(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】熱処理装置
(51)【国際特許分類】
F27B 5/16 20060101AFI20240814BHJP
F27B 5/14 20060101ALI20240814BHJP
F27B 5/04 20060101ALI20240814BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20240814BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
F27B5/16
F27B5/14
F27B5/04
F27D7/02 A
F27D7/06 B
(21)【出願番号】P 2022203457
(22)【出願日】2022-12-20
(62)【分割の表示】P 2018233827の分割
【原出願日】2018-12-13
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトサーモシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】中谷 淳司
(72)【発明者】
【氏名】巌 敏和
(72)【発明者】
【氏名】森本 章太郎
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1527015(CN,A)
【文献】特開2016-160128(JP,A)
【文献】特開2016-011776(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1460340(KR,B1)
【文献】特開2001-012857(JP,A)
【文献】特開2001-012870(JP,A)
【文献】特許第2861099(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 5/00- 7/42
F27D 7/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された熱処理用ガスが流入する風上部、および、前記熱処理用ガスが流出する風下部を含み、前記風上部と前記風下部との間に被処理物が配置されるワークエリアと、
前記風下部を通して前記ワークエリア内の前記熱処理用ガスを吸引する吸込口と、
前記風下部において、前記熱処理用ガスの流量を調整する風下流量調整部であって、前記吸込口に相対的に遠い遠位部から、前記吸込口に近い近位部に進むに従い、ガスの流量を段階的に小さくすることを可能に構成された風下流量調整部と、
を備え、
前記ワークエリアには、前記ワークエリア内で相対的に熱が放散され易い箇所が存在しており、
前記熱が放散され易い箇所から前記遠位部までの距離が、前記熱が放散され易い箇所から前記近位部までの距離よりも近
くされており、さらに、
前記風上部を通過する前記熱処理用ガスの流量が前記風上部の全域において実質的に均等となるように構成されていることを特徴とする、熱処理装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の熱処理装置であって、
前記風上部を通して前記ワークエリア内へ前記熱処理用ガスを供給する供給口と、
前記風上部において、前記供給口に相対的に近い近位部における前記熱処理用ガスの流量と、前記供給口に相対的に遠い遠位部における前記熱処理用ガスの流量とを均等にするように構成された風上流量調整部と、
をさらに備えていることを特徴とする、熱処理装置。
【請求項3】
加熱された熱処理用ガスが流入する風上部、および、前記熱処理用ガスが流出する風下部を含み、前記風上部と前記風下部との間に被処理物が配置されるワークエリアと、
前記風下部を通して前記ワークエリア内の前記熱処理用ガスを吸引する吸込口と、
前記風下部において、前記熱処理用ガスの流量を調整する風下流量調整部であって、前記吸込口に相対的に遠い遠位部から、前記吸込口に近い近位部に進むに従い、ガスの流量を段階的に小さくすることを可能に構成された風下流量調整部と、
を備え、
前記ワークエリアには、前記ワークエリア内で相対的に熱が放散され易い箇所が存在しており、
前記熱が放散され易い箇所から前記遠位部までの距離が、前記熱が放散され易い箇所から前記近位部までの距離よりも近くされており、
前記風下流量調整部は、前記風下部を覆うように配置され複数の貫通孔部が形成されたベースと、複数の前記貫通孔部の少なくとも一部を覆うことが可能に配置され前記貫通孔部の開度を調整するための可動部と、を含み、
前記近位部における前記貫通孔部の開度が、前記遠位部における前記貫通孔部の開度よりも小さいことを特徴とする、熱処理装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の熱処理装置であって、
前記熱処理用ガスは、過熱水蒸気を含んでいることを特徴とする、熱処理装置。
【請求項5】
請求項1~請求項
4の何れか1項に記載の熱処理装置であって、
前記ワークエリアに前記被処理物を出し入れするための扉と、
前記扉に取り付けられて前記ワークエリアに配置された放熱防止部材と、
をさらに備えていることを特徴とする、熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過熱水蒸気を用いて調理を行う加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、電子部品等の工業製品の製造時に使用される熱処理装置において、高温のガスを熱処理室内に供給することで、被処理物に熱処理を施す場合がある。このような熱処理装置において、高温のガスとして過熱水蒸気を利用することがある。過熱水蒸気の比熱は、約0.48(cal/g/℃)であり、空気の比熱約0.24(cal/g/℃)よりも大きい。このため、熱処理室に搬入された被処理物を熱処理するための熱処理ガスとして過熱水蒸気が用いられる場合、被処理物へ大きな熱エネルギーを与えることができる。
【0005】
過熱水蒸気のように比熱の大きなガスを熱処理用ガスとして用いる場合、熱処理室内の全域に十分な熱エネルギーを行き渡らせることができる。これにより、被処理物の各部を均等に熱処理することができる。熱処理用ガスとして過熱水蒸気以外のガスが用いられる場合も、熱処理室内の全域に十分な熱エネルギーを行き渡らせることが、被処理物の各部を均等に熱処理する点で重要である。
【0006】
特に、電子部品等の工業製品では被処理物の各部における熱処理をより均等に行うために、熱処理室内の温度分布をより均等にする必要がある。しかしながら、特許文献1に記載の発明は調理用の器具であり、工業製品の熱処理に要求されるような、高度に均等な温度分布が要求されているわけではない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みることにより、熱処理装置において、被処理物に熱処理を行うワークエリアの各部における温度分布をより均等にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述したように、過熱水蒸気は比熱が大きい。このため、ワークエリアへ熱処理用ガスとして過熱水蒸気を大量に供給さえすれば、ワークエリアの各部における熱処理用ガスの温度分布を均等にできると考えられる。しかしながら、本願発明者は、コンピュータを用いた流体解析を駆使すること等により、この考えが必ずしも正しくないとの知見を得るに至った。
【0009】
より具体的には、本願発明者は、熱処理用ガスの比熱が高ければ高いほど、ワークエリア内において、熱処理用ガスの通過量が多い箇所と少ない箇所とで温度(雰囲気温度)差が大きくなることを発見した。このような知見は、人間の直感とは必ずしも一致せず、上記流体解析を行うことで初めて明らかになったものである。
【0010】
また、熱処理装置として、ワークエリアを含み、ワークエリアが、熱処理用ガスを供給される風上部と熱処理用ガスを排出される風下部とを有する場合がある。この場合において、ワークエリア内の雰囲気温度の分布を均等にする際に、風上部および風下部のうち風上部における熱処理用ガスの供給態様に工夫を凝らすことが一般的である。しかしながら、本願発明者は、風上部における熱処理用ガスの供給態様に工夫を凝らすよりも、風下部における熱処理用ガスの供給態様に工夫を凝らすほうが、ワークエリアの各部における雰囲気温度を均等にするのに有効であるとの着想を得た。その結果、本願発明を想到した。
【0011】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる熱処理装置は、加熱された熱処理用ガスが流入する風上部、および、前記熱処理用ガスが流出する風下部を含み、前記風上部と前記風下部との間に被処理物が配置されるワークエリアと、前記風下部を通して前記ワークエリア内の前記熱処理用ガスを吸引する吸込口と、前記風下部において前記吸込口に相対的に近い近位部における前記熱処理用ガスの流量を、前記吸込口に相対的に遠い遠位部における前記熱処理用ガスの流量よりも小さく設定するように構成された風下流量調整部と、を備えている。
【0012】
この構成によると、風下流量調整部は、風下部において近位部における熱処理用ガスの流量を、遠位部における熱処理用ガスの流量よりも小さく設定する。これにより、風下部の遠位部の周囲において、熱処理用ガスをより多く流すことができる。また、風上部は、吸込口に近いことから、流量を絞られたとしても熱処理用ガスをスムーズに流すことができる。その結果、風下部において、近位部での熱処理用ガスの温度と遠位部での熱処理用ガスの温度とを、より均等にできる。その結果、ワークエリア内の極めて広い範囲に亘って、熱処理用ガスを満遍なく行き渡らせることができる。これにより、被処理物に熱処理を行うワークエリアの各部における温度分布をより均等にできる。
【0013】
(2)前記熱処理装置は、前記風上部を通過する前記熱処理用ガスの流量が前記風上部の全域において実質的に均等となるように構成されている場合がある。
【0014】
この構成によると、ワークエリア内の各部の雰囲気温度をより均等にできる。しかも、熱処理用ガスの流量を風上部の全域において実質的に均等となるようにするという簡易な構成で、ワークエリア内の各部の雰囲気温度をより均等にできる。このように、風上部では、熱処理用ガスの流量配分を積極的に異ならせる構成となっていない。
【0015】
(3)前記熱処理装置は、前記風上部を通して前記ワークエリア内へ前記熱処理用ガスを供給する供給口と、前記風上部において前記供給口に相対的に近い近位部における前記熱処理用ガスの流量と、前記供給口に相対的に遠い遠位部における前記熱処理用ガスの流量とを均等にするように構成された風上流量調整部と、をさらに備えている場合がある。
【0016】
この構成によると、風上流量調整部が設けられていることにより、熱処理用ガスの流量を風上部の全域においてより均等にできる。
【0017】
(4)前記熱処理用ガスは、過熱水蒸気を含んでいる場合がある。
【0018】
この構成によると、窒素等の熱処理用ガスの比熱と比べて高い比熱の過熱水蒸気、すなわち、ワークエリア内において雰囲気温度にばらつきを生じやすい過熱水蒸気を、熱処理用ガスとして用いることができる。これにより、被処理物をより効率的に処理できる。
【0019】
(5)前記熱処理装置は、前記風下部から前記風上部へ前記熱処理用ガスを循環させる循環路と、前記循環路に配置され前記熱処理用ガスを加熱するためのヒータと、前記循環路に配置され前記熱処理用ガスの気流を前記ワークエリアに発生させるための気流発生部材と、をさらに備え、前記風下部から前記風上部へ向けて前記ヒータ、前記気流発生部材の順に配置されている場合がある。
【0020】
この構成によると、ヒータで加熱された熱処理用ガスを、気流発生部材によって撹拌できる。その結果、ワークエリアへ送られる熱処理用ガスの温度をより均等にできる。
【0021】
(6)前記風下流量調整部は、前記風下部を覆うように配置され複数の貫通孔部が形成されたベースと、複数の前記貫通孔部の少なくとも一部を覆うことが可能に配置され前記貫通孔部の開度を調整するための可動部と、を含み、前記近位部における前記貫通孔部の開度が、前記遠位部における前記貫通孔部の開度よりも小さい場合がある。
【0022】
この構成によると、近位部における貫通孔部の開度を、遠位部における貫通孔部の開度よりも小さく設定する簡易な構成で、風下部における熱処理用ガスの流量を容易に調整できる。
【0023】
(7)前記熱処理装置は、前記ワークエリアに前記被処理物を出し入れするための扉と、前記扉に取り付けられて前記ワークエリアに配置された放熱防止部材と、をさらに備えている場合がある。
【0024】
この構成によると、ワークエリアのうちワークエリア内の熱が放散されやすい箇所としての扉に、放熱防止部材が取り付けられる。これにより、ワークエリア内の断熱性をより高くできる。その結果、ワークエリア内の各部の雰囲気温度が均等な状態をより確実に維持できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、熱処理装置において、被処理物に熱処理を行うワークエリアの各部における温度分布をより均等にできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る熱処理装置の構成を示す模式的な平面図であり、一部を断面で示している。
【
図2】
図1のII-II線に沿う断面図であり、熱処理装置を正面から見た状態を示している。
【
図3】
図1のIII-III線に沿う断面図であり、熱処理装置をワークエリアにおける主流れ方向に沿って見た状態を示している。
【
図4】風下流量調整部の一部を拡大して示す側面図である。
【
図5】風下流量調整部の一部を拡大して示す平面図である。
【
図6】風下流量調整部の一部を拡大して示す正面図である。
【
図7】
図1のVII-VII線に沿う断面図であり、熱処理装置をワークエリアにおける主流れ方向と反対の方向に沿って見た状態を示している。
【
図8】風上流量調整部の一部を拡大して示す側面図である。
【
図9】第1変形例の一部を断面で示す模式的な平面図である。
【
図10】第2変形例の一部を断面で示す模式的な正面図である。
【
図11】第3変形例の一部を断面で示す模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る熱処理装置1の構成を示す模式的な平面図であり、一部を断面で示している。
図2は、
図1のII-II線に沿う断面図であり、熱処理装置1を正面から見た状態を示している。
図3は、
図1のIII-III線に沿う断面図であり、熱処理装置1をワークエリア4における主流れ方向F1に沿って見た状態を示している。
【0029】
図1~
図3を参照して、熱処理装置1は、被処理物100に熱処理を施すための装置である。被処理物100は、例えば、電子部品である。熱処理装置1では、一度に一つのみの被処理物100が熱処理されてもよいし、複数の被処理物100がホルダ等に置かれた状態で一括して熱処理されてもよい。熱処理装置1で用いられる熱処理用ガスは、本実施形態では、過熱水蒸気である。過熱水蒸気の比熱は、約0.48(cal/g/℃)であり、空気の比熱約0.24(cal/g/℃)よりも大きい。このため、熱処理室に搬入された被処理物100を熱処理するための熱処理ガスとして過熱水蒸気が用いられる場合、被処理物へ大きな熱エネルギーを与えることができる。なお、熱処理用ガスは、過熱水蒸気以外のガスを一部含んでいてもよいし、過熱水蒸気を含んでいなくてもよい。なお、熱処理装置1は、熱処理用ガスとして過熱水蒸気を用いる場合に特に好適な構成を有している。
【0030】
熱処理装置1は、筐体2と、筐体2の前方に配置された扉3と、筐体2内に形成されたワークエリア4と、ワークエリア4の風下部5に設けられた風下流量調整部6と、ワークエリア4の風上部7に設けられた風上流量調整部8と、筐体2内に設けられ風下部5および風上部7を接続する循環路9と、循環路9に設置されたヒータ10およびファン(気流発生部材)11と、を有している。
【0031】
筐体2は、中空の箱形形状に形成され且つ前側が筐体2の前方に開放された形状を有している。筐体2は、本実施形態では、立方体形状に形成されており、底壁2aと、底壁2aから上方に延びる4つの側壁としての前側壁2b、後側壁2c、上流側壁2d、および、下流側壁2eと、4つの側壁2b~2eの上端に配置された矩形状の天壁2fと、を有している。
【0032】
筐体2の底壁2a、側壁2b~2e、および、天壁2fによって区切られた空間内に、ワークエリア4および循環路9が形成されている。筐体2の前側壁2bには、矩形状の開口部12が形成されている。この開口部12に扉3が取り付けられている。筐体2のうち、扉3が配置されている箇所を除く箇所の外周には、図示しない断熱材等が配置されており、筐体2の内部から外部への放熱が抑制されている。
【0033】
なお、以下では、筐体2を平面視したときにおける開口部12側を前側といい、後側壁2c側を後側といい、上流側壁2d側を右側といい、下流側壁2e側を左側という。
【0034】
扉3は、開口部12を通して筐体2内のワークエリア4へ被処理物100を出し入れするために設けられている。扉3は、図示しない開閉機構によって支持されており、開口部12を開閉する。扉3は、閉じた状態のときに開口部12の全面を覆うように配置される。一方、開口部12が開かれた状態となることで、筐体2内の空間は、筐体2の外部に露呈する。これにより、被処理物100を筐体2のワークエリア4に対して出し入れできる。
【0035】
扉3の内側面は、水平方向と直交する方向に延びる矩形状に形成されている。この扉3に放熱防止部材13が取り付けられている。
【0036】
放熱防止部材13は、扉3と開口部12との間における放熱を抑制するために設けられている。扉3が閉じられているとき、放熱防止部材13は、ワークエリア4の前端部に位置している。放熱防止部材13は、略平板状に形成されているとともに左右両端部が後方に向けて湾曲した形状に形成されており、ピン状の固定部材14を複数用いて扉3に固定されている。放熱防止部材13は、底壁2a付近から天壁2f付近まで延びている。
【0037】
ワークエリア4は、被処理物100を配置するためのエリアである。熱処理装置1は、ワークエリア4内の被処理物100へ熱処理を施す。本実施形態では、ワークエリア4は、筐体2と、筐体2内の空間に配置された隔壁15と、筐体2内の空間に配置された風下流量調整部6および風上流量調整部8と、によって形成されている。
【0038】
具体的には、隔壁15は、扉3から筐体2内の空間の後側へ所定距離進んだ位置に配置されている。隔壁15は、前後方向Y1と直交する矩形の平板状に形成されており、左右方向X1(ワークエリア4における主流れ方向F1)に沿って延びている。隔壁15は、底壁2aおよび天壁2fの双方に固定されている。本実施形態では、左右方向X1において、隔壁15が配置されている領域は、開口部12が設けられている領域よりも広い範囲に亘っている。すなわち、隔壁15の右端部15aは、開口部12の右端部から右側に進んだ箇所に配置されている。また、隔壁15の左端部15bは、開口部12の左端部から左側に進んだ箇所に配置されている。
【0039】
上記の構成により、ワークエリア4は、扉3と、前側壁2bと、底壁2aと、隔壁15と、天壁2fと、風下部5と、風下流量調整部6と、風上部7と、風上流量調整部8と、によって形成されている。そして、これら扉3と、前側壁2bと、底壁2aと、隔壁15と、天壁2fと、風下部5と、風下流量調整部6と、風上部7と、風上流量調整部8と、によって囲まれた空間が、筐体2内の空間のうちのワークエリア4内の空間となっている。本実施形態では、ワークエリア4内の空間は、直方体状の空間である。ワークエリア4では、左右方向X1の一方に沿う方向としての左方向が、熱処理用ガスの主流れ方向F1となっている。主流れ方向F1におけるワークエリア4の風下側部分に、過熱水蒸気の導入管(図示せず)が配置されている。過熱水蒸気は、この導入管を通してワークエリア4内に導入される。
【0040】
なお、主流れ方向F1とは、筐体2内の空間において熱処理用ガスとしての過熱水蒸気が循環する流れの方向をいい、例えば、過熱水蒸気が局所的に渦を巻いているときのこの渦の流れ方向は含まないことを意味している。
【0041】
ワークエリア4内の空間は、直方体状の空間を形成している。ワークエリア4は、加熱された熱処理用ガスが流入する風上部7と、熱処理用ガスが流出する風下部5と、を有しており、風上部7と風下部5との間に被処理物100が配置される。
【0042】
風上部7は、開口部12の右端部に配置されている。風上部7は、左右方向X1から見て、矩形状に形成されている。この風上部7に、風上流量調整部8が配置されている。
【0043】
風下部5は、開口部12の左端部に配置されている。風下部5は、左右方向X1から見て、矩形状に形成されている。本実施形態では、左右方向X1に見たときにおいて、風上部7の投影面積と、風下部5の投影面積は、同じに設定されている。風下部5に、風下流量調整部6が配置されている。上記の構成を有するワークエリア4へ熱処理用ガスを連続的に供給するために、循環路9が設けられている。
【0044】
循環路9は、風下部5から風上部7へ熱処理用ガスを搬送させることで熱処理用ガスを筐体2内で循環させるために設けられている。本実施形態では、循環路9は、筐体2内に配置されている。また、本実施形態では、過熱水蒸気を筐体2内に供給するための前述した導入管(図示せず)、および、過熱水蒸気を筐体2内から排出するための排出管(図示せず)が、循環路9に設けられている。
【0045】
循環路9は、風下流量調整部6と、前側壁2bのうち開口部12の左側部分と、下流側壁2eと、後側壁2cと、隔壁15と、上流側壁2dと、風上流量調整部8と、前側壁2bのうち開口部12の右側部分と、底壁2aと、天壁2fと、によって形成されている。この循環路9は、風下チャンバ16と、吸込口17と、送り路18と、供給口19と、風上チャンバ20と、を有している。
【0046】
風下チャンバ16は、主流れ方向F1における風下流量調整部6の直ぐ下流において熱処理用ガスが送られるボックス状部分として配置されている。風下チャンバ16は、平面視において前後方向Y1に細長く延びる矩形状の空間を形成している。また、風下チャンバ16内の空間の高さ位置は、ワークエリア4内の空間の高さ位置と揃えられている。風下チャンバ16は、平面視において、風下流量調整部6と、前側壁2bのうち開口部12の左側部分と、下流側壁2eと、を用いて形成されている。
【0047】
風下チャンバ16は、後壁2cに向けて熱処理用ガスが流れるように形成されている。風下チャンバ16を通過した熱処理用ガスは、風下チャンバ16の後方に向けて吸込口17を通って送り路18に入る。
【0048】
吸込口17は、風下チャンバ16の後端部に設けられており、主流れ方向F1における送り路18の入口部分を形成している。吸込口17は、風下部5および風下チャンバ16を通してワークエリア4内の熱処理用ガスを吸引する。吸込口17は、隔壁15の左端部15bと、下流側壁2eのうち上記左端部15bと左右に対向する部分と、底壁2aと、天壁2fと、を用いて形成されており、前後方向Y1に見て上下方向Z1に細長い矩形状の空間を形成している。左右方向X1において、吸込口17の幅は、風下チャンバ16の幅よりも小さく設定されている。
【0049】
送り路18は、吸込口17を通して熱処理用ガスを吸い込み、吸い込んだ熱処理用ガスに熱エネルギーおよび運動エネルギーを与えてこの熱処理用ガスを供給口19へ送り出すように構成されている。
【0050】
送り路18は、本実施形態ではワークエリア4の後方に配置されており、前後方向Y1において、ワークエリア4、隔壁15、送り路18の順に並んでいる。送り路18は、平面視において左右方向X1に細長く延びる略矩形状の空間を形成している。
【0051】
送り路18は、隔壁15と、下流側壁2eの後端部と、後側壁2cと、上流側壁2dの後端部と、第1ガイド23および第2ガイド24と、底壁2aおよび天壁2fと、を用いて形成されている。
【0052】
送り路18において、主流れ方向F1は、平面視で左から右に向かい、その後、第1ガイド23に案内されてクランク状に進む。送り路18内に、ヒータ10およびファン11が配置されている。主流れ方向F1において、風下部5から風上部7へ向けてヒータ10、ファン11の順に配置されている。
【0053】
ヒータ10は、吸込口17に隣接して配置されており、送り路18を主流れ方向F1に流れる熱処理用ガスを加熱する。ヒータ10として、電熱線に通電することで加熱する電熱ヒータを例示できる。本実施形態では、主流れ方向F1における送り路18の略半分の領域に、ヒータ10が配置されている。本実施形態では、ヒータ10は、天壁2fから上下に延びるチューブ状の発熱部25を複数有している。熱処理用ガスは、ヒータ10の発熱部25によって加熱されつつ、送り路18内の空間を主流れ方向F1に沿って右向きに進む。ヒータ10を通過した熱処理用ガスは、第1ガイド23に案内されてファン11へ流れる。
【0054】
第1ガイド23は、底壁2aから天壁2fにかけて配置されている。第1ガイド23は、ファン11に隣接して配置された第1部分23aおよび第2部分23bを含んでいる。第1部分23aは、平面視で例えばL字状に形成されており、ヒータ10とファン11との間に配置されている。第2部分23bは、平面視で例えばL字状に形成されており、第1部分23aから主流れ方向F1に進んだ位置において、ファン11の右前方に配置されている。第1部分23aは、後側壁2cに接続されており、第2部分23bは、隔壁15に接続されている。第1部分23aと第2部分23bとの間には、通過孔部23cが形成されている。通過孔部23cは、前後方向Y1を向く孔部である。第1ガイド23の第1部分23aおよび第2部分23bによって、ヒータ10とファン11との間が、通過孔部23cを除いて塞がれている。この構成により、熱処理用ガスは、ヒータ10を通過してから通過孔部23cで後方に流れ、その後、ファン11に到達する。なお、主流れ方向F1におけるファン11の上流側の領域に、過熱水蒸気を供給するための前述した導入管、および、過熱水蒸気を排出するための前述した排出管(図示せず)が設けられている。
【0055】
ファン11は、主流れ方向F1を向く熱処理用ガスの気流をワークエリア4等に発生させる部材である。ファン11として、遠心ファン、軸流ファン等の各種のファンを例示できる。本実施形態では、ファン11は、シロッコファンである。ファン11は、第1ガイド23の第1部分23aおよび第2部分23bに隣接した箇所に配置されている。このファン11は、後側壁2cに取り付けられた電動モータ26の出力軸に取り付けられており、電動モータ26の駆動によって回転する。ファン11は、通過孔部23cと前後方向Y1に向かい合っている。ファン11は、吸い込んだ熱処理用ガスに遠心力を与える。これにより、熱処理用ガスは、底壁2a、天壁2f、および、第1ガイド23に案内されて主流れ方向F1の下流側に流れ、第2ガイド24および上流側壁2dの後端部に案内されて供給口19へ送られる。
【0056】
第2ガイド24は、平面視で円弧状に形成された板状部材であり、後側壁2cの右端部から上流側壁2dの後端部にかけて配置されている。第2ガイド24は、右側に進むに従い前側に進む湾曲形状に形成されており、ファン11と左右方向X1(主流れ方向F1)に向かい合っている。ファン11から吐出された熱処理用ガスは、第2ガイド24に案内されることによって、スムーズに右向きから前向きに向きを変える。
【0057】
供給口19は、風上チャンバ20の後端部に設けられており、主流れ方向F1における送り路18の出口部分を形成している。供給口19は、風上チャンバ20および風上部7を通してワークエリア4内へ熱処理用ガスを供給する。供給口19は、隔壁15の右端部15aと、上流側壁2dのうち上記右端部15aと左右に対向する部分と、底壁2aと、天壁2fと、を用いて形成されており、前後方向Y1に見て上下方向Z1に細長い矩形状の空間を形成している。左右方向X1において、供給口19の幅は、風上チャンバ20の幅よりも小さく設定されている。
【0058】
風上チャンバ20は、主流れ方向F1における風上流量調整部8の直ぐ上流において熱処理用ガスが送られるボックス状部分として配置されている。風上チャンバ20は、風下チャンバ16と略左右対称に形成されている。具体的には、風上チャンバ20は、平面視において前後方向Y1に細長く延びる矩形状の空間を形成している。また、風上チャンバ20内の空間の高さ位置は、ワークエリア4内の空間の高さ位置と揃えられている。風上チャンバ20は、平面視において、風上流量調整部8と、前側壁2bのうち開口部12の右側部分と、上流側壁2dと、を用いて形成されている。
【0059】
風上チャンバ20は、風上流量調整部8に向けて熱処理用ガスが流れるように形成されている。供給口19から風上チャンバ20に導入された熱処理用ガスは、前後方向Y1における熱処理用ガスの密度が揃えられるように、一旦、風上チャンバ20で僅かな時間ではあるが留まる。熱処理用ガスは、その後、風上流量調整部8を通ってワークエリア4内の空間に送られる。熱処理用ガスは、ワークエリア4内の被処理物100を加熱した後、風下流量調整部6を通って風下チャンバ16へ流入し、再びヒータ10によって加熱されつつ、筐体2内の空間を循環する。
【0060】
次に、風下流量調整部6について説明する。
【0061】
図4は、風下流量調整部6の一部を拡大して示す側面図である。
図5は、風下流量調整部6の一部を拡大して示す平面図である。
図6は、風下流量調整部6の一部を拡大して示す正面図である。
図3~
図6を参照して、風下流量調整部6は、風下部5において、左右方向X1と直交する平面(
図3に示すように左右方向X1から見たワークエリア4の風下部5)における各部の流量を調整するために設けられている。本実施形態では、風下流量調整部6は、風下部5において、ワークエリア4から風下チャンバ16へ流れる過熱水蒸気の流量を調整する。
【0062】
風下流量調整部6は、本実施形態では、前後方向Y1において複数(3つ)に分割されたエリア毎に、ワークエリア4から風下チャンバ16に流れる熱処理用ガスの流量を調整可能に構成されている。また、風下流量調整部6は、本実施形態では、上下方向Z1において複数(6つ)に分割されたエリア毎に、ワークエリア4から風下チャンバ16に流れる熱処理用ガスの流量を調整可能に構成されている。本実施形態では、風下流量調整部6は、前後方向Y1の3つのエリア×上下方向Z1の6つのエリアの合計3×6=18エリア毎に、熱処理用ガスの流量を調整可能である。なお、風下流量調整部6において、熱処理用ガスの流量を調整可能なエリアの数は、3×6=18エリアに限定されず、2以上であればよい。
【0063】
上記の構成の下、本実施形態では、風下流量調整部6は、風下部5において吸込口17に相対的に近い近位部27における熱処理用ガスの流量を、吸込口17に相対的に遠い遠位部28における熱処理用ガスの流量よりも小さく設定している。なお、近位部27とは、本実施形態では、前後方向Y1におけるワークエリア4の後側1/3の領域をいい、遠位部28とは、本実施形態では、前後方向Y1におけるワークエリア4の前側1/3の領域をいう。
【0064】
風下流量調整部6は、風下部5の全域に亘って配置されており、ワークエリア4内の空間と風下チャンバ16内の空間とを区切っている。風下流量調整部6は、前後方向Y1に真っ直ぐに延びている。
【0065】
風下流量調整部6は、前後一対の支柱31,32と、これらの支柱31,32に取り付けられたベース33と、ベース33に取り付けられた複数の可動部34と、を有している。
【0066】
前後一対の支柱31,32は、ベース33を前後方向Y1に両端支持するために設けられている。前支柱31は、板状部材を用いて形成されており、開口部12の付近において前側壁2bの後方に配置されている。前支柱31は、前側壁2bに固定されており、底壁2aから天壁2fまで延びている。後支柱32は、板状部材を用いて形成されており、隔壁15の左端部15bの付近において隔壁15の前方に配置されている。後支柱32は、隔壁15に固定されており、底壁2aから天壁2fまで延びている。
【0067】
前支柱31および後支柱32には、それぞれ、貫通孔部35が形成されている。貫通孔部35は、ワークエリア4内の空間と風下チャンバ16内の空間とに開放されている。各支柱31,32において、貫通孔部35は、上下方向Z1に等ピッチで配置されている。本実施形態では、各支柱31,32において、貫通孔部35の数は、後述する第1~第6領域51~56毎に二つ設けられている。各貫通孔部35は、本実施形態では、矩形状に形成されており、後述する固定孔部33aよりも小さく、且つ、可動孔部34aよりも小さい開口面積を有している。各貫通孔部35は、常時、熱処理用ガスをワークエリア4から風下チャンバ16に通過させる。これにより、全ての可動部34がベース33の後述する固定孔部33aを完全に塞いだときでも、熱処理用ガスをワークエリア4から風下チャンバ16へ通すことができる。また、前後方向Y1の両端部に貫通孔部35が設けられていることにより、風下部5の近位部27と遠位部28の双方において、最低限の熱処理用ガスを通過させることができ、開口部12と隔壁15との温度差をより小さくできる。
【0068】
なお、本実施形態では、各支柱31,32が一枚の板状部材で形成されている形態を例に説明しているけれども、この通りでなくてもよい。例えば、各支柱31,32は、中空の四角柱状部材を用いて形成されていてもよい。この場合も、貫通孔部35と同様の貫通孔部が形成されることで、ワークエリア4内の熱処理用ガスを風下チャンバ16内の空間へ導入する構成が採用される。
【0069】
ベース33は、支柱31,32と協働して風下部5を覆う板状部材である。ベース33の前端部は、前支柱31に固定されている。ベース33の後端部は、後支柱32に固定されている。ベース33は、底壁2aから天壁2fまで延びている。なお、ベース33は、支柱31,32に対して上下方向Z1の位置を調整可能に支柱31,32に取り付けられてもよい。
【0070】
本実施形態では、ベース33に関して、前述したように、前後方向Y1の3つのエリア×上下方向Z1の6つのエリアの合計3×6=18エリア毎に、熱処理用ガスの流量を調整可能である。より具体的には、本実施形態では、ベース33において、前後方向Y1に沿って、近位領域48と、中間領域49と、遠位領域50と、が規定されている。また、本実施形態では、ベース33において、上下方向Z1に沿って、第1~第6上下領域51~56が規定されている。
【0071】
近位領域48は、近位部27に設定された領域である。近位領域48は、ベース33における後端側約1/3の領域である。中間領域49は、近位部27と遠位部28との間に設定された領域である。遠位領域50は、遠位部28に設定された領域である。遠位領域50は、ベース33における前端側約1/3の領域である。
【0072】
第1~第6上下領域51~56は、上下方向Z1に等ピッチで設定されている。第1上下領域51が天壁2f付近に設定され、第6上下領域56が底壁2a付近に設定されている。
【0073】
このように、前後方向Y1に3つの領域としての近位領域48、中間領域49、および、遠位領域50が設定され、さらに、上下方向Z1に6つの領域としての第1~第6上下領域51~56が設定されている。これにより、前述したように、3×6=18のユニットが設定されている。そして、これらのユニット毎に、ワークエリア4から風下チャンバ16に向かう風量を設定することが可能である。
【0074】
本実施形態では、ベース33の各ユニットにおいて、縦2行×横4列の固定孔部33aが形成されている。具体的には、近位領域48、中間領域49、遠位領域50のそれぞれにおいて、前後方向Y1に等ピッチで4箇所に固定孔部33aが形成されている。その結果、前後方向Y1において、等ピッチで3×4=12箇所に固定孔部(貫通孔部)33aが形成されている。また、第1~第6上下領域51~56のそれぞれにおいて、上下方向Z1に当ピッチで2箇所に固定孔部33aが形成されている。その結果、上下方向Z1において、等ピッチで2×6=12箇所に固定孔部33aが形成されている。すなわち、本実施形態では、固定孔部33aは、前後方向Y1に12箇所および上下方向Z1に12箇所の合計12×12箇所に形成されている。
【0075】
各固定孔部33aは、本実施形態では、丸孔である。固定孔部33aは、支柱31,32の対応する貫通孔部35と高さ位置を揃えられている。上記の構成を有するベース33のうちのワークエリア4側の側面において、ユニット毎に可動部34が設けられている。
【0076】
可動部34は、複数の固定孔部33aの少なくとも一部を覆うことが可能に配置され対応する固定孔部33aの開度を調整する開度調整部材である。可動部34は、前述したようにユニット毎に設けられていることにより、前後方向Y1に3箇所×上下方向Z1に6箇所の計18箇所に設けられている。各可動部34は、矩形の平板状に形成されており、可動部34同士が上下方向Z1に等ピッチに配置されている。
【0077】
各可動部34には、複数の可動孔部34aが形成されている。可動孔部34aは、固定孔部33aと同じ形状および大きさに形成されており、本実施形態では丸孔である。各可動部34における可動孔部34aの数は、ユニットにおける固定孔部33aの数よりも少なく設定されている。具体的には、各可動部34の可動孔部34aは、上下方向Z1に2箇所形成されているとともに、前後方向Y1に3箇所形成されている。すなわち、各可動部34において、可動孔部34aは、2×3=6個形成されている。一方で、各可動部34は、前後方向Y1において、4箇所の固定孔部33aと重なることが可能な長さに形成されている。また、各可動部34において、前後方向Y1に隣り合う可動孔部34a間の間隔は、固定孔部33aの直径以上に設定されている。これにより、可動部34は、当該可動部34が設けられているユニットにおける8つの固定孔部33aの全てを塞ぐことが可能である。
【0078】
各可動部34は、ベース33に、前後方向Y1にスライド可能に支持されている。すなわち、可動部34は、当該可動部34が設けられているユニットにおける各固定孔部33aの開度を調整可能にベース33に支持されている。具体的には、各可動部34には、連結ピン36が固定されている。連結ピン36は、各可動部34に例えば2つ設けられており、上下方向Z1において可動孔部34aを避けた箇所に配置されている。各連結ピン36は、ベース33に形成された、前後方向Y1に細長い長孔部33bに通されており、ベース33のうち風下チャンバ16側の側面に設けられた抜け止め部材(図示せず)に固定されている。
【0079】
なお、上記の構成に代えて、可動部34に長孔部を設けるとともに、ベース33に連結ピン36を固定してもよい。
【0080】
上述した構成により、各可動部34は、対応する固定孔部33aを全開にするとき、例えば遠位領域50において図で例示されているように、可動孔部34aの縁部と対応する固定孔部33aの縁部とが完全に重なるように配置される。このとき、可動部34の連結ピン36が対応する長孔部33bの前端部に位置している構成であれば、作業員による可動部34の位置調整を行い易くできる。図では、一例として、遠位領域50における第1~第6上下領域51~56の全ての可動部34が対応する固定孔部33aを全開にした状態を示している。
【0081】
また、各可動部34は、対応する固定孔部33aを全閉にするとき、図示していないけれども、可動部34のうち可動孔部34aが形成されていない箇所が対応する固定孔部33aを完全に塞ぐように、配置される。このとき、可動部34の連結ピン36が対応する長孔部33bの後端部に位置している構成であれば、作業員による可動部34の位置調整を行い易くできる。
【0082】
また、各可動部34は、対応する固定孔部33aを一部だけ開くとき、例えば中間領域49および近位領域48において図で例示されているように、可動部34のうち可動孔部34aが形成されていない部分と対応する固定孔部33aの一部とが重なるように、配置される。図では、一例として、近位領域48における第1~第6上下領域51~56の全ての可動部34が所定の第2開度となるように配置された状態を示している。また、中間領域49における第1~第6上下領域51~56の全ての可動部34が所定の第1開度となるように配置された状態を示している。第1開度は、例えば90数%の開度であり、第2開度は、例えば約1/3の開度(約33%の開度、約2/3閉じた状態)である。
【0083】
このように、本実施形態では、吸込口17に相対的に近い近位部27における固定孔部33aの開度を、吸込口17に相対的に遠い遠位部28における固定孔部33aの開度よりも小さく設定している。さらに、本実施形態では、遠位領域50における固定孔部33aの開度>中間領域49における固定孔部33aの開度>近位領域48における固定孔部33aの開度としている。すなわち、遠位側から近位側(後側)に進むにしたがい、固定孔部33aの開度が段階的に小さくされている。
【0084】
なお、本実施形態では、固定孔部33aの開度の設定、すなわち、可動部34の位置設定は、作業員によって手動で行われる。このため、可動部34は、筐体2内で最も広い空間であるワークエリア4内の空間に設置されている。これにより、作業員による可動部34の位置調整作業を行い易くできる。
【0085】
次に、風上流量調整部8について説明する。
【0086】
風上流量調整部8は、風下流量調整部6と各部の開度が同じときにおいて、左右対称(主流れ方向F1に対称)な構成となる。以下、より具体的に説明する。
【0087】
図7は、
図1のVII-VII線に沿う断面図であり、熱処理装置1をワークエリア4における主流れ方向F1と反対の方向に沿って見た状態を示している。
図8は、風上流量調整部8の一部を拡大して示す側面図である。
図1および
図5~
図8を参照して、風上流量調整部8は、風上部7において、左右方向X1と直交する平面(
図7に示すように左右方向X1から見たワークエリア4の風上部7)における各部の流量を調整するために設けられている。本実施形態では、風上流量調整部8は、風上部7において、風上チャンバ20からワークエリア4への過熱水蒸気の流量を調整する。
【0088】
風上流量調整部8は、本実施形態では、風下流量調整部6と同様に、前後方向Y1において複数(3つ)に分割されたエリア毎に、風上流量調整部8からワークエリア4に流れる熱処理用ガスの流量を調整可能に構成されている。また、風上流量調整部8は、本実施形態では、風下流量調整部6と同様に、上下方向Z1において複数(6つ)に分割されたエリア毎に、風上流量調整部8からワークエリア4に流れる熱処理用ガスの流量を調整可能に構成されている。よって、本実施形態では、風上流量調整部8においても、前後方向Y1の3つのエリア×上下方向Z1の6つのエリアの合計3×6=18エリア毎に、熱処理用ガスの流量を調整可能である。なお、風上流量調整部8において、熱処理用ガスの流量を調整可能なエリアの数は、3×6=18エリアに限定されず、2以上であればよい。
【0089】
上記の構成の下、本実施形態では、風上部7を通過する熱処理用ガスの流量が風上部7の全域において実質的に均等となるように構成されている。「実質的に均等」とは、風量の差が数%以内で均等であるとみなせることをいう。具体的には、風上流量調整部8は、風上部7において供給口19に相対的に近い近位部27における熱処理用ガスの流量と、供給口19に相対的に遠い遠位部28における熱処理用ガスの流量とを均等となるように設定している。
【0090】
風上流量調整部8は、風上部7の全域に亘って配置されており、風上チャンバ20内の空間とワークエリア4内の空間とを区切っている。風上流量調整部8は、前後方向Y1に真っ直ぐに延びている。
【0091】
風上流量調整部8は、前後一対の支柱41,42と、これらの支柱41,42に取り付けられたベース43と、ベース43に取り付けられた複数の可動部44と、を有している。
【0092】
前後一対の支柱41,42は、ベース43を前後方向Y1に両端支持するために設けられている。支柱41,42は、支柱31,32と左右対称に形成されている。前支柱41は、前側壁2bに固定されている。後支柱42は、隔壁15に固定されている。
【0093】
前支柱41および後支柱42には、それぞれ、貫通孔部45が形成されている。貫通孔部45は、ワークエリア4内の空間と風上チャンバ20内の空間とに開放されている。各貫通孔部45は、対応する貫通孔部35と左右対称な配置および形状となるように構成されている。本実施形態では、各貫通孔部45は、常時、熱処理用ガスを風上チャンバ20からワークエリア4に通過させる。これにより、全ての可動部44がベース43の後述する固定孔部43aを完全に塞いだときでも、熱処理用ガスを風上チャンバ20からワークエリア4へ通すことができる。また、前後方向Y1の両端部に貫通孔部45が設けられていることにより、風上部7の近位部27と遠位部28の双方において、最低限の熱処理用ガスを通過させることができ、開口部12と隔壁15との温度差をより小さくできる。
【0094】
ベース43は、支柱41,42と協働して風下部5を覆う板状部材である。ベース43は、ベース33と左右対称に配置されている。ベース43の前端部は、前支柱41に固定されている。ベース43の後端部は、後支柱42に固定されている。なお、ベース43は、支柱41,42に対して上下方向Z1の位置を調整可能に支柱41,42に取り付けられてもよい。
【0095】
本実施形態では、ベース43に関して、前述したように、ベース33と同様に、前後方向Y1の3つのエリア×上下方向Z1の6つのエリアの合計3×6=18エリア毎に、熱処理用ガスの流量を調整可能である。より具体的には、本実施形態では、ベース43においても、ベース33と同様に、前後方向Y1に沿って、近位領域48と、中間領域49と、遠位領域50と、が規定されている。また、本実施形態では、ベース43においても、ベース33と同様に、上下方向Z1に沿って、第1~第6上下領域51~56が規定されている。
【0096】
このように、前後方向Y1に3つの領域、および、上下方向Z1に6つの領域の、合計、3×6=18のユニットが設定されている。そして、これらのユニット毎に、風上チャンバ20からワークエリア4に向かう風量を設定することが可能である。
【0097】
本実施形態では、ベース43の各ユニットにおいて、縦2行×横4列の固定孔部43aが形成されている。なお、ベース43における固定孔部43aは、ベース33における固定孔部33aと左右対称であるので、詳細な説明を省略する。
【0098】
上記の構成を有するベース43のうちのワークエリア4側の側面に、ユニット毎に可動部44が設けられている。
【0099】
可動部44は、複数の固定孔部43aの少なくとも一部を覆うことが可能に配置され対応する固定孔部43aの開度を調整する開度調整部材である。可動部44は、前述したようにユニット毎に設けられていることにより、前後方向Y1に3箇所×上下方向Z1に6箇所の計18箇所に設けられている。可動部44は、可動部34と左右対称な形状に形成されている。具体的には、各可動部44は、矩形の平板状に形成されており、可動部44同士が上下方向Z1に等ピッチに配置されている。
【0100】
各可動部44には、複数の可動孔部44aが形成されている。可動部44における可動孔部44aの構成およびレイアウトは、可動部34における可動孔部34aの構成およびレイアウトと同様である。これにより、可動部44は、当該可動部44が設けられているユニットにおける8つの固定孔部43aの全てを塞ぐことが可能である。
【0101】
各可動部44は、ベース43に、前後方向Y1にスライド可能に支持されている。すなわち、可動部44は、当該可動部44が設けられているユニットにおける各固定孔部43aの開度を調整可能にベース43に支持されている。具体的には、各可動部44には、連結ピン46が固定されている。連結ピン46は、各可動部44に例えば2つ設けられており、上下方向Z1において可動孔部44aを避けた箇所に配置されている。各連結ピン46は、ベース43に形成された、前後方向Y1に細長い長孔部43bに通されており、ベース43のうち風上チャンバ20側の側面に設けられた抜け止め部材(図示せず)に固定されている。
【0102】
上記の構成により、各可動部44は、対応する固定孔部43aを全開にするとき、例えば遠位領域50において図で例示されているように、可動孔部44aの縁部と対応する固定孔部43aの縁部とが完全に重なるように、配置される。図では、一例として、遠位領域50および中間領域49における第1~第6上下領域51~56の全ての可動部44が対応する固定孔部43aを全開にした状態を示している。
【0103】
また、各可動部44は、対応する固定孔部43aを全閉にするとき、図示していないけれども、可動部44のうち可動孔部44aが形成されていない箇所が対応する固定孔部43aを完全に塞ぐように、配置される。
【0104】
また、各可動部44は、対応する固定孔部43aを一部だけ開くとき、例えば近位領域48において図で例示されているように、可動部44のうち可動孔部44aが形成されていない部分と対応する固定孔部43aの一部とが重なるように、配置される。図では、一例として、近位領域48における第1~第6上下領域51~56の全ての可動部44が所定開度となるように配置された状態を示しており、さらに、中間領域49および遠位領域50における第1~第6上下領域51~56の全ての固定孔部43aが全開となるように配置された状態を示している。上記所定開度は、例えば90数%の開度である。これにより、供給口19から近い近位領域48における固定孔部33aからの熱処理用ガスの流量が過大にならないようにしている。その結果、前後方向Y1の各部における固定孔部43aからの熱処理用ガスの流量が実質的に均等とされている。
【0105】
なお、本実施形態では、固定孔部43aの開度の設定、すなわち、可動部44の位置設定は、可動部34の位置設定と同様に、作業員によって手動で行われる。このため、可動部44は、筐体2内で最も広い空間であるワークエリア4内の空間に設置されている。これにより、作業員による可動部44の位置調整作業を行い易くできる。
【0106】
なお、風下流量調整部6の各固定孔部33aの開度、および、風上流量調整部8の各固定孔部43aの開度は、ワークエリア4内の温度分布がより均等となるように調整されていればよく、上述した例示の開度設定に限定されない。
【0107】
本実施形態では、熱処理用ガスとして過熱水蒸気が用いられる。この場合、熱処理用ガスとして窒素が用いられる場合と比べて、ワークエリア4内の雰囲気温度分布が均等になり難い。これは、過熱水蒸気の比熱が大きいため、ワークエリア4内で過熱水蒸気が均等に行き渡らないときのワークエリア4内の各部の温度差が大きくなるためである。そして、本願発明者は、鋭意研究の結果、ワークエリア4内のうちの扉3付近、および、風下部5付近において、特に、過熱水蒸気の温度が低下しやすい傾向にあることを発見した。なお、過熱水蒸気は、比熱が大きいので、一見すると、ワークエリア4内を均等な温度分布に加熱し易いと考えられる。しかしながら、実際には、上述したように、温度分布の偏りが生じるとの研究結果を本願発明者が得るに至った。そして、更なる鋭意研究の結果、上述したように、風下部5の遠位領域50付近における特に丸で囲った扉付近領域57(
図1参照)に過熱水蒸気が通過しやすいように、風下部5の近位領域48における過熱水蒸気の通過面積を、風下流量調整部6によって小さくするとの着想を得るに至った。
【0108】
以上説明したように、熱処理装置1によると、風下流量調整部6は、風下部5において、近位部27における熱処理用ガスの流量を、遠位部28における熱処理用ガスの流量よりも小さく設定する。これにより、風下部5の遠位部28の周囲において、熱処理用ガスをより多く流すことができる。また、風上部7は、吸込口17に近いことから、流量を絞られたとしても熱処理用ガスをスムーズに流すことができる。その結果、風下部5において、近位部27での熱処理用ガスの温度と遠位部28での熱処理用ガスの温度とを、より均等にできる。その結果、ワークエリア4内の極めて広い範囲に亘って、熱処理用ガスを満遍なく行き渡らせることができる。これにより、被処理物100に熱処理を行うワークエリア4の各部における温度分布をより均等にできる。
【0109】
また、熱処理装置1によると、風上部7を通過する熱処理用ガスの流量が風上部7の全域において実質的に均等となるように構成されている。より具体的には、本実施形態において、風上部7において、近位部27における熱処理用ガスの流量と、遠位部28における熱処理用ガスの流量とを均等にするように、風上流量調整部8が設けられている。この構成によると、ワークエリア4内の各部の雰囲気温度をより均等にできる。しかも、熱処理用ガスの流量を風上部7の全域において実質的に均等となるようにするという簡易な構成で、ワークエリア4内の各部の雰囲気温度をより均等にできる。このように、風上部7では、熱処理用ガスの流量配分を積極的に異ならせる構成となっていない。
【0110】
また、熱処理装置1において、熱処理用ガスは、過熱水蒸気を含んでいる。この構成によると、窒素等の熱処理用ガスの比熱と比べて高い比熱の過熱水蒸気、すなわち、ワークエリア4内において雰囲気温度にばらつきを生じやすい過熱水蒸気を、熱処理用ガスとして用いることができる。これにより、被処理物100をより効率的に処理できる。
【0111】
また、熱処理装置1によると、循環路9において、風下部5から風上部7へ向けてヒータ10、ファン11の順に配置されている。この構成によると、ヒータ10で加熱された熱処理用ガスを、ファン11によって撹拌できる。その結果、ワークエリア4へ送られる熱処理用ガスの温度をより均等にできる。
【0112】
また、熱処理装置1によると、風下流量調整部6において、近位部27における固定孔部33aの開度を、遠位部28における固定孔部33aの開度よりも小さく設定する簡易な構成で、風下部5における熱処理用ガスの流量を容易に調整できる。
【0113】
また、熱処理装置1によると、放熱防止部材13は、扉3に取り付けられてワークエリア4に配置されている。この構成によると、ワークエリア4のうちワークエリア4内の熱が放散されやすい箇所としての扉3に放熱防止部材が取り付けられる。これにより、ワークエリア4内の断熱性をより高くできる。その結果、ワークエリア4内の各部の雰囲気温度が均等な状態をより確実に維持できる。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施形態に限られない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。なお、以下では、上述の実施形態と異なる構成について主に説明し、同様の構成には図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0115】
(1)上述の実施形態では、循環路9が筐体2内に形成されている構成を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、第1変形例の一部を断面で示す模式的な平面図である
図9を参照して、循環路9Aが筐体2の外部に配置されていてもよい。この場合、
図1~
図8に示す実施形態における、筐体2内の隔壁15が省略されるとともに、風下流量調整部6および風上流量調整部8が、後側壁2cまで延ばされる。そして、吸込口17は、例えば下流側壁2eの前後方向中央部に形成される。この吸込口17は、筐体2の外部に設置された送り路18Aに接続される。
【0116】
送り路18Aは、例えば平面視でU字状に形成され吸込口17が形成された第1管路61と、この第1管路61に接続されヒータ10およびファン11を収容する収容室63と、例えば平面視でU字状に形成され収容室63に接続されているとともに供給口19が形成された第2管路62と、を有している。供給口19は、例えば上流側壁2dの前後方向中央部に形成される。
【0117】
この第1変形例であれば、筐体2と送り路18Aとを別々に設計し易く、熱処理装置1の設計の自由度をより高くできる。
【0118】
(2)上述の実施形態および第1変形例では、ワークエリア4の後方にヒータ10およびファン11が配置される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。例えば、第2変形例の一部を断面で示す模式的な正面図である
図10を参照して、循環路9Bが筐体2内の上部に配置されていてもよい。この場合、
図1~
図8に示す実施形態における、筐体2内の隔壁15が省略されるとともに、風下流量調整部6および風上流量調整部8が、後側壁2cまで延ばされる。そして、風下流量調整部6および風上流量調整部8と天壁2fとの間に隔壁15Bが形成される。吸込口17は、例えば風下チャンバ16の上端部に形成される。送り路18Bは、天壁2fと隔壁15Bとの間に形成される。供給口19は、例えば風上チャンバ20の上端部に形成される。
【0119】
この第2変形例であれば、前後方向Y1における熱処理装置1の全長をより短くできる。
【0120】
(3)上述の第2変形例では、循環路9Bが筐体2内に形成されている構成を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、第3変形例の一部を断面で示す模式的な正面図である
図11を参照して、循環路9Cが筐体2の外部において筐体2の上方に配置されていてもよい。この場合、第2変形例における、筐体2内の隔壁15Bが省略されるとともに、風下流量調整部6および風上流量調整部8が、天壁2fまで延ばされる。そして、吸込口17は、例えば下流側壁2eの上下方向中央部に形成される。この吸込口17は、筐体2の外部に設置された送り路18Cに接続される。
【0121】
送り路18Cは、例えば正面視でU字状に形成され吸込口17が形成された第1管路61と、この第1管路61に接続されヒータ10およびファン11を収容する収容室63と、例えば正面視でU字状に形成され収容室63に接続されているとともに供給口19が形成された第2管路62と、を有している。供給口19は、例えば上流側壁2dの上下方向中央部に形成される。
【0122】
この第3変形例であれば、筐体2と送り路18Cとを別々に設計し易く、熱処理装置1の設計の自由度をより高くできる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、熱処理装置として、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 熱処理装置
3 扉
4 ワークエリア
5 風下部
6 風下流量調整部
7 風上部
8 風上流量調整部
9,9A,9B,9C 循環路
10 ヒータ
11 ファン(気流発生部材)
13 放熱防止部材
17 吸込口
19 供給口
27 近位部
28 遠位部
33 ベース
33a 固定孔部(貫通孔部)
34 可動部
100 被処理物