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  • 特許-多極コネクタ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】多極コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20240814BHJP
   H01R 13/56 20060101ALI20240814BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/56
H01R13/639 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021577306
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2020068803
(87)【国際公開番号】W WO2021001526
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】102019004712.5
(32)【優先日】2019-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507400756
【氏名又は名称】コスタール・コンタクト・ジステーメ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴレーデ・ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ノッカー・アレクサンダー
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-209471(JP,A)
【文献】実開昭51-057300(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0184325(US,A1)
【文献】特開2000-058199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0162693(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 13/56-13/58
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコネクタハウジング(12)を有する第1のコネクタ部(10)と第2のコネクタハウジング(22)を有する第2のコネクタ部(20)とを備える多極コネクタ装置であって、
それぞれ複数の結合要素が、両コネクタハウジング(12,22)内に配置されていて、これらの結合要素のうちの少なくとも前記第1のコネクタハウジング(12)の複数の接触要素がそれぞれ、1つの接続線(30)に接続されていて、
前記第1のコネクタハウジング(12)と前記第2のコネクタハウジング(22)とが、コネクタ位置保証機構(40)によって、意図しない分離から保護されている係止連結部分によって互いに連結されていて、
前記コネクタ位置保証機構(40)は、互いに対向する2つの弾性アーム(43)から構成される弾性クリップ(42)を形成している当該多極コネクタ装置において、
同時に、前記コネクタ位置保証機構(40)は、互いに密接して平行に敷設された複数の接続線(30)を固定するための接続線ホルダ(42)も形成していること、及び
平行に束ねられた複数の接続線(30)が、前記弾性クリップ(42)に通され、この弾性クリップ(42)の締め付け力によって保持されることを特徴とする多極コネクタ装置。
【請求項2】
前記コネクタ位置保証機構(40)は、複数の前記コネクタハウジング(12,22)から独立して製造された個別部品であり、この個別部品は、差し込みによってこれらのコネクタハウジング(12,22)のうちの少なくとも1つのコネクタハウジングに係止可能であることを特徴とする請求項1に記載の多極コネクタ装置。
【請求項3】
前記複数の接続線(30)は、少なくとも1つの結合要素(34)によって1つの線束(32)に束ねられていることを特徴とする請求項1に記載の多極コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のコネクタハウジングを有する第1のコネクタ部と第2のコネクタハウジングを有する第2コネクタ部とを備える多極コネクタ装置に関する。この場合、それぞれ複数の結合要素が、両コネクタハウジング内に配置されていて、これらの結合要素のうちの少なくとも当該第1のコネクタハウジングの複数の接触要素がそれぞれ、1つの接続線に接続されている。この場合、当該第1のコネクタハウジングと当該第2のコネクタハウジングとが、コネクタ位置保証機構によって、意図しない分離から保護されている係止連結部分によって互いに連結されている。
【背景技術】
【0002】
このような多極コネクタ装置は、例えば独国特許出願公開第1の02015009039号明細書から公知である。
【0003】
多極コネクタ装置には、複数の接触要素に接続されている複数の接続線を良好な配置で偏向させなければならないという極数の増大と共に増大する問題点がある。従来の方法では、引き出された複数の接続線を複数の結合要素、例えば複数の結束バンドによって複数の線束に束ねていた。当該結合要素用の特別な固定箇所が、コネクタハウジングに又は周囲に存在しない場合、一般に、当該提供された線幅が適切に固定されない。
【0004】
複数の接続線を固定するための公知の別の選択肢では、複数のコネクタハウジングをそれぞれ複数の部分で形成し、当該複数のハウジング部の結合時にこれらの接続線を当該複数のハウジング部間に収納していた。しかしながら、これらのコネクタハウジングの構造が、非常に複雑になり、したがってこれらのコネクタハウジングは、比較的高価になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102015009039号明細書
【文献】独国特許第10332892号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、非常に僅かな材料コストと組み立て技術コストとで多数の接続線を固定することを可能にするコネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、同時に、当該コネクタ位置保証機構が互いに密接して平行に敷設された複数の接続線を固定するための接続線ホルダも形成していることによって解決される。
【0008】
好ましくは、当該コネクタ位置保証機構は、複数のコネクタハウジングから独立して製造された個別部品として形成され得る。この個別部品は、差し込みによってこれらのコネクタハウジングのうちの少なくとも1つのコネクタハウジングに係止可能である。
【0009】
特に好ましくは、接続線ホルダを形成している当該コネクタ位置保証機構の一部が、互いに対向する2つの弾性アームから構成される弾性クリップとして形成され得る。平行に束ねられた複数の接続線が、この弾性クリップに簡単に通され得て、この弾性クリップによって保持され得る。
【0010】
この場合、同様に好ましくは、当該複数の接続線を当該弾性クリップに通す前に結合要素によって1つの線束に束ねることが提唱され得る。
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を図示し詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】完全に組み立てられたコネクタ装置を示す。
図2】完全に組み立てられたコネクタ装置の横断面を示す。
図3】第1のコネクタハウジング及びCPA機構を示す。
図4】取り付けられたCPA機構と取り付けられた線束とを有する第1のコネクタハウジングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、完全に組み立てられた本発明のコネクタ装置を示す。このコネクタ装置は、第1のコネクタ部10と第2のコネクタ部20とから構成される。この第1のコネクタ部10のコネクタハウジング12と、この第2のコネクタ部20のコネクタハウジング22とが連結されていて、これらのコネクタハウジング12,22の連結部分が、CPA機構(CPA=コネクタ位置保証)によって分離から保護されている。
【0014】
CPA機構40は、コネクタハウジング12,22から離間した側に互いに対向する2つの弾性アーム43を有する(図2で明らかに認識可能である)。これらの弾性アーム43は、複数の接続線から成る線束32を挟持する。
【0015】
両コネクタハウジング12,22は、例えばソケット接触子及びコネクタピンのような互いに連結可能な電気接触要素を有する。しかしながら、図には、これらの電気接触要素は示されていない。
【0016】
図3には、第1のコネクタハウジング12とCPA機構40とがそれぞれ、個別部品として示されている。さらに、固定スライド機構50が示されている。第1のコネクタハウジング12は、二並列に配置されている複数の収容室48を有する。このため、これらの収容室48は、ここに示されていない電気接触要素を係止式に収容するように構成されている。
【0017】
全ての接触要素を収容室48内に差し込んだ後に、長尺の直方体状に形成された固定スライド機構50の固定板52が、第1のコネクタハウジング12の全長を貫通する固定経路19内に挿入される。
【0018】
この場合、固定スライド機構50に配置された係止ロック部54が、第1のコネクタハウジング12に係止する。これにより、固定スライド機構50は、第1のコネクタハウジング12に固定されている。
【0019】
固定経路19内に挿入された固定板52は、当該複数の接触要素にあるそれぞれ1つの自由部分(Freilassung)を把持(hintergreift)し、全ての接触要素を二次固定する。このような固定の原理は、例えば独国特許第10332892号明細書から公知である。
【0020】
第1のコネクタハウジング12は、その両側壁の中央に窪み部13を有する。弾性ロック部17が、窪み部13内に配置されている。2つの取っ手状の係止要素15,16が、弾性ロック部17に上下に配置されている。
【0021】
3つの係止溝14がそれぞれ、第1のコネクタハウジング12の側壁内の窪み部13の両側に上下に成形されている。これらの係止溝14は、CPA機構40の側面に成形されている係止ウェブ44と協働するように設けられている。さらに、キー部46を形成している成形部材が認識可能である。
【0022】
CPA機構40は、係止ウェブ44と係止溝14とを介して第1のコネクタハウジング12に係止連結可能である。この場合、係止ウェブ44と係止溝14との当該協働は、第1のコネクタハウジング12でのCPA機構40の少なくとも2つの係止位置を可能にする。以下では、これらの係止位置を係止前位置及び最終係止位置と呼ぶ。
【0023】
図4は、第1のコネクタハウジング12で係止前位置あるCPA機構40を示す。この場合、CPA機構40の両側面にあるそれぞれの両係止ウェブ44が、第1のコネクタハウジング12の窪み部の一番上の両係止溝14内に挿入されている。この場合、CPA機構40のキー部46が、第1のコネクタハウジング12の上部係止要素15と下部係止要素16との間に存在する。
【0024】
これにより、弾性ロック部17が、さらに旋回可能である。その結果、第1のコネクタハウジング12と第2のコネクタハウジング22との結合時に、下部係止要素16が、第2のコネクタハウジング22の係止凹部24内に係入し得る。
【0025】
その後に、CPA機構40が、押し下げることによってその最終係止位置に移行される。これにより、図1及び2に示された組み立て状態が得られる。
【0026】
図2の断面に示されているように、当該最終係止位置では、CPA機構40のキー部46が、下部係止要素16を把持し、この下部係止要素16を第2のコネクタハウジング22の係止凹部24内に固定する。これにより、同時に、弾性ロック部17の可動性が無効にされている。これにより、CPA機構40が、その最終係止位置に留まる限り、両コネクタハウジング12,22が、分離不可能に連結されている。
【0027】
図4で示された係止前位置で既に、CPA機構40は、第1のコネクタ部10の接触要素に接続されている接続を第1のコネクタハウジング12に固定する別の機能を満たしていて、図1に示された最終係止位置でも当然に、当該別の機能を満たしている。このため、オプションとして、例えば結束バンド又は接着テープのような追加の結合要素34によって1つの線束32に束ねられた複数の接続線30が、CPA機構40に属する弾性クリップ42に通されている。弾性クリップ42の両弾性アーム43の締め付け力によって、当該複数の接続線のこの線束32が、両コネクタ部10,20の差し込み方向に対してほぼ直角の引き出し方向で固定される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る。
1.
第1のコネクタハウジング(12)を有する第1のコネクタ部(10)と第2のコネクタハウジング(22)を有する第2のコネクタ部(20)とを備える多極コネクタ装置であって、
それぞれ複数の結合要素が、両コネクタハウジング(12,22)内に配置されていて、これらの結合要素のうちの少なくとも前記第1のコネクタハウジング(10)の複数の接触要素がそれぞれ、1つの接続線(30)に接続されていて、
前記第1のコネクタハウジング(10)と前記第2のコネクタハウジング(20)とが、コネクタ位置保証機構(40)によって、意図しない分離から保護されている係止連結部分によって互いに連結されている当該多極コネクタ装置において、
同時に、前記コネクタ位置保証機構(40)は、互いに密接して平行に敷設された複数の接続線(30)を固定するための接続線ホルダ(42)も形成している当該多極コネクタ装置。
2.
前記コネクタ位置保証機構(40)は、複数の前記コネクタハウジング(10,20)から独立して製造された個別部品であり、この個別部品は、差し込みによってこれらのコネクタハウジング(10,20)のうちの少なくとも1つのコネクタハウジングに係止可能である上記1に記載の多極コネクタ装置。
3.
前記コネクタ位置保証機構(40)は、弾性クリップ(42)を形成している上記1又は2に記載の多極コネクタ装置。
4.
前記複数の接続線(30)は、少なくとも1つの結合要素(34)によって1つの線束(32)に束ねられている上記1に記載の多極コネクタ装置。
【符号の説明】
【0028】
10 第1のコネクタ部
12 第1のコネクタハウジング
13 窪み部
14 係止溝
15 上部係止要素
16 下部係止要素
17 弾性ロック部
19 固定経路
20 第2のコネクタ部
22 第2のコネクタハウジング
24 係止凹部
30 接続線
32 線束
34 結合要素
40 CPA(コネクタ位置保証)機構
42 弾性クリップ(接続線ホルダ)
43 弾性アーム
44 係止ウェブ
46 キー部
48 収容室
50 固定スライド機構
52 固定板
54 係止ロック部
図1
図2
図3
図4