(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】キノキサリン-ヒドラゾンコアを有する新規な重合性液晶
(51)【国際特許分類】
C07D 241/44 20060101AFI20240814BHJP
G02F 1/13363 20060101ALI20240814BHJP
G02B 5/30 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
C07D241/44 CSP
G02F1/13363
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2021577566
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 EP2020068081
(87)【国際公開番号】W WO2020260621
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-03-13
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518163910
【氏名又は名称】ロリク・テクノロジーズ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ROLIC TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】山内 真之介
(72)【発明者】
【氏名】ネキールソン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】シャペレ,サブリナ
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/141245(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/147904(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/180217(WO,A1)
【文献】特開2017-125009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、水素、C
1~C
12直鎖又は分岐のアルキル鎖、C
3~C
12アルケニル、C
1~C
12アルコキシ、C
3~C
12アルケニルオキシ、-(CH
2)
m-C(CH
3)
3、NO
2、CN、COR、-COOR、-OCOR、-CONR’R、-NR’COR、OCOOR、-OCONR’R、-NR’COOR、-F、-Cl、-CF
3及び-OCF
3からなる群より選択され;
ここで、
mは、0~12の整数であり;
Rは、水素、C
1~18アルキル基、3位以上に二重結合を持つC
3~18アルケニル基、-(CH
2)
p-C-(CF
3)
3、CN及び非置換又は置換のフェニル環からなる群より選択され、ここで、フェニル環の置換基は、C
1~C
6直鎖又は分岐のアルキル鎖、C
1~C
6アルコキシ、-C-(CH
3)
3、ハロゲン、-CF
3、NO
2、CN、COR'''、-COOR'''、-OCOR'''、-CONR''R'''、-NR''COR'''、OCOOR'''、-OCONR''R'''、-NR''COOR'''、-F、-Cl、-CF
3及び-OCF
3からなる群より選択され;
ここで、
R''は、水素、低級アルキル基及び低級アルケニル基からなる群より選択され
、低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであり、低級アルケニル基は、2-プロペニル、3-ブテニル、3-イソペンテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル又は4-イソヘキセニルであり;
R'''は、水素、C
1~18アルキル基及び3位以上に二重結合を持つC
3~18アルケニル基からなる群より選択され;
pは、0~12の整数であり;
R’は、水素、低級アルキル、低級アルケニル及び低級アルコキシからなる群より選択され
、低級アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであり、低級アルケニルは、2-プロペニル、3-ブテニル、3-イソペンテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル又は4-イソヘキセニルであり、低級アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ又はヘキソキシであり;
nは、0、1、2又は3であり;
Yは、H、又は1~12個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアルキル基からなる群より選択され;
Zは、水素、1~20個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基、3~12個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキニル基からなる群より選択されるが、ここで、1個以上の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR
a-、-CON-、-CO-R
b、-NH-R
cにより置き換えられていてもよく、ここで、R
aは、C
1~C
12アルキル基であり、R
b及びR
cは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアルキル基、又は少なくとも1個の芳香環を包含する2~30個の炭素原子を有する有機基、又は2~20個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアルケニル基、又は3~12個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のシクロアルキル基であり;
環C及びDは、互いに独立して、フェニル
環又はシクロアルキル
環であり、ただし、環C又はDの少なくとも一方は、
フェニル環であり;
環Eは、フェニル
環であり;
置換基X
1
は、C
1~C
12の置換又は非置換の直鎖又は分岐のアルキル
鎖及びC
1~C
12アルコキシからなる群より選択されるが、ここで、1個以上の炭素原子は、-O-、-COO-
、-OOC-、-O(CO)O
-により置き換えられていてもよ
いか;あるいは
置換基X
1
は、式(II):
【化2】
で示される基により表され;
置換基X
2
は、式(II):
【化3】
で示される基により表され;
ここで、式(II)の基において、nは、0~24の整数であり、そして
式(II)の-(CH
2
)
n
-部分において、1個以上の炭素原子は、-O-、-COO-
、-OOC-、-O(CO)O
-により置き換えられていてもよ
く;
式(II)の基のPGは
、CH
2=CW-COO-
からなる群より選択される重合性基を表すが;ここで、Wは、
H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルを表
す]で示される異方性化合物。
【請求項2】
R
1、R
2及びR
3が、互いに独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルケニルオキシ、-F
、-C-(CH
3
)
3
及び-CF
3からなる群より選択され
、低級アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルであり、低級アルケニルは、2-プロペニル、3-ブテニル、3-イソペンテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル又は4-イソヘキセニルであり、低級アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ又はヘキソキシであり、低級アルケニルオキシは、2-プロペニルオキシ、3-ブテニルオキシ、4-ペンテニルオキシ又は5-ヘキセニルオキシである、請求項1に記載の異方性化合物。
【請求項3】
R
1、R
2及びR
3が、互いに独立して、メチル、メトキシ、-F、-C-(CH
3)
3及び-CF
3からなる群より選択される、請求項2に記載の異方性化合物。
【請求項4】
環C及びDの両方が、フェニル環である、請求項1~3のいずれか一項に記載の異方性化合物。
【請求項5】
環C
及びD
の両方が、
フェニル環である場合、X
1及びX
2を表す式(II)の基が、互いに独立して下記式:
【化4】
[式中、nは、0~24の整数である]で示される基並びにそれらの対応するメタクリラートからなる群より選択され
る、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Zが、水素及び1~12個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキル基からなる群より選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の異方性化合物。
【請求項7】
PGが、アクリラート又はメタクリラートから選択される、請求項1~
6のいずれか一項に記載の異方性化合物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の式(I)の異方性化合物を含むLCP混合物。
【請求項9】
架橋又は重合された形態である、請求項
8に記載のLCP混合物。
【請求項10】
アライニング光への曝露による、請求項1~
7のいずれか一項に記載の異方性化合物、又は請求項
8若しくは
9に記載のLCP混合
物を含む光学フィルムを製造する方法。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか一項に記載の式(I)の異方性化合物、又は請求項
8若しくは
9に記載のLCP混合
物を含む光学フィルム。
【請求項12】
光学又は電気光学デバイスの製造における、請求項1~
7のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項
8若しくは
9に記載のLCP混合
物の使用。
【請求項13】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項
8若しくは
9に記載のLCP混合
物を包含する、光学又は電気光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノキサリン-ヒドラゾンコアを有する新規な重合性異方性液晶(LCP)化合物、そのようなLCP化合物を含む組成物、及びそのようなLCP化合物又は組成物を含む光学フィルムに関する。本発明のLCPを含む光学フィルムは、広い波長帯域にわたる偏光の逆リタデーションパターンを示した。最後に、本発明は、例えば、フラットディスプレイ、テレビ、スマートフォン、タブレットなどの、そのようなLCP化合物を含む、又はそのようなLCP化合物を含む光学フィルムを含む、光学的異方性製品に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性LCP化合物から調製された光学フィルム(LCPフィルム)は、当業者には周知であり、光学デバイスの調製に使用される。光学フィルムの例は、リタデーションフィルム又は偏光子である。リタデーションフィルムは、それを通過する光の偏光状態を変化させる一種の光学素子である。光がリタデーションフィルムを通過すると、複屈折及びフィルムの厚さのため、光の偏光方向が変化する。4分の1波長リタデーション板は、直線偏光を円偏光に変換し、半波長リタデーション板は、直線偏光の振動面を90°変換する。このようなリタデーションフィルムは、λ/4又はλ/2リタデーションが発生するように、特定の単色光の変換を達成できる。しかしながら、既知のリタデーションフィルムには、通過する偏光が着色偏光に変換されるという欠点がある。また、偏光した白色光については、各波長に対応する偏光状態分布が生じる。したがって、波長帯域全体にわたって正確なλ/4又はλ/2リタデーションを実現することは不可能である。このような欠点を改善するために、短波長よりも長波長でより大きな波長分散を有するリターダフィルムを開発する必要がある。リターダとしても知られるリタデーションフィルムの調製における別の問題は、少量の材料で高性能フィルムを調製することである。
【0003】
したがって、上記のような光学フィルムの調製に使用できる新規なLCP化合物が必要であり、これにより前述の欠点が大幅に軽減される。本発明はその必要性に取り組む。
【0004】
幾つかの異方性LCP化合物が当技術分野において既知であるが、より広い波長にわたって偏光の均一な変換が改善された新規なLCP化合物を開発する要求が依然として存在する。そのような異方性LCP化合物の幾つかの例は、WO2012/147904、WO2016/104317、WO2017/043437及びJP2016/128403に開示されている。
【0005】
LCPフィルムは、一般に、当業者には周知の方法で製造される。これは、架橋可能なLCP又はLCP混合物の有機溶液を、配向層を備えた基板上、又は前もってラビング法によって処理された基板上にコーティングすることを伴う。あるいは液晶用の他のアライニング法を使用してもよい。続いて、有機溶媒を除去することにより、配向性が高く、無溶媒のLCP層を与え、これが次に架橋されて、液晶特性の秩序構造を固定する。このようなフィルムの望ましい光学性能は、異方性LCP材料が同時に満たさなければならない幾つかの物理パラメーターに決定的に依存する。このような特性とは、低融点又は融点未満に冷却されたとき(過冷却)の低い結晶化傾向、有機溶媒への良好な溶解性、他のLCPとの良好な混和性、配向層での良好なアライニング特性、及び本質的に傾斜ドメイン及び回位のない基板面からの調整可能な傾斜の形成能である。傾斜ドメインとは、LCP分子の長軸が、同じサイズで反対方向の基板面から傾斜角を形成する、LCPフィルム内の領域である。回位とは、反対の傾斜角のLCP分子が近接する隣接傾斜ドメインの境界線である。これらの傾斜ドメイン及び回位は、フィルムの均一な外観の乱れと不均質な光学性能との両方をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
本発明の第1の目的は、式(I)により記述される異方性LCP化合物、並びに少なくとも1種の前記化合物と少なくとも1種の添加剤及び/又は溶媒とを含む組成物を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、少なくとも1種の前記異方性LCP化合物を含む光学フィルム及びその調製方法、偏光の均一な変換を達成するリタデーションフィルムとしての前記光学フィルムの使用、並びに前記光学フィルムを含むデバイス及びその製造法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1、2、2B及び2Dの複屈折の波長分散を示している。
【
図2】
図2は、実施例6のフィルムのリタデーション分散を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明の第1の態様は、式(I)の化合物を提供する。
【化1】
【0010】
式(I)の化合物において、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、C1~C12直鎖又は分岐のアルキル鎖、C3~C12アルケニル、C1~C12アルコキシ、C3~C12アルケニルオキシ、-(CH2)m-C(CH3)3、NO2、CN、COR、-COOR、-OCOR、-CONR’R、-NR’COR、OCOOR、-OCONR’R、-NR’COOR、-F、-Cl、-CF3及び-OCF3からなる群より選択され;
ここで、
mは、0~12の整数であり;
Rは、水素、C1~18アルキル基、3位以上に二重結合を持つC3~18アルケニル基、-(CH2)p-C-(CF3)3、CN及び非置換又は置換のフェニル環からなる群より選択され、ここで、フェニル環の置換基は、C1~C6直鎖又は分岐のアルキル鎖、C1~C6アルコキシ、-C-(CH3)3、ハロゲン、-CF3、NO2、CN、COR'''、-COOR'''、-OCOR'''、-CONR''R'''、-NR''COR'''、OCOOR'''、-OCONR''R'''、-NR''COOR'''、-F、-Cl、-CF3及び-OCF3からなる群より選択され;
ここで、
R''は、水素、低級アルキル基及び低級アルケニル基からなる群より選択され;
R'''は、水素、C1~18アルキル基及び3位以上に二重結合を持つC3~18アルケニル基からなる群より選択され;
pは、0~12の整数であり;
R’は、水素、低級アルキル、低級アルケニル及び低級アルコキシからなる群より選択され;そして
ここで、
nは、0、1、2、又は3である。
【0011】
好ましくは、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルケニルオキシ、-F及び-CF3からなる群より選択される。
【0012】
最も好ましくは、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、メチル、メトキシ、-F、-C-(CH3)3及び-CF3からなる群より選択される。
【0013】
Yは、H、又は1~12個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアルキル基からなる群より選択される。
【0014】
Zは、水素、1~20個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルケニル基、3~12個の炭素原子を有する置換又は非置換のシクロアルキル基、2~20個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキニル基からなる群より選択されるが、ここで、1個以上の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NRa-、-CON-、-CO-Rb、-NH-Rcにより置き換えられていてもよく、ここで、Raは、C1~C12アルキル基であり、Rb及びRcは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアルキル基、又は少なくとも1個の芳香環を包含する2~30個の炭素原子を有する有機基、又は2~20個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のアルケニル基、又は3~12個の炭素原子を有する置換若しくは非置換のシクロアルキル基である。
【0015】
好ましくは、Zは、水素及び1~12個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキル基からなる群より選択される。
【0016】
環C及びDは、互いに独立して、フェニル、ビフェニル、ナフチル、シクロアルキル、好ましくはシクロヘキシル、ビシクロアルキル、好ましくはビシクロヘキシル、下記式:
【化2】
で示される基からなる群より選択される(ただし、環C又はDの少なくとも一方は、芳香環を含有する)。
【0017】
好ましくは、環C及びDは、互いに独立してフェニル又はシクロヘキシルであり、最も好ましくは、環C及びDの両方は、フェニル環である。
【0018】
環Eは、フェニル、ビフェニル及びナフチルからなる群より選択される。
【0019】
好ましくは、環Eは、フェニル環である。
【0020】
置換基X
1及びX
2は、互いに独立して、水素、C
1~C
12の置換又は非置換の直鎖又は分岐のアルキル鎖、C
3~C
12の置換又は非置換の直鎖又は分岐のアルケニル鎖及びC
1~C
12アルコキシからなる群より選択されるが、ここで、1個以上の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NR
a-、-CON-により置き換えられていてもよく、ここで、R
aは、C
1~C
12アルキル基であるか;あるいは置換基X
1及びX
2は、互いに独立して、式(II):
【化3】
で示される基により表される。
【0021】
式(II)の基において、nは、0~24の整数であるが、ここで、1個以上の炭素原子は、-O-、-COO-、-OCO-、-OOC-、-O(CO)O-、-N-、-NRa-、-CON-により置き換えられていてもよく、ここで、Raは、C1~C12アルキル基である。
【0022】
式(II)の基の置換基PGは、CH2=C(Ph)-、CH2=CW-COO-、CH2=CH-COO-Ph-、CH2=CW-CO-NH-、CH2=CH-O-、CH2=CH-OOC-、Ph-CH=CH-、CH2=CH-Ph-、CH2=CH-Ph-O-、Rb-Ph-CH=CH-COO-、Rb-OOC-CH=CH-Ph-O-及び2-W-エポキシエチルからなる群より選択される重合性基を表すが;ここで、Wは、H、Cl、Ph又は低級アルキルを表し、そしてRbは、低級アルキルを表すが、ただし、Rbは、フェニレン基(-Ph-)に結合しているとき、水素又は低級アルコキシをも表してよい。好ましくは、PGは、アクリラート又はメタクリラート基を表す。
【0023】
環C及びDが、互いに独立してシクロヘキシルであるか、又はシクロヘキシルを含有するとき、好ましくは、置換基X1及びX2は、水素、C1~C12の置換又は非置換の直鎖又は分岐のアルキル鎖、C3~C12の置換又は非置換の直鎖又は分岐のアルケニル鎖及びC1~C12アルコキシからなる群より選択される。
【0024】
好ましくは、環C又はDが、互いに独立して芳香環であるか、又は芳香環を含有する場合、より好ましくは、C又はDが、互いに独立してフェニル環であるか、又はフェニル環を含有する場合、式(II)の基は、下記式:
【化4】
[式中、nは、上記と同じ意味を有する]で示される基か、又はそれらの対応するメタクリラートから選択される。
【0025】
「低級アルキル」という用語は、C1~6のアキラルの分岐又は直鎖のアルキル基を包含するものと理解されるべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを包含する。
【0026】
「低級アルケニル」という用語は、二重結合が2位以上にある、C3~6のアキラルの分岐又は直鎖のアルケニル基を包含するものと理解されるべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルケニル基の例は、2-プロペニル、3-ブテニル、3-イソペンテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、4-イソヘキセニルなどを包含する。
【0027】
「低級アルコキシ」という用語は、C1~6のアキラルの分岐又は直鎖のアルコキシ基を包含するものと理解されるべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシなどを包含する。
【0028】
「低級アルケニルオキシ」という用語は、二重結合が2位以上にある、C3~6のアキラルの分岐又は直鎖のアルケニルオキシ基を包含するものと理解されるべきである。本発明の化合物中に存在し得る低級アルケニルオキシ基の例は、2-プロペニルオキシ、3-ブテニルオキシ、4-ペンテニルオキシ、5-ヘキセニルオキシなどを包含する。
【0029】
本発明の重合性異方性LCP化合物は、当業者には周知の手順を用いて容易に調製され
得るが、僅かな限定されない手順が実施例に提供されている。
【0030】
出発物質は、市販されているか、又は容易に調製され得るもので、当業者には周知のものである。
【0031】
本出願に関連して使用される重合性異方性LCP化合物材料とは、液晶モノマー及び/又は液晶オリゴマー及び/又は液晶ポリマー及び/又は架橋液晶を含む、液晶材料を意味するものとする。液晶材料が液晶モノマーを含む場合、そのようなモノマーは、典型的には、例えば、配向層との接触に起因して又はラビングによって、LCP材料に異方性が生じた後に重合され得る。重合は、熱処理によって、及び/又は化学線(好ましくはUV光を含む)への曝露によって開始され得る。異方性LCP材料は、単一種の液晶化合物のみを含んでもよいが、また追加の重合性及び/又は非重合性の化合物を含んでもよく、ここで、全ての化合物が液晶化合物である必要はない。光学フィルムの場合、LCPモノマーは、光配向層の上に又はラビング処理表面の上に適用される。光配向層の又はラビング処理表面のアラインメント情報がLCPモノマーに転移された後、LCP材料を固化するために、モノマーが重合及び/又は架橋される。本発明の重合又は架橋ポリマーは、式(I)の異方性LCP化合物のみを単独で含有してもよく、この場合、ポリマーはホモポリマーであるか、あるいは重合又は架橋ポリマーは更に異なるモノマーを含有してもよく、この場合、ポリマーはコポリマーであることが理解される。更に異なるモノマーは、LCP特性を有していても有していなくともよい。
【0032】
本発明の異方性LCP化合物は、従来技術のLCP化合物について以前に記載された欠点を克服する。更に、本発明の異方性LCP化合物は、優れた溶解性及び低温加工性を有する。
【0033】
本発明の更なる目的は、式(I)によって記述される異方性LCP化合物及び少なくとも1種の添加剤を含む組成物に関する。添加剤は、以下から選択することができる:酸化防止剤、光開始剤などの開始剤、促進剤、染料、阻害剤、活性剤、充填剤、連鎖移動阻害剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロピー剤、界面活性剤、粘度調整剤、伸展油、可塑剤、粘着付与剤、触媒、増感剤、安定剤、平滑剤、分散剤、ポリマー結合剤及び/又は重合によってポリマー結合剤に変換できるモノマー化合物、又はエマルションコーティング及び印刷インクの場合には、分散助剤、疎水化剤、接着剤、流動性向上剤、消泡剤、脱気剤、希釈剤、助剤、着色剤、染料及び顔料、硬化防止剤、キラル添加剤、等方性又は異方性の蛍光及び/又は非蛍光染料、特に二色性染料。このような液晶組成物の調製に使用され得る溶媒は、アセトン、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、N-エチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、(AN)、テトラヒドロフラン(THF)、1,3-ジオキソラン(DXG)、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセタート(MPA)、γ-ブチロラクトン(BL)、プロピレングリコールモノアセタート、プロピレングリコールジアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)を包含するが、これらに限定されない。最も好ましい溶媒は、シクロペンタノン(CP)、シクロヘキサノン(CH)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル(EA)、1-メトキシ-2-プロパノールアセタート(MPA)、1,3-ジオキソラン(DXG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。
【0034】
本発明の更なる好ましい目的は、式(I)の異方性LCP化合物、LCP混合物、並びにシクロヘキサノン、トルエン及びシクロペンタノンから選択される少なくとも1種の溶媒;並びに/又は添加剤を含む組成物に関する。
【0035】
本発明の更なる好ましい実施態様は、式(I)の異方性化合物を含む組成物、LCP混合物であり、これは、好ましくは、結晶化なしに3か月を超える貯蔵寿命安定性を有する。
【0036】
本発明は、本発明の異方性LCP化合物又は組成物のうちの少なくとも一方を含む光学フィルムに関する。光学フィルムの一例は、本発明の光学フィルムを偏光子と組合せることによって製造される反射防止フィルムである。
【0037】
異方性LCP化合物又は異方性LCP化合物を含む組成物は、支持体上に適用することができる。支持体は、剛性であっても柔軟であってもよく、任意の形態又は外形を有することができる。原則として、それは任意の材料で構成されていてよい。好ましくは、支持体は、プラスチック、ガラス若しくは金属を含むか、又はシリコンウェーハである。支持体が柔軟である場合、支持体はプラスチック又は金属箔であることが好ましい。好ましくは、支持体の表面は平坦である。幾つかの用途では、支持体は、マイクロレンズ若しくはマイクロプリズムのような微細構造などのトポグラフィー表面構造、又は矩形構造などの外形の急激な変化を示す構造を含んでいてもよい。好ましくは、支持体は透明である。支持体はまた、本発明の異方性LCP化合物でコーティングする前に処理を受けていてもよい。
【0038】
支持体は、異方性LCP化合物又は異方性LCP化合物を含む組成物の堆積中に移動してもよい。例えば、LCP混合物の層は、好ましくはプラスチック又は金属である移動する柔軟な箔上に材料組成物を堆積させることによって、連続ロールツーロールプロセスで製造され得る。次に、得られたフィルムを支持箔と一緒にロールに巻いてもよいし、又はフィルムを支持体から解放してもよく、次に支持体なしで独立フィルムとして巻く。
【0039】
支持体は、光配向層、有機層、絶縁層又は金属層などの追加の層を有してよい。層は異なる機能を有することができ、例えば、有機層は、コーティングされる材料の支持体との適合性を高めるプライマー層としてコーティングすることができる。金属層は、例えば、ディスプレイなどの電気光学デバイスで使用されるときに電極として使用され得るか、又は反射体としての機能を有することができる。支持体はまた、例えば、薄膜トランジスタ、電極又はカラーフィルターを含み得る、LCD用の基板などの特定の機能を有する光学素子又はデバイスであってもよい。別の例では、支持体は、OLED層構造を含むデバイスである。支持体はまた、偏光フィルム又はシート偏光子などの偏光子、市販のVikuity(商標)DBEFフィルムなどの反射偏光子であることができる。
【0040】
本発明に関連して、「光配向層」は、アライニング光への曝露時に異方性特性が誘起され得る、光配向可能な物質である材料から作製される。更に、「光配向層」という用語は、アライニング光への曝露によって整列した層のことをいう。本発明の場合、誘起される異方性は、それが、例えば、式(I)の異方性LCP化合物を含む隣接する層にアラインメント能を提供するようなものでなければならない。「アラインメント方向」という用語は、隣接する層に誘起される好ましい方向のことをいうものであり、例えば、アラインメント方向は、LCP化合物が整列するであろう方向である。
【0041】
光配向可能な物質は、光配向可能な部分構造を組み込んでおり、これが、アライニング光への曝露時に好ましい方向を発現させ、そして異方性特性を作り出すことができる。そのような光配向可能な部分構造は、好ましくは異方性吸収特性を有する。典型的には、そのような部分構造は、230~500nmの波長範囲内で吸収を示す。好ましくは、光配向可能な部分構造は、300~450nmの波長範囲で光の吸収を示し、より好ましいのは、310~380nmの波長範囲で吸収を示す部分構造である。
【0042】
好ましくは、光配向可能な部分構造は、炭素-炭素、炭素-窒素、又は窒素-窒素の二重結合を有する。
【0043】
例えば、光配向可能な部分構造は、置換又は非置換のアゾ染料、アントラキノン、クマリン、メリシアニン、2-フェニルアゾチアゾール、2-フェニルアゾベンゾチアゾール、スチルベン、シアノスチルベン、フルオロスチルベン、シンナモニトリル、カルコン、シンナマート、シアノシンナマート、スチルバゾリウム、1,4-ビス(2-フェニルエチレニル)ベンゼン、4,4’-ビス(アリールアゾ)スチルベン、ペリレン、4,8-ジアミノ-1,5-ナフトキノン染料、アリールオキシカルボン酸誘導体、アリールエステル、N-アリールアミド、ポリイミド、2個の芳香環と結合したケトン部分構造又はケトン誘導体を有するジアリールケトン(例えば、置換ベンゾフェノン、ベンゾフェノンイミン、フェニルヒドラゾン、及びセミカルバゾンなど)である。
【0044】
上に列挙された異方性吸収材料の調製法は、例えば、Hoffmanらの米国特許第4,565,424号、Jonesらの米国特許第4,401,369号、Cole, Jr.らの米国特許第4,122,027号、Etzbachらの米国特許第4,667,020号、及びShannonらの米国特許第5,389,285号に示されるとおり周知である。
【0045】
好ましくは、光配向可能な部分構造は、アリールアゾ、ポリ(アリールアゾ)、スチルベン、シアノスチルベン、シンナマート又はカルコンを含む。
【0046】
光配向可能な物質は、具体的にはモノマー、オリゴマー又はポリマーであってよい。光配向可能な部分構造は、例えば、ポリマー又はオリゴマーの主鎖内又は側鎖内で共有結合することができるか、あるいはそれらは、モノマー又は重合性ではない他の化合物の一部であってもよい。光配向可能な物質は、更に、異なる種類の光配向可能な部分構造を含むコポリマーであってもよく、又は光配向可能な部分構造を伴う及び伴わない側鎖を含むコポリマーであってもよい。
【0047】
ポリマーは、例えば、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミド酸、ポリマレインイミド、ポリ-2-クロロアクリラート、ポリ-2-フェニルアクリラート;非置換若しくはC1~C6アルキル置換のポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ-2-クロロアクリルアミド、ポリ-2-フェニルアクリルアミド、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリエステル、ポリビニルエステル、ポリスチレン誘導体、ポリシロキサン、ポリアクリル酸若しくはポリメタクリル酸の直鎖若しくは分岐のアルキルエステル;ポリフェノキシアルキルアクリラート、ポリフェノキシアルキルメタクリラート、1~20個の炭素原子のアルキル残基を有するポリフェニルアルキルメタクリラート;ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリ-4-メチルスチレン又はそれらの混合物を意味する。
【0048】
光配向可能な物質はまた、光増感剤、例えば、ケトクマリン及びベンゾフェノンを含んでもよい。
【0049】
更に、好ましい光配向可能なモノマー又はオリゴマー又はポリマーは、米国特許第5,539,074号、米国特許第6,201,087号、米国特許第6,107,427号、米国特許第6,632,909号及び米国特許第7,959,990号に記載されている。
【0050】
LCPのアラインメントは、液晶を整列させるための他の既知の手段によって達成することができる。例えば、支持体は、アライニング表面を有してもよく、このことは、表面が液晶を整列させる能力を有することを意味するものである。支持体は、それ以上の処理なしに既にアラインメントを提供していてもよい。例えば、プラスチック基板が支持体として使用される場合、それは、製造方法、例えば、基板の押し出し又は延伸に起因して、表面上でアラインメントを提供し得る。また、支持体にブラシをかけたり、又は方向性のある微細構造をインプリントして、アラインメント能を作り出すことも可能である。
【0051】
LCP化合物の重合及びアライニング光への曝露の工程は、任意の順序であってよい。重合は、アライニング光への曝露の前又は後に開始させることができる。あるいは重合と曝露とは同時に行われてもよい。
【0052】
本発明の更なる実施態様は、本発明の式(I)の異方性化合物、LCP混合物又はLCPネットワークを含む光学フィルムを製造する方法であって、好ましくは<200mJ、より好ましくは<150mJ、そしてより好ましくは<100mJのエネルギーによるアライニング光への曝露による方法に関する。
【0053】
LCP混合物は、押し出し、注型、成形、2D若しくは3D印刷又はコーティングなどの任意の適切な方法によって支持体に適用することができる。適切なコーティング方法は、例えば、スピンコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、キスロールコーティング、ダイコーティング、ディッピング、ブラッシング、バーによる注型、ローラーコーティング、フローコーティング、ワイヤーコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、カーテンコーティング、エアナイフコーティング、リバースロールコーティング、グラビアコーティング、メータリングロッド(マイヤーバー)コーティング、スロットダイ(押し出し)コーティング、ローラーコーティング、フレキソコーティングである。適切な印刷方法は、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷などの凸版印刷、ジェット印刷、直接グラビア印刷若しくはオフセットグラビア印刷などの凹版印刷、オフセット印刷などの平版印刷、又はスクリーン印刷などの孔版印刷を包含する。
【0054】
本発明の更なる実施態様は、本発明の式(I)の異方性化合物、又はLCP混合物、又はLCPネットワークを含む光学フィルムである。好ましくは、光学フィルムは、整列した式(I)の異方性化合物、又はLCP混合物、又はLCPネットワークを含む。より好ましくは、アラインメント品質が均一であり、傾斜ドメインがないことである。
【0055】
更に好ましいのは、広い波長帯域にわたって偏光の逆リタデーションパターンを示す本発明のLCPを含む光学フィルムである。本発明の光学フィルムは、好ましくは、逆波長分散を伴う複屈折を有する:Re450/Re550は0.88未満であり、好ましくは、Re450/Re550は<0.85であるが;一方、Re650/Re550は1.01を上回り、好ましくはRe650/Re550は>1.03である(Re450は波長450nmでのフィルムのリタデーションを、Re550は波長550nmでのフィルムのリタデーションを、そしてRe650は波長650nmでのフィルムのリタデーションを表す)。
【0056】
次に、以下の限定されない実施例を参照して本発明を説明する。これらの実施例は、説明のみを目的として提供される。本発明の範囲内にあるこれらの実施例の変形は、当業者には明らかとなろう。
【実施例】
【0057】
以下の実施例は、本発明を更に説明し、理解を容易にするために提供されており、決して本発明を限定することを意図するものではない。
【0058】
実施例1
化合物1の合成
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]の合成:
塩化オキサリル(2.5mL、29mmol)を、無水トルエン 48mL、4-メトキシフェノール 4mg及び無水DMF 1mL中の4-(6-アクリロイルオキシ-ヘキサ-1-イルオキシ)安息香酸(6.98g、24mmol)の溶液に45℃で滴下した。2時間後、反応混合物を0℃に冷却し、0~5℃で無水DMA 40mL及びN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(7.8g、52mmol)中の2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.5g、11mmol)の溶液に滴下した。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。橙色の溶液を、水15mLを加えることによりクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、水、食塩水で連続して洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノールからの再結晶後、標題化合物を白色の固体(4.19g、56%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.04 (s, 1H), 8.08 (m, 4H), 7.82 (d,1H), 7.71 (dd, 1H), 7.54 (d, 1H), 7.10 (m, 4H), 6.26 (d, 1H), 6.15 (dd, 1H), 5.90 (d, 1H), 4.09 (m, 8H), 1.72 (m, 4H), 1.60 (m, 4H), 1.39 (m, 8H).
【0059】
2-ヒドラジニルキノキサリンの合成:
マイクロ波反応容器に、無水エタノール(15mL)中の2-クロロキノキサリン(1.70g、15mmol)、ヒドラジン一水和物(1.82mL、37.5mmol)を仕込んだ。混合物をマイクロ波反応器中で90℃まで20分間加熱した。反応混合物を冷却し、沈殿物を濾過し、ヘキサンで洗浄して、標題化合物を橙色の固体(2.07g、86%)として与えた。1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.67 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.76 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.52-7.58 (m, 2H), 7.30-7.34 (m, 1H), 4.43 (s, 2H).
【0060】
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-3-[(E)-(キノキサリン-2-イルヒドラゾノ)メチル]フェニル](化合物1)の合成:
(±)10-カンファースルホン酸(23.2mg、0.1mmol)を無水テトラヒドロフラン10mL中の4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](0.69g、1.0mmol)及び2-ヒドラジニルキノキサリン(0.19g、1.2mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶後、標題化合物を黄色の固体(0.67g、81%)として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 9.11 (s, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.17-8.20 (m, 4H), 7.97 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.92-7.94 (m, 2H), 7.59-7.68 (m, 2H), 7.46-7.52 (m, 1H), 7.29 (s, 2H), 6.98-7.02 (m, 4H), 6.38-6.43 (m, 2H), 6.10-6.17 (m, 2H), 5.81-5.84 (m, 2H), 4.19 (t, J = 6.6 Hz, 4H), 4.06-4.11 (m, 4H), 1.83-1.90 (m, 4H), 1.71-1.78 (m, 4H), 1.45-1.53 (m, 8H) ; MALDI-TOF (CHCA) 851.33 (M++Na).
【0061】
実施例2
化合物2の合成:
N-(キノキサリン-2-イルアミノ)カルバミン酸tert-ブチルの合成:
無水THF(9mL)中の二炭酸ジ-tert-ブチル(3.9g、18mmol)の溶液を、無水THF(30mL)中の2-ヒドラジニルキノキサリン(2.4g、15mmol)の溶液に加えた。反応混合物を50℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却して、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、酢酸エチルとヘキサンの1:2混合物で2回抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去して、標題化合物を褐色の固体(4.11g、定量的)として与えた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.27 (s, 1H), 9.02 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 7.84 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.60-7.63 (m, 2H), 7.41-7.45 (m, 1H), 1.46 (s, 9H).
【0062】
N-[メチル(キノキサリン-2-イル)アミノ]カルバミン酸tert-ブチルの合成:
ヨードメタン(0.4mL、6.3mmol)を無水DMF(10mL)中の4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](1.5g、5.8mmol)の溶液に0℃で加えた。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチして、酢酸エチルとヘキサンの1:2混合物で2回抽出した。有機層を水及び食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。酢酸エチル/ヘキサンの1:2混合物を用いて、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を赤色の油状物(0.46g、21%)として与えた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.72 (s, 1H), 8.54 (s, 1H), 7.87 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.68-7.71 (m, 1H), 7.63-7.67 (m, 1H), 7.45-7.49 (m, 1H), 3.29 (s, 3H), 1.44 (s, 9H).
【0063】
1-メチル-1-キノキサリン-2-イル-ヒドラジンの合成:
トリフルオロ酢酸(TFA)(3mL)をジクロロメタン(3mL)中のN-[メチル(キノキサリン-2-イル)アミノ]カルバミン酸tert-ブチル(0.43g、1.6mmol)の溶液に加えた。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去して、残渣をジクロロメタンに溶解し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液及び食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去して、標題化合物を黄色の固体(0.25g、93%)として与えた。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.02 (s, 1H), 7.90 (dd, J = 8.2, 1.4 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 8.2, 0.9 Hz, 1H), 7.55-7.59 (m, 1H), 7.37-7.42 (m, 1H), 4.14 (s, 2H), 3.47 (s, 3H).
【0064】
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-[(E)-[メチル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](化合物2)の合成:
(±)10-カンファースルホン酸(32mg、0.14mmol)を無水テトラヒドロフラン 14mL中のビス[4-(6-アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸]2-ホルミル-1,4-フェニレン(0.95g、1.4mmol)及びN-メチル-N-(キノキサリン-2-イル)ヒドラジン(0.25g、1.5mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で3時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶後、標題化合物を黄色の固体(0.92g、79%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.44 (s, 1H), 8.12-8.17 (m, 4H), 8.08 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.89 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.74-7.77 (m, 1H), 7.66-7.70 (m, 1H), 7.50-7.55 (m, 1H), 7.43 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.37 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.12-7.15 (m, 4H), 6.29-6.34 (m, 2H), 6.14-6.20 (m, 2H), 5.92-5.95 (m, 2H), 4.08-4.13 (m, 8H), 3.63 (s, 3H), 1.76 (s, 4H), 1.60-1.68 (m, 4H), 1.40-1.46 (m, 8H).
【0065】
実施例2A
化合物2Aの合成:
N-[ヘキシル(キノキサリン-2-イル)アミノ]カルバミン酸tert-ブチルの合成:
丸底フラスコにN-(キノキサリン-2-イルアミノ)カルバミン酸tert-ブチル(1.36g、5mmol)、1-ヨードヘキサン(0.88mL、6mmol)、炭酸カリウム(1.04g、7.5mmol)、及び無水DMF(10mL)を仕込んだ。混合物を50℃で窒素雰囲気下18時間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、酢酸エチル/ヘキサン(1/2)の混合物で希釈し、水で3回及び食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。酢酸エチル/ヘキサンを用いて、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を褐色の油状物(443mg、26%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.72 (s, 1H), 8.46 (s, 1H), 7.85 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.61-7.67 (m, 2H), 7.43-7.47 (m, 1H), 1.57-1.64 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.24-1.33 (m, 8H), 0.83-0.87 (m, 3H)
【0066】
1-ヘキシル-1-キノキサリン-2-イル-ヒドラジンの合成:
トリフルオロ酢酸(TFA)(2.5mL)をジクロロメタン(2.5mL)中のN-[ヘキシル(キノキサリン-2-イル)アミノ]カルバミン酸tert-ブチル(0.44g、1.3mmol)の溶液に加えた。反応混合物を周囲温度で19時間撹拌した。減圧下で溶媒を除去して、残渣を酢酸エチルに溶解し、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液及び食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去して、標題化合物をベージュ色の油状物(0.31g、定量的)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.04 (s, 1H), 7.76 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.49-7.55 (m, 2H), 7.29-7.33 (m, 1H), 4.86 (s, 2H), 3.74-3.77 (m, 2H), 1.64-1.71 (m, 2H), 1.23-1.35 (m, 6H), 0.83-0.87 (m, 3H)
【0067】
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-[(E)-[ヘキシル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](化合物2A)の合成:
(±)10-カンファースルホン酸(26mg、0.11mmol)を無水テトラヒドロフラン(10mL)中の4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-[(E)-[メチル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](0.74g、1.1mmol)及び1-ヘキシル-1-キノキサリン-2-イル-ヒドラジン(0.31g、1.3mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で18時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶後、標題化合物を淡黄色の固体(0.70g、72%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.47 (s, 1H), 8.18 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.13 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.10 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.88-7.91 (m, 2H), 7.73 (dd, J = 8.5, 1.1 Hz, 1H), 7.65-7.69 (m, 1H), 7.50-7.54 (m, 1H), 7.44 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 2.7 Hz, 2H), 7.12 (d, J = 3.2 Hz, 2H), 6.32 (dd, J = 17.4, 1.8 Hz, 2H), 6.17 (ddd, J = 17.4, 10.3, 1.1 Hz, 2H), 5.93 (dd, J = 10.5, 1.8 Hz, 2H), 4.24-4.28 (m, 2H), 4.07-4.13 (m, 8H), 1.72-1.80 (m, 4H), 1.59-1.68 (m, 4H), 1.36-1.50 (m, 10H), 0.95-1.11 (m, 6H), 0.72 (t, J = 7.1 Hz, 3H).
【0068】
実施例2B
化合物2Bの合成:
4-プロピルシクロヘキサンカルボン酸(3-ホルミル-4-ヒドロキシ-フェニル)の合成:
無水ジクロロメタン(20mL)中の2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.38g、10mmol)、trans-4-プロピルシクロヘキサンカルボン酸(1.79g、10.5mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(122mg、1mmol)の溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)(1.94mL、11mmol)をゆっくり加えた。反応混合物を周囲温度で22時間撹拌した。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。酢酸エチル/ヘキサンを用いて、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を黄色の固体(1.31g、45%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.90 (s, 1H), 9.85 (s, 1H), 7.31 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.23 (dd, J = 9.1, 2.7 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 2.44-2.52 (m, 1H), 2.11-2.15 (m, 2H), 1.86-1.90 (m, 2H), 1.50-1.57 (m, 2H), 1.29-1.39 (m, 3H), 1.17-1.23 (m, 2H), 0.97-1.04 (m, 3H), 0.87-0.92 (m, 3H)
【0069】
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[2-ホルミル-4-(4-プロピルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル]の合成:
無水ジクロロメタン(9mL)中の4-プロピルシクロヘキサンカルボン酸(3-ホルミル-4-ヒドロキシ-フェニル)(1.3g、4.5mmol)、4-(6-アクリロイルオキシ-ヘキサ-1-イルオキシ)安息香酸(1.38g、4.70mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(55mg、0.45mmol)の溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)(0.87mL、4.93mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度で5時間撹拌した。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、酢酸エチルで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。酢酸エチル/ヘキサンを用いて、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物をベージュ色の少量の不純物を含有する油状物(2.73g)として与え、これを更に精製することなく次の反応に使用した。
【0070】
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[2-[(E)-[メチル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-(4-プロピルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル](化合物2B)の合成:
(±)10-カンファースルホン酸(105mg、0.45mmol)を無水テトラヒドロフラン(45mL)中の4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-ホルミル-4-(4-プロピルシクロヘキサンカルボニル)オキシ-フェニル](2.73g、4.5mmol)、1-メチル-1-キノキサリン-2-イル-ヒドラジン(0.82g、4.7mmol)、及び4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル(TEMPO-OH)(9mg、0.05mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で24時間撹拌した。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶後、標題化合物を灰色の固体(1.61g、50%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.39 (s, 1H), 8.14 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 7.90-7.92 (m, 2H), 7.85-7.86 (m, 1H), 7.75-7.77 (m, 1H), 7.67-7.71 (m, 1H), 7.52-7.56 (m, 1H), 7.39 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.20 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.32 (dd, J = 17.2, 1.6 Hz, 1H), 6.17 (dd, J = 17.4, 10.5 Hz, 1H), 5.93 (dd, J = 10.3, 1.6 Hz, 1H), 4.07-4.13 (m, 4H), 3.62 (s, 3H), 2.11-2.15 (m, 2H), 1.72-1.84 (m, 4H), 1.61-1.68 (m, 2H), 1.37-1.54 (m, 7H), 1.27-1.35 (m, 3H), 1.16-1.21 (m, 2H), 0.95-1.04 (m, 2H), 0.87 (t, J = 7.1 Hz, 3H)
【0071】
実施例2C
化合物2Cの合成:
2-[アミノ(キノキサリン-2-イル)アミノ]エタノールの合成:
マイクロ波反応容器に、無水EtOH(2.5mL)中の2-クロロキノキサリン(0.82g、5mmol)及び2-ヒドラジノエタノール(0.85mL、12.5mmol)を仕込んだ。混合物をマイクロ波反応器中で90℃まで10分間加熱した。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。残渣をヘキサンで洗浄して、標題化合物を黄色の固体(0.59g、58%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.05 (s, 1H), 7.77 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.51-7.54 (m, 2H), 7.30-7.34 (m, 1H), 4.91 (s, 2H), 4.79 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 3.86 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 3.73 (q, J = 5.6 Hz, 2H)
【0072】
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-[(E)-[2-ヒドロキシエチル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](化合物2C)の合成:
(±)10-カンファースルホン酸(46mg、0.2mmol)を無水テトラヒドロフラン(20mL)中の4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](1.37g、2mmol)、2-[アミノ(キノキサリン-2-イル)アミノ]エタノール(0.43g、2.1mmol)、及び4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル(TEMPO-OH)(3mg、0.02mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で23時間撹拌した。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。ジクロロメタン/メタノールからの再結晶後、標題化合物を黄色の固体(1.46g、83%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.42 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.12-8.16 (m, 4H), 8.05 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 8.2, 0.9 Hz, 1H), 7.65-7.69 (m, 1H), 7.50-7.54 (m, 1H), 7.44 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.37 (dd, J = 8.7, 2.7 Hz, 1H), 7.10-7.15 (m, 4H), 6.32 (dd, J = 17.2, 1.6 Hz, 2H), 6.17 (dd, J = 17.4, 10.1 Hz, 2H), 5.93 (dd, J = 10.1, 1.8 Hz, 2H), 4.86 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 4.41 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 4.07-4.14 (m, 8H), 3.63 (q, J = 5.6 Hz, 2H), 1.72-1.80 (m, 4H), 1.59-1.68 (m, 4H), 1.37-1.49 (m, 8H).
【0073】
実施例2D
化合物2Dの合成:
1-シクロヘキシル-1-キノキサリン-2-イル-ヒドラジンの合成:
マイクロ波反応容器に、トリエチルアミン(10mL)中の2-クロロキノキサリン(1.65g、10mmol)及びシクロヘキシルヒドラジン塩酸塩(1.81g、12mmol)を仕込んだ。混合物をマイクロ波反応器中で90℃まで20分間加熱した。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、酢酸エチルで抽出した。有機相を水及び食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。残渣をヘキサンで洗浄して、標題化合物を黄色の固体(0.70g、29%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.98 (s, 1H), 7.86-7.89 (m, 1H), 7.65-7.68 (m, 1H), 7.53-7.57 (m, 1H), 7.35-7.39 (m, 1H), 4.46-4.53 (m, 1H), 3.85 (s, 2H), 1.88-1.92 (m, 2H), 1.64-1.81 (m, 5H), 1.45-1.56 (m, 2H), 1.14-1.26 (m, 1H)
【0074】
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-[(E)-[シクロヘキシル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](化合物2D)の合成:
(±)10-カンファースルホン酸(33mg、0.14mmol)を無水テトラヒドロフラン(14mL)中の4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[3-ホルミル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](0.97g、1.42mmol)、1-シクロヘキシル-1-キノキサリン-2-イル-ヒドラジン(0.36g、1.5mmol)、及び4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル(TEMPO-OH)(2mg、0.01mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で23時間撹拌した。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。ジクロロメタン/メタノールからの再結晶後、標題化合物を黄色の固体(1.18g、91%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.34 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.17 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 8.13 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.01 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 8.2, 1.4 Hz, 1H), 7.65 (td, J = 7.5, 1.4 Hz, 1H), 7.51-7.55 (m, 1H), 7.45 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 8.9, 3.0 Hz, 1H), 7.13-7.15 (m, 2H), 7.11-7.12 (m, 2H), 6.32 (dd, J = 17.4, 1.8 Hz, 2H), 6.13-6.20 (m, 2H), 5.93 (dd, J = 10.3, 1.6 Hz, 2H), 4.86-4.94 (m, 1H), 4.07-4.13 (m, 8H), 2.15-2.25 (m, 2H), 1.72-1.79 (m, 4H), 1.61-1.68 (m, 8H), 1.37-1.50 (m, 9H), 1.21 (q, J = 13.0 Hz, 2H), 0.68-0.77 (m, 1H).
【0075】
実施例2E
化合物2Eの合成:
2,5-ジヒドロキシ-4-メチル-ベンズアルデヒドの合成:
無水アセトニトリル(15mL)中のパラホルムアルデヒド(2.1g、70mmol)、塩化マグネシウム(1.43g、15mmol)、トリエチルアミン(5.6mL、40mmol)の懸濁液に、メチルヒドロキノン(1.24g、10mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で撹拌しながら17時間還流した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、1N HCl水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出して、食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。酢酸エチル/ヘキサンを用いて、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を黄色の固体(0.31g、20%)として与えた。
1H-NMR (400 MHz, MeOD) δ 9.85 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.70 (s, 1H), 2.21 (s, 3H).
【0076】
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[2-ホルミル-5-メチル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル]の合成:
無水トルエン(15mL)及び無水ジメチルホルムアミド(DMF)(0.3mL)中の4-(6-アクリロイルオキシ-ヘキサ-1-イルオキシ)安息香酸(2.19g、7.5mmol)及び4-メトキシフェノール(47mg、0.4mmol)の溶液に、塩化オキサリル(0.77mL、9mmol)を45℃にて15分間で滴下した。19時間撹拌後、反応混合物を周囲温度まで冷却し、無水ジメチルアセトアミド(11mL)中のBuilding block K(0.51g、3.4mmol)及びN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン(2.5mL、17mmol)の溶液に0~5℃にて20分間で滴下した。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。反応混合物を1M HCl水溶液及び氷水浴の添加によりクエンチし、ジクロロメタンで抽出して、水、食塩水で連続して洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノールからの再結晶後、標題化合物を桃色の固体(1.38g、59%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ 10.15 (s, 1H), 8.15-8.18 (m, 4H), 7.71 (s, 1H), 6.98-7.01 (m, 5H), 6.41 (dd, J = 17.4, 1.4 Hz, 2H), 6.13 (dd, J = 17.4, 10.5 Hz, 2H), 5.83 (dd, J = 10.3, 1.6 Hz, 2H), 4.15-4.21 (m, 8H), 4.07 (t, J = 5.9 Hz, 8H), 2.32 (s, 3H), 1.81-1.89 (m, 4H), 1.69-1.77 (m, 4H), 1.48-1.54 (m, 8H).
【0077】
4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[5-メチル-2-[(E)-[メチル(キノキサリン-2-イル)ヒドラゾノ]メチル]-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](化合物2E)の合成:
(±)10-カンファースルホン酸(44mg、0.19mmol)を無水テトラヒドロフラン(20mL)中の4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)安息香酸[2-ホルミル-5-メチル-4-[4-(6-プロパ-2-エノイルオキシヘキソキシ)ベンゾイル]オキシ-フェニル](1.3g、1.9mmol)、1-メチル-1-キノキサリン-2-イル-ヒドラジン(0.34g、2.0mmol)、及び4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 1-オキシル フリーラジカル(TEMPO-OH)(4mg、0.02mmol)の溶液に窒素雰囲気下で加えた。得られた溶液を周囲温度で22時間撹拌した。反応混合物を重炭酸ナトリウムの飽和水溶液でクエンチして、ジクロロメタンで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶後、標題化合物を黄色の固体(1.20g、75%)として得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.41 (s, 1H), 8.14-8.16 (m, 4H), 8.01 (s, 1H), 7.87-7.89 (m, 2H), 7.73-7.75 (m, 1H), 7.65-7.69 (m, 1H), 7.49-7.53 (m, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.11-7.15 (m, 4H), 6.32 (dd, J = 17.2, 1.6 Hz, 2H), 6.17 (dd, J = 17.4, 10.5 Hz, 2H), 5.93 (dd, J = 10.3, 1.6 Hz, 2H), 4.07-4.14 (m, 8H), 3.61 (s, 3H), 2.20 (s, 3H), 1.72-1.80 (m, 4H), 1.59-1.68 (m, 4H), 1.36-1.51 (m, 8H).
【0078】
実施例3
相転移温度及び中間相テクスチャーは、実施例1~2Eの化合物を使用して以下に記載されるとおり示差走査熱量測定法及び偏光顕微鏡法によって求められ、公開特許WO2012/141245に記載された化合物R1と比較された。
【0079】
偏光顕微鏡法:
各化合物3mgをホットステージオーブン内の2枚のスライドガラスの間に置き、25℃から200℃まで加熱し、次に再び25℃まで冷却した。特徴的な複屈折テクスチャーは、偏光顕微鏡を使用して分析された。ラビング処理ポリイミド層でコーティングされたガラス基板も、化合物の中間相挙動を確認するために使用された。
【0080】
示差走査熱量測定法:
密封されたアルミニウムパンに入れられた各化合物約5mgを、10℃/分のスキャン速度で2回の連続した加熱-冷却サークルに付した。転移温度は、得られたDSCサーモグラムの吸熱/発熱ピークから求められた。
【0081】
全ての相転移の結果は表1に要約される。化合物の状態は、固体結晶相には「Cr」、ネマチックには「N」、そして等方性液体状態には「Iso」として示される。
【0082】
【0083】
実施例4
光学フィルムの調製
ラビング処理基板上でのLCPコーティングフィルムの調製及び評価の一般的な手順
液晶化合物0.26gをシクロペンタノン830μLに溶解した。BYK361の1重量% シクロペンタノン溶液13μLを加え、得られた溶液を0.45μm PTFEフィルターで濾過した。Irgacure907 13mgを加えて、重合性組成物(1~2)を得た。
【0084】
各重合性組成物は、ラビング処理ポリイミド層(EHC製)でコーティングされたガラス基板に適用された。表2に示される温度で4分間フィルムを乾燥/アニーリングした後、1000mJ/cm2の線量でUVスポットキュア(ウシオ製のSP-7)を使用して、フィルムを光硬化させた。表2に記載された温度でUV曝露を行った。
【0085】
【0086】
実施例5
可視領域(400~700nm)のリタデーションは、偏光顕微鏡、セナルモン(Senarmont)補償板及び光学フィルターを使用した偏光回転法によって測定された。面内リタデーションR
0は、特定波長λでの消光位置θから次の式を使用して求められる。
【数1】
【0087】
フィルム厚さdは、BrukerのDektak(登録商標)スタイラスプロファイラーを使用して測定される。フィルムの複屈折Δnは、次の式から導かれる:R0=Δn.d
【0088】
結果は、液晶フィルムが、可視光領域の波長の増加に関連して増加するリタデーションで製造されたことを示している。結果を
図1に示すが、ここで、実施例1、2、2B及び2Dの複屈折の波長分散がプロットされている。
【0089】
実施例6
化合物R1、1、2、2A、2B、2D及び2Eについての光配向層上のLCPコーティングフィルム調製の一般的な手順:
光配向材料を使用した配向層の調製:
ガラス基板に光配向組成物(公開特許WO2012/085048の40ページの適用例に記載されているシクロペンタノン中の2%固形分の光配向ポリマー)をスピンコートした。フィルムを80℃で30秒間乾燥させ、得られたフィルムの厚さは約100nmであった。次にフィルムをアライニング光に曝露したが、この光は、500mJ/cm2の平行及び直線偏光UV(LPUV)光(280~320nm)であった。偏光面は、基板上の基準エッジに対して0°であった。
【0090】
LCP配合物の調製:
LCPの15.0重量%溶液は、シクロヘキサノン中の14.325重量%のLCP、0.075重量%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(未成熟重合を防ぐため)、0.45重量%の光開始剤Irgacure 369、0.15重量%のTinuvin 123を混合することによって調製され、固体が室温で完全に溶解するまで十分に撹拌される。上記配向層を有するガラス板上にコーティング液を塗布し、スピンコーティングにより液晶フィルムを形成した。表3に示される時間と温度でフィルムを乾燥させた後、試料を室温まで冷却する。次に、表3に示されるおおよその時間と温度で、UV光(水銀灯を用いて)を照射することにより、それを光重合させた。
【0091】
【0092】
実施例7
実施例6で製造されたフィルムのリタデーションは、エリプソメトリーによって測定された。
図2は、実施例6で製造されたフィルムのリタデーション分散を示す。
【0093】
上記の結果は、例示された化合物で製造された液晶フィルムが、可視光領域の波長の増加に関連して増加するリタデーションを示すことを示した。
【0094】
表4は、各試料のRe450/Re550及びRe650/Re550の値を示す。Re450は波長450nmでのフィルムのリタデーションを、Re550は波長550nmでのフィルムのリタデーションを、そしてRe650は波長650nmでのフィルムのリタデーションを表す。
【0095】
【0096】
表4は、液晶組成物フィルムのリタデーション特性の結果を示す。色を改善するには、Re650/Re550の値が1.00より大きく、かつ、1.2未満であることが好ましい。実施例1、実施例2、実施例2A、実施例2B、実施例2D、実施例2Eからの化合物で製造された液晶重合フィルムのRe650/Re550は、比較例R1の液晶組成物のRe650/Re550よりも有意に大きく、全てのRe650/Re550値が1.01を上回り最大1.09であることが見出された。更には、0.90未満のRe450/Re550値が好ましい。
【0097】
実施例8
化合物2Bの30.0重量%溶液は、シクロヘキサノン中の22.635重量%の化合物2B、0.015重量%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.9重量%の光開始剤Irgacure(登録商標)Oxe 03(BASF Corporation製)、0.45重量%のTego(登録商標)flow 425、6重量%のO1-(2-プロパ-2-エノイルオキシエチル)ペンタン二酸O5-[4-[3-メチル-4-[4-[5-オキソ-5-(2-プロパ-2-エノイルオキシエトキシ)ペンタノイル]オキシベンゾイル]オキシ-フェノキシ]カルボニルフェニル](LCP1、米国特許US2012114907に記載)を混合することによって調製され、固体が室温で完全に溶解するまで十分に撹拌された。フィルムを実施例20に記載されるとおり調製して、温度制御ホットプレートで97℃にて2分間乾燥させた。得られたフィルムは、良好なアラインメント品質を示した。
【0098】
実施例9
化合物2Bの30.0重量%溶液は、シクロヘキサノン中の25.635重量%の化合物2B、0.015重量%の阻害剤2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.90重量%のIrgacure(登録商標)Oxe03、0.45重量%のTego(登録商標)flow 425、3重量%の6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボン酸[4-[6-(4-プロパ-2-エノイルオキシブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン-2-カルボニル]オキシフェニル](LCP2、US 7,670,505 B2に記載)を混合することによって調製され、固体が室温で完全に溶解するまで十分に撹拌された。フィルムを実施例20に記載されるとおり調製して、温度制御ホットプレートで105℃にて2分間乾燥させた。得られたフィルムは、良好なアラインメント品質を示した。
【0099】
実施例10
実施例8及び9に記載された試料のリタデーションは、エリプソメーターで測定された。表5は、液晶組成物に依存する様々なフィルムのリタデーション特性の結果を示す。
【0100】
【0101】
液晶組成物を使用する場合、実施例8及び9に記載されたフィルムは、液晶組成物の様々な成分の割合を調節することにより、リタデーションを微調整し、そして要求に応じてRe450/Re550及びRe650/Re550値を得ることが可能であることが見出された。