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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240814BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
G02B27/01
H04N5/64 521Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022034523
(22)【出願日】2022-03-07
(65)【公開番号】P2023130073
(43)【公開日】2023-09-20
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 邦光
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 剛
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109453(JP,A)
【文献】特開2020-126098(JP,A)
【文献】特開2015-060180(JP,A)
【文献】国際公開第2018/221070(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/132089(WO,A1)
【文献】特開2021-144068(JP,A)
【文献】特開2018-012359(JP,A)
【文献】実開平02-015524(JP,U)
【文献】特開2021-103274(JP,A)
【文献】特開2008-026715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0139813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の被投影部材に投影され、車室内の運転者に虚像として視認させる表示情報を表示光として出射する表示ユニットと、
前記表示ユニットから入射した前記表示光を前記被投影部材に向けて反射する反射体と、
前記運転者のアイポイントを取得するアイポイント取得部と、
前記表示ユニットを駆動し、当該表示ユニットから前記反射体に向かう前記表示光の向きを変更するユニット駆動部と、
前記反射体を駆動し、当該反射体から前記被投影部材に向かう前記表示光の向きを変更する反射体駆動部と、
取得された前記アイポイントに基づいて、前記ユニット駆動部及び前記反射体駆動部を駆動制御する制御部と、を備え、
前記表示ユニットは、
複数の運転者のアイポイントの分布範囲に基づいた配光範囲であるアイレンジより狭く、かつ前記アイポイント取得部により取得された前記運転者のアイポイントに基づいた配光範囲であるアイボックスに対応する前記表示光を出射し、
前記制御部は、
前記ユニット駆動部及び前記反射体駆動部を連動して駆動制御することにより前記表示ユニットから前記アイポイントまでの前記表示光の光路を、取得された前記アイポイントに基づいて変更し、
前記ユニット駆動部は、
前記表示光の向きを変更する方向が、前記アイポイントの左右方向に対応する前記表示情報の左右方向となるように、前記表示ユニットをA方向または前記A方向と反対方向であるB方向に駆動し、
前記制御部は、
取得された前記アイポイントの基準アイポイントに対する位置が右方向である場合、前記ユニット駆動部により前記表示ユニットを前記A方向に駆動させ、
取得された前記アイポイントの基準アイポイントに対する位置が左方向である場合、前記ユニット駆動部により前記表示ユニットを前記B方向に駆動させる、
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
車両の被投影部材に投影され、車室内の運転者に虚像として視認させる表示情報を表示光として出射する表示ユニットと、
前記表示ユニットから入射した前記表示光を前記被投影部材に向けて反射する反射体と、
前記運転者のアイポイントを取得するアイポイント取得部と、
前記表示ユニットを駆動し、当該表示ユニットから前記反射体に向かう前記表示光の向きを変更するユニット駆動部と、
前記反射体を駆動し、当該反射体から前記被投影部材に向かう前記表示光の向きを変更する反射体駆動部と、
取得された前記アイポイントに基づいて、前記ユニット駆動部及び前記反射体駆動部を駆動制御する制御部と、を備え、
前記表示ユニットは、
複数の運転者のアイポイントの分布範囲に基づいた配光範囲であるアイレンジより狭く、かつ前記アイポイント取得部により取得された前記運転者のアイポイントに基づいた配光範囲であるアイボックスに対応する前記表示光を出射し、
前記制御部は、
前記ユニット駆動部及び前記反射体駆動部を連動して駆動制御することにより前記表示ユニットから前記アイポイントまでの前記表示光の光路を、取得された前記アイポイントに基づいて変更し、
前記ユニット駆動部は、
前記表示光の向きを変更する方向が、前記アイポイントの上下方向に対応する前記表示情報の上下方向となるように、前記表示ユニットを第一方向または前記第一方向と反対方向である第二方向に駆動する第一ユニット駆動部と、
前記表示光の向きを変更する方向が、前記アイポイントの左右方向に対応する前記表示情報の左右方向となるように、前記表示ユニットをA方向または前記A方向と反対方向であるB方向に駆動する第二ユニット駆動部と、を有し、
前記反射体駆動部は、
前記表示光の向きを変更する方向が、前記アイポイントの上下方向に対応する前記表示情報の上下方向となるように、前記反射体を第三方向または前記第三方向と反対方向である第四方向に駆動する第一反射体駆動部を有し、
前記制御部は、
取得された前記アイポイントの基準アイポイントに対する位置が上方向である場合、前記第一ユニット駆動部により前記表示ユニットを前記第一方向に駆動させ、かつ前記第一反射体駆動部により前記反射体を前記第三方向に駆動させ、
取得された前記アイポイントの基準アイポイントに対する位置が下方向である場合、前記第一ユニット駆動部により前記表示ユニットを前記第二方向に駆動させ、かつ前記第一反射体駆動部により前記反射体を前記第四方向に駆動させ、
取得された前記アイポイントの基準アイポイントに対する位置が右方向である場合、前記第二ユニット駆動部により前記表示ユニットを前記A方向に駆動させ、
取得された前記アイポイントの基準アイポイントに対する位置が左方向である場合、前記第二ユニット駆動部により前記表示ユニットを前記B方向に駆動させる、
ことを特徴とする車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されるHUD(ヘッドアップディスプレイ)には、例えば、表示ユニットから出射された表示光を反射ミラーで反射してウインドシールドに投影することで車両前方に虚像を表示し、当該虚像を運転者に視認させるものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
従来のHUDでは、例えば、JIS等で定められている複数のアイポイントの分布を示すアイレンジに合わせて表示ユニットから出射される表示光の配光範囲を相対的に広く設定し、かつ運転者の上下方向の姿勢変化に応じて反射ミラーを軸回りに回動させることで虚像の視認性低下を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-14861号公報
【文献】特開2021-84466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アイレンジに合わせて表示光の配光範囲を相対的に広くすると、光源に複数の高輝度LEDを用いられ、光源の熱対策としてヒートシンクが大型化する。そこで、アイレンジに合わせた表示光の配光範囲を、一人の運転者のアイポイントに応じてアイボックスのように相対的に狭くした場合、反射ミラーの回動範囲を広くするだけでは、例えばアイレンジから外れる運転者に対応することが容易でないことから、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、表示ユニットの低消費電力化を図ることができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用表示装置は、車両の被投影部材に投影され、車室内の運転者に虚像として視認させる表示情報を表示光として出射する表示ユニットと、前記表示ユニットから入射した前記表示光を前記被投影部材に向けて反射する反射体と、前記運転者のアイポイントを取得するアイポイント取得部と、前記表示ユニットを駆動し、当該表示ユニットから前記反射体に向かう前記表示光の向きを変更するユニット駆動部と、前記反射体を駆動し、当該反射体から前記被投影部材に向かう前記表示光の向きを変更する反射体駆動部と、取得された前記アイポイントに基づいて、前記ユニット駆動部及び前記反射体駆動部を駆動制御する制御部と、を備え、前記表示ユニットは、複数の運転者のアイポイントの分布範囲に基づいた配光範囲であるアイレンジより狭く、かつ前記アイポイント取得部により取得された前記運転者のアイポイントに基づいた配光範囲であるアイボックスに対応する前記表示光を出射し、前記制御部は、前記ユニット駆動部及び前記反射体駆動部を連動して駆動制御することにより前記表示ユニットから前記アイポイントまでの前記表示光の光路を、取得された前記アイポイントに基づいて変更し、前記ユニット駆動部は、前記表示光の向きを変更する方向が、前記アイポイントの左右方向に対応する前記表示情報の左右方向となるように、前記表示ユニットをA方向または前記A方向と反対方向であるB方向に駆動し、前記制御部は、取得された前記アイポイントの基準アイポイントに対する位置が右方向である場合、前記ユニット駆動部により前記表示ユニットを前記A方向に駆動させ、取得された前記アイポイントの基準アイポイントに対する位置が左方向である場合、前記ユニット駆動部により前記表示ユニットを前記B方向に駆動させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両用表示装置によれば、表示ユニットの低消費電力化を図ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る車両用表示装置の構成例を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る車両用表示装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る車両用表示装置により取得される上下方向のアイポイントの位置と表示光の光路との関係を説明するための模式図である。
図4図4は、実施形態に係る車両用表示装置により取得される左右方向のアイポイントの位置と虚像の位置との関係を説明するための模式図である。
図5図5は、左右方向から視た表示ユニット及び反射ミラーユニットの概略構成を示す模式図である。
図6図6は、上下方向から視た表示ユニット及び反射ミラーユニットの概略構成を示す模式図である。
図7図7(A)は、正面から視た表示ユニットの概略構成を示す模式図、図7(B)は、下方から視た表示ユニットの概略構成を示す模式図である。
図8図8(A)は、実施形態の第1変形例に係る表示ユニットの概略構成を示す模式図、図8(B)は、実施形態の第2変形例に係る表示ユニットの概略構成を示す模式図である。
図9図9は、実施形態の第3変形例に係る表示ユニットの概略構成を示す模式図である。
図10図10(A)は、実施形態の第4変形例に係る表示ユニットの概略構成であって正面から視たときの模式図、図10(B)は、実施形態の第4変形例に係る表示ユニットの概略構成であって下方から視たときの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る車両用表示装置の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0011】
[実施形態]
車両用表示装置1は、図1に示すように、例えば自動車等の車両100に搭載され、車両100の速度等を含む各種情報を表示し、運転者Dに対する運転支援を行うものである。本実施形態の車両用表示装置1は、装置本体10と、車内撮影カメラ20と、前方撮影カメラ30とを含んで構成される。車両用表示装置1は、装置本体10から車両100のウインドシールド103に表示情報に基づく表示画像を投影し、ウインドシールド103に投影された表示画像に対応する虚像Sを、車両100の運転者Dの視点位置(アイポイントEP)から視認させるものである。ウインドシールド103は、半透過性を有し、装置本体10から入射する表示光Lを運転者DのアイポイントEPに向けて反射する。アイポイントEPは、運転席104に着座した運転者Dの視点位置である。運転者Dは、ウインドシールド103に投影される表示画像を車両100の進行方向における前方に存在する虚像Sとして視認することができる。
【0012】
なお、以下の説明において、図示のX方向は、車両100の前後方向である。Y方向は、車両100の左右方向であり、前後方向と直交する方向である。Z方向は、車両100の上下方向であり、前後方向及び左右方向と直交する方向である。
【0013】
ここで、アイポイントEPは、車両100におけるいわゆるアイレンジER内に設定されるアイボックスEB内に位置するものとして予め想定される。アイレンジERは、車両100において複数の運転者Dのアイポイントの分布範囲であり、例えば、運転者Dが運転席104に着座した状態で所定割合(例えば、95%)の運転者Dのアイポイントが含まれる領域に相当する。本実施形態のアイボックスEBは、上記アイレンジERより狭く、かつ後述するアイポイント取得部14により取得された運転者DのアイポイントEPに基づいた配光範囲であり、例えば、運転者Dが運転席104に着座した状態で運転しながら虚像Sを適正に視認可能な範囲である。アイポイントEPは、例えば、後述するアイポイント取得部14により運転者画像に基づいて取得される。
【0014】
車内撮影カメラ20は、車両100の車室内に配置され、運転者Dの顔部を連続して撮像するものである。車内撮影カメラ20は、例えば単眼式のカメラであり、車室内のステアリングコラム105の上部で、かつ運転者Dから見てステアリングホイール101の背後に配置される。車内撮影カメラ20は、通信線等を介して装置本体10に接続され、撮像した画像を運転者画像として装置本体10に逐次出力する。運転者画像は、例えば、運転者Dの顔部を正面視した静止画である。なお、運転者画像は、動画であってもよい。
【0015】
前方撮影カメラ30は、車両100の車室内に配置され、ウインドシールド103を通して車両前方の実風景を連続して撮像するものである。前方撮影カメラ30は、例えば、いわゆるステレオカメラであり、車室内のルーフ106やバックミラー(不図示)に配置される。前方撮影カメラ30は、通信線等を介して装置本体10に接続され、撮像した画像を前方画像として装置本体10に逐次出力する。前方画像は、例えば車両前方の実風景を撮像して得られる静止画である。なお、前方画像は、動画であってもよい。なお、車両用表示装置1は、前方撮影カメラ30を備えていなくともよい。
【0016】
装置本体10は、インストルメントパネル102の内側に配置され、被投影部材であるウインドシールド103に表示画像を投影するものである。インストルメントパネル102の上面には、開口102aが設けられている。装置本体10は、開口102aを介してウインドシールド103に向けて表示光Lを照射することで表示画像を投影する。本実施形態の装置本体10は、表示ユニット11と、反射ミラーユニット12と、アイポイント取得部14と、制御部15とを含んで構成される。制御部15は、装置本体10において、通信線等を介して表示ユニット11、反射ミラーユニット12、及びアイポイント取得部14に接続されている。
【0017】
表示ユニット11は、図5及び図6に示すように、ウインドシールド103に投影される表示画像を反射ミラーユニット12に向けて表示光Lとして出射するものである。表示ユニット11は、複数の運転者DのアイポイントEPの分布範囲に基づいた配光範囲であるアイレンジERより狭く、かつアイポイント取得部14により取得された運転者DのアイポイントEPに基づいた配光範囲であるアイボックスEBに対応する表示光Lを出射する。表示ユニット11は、左右方向から視た場合に、上下方向における配光範囲Paを有し(図5)、上下方向から視た場合に、左右方向における配光範囲Pbを有する(図6)。配光範囲Paは、アイレンジERに対応する配光範囲Praよりも狭く、配光範囲Pbは、アイレンジERに対応する配光範囲Prbよりも狭い。表示ユニット11は、図5に示す光源16、表示デバイス17、筐体61、光学レンズ62、及びヒートシンク63、図7の(A)及び図7の(B)に示す第一ユニット駆動部41、第二ユニット駆動部42を含んで構成される。
【0018】
光源16は、例えば、光源基板65に実装された1つの発光素子で構成される。発光素子は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。光源基板65は、いわゆる実装面に光源16が実装されており、筐体61に固定されている。光源16は、車両100に搭載されたバッテリー(不図示)等から供給される電力により点灯する。また、光源16は、制御部15の制御信号に応じて点灯制御がなされる。
【0019】
表示デバイス17は、いわゆる液晶パネルであり、例えば光透過型または光半透過型のTFT液晶(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)等から成る。表示デバイス17は、複数の画素を含む表示エリアを有する。表示エリアにおいて、複数の画素は、マトリクス状に配列されている。表示デバイス17は、制御部15の制御信号に応じて数字や文字、図形等を含む表示画像を表示情報として表示する。表示デバイス17は、光源16から出射された光の光路上に配置され、光源16側から照明されることで、光軸方向における光源16と反対側の表示面が発光する。表示デバイス17は、デバイスフォルダ64に固定されており、デバイスフォルダ64を介して筐体61に連結されている。
【0020】
筐体61は、例えば、光源16及びヒートシンク63が装着された光源基板65、光学レンズ62等を収容し、後述する駆動機構68A,68B等により所定方向に回動自在に支持されている。以下の説明では、筐体61は、表示デバイス17が固定されたデバイスフォルダ64を含むものとする。
【0021】
光学レンズ62は、光源16と表示デバイス17との間の光路上に配置され、光源16から入射する光を表示デバイス17に向けて偏光する。光学レンズ62は、例えばガラスや透明樹脂等の高屈折率材料で成形され、外側に向かおうとする光を内側に屈折させる。光学レンズ62は、1つに限らず、複数のレンズで構成されていてもよい。
【0022】
ヒートシンク63は、光源基板65における実装面の反対側の面に固定されており、筐体61の外部に露出している。ヒートシンク63は、光源16で発生して光源基板65や筐体61に蓄積された熱を表示ユニット11の外部に放出するものである。ヒートシンク63は、例えば熱伝導性が高い金属製平板で構成され、複数の放熱板を有する。
【0023】
第一ユニット駆動部41は、ユニット駆動部の一例であり、表示光Lの向きを変更する方向が、アイポイントEPの上下方向に対応する表示情報の上下方向となるように、表示ユニット11を第一方向または第一方向と反対方向である第二方向に駆動するものである。本実施形態の第一ユニット駆動部41は、図3図5に示すように、アイポイントEPの上下方向の移動に応じて筐体61を回動軸66周りに回動させる。ここで、第一方向及び第二方向は、回動軸66周りの筐体61の回動方向の一方及び他方である。例えば、第一ユニット駆動部41は、表示ユニット11を第一方向に駆動した場合、筐体61が回動軸66周りに一方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。一方、第一ユニット駆動部41は、表示ユニット11を第二方向に駆動した場合、筐体61が回動軸66周りに他方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。
【0024】
第一ユニット駆動部41は、図7の(A)、図7の(B)に示すように、駆動機構68Aと、モータ69Aとを含んで構成される。駆動機構68Aは、モータ69Aの回転を動力として、筐体61を回動軸Ox周りに回動させる。回動軸Oxは、回動軸66に沿うものである。モータ69Aは、例えばサーボモータやステッピング等である。モータ69Aは、通信線等を介して制御部15に接続され、制御部15からの制御信号に基づいて駆動する。
【0025】
第二ユニット駆動部42は、ユニット駆動部の他の一例であり、表示光Lの向きを変更する方向が、アイポイントEPの左右方向に対応する表示情報の左右方向となるように、表示ユニット11をA方向またはA方向と反対方向であるB方向に駆動するものである。本実施形態の第二ユニット駆動部42は、図4図6に示すように、アイポイントEPの左右方向の移動に応じて筐体61を回動軸67周りに回動させる。ここで、A方向及びB方向は、回動軸67周りの筐体61の回動方向の一方及び他方である。例えば、第一ユニット駆動部41は、表示ユニット11をA方向に駆動した場合、筐体61が回動軸67周りに一方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。一方、第一ユニット駆動部41は、表示ユニット11をB方向に駆動した場合、筐体61が回動軸67周りに他方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。
【0026】
第二ユニット駆動部42は、図7の(A)、図7の(B)に示すように、駆動機構68Bと、モータ69Bとを含んで構成される。駆動機構68Bは、モータ69Bの回転を動力として、筐体61を回動軸Oz周りに回動させる。回動軸Ozは、回動軸67に沿うものである。駆動機構68Bは、例えば、ウォーム80と、ウォームホイール81とで構成されるウォームギアである。モータ69Bは、例えばサーボモータやステッピング等である。モータ69Bは、通信線等を介して制御部15に接続され、制御部15からの制御信号に基づいて駆動する。
【0027】
反射ミラーユニット12は、表示ユニット11から入射した表示光Lをウインドシールド103に向けて反射するものである。反射ミラーユニット12は、非球面ミラー18と、第一反射体駆動部51と、第二反射体駆動部52とを含んで構成される。
【0028】
非球面ミラー18は、反射体の一例であり、凹状の反射面18aを有する。反射面18aの形状は、自由曲面である。反射面18aは、表示画像を拡大しながらウインドシールド103に向けて反射する。
【0029】
第一反射体駆動部51は、反射体駆動部の一例であり、表示光Lの向きを変更する方向が、アイポイントEPの上下方向に対応する表示情報の上下方向となるように、非球面ミラー18を第三方向または第三方向と反対方向である第四方向に駆動するものである。本実施形態の第一反射体駆動部51は、図3図5に示すように、アイポイントEPの上下方向の移動に応じて非球面ミラー18を、左右方向の回動軸(不図示)周りに回動させる。ここで、第三方向及び第四方向は、左右方向の回動軸周りの非球面ミラー18の回動方向の一方及び他方である。例えば、第一反射体駆動部51は、反射ミラーユニット12を第三方向に駆動した場合、非球面ミラー18が左右方向の回動軸周りに一方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。一方、第一反射体駆動部51は、反射ミラーユニット12を第四方向に駆動した場合、非球面ミラー18が左右方向の回動軸周りに他方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。
【0030】
第一反射体駆動部51は、例えばモータと歯車とを組み合わせた構造を有し、非球面ミラー18の上下方向の向きを変更するものである。第一反射体駆動部51は、例えば、モータの回転軸に取り付けられた歯車と、非球面ミラー18の反射面18aの反対側に設けられた複数の歯とが噛み合う構造を有する。第一反射体駆動部51は、通信線等を介して制御部15に接続され、制御部15からの制御信号に基づいて駆動する。第一反射体駆動部51は、制御部15から制御信号を受信すると、モータの回転軸が回転し、モータ側の歯車と非球面ミラー18側の複数の歯との噛み合わせによってモータの動力が非球面ミラー18に伝達して非球面ミラー18が回動し、当該非球面ミラー18の上下方向の向きを変更する。
【0031】
第二反射体駆動部52は、反射体駆動部の一例であり、表示光Lの向きを変更する方向が、アイポイントEPの左右方向に対応する表示情報の左右方向となるように、非球面ミラー18をC方向またはC方向と反対方向であるD方向に駆動するものである。本実施形態の第二反射体駆動部52は、図4図6に示すように、アイポイントEPの左右方向の移動に応じて非球面ミラー18を上下方向の回動軸(不図示)周りに回動させる。ここで、C方向及びD方向は、上下方向の回動軸周りの非球面ミラー18の回動方向の一方及び他方である。例えば、第二反射体駆動部52は、反射ミラーユニット12をC方向に駆動した場合、非球面ミラー18が上下方向の回動軸周りに一方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。一方、第二反射体駆動部52は、反射ミラーユニット12をD方向に駆動した場合、非球面ミラー18が上下方向の回動軸周りに他方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。
【0032】
第二反射体駆動部52は、例えばモータと歯車とを組み合わせた構造を有し、非球面ミラー18の左右方向の向きを変更するものである。第二反射体駆動部52は、例えば、モータの回転軸に取り付けられた歯車と、非球面ミラー18の反射面18aの反対側に設けられた複数の歯とが噛み合う構造を有する。第二反射体駆動部52は、通信線等を介して制御部15に接続され、制御部15からの制御信号に基づいて駆動する。第二反射体駆動部52は、制御部15から制御信号を受信すると、モータの回転軸が回転し、モータ側の歯車と非球面ミラー18側の複数の歯との噛み合わせによってモータの動力が非球面ミラー18に伝達して非球面ミラー18が回動し、当該非球面ミラー18の左右方向の向きを変更する。
【0033】
アイポイント取得部14は、運転者DのアイポイントEPを取得するものである。アイポイント取得部14は、車内撮影カメラ20により入力された運転者画像に対して画像処理を行い、運転者DのアイポイントEPを検出する。具体的には、アイポイント取得部14は、例えば、運転者画像における顔部の眼球の虹彩や眉間の位置に基づいて運転者Dの実アイポイントEPを検出する。アイポイント取得部14は、検出した運転者Dの実アイポイントEPを示すアイポイント情報を制御部15に出力する。アイポイント情報は、例えば3次元の直交座標で表される。
【0034】
制御部15は、表示ユニット11を制御して表示情報を表示させる。制御部15は、例えば、基板に実装されたICチップ等で構成され、車両100に搭載されたバッテリーから得られる電力により駆動する。本実施形態の制御部15は、アイポイント取得部14により取得されたアイポイントEPに基づいて、第一ユニット駆動部41、第二ユニット駆動部42、第一反射体駆動部51、及び第二反射体駆動部52を駆動制御する。また、制御部15は、ユニット駆動部(第一ユニット駆動部41、第二ユニット駆動部42)及び反射体駆動部(第一反射体駆動部51、第二反射体駆動部52)を連動して駆動制御することにより表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を、取得されたアイポイントEPに基づいて変更する。
【0035】
また、制御部15は、前方画像が入力された場合、当該前方画像に基づいて、公知の画像解析手法により、車両前方の実風景における重畳対象情報を検出する。この重畳対象情報は、例えば、車両前方の実風景における周辺車両(対向車、先行車を含む)、歩行者、信号機、標識、車線等が含まれる。制御部15は、検出した重畳対象情報に基づいて表示ユニット11を制御し、重畳対象に重畳させる重畳虚像を表示することで実風景における重畳対象に当該虚像Sを重畳させる表示画像制御を行う。
【0036】
次に、車両用表示装置1の動作例について図3から図6を参照して説明する。表示ユニット11の表示デバイス17から出射された表示光Lは、非球面ミラー18に向かう。非球面ミラー18は、表示ユニット11から入射する表示光Lを、凹状の反射面18aにより、ウインドシールド103に向けて反射させる。これにより、ウインドシールド103に表示光Lに対応する表示画像が投影され、運転者DのアイポイントEPの前方に虚像Sが表示される。
【0037】
制御部15は、図3図5に示すように、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が上方向である場合、第一ユニット駆動部41により筐体61を第一方向(例えば下方向)に駆動させ、かつ第一反射体駆動部51により非球面ミラー18を第三方向(例えば上方向)に駆動させる。また、制御部15は、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が下方向である場合、第一ユニット駆動部41により筐体61を第二方向(例えば下方向)に駆動させ、かつ第一反射体駆動部51により非球面ミラー18を第四方向(例えば上方向)に駆動させる。具体的には、制御部15は、基準アイポイントEPsと実アイポイントEPu,EPdの位置変化に合わせて、筐体61を回動軸66周りに第一方向または第二方向に回動させると共に、非球面ミラー18を回動軸周りに第三方向または第四方向に回動させる。ここで、基準アイポイントEPsは、基準アイポイントEPsに基づいた配光範囲である基準アイボックスEBsに含まれる。また、実アイポイントEPuは、取得された運転者Dの実アイポイントEPuに基づいた配光範囲である実アイボックスEBuに含まれ、実アイポイントEPdは、取得された運転者Dの実アイポイントEPdに基づいた配光範囲である実アイボックスEBdに含まれる。
【0038】
制御部15は、ユニット駆動部(第一ユニット駆動部41、第二ユニット駆動部42)及び反射体駆動部(第一反射体駆動部51、第二反射体駆動部52)を連動して駆動制御することにより表示光Lの光路Lsを、取得された実アイポイントEPuに基づいて変更する。例えば、取得されたアイポイントEPが実アイポイントEPuである場合、筐体61を回動軸66周りに前方下方側に向かせ、かつ非球面ミラー18の反射面18aを回動軸周りに後方下方側に向かせる。これにより、表示光Lの光路Lsが光路Luに変更される。一方、取得されたアイポイントEPが実アイポイントEPdである場合、筐体61を回動軸66周りに前方上方側に向かせ、かつ非球面ミラー18の反射面18aを回動軸周りに後方上方側に向かせる。これにより、表示光Lの光路Lsが光路Ldに変更される。
【0039】
制御部15は、図4図6に示すように、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が右方向である場合、第二ユニット駆動部42により筐体61をA方向(例えば左方向)に駆動させ、かつ第二反射体駆動部52により非球面ミラー18をC方向(例えば右方向)に駆動させる。また、制御部15は、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が左方向である場合、第二ユニット駆動部42により筐体61をB方向(例えば右方向)に駆動させ、かつ第二反射体駆動部52により非球面ミラー18をD方向(例えば左方向)に駆動させる。具体的には、制御部15は、基準アイポイントEPsと実アイポイントEPr,EPlの位置変化に合わせて、筐体61を回動軸67周りにA方向またはB方向に回動させると共に、非球面ミラー18を回動軸周りにC方向またはD方向に回動させる。ここで、実アイポイントEPrは、取得された運転者Dの実アイポイントEPrに基づいた配光範囲である実アイボックスEBrに含まれ、実アイポイントEPlは、取得された運転者Dの実アイポイントEPlに基づいた配光範囲である実アイボックスEBlに含まれる。
【0040】
制御部15は、ユニット駆動部(第一ユニット駆動部41、第二ユニット駆動部42)及び反射体駆動部(第一反射体駆動部51、第二反射体駆動部52)を連動して駆動制御することにより表示光Lの光路Lsを、取得された実アイポイントEPrに基づいて変更する。例えば、取得されたアイポイントEPが実アイポイントEPrである場合、筐体61を回動軸67周りに前方左方側に向かせ、かつ非球面ミラー18の反射面18aを回動軸周りに後方右方側に向かせる。これにより、表示光Lの光路Lsが光路Lrに変更される。一方、取得されたアイポイントEPが実アイポイントEPlである場合、筐体61を回動軸67周りに前方右方側に向かせ、かつ非球面ミラー18の反射面18aを回動軸周りに後方左方側に向かせる。これにより、表示光Lの光路Lsが光路Llに変更される。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る車両用表示装置1は、表示ユニット11が、アイレンジERより狭く、かつ運転者DのアイポイントEPに基づいた配光範囲であるアイボックスEBに対応する表示光を出射する。これにより、表示ユニット11が、複数の運転者DのアイポイントEPの分布範囲に基づいた配光範囲であるアイレンジERより狭く、かつアイポイント取得部14より取得された運転者DのアイポイントEPに基づいた配光範囲であるアイボックスEBに対応する表示光Lを出射する。これにより、表示ユニット11内の光源16の光量を抑えて発熱を抑制し、低消費電力化を図ることができる。この結果、光源16を冷却するためのヒートシンク63を小型化することができ、表示ユニット11の軽量化を図ることができる。また、光源16の光量を抑えることができるので、例えば、LEDの数を減らすことでコストを削減することが可能となる。例えば、運転者のアイポイントEPを取得することで、通常のアイボックスEBのサイズに対して、面積比が約50%以下となるので、LEDの数を減らすことができる(例えば、LEDを3個使用している場合、1または2個に減らせることができる)。
【0042】
また、本実施形態に係る車両用表示装置1は、制御部15が、ユニット駆動部及び反射体駆動部を連動して駆動制御することにより表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を、取得されたアイポイントEPに基づいて変更する。具体的には、制御部15は、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が上方向である場合、第一ユニット駆動部41により表示ユニット11を第一方向に駆動させ、かつ第一反射体駆動部51により非球面ミラー18を第三方向に駆動させ、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が下方向である場合、第一ユニット駆動部41により表示ユニット11を第二方向に駆動させ、かつ第一反射体駆動部51により非球面ミラー18を第四方向に駆動させる。さらに、制御部15は、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が右方向である場合、第二ユニット駆動部42により表示ユニット11をA方向に駆動させ、かつ第二反射体駆動部52により非球面ミラー18をC方向に駆動させ、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が左方向である場合、第二ユニット駆動部42により表示ユニット11をB方向に駆動させ、かつ第二反射体駆動部52により非球面ミラー18をD方向に駆動させる。
【0043】
上記構成により、車両100に乗車した運転者Dから取得されたアイポイントEPに基づいて、第一及び第二ユニット駆動部41,42及び第一及び第二反射体駆動部51,52を連動して駆動制御して、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路が変更される。これにより、例えばアイポイントEPが上下方向に異なる運転者Dが車両100に乗車した場合、視認性を低下させることなく運転者Dに対して虚像Sを視認させることができる。
【0044】
次に、実施形態の変形例に係る車両用表示装置について説明する。図8(A)は、実施形態の第1変形例に係る表示ユニットの概略構成を示す模式図、図8(B)は、実施形態の第2変形例に係る表示ユニットの概略構成を示す模式図である。図9は、実施形態の第3変形例に係る表示ユニットの概略構成を示す模式図である。図10(A)は、実施形態の第4変形例に係る表示ユニットの概略構成であって正面から視たときの模式図、図10(B)は、実施形態の第4変形例に係る表示ユニットの概略構成であって下方から視たときの模式図である。
【0045】
図8(A)に示す実施形態の第1変形例に係る表示ユニット11Aは、筐体61と形状が異なる筐体61Aと、光学レンズ62と表示デバイス17との間の光路上に配置され、光学レンズ62から入射する光を表示デバイス17に向けて偏光するプリズム70とを有する。プリズム70は、不図示の駆動部により回動軸66周りに回動可能に構成される。表示ユニット11Aは、表示光Lの向きを変更する方向が、アイポイントEPの上下方向に対応する表示情報の上下方向となるように、プリズム70を第一方向または第一方向と反対方向である第二方向に駆動するものである。表示ユニット11Aは、アイポイントEPの上下方向の移動に応じてプリズム70を回動軸66周りに回動させる。ここで、第一方向及び第二方向は、回動軸66周りのプリズム70の回動方向の一方及び他方である。例えば、表示ユニット11Aは、プリズム70を第一方向または第二方向に駆動した場合、当該プリズム70が回動軸66周りに一方または他方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。これにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
図8(B)に示す実施形態の第2変形例に係る表示ユニット11Bは、筐体61と形状が異なる筐体61Bと、光学レンズ62と表示デバイス17との間の光路上に配置され、光学レンズ62から入射する光を表示デバイス17に向けて反射する折返しミラー71とを有する。折返しミラー71は、不図示の駆動部により回動軸66周りに回動可能に構成される。表示ユニット11Bは、表示光Lの向きを変更する方向が、アイポイントEPの上下方向に対応する表示情報の上下方向となるように、折返しミラー71を第一方向または第一方向と反対方向である第二方向に駆動するものである。表示ユニット11Bは、アイポイントEPの上下方向の移動に応じて折返しミラー71を回動軸66周りに回動させる。ここで、第一方向及び第二方向は、回動軸66周りの折返しミラー71の回動方向の一方及び他方である。例えば、表示ユニット11Bは、折返しミラー71を第一方向または第二方向に駆動した場合、当該折返しミラー71が回動軸66周りに一方または他方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。これにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
図9に示す実施形態の第3変形例に係る表示ユニット11Cは、筐体61Aと、光学レンズ62と表示デバイス17との間の光路上に配置され、光学レンズ62から入射する光を表示デバイス17に向けて偏光するフレネルレンズ72とを有する。フレネルレンズ72は、不図示の駆動部により回動軸66周りに回動可能に構成される。表示ユニット11Cは、表示光Lの向きを変更する方向が、アイポイントEPの上下方向に対応する表示情報の上下方向となるように、フレネルレンズ72を第一方向または第一方向と反対方向である第二方向に駆動するものである。表示ユニット11Cは、アイポイントEPの上下方向の移動に応じてフレネルレンズ72を回動軸66周りに回動させる。ここで、第一方向及び第二方向は、回動軸66周りのフレネルレンズ72の回動方向の一方及び他方である。例えば、表示ユニット11Cは、フレネルレンズ72を第一方向または第二方向に駆動した場合、当該フレネルレンズ72が回動軸66周りに一方または他方に回動し、表示ユニット11からアイポイントEPまでの表示光Lの光路を変更する。これにより、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
図10(A)、図10(B)に示す実施形態の第変形例に係る表示ユニット11Dは、第二ユニット駆動部42と構成が異なる第二ユニット駆動部42Aを有する。第二ユニット駆動部42Aは、駆動機構68Baと、モータ69Bとを含んで構成される。駆動機構68Baは、モータ69Bの回転を動力として、ねじ軸83を回転させる。ねじ軸83は、左右方向に沿って延在する。駆動機構68Baは、例えば、ねじ軸83と、ナット84とで構成されるボールねじである。モータ69Bの回転によりねじ軸83が一方に回転すると、筐体61が左右方向の一方に移動し、ねじ軸83が他方に回転すると、筐体61が左右方向の他方に移動する。これにより、表示ユニット11Dから出射される表示光Lの左右方向の向きを変更することができる。

【0049】
なお、上記実施形態の車両用表示装置1は、制御部15が、第一及び第二ユニット駆動部41,42及び第一及び第二反射体駆動部51,52を連動して駆動制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、実施形態の他の変形例に係る車両用表示装置1は、制御部15が、第一ユニット駆動部41と第一反射体駆動部51を連動して駆動制御するものであってもよい。この場合、制御部15は、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が上方向である場合、第一ユニット駆動部41により表示ユニット11を第一方向に駆動させ、かつ第一反射体駆動部51により非球面ミラー18を第三方向に駆動させる。一方、制御部15は、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が下方向である場合、第一ユニット駆動部41により表示ユニット11を第二方向に駆動させ、かつ第一反射体駆動部51により非球面ミラー18を第四方向に駆動させる。
【0050】
上記構成により、アイポイントEPが上下方向に異なる運転者Dが車両100に乗車した場合、当該運転者DのアイポイントEPが上下方向においてアイレンジERの範囲内になくとも、視認性を低下させることなく運転者Dに対して虚像Sを視認させることが可能となる。
【0051】
また、上記実施形態の車両用表示装置1は、制御部15が、第一及び第二ユニット駆動部41,42及び第一及び第二反射体駆動部51,52を連動して駆動制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、実施形態の他の変形例に係る車両用表示装置1は、制御部15が、第一及び第二ユニット駆動部41,42及び第一反射体駆動部51を連動して駆動制御するものであってもよいし、第一ユニット駆動部41のみを駆動制御するものであってもよい。前者の場合、制御部15は、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が上方向である場合、第一ユニット駆動部41により表示ユニット11を第一方向に駆動させ、かつ第一反射体駆動部51により非球面ミラー18を第三方向に駆動させる。また、制御部15は、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が下方向である場合、第一ユニット駆動部41により表示ユニット11を第二方向に駆動させ、かつ第一反射体駆動部51により非球面ミラー18を第四方向に駆動させる。また、制御部15は、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が右方向である場合、第二ユニット駆動部42により表示ユニット11をA方向に駆動させ、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が左方向である場合、第二ユニット駆動部42により表示ユニット11をB方向に駆動させる。後者の場合、制御部15は、第一及び第二反射体駆動部51,52を駆動することなく、取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が右方向である場合、第二ユニット駆動部42により表示ユニット11をA方向に駆動させる。取得されたアイポイントEPの基準アイポイントEPsに対する位置が左方向である場合、第二ユニット駆動部42により表示ユニット11をB方向に駆動させる。
【0052】
また、上記実施形態では、非球面ミラー18は、反射面18aの形状が自由曲面であるが、これに限定されるものではない。
【0053】
また、上記実施形態では、車両用表示装置1は、表示画像を車両100のウインドシールド103に投影しているが、これに限定されず、例えばコンバイナ等に投影してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、車両用表示装置1は、自動車等の車両100に適用されているが、これに限定されず、例えば車両100以外の船舶や航空機等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用表示装置
11 表示ユニット
12 反射ミラーユニット
14 アイポイント取得部
15 制御部
17 表示デバイス
18 非球面ミラー
20 車内撮影カメラ
41 第一ユニット駆動部
42 第二ユニット駆動部
51 第一反射体駆動部
52 第二反射体駆動部
100 車両
103 ウインドシールド
EP アイポイント
EB アイボックス
ER アイレンジ
L 表示光
S 虚像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10