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特許7538236商用電気車両のエネルギー消費予測方法、装置及びコンピュータ機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】商用電気車両のエネルギー消費予測方法、装置及びコンピュータ機器
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240814BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240814BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20240814BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240814BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20240814BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60L58/12
B60L58/16
G06Q50/10
G06Q10/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022548244
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 CN2022096746
(87)【国際公開番号】W WO2023130659
(87)【国際公開日】2023-07-13
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】202210016220.8
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】段潘▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】趙微
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0038222(US,A1)
【文献】特開2020-012695(JP,A)
【文献】特開2022-129116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 58/12
B60L 58/16
G06Q 50/10
G06Q 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電気車両のエネルギー消費予測方法であって、
商用電気車両の放電期間データを取得することと、
前記商用電気車両の走行位置特徴データを取得することと、
前記放電期間データと前記走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、前記商用電気車両のエネルギー消費予測データを得ることと、
を含み、
前記エネルギー消費予測モデルは、機械学習アルゴリズムに基づいて得られ、
前述の前記放電期間データと前記走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、前記商用電気車両のエネルギー消費予測データを得る前に、さらに、
商用電気車両の、過去充放電データ及び過去走行位置特徴データを含む過去走行データと電池定格容量を取得することと、
設定された時間を周期として、前記過去充放電データに基づいて、前記商用電気車両の過去充電データと過去放電データを得ることと、
前記過去充電データと前記電池定格容量に基づいて、設定された時間内の前記商用電気車両の電池健康状態を得ることと、
前記設定された時間内、複数の充電時間帯があり、前記電池健康状態、前記電池定格容量、各前記充電時間帯の過去充電データ及び各前記充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに基づいて、各前記充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費を得、各前記充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が前記電池定格容量より小さい場合、前記最大エネルギー消費値に基づいて前記設定された時間内の過去単位時間のエネルギー消費データを計算し、各前記充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が前記電池定格容量以上で、且つ予め設定された倍数の前記電池定格容量より小さい場合、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費の平均値に基づいて、前記設定された時間内の過去単位時間のエネルギー消費データを計算し、各前記充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が予め設定された倍数の前記電池定格容量以上である場合、対応する設定された時間内の過去充放電データを破棄することと、
前記過去単位時間のエネルギー消費データと前記過去走行位置特徴データに基づいて、過去エネルギー消費データを得ることと、
前記過去エネルギー消費データと予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前述の商用電気車両の過去走行データを取得することは、
商用電気車両の元の過去走行データを取得することと、
前記元の過去走行データを前処理し、前記商用電気車両の過去走行データを得ることと、を含む、
請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記設定された時間内、1つの充電時間帯は複数のサブ放電時間帯に対応し、前述の前記電池健康状態、前記電池定格容量及び前記過去充電データに対応する過去放電データに基づいて、前記商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることは、
前記電池健康状態、前記電池定格容量及び各前記サブ放電時間帯の過去放電データに基づいて、前記商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることを含む、
請求項に記載の方法。
【請求項4】
前述の前記放電期間データと前記走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、前記商用電気車両のエネルギー消費予測データを得た後、さらに、
前記過去エネルギー消費データをトレーニングセットとテストセットに分割し、前記トレーニングセットと前記エネルギー消費予測モデルに基づいて前記テストセットに対応するエネルギー消費予測データを得ることと、
前記テストセット及び前記テストセットに対応するエネルギー消費予測データに基づいて、前記エネルギー消費予測データに対して修正処理を実施し、修正後のエネルギー消費予測データを得ることと、を含む、
請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前述の前記放電期間データと前記走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入することは、
前記放電期間データに対して補間処理を実施し、補間処理後の放電期間データを得て、前記補間処理後の放電期間データ及び前記走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入することを含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前述の前記放電期間データと前記走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、前記商用電気車両のエネルギー消費予測データを得ることは、
前記放電期間データと前記走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、前記商用電気車両の初期エネルギー消費予測データを得ることと、
前記初期エネルギー消費予測データを所定時間によりグループ化し、各グループの予め設定されたパーセンタイルを対応する所定時間内のエネルギー消費予測データとして取得することと、
を含み、
前記予め設定されたパーセンタイルは50%より大きい、
請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前述の前記放電期間データと前記走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、前記商用電気車両のエネルギー消費予測データを得た後、さらに、
前記商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、前記電池健康状態の推定値と前記エネルギー消費予測データに基づいて、前記商用電気車両の故障リスクを特定することを含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
商用電気車両のエネルギー消費予測装置であって、
商用電気車両の放電期間データを取得するための放電期間取得モジュールと、
前記商用電気車両の走行位置特徴データを取得するための走行位置特徴取得モジュールと、
前記放電期間データと前記走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、前記商用電気車両のエネルギー消費予測データを得るためのエネルギー消費予測モジュールと、
エネルギー消費予測モデルのトレーニングモジュールと、
を含み、
前記エネルギー消費予測モデルは、機械学習アルゴリズムに基づいて得られ、
前記エネルギー消費予測モデルのトレーニングモジュールは、
商用電気車両の、過去充放電データと過去走行位置特徴データを含む過去走行データと電池定格容量を取得するデータ取得ユニットと、
設定された時間を周期として、前記過去充放電データに基づいて、前記商用電気車両の過去充電データと過去放電データを得、前記過去充電データと前記電池定格容量に基づいて、設定された時間内の前記商用電気車両の電池健康状態を得、前記設定された時間内、複数の充電時間帯があり、前記電池健康状態、前記電池定格容量、各前記充電時間帯の過去充電データ及び各前記充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに基づいて、各前記充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費を得、各前記充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が前記電池定格容量より小さい場合、前記最大エネルギー消費値に基づいて前記設定された時間内の過去単位時間のエネルギー消費データを計算し、各前記充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が前記電池定格容量以上で、且つ予め設定された倍数の前記電池定格容量より小さい場合、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費の平均値に基づいて、前記設定された時間内の過去単位時間のエネルギー消費データを計算し、各前記充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が予め設定された倍数の前記電池定格容量以上である場合、対応する設定された時間内の過去充放電データを破棄する、エネルギー消費データ計算ユニットと、
前記過去単位時間のエネルギー消費データと前記過去走行位置特徴データに基づいて、過去エネルギー消費データを得る過去エネルギー消費データ生成ユニットと、
前記過去エネルギー消費データと予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得るエネルギー消費予測モデルトレーニングユニットと、
を含む、
装置。
【請求項9】
前記装置は、さらに、
前記過去エネルギー消費データをトレーニングセットとテストセットに分割し、前記トレーニングセットと前記エネルギー消費予測モデルに基づいて前記テストセットに対応するエネルギー消費予測データを得て、前記テストセット及び前記テストセットに対応するエネルギー消費予測データに基づいて、前記エネルギー消費予測データに対して修正処理を実施し、修正後のエネルギー消費予測データを得るための修正モジュールを含む、
請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、さらに、
前記商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、前記電池健康状態の推定値と前記エネルギー消費予測データに基づいて、前記商用電気車両の故障リスクを特定するための故障リスク特定モジュールを含む、
請求項に記載の装置。
【請求項11】
コンピュータ読み取り可能な命令が記憶されたメモリ及び1つ又は複数のプロセッサを含むコンピュータ機器であって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令が前記1つ又は複数のプロセッサによって実行される時、前記1つ又は複数のプロセッサにより、請求項1に記載の商用電気車両のエネルギー消費予測方法が実行される
コンピュータ機器。
【請求項12】
コンピュータ読み取り可能な命令が記憶された1つ又は複数の不揮発性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータ読み取り可能な命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行される時、前記1つ又は複数のプロセッサにより、請求項1に記載の商用電気車両のエネルギー消費予測方法が実行される、
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項13】
コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータプログラムが1つ又は複数のプロセッサによって実行される時、前記1つ又は複数のプロセッサにより、請求項1に記載の商用電気車両のエネルギー消費予測方法が実行される、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
本願は、2022年1月7日に提出された名称が「商用電気車両のエネルギー消費予測方法、装置及びコンピュータ機器」である中国特許出願第202210016220.8号を参照し、そのすべてが参照により本願に組み込まれている。
【0002】
本願は、モーター制御技術分野に関し、特に、商用電気車両のエネルギー消費予測方法、装置、コンピュータ機器、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギーや環境問題の深刻化と車両用電池技術の発展に伴い、商用電気車両がますます広く適用されている。商用電気車両のエネルギー消費レベルは、商用電気車両の全体的な性能レベルを直接反映し、商用電気車両の走行距離、品質保証評価、経済的利益などの重要な指標に影響を与える。従って、商用電気車両のエネルギー消費を予測する必要がある。
【0004】
いくつかの場合では、商用電気車両のエネルギー消費予測方法は、NEDC(New European Driving Cycle、新欧州ドライビングサイクル)などの固定運転条件で車両運転条件をシミュレーションする時、車両動力学的モデルに基づいて、車両の風上面積、質量、転がり抵抗係数などの車両特徴パラメータと組み合わせ、車両のエネルギー消費を予測する。車両の実際の適用プロセスにおいて、上記の車両特徴パラメータを正確に取得することは困難であるため、従来の商用電気車両のエネルギー消費の予測方法は、実験室シミュレーション環境のシミュレートされた運転条件に限定され、予測結果の精度が低いという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願で開示された様々な実施例によれば、商用電気車両のエネルギー消費予測結果の精度を向上させるために、商用電気車両のエネルギー消費予測方法、装置、コンピュータ機器、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラム製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
商用電気車両のエネルギー消費予測方法であって、
商用電気車両の放電期間データを取得することと、商用電気車両の走行位置特徴データを取得することと、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得ることと、を含み、エネルギー消費予測モデルは、機械学習アルゴリズムによって得られる、方法である。
【0007】
上記商用電気車両のエネルギー消費予測方法は、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、エネルギー消費予測データを得ることにより、商用電気車両の走行経路は比較的固定されているため、走行経路に対応する走行位置特徴データはある程度で商用電気車両の実際運転環境を反映することができ、エネルギー消費予測データの精度を向上させるのに役立つ。
【0008】
幾つかの実施例において、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得る前に、商用電気車両の過去走行データ、電池定格容量及び予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることをさらに含む。
【0009】
上記実施例において、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得る前に、商用電気車両の過去走行データに基づいてモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることにより、商用電気車両のエネルギー消費予測方法の科学性を向上させるのに役立つ。
【0010】
幾つかの実施例において、商用電気車両の過去走行データ、電池定格容量及び予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることは、商用電気車両の、過去充放電データ及び過去走行位置特徴データを含む過去走行データと電池定格容量を取得することと、過去充放電データと電池定格容量に基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを計算して得ることと、過去単位時間のエネルギー消費データと過去走行位置特徴データに基づいて、過去エネルギー消費データを得ることと、過去エネルギー消費データと予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることと、を含む。
【0011】
上記実施例において、モデルトレーニングのプロセスでは、まず商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを計算して得て、次に過去単位時間のエネルギー消費データと過去走行位置特徴データに基づいて、モデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることにより、単位時間のエネルギー消費と走行位置特徴との関係を正確に特徴付けることができ、エネルギー消費予測モデルと実際運転条件との一致度を向上させ、さらにモデルの予測精度を向上させるのに役立つ。
【0012】
幾つかの実施例において、商用電気車両の過去走行データを取得することは、商用電気車両の元の過去走行データを取得することと、元の過去走行データを前処理し、商用電気車両の過去走行データを得ることと、を含む。
【0013】
上記実施例において、商用電気車両の元の過去走行データを取得した後、過去走行データを得るためにデータを前処理する必要があり、それにより重複又は情報不完全の過去走行データを回避し、モデルの予測精度及び予測効率を効果的に向上させることができる。
【0014】
幾つかの実施例において、過去充放電データと電池定格容量に基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを計算して得ることは、設定された時間を周期として、過去充放電データに基づいて商用電気車両の過去充電データと過去放電データを得ることと、過去充電データと電池定格容量に基づいて、設定された時間内の商用電気車両の電池健康状態を得ることと、電池健康状態、電池定格容量及び過去充電データに対応する過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることと、を含む。
【0015】
上記実施例において、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データの計算プロセスにおいて、車両のリアルタイムの電池健康状態を考慮することにより、過去単位時間のエネルギー消費データの精度を向上させ、さらにモデルの予測精度を向上させるのに役立つ。
【0016】
幾つかの実施例において、所定時間内、1つの充電時間帯は複数のサブ放電時間帯に対応し、電池健康状態、電池定格容量及び過去充電データに対応する過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることは、電池健康状態、電池定格容量及び各サブ放電時間帯の過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることを含む。
【0017】
上記実施例において、過去単位時間のエネルギー消費データを分析する時、設定された時間内の1つの充電時間帯が複数のサブ放電時間帯に対応する場合について、各サブ放電時間帯の過去放電データに合わせて最終的な過去単位時間のエネルギー消費データの分析を実現することができ、過去単位時間のエネルギー消費データの分析信頼性を効果的に向上させる。
【0018】
幾つかの実施例において、設定された時間内、複数の充電時間帯があり、電池健康状態、電池定格容量及び過去充電データに対応する過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることは、電池健康状態、電池定格容量、各充電時間帯の過去充電データ及び各充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることを含む。
【0019】
上記実施例において、過去単位時間のエネルギー消費データを分析する時、設定された時間内に複数の充電時間帯がある場合について、各充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに合わせて各放電時間帯のエネルギー消費をそれぞれ計算した後、最終的に過去単位時間のエネルギー消費データの分析を実現し、過去単位時間のエネルギー消費データの分析信頼性をさらに向上させることができる。
【0020】
幾つかの実施例において、電池健康状態、電池定格容量、各充電時間帯の過去充電データ及び各充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることは、電池健康状態、電池定格容量、各充電時間帯の過去充電データ及び各充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに基づいて、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費を得ることと、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が電池定格容量より小さい場合、最大エネルギー消費値に基づいて設定された時間内の過去単位時間のエネルギー消費データを計算することと、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が電池定格容量以上で、且つ予め設定された倍数の電池定格容量より小さい場合、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費の平均値に基づいて、設定された時間内の過去単位時間のエネルギー消費データを計算することと、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が予め設定された倍数の電池定格容量以上である場合、対応する設定された時間内の過去充放電データを破棄することと、を含む。
【0021】
上記実施例において、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費によって区別処理することにより、その配置されている異なる区間に合わせて異なる過去単位時間のエネルギー消費データの分析を実現し、異常の場合には対応する周期内の過去充放電データを破棄し、過去単位時間のエネルギー消費データの分析精度を効果的に向上させることができる。
【0022】
幾つかの実施例において、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得た後、過去エネルギー消費データをトレーニングセットとテストセットに分割し、トレーニングセットとエネルギー消費予測モデルに基づいてテストセットに対応するエネルギー消費予測データを得ることと、テストセット及びテストセットに対応するエネルギー消費予測データに基づいて、エネルギー消費予測データに対して修正処理を実施し、修正後のエネルギー消費予測データを得ることと、をさらに含む。
【0023】
上記実施例において、エネルギー消費予測データを得た後、さらに、トレーニングセットとテストセットに基づいてエネルギー消費予測結果に対して修正処理を実施することにより、商用電気車両のエネルギー消費予測方法の予測精度をさらに向上させることができる。
【0024】
幾つかの実施例において、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入することは、放電期間データに対して補間処理を実施し、補間処理後の放電期間データを得て、補間処理後の放電期間データ及び走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入することを含む。
【0025】
上記実施例において、放電期間データをエネルギー消費予測モデルに代入する前、まず補間処理を実施することにより、入力モデルの放電期間データの連続性を確保し、エネルギー消費予測データの連続性をさらに確保することができ、商用電気車両のエネルギー消費予測方法の柔軟性を向上させるのに役立つ。
【0026】
幾つかの実施例において、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得ることは、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両の初期エネルギー消費予測データを得ることと、初期エネルギー消費予測データを所定時間によりグループ化し、各グループの予め設定されたパーセンタイルを対応する所定時間内のエネルギー消費予測データとして取得することと、を含み、予め設定されたパーセンタイルは50%より大きい。
【0027】
上記実施例において、エネルギー消費予測モデルに基づいて、初期エネルギー消費予測データを予測して得て、グループ化後に各グループにおける大きい予め設定されたパーセンタイルをエネルギー消費予測データとして取得することにより、ノイズ値の干渉を取り除いて、エネルギー消費予測データの精度を向上させることができる。
【0028】
幾つかの実施例において、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得た後、商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値とエネルギー消費予測データに基づいて、商用電気車両の故障リスクを特定することをさらに含む。
【0029】
上記実施例において、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得た後、さらに、商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値とエネルギー消費予測データに基づいて、商用電気車両の故障リスクを特定することで、ユーザーが適時に異常を検出し、対応する対策を講じることができ、商用電気車両の故障確率を低減し、車両の使用安全性を向上させるのに役立つ。
【0030】
商用電気車両のエネルギー消費予測装置であって、
商用電気車両の放電期間データを取得するための放電期間取得モジュールと、商用電気車両の走行位置特徴データを取得するための走行位置特徴取得モジュールと、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得るためのエネルギー消費予測モジュールと、を含み、エネルギー消費予測モデルは、機械学習アルゴリズムによって得られる、装置である。
【0031】
上記商用電気車両のエネルギー消費予測装置は、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、エネルギー消費予測データを得ることにより、商用電気車両の走行経路は比較的固定されているため、走行経路に対応する走行位置特徴データはある程度で商用電気車両の実際運転環境を反映することができ、エネルギー消費予測データの精度を向上させるのに役立つ。
【0032】
幾つかの実施例において、商用電気車両のエネルギー消費予測装置は、商用電気車両の過去走行データ、電池定格容量及び予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得るためのエネルギー消費予測モデルのトレーニングモジュールをさらに含む。
【0033】
上記実施例において、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得る前に、商用電気車両の過去走行データに基づいてモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることにより、商用電気車両のエネルギー消費予測方法の科学性を向上させるのに役立つ。
【0034】
幾つかの実施例において、エネルギー消費予測モデルのトレーニングモジュールは、商用電気車両の、過去充放電データ及び過去走行位置特徴データを含む過去走行データと電池定格容量を取得するデータ取得ユニットと、過去充放電データと電池定格容量に基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを計算して得るエネルギー消費データ計算ユニットと、過去単位時間のエネルギー消費データと過去走行位置特徴データに基づいて、過去エネルギー消費データを得る過去エネルギー消費データ生成ユニットと、過去エネルギー消費データと予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得るエネルギー消費予測モデルトレーニングユニットと、を含む。
【0035】
上記実施例において、モデルトレーニングのプロセスでは、まず商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを計算して得て、次に過去単位時間のエネルギー消費データと過去走行位置特徴データに基づいて、モデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることにより、単位時間のエネルギー消費と走行位置特徴との関係を正確に特徴付けることができ、エネルギー消費予測モデルと実際運転条件との一致度を向上させ、さらにモデルの予測精度を向上させるのに役立つ。
【0036】
幾つかの実施例において、商用電気車両のエネルギー消費予測装置は、過去エネルギー消費データをトレーニングセットとテストセットに分割し、トレーニングセットとエネルギー消費予測モデルに基づいてテストセットに対応するエネルギー消費予測データを得て、テストセット及びテストセットに対応するエネルギー消費予測データに基づいて、エネルギー消費予測データに対して修正処理を実施し、修正後のエネルギー消費予測データを得るための修正モジュールをさらに含む。
【0037】
上記実施例において、エネルギー消費予測データを得た後、さらに、トレーニングセットとテストセットに基づいてエネルギー消費予測結果に対して修正処理を実施することにより、商用電気車両のエネルギー消費予測方法の予測精度をさらに向上させることができる。
【0038】
幾つかの実施例において、商用電気車両のエネルギー消費予測装置は、商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値とエネルギー消費予測データに基づいて、商用電気車両の故障リスクを特定するための故障リスク特定モジュールをさらに含む。
【0039】
上記実施例において、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得た後、さらに、商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値とエネルギー消費予測データに基づいて、商用電気車両の故障リスクを特定することで、ユーザーが適時に異常を検出し、対応する対策を講じることができ、商用電気車両の故障確率を低減し、車両の使用安全性を向上させるのに役立つ。
【0040】
コンピュータ読み取り可能な命令が記憶されたメモリ及び1つ又は複数のプロセッサを含むコンピュータ機器であって、コンピュータ読み取り可能な命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行される時、1つ又は複数のプロセッサに、
商用電気車両の放電期間データを取得するステップ、商用電気車両の走行位置特徴データを取得するステップ、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得るステップを実行させ、エネルギー消費予測モデルは、機械学習アルゴリズムによって得られる、コンピュータ機器。
【0041】
コンピュータ読み取り可能な命令が記憶された1つ又は複数の不揮発性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータ読み取り可能な命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行される時、1つ又は複数のプロセッサに、
商用電気車両の放電期間データを取得するステップ、商用電気車両の走行位置特徴データを取得するステップ、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得るステップを実行させ、エネルギー消費予測モデルは、機械学習アルゴリズムによって得られる、記憶媒体。
【0042】
コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、該コンピュータプログラムが1つ又は複数のプロセッサによって実行される時、1つ又は複数のプロセッサに、
商用電気車両の放電期間データを取得するステップ、商用電気車両の走行位置特徴データを取得するステップ、放電期間データと走行位置特徴データを機械学習アルゴリズムによって得られるエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得るステップを実行させ、エネルギー消費予測モデルは、機械学習アルゴリズムによって得られる、コンピュータプログラム製品。
【0043】
上記コンピュータ機器、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラム製品は、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、エネルギー消費予測データを得ることにより、商用電気車両の走行経路は比較的固定されているため、走行経路に対応する走行位置特徴データはある程度で商用電気車両の実際運転環境を反映することができ、エネルギー消費予測データの精度を向上させるのに役立つ。
【0044】
本願の実施例の技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下に実施例に使用される図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願の幾つかの実施例にすぎず、当業者にとって、創造的労力を要することなく、添付されるこれらの図面に基づいて、他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測方法のフローチャートである。
図2】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測方法のフローチャートである。
図3】本願の幾つかの実施例にかかるエネルギー消費予測モデルトレーニングのフローチャートである。
図4】本願の幾つかの実施例にかかる過去単位時間のエネルギー消費データ分析のフローチャートである。
図5】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測方法のフローチャートである。
図6】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測方法のフローチャートである。
図7】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測方法のフローチャートである。
図8】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測方法のフローチャートである。
図9】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測装置の構成図である。
図10】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測装置の構成図である。
図11】本願の幾つかの実施例にかかるエネルギー消費予測モデルの構成図である。
図12】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測装置の構成図である。
図13】本願の幾つかの実施例にかかるエネルギー消費予測モジュールの構成図である。
図14】本願の幾つかの実施例にかかる商用電気車両のエネルギー消費予測装置の構成図である。
図15】本願の幾つかの実施例にかかるコンピュータ機器の内部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本願の技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、図面及び実施例に合わせて、本願をさらに詳しく説明する。ここで説明される具体的な実施例は本願を解釈するものにすぎず、本願を限定するものではないことを理解されたい。
【0047】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術と科学用語は、当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明する目的にのみ使用され、本願を限定するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記の図面に関する説明の「含む」、「有する」という用語及びそれらの任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図する。
【0048】
本願の実施例の説明において、「第1」「第2」などの技術用語は、異なるターゲットを区別することにのみ使用され、相対的な重要性又は示された技術的特徴の数、特定の順序又は優先順位の関係を示したり暗示したりするものとして理解することはできない。本願の実施例の説明において、別段の明確で具体的な限定がない限り、「複数」の意味は2つ以上である。同時に、本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、列挙されている関連項目の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0049】
本願が提供する商用電気車両のエネルギー消費予測方法、装置、コンピュータ機器、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体及びコンピュータプログラム製品は、電気公共交通、電気バス、地下鉄電気車両、主要鉄道電気車両、軽鉄道電気車両などを含むが、これらに限定されない様々な商用電気車両に適用可能である。
【0050】
第1態様によれば、本願は、商用電気車両のエネルギー消費予測方法を提供し、該方法は、端末に応用されてもよく、サーバーに応用されてもよく、端末とサーバーとの相互作用を通じて実現してもよい。理解を便宜にするために、以下の説明は、該方法を端末に応用した場合を例とする。幾つかの実施例において、図1に示すように、該方法は、ステップS102~ステップS106を含む。
【0051】
ステップS102:商用電気車両の放電期間データを取得する。
【0052】
但し、放電期間データは、商用電気車両が設定された時間を計算周期として、各計算周期内の放電期間で構成されたデータセットを指す。該設定された時間は、半日、一日又は二日であってもよい。具体的には、放電期間データは、商用電気車両の充放電データから抽出することができる。充放電データは、充放電の開始時刻、終了時刻、充電容量及び各時刻に対応するSOC(State of Charge、電池内の残留電荷の利用可能なパーセンテージ)などを含む。放電期間は、放電開始時刻と放電終了時刻との間の時間差である。
【0053】
さらに、端末は、商用電気車両の充放電データを取得し、充放電データに対してデータ前処理を実施し、放電期間データを得ることができる。例えば、端末は、充放電データにおける重複とデータ情報不完全のデータ行を取り除いて、フィールド情報に基づいて、商用電気車両の放電時間帯での放電データを抽出し、さらに放電データにおける放電開始時刻と放電終了時刻に基づいて、放電期間を計算して得る。端末は、統計学規則に基づいて、計算して得られた放電期間内の異常値を取り除いてもよく、それにより異常データの影響を回避し、エネルギー消費予測精度をさらに向上させる。例えば、所定期間内の複数の計算周期における-1*sigmaより小さく、及び+3*sigmaより大きい放電期間データを取り除くことができる。
【0054】
説明すべきことは、設定された時間内に複数のサブ放電時間帯がある場合、各サブ放電時間帯のサブ放電期間を加算し、設定された時間内の放電期間を計算して得る。
【0055】
ステップS104:商用電気車両の走行位置特徴データを取得する。
【0056】
但し、ステップS104は、ステップS102の前、その後、又はステップS102と同期実行することができる。さらに、走行位置特徴データは、商用電気車両の様々な時刻の走行位置、及び該走行位置対応する天気データと地形データなどを含む。該天気データは、気温、湿度、気圧及び風速などの情報を含み、該地形データは、勾配、トラック抵抗と空気抵抗などの情報を含む。
【0057】
具体的には、商用電気車両の走行経路は比較的固定されているため、端末は、過去同時期の走行位置特徴データを取得したり、まず予測される時間内の商用電気車両の走行経路を取得し、さらに走行経路上の車両走行の位置情報に基づいて、走行位置対応する天気データと地形データを関連付けて、該走行経路に対応する走行位置特徴データを取得したりできる。例えば、走行経路に対応する過去同時期の天気データ、及び走行経路に対応する地形データである。
【0058】
さらに、端末が商用電気車両の放電期間データと走行位置特徴データを取得する具体的な方法は、能動的に取得してもよく、受動的に受け取ってもよい。
【0059】
ステップS106:放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得る。
【0060】
但し、エネルギー消費予測モデルは、機械学習アルゴリズムによって得られる。該機械学習アルゴリズムは、ニューラルネットワークアルゴリズム又は決定木アルゴリズムであってもよい。一実施例において、該機械学習アルゴリズムは、GBRT(Gradient Boost Regression Tree、勾配ブースティング回帰木)アルゴリズムである。
【0061】
具体的には、放電期間データと走行位置特徴データを、機械学習アルゴリズムによって得られたエネルギー消費予測モデルに代入して、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得ることができる。
【0062】
さらに、商用電気車両の走行経路が相対的に固定され、使用頻度が現在の業務量と運転中の車両の数の影響を受けやすいことを考慮すると、過去同時期の環境温度データ、及び最近の放電期間データをモデル独立変数として使用し、エネルギー消費予測モデルに代入することで、エネルギー消費予測の精度を向上させることができる。例えば、将来3か月のエネルギー消費を予測する必要がある時、過去3か月の放電期間と過去同期の環境温度を入力量として、エネルギー消費予測モデルに代入する。
【0063】
また、端末がエネルギー消費予測データを得た後、さらに、該エネルギー消費予測データを出力してもよい。該エネルギー消費予測データの出力ターゲットは、記憶装置、表示装置又は通信装置であってもよい。また、端末は、通信装置を介してエネルギー消費予測データを他の端末に出力してもよい。
【0064】
上記商用電気車両のエネルギー消費予測方法は、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、エネルギー消費予測データを得ることによって、一方では、商用電気車両の走行経路は比較的固定されているため、走行経路に対応する走行位置特徴データはある程度で商用電気車両の実際運転環境を反映することができ、エネルギー消費予測データの精度を向上させるのに役立ち、一方では、機械学習アルゴリズムによって得られたエネルギー消費予測モデルを使用してエネルギー消費を予測することにより、煩雑な数学的モデリングを省略し、精度を確保するとともに作業効率を向上させることができる。
【0065】
説明すべきことは、機械学習アルゴリズムによって得られたエネルギー消費予測モデルの特徴は、設定された期間を周期とする連続的なエネルギー消費予測データを取得するために、放電期間データをエネルギー消費予測モデルに代入する前、データに対して補間処理を実施し、入力モデルの放電期間データが設定された期間を周期とする連続的なデータであることを確保し、エネルギー消費予測データの連続性をさらに確保することができ、また、非連続的な初期エネルギー消費予測データを得た後、初期エネルギー消費予測データに対して補間処理を実施し、設定された期間を周期とする連続的な商用電気車両のエネルギー消費予測データを得ることもできる。
【0066】
幾つかの実施例において、図2に示すように、ステップS106の前に、該方法は、商用電気車両の過去走行データ、電池定格容量及び予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得るステップS105をさらに含む。但し、ステップS105は、ステップS102とステップS104の前、その後又は上記のステップと同期実行することができる。
【0067】
但し、機械学習アルゴリズムの具体的な限定は上記の記述を参照し、ここではその説明を省略する。過去走行データは、商用電気車両の過去運転プロセスにおける実際データである。具体的には、端末は、商用電気車両の過去走行データと電池定格容量に基づいて、モデルをトレーニングするための実際のエネルギー消費データを得て、予め設定されたモデル損失関数を使用し、機械学習アルゴリズムに基づいてモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得る。
【0068】
さらに、モデル損失関数は、具体的には、平均二乗誤差関数、絶対損失関数又は分位数損失関数などであってもよい。エネルギー消費予測モデルをGBRTモデルとして例を取り上げると、モデル損失関数の具体的な式は以下のとおりであってもよい。
【数1】
【0069】
但し、yは実際値であり、f(x)は予測値である。上記モデル損失関数に基づいて、予測値と実際値との差が最も小さくなりがちな損失関数に従って残差トレーニングを行い、GBRT回帰木をフィッティングし、エネルギー消費を予測するためのGBRTモデルを得ることができる。
【0070】
上記実施例において、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得る前に、商用電気車両の過去走行データに基づいてモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることにより、商用電気車両のエネルギー消費予測方法の科学性を向上させるのに役立つ。
【0071】
幾つかの実施例において、図3に示すように、ステップS105は、ステップS302~ステップS308を含む。
【0072】
ステップS302:商用電気車両の過去走行データと電池定格容量を取得する。
【0073】
但し、過去走行データは、過去充放電データと過去走行位置特徴データを含む。さらに、過去充放電データは、充放電の開始時刻、終了時刻、充電容量及び各時刻対応するSOCなどを含む。電池定格容量は、定格条件下での電池の容量である。過去走行位置特徴データは、過去充放電データの時間ノードに対応する走行位置特徴データである。
【0074】
ステップS304:過去充放電データと電池定格容量に基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを計算して得る。
【0075】
但し、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データは、過去の一定期間内に、設定された時間を周期とする商用電気車両の単位時間のエネルギー消費値からなるデータセットである。具体的には、端末は、過去充放電データに基づいて、設定された時間を計算周期として、各周期内の商用電気車両の過去エネルギー消費及び放電期間を得て、さらに商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることができる。
【0076】
さらに、端末は、過去充放電データと電池定格容量に基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得る具体的な方法は唯一ではない。一実施例において、端末は過去充放電データに基づいて放電開始と終了時刻のSOC差に電池定格容量を乗算し、設定された時間内の商用電気車両の過去放電量を得て、さらに対応する放電期間に合わせて、商用電気車両の所定期間内の過去単位時間のエネルギー消費を得る。但し、所定期間は、1か月、2か月又は3か月であってもよく、具体的にはエネルギー消費予測のニーズに応じて決定することができる。
【0077】
ステップS306:過去単位時間のエネルギー消費データと走行位置特徴データに基づいて、過去エネルギー消費データを得る。
【0078】
但し、過去エネルギー消費データは、過去単位時間のエネルギー消費データと過去走行位置特徴データを含む過去データである。具体的には、ステップS404で得られた所定期間内の複数の計算周期の過去単位時間のエネルギー消費データを、計算周期の時間ノードに従って、同じ商用電気車両の過去走行位置特徴データと合併し、時間、過去単位時間のエネルギー消費データ及び過去走行位置特徴データを含む過去エネルギー消費データを形成することができる。
【0079】
ステップS308:過去エネルギー消費データと予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得る。
【0080】
具体的には、過去エネルギー消費データに基づいて、予め設定されたモデル損失関数と機械学習アルゴリズムを使用してモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることができる。
【0081】
上記実施例において、モデルトレーニングのプロセスでは、まず商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを計算して得て、次に過去単位時間のエネルギー消費データと過去走行位置特徴データに基づいて、モデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得ることにより、単位時間のエネルギー消費と走行位置特徴との関係を正確に特徴付けることができ、エネルギー消費予測モデルと実際運転条件との一致度を向上させ、さらにモデルの予測精度を向上させるのに役立つ。
【0082】
幾つかの実施例において、商用電気車両の過去走行データを取得することは、商用電気車両の元の過去走行データを取得することと、元の過去走行データを前処理し、商用電気車両の過去走行データを得ることと、を含む。
【0083】
具体的には、端末は、商用電気車両の元の過去走行データを取得し、元の過去走行データに基づいてデータを前処理し、対応する商用電気車両の過去走行データを得ることができる。但し、元の過去走行データは、過去充放電データ、過去車両位置情報データ及び各車両位置に対応する天気データと地形データなどを含む。
【0084】
例えば、4末は、過去充放電データを前処理し、重複とデータ情報不完全のデータ行を取り除いて、フィールド情報に基づいて、商用電気車両の各充電時間帯の充電データと各充電時間帯に対応する放電時間帯の放電データを抽出することができる。但し、データ情報不完全のデータ行は、日付が空のデータ行、充電時間帯又は放電時間帯データが欠落しているデータ行を含む。
【0085】
上記実施例において、商用電気車両の元の過去走行データを取得した後、過去走行データを得るためにデータを前処理する必要があり、それにより重複又は情報不完全の過去走行データを回避し、モデルの予測精度及び予測効率を効果的に向上させることができる。
【0086】
幾つかの実施例において、図4を参照し、ステップS304は、ステップS402~ステップS406を含む。
【0087】
ステップS402:設定された時間を計算周期として、過去充放電データに基づいて商用電気車両の過去充電データと過去放電データを得る。
【0088】
但し、充電データは、充電開始時刻、充電終了時刻、充電容量及び各時刻に対応するSOCなどを含む。放電データは、放電開始時刻、放電終了時刻及び各時刻に対応するSOCなどを含む。過去充電データと過去放電データは、それぞれ過去の一定時間内の実際充電データと実際放電データを指す。
【0089】
具体的には、端末は、過去充放電データの情報に対して抽出及びデータ分類を実施する。「充電」フィールド情報を含むデータは充電データに分類され、「放電」フィールド情報を含むデータは放電データに分類される。さらに、設定された時間を周期として二次分類を実施し、複数の周期内の商用電気車両の過去充電データと過去放電データを得ることができる。
【0090】
ステップS404:過去充電データと電池定格容量に基づいて、設定された時間内の商用電気車両の電池健康状態を得る。
【0091】
但し、電池健康状態はSOH(State of Health)とも呼ばれ、新しい電池と比較して現在の電池の電気エネルギーの貯蔵能力を特徴付けることに用いられ、パーセンテージの形で現在の電池の性能状態を定量的に記述する。電池の健康状態は、温度、電流倍率、オフセット電圧などの様々な要因の影響を受け、電池寿命の開始から寿命の終了期間に動的に変化する。これらに基づいて、過去単位時間のエネルギー消費データの精度を向上させるために、端末は過去充電データと電池定格容量に基づいて、設定された時間内の商用電気車両の電池健康状態を計算して得る。
【0092】
具体的には、電池健康状態の計算式は以下のとおりである。
【数2】
【0093】
式中、Qは充電容量、packcapは電池定格容量であり、
【0094】
ステップS406:電池健康状態、電池定格容量及び過去充電データに対応する過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得る。
【0095】
但し、充電データに対応する放電データは、現在の充電時間帯の充電終了時刻から次の充電時間帯の充電開始時刻までの間の放電データである。
【0096】
具体的には、端末は、まず電池健康状態、電池定格容量及び放電開始時刻と放電終了時刻のSOC差に基づいて、商用電気車両の設定された時間内の過去エネルギー消費を得ることができ、さらに所定期間内の複数の計算周期の過去エネルギー消費と放電期間を統合し、商用電気車両の所定期間内の各計算周期の単位時間のエネルギー消費値を得る。一定期間内に、複数の計算周期の単位時間のエネルギー消費値からなるデータセットは、過去単位時間のエネルギー消費データである。
【0097】
但し、設定された時間内のエネルギー消費Cの計算式は以下のとおりである。
【数3】
【0098】
式中、delt_soc_dischargeは放電開始時刻と放電終了時刻とのSOC差である。
【0099】
単位時間のエネルギー消費値Cperの計算式は以下のとおりである。
【数4】
【0100】
式中、hour_dischargeは放電期間、即ち放電開始時刻と放電終了時刻との時間差である。
【0101】
上記実施例において、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データの計算プロセスにおいて、車両のリアルタイムの電池健康状態を考慮することにより、過去単位時間のエネルギー消費データの精度を向上させ、さらにモデルの予測精度を向上させるのに役立つ。
【0102】
幾つかの実施例において、所定時間内、1つの充電時間帯が複数のサブ放電時間帯に対応し、ステップS406において、電池健康状態、電池定格容量及び過去充電データに対応する過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることは、電池健康状態、電池定格容量及び各サブ放電時間帯の過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることを含む。
【0103】
具体的には、設定された時間内、1つの充電時間帯が複数のサブ放電時間帯に対応する場合、各サブ放電時間帯の放電データに合わせて過去単位時間のエネルギー消費データを得る。電池健康状態、電池定格容量及び各サブ放電時間帯の過去放電データに合わせて、上記のエネルギー消費計算式を使用して各放電時間帯に対応するエネルギー消費をそれぞれ計算して得て、各放電時間帯のエネルギー消費を加算し、これらの放電時間帯の総エネルギー消費と総放電期間を得て、該総エネルギー消費を総放電期間で割って、単位時間のエネルギー消費値を得ることができる。また、各放電時間帯の放電データに基づいて、各サブ放電時間帯のサブ単位時間のエネルギー消費値をそれぞれ計算して得て、次に各サブ単位時間のエネルギー消費値の平均値又は中央値を充電時間帯に対応する放電時間帯の単位時間のエネルギー消費値とすることもできる。
【0104】
上記実施例において、過去単位時間のエネルギー消費データを分析する時、設定された時間内の1つの充電時間帯が複数のサブ放電時間帯に対応する場合について、各サブ放電時間帯の過去放電データに合わせて最終的な過去単位時間のエネルギー消費データの分析を実現することができ、過去単位時間のエネルギー消費データの分析信頼性を効果的に向上させる。
【0105】
幾つかの実施例において、設定された時間内、複数の充電時間帯があり、ステップS406は、電池健康状態、電池定格容量、各充電時間帯の過去充電データ及び各充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることを含む。
【0106】
具体的には、設定された時間内、複数の充電時間帯がある場合、各充電時間帯の充電データ及び該充電時間帯に対応する放電時間帯の放電データに基づいて、電池健康状態、電池定格容量及び上記のエネルギー消費計算式に合わせて、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費をそれぞれ計算して得る。さらに、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費に基づいて、区別処理を実施し、過去単位時間のエネルギー消費データを得る。
【0107】
上記実施例において、過去単位時間のエネルギー消費データを分析する時、設定された時間内に複数の充電時間帯がある場合について、各充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに合わせて各放電時間帯のエネルギー消費をそれぞれ計算した後、最終的に過去単位時間のエネルギー消費データの分析を実現し、過去単位時間のエネルギー消費データの分析信頼性をさらに向上させることができる。
【0108】
さらに、幾つかの実施例において、電池健康状態、電池定格容量、各充電時間帯の過去充電データ及び各充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることは、電池健康状態、電池定格容量、各充電時間帯の過去充電データ及び各充電時間帯に対応する放電時間帯の過去放電データに基づいて、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費を得ることと、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が電池定格容量より小さい場合、最大エネルギー消費値に基づいて設定された時間内の過去単位時間のエネルギー消費データを計算することと、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が電池定格容量以上で、且つ予め設定された倍数の電池定格容量より小さい場合、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費の平均値に基づいて、設定された時間内の過去単位時間のエネルギー消費データを計算することと、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が予め設定された倍数の電池定格容量以上である場合、対応する設定された時間内の過去充放電データを破棄することと、を含む。
【0109】
但し、予め設定された倍数は、1.1、1.2又は1.3など、1より大きい実数である。各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費の計算方法は、上記エネルギー消費計算式に合わせて実現され、ここでその説明を省略する。また、単位時間のエネルギー消費値を計算する前に、統計学規則に基づいて、エネルギー消費と放電期間の異常値を処理することもでき、それにより異常データの影響を回避し、エネルギー消費予測精度をさらに向上させる。例えば、±3*sigma又は他の規則を使用し、過去エネルギー消費における外れた値を取り除いて、±1*sigma又は他の規則を使用し、過去エネルギー消費に対応する単位時間のエネルギー消費値における外れた値を取り除いて、-1*sigmaより小さく+3*sigmaより大きい放電期間データを取り除くことができる。
【0110】
上記実施例において、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費に対して区別処理を実施し、その配置されている異なる区間に合わせて異なる過去単位時間のエネルギー消費データの分析を実現し、異常の場合には対応する周期内の過去充放電データを破棄することにより、過去単位時間のエネルギー消費データの分析精度を効果的に向上させることができる。
【0111】
図5を参照し、幾つかの実施例において、ステップS106の後、過去エネルギー消費データをトレーニングセットとテストセットに分割し、トレーニングセットとエネルギー消費予測モデルに基づいてテストセットに対応するエネルギー消費予測データを得て、テストセット及びテストセットに対応するエネルギー消費予測データに基づいて、エネルギー消費予測データに対して修正処理を実施し、修正後のエネルギー消費予測データを得るステップS107をさらに含む。但し、ステップS107はステップS108の前に実行される。
【0112】
具体的には、予め設定された比率に従って、過去エネルギー消費データをトレーニングセットとテストセットの2つの部分に分割し、トレーニングセットをエネルギー消費予測モデルに代入し、テストセットに対応するエネルギー消費予測データを得る。さらに、テストセットの実際エネルギー消費データを対応するエネルギー消費予測データと比較し、モデル予測誤差シーケンスを決定し、さらに該誤差シーケンスに基づいてエネルギー消費予測モデルの修正値を決定する。さらに、端末が該誤差シーケンスに基づいてエネルギー消費予測モデルの修正値を決定する方法は唯一ではない。例えば、誤差シーケンスの中央値又は平均値をエネルギー消費予測モデルの修正値としてもよい。
【0113】
但し、モデル予測誤差シーケンスの誤差値の計算式は以下のとおりである。
error=Cp1-Ca (5)
【0114】
式中、errorはテストセットのi個目のデータに対応する誤差値であり、Caはテストセットのi個目の単位時間のエネルギー消費データの実際値であり、Cp1はCaに対応するエネルギー消費予測値である。
【0115】
エネルギー消費予測モデルの修正値を得た後、さらに該修正値に基づいてエネルギー消費予測データに対して修正処理を実施し、得られた初期エネルギー消費予測値をエネルギー消費予測モデルの修正値に重ね合わせて、修正後のエネルギー消費予測値を得ることができる。即ち、式(5)に対応する最終的なエネルギー消費予測値は以下のとおりである。
Cpredict_final=Cpredict_value-error (6)
【0116】
式中、errorはエネルギー消費予測モデルの修正値であり、Cpredict_valueは第i個目の初期エネルギー消費予測値であり、Cpredict_valueはCpredict_finalに対応する修正後のエネルギー消費予測値である。各修正後のエネルギー消費予測値を組み合わせてなるデータセットは、商用電気車両のエネルギー消費予測データである。
【0117】
説明すべきことは、予め設定された比率の値は唯一ではない。例えば、4:1の予め設定された比率に従って、実際エネルギー消費データの80%をトレーニングセットとし、残りの20%をテストセットとしてもよいが、3:2の予め設定された比率に従って、実際エネルギー消費データの60%をトレーニングセットとし、残りの40%をテストセットとしてもよい。
【0118】
上記実施例において、エネルギー消費予測データを得た後、さらに、トレーニングセットとテストセットに基づいてエネルギー消費予測結果に対して修正処理を実施することにより、商用電気車両のエネルギー消費予測方法の予測精度をさらに向上させることができる。
【0119】
幾つかの実施例において、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入することは、放電期間データに対して補間処理を実施し、補間処理後の放電期間データを得て、補間処理後の放電期間データ及び走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入することを含む。
【0120】
但し、補間は、離散データに基づいて連続関数を内挿することを指す。これにより、この連続曲線は、指定されたすべての離散データポイントを通過する。補間処理により、限られた数の点での関数の値から、他の点での関数の近似値を推定することができる。
【0121】
具体的には、過去充放電データにデータが欠落している可能性があり、実際の運転条件下で、設定された期間内に、放電時間帯データの欠落など、不完全なデータ情報が存在する可能性があるため、ステップS102で取得された放電期間データは、所定期間内の1つ又は複数の周期の計算値が欠落している非連続的なデータである可能性がある。これに基づいて、まず放電期間データに対して補間処理を実施し、差分処理後の設定された期間を周期とする連続放電期間データを得て、さらに該連続放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入する。
【0122】
上記実施例において、放電期間データをエネルギー消費予測モデルに代入する前に、まず補間処理を実施することにより、入力モデルの放電期間データの連続性を確保し、エネルギー消費予測データの連続性をさらに確保することができ、商用電気車両のエネルギー消費予測方法の柔軟性を向上させるのに役立つ。
【0123】
図6を参照し、幾つかの実施例において、ステップS106はステップS602とステップS604を含む。
【0124】
ステップS602:放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両の初期エネルギー消費予測データを得る。
【0125】
但し、初期エネルギー消費予測データはエネルギー消費予測モデルの予測値である。具体的には、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入すると、商用電気車両の初期エネルギー消費予測データを得ることができる。
【0126】
ステップS604:初期エネルギー消費予測データを所定時間によりグループ化し、各グループの予め設定されたパーセンタイルを対応する所定時間内のエネルギー消費予測データとして取得する。
【0127】
但し、放電期間データは、過去の所定期間内の複数の計算周期の実際データである。初期エネルギー消費予測データは、放電期間データに対応する複数の計算周期の予測データである。即ち、初期エネルギー消費予測データに将来の所定期間内の複数の計算周期の予測データが含まれる。さらに、一連のデータを小さいものから大きいものに並べ替え、対応する累積百分位を計算し、特定の百分位に対応するデータの値は、この百分位におけるパーセンタイルと呼ばれる。50%より大きい予め設定されたパーセンタイルに対応する初期エネルギー消費予測値は、一連の初期エネルギー消費予測データの大きい値であることを理解すべきである。該予め設定されたパーセンタイルの具体的な値は唯一ではなく、例えば85%分位、90%分位又は95%分位であってもよい。
【0128】
具体的には、端末は、初期エネルギー消費データを所定時間によりグループ化して複数の予測データを得て、各グループのデータにおける大きい予め設定された分位数を該グループのエネルギー消費予測データとし、さらに所定期間内の商用電気車両のエネルギー消費予測データを得る。
【0129】
説明すべきことは、上記に記述された所定期間、所定時間及び計算周期の3つの時間概念において、所定期間が最も長く、計算周期が最も短い。さらに、所定時間の値は唯一ではなく、所定期間と計算周期に応じて柔軟に設定できる。例えば、所定時間が3か月で、且つ計算周期が1日である場合、所定期間を10日又は15日に設定できる。
【0130】
上記実施例において、エネルギー消費予測モデルに基づいて、初期エネルギー消費予測データを予測して得て、グループ化後に各グループにおける大きい予め設定されたパーセンタイルをエネルギー消費予測データとして取得することにより、ノイズ値の干渉を取り除いて、エネルギー消費予測データの精度を向上させることができる。
【0131】
幾つかの実施例において、図7に示すように、ステップS106の後、該方法は、商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値とエネルギー消費予測データに基づいて、商用電気車両の故障リスクを特定するステップS108をさらに含む。
【0132】
但し、電池健康状態はSOHとも呼ばれ、新しい電池と比較して現在の電池の電気エネルギーの貯蔵能力を特徴付けることに用いられ、パーセンテージの形で現在の電池の性能状態を定量的に記述する。電池の健康状態は、温度、電流倍率、オフセット電圧などの様々な要因の影響を受け、電池寿命の開始から寿命の終了期間に動的に変化する。
【0133】
具体的には、端末は、商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値に電池定格容量を乗算し、該計算周期内の電池の電量を得て、さらに同じ計算周期内のエネルギー消費予測データに合わせて、該商用電気車両に故障リスクがあるか否かを判断する。連続設定回数の計算周期内に予測された電池健康状態の推定値に対応する電池の電量がすべて対応する計算周期内のエネルギー消費予測値より小さい場合、該車両に高い故障リスクがあると判断する。該設定回数の具体的な値は、4、5又は6であってもよい。
【0134】
さらに、商用電気車両の故障リスクを特定した後、警告情報を出力して、対応するリスク防止策を講じるようにユーザーに提示することもできる。例えば、該車両の監視頻度を増加するようにユーザーに提示するか、又は備品などを準備するようにユーザーに提示する。
【0135】
上記実施例において、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得た後、さらに、商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値とエネルギー消費予測データに基づいて、商用電気車両の故障リスクを特定することで、ユーザーが適時に異常を検出し、対応する対策を講じることができ、商用電気車両の故障確率を低減し、車両の使用安全性を向上させるのに役立つ。
【0136】
理解しやすくするために、以下、図8を参照し、商用電気車両のエネルギー消費予測方法を詳しく説明する。
【0137】
端末は、商用電気車両の過去充放電データと過去走行特徴データを含む過去走行データと電池定格容量を取得する。但し、走行特徴データは、様々な時刻で商用電気車両の位置する都市、及びその都市に対応する気温を含む。過去走行データを取得した後、ますデータを前処理し、重複及び日付が空のデータ行を取り除いて、各車両の充放電時間帯データ情報を抽出し、各充電時間帯の開始SOCと終了SOC、充電容量Qを抽出し、各放電時間帯の開始SOCと終了SOC、放電時間帯の時間などの情報を抽出する。さらに、充放電時間帯のデータを合併し、各充電時間帯が少なくとも1つの放電時間帯に対応し、充電時間帯のみ又は放電時間帯のみを有するデータを破棄する。但し、充電時間帯に対応する放電時間帯は、現在の充電時間帯の充電終了時刻から次の充電時間帯の充電開始時刻までの放電データに対応する放電時間帯である。
【0138】
対応する過去充放電データを得た後、次に過去充放電データに基づいて1日を計算周期として、車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得る。具体的には、まず過去充電データと電池定格容量に基づいて、電池健康状態の式(2)によって計算周期内の商用電気車両の電池健康状態SOHを得て、続いて計算して得られたSOH、電池定格容量及び該充電データに対応する放電データを式(3)と式(4)に代入し、対応する計算周期内の車両的エネルギー消費Cと単位時間のエネルギー消費値Cperを得る。
【0139】
1つの計算周期内、1つの充電時間帯が複数のサブ放電時間帯に対応する場合、各サブ放電時間帯の放電データに合わせて単位時間のエネルギー消費値を計算する。具体的には、各放電時間帯のエネルギー消費を加算し、これらの放電時間帯の総エネルギー消費と放電総時間を得て、次に該総エネルギー消費を放電総時間で割って、単位時間のエネルギー消費値を得ることができる。また、各放電時間帯の放電データに基づいて、各サブ放電時間帯のサブ単位時間のエネルギー消費値をそれぞれ計算して得て、次に各サブ単位時間のエネルギー消費値の平均値又は中央値を充電時間帯に対応する放電時間帯の単位時間のエネルギー消費値とすることもできる。
【0140】
1つの計算周期内、複数の充電時間帯がある場合、各充電時間帯の充電データ及び該充電時間帯に対応する放電時間帯の放電データに基づいて、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費をそれぞれ計算して得る。さらに、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費に基づいて、区別処理を実施する。即ち、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が電池定格容量より小さい場合、該最大エネルギー消費値に基づいて、設定された時間内の単位時間のエネルギー消費値を計算する。各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が電池定格容量以上で、且つ1.2倍の電池定格容量より小さい場合、各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費の平均値に基づいて、設定された時間内の単位時間のエネルギー消費値を計算する。各充電時間帯に対応する放電時間帯のエネルギー消費のうち、最大エネルギー消費値が1.2倍の電池定格容量より大きい場合、エネルギー消費が異常と判断し、該計算周期内の充放電データを破棄する。
【0141】
さらに、単位時間のエネルギー消費値を計算する前に、統計学規則に基づいて、エネルギー消費と放電期間の異常値を処理することもでき、それにより異常データの影響を回避し、エネルギー消費予測精度をさらに向上させる。例えば、±3*sigma又は他の規則を使用し、過去エネルギー消費における外れた値を取り除いて、±1*sigma又は他の規則を使用し、過去エネルギー消費に対応する過去単位時間のエネルギー消費値における外れた値を取り除いて、-1*sigmaより小さく+3*sigmaより大きい過去放電期間データを取り除くことができる。
【0142】
所定期間内の複数の計算周期の過去単位時間のエネルギー消費値に合わせて、商用電気車両の所定期間内の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることができる。過去単位時間のエネルギー消費データを得た後、一方では、該過去単位時間のエネルギー消費データと過去走行データにおける対応する都市の環境温度データとを合併し、合併されたデータセットを得て、該合併されたデータセット及び予め設定されたモデル損失関数に基づいて、モデルをトレーニングしてGBRTモデルを得る。但し、モデル損失関数は式(1)である。一方では、商用電気車両の走行経路が相対的に固定され、使用頻度が現在の業務量と運転中の車両の数の影響を受けやすいことを考慮すると、過去放電期間データを線形補間し、最近の所定期間内の連続放電期間データを得て、該連続放電期間データ及び過去同時期の環境温度データを車両の将来のエネルギー消費の予測に使用する。具体的には、連続放電期間データ及び過去同時期の環境温度データを代入しトレーニングしてGBRTモデルを得ることで、将来の同時期のエネルギー消費予測データを得ることができる。トレーニングによって得られたGBRTモデルは、単位時間のエネルギー消費値と環境温度との関係を特徴付けることができ、これをもとに、過去同時期の環境温度データに基づいて、対応する単位時間のエネルギー消費データを得て、さらに最近の所定期間内の連続放電期間データに基づいて、将来の同時期のエネルギー消費予測データを得ることができることを理解することができる。
【0143】
例えば、過去3か月の放電期間hour_discharge及び過去同時期の環境温度tempatureをモデル入力のXとする場合、将来の3か月エネルギー消費値C(t)を得ることができる。
【数5】
【0144】
エネルギー消費予測データを得た後、エネルギー消費予測データを所定時間によりグループ化し、各グループの予め設定された95%分位を対応する所定時間内のエネルギー消費予測データとする。例えば、将来3か月エネルギー消費予測データを15日によりグループ化し、各グループの95%分位を該グループのエネルギー消費予測値とする。
【0145】
エネルギー消費予測データの精度をさらに向上させるために、4:1の比率によって、過去エネルギー消費データをトレーニングセットとテストセットの2つの部分に分割し、トレーニングセットをエネルギー消費予測モデルに代入し、テストセットに対応するエネルギー消費予測データを得る。さらに、テストセットの実際エネルギー消費データを対応するエネルギー消費予測データと比較し、式(5)によってモデル予測誤差シーケンスを決定する。最後に誤差シーケンスの中央値をエネルギー消費予測モデルの修正値に決定し、式(6)に基づいてエネルギー消費予測値を修正すると、修正後の最終的なエネルギー消費予測データを得ることができる。
【0146】
また、修正後の最終的なエネルギー消費予測データを得た後、端末は、さらに商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値に電池定格容量を乗算し、該計算周期内の電池の電量を得て、さらに同じ計算周期内のエネルギー消費予測データに合わせて、該商用電気車両に故障リスクがあるか否かを判断する。連続5個の計算周期内に予測された電池健康状態の推定値に対応する電池の電量がすべて対応する計算周期内のエネルギー消費予測値より小さい場合、該車両に高い故障リスクがあると判断する。さらに、商用電気車両の故障リスクを特定した後、警告情報を出力して、対応するリスク防止策を講じるようにユーザーに提示することもできる。例えば、該車両の監視頻度を増加するようにユーザーに提示するか、又は備品などを準備するようにユーザーに提示する。
【0147】
上記商用電気車両のエネルギー消費予測方法は、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、エネルギー消費予測データを得ることによって、一方では、商用電気車両の走行経路は比較的固定されているため、走行経路に対応する走行位置特徴データはある程度で商用電気車両の実際運転環境を反映することができ、エネルギー消費予測データの精度を向上させるのに役立ち、一方では、機械学習アルゴリズムによって得られたエネルギー消費予測モデルを使用してエネルギー消費を予測するとともに誤差項を導入し、煩雑な数学的モデリングを省略し、精度を確保するとともに作業効率を向上させることができる。また、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得た後、さらに、商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値とエネルギー消費予測データに基づいて、商用電気車両の故障リスクを特定することで、ユーザーが適時に異常を検出し、対応する対策を講じることができ、商用電気車両の故障確率を低減し、車両の使用安全性を向上させるのに役立つ。
【0148】
上記の各実施例に関するフローチャートの各ステップは、矢印に従って順次表示されているが、これらのステップは、必ず矢印によって示される順序で実行されなければならないことを理解されたい。本明細書に明確に説明されていない限り、これらのステップの実行は、厳密に順次に制限されず、これらのステップは、他の順次で実行されてもよい。また、上記の各実施例に関するフローチャートの少なくとも一部のステップは、複数のステップ又は複数の段階を含んでもよく、これらのステップ又は段階は、必ずしも同じ時刻で実行及び完了する必要がなく、異なる時刻で実行されてもよく、これらのステップ又は段階の実行順序は必ずしも順序実行する必要がなく、他のステップ又は他のステップにおけるステップ又は段階の少なくとも一部と順番又は交互に実行されてもよい。
【0149】
同様の発明思想に基づいて、第2態様によれば、本願の実施例は、上記の商用電気車両のエネルギー消費予測方法を実現するための商用電気車両のエネルギー消費予測装置をさらに提供する。該装置により提供される問題を解决する実施形態は、上記方法に記載されている実施形態と類似しているため、以下に提供される1つ又は複数の商用電気車両のエネルギー消費予測装置の実施例に対する具体的な限定は、前述の商用電気車両のエネルギー消費予測方法に対する限定を参照することができ、ここで、その説明を省略する。
【0150】
幾つかの実施例において、図9に示すように、放電期間取得モジュール902、走行位置特徴取得モジュール904及びエネルギー消費予測モジュール906を含む商用電気車両のエネルギー消費予測装置900を提供する。
【0151】
放電期間取得モジュール902は、商用電気車両の放電期間データを取得することに用いられる。走行位置特徴取得モジュール904は、商用電気車両の走行位置特徴データを取得することに用いられる。エネルギー消費予測モジュール906は、放電期間データと走行位置特徴データを機械学習アルゴリズムによって得られるエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両のエネルギー消費予測データを得ることに用いられる。
【0152】
図10を参照し、幾つかの実施例において、商用電気車両のエネルギー消費予測装置700は、商用電気車両の過去走行データ、電池定格容量及び予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得るためのエネルギー消費予測モデルのトレーニングモジュール905をさらに含む。
【0153】
図11を参照し、幾つかの実施例において、エネルギー消費予測モデルのトレーニングモジュール905は、商用電気車両の過去充放電データと過去走行位置特徴データを含む過去走行データと電池定格容量を取得するためのデータ取得ユニット112と、過去充放電データと電池定格容量に基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを計算して得るためのエネルギー消費データ計算ユニット114と、過去単位時間のエネルギー消費データと過去走行位置特徴データに基づいて、過去エネルギー消費データを得るための過去エネルギー消費データ生成ユニット116と、過去エネルギー消費データと予め設定されたモデル損失関数に基づいて、機械学習アルゴリズムによってモデルをトレーニングし、エネルギー消費予測モデルを得るためのエネルギー消費予測モデルトレーニングユニット118と、を含む。
【0154】
幾つかの実施例において、エネルギー消費データ計算ユニット114は、具体的には、設定された時間を周期として、過去充放電データに基づいて商用電気車両の過去充電データと過去放電データを得ることと、過去充電データと電池定格容量に基づいて、設定された時間内の商用電気車両の電池健康状態を得ることと、電池健康状態、電池定格容量及び過去充電データに対応する過去放電データに基づいて、商用電気車両の過去単位時間のエネルギー消費データを得ることと、に用いられる。
【0155】
図12を参照し、幾つかの実施例において、商用電気車両のエネルギー消費予測装置700は、過去エネルギー消費データをトレーニングセットとテストセットに分割し、トレーニングセットとエネルギー消費予測モデルに基づいてテストセットに対応するエネルギー消費予測データを得て、テストセット及びテストセットに対応するエネルギー消費予測データに基づいて、エネルギー消費予測データに対して修正処理を実施し、修正後のエネルギー消費予測データを得るための修正モジュール122をさらに含む。
【0156】
幾つかの実施例において、エネルギー消費予測モジュール906は、具体的には、放電期間データに対して補間処理を実施し、補間処理後の放電期間データを得て、補間処理後の放電期間データ及び走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入することに用いられる。
【0157】
図13を参照し、幾つかの実施例において、エネルギー消費予測モジュール906は、放電期間データと走行位置特徴データをエネルギー消費予測モデルに代入し、商用電気車両の初期エネルギー消費予測データを得るための初期エネルギー消費予測データ生成ユニット132と、初期エネルギー消費予測データを所定時間によりグループ化し、各グループの予め設定されたパーセンタイルを対応する所定時間内のエネルギー消費予測データとして取得するためのエネルギー消費予測データ生成ユニット134と、を含み、予め設定されたパーセンタイルは50%より大きい。
【0158】
図14を参照し、幾つかの実施例において、商用電気車両のエネルギー消費予測装置700は、商用電気車両の電池健康状態の推定値を取得し、電池健康状態の推定値とエネルギー消費予測データに基づいて、商用電気車両の故障リスクを特定するための故障リスク特定モジュール142をさらに含む。
【0159】
上記商用電気車両のエネルギー消費予測装置の各モジュールのすべて又は一部は、ソフトウェア、ハードウェア及びその組み合わせによって実現される。上記の各モジュールは、ハードウェアの形式によってコンピュータ機器のプロセッサに内蔵されるか、又は独立することができ、また、ソフトウェアの形式によってコンピュータ機器のメモリに記憶されることもでき、それにより、プロセッサが上記の各モジュールに対応する操作を呼び出して実行することは容易にする。
【0160】
幾つかの実施例において、コンピュータ機器を提供する。該コンピュータ機器は端末であってもよく、その内部構成図は図15に示されたものとしてもよい。該コンピュータ機器は、システムバスを介して接続されたプロセッサ、メモリ、通信インターフェース、ディスプレイパネル及び入力装置を含む。但し、該コンピュータ機器のプロセッサは、計算と制御機能を提供することに用いられる。該コンピュータ機器のメモリは、不揮発性記憶媒体、メモリを含む。該不揮発性記憶媒体にはオペレーティングシステムとコンピュータプログラムが記憶されている。該メモリは、不揮発性記憶媒体のオペレーティングシステムとコンピュータプログラムの実行に環境を提供する。該コンピュータ機器の通信インターフェースは、外部の端末と有線又は無線の方式によって通信することに用いられる。無線通信は、WIFI(登録商標)、モバイルセルラーネットワーク、NFC(近距離無線通信)又は他の技術によって実現することができる。該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、商用電気車両のエネルギー消費予測方法を実現する。該コンピュータ機器のディスプレイパネルは、液晶ディスプレイパネル又は電子インクディスプレイパネルであってもよく、該コンピュータ機器の入力装置は、ディスプレイパネルに覆われたタッチ層であってもよく、コンピュータ機器のハウジングに設置されたボタン、トラックボール又はタッチパネルであってもよく、又は外部のキーボード、タッチパネル又はマウスなどであってもよい。
【0161】
図15に示される構造は、本願の方法に関連する一部構造のブロック図のみであり、本願の技術案が応用されるコンピュータ機器を限定するものではない。当業者であれば、具体的なコンピュータ機器は、図に示されるより多く又はより少ない部材、又は幾つかの部材の組み合わせ、又は異なる配置を有する部材を含み得ることを理解することができる。
【0162】
幾つかの実施例において、コンピュータプログラムが記憶されたメモリとプロセッサを含むコンピュータ機器を提供する。該プロセッサがコンピュータプログラムを実行する時、上記の各方法の実施例のステップを実現する。
【0163】
幾つかの実施例において、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、上記の各方法の実施例のステップを実現する。
【0164】
幾つかの実施例において、コンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供する。該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時、上記の各方法の実施例のステップを実現する。
【0165】
当業者は、上記の実施例の方法におけるすべて又は一部のフローがコンピュータプログラムを介して関連するハードウェアに指示することによって実施でき、上記のコンピュータプログラムが不揮発性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されることができ、該コンピュータプログラムを実行する時、上記の各方法の実施例のフローを含んでもよいことを理解することができる。但し、本願により提供される各実施例で使用されるメモリ、データベース又は他の媒体に対する任意の参照はいずれも、不揮発性メモリと揮発性メモリのうちの少なくとも1種を含むことができる。不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、磁気テープ、フロッピーディスク、フラッシュメモリ、光メモリ、高密度埋め込み不揮発性メモリ、抵抗変化型メモリ(ReRAM)、磁気変化型メモリ(Magnetoresistive Random Access Memory、MRAM)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(Ferroelectric Random Access Memory、FRAM(登録商標))、相変化メモリ(Phase Change Memory、PCM)、グラフェンメモリなどを含んでもよい。揮発性メモリは、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)又は外部キャッシュメモリなどを含んでもよい。限定ではなく例示として、RAMは、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory、SRAM)又はダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory、DRAM)など、様々な形態であってもよい。本願により提供される各実施例に関するデータベースは、リレーショナルデータベースと非リレーショナルデータベースのうちの少なくとも1種を含んでもよい。非リレーショナルデータベースは、ブロックチェーンに基づいた分散データベースなどを含んでもよいが、これに限定されない。本願により提供される各実施例に関するプロセッサは、汎用プロセッサ、中央処理装置、グラフィックプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、プログラマブルロジックデバイス、量子計算に基づいたデータ処理ロジックデバイスなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0166】
上記の実施例の各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。説明を簡潔化するために、上記の実施例の各技術的特徴のすべての可能な組み合わせを説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、すべてが本明細書に記載されている範囲に属すると見なされるべきである。
【0167】
前述の実施例は、本願の幾つかの実施形態のみを記述しており、その説明は具体的で、詳細であるが、発明の特許請求の範囲を制限するものとして理解されるべきではない。指摘すべきことは、当業者にとって、本願の思想から逸脱することなく、幾つかの変形や改善を実施することができ、これらはすべて本願の保護範囲に属する。従って、本願の保護範囲は、添付されている特許請求の範囲に準じるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15