(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】フェード装置
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20240814BHJP
H04S 7/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H04R3/00
H04S7/00
(21)【出願番号】P 2022541667
(86)(22)【出願日】2021-01-03
(86)【国際出願番号】 US2021012019
(87)【国際公開番号】W WO2021138649
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-11-21
(32)【優先日】2020-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522268395
【氏名又は名称】リッシャー,ヴォーン
【氏名又は名称原語表記】RISHER,Vaughan
【住所又は居所原語表記】1304 E.Fortification Street,Jackson,Mississippi,39202,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リッシャー,ヴォーン
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0053710(US,A1)
【文献】米国特許第05350882(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04S 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェード装置であって、
ミキサーおよびクロスフェーダがプロセッサを介して一緒に接続された、スライダコントロールを有するクロスフェーダと、
前記プロセッサに接続された回転コントロールと、
スライダ信号にレイテンシを適用するための第1方向の回転コントロール移動であって、レイテンシの適用により時間的に遅延したレイテント(遅延)スライダ信号が作成される、第1方向の回転コントロール移動と、
前記スライダ信号に加速度を適用するための第2方向の回転コントロール移動であって、加速度の適用により将来のスライダ移動の予測である加速されたスライダ信号が作成される、第2方向の回転コントロール移動と、
第1のアナログオーディオ入力、第2のアナログオーディオ入力、および、a)前記レイテント(遅延)スライダ信号またはb)前記加速されたスライダ信号のうちの1つを受信するための前記ミキサーと、
前記第1の
アナログオーディオ入力から導出されたオーディオ信号および前記第2の
アナログオーディオ入力から導出されたオーディオ信号を合成するためのミキサー出力と
を備え、
前記導出された信号の少なくとも1つの利得は、前記回転コントロールの作用によって遅延または加速される、ことを特徴とするフェード装置。
【請求項2】
フェード装置であって、
プロセッサを介して相互接続されたクロスフェーダおよびミキサーと、
実際のスライダ位置を示すスライダ信号を生成するためのクロスフェーダ・スライダコントロールと、
前記プロセッサに接続された回転コントロールと、
遅延されたスライダ位置信号を作成するための第1方向の回転コントロール移動と、
予測された将来のスライダ位置信号を作成するための第2方向の回転コントロール移動と、
第1のアナログオーディオ入力、第2のアナログオーディオ入力、および、a)前記遅延されたスライダ位置信号またはb)前記予測された将来のスライダ位置信号のうちの1つを受信するためのミキサーと、
前記第1の
アナログオーディオ入力から導出されたオーディオ信号および前記第2の
アナログオーディオ入力から導出されたオーディオ信号を合成するためのミキサー出力と
を備え、
前記導出された信号の少なくとも1つ
の利得は、前記遅延されたスライダ位置信号または前記予測された将来のスライダ位置信号によって制御される、ことを特徴とするフェード装置。
【請求項3】
プロセッサメインモーションバッファと、
実際のスライダ位置とそれらの間の時間のシーケンスを示す、メインモーションバッファコンテンツと、
将来のスライダ位置の前記予測に使用される時間に関する位置の3次微分と
をさらに備える、請求項2に記載のフェード装置。
【請求項4】
遅延されたスライダ位置バッファと、
時間に関する前記実際のスライダ位置の遅延された記録に基づく位置対時間情報を含む、前記遅延されたスライダ位置バッファと、
をさらに備える請求項3に記載のフェード装置。
【請求項5】
前記遅延されたスライダ位置バッファは、前記プロセッサ内に含まれる設定に従う利用可能な最大範囲の複数区分内で、MIDI出力パラメータの複数のセットを制御するために使用される、ことを特徴とする請求項4に記載のフェード装置。
【請求項6】
前記遅延されたスライダ位置バッファは、前記プロセッサ内に含まれる設定に従う利用可能な最大範囲の複数区画内で、デジタルオーディオプロセッサのパラメータの複数のセットを制御するために使用される、ことを特徴とする請求項4に記載のフェード装置。
【請求項7】
前記遅延されたスライダ位置バッファは、前記プロセッサ内に含まれる設定に従う制御電圧出力を生成するために使用される、ことを特徴とする請求項4に記載のフェード装置。
【請求項8】
前記遅延されたスライダ位置バッファは、前記導出された信号の少なくとも1つの前記
利得を制御するために使用される、ことを特徴とする請求項4に記載のフェード装置。
【請求項9】
将来のスライダ位置バッファと、
スライダ位置の予測されたバージョンに基づく位置対時間情報を含む前記将来のスライダ位置バッファと
をさらに備える請求項3に記載のフェード装置。
【請求項10】
前記将来のスライダ位置バッファは、前記プロセッサ内に含まれる設定に従う利用可能な最大範囲の複数区分内で、MIDI出力パラメータの複数のセットを制御するために使用される、ことを特徴とする請求項9に記載のフェード装置。
【請求項11】
前記将来のスライダ位置バッファは、前記プロセッサ内に含まれる設定に従う利用可能な最大範囲の複数区画内で、デジタルオーディオプロセッサのパラメータの複数のセットを制御するために使用される、ことを特徴とする請求項9に記載のフェード装置。
【請求項12】
前記将来のスライダ位置バッファは、前記プロセッサ内に含まれる設定に従う制御電圧出力を生成するために使用される、ことを特徴とする請求項9に記載のフェード装置。
【請求項13】
前記将来のスライダ位置バッファは、前記導出された信号の少なくとも1つの前記利得を制御するために使用される、ことを特徴とする請求項9に記載のフェード装置。
【請求項14】
第1のオーディオソースから第2のオーディオソースへの遷移を行うためのフェード装置であって、
クロスフェーダおよび第1ミキサーを相互接続するデジタルプロセッサと、
前記第1のオーディオソース及び前記第2のオーディオソースから導出された第1のミキサー入力と、
前記クロスフェーダから導出されたプロセッサ信号によって決定される、前記第1のオーディオソースおよび前記第2のオーディオソースの組み合わせである第1のミックスと、
前記第1のオーディオソースまたは前記第2のオーディオソースから導出されたキューオーディオ信号と、
将来のスライダ移動の予測である、加速されたクロスフェーダ信号による変調後のキューオーディオ信号である、変調されたキューオーディオ信号と、
前記第1のミックスおよび前記変調されたキューオーディオ信号の組み合わせである、第2のミキサー出力と
を備えるフェード装置。
【請求項15】
第1のオーディオソースから第2のオーディオソースへの遷移を行うためのフェード装置であって、
クロスフェーダおよび第1のミキサーを相互接続するデジタルプロセッサと、
第1の電圧制御された増幅器および第2の電圧制御された増幅器内で処理され、少なくとも1つの増幅器が加速度信号によって制御される、ところの第1のオーディオソース出力および第2のオーディオソース出力と、
クロスフェーダ・スライダコントロールの将来の位置の予測に基づいた前記加速度信号と、
前記第1のオーディオソース、前記第2のオーディオソース、または前記第1のミキサーの出力のうちの1つからのキューオーディオと、
クロスフェーダ・スライダコントロール
の位置のレイテントまたは加速されたバージョンを介して変調され
たキューオーディオソースと、
前記変調されたキューオーディオと、前記第1の電圧制御された増幅器および前記第2の電圧制御された増幅器の出力から導出された合成信号の第1のミキサー出力とを合成する第2のミキサーからのフェード装置出力と
を備えるフェード装置。
【請求項16】
変調器によって前記キューオーディオソースが変調される、ところの変調器と、
時間対プレイヘッド位置の指示を提供す
る変調ソースと、
前記キューオーディオのどの部分が前記変調されたキューオーディオに含まれるかを示す、前記時間対プレイヘッド
位置と、
前記含まれる部分が配置される順序を示す、前記時間対プレイヘッ
ド位置と
をさらに備える請求項15に記載のフェード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、“FADE DEVICE”を発明の名称とする、2020年1月4日付けで出願された米国特許出願第17/140,102号および米国仮特許出願第62/957,188号に基づく、優先権主張を伴う。
【0002】
米国特許第8,473,084号、第7,684,573号、および第6,889,193号は、その全体およびすべての目的において、ここに参考文献として組み込むものである。
【0003】
本発明は、電気信号及び/又は音声信号を修正するための製造物品に関する。特に、信号は、フェード装置によって混合され、修正された合成信号を提供する。
【背景技術】
【0004】
音楽信号を処理するために使用されるいくつかのフェード装置が知られている。例えば、これらは、信号を導入するため、または信号を減衰させるために使用されるフェードイン、フェードアウト装置を含む。フェード装置はまた、2つの信号を同時に処理してもよい。例えば、第2の信号を導入すると同時に、第1の信号を減衰させてよい。これらのデバイスは、典型的に「クロスフェーダ」として知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、フェード装置は、デジタルプロセッサのようなプロセッサを介してミキサーに結合される。例示的な実施形態では、クロスフェーダは、マイクロプロセッサを介してミキサーに結合される。そして、いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサの出力は、少なくとも2つの信号の混合を修正し、混合された信号から導出された信号が通過するエフェクトプロセッサの動作を修正してよい。
【0006】
ひとつの態様において、動作制御されたフェード装置は、少なくとも2つのオーディオ信号入力およびオーディオ信号出力を有するオーディオブロックと、2つのオーディオ信号入力から導出される信号を処理するために電圧制御されるオーディオブロック内のミキサーと、スライダ制御および当該クロスフェーダを制御するためのスライダ動作を有するクロスフェーダと、プロセッサを介して一緒に接続されたミキサーおよびクロスフェーダと、対応する360度回転ポテンショメータからの1つ以上の入力を含むプロセッサ入力と、レイテンシを有するオーディオ信号処理を選択するための第1方向へのポテンショメータ回転、および加速度を有するオーディオ信号処理を選択するための第2方向へのポテンショメータ回転と、複数のスライダ位置を示すクロスフェーダ信号を受信するためのプロセッサと、第1の信号減衰曲線および第2の信号導入曲線を構築するためのプロセッサと、ミキサーを制御するのに使用される曲線から導出された情報と、ミキサー出力から導出されたオーディオ信号出力とを有する。
【0007】
本発明は、添付の図面を参照して説明される。これらの図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本発明を説明するとともに、明細書と一緒に、当業者が本発明を製造し、使用することができるように、その原理を説明するためにさらに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、オーディオブロックのミキサーを示す図である。
【
図1B】
図1Bは、オーディオブロックのミキサーに接続されるクロスフェーダを示す。
【
図1C】
図1Cは、クロスフェーダとオーディオブロックの間に介在するプロセッサを含む本発明のフェード装置を示す。
【
図1D】
図1Dは、フェード装置のプロセッサの入出力を示す。
【
図2A】
図2Aは、フェード装置のレイテンシ機能およびアクセラレータ機能を示す。
【
図2B】
図2Bは、フェード装置のレイテンシ機能およびアクセラレータ機能を示す。
【
図2C】
図2Cは、フェード装置のレイテンシ機能およびアクセラレータ機能を示す。
【
図2D】
図2Dは、フェード装置のレイテンシ機能およびアクセラレータ機能を示す。
【
図2E】
図2Eは、フェード装置のレイテンシ機能およびアクセラレータ機能を示す。
【
図3A】
図3Aは、加速動作が選択された場合のフェード装置の動作を示す。
【
図3B】
図3Bは、加速動作が選択された場合のフェード装置の動作を示す。
【
図4A】
図4Aは、レイテンシ動作が選択された場合のフェード装置の動作を示す。
【
図4B】
図4Bは、レイテンシ動作が選択された場合のフェード装置の動作を示す。
【
図5A】
図5Aは、フェード装置に関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。
【
図5B】
図5Bは、フェード装置に関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。
【
図5C】
図5Cは、フェード装置に関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。
【
図5D】
図5Dは、フェード装置に関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。
【
図5E】
図5Eは、フェード装置に関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。
【
図5F】
図5Fは、フェード装置に関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。
【
図5G】
図5Gは、フェード装置に関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。
【
図5H】
図5Hは、フェード装置に関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。
【
図5I】
図5Iは、フェード装置に関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。
【
図6A】
図6Aは、フェード装置の構成の一実施形態をブロック図の形式600Aで示す。
【
図7B】
図7Bは、加速度/レイテンシノブの位置設定の一実施形態を示す。
【
図7C】
図7Cは、動作イージングの設定の一実施形態を示す。
【
図8】
図8は、3次ユーザ制御の一実施形態を示す。
【
図9A】
図9Aは、含まれるプロセッサまたはマイクロコントローラの一実施形態を示す。
【
図9B】
図9Bは、クロスフェーダ位置データを記録するための実施形態を示す。
【
図9C】
図9Cは、量子化の有無により、レイテンシまたは加速度を適用するための実施形態を示す。
【
図9F】
図9Fは、クロスフェーダのモーションキャプチャおよびファイア動作の一例を示す。
【
図9G】
図9Gは、オーディオサンプルキャプチャとファイア動作の一例を示す。
【
図12】
図12は、例示的なオーディオエフェクトプロセッサ制御を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下のページで提供される開示は、本発明のいくつかの実施形態の例について説明するものである。デザイン、図面、及び説明は、それらが開示する実施形態の非限定的な例である。例えば、開示された装置及び/又は方法の他の実施形態は、本明細書に記載された特徴を含んでもよいし、含まなくてもよい。さらに、開示された利点及び利益は、本発明の特定の実施形態にのみ適用されてよく、開示された発明を限定するために使用されるべきではない。
【0010】
記載された発明の部品、構成要素及び機能が、電力又は信号を交換する範囲において、関連する相互接続及び結合は、一方又は他方に限定されると明示的に記載されない限り、直接的又は間接的であってもよい。とりわけ、接続又は結合される部品は、間接的に接続されてもよく、当業者に知られている装置を含む介在装置を有していてもよい。
【0011】
このアプリケーションでは、信号レベルは、例えば、ポテンショメータ、光学装置、エンコーダ、またはタッチ装置、例えば静電容量またはインダクタンスを使用するタッチセンシティブ装置によって変化させることができる。これらのデバイスは、回転運動、直線運動、曲線運動、またはタッチによって適宜される。信号レベルを変化させる場合、これらのデバイスのいずれかを適宜使用することができる。例えば、本明細書でポテンショメータのような信号レベルを変化させたり位置を示したりする特定のデバイスについて言及している場合、他の実施形態は、上記のもの(例えば、エンコーダ)のいずれかを含む。
【0012】
図1Aは、本発明の一実施形態100Aを示す。ここでは、第1の入力102および第2の入力103などの入力信号がミキサー104を通過し、出力107、108を生成する。様々な実施形態において、セレクタ105は、ミキサーから導出された信号を出力107でエフェクトプロセッサ106に提供し、または信号108を出力として提供する。ここで、ミキサーは、電圧制御ミキサーである。他の実施形態では、電圧制御、周波数制御、レベル制御、位相制御、または別の同様のミキサーを適宜使用してもよい。
【0013】
図1Bは、本発明の一実施形態100Bを示す。ここで、クロスフェーダブロックCのクロスフェーダ装置110は、オーディオ信号処理ブロックAにおける電圧制御ミキサーなどのミキサー104に出力を提供し、オーディオ信号処理ブロックは、ミキサー104を通過して出力107、108を生成する第1の入力102および第2の入力103などの入力信号を含んでいる。様々な実施形態において、セレクタ105は、ミキサーから導出された信号を出力107でエフェクトプロセッサ106に提供し、または信号108を出力として提供する。様々な実施形態において、クロスフェーダは、例えばスライドフェーダ制御のような、位置または線形位置センサを内蔵している。
【0014】
クロスフェーダ装置は、2つ以上の信号のレベルを選択することができる出力を提供する任意の公知のクロスフェーダであってよい。例えば、クロスフェーダはその位置が、位置とレベルとを関連付ける第1の曲線から第1の信号レベルを決定し、位置とレベルとを関連付ける第2の曲線から第2の信号レベルを決定するセレクタ又は連続セレクタを利用してもよい。クロスフェーダは、物理的なスライダまたは回転装置によって作動させることができる。クロスフェーダは、スライダや回転装置などの物理的な装置を模したタッチセンシティブ装置によって作動させることができる。いくつかの実施形態では、クロスフェーダ出力は、アクチュエータおよび/またはタッチ位置に基づいて、第1の信号レベルおよび第2の信号レベルを決定する。いくつかの実施形態では、クロスフェーダのアクチュエータおよび/またはタッチの位置が、クロスフェーダの出力である。
【0015】
図1Cは、本発明の別の実施形態100Cを示す。ここでは、クロスフェーダブロックAとオーディオ信号処理ブロックCとの間にプロセッサまたはマイクロプロセッサμP(以下、プロセッサ)ブロックBが介在し、クロスフェーダ110はスライダ113のようなアクチュエータを有する。クロスフェーダは、クロスフェーダ出力111を介してマイクロプロセッサ120に接続され、マイクロプロセッサは、マイクロプロセッサ出力121を介してミキサー104に接続される。マイクロプロセッサは、RCフィルタ(参考文献として組み込む(https://www.allaboutcircuits.com/technical-articles/low-pass-filter-a-pwm-signal-into-an-analog-voltage/)を用いて「アナログ」にされるPWM変調デジタル信号のセットを作成することができることに留意されたい。これらのアナログ電圧信号は、次に、ステレオオーディオ入力間のミックスを作成するミキサー104内の電圧制御増幅器139を制御する。
【0016】
他のプロセッサ入力124は、ユーザが選択可能な設定及び/又は他の設定124のための入力を含んでもよい。他のプロセッサ出力125は、状態及びデータを示すための出力を含んでもよい。いくつかの実施形態では、プロセッサは、エフェクトプロセッサ106への出力122を含んでもよい。
【0017】
音声信号処理ブロックは、ミキサー104を通過して出力107、108を生成する第1入力102および第2入力103などの入力信号を含む。様々な実施形態において、セレクタ105は、ミキサーから導出された信号を出力107でエフェクトプロセッサ106に提供し、または信号108を出力として提供する。
【0018】
図1Dは、プロセッサとその接続部100Dの一実施形態を示す。主なプロセッサの接続は、クロスフェーダ111からの入力と、ミキサーへの出力134とを含んでもよい。いくつかの実施形態は、プロセッサとミキサーとの間に、PWMから定電圧変換器132~134を含んでもよい。いくつかの実施形態は、エフェクトプロセッサ106への出力136を含んでもよい。
【0019】
ポット1~3は、ノブを押し下げると各ポットもボタンとして動作可能なエンドレスポテンショメータであってもよい。あるいは、いくつかの実施形態は、0~100%の間でストップまたは複数のストップを有する、回転可能なポテンショメータなどの4つのポテンショメータまたはボタンポテンショメータのセットに加え、入力および出力ボリュームノブを含んでもよい。
【0020】
他のプロセッサ入力、例えば設定は、モード入力または設定コンフィギュレータ(すなわち、設定構成)142、1つまたは複数のポテンショメータ(3つが示されている)144、および様々なボタン150を含んでもよい。ボタンは、複数のポテンショメータボタン(3つ図示)、モード入力またはモードエンコーダボタン、および編集ボタン、シフトボタン、拡張ボタン、キャプチャボタン、ファイアボタン、ホールドボタン、リセットボタン、およびスターボタンを含んでもよい。
【0021】
ポテンショメータ144の1つ以上は、レベル制御を提供または示す任意の公知のポテンショメータであってよい。例えば、ポテンショメータは、その位置が、位置とレベルとを関連付ける曲線から信号レベルを決定する、360度ポテンショメータなどのセレクタを利用してもよい。ポテンショメータは、デバイスの物理的な動きによって作動させることができる。ポテンショメータは、回転装置などの物理的な装置をエミュレートしたタッチセンサー装置によって作動させることができる。
【0022】
他のプロセッサ出力、例えばステータス及びデータ出力は、ネオピクセルリング(3つ図示)180、OLEDスクリーン182、CV(制御電圧)184、第1MIDI出力186、及び第2MIDI出力188用の出力を含んでよい。なお、CV出力184は、第1CV出力および第2CV出力に置き換わってもよい。
【0023】
クロスフェーダ111からプロセッサ120を経由してミキサー104に渡される信号は、プロセッサで修正される。
【0024】
上記の図面に開示されたフェーダ装置のアーキテクチャにより、
図1Dに示されるようなプロセッサ130の入力(「プロセッサ入力」)を含む様々な入力に応じたオーディオ入力信号102、103の操作が可能になる。例えば、これらの操作は、レイテンシ、加速度、及び入力信号に対する量子化のうちの1つ以上を適用してもよい。例えば、オーディオ入力信号のゲインを制御するために、レイテンシ及び加速度が適用されてもよい。
図2A~E、3A~B、4A~Bを含む以下の図は、本発明のいくつかの実施形態の加速度及びレイテンシの特徴を説明するものである。
【0025】
図2Aは、レイテンシ及び加速度特徴200の一実施形態の概観を提供する。潜伏応答は、間にNull点を有する可変加速度の左側にある変数として示されている。潜伏応答は、遅延する再生、または遅延するクロスフェーダアクチュエータに付与される動作の模倣として理解することができる。あるいは、加速度応答は、将来の再生予測、またはクロスフェーダアクチュエータに付与される将来の動作の模倣として理解することができる。
【0026】
例えば、ポテンショメータまたはセレクタ144を左または反時計回りに回すと、レイテンシ再生を示す設定を示すか、または提供してよい。ポテンショメータまたはセレクタがレイテンシに対して設定された後、クロスフェーダ110は、そのアクチュエータまたはスライダの動きを遅延として解釈することになる。これらの動作は、実際にクロスフェーダアクチュエータ113に付与される動作の遅延を模倣することになる。
【0027】
ポテンショメータまたはセレクタ144を右または時計回りに回すことは、「加速した」再生を示す設定を示すか、または提供してよい。ポテンショメータまたはセレクタが再生を加速するように設定された後、フェード装置は、このクロスフェーダアクチュエータ113の運動が実際に起こったかのように、将来の(未知の)運動の予測を模倣することができる。
【0028】
実施形態では、以前のクロスフェーダスライダ113動作が、将来のクロスフェーダスライダの動作を予測または示すために使用される場合がある。たとえば、この将来の動きは、スライダ位置の時間に対する2次導関数(加速度)に基づいてよい。例えば、この将来の動きは、スライダ位置の時間に対する3次導関数(ジャーク)に基づいてもよい。この将来の動きは、ロータリエンコーダまたはポテンショメータ144などのレベルデバイスまたは回転デバイスで調整されてもよい。
【0029】
実施形態では、レイテンシアルゴリズムは、実際のクロスフェーダスライダの動きに対して遅延したクロスフェーダスライダの動作表示を提供する。レイテンシの量は、フェード装置ポテンショメータ144で調整することができる。
【0030】
図2Bは、クロスフェーダスライダコントロール200Bから、またはそこから導出される信号に適用されるレイテンシと加速度の例を示している。上述したように、レイテンシおよび加速度は、例えば、マイクロプロセッサに接続されたポテンショメータを、レイテンシについてはゼロの左に、加速度についてはゼロの右に回転させることによって、スライダ動作に適用されてよい。
【0031】
特に、3つの曲線は、時間の関数として、a)レイテンシまたは加速度が適用されていないとき、b)レイテンシが適用されているとき、c)加速度が適用されているときの示されたスライダ位置を記述している。示されたスライダの位置は、遅延または加速が適用されたときの実際のスライダの位置ではないことに注意すべきである。しかし、マイクロプロセッサがミキサー104に送るのは、示されたスライダ位置またはそれから導出される信号である。
【0032】
中央の曲線は、遅延(潜伏)しておらず、加速していない信号に対応する。ここでは、実際のスライダ位置と示されたスライダ位置が一致する。
【0033】
上の曲線は、加速度が加えられた後の同じ信号に対応する。このように、実際のスライダ位置が100%になる前に、示されたスライダ位置が100%となる。
【0034】
下側の曲線は、レイテンシが適用された後の同じ信号に対応する。このため、実際のスライダ位置が100%になったとき、示されたスライダ位置は100%より小さくなる。
【0035】
図の下の表は、スライダに付与された動きを、a)待ち時間や加速度がない場合、b)待ち時間がある場合、c)加速度がある場合、について示したものである。例えば、19%移動しながら30msかかるスライダの動きは、待ち時間や加速度がなく、19%の動きをすることを示す。例えば、30msのスライダ動作は、選択された待ち時間で9%の動作をすることを示す。例えば、30msのスライダ動作は、選択された加速度で30%の動作を示す。
【0036】
図2Cは、クロスフェーダスライダコントロール200Cからの信号、またはそこから導出される信号に適用されるレイテンシおよび加速度の別の例を示す。ここでは、示されたスライダの動きは、量子化されたバージョンとしてここで参照される1/8および1/4調子のような音楽時間によって変化することが示される。前と同様に、レイテンシまたは加速度のない中央の曲線では、示されたスライダ位置と実際のスライダ位置とが一致する。前と同様に、実際のスライダ位置が100%になる前に、示されたスライダ位置は100%になる。前と同様に、実際のスライダ位置が100%に達すると、示されたスライダ位置は100%より小さくなる。
【0037】
図の下の表は、この量子化されたバージョンで、スライダに付与された運動が、a)遅延や加速度なし、b)遅延運動、c)加速運動でどのように示されるかを示したものである。例えば、1/8調子で19%移動するスライダの動きは、遅延や加速度がなく19%移動することを示す。例えば、1/8調子のスライダ動作は、選択された待ち時間で7%の動作をすることを示す。例えば、1/8調子のスライダ動作は、選択された加速度で34%の動作を示す。
【0038】
図2D~Eは、いくつかの実施形態/アプリケーションが、ディスクジョッキーが1つのターンテーブル音声ソースから別のターンテーブル音声ソースに移行する(例えば、ターンテーブリズムを実践するターンテーブリスト)200D~Eのように、1つの音声ソースから別の音声ソースへの移行をエミュレーションする処理済みの音声信号の順次混合を示している。
【0039】
図2Dでは、クロスフェーダスライダコントロール113を備えたクロスフェーダ110が、スライダ信号240をマイクロプロセッサ120に送る。マイクロプロセッサ内のマスターバッファ250は、実際のスライダ動作対時間情報を保持してよい。マイクロプロセッサの出力は、変調器258への出力241と、第1の電圧制御ミキサー104aに関連する電圧制御増幅器281(利得1)281、282(利得2)への出力242a、242bを含む。様々な実施形態において、利得調整された入力から得られる信号の混合は、混合信号を提供する。この混合信号またはその複製は、混合1出力224に現れてよい。
【0040】
マイクロプロセッサ出力241は、レイテンシまたは加速度が適用された信号240であってよい。マイクロプロセッサ出力242a、242bは、同じかもしくは異なるレイテンシまたは加速度が適用された信号240であってよい。
【0041】
マイクロプロセッサ出力信号241、242a、bの信号ソースは、いくつかのバッファのいずれか、例えば3つのバッファ251、252、253を経由することができる。これらのバッファのいずれかは、a)実際のスライダの動き対時間情報の潜伏バージョン、b)実際のスライダの動作対時間情報の加速バージョン、またはc)実際のスライダの動作対時間情報を含んでよい。これらのバッファは、図示のように、マイクロプロセッサに配置してよい。潜伏信号バッファは、遅延記録によって遅延が達成されるかもしれない位置対時間情報を含むことに留意されたい。加速信号バッファは、位置対時間の情報を含み、加速は、記録された将来の動きのシミュレート済みバージョンによって達成されてよいことに留意されたい。
【0042】
図示のように、第1のミキサー104aは、それぞれのオーディオソース102、103からオーディオ入力243、245を受信する。このミキサーは、オーディオ信号244を第2のミキサーまたは電圧制御ミキサー104bに出力する。ミキサー104bは、マイクロプロセッサ信号242cによって制御されてもよい。マイクロプロセッサ信号242cは、マイクロプロセッサ入力パラメータまたはクロスフェーダスライダ113の位置(複数可)のいずれかに由来してもよい。
【0043】
オーディオソース1、オーディオソース2、またはミキサー1からのキューオーディオは、関連信号246、247、248のそれぞれの1つを介してキューオーディオブロック256に受け取られる。変調器258は、マイクロプロセッサ出力241の1つとキューオーディオブロック出力257を受信する。
【0044】
変調に関して、様々な実施形態において、変調されたキューオーディオ出力259を生成するべく、キューオーディオ246、247、248を変調するマイクロプロセッサ信号241を生成するのに、レイテンシまたは加速度が適用されたクロスフェーダスライダ113モーション信号が使用されてもよい。
【0045】
第2ミキサー104bは、第1ミキサー104aの音声出力244と変調器258の音声出力259とを混合して、シーケンシャルミキサー出力260を生成する。信号248は、第1のミキサー出力であり、信号244のコピーであってもよい。
【0046】
図2Dのシーケンシャルミキサーは、第2ミキサー104bの出力260でオーディオソース102、103間のリズミカルなカットを生成するように動作させることができる。例えば、第1ミキサー104aのオーディオ信号243、245への加速度又はレイテンシの適用は、第1ミキサー104aの出力244においてリズミカルなカットを生成することができる。そして、キューオーディオソース246、247、248は、変調器258の出力259でスクラッチ音(キューオーディオの変調)を生じさせることができる。第2ミキサー104bは、出力244と259を組み合わせて、遷移したオーディオソースを導入するスクラッチ音と組み合わせたリズミックカットを生成する。
【0047】
図2Eは、変調200Eの一例を示す。信号は、a)位置対時間270、b)プレイヘッド位置対時間272として解釈される位置、c)変調されるべきオーディオ信号274、およびd)変調後のオーディオ信号276についてトレースされる。
【0048】
位置対時間のトレース270は、レイテンシまたは加速度が適用されていてもいなくても、クロスフェーダスライダ113またはバッファの位置と時間を関連付ける。いくつかの実施形態では、位置と時間との関係は、上記のバッファ250、251、253、254のうちの1つからであるか、またはそれから導出されたものである。
【0049】
プレイヘッド位置272として解釈される時間対位置のトレースは、位置対時間270のトレースからであるか、またはそこから導出される。
【0050】
変調される音声のトレース274は、キュー音声信号ブロック256の出力257のような音声信号である。いくつかの実施形態では、この信号は、振幅(縦軸)対時間(横軸)である。
【0051】
変調されたオーディオ276のトレースは、プレイヘッド位置信号272として解釈される時間対バッファ位置によって変調された後のオーディオ信号274を示す。いくつかの実施形態では、この信号は、振幅(縦軸)対時間(横軸)である。
【0052】
プレイヘッド移動272から生成される変調されたオーディオ信号276は、以下のように記載されてもよい。
【0053】
プレイヘッドはBからEへ移動する。見ての通り、プレイヘッド位置272信号は、変調されたオーディオ信号276に示されるように、オーディオ信号274をBからEへ再生するプレイヘッドをBからEへ案内する。
【0054】
プレイヘッドはEで遅延する。見ての通り、プレイヘッド位置信号272は時間t1の間、垂直トレースとなり、EからEへの変調音声276がない期間が生じる。
【0055】
プレイヘッドはEからCへ移動する。見ての通り、プレイヘッド位置272信号は、変調されたオーディオ信号276に示されるように、オーディオ信号274をEからCへ再生するプレイヘッドをEからCへ案内する。
【0056】
プレイヘッドはCからDへ移動する。見ての通り、プレイヘッド位置272信号は、変調されたオーディオ信号276に示されるように、オーディオ信号274をCからDへ再生するプレイヘッドをCからDへ案内する。
【0057】
プレイヘッドはDからAへ移動する。見ての通り、プレイヘッド位置272信号は、変調されたオーディオ信号276に示すように、オーディオ信号274をDからAへ再生するプレイヘッドをDからAへ案内する。
【0058】
プレイヘッドはAで遅延する。見ての通り、プレイヘッド位置信号272は時間t2の間、垂直トレースであり、結果としてAからAへの変調音声276がない期間となる。
【0059】
プレイヘッドはAからEに移動する。見ての通り、プレイヘッド位置信号272は、変調されたオーディオ信号276に示されるように、オーディオ信号274をAからEに再生するプレイヘッドをAからEに案内する。
【0060】
プレイヘッドはEで遅延する。見ての通り、プレイヘッド位置信号272は時間t3の間、垂直トレースとなり、EからEへの変調音声276がない期間を生じさせる。
【0061】
図3A~Bは、加速度300AからBの一例を実施する1つ以上の複数のステップを示すフローチャートである。
【0062】
図3Aでは、
図1Cのフェード装置と同様のフェード装置が操作のために準備されている。この例では、クロスフェーダアクチュエータ113が動作310する前に、ポテンショメータ144が動作する。
【0063】
選択されたポテンショメータ144は、加速度312を示す時計回りに回転され、加速度設定314を提供する。この時点で、信号は、量子化316されてもよい。
【0064】
ポテンショメータ144が設定されると、クロスフェーダアクチュエータは、移動318されてよい。クロスフェーダスライダの動作および/または位置の指示は、プロセッサ320に提供される。位置の指示から、プロセッサは、第1の信号減衰曲線値を決定してもよく、第2の信号導入曲線320、322を決定してもよい。
【0065】
ステップ326において、
図1Dの1つまたは複数のプロセッサ入力を含み、曲線322、234の値または関数を含み得る情報に基づいて、ミキサー制御121を提供する信号が導出される。ステップ326において、クロスフェーダスライダ位置または上記を含んでもよい情報に基づいて、特殊効果制御122を提供する信号が導出されてよい。
【0066】
ミキサー104および任意にエフェクトプロセッサ106は、プロセッサからの信号121、122に応答する。そして、ステップ328に示すように、オーディオ信号処理ブロックCは、修正されたオーディオ信号107、108を出力する。
【0067】
図3Bは、ポテンショメータ144が加速度、例えば
図3Aの加速度に設定されているときに、クロスフェーダアクチュエータ113の動作で発生し得る追加のプロセッサ120応答を示している。
【0068】
ステップ352において、クロスフェーダアクチュエータ113は移動するか、または移動され、ステップ354において、プロセッサはクロスフェーダの移動の指示を受信する。たとえば、クロスフェーダは、位置p1、p2、p3、p4・・・を通って移動することができる。様々な実施形態において、プロセッサは、これらの位置、例えば、t1、t2,t3.t4・・・にタイミングおよび/または時間差を関連付ける。
【0069】
クロスフェーダアクチュエータ113の位置と時刻は、時間に関する変化を推定するために使用される。例えば、速度、加速度、ジャーク(第1、第2、第3時間微分)356などの時間に関する位置の微分を推定するために、差分表と類似の計算、または同様の結果を有する計算が使用されてよい。
【0070】
ステップ358では、ジャークが計算された後、それは、ポテンショメータ144の設定にしたがって調整される。これに続いて、ミキサー104に提供される、少なくとも調整されたジャーク値の関数であるミキサー制御出力121がなされる。
【0071】
任意で、エフェクトプロセッサ106は、プロセッサ120から制御信号を受信する。このエフェクトプロセッサ制御信号122は、クロスフェーダアクチュエータ位置の関数であってよい。
【0072】
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)出力186、188は、エフェクトプロセッサ入力122の関数、またはエフェクトプロセッサ入力に類似した信号であってもよい。また、CV(制御電圧)184は、ミキサー入力121の関数、またはミキサー入力信号と同様の信号であってもよい。
【0073】
図4A~Bは、レイテンシ400A~Bの例示的な実装を示すフローチャートである。
【0074】
図4Aでは、
図1Cのフェード装置と同様のフェード装置が、操作のために準備されている。この例では、ポテンショメータ144は、クロスフェーダアクチュエータ113が操作410される前に操作される。
【0075】
選択されたポテンショメータ144は、レイテンシ412を示す反時計回りに回転され、レイテンシ設定414を提供する。この時点で、信号は、量子化416されてもよい。
【0076】
ポテンショメータ144が設定されると、クロスフェーダアクチュエータは418を移動されてよい。クロスフェーダスライダの動作および/または位置の指示は、プロセッサ420に提供される。位置の指示から、プロセッサは、第1の信号減衰曲線の値を決定してもよく、第2の信号導入曲線422、424を決定してもよい。
【0077】
ステップ426では、
図1Dの1つまたは複数のプロセッサ入力を含み、曲線422、424の値または関数を含み得る情報に基づいて、ミキサー制御121を提供する信号が導出される。ステップ426において、クロスフェーダスライダ位置または上記を含んでもよい情報に基づいて、特殊効果制御122を提供する信号が導出される。
【0078】
ミキサー104および任意にエフェクトプロセッサ106は、プロセッサからの信号121、122に応答する。そして、ステップ428に示すように、オーディオ信号処理ブロックCは、修正されたオーディオ信号107、108を出力する。
【0079】
図4Bは、ポテンショメータ144がレイテンシに設定されているときに、クロスフェーダアクチュエータ113の移動で発生し得る追加プロセッサ120の応答方法を示す図である。
【0080】
ステップ452において、クロスフェーダアクチュエータ113は移動するか、または移動され、ステップ454において、プロセッサはクロスフェーダの移動の指示を受信する。たとえば、クロスフェーダは、位置p1、p2、p3、p4・・・を通って移動してよい。様々な実施形態において、プロセッサは、これらの位置、例えば、t1、t2、t3、t4・・・にタイミングおよび/または時間差を関連付ける。
【0081】
ステップ456において、マイクロプロセッサ120は、クロスフェーダアクチュエータ113の位置に関連する時間差を計算する。遅延は、この時間差の関数である。注目すべきは、クロスフェーダアクチュエータの時間差は、例えば(tn+1-tn)など、プロセッサに知られている位置に対応する任意の2つの時間の差であってよい。
【0082】
ステップ458において、遅延の大きさが調整される。この調整は、ポテンショメータ144の設定の関数であり、
図1Dのプロセッサ入力の関数であってよい。
【0083】
ステップ460では、プロセッサミキサー制御出力121がミキサー104に送られる。この出力は、調整された遅延から導出される。任意選択で、ステップ462において、プロセッサ122のエフェクトプロセッサ制御出力は、クロスフェーダアクチュエータ位置113から導出され、エフェクトプロセッサ106に送られる。
【0084】
MIDI(Musical Instrument Digital Interface)出力186、188は、エフェクトプロセッサ入力122の関数、またはエフェクトプロセッサ入力に類似する信号であってもよい。また、CV(制御電圧)184の出力は、ミキサー入力121の関数、またはミキサー入力に類似する信号であってもよい。
【0085】
図5Aから12は、フェード装置500Aから1200の様々な実施形態の様々な構成、制御、動作、および機能を示すブロック図およびフローチャートを含む図である。各図は、自明であることを意図しており、見ての通り、各図は、本願の他の図を参してよい。
【0086】
図5A~Fは、フェード装置500A~Hに関連するバッファ、制御、および機能の実施形態を示す。これらの図は、後に続く図の様々なものによって参照されるよう、参照のためのものである。
【0087】
図5G~Hは、スクラッチの方法を示す。例えば、ターンテーブリストがレコードプラッタやCDJ(コンパクトディスクジョッキー)のコントローラプラッタを片手で動かしながら、もう片方の手でクロスフェーダを操作して両手で実現していることを、このフェード装置では片手だけで実現することが可能である。これが「ワンハンドスクラッチ」である。
【0088】
フェード装置でワンハンドスクラッチを作成する手順は、次のように表すことができる。ステップ1:スクラッチバッファーの再生オプション2を開始する。
ステップ2:(スクラッチ音を作成するために、以下のいずれかを選択する)
ゆっくりとしたスクラッチ音を作成するべく、フェーダをゆっくり動かす。
スクラッチ音のタイミングを合わせるよう、ゆっくりとしたスクラッチ音を作り、選択した影響を受けるモーションバッファにレイテンシを適用するべく、フェーダをゆっくり動かす。
速いスクラッチ音を作成するべく、フェーダをゆっくり動かし、かつ、加速を適用する。
速いスクラッチ音を作成するべく、フェーダを速く動かす。
スクラッチ音のタイミングを合わせるよう、速いスクラッチ音を作り、かつ、選択した影響を受けるモーションバッファにレイテンシを適用するべく、フェーダを速く動かす。
ステップ3:(リズミカルなカットを作るために、以下から1つを選ぶ)
マッチングリズミカルなカットを作るべく、影響を受けるモーションバッファA(クロスフェーダに割り当てられているバッファ)に加速度を適用する。
マッチングリズミカルなカットを作るべく、影響を受けるモーションバッファA(クロスフェーダに割り当てられているバッファ)にレイテンシを適用する。
【0089】
ステップ2のオプションの1つが選択され、ステップ3から対応するオプションが選択されると、ステップ1を実行し、かつ、クロスフェーダをスライドさせることだけで、ワンハンドスクラッチを実行することができる。
【0090】
フェード装置は、「スクラッチ」を「カット」に合わせるか、「カット」を「スクラッチ」に合わせるかのいずれかで使用することができる。
【0091】
図5Iは、リニアポジションコントローラの全範囲から同範囲の小さい区分500Iに細分化された、MIDIおよびエフェクトパラメータのリニアポジションコントローラとしてのフェード装置の実施形態を示す。これがMIDI/エフェクトエクスパンダである。
【0092】
図6Aは、フェード装置の構成の一実施形態をブロック図の形態600Aで示したものである。
【0093】
図6Bは、フェード装置600Bの一次ユーザ制御の一実施形態を示す。
【0094】
図6Cは、とりわけ、マイクロプロセッサパラメータ設定600Cを選択するための四次ユーザ制御の実施形態を示す。
【0095】
図7Aは、加速、レイテンシ、およびマスター音量レベル700Aに影響を与えるフェード装置ノブを介した、例えば、二次ユーザ制御の実施形態を示す。
【0096】
図7Bは、加速、レイテンシ、およびイージング700Bに影響を与える加速/レイテンシノブ位置設定の実施形態を示す。
【0097】
図7Cは、速度に対するイージングおよび加速度に対するイージング700Cを含む動作イージング設定の実施形態を示す。
【0098】
図8は、様々な入力800を設定/解釈するためのボタンを介した、例えば、三次ユーザ制御の実施形態を示す。
【0099】
図9Aは、ミックス位置と入力を解釈し、信号900Aをルーティングするためのフェード装置マイクロコントローラの一実施形態を示す。
【0100】
図9Bは、クロスフェーダ制御またはスライダ位置900Bの位置または位置対時間を記録するためのメインモーションバッファを含む、クロスフェーダ位置データを記録するための実施形態を示す。
【0101】
図9Cは、量子化の有無で、レイテンシまたは加速度を適用し、かつ、この情報900Cにより影響を受けるモーションバッファをロードするための実施形態を示す。
【0102】
図9Dは、例示的なマスター設定パラメータ、および、これらの設定がどのように行われうるか900Dを示す。
【0103】
図9Eは、マスターテンポ設定900Eがどのように行われるかの例を示す。
【0104】
図9Fは、クロスフェーダのモーションキャプチャとファイア動作900Fを示す。
【0105】
図9Gは、オーディオサンプルキャプチャおよびファイア動作900Gの一例を示す。
【0106】
図10は、拡張機能がアクティブであるかないかの場合の例示的なMIDI出力を示し、ここでMIDI出力は、マスター設定パラメータ1000の一部である。
【0107】
図11は、オーディオ入力が処理され、マスターステレオオーディオ出力およびキュー/ヘッドセットステレオオーディオ出力、ならびに2チャンネルの制御電圧出力1100をもたらす、電圧制御ミキサーの一実施形態を示す。
【0108】
図12は、拡張機能がアクティブであるかない場合の例示的なオーディオエフェクトプロセッサコントロールを示し、ここでエフェクトプロセッサコントロールは、マスター設定パラメータ1200の一部である。
【0109】
本発明の様々な実施形態を上述してきたが、これらは例示としてのみ提示されたものであり、限定するものではないことを理解されたい。本発明の思想及び態様から逸脱することなく、その形式及び内容における様々な変更を行うことが可能であることは、当業者には明らかである。このように、本発明の外縁および範囲は、上述した例によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ画定されるべきものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
特許文献1 米国特許第8,473,084号明細書
特許文献2 米国特許第7,684,573号明細書
特許文献3 米国特許第6,889,193号明細書