(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】タイヤ空気補填装置
(51)【国際特許分類】
B60C 23/12 20060101AFI20240814BHJP
【FI】
B60C23/12
(21)【出願番号】P 2022545469
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2021022708
(87)【国際公開番号】W WO2022044497
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】P 2020141988
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英法
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103386867(CN,A)
【文献】特開2017-136975(JP,A)
【文献】特開2004-330820(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0075642(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0107602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/10
23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤに取り付けられたホイールに設けられ、空気を圧縮して前記タイヤの内側に空気を補填するタイヤ空気補填装置であって、
前記タイヤの内側を向く開口を有するシリンダと、
前記シリンダの内部に設けられており、前記タイヤの内側に供給される空気が通る空気流通孔を有し、遠心力を受けて前記シリンダの軸線方向に移動して前記開口から前記タイヤの内側に空気を供給するウエイトと、
前記ウエイトと前記シリンダの内面との間に介在する第1気密部材と、
前記ウエイトを前記タイヤの反対側に付勢する第1スプリングと、
前記第1スプリングの前記軸線方向の端部を支持する第1支持部と、
前記ウエイトから前記タイヤの反対側への空気の逆流を防止する逆流防止弁と、
を備え、
前記逆流防止弁は、
前記空気流通孔において前記軸線方向にスライドするスライド部材と、
前記スライド部材を前記タイヤの反対側に付勢する第2スプリングと、
前記第2スプリングの前記軸線方向の端部を支持する第2支持部と、
前記空気流通孔の内面と前記スライド部材との間に介在する第2気密部材と、
を有し、
前記スライド部材、前記第2スプリング及び前記第2支持部が前記ウエイトの内部に配置されている、
タイヤ空気補填装置。
【請求項2】
前記シリンダは、前記ホイールのスポークに固定されており、
前記ウエイトの前記軸線方向に直交する方向への幅が前記スポークの幅より小さい、
請求項1に記載のタイヤ空気補填装置。
【請求項3】
前記ウエイトは、タングステンを含む材料によって構成されている、
請求項1又は2に記載のタイヤ空気補填装置。
【請求項4】
前記第1支持部は、枚数調整が可能な1又は複数の板状部材によって構成されており、
前記板状部材の枚数が調整されることによって、前記ウエイトの前記軸線方向への移動量が調整される、
請求項1~3のいずれか一項に記載のタイヤ空気補填装置。
【請求項5】
前記タイヤの内側から前記シリンダの内部への空気の逆流を防止するチェックバルブを備え、
前記チェックバルブは、前記シリンダとは別体とされており、前記シリンダから離れた位置に設けられる、
請求項1~4のいずれか一項に記載のタイヤ空気補填装置。
【請求項6】
前記シリンダの内部に対する空気の流出入を行うと共に、前記シリンダの内部への空気以外の異物の流入を抑制するフィルタを備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載のタイヤ空気補填装置。
【請求項7】
前記ウエイトは、前記第1スプリングが巻き付けられると共に前記軸線方向に突出する凸部を有する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のタイヤ空気補填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤの内側に空気を補填するタイヤ空気補填装置に関する。
本出願は、2020年8月25日の日本出願第2020-141988号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等のタイヤの内側に空気を補填するタイヤ空気補填装置が知られている。特開2008-308081号公報には、ホイールのスポークに取り付けられた空気圧調整装置が記載されている。空気圧調整装置の一部は、ホイールのリムの外周面からタイヤの内部空間に突出している。空気圧調整装置は、スポークにねじ込まれるシリンダと、シリンダの内部において往復運動可能に設けられたピストンとを備える。
【0003】
シリンダのタイヤ側の端部には、シリンダにおける空気流路を開閉する第1アンブレラバルブが取り付けられている。第1アンブレラバルブは、タイヤの内部空間からシリンダの内部への空気の逆流を阻止する逆止弁として機能する。第1アンブレラバルブは、シリンダの内部の空気圧がタイヤの内部空間の空気圧より大きいときに流路を開放し、シリンダの内部からタイヤの内部空間への空気の流れを許容する。第1アンブレラバルブは、シリンダの内部の空気圧がタイヤの内部空間の空気圧より小さいときに当該空気の流れを阻止する。
【0004】
ピストンは、シリンダの内部空間を第1室及び第2室に区画しており、第2室がタイヤの内部空間に連通している。第1室に露出するピストンの端部には凹部が形成されている。当該凹部には隔壁が設けられる。この隔壁は、ピストンの内部に、上記の第1室と区画される第3室を画成する。この隔壁には、第1室から第3室への空気流路であるピストンの貫通孔を開閉する第2アンブレラバルブが取り付けられている。ピストンとシリンダの内部空間の底面との間には、ピストンを第1室に向けて付勢するコイルばねが配置されている。
【0005】
この空気圧調整装置において、自動車の走行に伴ってホイールの回転速度が速くなるとピストンに遠心力が働く。この遠心力に伴い、ピストンは、コイルばねの付勢力に抗して第2室の容積を縮小させるように移動する。第2室が縮小すると第2室の空気圧が高められる。タイヤの内部空間の空気圧が基準空気圧より低い状態において第1アンブレラバルブが開き、第2室の空気がタイヤの内部空間に注入される。
【0006】
自動車が減速してホイールの回転速度が遅くなると、コイルばねの付勢力によってピストンが第2室の容積を拡大する方向に移動する。これに伴い、第2室の圧力が減少してタイヤの内部空間の空気圧よりも低くなると、第1アンブレラバルブが閉じる。ピストンの移動過程において、第2室の圧力が第1室の圧力よりも低くなると、第2アンブレラバルブが開き、第1室から第2室に空気が導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した空気圧調整装置は、タイヤの内部空間とシリンダの第2室との間に設けられる第1アンブレラバルブと、ピストンの内部の第3室と第1室との間に設けられる第2アンブレラバルブとを備える。アンブレラバルブは、傘状の部分で流路を開閉することによって弁としての機能を発揮するものである。アンブレラバルブは、径が大きいという問題がある。従って、アンブレラバルブの径に合わせて、ピストンの径、及びシリンダの径を大きくしなければならない。
【0009】
シリンダの内部において移動するピストンの径が大きい場合、パスカルの原理により、ピストンを移動させるときに大きな荷重が必要となる。ピストンに大きな荷重がかからなければピストンが十分に移動しないので、タイヤへの空気の供給を十分に行えないという問題が生じうる。例えば、時速50km以下で日常的に自動車を走行させるだけでは、ピストンが十分に移動しないので、タイヤに空気を供給できないということも起こりうる。
【0010】
本開示は、タイヤへの空気の供給を十分に行うことができるタイヤ空気補填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一側面に係るタイヤ空気補填装置は、タイヤに取り付けられたホイールに設けられ、空気を圧縮してタイヤの内側に空気を補填するタイヤ空気補填装置である。タイヤ空気補填装置は、タイヤの内側を向く開口を有するシリンダと、シリンダの内部に設けられており、タイヤの内側に供給される空気が通る空気流通孔を有し、遠心力を受けてシリンダの軸線方向に移動して開口からタイヤの内側に空気を供給するウエイトと、ウエイトとシリンダの内面との間に介在する第1気密部材と、ウエイトをタイヤの反対側に付勢する第1スプリングと、第1スプリングの軸線方向の端部を支持する第1支持部と、ウエイトからタイヤの反対側への空気の逆流を防止する逆流防止弁と、を備える。逆流防止弁は、空気流通孔において軸線方向にスライドするスライド部材と、スライド部材をタイヤの反対側に付勢する第2スプリングと、第2スプリングの軸線方向の端部を支持する第2支持部と、空気流通孔の内面とスライド部材との間に介在する第2気密部材と、を有する。スライド部材、第2スプリング及び第2支持部がウエイトの内部に配置されている。
【0012】
このタイヤ空気補填装置では、シリンダの内部に、遠心力によってシリンダの軸線方向に移動してタイヤの内側に空気を供給するウエイトを有する。ウエイトは、タイヤの回転の加速又は減速に伴って生じる遠心力を受けて移動してタイヤの内側に空気を供給する。よって、自動車の走行に伴って自動的にタイヤへの空気の補填を行うことができる。ウエイトの移動によってタイヤへの空気の補填を行うことにより、電気的な回路等が無くても自動的にタイヤへの空気の補填を行うことができる。このタイヤ空気補填装置は、逆流防止弁を備える。逆流防止弁はスライド部材、第2スプリング、第2支持部及び第2気密部材を含んでいる。スライド部材、第2スプリング及び第2支持部はウエイトの内部に配置される。従って、アンブレラバルブのような傘状の弁がなく逆流防止弁が構成されており、逆流防止弁の各部がウエイトの内部に設けられる。よって、ウエイトを細径化することができる。パスカルの原理により、細径化されたウエイトを小さい荷重で十分に動かすことができるので、タイヤへの空気の供給を十分に行うことができる。その結果、時速50km以下で日常的に自動車を走行させるだけでも、ウエイトを十分に移動させてタイヤに空気を十分に供給することができる。
【0013】
シリンダは、ホイールのスポークに固定されていてもよい。ウエイトの軸線方向に直交する方向への幅がスポークの幅より小さくてもよい。この場合、ウエイトの幅がホイールのスポークの幅より細いので、ウエイトをより細径化させることが可能となる。従って、日常の自動車の運転等によってそれほど大きな遠心力がかからない状況下であっても、ウエイトを移動させてタイヤへの空気の補填を十分に行うことができる。
【0014】
ウエイトは、タングステンを含む材料によって構成されていてもよい。この場合、ウエイトの比重を高めることが可能となる。従って、ウエイトが細い状態を維持しつつ高重量のウエイトとすることができるので、遠心力に伴うウエイトの移動をより十分に行うことができる。細径化されており且つ重量が大きいウエイトを移動させることが可能となるので、タイヤへの空気の補填をより十分に行うことができる。
【0015】
第1支持部は、枚数調整が可能な1又は複数の板状部材によって構成されていてもよい。板状部材の枚数が調整されることによって、ウエイトの軸線方向への移動量が調整されてもよい。この場合、ウエイトをタイヤの反対側に付勢する第1スプリングの軸線方向の端部を支持する第1支持部が1又は複数の板状部材によって構成されており、板状部材の枚数によってウエイトの移動量が調整される。板状部材の枚数が少ない場合には第1スプリングの伸縮長が長くなると共にウエイトの移動量が大きくなり、板状部材の枚数が多い場合には第1スプリングの伸縮長が短くなると共にウエイトの移動量が小さくなる。ウエイトの移動量が大きい場合には最大空気圧が大きくなり。ウエイトの移動量が小さい場合には最大空気圧が小さくなる。従って、板状部材の枚数を調整してウエイトの移動量を調節することにより、タイヤへの最大空気圧の設定を変更することができる。
【0016】
前述したタイヤ空気補填装置は、タイヤの内側からシリンダの内部への空気の逆流を防止するチェックバルブを備えてもよい。チェックバルブは、シリンダとは別体とされており、シリンダから離れた位置に設けられてもよい。この場合、シリンダの内部への空気の逆流を防止する逆流防止弁であるチェックバルブがシリンダと別体にされているので、チェックバルブの配置の自由度を高めることができる。従って、ホイールの内部の限られた空間にタイヤ空気補填装置をより効率よく配置することができる。
【0017】
前述したタイヤ空気補填装置は、シリンダの内部に対する空気の流出入を行うと共に、シリンダの内部への空気以外の異物の流入を抑制するフィルタを備えてもよい。この場合、フィルタを介してシリンダの内部への空気の流出入がなされる。このフィルタにより、シリンダの内部への異物の侵入、及びシリンダの外部への異物の流出を抑制することができる。従って、例えば異物が第1気密部材が配置されている部分のグリースに移動して気密性を低下させる等の問題を抑制することができる。
【0018】
ウエイトは、第1スプリングが巻き付けられると共に軸線方向に突出する凸部を有してもよい。この場合、ウエイトの凸部に第1スプリングを支持することができるので、第1スプリングをより安定して伸縮させることができる。ウエイトが安定的に移動するので、タイヤへの空気の供給を安定して行うことができる。凸部の分だけウエイトを重くすることができるので、遠心力に伴ってウエイトをより移動させやすくすることができる。従って、タイヤへの空気の供給を更に十分に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、タイヤへの空気の供給を十分に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係るタイヤ空気補填装置が取り付けられたホイール及びタイヤの例を示す側面図である。
【
図2】実施形態に係るタイヤ空気補填装置が取り付けられた
図1とは別のホイール及びタイヤの例を示す側面図である。
【
図3】実施形態に係るタイヤ空気補填装置、ホイールのスポーク、及びタイヤを模式的に示す縦断面図である。
【
図4】
図3のタイヤ空気補填装置を示す縦断面図である。
【
図5】車両加速状態における
図3のタイヤ空気補填装置の動作を示す縦断面図である。
【
図6】車両走行状態における
図3のタイヤ空気補填装置の動作を示す縦断面図である。
【
図7】車両減速状態における
図3のタイヤ空気補填装置の動作を示す縦断面図である。
【
図8】別の実施形態に係るタイヤ空気補填装置を示す図である。
【
図9】
図8のタイヤ空気補填装置のポンプ部を示す側面図である。
【
図11】
図8のタイヤ空気補填装置のチェックバルブを示す側面図である。
【
図13】変形例に係るタイヤ空気補填装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図面を参照しながら、本開示に係るタイヤ空気補填装置の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0022】
図1は、本実施形態に係るタイヤ空気補填装置1が組み込まれた例示的なホイール100及びタイヤ110を示している。例えば、複数のホイール100及び複数のタイヤ110が自動車に設けられており、各ホイール100及び各タイヤ110は当該自動車の走行に伴って回転する。
【0023】
ホイール100は複数のスポーク101を備えており、複数のスポーク101はホイール100の中央部102から放射状に延びている。複数のスポーク101の径方向外側にはホイール100のリム103が設けられており、リム103にタイヤ110が取り付けられている。
【0024】
タイヤ空気補填装置1は、複数のスポーク101のいずれかに取り付けられており、例えば、スポーク101の径方向外側の端部に設けられる。これにより、タイヤ空気補填装置1は、自動車の走行、並びに、ホイール100及びタイヤ110の回転に伴って径方向への遠心力を受ける。タイヤ空気補填装置1は、当該自動車の加速時及び減速時に受ける遠心力から圧縮空気を生成して、当該圧縮空気をタイヤ110の内側に補填する。
【0025】
ホイール100は、1つのタイヤ空気補填装置1を備えていてもよいし、複数のタイヤ空気補填装置1を備えていてもよい。複数のタイヤ空気補填装置1が設けられる場合、例えば、複数のタイヤ空気補填装置1は、ホイール100の中心O1に対して互いに対称となる位置に配置される。この場合、ホイール100及びタイヤ110における重量バランスを確保することができる。
【0026】
ホイール100の中心O1に対してタイヤ空気補填装置1と対称となる位置に錘130が取り付けられていてもよい。錘130の重さは、例えば、タイヤ空気補填装置1の重さと同一である。この場合もホイール100及びタイヤ110における重量バランスを確保することができる。
【0027】
図2は、スポーク101の数が奇数本(一例として7本)である例示的なホイール100Aを示す図である。奇数本のスポーク101を備えるホイール100Aの場合、ホイール100Aの中心O2に対してタイヤ空気補填装置1と対称となる位置にスポーク101が存在しない。このため、中心O2から見てタイヤ空気補填装置1の反対側に位置する複数のスポーク101に錘130aを取り付けてもよい。このように複数の錘130aのそれぞれを複数のスポーク101のそれぞれに取り付けてホイール100Aの合成モーメントが調整されることにより、ホイール100A及びタイヤ110における重量バランスを確保することができる。
【0028】
図3は、ホイール100のスポーク101に取り付けられた例示的なタイヤ空気補填装置1を示す断面図である。
図3に示されるように、タイヤ空気補填装置1は、例えば、アルミホイールであるホイール100に内蔵されている。具体例として、タイヤ空気補填装置1は、板状のスポーク101に形成された凹部101bの内側に固定されている。
【0029】
例えば、ホイール100は、スポーク101の径方向外側においてタイヤ110を保持する保持部として機能するリム103を備える。リム103から径方向内側に延びるようにタイヤ空気補填装置1が配置されていてもよい。ホイール100に対して、タイヤ空気補填装置1はホイール100から径方向外側(
図3では下側)に突出する部位を有していない。タイヤ空気補填装置1は、ホイール100の外周100cと同一平面上、又は外周100cよりホイール100の径方向内側に入り込むように配置されている。これにより、タイヤ110の交換時等に、タイヤ空気補填装置1がタイヤ110等の他の部品に干渉する可能性を低減させることができる。
【0030】
図4は、
図3のタイヤ空気補填装置1を拡大したタイヤ空気補填装置1の縦断面図である。
図3及び
図4に示されるように、タイヤ空気補填装置1は、有底筒状のシリンダ2と、シリンダ2の内部においてシリンダ2の軸線方向D1に沿って移動可能に配置されたウエイト3と、シリンダ2の内面2bとウエイト3との間に介在する第1気密部材4とを備える。一例として、第1気密部材4と内面2bとの間にはグリースが塗布されていてもよい。
【0031】
シリンダ2は、ホイール100のスポーク101に固定されている。例えば、軸線方向D1に直交する方向D2へのウエイト3の幅W1は、スポーク101の幅W2よりも小さい。一例として、ウエイト3は円柱状を呈する。この場合、幅W1はウエイト3の直径に相当する。
【0032】
幅W1の値は、例えば、5mm以上且つ15mm以下である。このように、幅W1が小さいことによってウエイト3の軸線方向D1への移動に伴う空気圧を効果的に高めることが可能となる。ウエイト3の軸線方向D1の長さL1は、例えば、20mm以上且つ45mm以下である。長さL1が45mm以下であることによって、シリンダ2の内部におけるウエイト3の移動量を大きく確保することができる。しかしながら、幅W1及び長さL1の値は上記の例に限定されない。
【0033】
ウエイト3及び第1気密部材4は、シリンダ2の内部領域を、タイヤ110側の第1領域A1、及びタイヤ110の反対側の第2領域A2に分割する。ウエイト3及び第1気密部材4は、シリンダ2の内部においてホイール100の径方向(
図3及び
図4では上下方向)に往復運動する。
【0034】
シリンダ2は、例えば、円筒状とされている。シリンダ2は、シリンダ2の第2領域A2への空気の流入を可能とする流入口2cを有する。流入口2cにはフィルタ5が取り付けられている。流入口2c及びフィルタ5は、ウエイト3から見てタイヤ110の反対側(
図3及び
図4における上側)に設けられる。フィルタ5は、例えば、空気等の気体を通すと共に、液体及び固体を通さないフィルタである。
【0035】
一例として、フィルタ5は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロン(登録商標))が延伸加工されたフィルムとポリウレタンポリマーとが複合化されて作成されたメンブレン素材によって構成されている。シリンダ2の流入口2cは、前述した凹部101bに連通している。凹部101bにはホイール100を貫通する貫通孔101cが形成されている。
【0036】
ウエイト3には、スポーク101の貫通孔101c、凹部101b及びフィルタ5を介して空気が流入する。ウエイト3は、例えば、円柱状を呈する。ウエイト3の外周面3fには軸線方向D1に沿って並ぶ一対の環状凹部3gが形成されている。各環状凹部3gには第1気密部材4が入り込んでいる。第1気密部材4は、例えば、Oリングである。
【0037】
ウエイト3には、流入した空気を流入口2cの反対側に流す空気流通孔3bが形成されている。例えば、空気流通孔3bは、流入口2c側に位置する第1空間部3cと、第1空間部3cからタイヤ110側(
図3及び
図4における下側)に延びる第2空間部3dとを含む。一例として、第1空間部3cは、第2空間部3dよりも拡径されている。
【0038】
ウエイト3は、例えば、タングステンを含む材料によって構成されている。ウエイト3は、タングステン、又はタングステン合金によって構成されていてもよい。ウエイト3は、例えば、シリンダ2よりも比重が大きい高比重材である。一例として、ウエイト3の比重は15g/cm3以上である。この場合、ウエイト3の細径化を実現しつつ且つウエイト3の質量を大きくすることができる。よって、遠心力に伴うウエイト3の軸線方向D1への往復移動を十分に行うことができる。その結果、タイヤ110への空気の供給をより十分に行うことができる。
【0039】
タイヤ空気補填装置1は、ウエイト3からタイヤ110側に延びるように配置された第1スプリング6と、第1スプリング6とシリンダ2の壁部2gとの間に位置する第1支持部7とを備える。第1スプリング6は、ウエイト3をタイヤ110の反対側に付勢するコイルスプリングである。
【0040】
第1支持部7は、例えば、1枚又は複数枚の環状の板状部材7bによって構成されている。板状部材7bは、軸線方向D1に沿って重ねることが可能とされている。軸線方向D1に沿って重なる板状部材7bの枚数に応じてウエイト3の移動量が定められる。具体的には、板状部材7bの枚数が少ないほどウエイト3の移動量が長くなり、板状部材7bの枚数が多いほどウエイト3の移動量が短くなる。ウエイト3の移動量が長いとタイヤ110への空気の最大空気圧が大きくなり、ウエイト3の移動量が短いとタイヤ110への空気の最大空気圧が小さくなる。従って、板状部材7bの枚数が調整されることによって最大空気圧の調整が可能となる。
【0041】
タイヤ空気補填装置1は、ウエイト3からタイヤ110の反対側への空気の逆流を防止する逆流防止弁10を備える。逆流防止弁10は、例えば、スライド部材11と、第2スプリング12と、第2支持部13と、第2気密部材14とを備える。スライド部材11は、空気流通孔3bにおいて軸線方向D1にスライドする。第2スプリング12は、スライド部材11をタイヤ110の反対側に付勢する。第2支持部13は、第2スプリング12の軸線方向D1の端部を支持する。第2気密部材14は、空気流通孔3bの内面3hとスライド部材11との間に介在する。
【0042】
スライド部材11は、例えば、ウエイト3の空気流通孔3b(第1空間部3c及び第2空間部3d)を軸線方向D1に貫通するように設けられる。一例として、スライド部材11は軸線方向D1に沿って延びる棒状を呈する。第2スプリング12は、例えば、第1空間部3cに設けられている。
【0043】
例えば、第2スプリング12はコイルスプリングである。一例として、第2スプリング12は、第1空間部3cの軸線方向D1を向く底面3jと第2支持部13との間において軸線方向D1に延在する。第2スプリング12は、スライド部材11の径方向外側に配置されている。第2支持部13は、軸線方向D1に直交する方向D2に延在する板状とされている。
【0044】
第2気密部材14は、スライド部材11のタイヤ110側の端部に設けられており、当該端部において拡径している。第2気密部材14は、例えば、空気流通孔3bのタイヤ110側の出口に設けられており、ウエイト3に対するスライド部材11の移動に伴って当該出口を開閉する。具体的には、ウエイト3に対してスライド部材11がタイヤ110側に移動したときに第2気密部材14が空気流通孔3bを開放する。一方、ウエイト3に対してスライド部材11がタイヤ110の反対側に移動したときに第2気密部材14が空気流通孔3bを閉塞する。
【0045】
シリンダ2はタイヤ110側を向く開口2hを有し、開口2hにはシリンダ2の内部への空気の逆流を防止するチェックバルブ15が設けられる。例えば、チェックバルブ15は、シリンダ2の開口2hから見てシリンダ2の内側に突出する開口2k付き突出部2jに取り付けられている。チェックバルブ15は、例えば、前述した逆流防止弁10と同様の構成を備える。
【0046】
具体例として、チェックバルブ15は、スライド部材16と、第3スプリング17と、第3支持部18と、第3気密部材19とを備える。スライド部材16は、開口2h及び開口2kに通された状態で軸線方向D1にスライドする。第3スプリング17は、スライド部材16をタイヤ110の反対側に付勢する。第3支持部18は、第3スプリング17の軸線方向D1の端部を支持する。第3気密部材19は、開口2hとスライド部材16との間に介在する。
【0047】
例えば、スライド部材16は、シリンダ2の開口2h及び開口2kを軸線方向D1に貫通するように設けられる。スライド部材16は、一例として、軸線方向D1に沿って延びる棒状を呈する。第3スプリング17は、突出部2jと第3支持部18との間において軸線方向D1に延在している。例えば、第3スプリング17はコイルスプリングである。第3スプリング17は、例えば、スライド部材16の径方向外側に配置されている。第3支持部18は、方向D2に延在する板状とされている。
【0048】
第3気密部材19は、例えば、スライド部材16のタイヤ110側の端部に設けられており、当該端部において拡径している。一例として、第3気密部材19は、シリンダ2の開口2hのタイヤ110側に設けられている。第3気密部材19は、シリンダ2に対するスライド部材16の移動に伴って開口2hを開閉する。具体的には、シリンダ2に対してスライド部材16がタイヤ110側に移動したときに第3気密部材19が開口2hを開放する。一方、シリンダ2に対してスライド部材16がタイヤ110の反対側に移動したときに第3気密部材19が開口2hを閉塞する。
【0049】
次に、タイヤ空気補填装置1の動作の例について説明する。自動車が停止している状態では、
図4に示されるように、第1スプリング6の付勢力によってウエイト3がシリンダ2の上側(ホイール100の径方向内側)に位置している。このとき、ウエイト3の内部のスライド部材11が第2スプリング12の付勢力によってウエイト3の上側に位置して第2気密部材14が空気流通孔3bを塞いでいる。そして、シリンダ2の内部のスライド部材16が第3スプリング17の付勢力によって上側に位置して第3気密部材19が開口2hを塞いでいる。
【0050】
自動車が加速すると、
図5に示されるように、ホイール100の回転による遠心力を受けてウエイト3が第1スプリング6の付勢力に抗してシリンダ2の下側(ホイール100の径方向外側)に移動する。このとき、シリンダ2の内部のスライド部材16が第3スプリング17の付勢力に抗して下側に移動して第3気密部材19が開口2hを開放する。この開口2hの開放によってシリンダ2の第1領域A1の空気がタイヤ110の内側に噴射される。ウエイト3がシリンダ2の下側に移動するとフィルタ5からシリンダ2の第2領域A2に空気が進入する。
【0051】
例えば自動車が時速40kmで走行している状態では、
図6に示されるように、ウエイト3が下方に位置して第1スプリング6が圧縮された状態が維持される。一例として、このとき、第1スプリング6の圧縮空間圧(第1領域A1の空気圧)がタイヤ110の最高空気圧(一例として、2.4kgf/cm
2)となる。
【0052】
タイヤ110の空気圧が第1領域A1の空気圧よりも低い場合には、第3気密部材19がシリンダ2の開口2hを開放して第1領域A1からタイヤ110の内側に空気が供給される。一方、タイヤ110の空気圧が第1領域A1の空気圧以上である場合には、第3気密部材19が開口2hを閉塞してタイヤ110には空気が供給されない。
【0053】
自動車が減速すると、
図7に示されるように、ホイール100の回転による遠心力が低下してウエイト3が第1スプリング6の付勢力によってシリンダ2の上側に移動する。このとき、ウエイト3の内部のスライド部材11が第2スプリング12の付勢力に抗してウエイト3に対して下側に移動し、第2気密部材14が空気流通孔3bを開放する。この空気流通孔3bの開放によってシリンダ2の第2領域A2の空気が空気流通孔3bを介して第1領域A1に進入する。自動車が停止したときには
図4に示される初期状態に戻される。
【0054】
次に、タイヤ空気補填装置1から得られる作用効果について説明する。タイヤ空気補填装置1では、シリンダ2の内部に遠心力によってシリンダ2の軸線方向D1に移動してタイヤ110の内側に空気を供給するウエイト3を有する。ウエイト3は、タイヤ110の回転の加速又は減速に伴って生じる遠心力を受けて移動してタイヤ110の内側に空気を供給する。よって、自動車の走行に伴って自動的にタイヤ110への空気の補填を行うことができる。ウエイト3の移動によってタイヤ110への空気の補填を行うことにより、電気的な回路等がなくても自動的にタイヤ110への空気の補填を行うことができる。
【0055】
タイヤ空気補填装置1は、逆流防止弁10を備える。逆流防止弁10はスライド部材11、第2スプリング12、第2支持部13及び第2気密部材14を含んでいる。スライド部材11、第2スプリング12及び第2支持部13はウエイト3の内部に配置される。
【0056】
従って、アンブレラバルブのような傘状の弁がなく、コイルスプリングである第2スプリング12を備えて逆流防止弁10が構成されており、逆流防止弁10の各部がウエイト3の内部に設けられる。このように、コイルスプリングである第2スプリング12を含む逆流防止弁10の各部がウエイト3の内部に設けられることにより、ウエイト3を細径化することができる。よって、パスカルの原理により、細径化されたウエイト3を小さい荷重で十分に動かすことができるので、タイヤ110への空気の供給を十分に行うことができる。その結果、時速50km以下で日常的に自動車を走行させるだけでも、ウエイト3を十分に移動させてタイヤ110に空気を十分に供給することができる。
【0057】
シリンダ2は、
図3に示されるように、ホイール100のスポーク101に固定されており、ウエイト3の軸線方向D1に直交する方向D2への幅W1がスポーク101の幅W2より小さくてもよい。この場合、ウエイト3の幅W1がホイール100のスポーク101の幅W2より細いので、ウエイト3をより細径化させることが可能となる。従って、日常の自動車の運転等によってそれほど大きな遠心力がかからない状況下であっても、ウエイト3を移動させてタイヤ110への空気の補填を十分に行うことができる。
【0058】
ウエイト3は、タングステンを含む材料によって構成されていてもよい。この場合、ウエイト3の比重を高めることが可能となる。従って、ウエイト3が細い状態を維持しつつ高重量のウエイト3とすることができるので、遠心力に伴うウエイト3の移動をより十分に行うことができる。細径化されており且つ重量が大きいウエイト3を移動させることが可能となるので、タイヤ110への空気の補填をより十分に行うことができる。
【0059】
第1支持部7は、枚数調整が可能な1枚又は複数の板状部材7bによって構成されている。板状部材7bの枚数が調整されることによって、ウエイト3の軸線方向D1への移動量が調整されてもよい。この場合、ウエイト3をタイヤ110の反対側に付勢する第1スプリング6の軸線方向D1の端部を支持する第1支持部7が1又は複数の板状部材7bによって構成されており、板状部材7bの枚数によってウエイト3の移動量が調整される。板状部材7bは、例えば、ワッシャであってもよい。
【0060】
板状部材7bの枚数が少ない場合には第1スプリング6の伸縮長が長くなると共にウエイト3の移動量が大きくなり、板状部材7bの枚数が多い場合には第1スプリング6の伸縮長が短くなると共にウエイト3の移動量が小さくなる。ウエイト3の移動量が大きい場合には最大空気圧が大きくなり、ウエイト3の移動量が小さい場合には最大空気圧が小さくなる。従って、板状部材7bの枚数を調整してウエイト3の移動量を調節することにより、タイヤ110への最大空気圧の設定を変更することができる。
【0061】
タイヤ空気補填装置1は、シリンダ2の内部に対する空気の流出入を行うと共に、シリンダ2の内部への空気以外の異物の流入を抑制するフィルタ5を備えてもよい。この場合、フィルタ5を介してシリンダ2の内部への空気の流出入がなされる。フィルタ5により、シリンダ2の内部への異物の侵入、及びシリンダ2の外部への異物の流出を抑制することができる。従って、例えば異物が第1気密部材4が配置されている部分のグリースに移動して気密性を低下させる等の問題を抑制することができる。
【0062】
次に、変形例に係るタイヤ空気補填装置20について
図8を参照しながら説明する。タイヤ空気補填装置20の一部の構成は、前述したタイヤ空気補填装置1の構成と同一であるため、以下ではタイヤ空気補填装置1と重複する説明を適宜省略する。タイヤ空気補填装置1では、チェックバルブ15がシリンダ2と一体とされている。しかしながら、タイヤ空気補填装置20は、チェックバルブ15に代えて、シリンダ22と別体とされたチェックバルブ35を備える。
【0063】
タイヤ空気補填装置20は、圧縮空気を生成するポンプ21と、ポンプ21から延びるホース40と、タイヤ110からタイヤ空気補填装置20(ポンプ21)への空気の逆流を防止するチェックバルブ35とを備える。ポンプ21は、例えば、前述したタイヤ空気補填装置1からチェックバルブ15を除いた部分と同様の機能を有する。
【0064】
ホース40は、ポンプ21とチェックバルブ35とを互いに接続している。ホース40の長さは、例えば、2cm以上且つ3cm以下である。ホース40の長さが短いことによって、ポンプ21で生成した空気圧の低減を抑制することができる。ホース40は、変形しにくく比較的硬質な材料によって構成されていてもよい。この場合、ホース40における空気圧の低減を抑制することができる。
【0065】
図9は、ポンプ21の側面図である。
図10は、ポンプ21のA-A線断面図である。
図9及び
図10に示されるように、ポンプ21は、有底筒状のシリンダ22と、ウエイト23と、第1気密部材24とを備える。ウエイト23は、シリンダ22の内部においてシリンダ22の軸線方向D1に沿って移動可能に配置されている。第1気密部材24は、シリンダ22の内面22bとウエイト23との間に介在する。
【0066】
シリンダ22は、例えば前述したシリンダ2と同様、軸線方向D1がスポーク101の長手方向に一致するようにスポーク101に固定される。例えば、軸線方向D1に直交する方向D2へのウエイト23の幅W3(最大幅)は、スポーク101の幅よりも小さい。幅W3の値は、例えば、5mm以上且つ15mm以下である。ウエイト3の軸線方向D1への長さL2は20mm以上且つ45mm以下である。しかしながら、幅W3及び長さL2の値は上記の各例に限定されない。
【0067】
ウエイト23及び第1気密部材24は、シリンダ22の内部領域を、タイヤ110側の第1領域A1、及びタイヤ110の反対側の第2領域に分割する。ウエイト23及び第1気密部材24は、シリンダ22の内部においてホイール100の径方向(
図9及び
図10では左右方向)に往復運動する。
【0068】
シリンダ22は、有底円筒状とされている。シリンダ22の材料は、例えば、アルミニウムを含んでいる。シリンダ22は、第2領域A2への空気の流入を可能とする流入口22cを側面22pに有する。シリンダ22の側面22pには、例えば、流入口22cを塞ぐフィルタ5が取り付けられている。フィルタ5を介してシリンダ22の内部に流れ込んだ空気は第2領域A2を介してウエイト23の空気流通孔23bに流入する。
【0069】
ウエイト23の外周面には軸線方向D1に沿って並ぶ一対の環状凹部23gが形成されており、各環状凹部23gに第1気密部材24が入り込んでいる。第1気密部材24は、例えば、Oリングである。第1気密部材24の材料は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)である。空気流通孔23bは、第2領域A2から空気を流入し、流入した空気を第1領域A1に流す空気流路である。
【0070】
空気流通孔23bは、第2領域A2側に位置する第1空間部23cと、第1空間部23cから第1領域A1側に延びる第2空間部23dとを含む。第2空間部23dは、第1空間部23cよりも拡径されている。第2空間部23dは、第1空間部23cから第1領域A1に向かうに従って徐々に拡径するテーパ面23fと、テーパ面23f及び第1領域A1の間に介在する内周面23kとによって画成される。ウエイト23の材料は、例えば、前述したウエイト3の材料と同一である。ウエイト23は、例えば、タングステン、又はタングステン合金によって構成されていてもよい。
【0071】
ポンプ21は、第1スプリング26と、第1支持部7と、キャップ28と、第4気密部材29とを備える。第1スプリング26は、ウエイト23からタイヤ110側に延びるように配置される。第1支持部7は、第1スプリング26のウエイト23との反対側に設けられる。キャップ28は、シリンダ22の開口22dを塞ぐ。第4気密部材29は、キャップ28とシリンダ22との間に介在する。
【0072】
ウエイト23は、軸線方向D1に沿ってタイヤ110側に突出する凸部23jを有し、凸部23jに第1スプリング26が巻き付けられている。これにより、第1スプリング26の軸線方向D1の端部を安定して支持することが可能である。軸線方向D1に突出する凸部23jが設けられることによって、ウエイト23の径方向への肥大化を抑制しつつ且つウエイト23を重くすることができる。
【0073】
第1スプリング26は、ウエイト23をタイヤ110の反対側(
図9及び
図10では左側)に付勢する。第1スプリング26の材料は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)である。キャップ28の材料は、例えば、アルミニウムを含む。キャップ28は、シリンダ22の側面22pを径方向外側から覆う側面部28bと、開口22dを封止する板状の封止部28cと、封止部28cから軸線方向D1に突出する筒部28dとを備える。
【0074】
キャップ28の側面部28bと封止部28cとの間の内側に第4気密部材29が設けられる。第4気密部材29は、例えば、Oリングである。第4気密部材29は、例えば、EPDMによって構成されている。封止部28cの内側に第1支持部7が設けられている。第1スプリング26と封止部28cとの間に1枚又は複数枚の板状部材7bが介在している。筒部28dには、前述したホース40がクランプC1(
図8参照)によって嵌め込まれてホース40の一端が接続される。
【0075】
ポンプ21は、ウエイト23から第2領域A2への空気の逆流を防止する逆流防止弁30を備える。逆流防止弁30は、スライド部材31と、第2スプリング32と、第2支持部33と、第2気密部材34とを備える。スライド部材31は、空気流通孔23bにおいて軸線方向D1にスライドする。第2スプリング32は、スライド部材31をタイヤ110の反対側に付勢する。第2支持部33は、第2スプリング32の軸線方向D1の端部を支持する。第2気密部材34は、空気流通孔23bの内面とスライド部材31との間に介在する。第2支持部33は、例えば、カラー33bと抜け止め部材33cとを含む。抜け止め部材33cは、例えば、Cリングである。
【0076】
スライド部材31は、例えば、アルミニウム製である。スライド部材31は、空気流通孔23bの第2空間部23dにおいて軸線方向D1に沿ってスライドする。スライド部材31は、第1空間部23cに対向する端面31bと、端面31bからテーパ面23fに沿って延びる傾斜面31cとを備える。更に、スライド部材31は、傾斜面31cから第2支持部33に向かって延びると共に一部が第2支持部33に入り込む軸部31dを備える。
【0077】
スライド部材31の傾斜面31cには環状凹部31fが形成されており、環状凹部31fに第2気密部材34が入り込んでいる。第2気密部材34は、例えば、Oリングである。第2気密部材34は、例えば、EPDMによって構成されている。第2気密部材34と空気流通孔23bの内面との間にはグリースが塗布されていてもよい。
【0078】
第2スプリング32は、例えば、SUSによって構成されている。第2スプリング32は、第2空間部23dに設けられている。第2スプリング32は、スライド部材31の軸部31dの径方向外側に配置されており、スライド部材31と第2支持部33との間において軸線方向D1に延在する。
【0079】
カラー33bは、例えば、アルミニウム製である。カラー33bは、スライド部材31の軸部31dの軸受である。抜け止め部材33cは、カラー33bの第1領域A1側に設けられている。抜け止め部材33cは、例えば、SUSによって構成されている。抜け止め部材33cは、スライド部材31、第2スプリング32、カラー33b及び第2気密部材34の空気流通孔23bからの抜け止めとして機能する。タイヤ空気補填装置20では、逆流防止弁30を構成するスライド部材31、第2スプリング32、第2支持部33及び第2気密部材34がウエイト23の内部に配置されている。
【0080】
スライド部材31及び第2気密部材34は、第2支持部33に対して軸線方向D1に移動可能とされている。スライド部材31及び第2気密部材34がタイヤ110の反対側に移動したときに第2気密部材34がテーパ面23fに当接して空気流通孔23bを閉塞する。一方、スライド部材31及び第2気密部材34がタイヤ110側に移動したときに空気流通孔23bが開放される。
【0081】
次に、
図11及び
図12を参照しながらチェックバルブ35について説明する。
図11は、チェックバルブ35を示す側面図である。
図12は、チェックバルブ35のB-B線断面図である。例えば、チェックバルブ35の部品の一部の形状は、ウエイト23に含まれる部品の形状と同一である。これにより、部品の共通化を図ることができるので、部品にかかるコストの低減に寄与する。
【0082】
チェックバルブ35は、弁座部36と、弁体部37と、第3スプリング38と、第3支持部39とを備える。弁座部36は、ポンプ21からホース40を介して供給される空気が通る空気流通孔36bを有する。弁体部37は、空気流通孔36bに通された状態で空気流通孔36bの延在方向D3にスライドする。第3スプリング38は、弁体部37をタイヤ110の反対側に付勢する。第3支持部39は、第3スプリング38の延在方向D3の端部を支持する。
【0083】
弁座部36は、例えば、アルミニウム製である。弁座部36は、弁体部37の反対側(ホース40側)に突出すると共に空気流通孔36bに連通する内部空間が形成された筒部36cを有する。筒部36cには、ホース40がクランプC2(
図8参照)によって嵌め込まれてホース40の他端(ポンプ21との反対側の端部)が接続される。
【0084】
弁体部37は、空気流通孔36bに通された状態で延在方向D3にスライドするスライド部材37bと、スライド部材37bに取り付けられた第3気密部材37cとを含む。スライド部材37bの形状及び材料の少なくともいずれかは、例えば、前述したスライド部材31の形状及び材料の少なくともいずれかと同一である。
【0085】
第3気密部材37cの形状及び材料の少なくともいずれかは、例えば、第2気密部材34の形状及び材料の少なくともいずれかと同一である。第3スプリング38の形状及び材料の少なくともいずれかは、第2スプリング32の形状及び材料の少なくともいずれかと同一であってもよい。
【0086】
第3支持部39は、例えば、カラー33bと抜け止め部材33cとを含んでいる。空気流通孔36bの筒部36cとの反対側の出口36dはタイヤ110の内側に連通している。チェックバルブ35では、弁座部36に対する弁体部37の移動に伴って空気流通孔36bが開閉する。
【0087】
具体的には、弁座部36に対して弁体部37がタイヤ110側に移動したときに弁体部37が空気流通孔36bを開放する。一方、弁座部36に対して弁体部37がタイヤ110の反対側に移動したときに弁体部37(第3気密部材37c)が空気流通孔36bを閉塞する。
【0088】
図10及び
図12を参照しながらタイヤ空気補填装置20の動作の例について説明する。
図10及び
図12に示されるように、自動車が停止している状態では、第1スプリング26の付勢力によってウエイト23がタイヤ110の反対側(
図10及び
図12では左側)に位置している。
【0089】
このとき、ウエイト23の内部のスライド部材31が第2スプリング32の付勢力によってタイヤ110の反対側に位置して第2気密部材34が空気流通孔23bを塞いでいる。チェックバルブ35の弁体部37が第3スプリング38の付勢力によってタイヤ110の反対側に位置して弁体部37が空気流通孔36bを塞いでいる。
【0090】
自動車が加速すると、ホイール100の回転による遠心力を受けてウエイト23が第1スプリング26の付勢力に抗してタイヤ110側(
図10及び
図12では右側)に移動する。このとき、ウエイト23のタイヤ110側への移動に伴ってフィルタ5からシリンダ2の第2領域A2に空気が進入する。ウエイト23のタイヤ110側への移動に伴って第1領域A1の空気圧が上昇し、第1領域A1からホース40を介してチェックバルブ35に空気が流れ、弁体部37が空気流通孔36bを開放する。この空気流通孔36bの開放によってチェックバルブ35に流れた空気がタイヤ110の内側に噴射される。
【0091】
例えば自動車が時速40kmで走行している状態では、ウエイト23がタイヤ110側に位置して第1スプリング26が圧縮された状態が維持される。タイヤ110の空気圧が第1領域A1の空気圧よりも低い場合には、弁体部37が空気流通孔36bを開放して第1領域A1から空気流通孔36bを介してタイヤ110の内側に空気が供給される。一方、タイヤ110の空気圧が第1領域A1の空気圧以上である場合には、弁体部37が空気流通孔36bを閉塞してタイヤ110には空気が供給されない。
【0092】
自動車が減速すると、ホイール100の回転による遠心力が低下してウエイト23が第1スプリング26の付勢力によってタイヤ110の反対側に移動する。このとき、ウエイト23の内部のスライド部材31が第2スプリング32の付勢力に抗してウエイト23に対してタイヤ110側に移動し、第2気密部材34が空気流通孔23bを開放する。この空気流通孔23bの開放によってシリンダ22の第2領域A2の空気が空気流通孔23bを介して第1領域A1に進入する。自動車が停止したときには
図10及び
図12に示される初期状態に戻される。
【0093】
タイヤ空気補填装置20から得られる作用効果について説明する。タイヤ空気補填装置20は、シリンダ22の内部において遠心力によってシリンダ22の軸線方向D1に移動してタイヤ110の内側に空気を供給するウエイト23を有する。タイヤ空気補填装置20は、ウエイト23の内部に逆流防止弁30を備える。
【0094】
逆流防止弁30はスライド部材31、第2スプリング32、第2支持部33及び第2気密部材34を含んでいる。スライド部材31、第2スプリング32、第2支持部33及び第2気密部材34はウエイト23の内部に配置される。従って、逆流防止弁30の各部がウエイト23の内部に設けられることにより、ウエイト23を細径化することができる。その結果、前述したタイヤ空気補填装置1と同様の作用効果が得られる。すなわち、パスカルの原理により、細径化されたウエイト23を小さい荷重で十分に動かすことができるので、タイヤ110への空気の供給を十分に行うことができる。
【0095】
タイヤ空気補填装置20は、タイヤ110の内側からシリンダ22の内部への空気の逆流を防止するチェックバルブ35を備える。チェックバルブ35は、シリンダ22とは別体とされており、シリンダ22から離れた位置に設けられている。よって、シリンダ22の内部への空気の逆流を防止する逆流防止弁であるチェックバルブ35がシリンダ22と別体とされているので、チェックバルブ35の配置の自由度を高めることができる。従って、ホイール100の内部の限られた空間にタイヤ空気補填装置20をより効率よく配置することができる。
【0096】
ウエイト23は、第1スプリング26が巻き付けられると共に軸線方向D1に突出する凸部23jを有してもよい。この場合、ウエイト23の凸部23jに第1スプリング26を支持することができるので、第1スプリング26をより安定して伸縮させることができる。凸部23jの分だけウエイト23を重くすることができるので、遠心力に伴ってウエイト23をより移動させやすくすることができる。従って、タイヤ110への空気の供給を更に十分に行うことができる。
【0097】
次に、更なる変形例に係るタイヤ空気補填装置50について、
図13、
図14及び
図15を参照しながら説明する。タイヤ空気補填装置50の一部の構成は、前述したタイヤ空気補填装置20の一部の構成と同一であるため、以下ではタイヤ空気補填装置20と重複する構成の説明を適宜省略する。前述したタイヤ空気補填装置20は、シリンダ22と別体とされたチェックバルブ35を備えている。これに対し、タイヤ空気補填装置50は、シリンダ52とチェックバルブ65が一体とされており、チェックバルブ65はシリンダ52を封止するキャップ58に内蔵されている。
【0098】
キャップ58は、例えば、筒状(一例として円筒状)を呈する。キャップ58の外周面には、ホイール100にねじ込まれる雄螺子58bが形成されている。雄螺子58bは、例えば、ホイール100のスポーク101に形成された穴(例えばスポーク101に形成された凹部101b(
図3参照))にねじ込まれる。これにより、タイヤ空気補填装置50はスポーク101の内部に入り込んだ状態で固定可能とされている。
【0099】
タイヤ空気補填装置50は、シリンダ52の内部においてシリンダ52の軸線方向D1に沿って移動可能に配置されたウエイト23と、シリンダ52の内面52bとウエイト23との間に介在する第1気密部材24とを備える。ウエイト23及び第1気密部材24は、シリンダ52の内部領域を、タイヤ110側の第1領域A1、及びタイヤ110の反対側の第2領域A2に分割する。シリンダ52は、第2領域A2への空気の流入を可能とする流入口52cを底部52pに有する。シリンダ52の底部52pの外面52qには、例えば、流入口52cを塞ぐフィルタ5が取り付けられている。
【0100】
タイヤ空気補填装置50は、ウエイト23からタイヤ110側に延びるように配置された第1スプリング26と、シリンダ52の開口52dを塞ぐキャップ58と、キャップ58とシリンダ52との間に介在する第4気密部材29とを備える。キャップ58の外周面58cには、前述した雄螺子58bと、雄螺子58bと軸線方向D1に並ぶ環状凹部58dとが形成されている。キャップ58は、例えば、2つの環状凹部58dを備える。環状凹部58dは雄螺子58bから見てタイヤ110の反対側(
図15では左側)に形成されている。
【0101】
例えば、キャップ58は、複数(一例として2つ)の環状凹部58dを備え、複数の環状凹部58dが軸線方向D1に沿って並んでいる。環状凹部58dには、例えば、第5気密部材59が入り込んでいる。第5気密部材59は、例えば、Oリングである。第5気密部材59がスポーク101の内面に密着することにより、スポーク101の内部の気密が確保される。キャップ58は、更に、ネジがねじ込まれるネジ穴58fと、チェックバルブ65が収容されるバルブ収容孔58gとを有する。
【0102】
タイヤ空気補填装置50は、例えば、ウエイト23から第2領域A2への空気の逆流を防止する逆流防止弁30を備える。逆流防止弁30は、スライド部材31と、第2スプリング32と、第2支持部33と、第2気密部材34とを備える。スライド部材31は、ウエイト23の空気流通孔23bにおいて軸線方向D1にスライドする。第2スプリング32は、スライド部材31をタイヤ110の反対側に付勢する。第2支持部33は、第2スプリング32の軸線方向D1の端部を支持する。第2気密部材34は、空気流通孔23bの内面とスライド部材31との間に介在する。
【0103】
チェックバルブ65の部品の構成は、例えば、前述した逆流防止弁30の部品の構成と同一である。これにより、部品の共通化を図ることができるので、部品にかかるコストの低減に寄与する。チェックバルブ65が設けられるキャップ58には、ウエイト23の空気流通孔23bと同様の空気流通孔58hが形成されている。チェックバルブ65は、空気流通孔58hにおいて軸線方向D1にスライドするスライド部材67と、スライド部材67をタイヤ110の反対側に付勢する第3スプリング68と、第3スプリング68の軸線方向D1の端部を支持する第3支持部69と、第3気密部材70とを備える。例えば、スライド部材67、第3スプリング68及び第3支持部69のそれぞれの構成は、前述したスライド部材31、第2スプリング32及び第2支持部33のそれぞれの構成と同一である。
【0104】
続いて、タイヤ空気補填装置50の動作の例について説明する。自動車が停止している状態では、第1スプリング26の付勢力によってウエイト23がタイヤ110の反対側(
図15では左側)に位置している。このとき、ウエイト23の内部のスライド部材31が第2スプリング32の付勢力によってタイヤ110の反対側に位置して第2気密部材34が空気流通孔23bを塞いでいる。チェックバルブ65のスライド部材67が第3スプリング68の付勢力によってタイヤ110の反対側に位置して第3気密部材70が空気流通孔58hを塞いでいる。
【0105】
自動車が加速すると、ホイール100の回転による遠心力を受けてウエイト23が第1スプリング26の付勢力に抗してタイヤ110側(
図15では右側)に移動する。このとき、ウエイト23のタイヤ110側への移動に伴ってフィルタ5からシリンダ52の第2領域A2に空気が進入する。ウエイト23のタイヤ110側への移動に伴って第1領域A1の空気圧が上昇し、第1領域A1からチェックバルブ65に空気が流れ、スライド部材67が空気流通孔58hを開放する。この空気流通孔58hの開放によってチェックバルブ65に流れた空気がタイヤ110の内側に噴射される。
【0106】
例えば自動車が時速40kmで走行している状態では、ウエイト23がタイヤ110側に位置して第1スプリング26が圧縮された状態が維持される。このとき、タイヤ110の空気圧が第1領域A1の空気圧よりも低い場合には、スライド部材67が空気流通孔58hを開放して第1領域A1から空気流通孔58hを介してタイヤ110の内側に空気が供給される。一方、タイヤ110の空気圧が第1領域A1の空気圧以上である場合には、スライド部材67が空気流通孔58hを閉塞してタイヤ110には空気が供給されない。
【0107】
自動車が減速すると、ホイール100の回転による遠心力が低下してウエイト23が第1スプリング26の付勢力によってタイヤ110の反対側に移動する。このとき、ウエイト23の内部のスライド部材31が第2スプリング32の付勢力に抗してウエイト23に対してタイヤ110側に移動し、第2気密部材34が空気流通孔23bを開放する。この空気流通孔23bの開放によってシリンダ52の第2領域A2の空気が空気流通孔23bを介して第1領域A1に進入する。自動車が停止したときには
図15に示される初期状態に戻される。
【0108】
タイヤ空気補填装置50から得られる作用効果について説明する。タイヤ空気補填装置50は、シリンダ52の内部において遠心力によってシリンダ52の軸線方向D1に移動してタイヤ110の内側に空気を供給するウエイト23を有する。タイヤ空気補填装置50はウエイト23の内部に逆流防止弁30を備え、逆流防止弁30はスライド部材31、第2スプリング32、第2支持部33及び第2気密部材34を有する。
【0109】
従って、逆流防止弁30の各部がウエイト23の内部に設けられることにより、ウエイト23を細径化することができる。その結果、前述したタイヤ空気補填装置1及びタイヤ空気補填装置20と同様の作用効果が得られる。すなわち、パスカルの原理により、細径化されたウエイト23を小さい荷重で十分に動かすことができるので、タイヤ110への空気の供給を十分に行うことができる。
【0110】
タイヤ空気補填装置50は、タイヤ110の内側からシリンダ52の内部への空気の逆流を防止するチェックバルブ65を備え、チェックバルブ65はシリンダ52と一体とされている。チェックバルブ65は、スポーク101の内部にねじ込まれる雄螺子58bを有するキャップ58の内部に設けられている。タイヤ空気補填装置50ではチェックバルブ65がキャップ58に内蔵されていることにより、タイヤ空気補填装置50の細径化を実現できると共に一体とされたタイヤ空気補填装置50をスポーク101にねじ込んで固定させることができる。従って、コンパクト化されたタイヤ空気補填装置50をスポーク101に容易に固定させることが可能となる。その結果、ホイール100の内部の限られた空間にタイヤ空気補填装置50を一層効率よく配置することができる。
【0111】
以上、本開示に係るタイヤ空気補填装置の実施形態及び変形例について説明した。しかしながら、本開示に係るタイヤ空気補填装置は、前述した実施形態又は変形例に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、タイヤ空気補填装置の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した各例に限定されず、適宜変更可能である。
【0112】
例えば、上記では、ウエイト3及びウエイト23がタングステン、又はタングステン合金で構成される例について説明した。しかしながら、ウエイトの材料は、例えば、金を含んでいてもよく、タングステン又はタングステン合金に限定されない。例えば、スライド部材31及びカラー33bの少なくともいずれかがタングステンを含んでいてもよい。
【0113】
上記では、シリンダ22の側面22pに流入口22cを塞ぐフィルタ5が取り付けられている例について説明した。しかしながら、フィルタ5はシリンダ22以外の箇所に設けられていてもよい。例えば、フィルタ5は、キャップ28に設けられていてもよい。この場合、キャップ28を介してポンプ21の外部に空気以外の異物が流出することを防止することができる。
【符号の説明】
【0114】
1,20,50…タイヤ空気補填装置、2,22,52…シリンダ、2b,22b,52b…内面、2c,22c,52c…流入口、2g…壁部、2h…開口、2j…突出部、2k…開口、3,23…ウエイト、3b,23b…空気流通孔、3c…第1空間部、3d…第2空間部、3f…外周面、3g…環状凹部、3h…内面、3j…底面、4,24…第1気密部材、5…フィルタ、6,26…第1スプリング、7…第1支持部、7b…板状部材、10,30…逆流防止弁、11,31…スライド部材、12,32…第2スプリング、13,33…第2支持部、14,34…第2気密部材、15,35,65…チェックバルブ、16…スライド部材、17…第3スプリング、18…第3支持部、19…第3気密部材、21…ポンプ、22d…開口、22p…側面、23c…第1空間部、23d…第2空間部、23f…テーパ面、23g…環状凹部、23j…凸部、23k…内周面、28,58…キャップ、28b…側面部、28c…封止部、28d…筒部、29…第4気密部材、31b…端面、31c…傾斜面、31d…軸部、31f…環状凹部、36…弁座部、36b…空気流通孔、36c…筒部、36d…出口、37…弁体部、37b,67…スライド部材、37c,70…第3気密部材、38,68…第3スプリング、39,69…第3支持部、40…ホース、52d…開口、52p…底部、52q…外面、58b…雄螺子、58c…外周面、58d…環状凹部、58f…ネジ穴、58g…バルブ収容孔、58h…空気流通孔、59…第5気密部材、100,100A…ホイール、100c…外周、101…スポーク、101b…凹部、101c…貫通孔、102…中央部、103…リム、110…タイヤ、130,130a…錘、A1…第1領域、A2…第2領域、C1,C2…クランプ、D1…軸線方向、D2…方向、D3…延在方向、O1,O2…中心、W1,W2,W3…幅。