第1のアンテナと指向性アンテナ特性を有する第2のアンテナとの間で切り替えるためのスイッチングデバイスを有利に有する。結果として、両方のアンテナ特性を互いに組み合わせることができ、例えば、その結果、第1のRFパスが全方向性アンテナ特性に配置され、第2のRFパスが指向性アンテナ特性に配置される。無線モジュールなどの無線チップセットの構成及びオプションに応じて、ダイバーシティを使用して2つのRFパスを互いに組み合わせることができる。これにより、フェージング効果に関してシステムがより堅牢になると同時に、指向性アンテナの特性によるリンクバジェットが増加する。設計に応じて、複数のアンテナはまた、指向性効果を有することができ、及び/又は複数のアンテナはまた、指向性アンテナ特性又は異なる偏波を有することができる。
【0023】
アンテナは、最適な折衷点を見つけるために、考えられるすべての既知のメカニズム、例えばスイッチやデュプレクサを使用して互いに組み合わせることができる。
【0024】
複数のサービスをカバーするために異なるアンテナをマルチバンドアンテナとして設計することも、Bluetooth、V2X、W-LANなどの個々のサービス専用に個別のアンテナを設計することもできる。この場合、2つのアンテナユニットに、個々のサービスを操作するための異なるネットワークアドレスが割り当てられると有利である。
【0025】
ダイバーシティを実装するために、個々のアンテナユニットが複数のアンテナを有する場合は有利である。2.4GHz、5GHzなどの複数の帯域も、個別に又は同時にカバーすることができる。
【0026】
4つの側面のうちの1つにアンテナユニットのアンテナを組み合わせる実現性に加えて、複数の側面にわたって組み合わせを生成する実現性もある。例えば、アンテナユニットの1つは、両方のアンテナを使用して、ローカルMRCダイバーシティを可能な限りパフォーマンスと堅牢性を備えて実装でき、一方、アンテナユニットの2つ目は、反対側のアンテナユニットと同じ帯域又はサービスで個別にアンテナを有し、例えば、別の帯域のリターンチャネルをマッピングするアンテナも有する。この目的のために、割り当てられたチップセットがデュアルバンド同時接続(DBS)又はデュアルバンドコンカレント接続(DBC)プロパティなどの既知の機能をサポートしていると有利である。
【0027】
さらに、アンテナを使用して周囲を積極的に検索し、他のフリーバンドを探すこともできる(スキャン)。この目的で使用されるチップセットの実現性に応じて、特定の利点が生じる。例えば、MIMO又はMU-MIMO、並びにビームフォーミングを実装することができる。
【0028】
サービス又は異なるカバレッジの切り替えは、手動又は自動で動的に実行できるため、可能な限り最大の全体的なサービスカバレッジが保証される。この目的のために、利用可能な高レベルの情報、環境データ、GPS座標、プロトコル規制を介したV2Xマップ及びその他の境界条件、時間仕様、並びにリソース分布を考慮することができる。加えて、例えば中央制御ユニットのメモリなどの共通リソースを全面的に使用できる。
【0029】
特にV2X通信の場合、送信機と受信機が互いに整列しているかどうかに関係なく、できるだけ早く、できるだけ頻繁に適切な近接度で互いに到達するように、自動車には全方向性の全体的なアンテナ特性が必要である。
【0030】
1つの有利な構成では、自動車は、牽引車両に固定され、アンテナネットワークのさらなるアンテナユニットを有するトレーラを有し、さらなるアンテナユニットは、好ましくは、牽引車両に配置された2つのアンテナユニットと同じネットワークアドレスを割り当てられる。さらなるアンテナユニットは、少なくとも1つのアンテナ及び1つのネットワークインタフェースを有し、ネットワークインタフェースは、牽引車両に配置されたアンテナユニットに送信されるのと同じデータ内容を有するデータパケットを受信し、指定された通信プロトコルに基づいて、受信したデータパケットのデータ内容及びさらなるアンテナユニットの割り当てられたネットワークアドレスを含む送信データパケットを提供し、アンテナを介して提供された送信データパケットを送信するように設計されている。
【0031】
したがって、牽引車両の2つのアンテナユニットに加えて、さらなる遠隔アンテナユニットを組み合わせてアンテナネットワークを形成することもできる。自動車全体に最適な全方向性特性という意味での好ましい位置は、トレーラの後壁であり、その結果、通常はトレーラで覆われている、又は伝播に関してさえぎられている後部スペースに、よりよく到達することができる。
【0032】
したがって、さらなるアンテナユニットの少なくとも1つのアンテナは、好ましくは、全方向性アンテナ特性を有する。
【0033】
本発明の有利な構成は、添付の図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】トレーラ、牽引車両、及び複数のアンテナユニットを有するアンテナネットワークを備えた自動車の上方からの概略平面図を示す。
図2図1の自動車に配置されたミラー代替システムの概略図を示す。
図3】第1の実施形態における牽引車両の領域での、図1の自動車の概略詳細図を示す。
図4】第2の実施形態における牽引車両の領域での、図1の自動車の概略詳細図を示す。
図5】異なるアンテナ特性を有するアンテナを有する複数のアンテナユニットを備えた、図1の自動車の上からの概略平面図を示す。
図6図5のアンテナユニットの1つの概略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本実施形態では商用車12として、すなわち牽引車両14及びトレーラ16を備えたトラックとして設計された自動車10の上方からの概略平面図を示している。しかしながら、以下の説明はすべて、建設機械やトラクターなどの農業機械などの他の自動車10にも適用できる。
【0036】
自動車10は、アンテナネットワーク18を有し、これは、図1の本実施形態では、3つのアンテナユニット20を含み、2つのアンテナユニット20が牽引車両14上に配置され、1つのアンテナユニット20がトレーラ16上に配置されている。この場合、アンテナユニット20は、任意選択でのみトレーラ16に提供される。
【0037】
牽引車両14は、複数の側面22によって画定され、そのうち、自動車10の進行方向Rの第1の側面22aは、牽引車両14上の運転室26の左側24を形成し、自動車10の進行方向Rの第2の側面22bは、運転室26の右側28を形成する。この場合、牽引車両14に配置された2つのアンテナユニット20は、異なる側面22に配置され、すなわち、1つは運転室26の左側24に、もう1つは右側28に配置されている。
【0038】
アンテナネットワーク18の第3の、オプションでのみ提供されるアンテナユニット20は、トレーラ16の背面側30に配置されている。
【0039】
本実施形態では、アンテナネットワーク18のすべてのアンテナユニット20に同一のネットワークアドレスが割り当てられ、アンテナユニット20のそれぞれは、少なくとも1つのアンテナ32及び1つのネットワークインタフェース34を有する。アンテナユニット20は、中央制御ユニット36にデジタル接続されている。アンテナユニット20のネットワークインタフェース34は、すべてのアンテナユニット20に送信されるのと同じデータ内容を有するデータパケットを受信することができ、指定された通信プロトコルに基づいて、受信データパケットのデータ内容とすべてのアンテナユニット20の割り当てられた同一のネットワークアドレスとを含む送信パケットデータをそれぞれ提供することができ、割り当てられたアンテナユニット20のそれぞれのアンテナ32を介して提供された送信データパケットを送信することができるように設計されている。送信されたデータパケットは、それぞれのネットワークインタフェース34を介して受信することができ、したがって、アンテナユニット20のデジタル接続が含まれるので、アンテナユニット20は、自動車10上の任意の位置に配置することができる。示されているアンテナユニット20のすべてが同じネットワークアドレスでそれらの送信データパケットを送信するので、多かれ少なかれ多重路受信が受信側で行われることができ、すなわち複数の送信データパケットが到着し、したがってより信頼性の高い通信接続が可能である。
【0040】
この目的のために、アンテナユニット20がデータパケットを同期して受信するように、及び/又は送信データパケットを同期して送信するように設計されている場合、有利である。
【0041】
自動車10の1つの特に有利な構成では、それは、図2に概略的に示されているミラー代替システム38を有する商用車12である。ミラー代替システム38は、好ましくは牽引車両14上に配置され、大部分は2つのモニタ40を有し、これらはそれぞれ、運転室26の左側24及び右側28のディスプレイを形成する。モニタ40は、運転室26の外側で対応するカメラアーム44上に配置されたカメラ42からの記録を示し、周囲の記録を生成する。図2に示すように、アンテナユニット20は、そのようなカメラアーム44に有利に統合されている。代替的又は追加的に、アンテナユニット20を単純な外部ミラー46に統合することももちろん可能である。
【0042】
ECU(図示せず)は、ミラー代替システム38の各モニタ40に存在し、ECUは、イーサネット又はBroadR-Reachによって互いに接続されている。1つの変形例では、ミラー代替システム38はまた、それぞれの場合において、モニタ40の背後にある2つのECUの代わりに、中央ECUから構成され得る。したがって、カメラアーム44への必要なケーブル配線は最小限に抑えられる。示されている2つのECUを備えたミラー代替システム38は、両方のアンテナユニット20に到達することができる。この場合、アンテナユニット20は、例えば、V2Xの統合を可能にするように設計することができ、ミラー代替システム38のリソースを使用して、V2Xシステムを実装し、或いはパケットレベルで他のECUに転送するか又は他のECUからアンテナユニット20に転送する。同様に、図2のアンテナユニット20は、例えば、性能が高く、リソースが最適化された方法で外部ワイヤレスモバイル反転カメラを統合するために、特に適切な方法でワイヤレスビデオ送信を実装することができる。
【0043】
デジタル接続により、補償器、すなわちアナログ領域での後段増幅は必要ないが、アンテナ32のすぐ近くにある増幅器及びLNAは、電力損失なしで最適なパフォーマンスを可能にし、まずトレーラ16の背面側30にある遠隔アンテナユニット20におけるアーキテクチャを可能にする。
【0044】
すでに述べたように、カメラアーム44の中の代わりに、アンテナユニット20は、従来の外部ミラー46に、又は単に運転室26の側面又はその屋根に配置することもできる。
【0045】
UWB、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)用の433MHzモジュール、key radioなどの技術に対応することができる。
【0046】
図3は、ミラー代替システム38のカメラアーム44内のアンテナユニット20の配置の第1の実施形態の概略詳細図を示す。この場合、カメラアーム44に配置されたカメラ42及びアンテナユニット20の両方が、自動車10において別個にデジタル接続されている。
【0047】
図4は、ミラー代替システム38のカメラアーム44内のアンテナユニット20の配置の第2の実施形態の概略詳細図を示し、ここでは、ネットワークコンセントレータ48が提供されて、動作中に、2つのカメラ42の信号及び送信用のアンテナユニット20の信号の両方を組み合わせる。
【0048】
図5は、それぞれの場合に2つのアンテナ32を有するアンテナユニット20が各側24、28に配置されている、図1の自動車10の概略平面図を示し、各アンテナユニット20においては、第1のアンテナ32aは全方向性アンテナ特性Coを有し、第2のアンテナ32bは指向性アンテナ特性Cgを有する。したがって、自動車10の各側24、28には、2つの異なるアンテナ特性Co、Cgがあり、指向性アンテナ特性Cgは、この場合、後方への強い指向性効果を有し、これにより、例えば自動車10の後部に取り付けられた無線通信を備えたカメラ42について後方への最適化されたデータ送信が可能になる。さらに、例えば、ビデオデータは、自動車10の後方で運転している他の自動車に、より高性能にストリーミングすることができる。例えば、自動運転の分野のプラトーン用途では、結果として車両グループ内の通信を最適化できる。
【0049】
図6は、図5のアンテナユニット20のうちの1つの概略ブロック図を示す。
【0050】
図6のアンテナユニット20は、異なる用途に切り替えることができるアンテナ32を有し、そのために、それぞれの場合にスイッチングデバイス50が提供される。この場合、全方向性アンテナ特性Coを有するアンテナ32と、指向性アンテナ特性Cgを有するアンテナ32との間で切り替えることが可能である。図6のブロック図では、異なるRFパス52を介してアンテナ32を組み合わせることが可能である。図6のアンテナユニット20は、バス接続56を介して制御されるWi-Fiチップセット54を有する。Wi-Fiチップセット54は2×2の変形であり、RFパス52(5GHzの受信及び送信並びに2.4GHz)がそれぞれ2倍存在する。本実施形態では、Wi-Fiチップセット54は、従来のWLAN及びV2X又はDSRC(専用狭域通信)の両方をサポートする。5GHzのRFパス52の場合、外部増幅器、LNA(低雑音増幅器)、DSRC用の切り替え可能なフィルタ、及び送信と受信の間の切り替えを有するフロントエンド58が存在する。
【0051】
バンドパスフィルタ60は、2.4GHzのRFパス52の上流に接続されている。RFパス52は、デュプレクサ62を介して結合され、その結果、それぞれの場合の2つのアンテナ32を、それぞれの場合のRFパス52に供給することができる。
【0052】
バス接続56又はネットワーク接続は、例としてのみ示されており、接続は、例えば、シリアライザ又はリピータを介して行うこともできる。アンテナネットワーク20はまた、USB経由で直接接続され得る。理想的には、アンテナユニット20に外部プロセッサは必要なく、内部プロセッサを備えたWi-Fiチップセット54のみが必要である。
【0053】
アンテナユニット20が局所的に複数のアンテナ32を有する場合、ダイバーシティを実装し、2.4GHz、5GHzなどの複数の帯域を個別に又は同時にカバーし、異なるアンテナ特性Co、Cgを提供することが可能である。自動車10の右側28及び左側24がアナログ方式で組み合わされた場合では、ダイバーシティはわずかな利益しかもたらさないであろう。これが予想されるのは、右側28と左側24の信号が、住宅、自動車などの存在により異なる伝搬条件にさらされるため、非常に異なるからである。一方で、局所的ダイバーシティ及びその後のデジタルレベルの右側28及び左側24のダイバーシティは、特に有用な信号又はプロトコルデータの場合に、大幅な性能の向上をもたらす。両側24、28からの不完全なデータパケットの可能な組み合わせは、堅牢性を高める。異なるアンテナ特性Co、Cgを使用して、それらを動的に組み合わせることも可能である。ここでは、異なるサービスを動作させることができるようにするために、アンテナユニット20に異なるネットワークアドレスを割り当てることが有利となり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6