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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】在庫システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240814BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240814BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B65G1/137 Z
B65G1/00 501C
B65G1/04 501
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022567680
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 CN2021093422
(87)【国際公開番号】W WO2021228158
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】202010934150.5
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010399405.2
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521439198
【氏名又は名称】北京極智嘉科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING GEEKPLUS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 701,7th Floor,No.101,Floor 1-10,Building 4,No.30 Beiyuan Road Chaoyang District,Beijing 100102 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李洪波
(72)【発明者】
【氏名】盧泓翰
(72)【発明者】
【氏名】王▲くん▼
(72)【発明者】
【氏名】劉凱
(72)【発明者】
【氏名】李考准
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-116006(JP,A)
【文献】特開平11-116005(JP,A)
【文献】特開2004-196440(JP,A)
【文献】特開平11-011611(JP,A)
【文献】特開昭63-001603(JP,A)
【文献】特開2018-188236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/00
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
在庫システムであって、
1つの制御システム、複数のピックアンドプレース機器及び複数の搬送機器を含み、前記複数のピックアンドプレース機器及び前記複数の搬送機器が前記制御システムとそれぞれ通信し、前記複数のピックアンドプレース機器が在庫システムの保管領域で動作し、前記保管領域内に複数の在庫ラックが配備され、前記在庫ラックが複数の仕切り層を有し、各仕切り層が複数の保管場所を含み、1つの前記保管場所に1つの在庫容器が置かれる在庫システムであって、
前記制御システムが、前記保管領域に位置する在庫容器のうちから、目標在庫容器を特定し、及び、前記複数のピックアンドプレース機器のうちから目標ピックアンドプレース機器を特定し、前記複数の搬送機器のうちから目標搬送機器を特定し、前記目標ピックアンドプレース機器及び前記目標搬送機器にスケジューリング命令をそれぞれ送信するように構成され、
前記目標ピックアンドプレース機器が、前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された、前記目標ピックアンドプレース機器に対応する位置まで走行し、前記目標在庫容器を取り出し、前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すように構成され、
前記目標搬送機器が、前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された、前記目標搬送機器に対応する位置まで走行し、前記目標在庫容器を受け取り、前記目標在庫容器を前記保管領域から前記スケジューリング命令により指定されたワークステーションに搬送して業務操作を行うように構成され、
前記目標ピックアンドプレース機器がさらに、取り出された少なくとも1つの前記目標在庫容器を所定中継位置に置くように構成され、
目標搬送機器がさらに、前記スケジューリング命令に応答して、前記所定中継位置まで走行して前記目標在庫容器を取得するように構成され、
前記目標ピックアンドプレース機器がさらに、前記在庫ラックの第1位置の保管場所から少なくとも1つの前記目標在庫容器を取り出して、前記在庫ラックの第2位置の保管場所に置くように構成され、前記第1位置は第2位置より高く、
前記目標搬送機器がさらに、前記スケジューリング命令に応答して、前記第2位置の保管場所に対応する位置まで走行して目標保管容器を取得するように構成され、
前記目標搬送機器がさらに、前記スケジューリング命令に応答して、所定位置まで走行するように構成され、前記所定位置は前記目標ピックアンドプレース機器が前記目標在庫容器を取り出す時に所在する位置に近く、
前記目標ピックアンドプレース機器がさらに、取り出された少なくとも1つの前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に置くように構成され、
前記在庫システムは、1つ又は複数の制御システム、1つ又は複数のピックアンドプレース機器、1つ又は複数の搬送機器及び1つ又は複数の目的点をさらに含み、倉庫が少なくとも1つの在庫ラックからなり、前記在庫ラックが複数層設けられ、前記1つ又は複数の制御システムが前記ピックアンドプレース機器及び前記搬送機器とそれぞれ通信し、
各在庫ラック間の空間が第1レーンを形成し、前記在庫ラックの各層は奥行き方向において少なくとも2つの保管場所が設けられ、前記在庫ラックは前記第1レーンに隣接する少なくとも1面の底部層の位置に1列の第1底部層保管場所が設けられ、前記在庫ラックの底部層における少なくとも一部の第1底部層保管場所に在庫容器が配置され、前記在庫ラックの底部層を除いた他の上部層における少なくとも一部の上部層保管場所に在庫容器が配置され、
前記在庫ラックの底部層における第1底部層保管場所が設けられていない空間が第2レーンを形成し、前記第2レーンが前記在庫ラックの底部層を貫通し、
前記制御システムが、搬送タスクに基づいて、搬送タスクを実行するピックアンドプレース機器及び/又は搬送機器を特定し、前記ピックアンドプレース機器及び搬送機器に前記搬送タスクを実行するための搬送命令をそれぞれ送信するために用いられ、
前記ピックアンドプレース機器が、前記第1レーン内を走行し、前記制御システムにより送信された搬送命令に基づいて、前記在庫ラックの上部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出して、空いている第1底部層保管場所に入れるか、又は前記第1底部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出して、前記上部層保管場所に入れるために用いられ、
前記搬送機器が、前記第1レーン内及び/又は第2レーン内を走行し、前記制御システムにより送信された搬送命令に基づいて、前記第1底部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出すか、又は前記第1底部層保管場所に前記搬送命令により指示された目標在庫容器を入れ、及び前記第1底部層保管場所と前記目的点との間で前記搬送命令により指示された目標在庫容器を搬送するために用いられる、
ことを特徴とする在庫システム。
【請求項2】
前記在庫ラックの各保管場所には、前記ピックアンドプレース機器による前記目標在庫容器の所在する保管場所への認識及び位置合わせのための保管場所ラベルが付けられ、前記目標在庫容器には、前記ピックアンドプレース機器による前記目標在庫容器への認識及び位置合わせのための容器ラベルが付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記在庫ラックの最下仕切り層は予備格納層であり、
前記目標ピックアンドプレース機器がさらに、取り出された前記目標在庫容器を前記予備格納層である最下仕切り層に置くように構成され、
前記目標搬送機器がさらに、前記予備格納層である最下仕切り層から前記目標在庫容器を受け取るように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記在庫ラックの最下仕切り層の下方に予備格納ラックが設けられ、
前記目標ピックアンドプレース機器がさらに、取り出された前記目標在庫容器を前記予備格納ラックに置くように構成され、
前記目標搬送機器がさらに、前記予備格納ラックから前記目標在庫容器を受け取るように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記目標在庫容器がその所在する仕切り層の奥行き方向における後列に位置し、
前記目標ピックアンドプレース機器がさらに、前記目標在庫容器の所在する仕切り層の前列に他の在庫容器が存在しない場合、前記目標在庫容器を直接取り出し、目標在庫容器の所在する仕切り層の前列に目標在庫容器を阻害する少なくとも1つの在庫容器が存在する場合、まず前列に位置する少なくとも1つの在庫容器を順に取り出して、仮格納ラックの少なくとも1つの保管場所に順に置き、次に前記目標在庫容器を取り出して、前記仮格納ラックの1つの保管場所に置き、さらに前記前列に位置する少なくとも1つの在庫容器を、前記前列に位置する少なくとも1つの在庫容器が取り出された仕切り層に戻すように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
在庫方法であって、
制御システムが在庫システムの保管領域に位置する在庫容器のうちから、目標在庫容器を特定するステップと、
前記制御システムが複数のピックアンドプレース機器のうちから目標ピックアンドプレース機器を特定し、複数の搬送機器のうちから目標搬送機器を特定し、前記目標ピックアンドプレース機器及び前記目標搬送機器にスケジューリング命令をそれぞれ送信するステップであって、前記複数のピックアンドプレース機器及び前記複数の搬送機器は前記制御システムとそれぞれ通信し、前記複数のピックアンドプレース機器は前記保管領域で動作し、前記保管領域内に複数の在庫ラックが配備され、前記在庫ラックは複数の仕切り層を有し、各仕切り層は複数の保管場所を含み、1つの前記保管場所に1つの在庫容器が置かれるステップと、
前記目標ピックアンドプレース機器が前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された、前記目標ピックアンドプレース機器に対応する位置まで走行し、前記目標在庫容器を取り出し、前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すステップと、
前記目標搬送機器が前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された、前記目標搬送機器に対応する位置まで走行し、前記目標在庫容器を受け取り、前記目標在庫容器を前記保管領域から前記スケジューリング命令により指定されたワークステーションに搬送して業務操作を行うステップと、を含み、
前記目標ピックアンドプレース機器が前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すステップは、
前記目標ピックアンドプレース機器が前記スケジューリング命令に応答して、取り出された少なくとも1つの前記目標在庫容器を所定中継位置に置くステップと、
前記目標搬送機器が前記スケジューリング命令に応答して、前記所定中継位置まで走行して前記目標在庫容器を取得するステップと、を含み、
前記目標ピックアンドプレース機器が前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すステップは、
前記目標ピックアンドプレース機器が前記スケジューリング命令に応答して、前記在庫ラックの第1位置の保管場所から少なくとも1つの前記目標在庫容器を取り出して、前記在庫ラックの第2位置の保管場所に置くステップであって、前記第1位置は第2位置より高いステップと、
前記目標搬送機器が前記スケジューリング命令に応答して、前記第2位置の保管場所に対応する位置まで走行して目標保管容器を取得するステップと、を含み、
各在庫ラック間の空間が第1レーンを形成し、前記在庫ラックの各層は奥行き方向において少なくとも2つの保管場所が設けられ、前記在庫ラックは前記第1レーンに隣接する少なくとも1面の底部層の位置に1列の第1底部層保管場所が設けられ、前記在庫ラックの底部層における少なくとも一部の第1底部層保管場所に在庫容器が配置され、前記在庫ラックの底部層を除いた他の上部層における少なくとも一部の上部層保管場所に在庫容器が配置され、
前記在庫ラックの底部層における第1底部層保管場所が設けられていない空間が第2レーンを形成し、前記第2レーンが前記在庫ラックの底部層を貫通し、
前記制御システムが、搬送タスクに基づいて、搬送タスクを実行するピックアンドプレース機器及び/又は搬送機器を特定し、前記ピックアンドプレース機器及び搬送機器に前記搬送タスクを実行するための搬送命令をそれぞれ送信するために用いられ、
前記ピックアンドプレース機器が、前記第1レーン内を走行し、前記制御システムにより送信された搬送命令に基づいて、前記在庫ラックの上部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出して、空いている第1底部層保管場所に入れるか、又は前記第1底部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出して、前記上部層保管場所に入れるために用いられ、
前記搬送機器が、前記第1レーン内及び/又は第2レーン内を走行し、前記制御システムにより送信された搬送命令に基づいて、前記第1底部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出すか、又は前記第1底部層保管場所に前記搬送命令により指示された目標在庫容器を入れ、及び前記第1底部層保管場所と目的点との間で前記搬送命令により指示された目標在庫容器を搬送するために用いられる、
ことを特徴とする在庫方法。
【請求項7】
前記在庫ラックの各保管場所には、前記ピックアンドプレース機器による前記目標在庫容器の所在する保管場所への認識及び位置合わせのための保管場所ラベルが付けられ、前記目標在庫容器には、前記ピックアンドプレース機器による前記目標在庫容器への認識及び位置合わせのための容器ラベルが付けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記目標在庫容器がその所在する仕切り層の奥行き方向における後列に位置し、
前記目標ピックアンドプレース機器が前記スケジューリング命令により指定された、前記目標ピックアンドプレース機器に対応する位置まで走行し、前記目標在庫容器を取り出すステップは、
前記目標在庫容器の所在する仕切り層の前列に他の在庫容器が存在しない場合、前記目標ピックアンドプレース機器が前記目標在庫容器を直接取り出すステップと、
目標在庫容器の所在する仕切り層の前列に目標在庫容器を阻害する少なくとも1つの在庫容器が存在する場合、前記目標ピックアンドプレース機器が、まず前列に位置する少なくとも1つの在庫容器を順に取り出して、仮格納ラックの少なくとも1つの保管場所に順に置き、次に前記目標在庫容器を取り出して、前記仮格納ラックの1つの保管場所に置き、さらに前記前列に位置する少なくとも1つの在庫容器を、前記前列に位置する少なくとも1つの在庫容器が取り出された仕切り層に戻すステップと、を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記在庫ラックの底部層はすべて前記第1底部層保管場所が設けられ、
前記搬送機器が前記第1レーン内を走行する、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記在庫ラックにおける前記第1レーンに隣接しない底部層の位置に少なくとも1列の第2底部層保管場所がさらに設けられ、前記在庫ラックの底部層における少なくとも一部の第2底部層保管場所に在庫容器が配置され、
前記在庫ラックの底部層における第1底部層保管場所及び第2底部層保管場所が設けられていない空間が第2レーンを形成する、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記搬送機器がさらに、前記制御システムにより送信された搬送命令に基づいて、前記第2底部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出すか、又は前記第2底部層保管場所に前記搬送命令により指示された目標在庫容器を入れ、及び前記第2底部層保管場所と前記目的点との間又は前記第1底部層保管場所と前記第2底部層保管場所との間で前記搬送命令により指示された目標在庫容器を搬送するために用いられる、ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御システムがさらに、前記ピックアンドプレース機器に位置変更命令を送信するために用いられ、
前記ピックアンドプレース機器がさらに、前記位置変更命令に基づいて、前記位置変更命令により指示された目標在庫容器を現在の保管場所から第1底部層保管場所、第2底部層保管場所及び第2レーンの上方の上部層保管場所のうちの少なくとも1つに変更するために用いられる、ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ピックアンドプレース機器がさらに、前記位置変更命令に基づいて、前記位置変更命令により指示された目標在庫容器を第1底部層保管場所から第2レーンの上方の上部層保管場所に変更するために用いられる、ことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記在庫ラックの底部層における少なくとも一部の第1底部層保管場所及び少なくとも一部の第2底部層保管場所の在庫容器ラックの高さが、前記搬送機器が在庫容器を載置していない時の高さより高く、
前記搬送機器がさらに、在庫容器を載置していない時に前記少なくとも一部の第1底部層保管場所及び少なくとも一部の第2底部層保管場所の下方を選択的に通過するか、又は、前記少なくとも一部の第1底部層保管場所及び少なくとも一部の第2底部層保管場所の下方からピギーバックの方式で前記目標在庫容器を搬送して離間するために用いられる、ことを特徴とする請求項9~10のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年5月12日に中国特許局に出願した出願番号202010399405.2、発明の名称「在庫システム及び方法」、及び2020年9月8日に中国特許局に出願した出願番号202010934150.5、発明の名称「倉庫における搬送スケジューリングシステム及び方法」の中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本願の実施例は倉庫保管の技術分野に関し、特に在庫システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
「グッズトゥパーソン」のシーンにおいて、ロボットは注文情報に基づき、倉庫の棚から注文情報で要求される物品又は容器を取り出し、取り出された物品又は容器をピッキングステーションに搬送することができ、さらにピッキングステーションにおける作業者又はマニピュレータ等はピッキング出庫の操作を完了する。
【0004】
現在、関連技術のピッキングプロセスにおいて、ロボットは棚からの「取り出し」操作を実行する必要があることに加えて、「取り出し」操作の取り出し結果に基づく「搬送」操作を実行する必要もあり、明らかに、その搬送に大量の時間がかかり、ピッキング効率が低下する。棚からの「取り出し」操作は、通常、特殊な機構を備えるロボットでなければ実行できず、一方、このようなロボットはコストが比較的高く、ピッキング効率を高めるためにこのようなロボットをピッキングプロセスにさらに多く追加すれば、ロボット数の増加に伴い、ロボットのコストも増加してしまう。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施例は、在庫システムにおいてロボットのピッキング効率とロボットのコストを両立できないという問題を少なくとも部分的に解決するために、在庫システム及び方法を提供する。
【0006】
第1態様において、本願の実施例は、1つの制御システム、複数のピックアンドプレース機器及び複数の搬送機器を含み、前記複数のピックアンドプレース機器及び前記複数の搬送機器が前記制御システムとそれぞれ通信し、前記複数のピックアンドプレース機器が前記在庫システムの保管領域で動作し、前記保管領域内に複数の在庫ラックが配備され、前記在庫ラックが複数の仕切り層を有し、各仕切り層が複数の保管場所を含み、前記1つの保管場所に1つの在庫容器が置かれる在庫システムであって、
前記制御システムは、前記保管領域に位置する在庫容器のうちから、目標在庫容器を特定し、及び、前記複数のピックアンドプレース機器及び複数の搬送機器のうちから、目標ピックアンドプレース機器及び目標搬送機器をそれぞれ特定し、前記目標ピックアンドプレース機器及び前記目標搬送機器にスケジューリング命令をそれぞれ送信するように構成され、
前記目標ピックアンドプレース機器は、前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、前記目標在庫容器を取り出し、前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すように構成され、
前記目標搬送機器は、前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、前記目標在庫容器を受け取り、前記目標在庫容器を前記保管領域から前記スケジューリング命令により指定されたワークステーションに搬送して業務操作を行うように構成される、在庫システムを提供する。
【0007】
第2態様において、本願の実施例は、
制御システムは在庫システムの保管領域に位置する在庫容器のうちから、目標在庫容器を特定するステップと、
前記制御システムは前記複数のピックアンドプレース機器及び複数の搬送機器のうちから、目標ピックアンドプレース機器及び目標搬送機器をそれぞれ特定し、前記目標ピックアンドプレース機器及び前記目標搬送機器にスケジューリング命令をそれぞれ送信するステップであって、前記複数のピックアンドプレース機器及び前記複数の搬送機器は前記制御システムとそれぞれ通信し、前記複数のピックアンドプレース機器は前記保管領域で動作し、前記保管領域内に複数の在庫ラックが配備され、前記在庫ラックは複数の仕切り層を有し、各仕切り層は複数の保管場所を含み、前記1つの保管場所に1つの在庫容器が置かれるステップと、
前記目標ピックアンドプレース機器は前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、前記目標在庫容器を取り出し、前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すステップと、
前記目標搬送機器は前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、前記目標在庫容器を受け取り、前記目標在庫容器を前記保管領域から前記スケジューリング命令により指定されたワークステーションに搬送して業務操作を行うステップと、を含む、在庫方法をさらに提供する。
【0008】
第3態様において、本願の実施例は、1つ又は複数の制御システム、1つ又は複数のピックアンドプレース機器、1つ又は複数の搬送機器及び1つ又は複数の目的点を含み、倉庫が少なくとも1つの在庫ラックからなり、前記在庫ラックが複数層設けられ、前記制御システムが前記ピックアンドプレース機器及び前記搬送機器とそれぞれ通信する在庫システムであって、
各在庫ラック間の空間は第1レーンを形成し、前記在庫ラックの各層は奥行き方向において少なくとも2つの保管場所が設けられ、前記在庫ラックは前記第1レーンに隣接する少なくとも1面の底部層の位置に1列の第1底部層保管場所が設けられ、前記在庫ラック底部層における少なくとも一部の第1底部層保管場所に在庫容器が配置され、前記在庫ラックの底部層を除いた他の上部層における少なくとも一部の上部層保管場所に在庫容器が配置され、
前記在庫ラックの底部層において第1底部層保管場所が設けられていない空間は第2レーンを形成し、前記第2レーンは前記在庫ラックの底部層を貫通し、
前記制御システムは、搬送タスクに基づき、搬送タスクを実行するピックアンドプレース機器及び/又は搬送機器を特定し、前記ピックアンドプレース機器及び搬送機器に前記搬送タスクを実行するための搬送命令をそれぞれ送信するために用いられ、
前記ピックアンドプレース機器は前記第1レーン内を走行するものであり、前記制御システムにより送信された搬送命令に基づき、前記在庫ラックの上部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出し、空いている第1底部層保管場所に入れるか、又は前記第1底部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出し、前記上部層保管場所に入れるために用いられ、
前記搬送機器は前記第1レーン内及び/又は第2レーン内を走行するものであり、前記制御システムにより送信された搬送命令に基づき、前記第1底部層保管場所から前記搬送命令により指示された目標在庫容器を取り出すか、又は前記第1底部層保管場所に前記搬送命令により指示された目標在庫容器を入れ、及び前記第1底部層保管場所と前記目的点との間で前記搬送命令により指示された目標在庫容器を搬送するために用いられる、在庫システムをさらに提供する。
【0009】
第4態様において、本願の実施例は、倉庫が少なくとも、1つ又は複数のピックアンドプレース機器、1つ又は複数の搬送機器及び1つ又は複数の目的点を含み、前記倉庫が少なくとも1つの在庫ラックからなり、前記在庫ラックが複数層設けられ、各在庫ラック間の空間が第1レーンを形成し、前記在庫ラックの各層に奥行き方向において少なくとも2つの保管場所が設けられ、前記在庫ラックの前記第1レーンに隣接する少なくとも1面の底部層の位置に1列の第1底部層保管場所が設けられ、前記在庫ラック底部層における少なくとも一部の第1底部層保管場所に在庫容器が配置され、前記在庫ラックの底部層を除いた他の上部層における少なくとも一部の上部層保管場所に在庫容器が配置され、前記在庫ラックの底部層において第1底部層保管場所が設けられていない空間が第2レーンを形成し、前記第2レーンが前記在庫ラックの底部層を貫通する在庫方法であって、
実行待ちの搬送タスクを特定するステップと、
前記搬送タスクに基づき、搬送タスクを実行するピックアンドプレース機器及び/又は搬送機器を特定するステップと、
前記ピックアンドプレース機器が前記第1レーン内を走行し、前記搬送機器が前記第1レーン内及び/又は第2レーン内を走行し、両者が協働して搬送命令により指示された目標在庫容器を前記倉庫の上部層保管場所又は第1底部層保管場所から前記目的点まで搬送するか、又は前記搬送命令により指示された目標在庫容器を前記目的点から前記倉庫の上部層保管場所又は第1底部層保管場所に搬送するように、前記ピックアンドプレース機器及び搬送機器に前記搬送タスクを実行するための搬送命令をそれぞれ送信するステップと、を含む、在庫方法をさらに提供する。
【0010】
本願の実施例は在庫システムを提供し、在庫ピッキングプロセスにおいて、ピックアンドプレース機器と搬送機器を協働させるように使用し、制御システムはピックアンドプレース機器が在庫システムの保管領域の目標在庫容器まで走行するようにスケジューリングすることができ、ピックアンドプレース機器は保管領域内でのみ動作可能であり、保管領域に位置する在庫容器から目標在庫容器を取り出して垂直に搬送する。また、制御システムは、搬送機器が在庫システムの保管領域の目標在庫容器まで走行するようにスケジューリングすることもでき、搬送機器は保管領域とワークステーションとの間を往復可能であり、ピックアンドプレース機器により取り出された目標在庫容器を水平に搬送して、スケジューリング命令により指定されたワークステーションに搬送して業務操作を行う。
【0011】
本願の解決手段を採用すれば、ピックアンドプレース機器は、水平搬送操作に大量の時間及び搬送リソースがかかることなく、荷取り操作においてその主動性を十分に発揮でき、こうしてピッキング効率を高めるためにピックアンドプレース機器をさらに多く設ける必要がなくなり、それにより、ピックアンドプレース機器投入の増加による機器コストを削減することができる。また、搬送機器のコストがピックアンドプレース機器より低く、且つ柔軟性がピックアンドプレース機器の柔軟性より高いため、機器コストを削減できるだけでなく、水平搬送操作において水平搬送コストをさらに多く節約することもできる。これらのことから分かるように、本願の解決手段はピックアンドプレース機器及び搬送機器がそれぞれの動作領域範囲内でそれぞれの役割を果たし、各々のリソース優位性を十分に発揮することができ、ピックアンドプレース機器と搬送機器の優位性の相互補完を実現し、ピッキング効率を高め、在庫ピッキング効率と機器コストの両立を確保することができる。
【0012】
本願の実施例で提供される荷物ピッキングを実現するための在庫システム及び方法は、従来技術においてレーンシャトルの走行速度が遅いことにより、倉庫搬送効率、荷物ピッキング効率が向上しにくいという問題を少なくとも部分的に解決するために用いられる。
【0013】
本願の実施例で採用される上記少なくとも1つの技術的解決手段は次の有益な効果を達成することができる。
倉庫に設けられた在庫ラックによって、在庫ラック間の空間を第1レーンとし、在庫ラックの底部層において第1底部層保管場所が設けられていない、在庫ラックの底部層を貫通する空間を第2レーンとすることで、倉庫はピックアンドプレース機器及び搬送機器を組み合わせて使用し、両者の協働によって倉庫内で荷物を搬送することができ、ピックアンドプレース機器は第1レーン内を走行でき、一方、搬送機器は第1レーン及び/又は第2レーン内を走行できる。搬送機器が在庫ラックの底部層空間を走行できるため、その走行速度は自機器の高さに影響されず、搬送機器が走行するレーンはピックアンドプレース機器と異なってもよいので、本願はピックアンドプレース機器と搬送機器の走行の分離を実現し、高速で走行可能な搬送機器と、上部層保管場所での搬送が可能なピックアンドプレース機器との協働によって、ピックアンドプレース機器の走行速度が遅いことによる問題を回避し、倉庫搬送効率、荷物ピッキング効率を高めることができる。
【0014】
上記発明の概要は本願の技術的解決手段の概略説明に過ぎず、本願の技術的解決手段をより明確に理解して、明細書の内容に従って実施でき、及び本願の上記及び他の目的、特徴及び利点をより容易に理解できるように、以下において、本願の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下の図面を参照しながら非限定的な実施例についてなされる詳細な説明を読んだ上で、本願の他の特徴、目的及び利点はより明らかになる。図面は好ましい実施形態を示すためのものに過ぎず、本願を限定するものとは認められない。また、図面全体にわたって、同じ符号を使用して同じ部材を表す。図面の説明を次に記載する。
図1】本願の実施例で提供される在庫システムの構造ブロック図である。
図2】本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器と搬送機器に基づく在庫ピッキングの模式図である。
図3】本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器及び搬送機器をスケジューリングする平面模式図である。
図4】本願の実施例で提供される在庫ラック群の正面模式図である。
図5】本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器が目標在庫容器をピックアンドプレースする正面図である。
図6-1】本願の実施例で提供される別のピックアンドプレース機器が目標在庫容器をピックアンドプレースする正面図である。
図6-2】本願の実施例で提供される別の在庫ラックの模式図である。
図7-1】本願の実施例で提供されるジャッキアップ式搬送ロボットの構造模式図である。
図7-2】本願の実施例で提供されるジャッキアップ式搬送ロボットの構造模式図である。
図8】本願の実施例で提供される在庫容器が1つの仕切り層に置かれる模式図である。
図9】本願の実施例で提供される在庫方法の手順図である。
図10】従来の倉庫で使用されるレーンシャトルの模式図である。
図11】本願の実施例で提供される在庫システムの模式図である。
図12】本願の実施例で提供される立体倉庫の平面模式図である。
図13】本願の実施例で提供される在庫システムにおけるピックアンドプレース機器の動作領域及び搬送機器の動作領域の模式図である。
図14】本願の実施例で提供される在庫ラックの形態模式図である。
図15】本願の実施例で提供される在庫ラックの形態模式図である。
図16a】本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器の模式図である。
図16b】本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器の模式図である。
図16c】本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器の模式図である。
図17】本願の実施例で提供される搬送機器が在庫容器をピックアンドプレースする保管場所の位置模式図である。
図18】本願の実施例で提供される搬送機器が側方から在庫容器をピックアンドプレースする模式図である。
図19】本願の実施例で提供される昇降機器の作動模式図である。
図20】本願の実施例で提供される目的点の予備格納エリアの模式図である。
図21】本願の実施例で提供される在庫手順模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、図面を参照しながら本願の例示的な実施例をより詳細に説明し、図面には本願の例示的な実施例を示すが、ここで説明される例示的な実施例は単に本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないことを理解すべきである。むしろ、本願は、本願をより徹底的に理解し、本願の範囲を当業者に完全に伝えることができる目的で、これらの実施例を提供する。また、説明すべきことは、説明の便宜上、図面には全ての構造ではなく本願に関する部分のみを示す点である。
【0017】
例示的な実施例をより詳細に検討する前に、指摘すべきことは、いくつかの例示的な実施例は手順図として描いた処理又は方法として説明される点である。手順図は各操作(又はステップ)を逐次の処理として説明するが、その多くの操作(又はステップ)は並列に、並行に又は同時に実施されてもよい。また、各操作の順序は並べ替えてもよい。操作が完了した時に前記処理は終了されてもよいが、図面に含まれていない付加的なステップをさらに有してもよい。前記処理は方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラム等に対応してもよい。
【0018】
以下において本願の実施例で提供される在庫システム及び在庫方法について、以下の各実施例及びその代替形態により詳細に説明する。
【0019】
図1は本願の実施例で提供される在庫システムの構造ブロック図であり、本実施例の技術的解決手段は在庫ピッキングのシーンにおける在庫容器ピッキングに適用することができる。図1に示すように、本願の実施例で提供される在庫システム100は、1つの制御システム110、複数のピックアンドプレース機器120及び複数の搬送機器130を含んでもよい。複数のピックアンドプレース機器120及び複数の搬送機器は制御システム110とそれぞれ通信し、複数のピックアンドプレース機器は在庫システム100の保管領域150で動作する。
【0020】
制御システム110は、保管領域150に位置する在庫容器のうちから、目標在庫容器を特定し、及び、複数のピックアンドプレース機器120及び複数の搬送機器130のうちから、目標ピックアンドプレース機器及び目標搬送機器をそれぞれ特定し、目標ピックアンドプレース機器及び目標搬送機器にスケジューリング命令をそれぞれ送信するように構成され、
ピックアンドプレース機器120及び搬送機器130は、制御システムにより送信されたスケジューリング命令に応答して、それぞれ目標在庫容器へ走行するように構成され、
目標ピックアンドプレース機器120は、制御システム110により送信されたスケジューリング命令に応答して、スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、目標在庫容器を取り出し、及び、目標在庫容器を目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すように構成され、
目標搬送機器130は、制御システム110により送信されたスケジューリング命令に応答して、スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、前記目標在庫容器を受け取り、及び、目標在庫容器を保管領域からスケジューリング命令により指定されたワークステーション140まで搬送して業務操作を行うように構成される。
【0021】
本願の一実施例において、前記目標ピックアンドプレース機器はさらに、取り出された少なくとも1つの前記目標在庫容器を所定中継位置に置くように構成され、
目標搬送機器はさらに、前記スケジューリング命令に応答して、前記中継位置まで走行して前記目標在庫容器を取得するように構成される。
【0022】
前記中継位置は保管領域内の、在庫ラック外のある位置であってもよい。
【0023】
本願の一実施例において、選択的に、前記目標ピックアンドプレース機器はさらに、前記在庫ラックの第1位置の保管場所から少なくとも1つの前記目標在庫容器を取り出し、前記在庫ラックの第2位置の保管場所に置くように構成され、前記第1位置は第2位置より高く、
前記目標搬送機器はさらに、前記スケジューリング命令に応答して、前記第2位置の保管場所に対応する位置まで走行して前記目標保管容器を取得するように構成される。
【0024】
前記在庫ラックの第1位置は、例えば、前記在庫ラックの最上層であってもよく、前記第2位置は前記在庫ラックの最下層であってもよい。1つの5層在庫ラックを例にし、第1位置は最上の2層の1つであってもよく、第2位置は最下の2層の1つであってもよい。
【0025】
本願の一実施例において、選択的に、前記目標搬送機器はさらに、前記スケジューリング命令に応答して、所定位置まで走行するように構成され、前記所定位置は前記目標ピックアンドプレース機器が前記目標在庫容器を取り出す時に所在する位置に近く、前記目標ピックアンドプレース機器はさらに、取り出された少なくとも1つの前記目標在庫容器を前記目標搬送機器上に置くように構成される。
【0026】
所定位置と前記目標ピックアンドプレース機器が前記目標在庫容器を取り出す時に所在する位置とが近いことにより、前記目標ピックアンドプレース機器は前記目標在庫容器を取り出した後に容易に最寄りの前記所定位置に置くことができる。
【0027】
前記所定位置は保管領域内の、在庫ラック外のある位置であってもよい。
【0028】
本願の一実施例において、選択的に、搬送機器は輸送装置であってもよく、前記目標ピックアンドプレース機器はさらに、取り出された少なくとも1つの前記目標在庫容器を前記目標搬送機器上に置くように構成される。
【0029】
本願の一実施例において、選択的に、前記ピックアンドプレース機器の高さは前記搬送機器の高さより高い。こうしてピックアンドプレース機器は取り出された目標在庫容器をより容易に置くことができる。
【0030】
本願の一実施例において、選択的に、前記目標ピックアンドプレース機器が前記目標在庫容器を取り出す位置と前記指定されたワークステーション位置は異なる区画に位置する。
【0031】
例えば、前記目標在庫容器は一般的に保管領域で取り出され、その後、搬送機器によりワークステーションに運ばれる。保管領域と前記ワークステーションは一般的に異なる領域に位置する。
【0032】
本実施例において、図2は本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器と搬送機器に基づく在庫ピッキングの模式図である。図2を参照し、制御システム110は、ピックアンドプレース機器120と搬送機器130が協働して在庫ピッキング操作の実行を完了するように、各ピックアンドプレース機器120及び各搬送機器130への制御及びタスクのスケジューリングを実現するために、在庫システムに含まれる複数のピックアンドプレース機器120及び複数の搬送機器130との通信接続をそれぞれ確立してもよい。選択的に、制御システム110とは、データ情報記憶及びデータ情報処理能力を有するソフトウェア及び/又はハードウェアシステムをいい、無線の方式でピックアンドプレース機器120及び搬送機器130並びに在庫システム100における他のハードウェア機器又はソフトウェアシステムとの通信接続をそれぞれ確立することができる。制御システム110には1つ又は複数の制御サーバが含まれてもよい。選択的に、制御システム110は在庫システム100におけるピックアンドプレース機器120及び搬送機器130並びに他のハードウェア機器又はソフトウェアシステムにスケジューリングタスクを送信し、保管領域内の在庫容器の保管状況を統計し、在庫システムの作動状態を検出し、作業者に情報等を伝達してもよい。
【0033】
本実施例において、図2を参照し、制御システム110は注文タスクに基づいて保管領域150に位置する多数の在庫容器から、どの在庫容器が注文タスクに該当する在庫容器であるかを特定し、それを目標在庫容器として特定することができる。選択的に、目標在庫容器は在庫システムで保管された在庫物品を収容・保管するために用いられ得る。例えば、在庫容器は保管容器又は材料箱のようなものであってもよい。
【0034】
本実施例において、図2を参照し、制御システム110はさらに、目標在庫容器とピックアンドプレース機器120及び搬送機器130とのそれぞれの距離、及びピックアンドプレース機器120と搬送機器130の作動状態に基づき、複数のピックアンドプレース機器120から目標ピックアンドプレース機器を選択し、複数の搬送機器130から目標搬送機器を選択することができる。選択的に、目標ピックアンドプレース機器は目標在庫容器に最も近く且つアイドル状態にあるピックアンドプレース機器であってもよく、目標搬送機器は目標在庫容器に最も近く且つアイドル状態にある搬送機器であってもよい。
【0035】
本実施例において、図2を参照し、制御システム110は目標ピックアンドプレース機器及び目標搬送機器にスケジューリング命令をそれぞれ送信することができ、目標ピックアンドプレース機器及び目標搬送機器はスケジューリング命令に従ってそれぞれ目標在庫容器の所在する位置へ移動することができる。選択的に、制御システム110は、目標ピックアンドプレース機器及び目標搬送機器がスケジューリング命令により指定された位置まで同時に到達するか、又はスケジューリング命令により指定された位置まで到達する時間の前後間隔が所定時間値未満であるように、同時にスケジューリングを行ってもよい。このようにして、ピックアンドプレース機器と搬送機器の同期スケジューリングを実現することができ、ピックアンドプレース機器と搬送機器はできる限り同一時間で指定位置に到達できるようになる。ピックアンドプレース機器と搬送機器を同期してスケジューリングすることで、目標在庫容器への搬送機器の早すぎる到達又は目標在庫容器へのピックアンドプレース機器の早すぎる到達を回避し、さらに目標ピックアンドプレース機器又は目標搬送機器が長時間他方を待たなければならないことにより、目標搬送機器がその搬送能力を十分に発揮できないこと又は目標ピックアンドプレース機器がそのピックアンドプレース能力を十分に発揮できないことを回避できる。
【0036】
本実施例において、図2を参照し、在庫システムの保管領域150の床面上に位置特定ラベルが設けられる。目標ピックアンドプレース機器は保管領域150の床面上に設けられる位置特定ラベルで生成されたマップに基づいて位置を特定することができ、及び、目標ピックアンドプレース機器は制御システム110により送信されたスケジューリング命令に基づいて位置特定ラベルで生成されたマップに従ってスケジューリング命令により指示された位置特定ラベルまで走行することもでき、それによって、目標ピックアンドプレース機器は目標在庫容器の所在する位置まで移動できる。同様に、目標搬送機器も保管領域150の床面上に設けられる位置特定ラベルで生成されたマップに基づいて位置を特定することができ、及び、目標搬送機器は制御システム110により送信されたスケジューリング命令に基づいて位置特定ラベルで生成されたマップに従ってスケジューリング命令により指示された同一の位置特定ラベルまで走行することもでき、さらに目標在庫容器の所在する位置まで移動できる。上記位置特定ラベルは具体的に、二次元コード位置特定ラベルであってもよい。こうして、ピックアンドプレース機器は走行中に目標在庫容器を迅速に見つけることができ、ピックアンドプレース時間が節約され、ピックアンドプレース効率が向上し、及び、搬送機器は走行中に目標在庫容器を迅速に見つけることができ、搬送時間が節約され、搬送効率が向上し、ピッキング効率がさらに向上する。
【0037】
本実施例において、図2を参照し、在庫システムの保管領域150内に複数の在庫ラック160が配備され、在庫ラック160は複数の仕切り層を有し、各仕切り層は複数の保管場所を含み、1つの保管場所に1つの在庫容器が置かれる。こうして、目標在庫容器は対応する在庫ラックの保管場所に置いて保管することができる。選択的に、スケジューリング命令により指定された位置は目標在庫容器の所在する在庫ラックの保管場所近傍であってもよい。
【0038】
本実施例において、引き続き図2を参照し、目標ピックアンドプレース機器が目標在庫容器の所在する在庫ラックまで走行した場合に、目標ピックアンドプレース機器は対応する在庫ラックの保管場所から注文タスクに該当する目標在庫容器を取り出すことができる。目標搬送機器が目標在庫容器の所在する在庫ラックまで走行した場合に、目標ピックアンドプレース機器は取り出された目標在庫容器を目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すことができる。目標搬送機器は目標在庫容器を受け取り、受け取られた目標在庫容器を保管領域からスケジューリング命令により指定されたワークステーションに搬送して業務操作を行うことで、出庫ピッキング操作を実現することができる。保管領域内に配備される在庫ラックは仕切り板棚であってもよく、在庫容器は箱型保管容器又は材料箱であってもよい。このようにして、ピックアンドプレース機器及び搬送機器はそれぞれの作動領域範囲内でそれぞれの役割を果たし、各々のリソース優位性を十分に発揮することができる。
【0039】
本実施例において、引き続き図2を参照し、ピックアンドプレース機器は在庫システムの保管領域150でのみ動作可能であり、搬送機器130は保管領域150とワークステーション140との間を往復可能である。このようにして、ピックアンドプレース機器120及び搬送機器130はそれぞれの動作領域内でそれぞれのリソース優位性を十分に発揮することができ、さらにピックアンドプレース機器120と搬送機器130の協働によって在庫ピッキングと出庫操作を実行し、ピックアンドプレース機器120と搬送機器130の優位性の相互補完を実現し、在庫ピッキング効率と機器コストの両立という効果を達成することができる。
【0040】
本実施例において、図2を参照し、ピッキングのシーンを例にし、ワークステーション140にはピッキング容器、ピッキング表示機器及びピッキング走査機器が設けられてもよい。目標在庫容器をワークステーション140に搬送した後、作業者はピッキング表示機器で示される注文タスク情報に基づいてピッキング作業を行い、目標在庫容器から在庫物品を注文タスクに対応するピッキング容器内へピッキングし、今回のピッキングタスクの処理が完了した後、制御システム110に、次の注文タスクのピッキングタスクをプッシュすることを促すことができる。選択的に、ワークステーション140にマニピュレータを設けてもよく、マニピュレータにピッキング走査機器を取り付けてもよく、マニピュレータにおけるピッキング走査機器によって自動的に走査認識を行い、目標在庫容器から注文タスクの要求を満たす在庫物品をつかみ上げてピッキング容器内に置き、こうしてピッキング効率を高めるとともに、手動ピッキングによるピッキング誤りという問題を低減することができる。
【0041】
説明すべきことは、図2を参照し、上記ピックアンドプレース機器120及び搬送機器130は異なる機能操作をそれぞれ実現可能なロボットである点である。ピックアンドプレース機器120の柔軟性は搬送機器130の柔軟性より低く、例えば、ピックアンドプレース機器の水平搬送速度は搬送機器の水平搬送速度より遅く、一方、ピックアンドプレース機器120が実現する操作の複雑度は搬送機器130が実現する操作の複雑度より高く、また、実現する操作の複雑度の増加に伴い、コストも増加する。つまり、ピックアンドプレース機器120は柔軟性が低いが複雑度が高い機能操作の実行に適し、搬送機器130は柔軟性が高いが複雑度が低い機能操作の実行に適する。例えば、ピックアンドプレース機器120は在庫容器からの「取り出し」操作とそこへの「置き」操作の実行に適し、搬送機器130は「取り出し」の結果に基づく「搬送」操作の実行に適する。
【0042】
本願の実施例は在庫システムを提供し、本願の技術的解決手段を採用すれば、ピックアンドプレース機器は荷取り操作中に、水平搬送操作に大量の時間及び搬送リソースがかかることなく、その主動性を十分に発揮することができ、こうしてピッキング効率を高めるためにピックアンドプレース機器をさらに多く設ける必要がなくなり、それにより、ピックアンドプレース機器投入の増加による機器コストを削減することができる。また、搬送機器のコストがピックアンドプレース機器より低く、且つ柔軟性がピックアンドプレース機器の柔軟性より高いため、機器コストを削減できるだけでなく、水平搬送操作において水平搬送コストをさらに多く節約することもできる。これらのことから分かるように、本願の解決手段はピックアンドプレース機器及び搬送機器がそれぞれの作動領域範囲内でそれぞれの役割を果たし、各々のリソース優位性を十分に発揮することができ、ピックアンドプレース機器と搬送機器の優位性の相互補完を実現し、ピッキング効率を高め、在庫ピッキング効率と機器コストの両立を確保することができる。
【0043】
本実施例の一代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。図1及び図2を参照し、本願の解決手段に係る在庫システムにおいて、在庫システムは、倉庫保管管理システム(図1及び図2では一応示していない)をさらに含んでもよい。
【0044】
倉庫保管管理システムは、注文要求に基づいて生産ロットの構築及び割り当てを行い、制御システム110に注文タスク情報を配信するように構成され、
制御システム110はさらに、少なくとも受信された注文タスク情報に基づき、保管領域150に配備された在庫容器のうちから、注文タスクに該当する在庫物品の所在する目標在庫容器を特定するように構成される。
【0045】
本実施形態において、在庫システムには上位注文システムがさらに含まれてもよく、上位注文システムは各注文要求情報を収集し、各注文要求情報を対応する倉庫保管管理システムに送信することができ、倉庫保管管理システムは注文要求に基づいて生産ロットの構築及び割り当てを行うことができる。さらに、生産ロットの構築及び割り当て結果に基づき、制御システム110に注文タスク情報を配信することができる。注文タスク情報には注文に必要な在庫物品及び在庫物品の基本情報が含まれる。
【0046】
本実施例の一代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。図3は本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器及び搬送機器をスケジューリングする平面模式図である。図3を参照し、本願の実施例に係る在庫システムにおいて、目標搬送機器はさらに、スケジューリング命令に応答して、目標ピックアンドプレース機器が目標在庫容器を取り出す位置に対応するように該目標在庫容器の所在する在庫ラックの底部層に走入し、目標搬送機器から該目標在庫容器を受け取るように構成される。
【0047】
本実施形態において、図3を参照し、ショッピングモールに置かれる様々な棚のように、保管領域150には大量の在庫ラックが設けられてもよく、複数の在庫ラックは1つの在庫ラック群として並んでもよく、在庫ラック群同士はアレイの形式で配列される。各在庫ラック群について、在庫ラック群は複数行単一列の在庫ラックからなってもよく、又は複数行二列の在庫ラックからなってもよく、又は複数行複数列の在庫ラックからなってもよい。図4は本願の実施例で提供される在庫ラック群の正面模式図である。図4を参照し、在庫ラックが仕切り板棚であることを例にし、各在庫ラックについて、在庫ラックは複数の仕切り層及び4つの着地支柱を含んでもよく、在庫ラックの各仕切り層は、各在庫容器を直接置くために、複数の保管場所を含んでもよい。
【0048】
本実施例において、図3及び図4を参照し、在庫ラックの底部下面と保管領域表面との間の収容高さは、目標搬送機器が目標在庫容器の所在する在庫ラックの底部層に円滑に走入でき、搬送機器が目標在庫容器を搬送する時に在庫ラックの下方に引っ掛かって走行できなくなるのを回避できるように、事前に搬送機器が目標在庫容器を搬送する時の搬送高さより高くしてもよい。例えば、在庫ラックが仕切り板棚であることを例にし、搬送機器が在庫ラックの底部下方に引っ掛かることなく在庫ラックの下方を円滑に走行できるために、従来の仕切り板棚を改造してもよく、具体的には、仕切り板棚の最下層の仕切り板と保管領域床面との間の収容高さが常に搬送機器が目標在庫容器を搬送する時の搬送高さより高くなっているように、従来の仕切り板棚の下方の仕切り板を省略してもよい。
【0049】
本実施例において、図3を参照し、目標搬送機器が目標在庫容器の所在する在庫ラックの底部層まで走行した時の停止位置は、目標ピックアンドプレース機器が該目標在庫容器を取り出す時の位置に対応する必要がある。こうして、目標ピックアンドプレース機器が目標搬送機器に目標在庫容器を割り当てる際に、目標ピックアンドプレース機器は該目標在庫容器を取り出す時の位置で、取り出された目標在庫容器を上から下への方向に沿って搬送するだけで、目標在庫容器を取り出したその場で在庫ラックの底部下方に位置する目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すことができる。このようにして、取り出された目標在庫容器に対する目標ピックアンドプレース機器の水平搬送操作を低減し、ピックアンドプレース機器が目標在庫容器を取り出す時の水平走行をできる限り回避することができる。
【0050】
本実施例の一代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。図3を参照し、本願の実施例に係る在庫システムにおいて、在庫システムの保管領域150内にピックアンドプレース機器120のための第1走行路及び搬送機器130のための第2走行路が設けられる。
【0051】
目標ピックアンドプレース機器はさらに、第1走行路に従って目標在庫容器の所在する在庫ラック外側の所定位置まで走行するように構成され、第1走行路の少なくとも一部は目標在庫容器の所在する在庫ラック群の入れ出し開口側と、隣接する在庫ラック群との間の隙間内に設けられ、
目標搬送機器はさらに、目標ピックアンドプレース機器が目標在庫容器を取り出す位置に対応するように第2走行路に従って該目標在庫容器の所在する在庫ラックの底部層に走入するように構成され、第2走行路の少なくとも一部は目標在庫容器の所在する在庫ラック群の底部下方と保管領域150の表面との間の空間内に設けられる。
【0052】
本実施形態において、図3及び図4を参照し、各在庫ラックについて、在庫ラックは単方向入れ出し開口又は双方向入れ出し開口による仕切り板棚であってもよく、目標ピックアンドプレース機器のための第1走行路は目標在庫容器の所在する在庫ラックの1つの入れ出し開口側に位置する。選択的に、同一の在庫ラック群において、各在庫ラックはいずれも少なくとも1つの入れ出し開口が存在し、各在庫ラックの入れ出し開口の開口方向は一致するように維持される。これをもとに、上記第1走行路は、目標在庫容器の所在する在庫ラック群の入れ出し開口側であって、目標在庫容器の所在する在庫ラック群の入れ出し開口側に隣接する隣接在庫ラック群間の隙間内に設けられる(第1走行路はピックアンドプレース機器が在庫ラックの底部層を走行するための通路ではないため、図3に示す平面模式図から第1走行路が見えることから、それを実線で示す)。
【0053】
一代替例において、図4を参照し、各第1走行路上で1つ又は複数のピックアンドプレース機器が動作でき、且つ各ピックアンドプレース機器はそれに関連付けられた第1走行路のみで動作可能であり、それによって、各ピックアンドプレース機器は、それに関連付けられた第1走行路両側の在庫ラック群における各在庫容器に対してのみピックアンドプレース操作を実行できるが、他の第1走行路両側の在庫ラック群における各在庫容器に対してピックアンドプレース操作を実行できないことが可能になる。このようにして、各ピックアンドプレース機器は限られた範囲内で動作可能になり、それにより、ピックアンドプレース機器がピックアンドプレース操作を実行する時に過剰に走行して、水平搬送に長い時間がかかることが回避され、ピックアンドプレース機器の作動時間が搬送操作ではなくピックアンドプレース操作に属し、ピックアンドプレース機器のピックアンドプレース能力が十分に発揮されることが最大限に保証される。選択的に、第1走行路の隙間が狭くて、2つのピックアンドプレース機器120が並走できない場合、同一の第1走行路の各ピックアンドプレース機器が自機器のために分割された第1走行路の一部区間上でのみ動作し、2つのピックアンドプレース機器が同一の第1走行路上で走行する時の衝突を回避するように、第1走行路を分割してもよい。
【0054】
本実施形態において、図3を参照し、搬送機器130とピックアンドプレース機器120の走行衝突を回避するために、事前に搬送機器130の第2走行路を、ピックアンドプレース機器120と搬送機器の走行路が衝突しないように設定してもよい。そこで、本願の解決手段は搬送機器の第2走行路の少なくとも一部を在庫ラックの底部下方と、在庫ラックの底部下方の保管領域表面との間の空間内に設けるようにし、第2走行路の別の部分は在庫ラックの底部下方に設けなくてもよく、目標在庫容器の所在する在庫ラック群と他の隣接する在庫ラック群との間の隙間に設けるようにし、第1走行路と第2走行路の衝突を回避するために第1走行路と第2走行路の別の部分が重ならなければよい(第2走行路は一部が在庫ラックの底部下方に設けられるため、平面視時にこの部分の通路が見えないことから、図3に示す第2走行路は実線部分と破線部分に分けられる)。
【0055】
本実施例の一代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。図5は本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器が目標在庫容器をピックアンドプレースする正面図である。図3及び図5を参照し、本願の実施例に係る在庫システムにおいて、目標搬送機器には少なくとも1つの載置機構が設けられる。
【0056】
目標ピックアンドプレース機器はさらに、取り出された少なくとも1つの目標在庫容器を目標搬送機器の少なくとも1つの載置機構上に置くように構成され、
目標搬送機器はさらに、少なくとも1つの載置機構によって少なくとも1つの目標在庫容器を受け取るように構成される。
【0057】
本実施形態において、図3及び図5を参照し、目標搬送機器が目標在庫容器の所在する在庫ラックの底部層に走入し、且つその停止位置が、目標ピックアンドプレース機器が該目標在庫容器を取り出す位置に対応する場合、目標ピックアンドプレース機器は取り出された目標在庫容器を目標在庫容器の所在する在庫ラックの底部下方に位置する目標搬送機器の載置機構上に置くだけで、目標搬送機器は載置機構によって目標ピックアンドプレース機器が取り出した目標在庫容器を受け取り取得することができる。
【0058】
本実施形態において、選択的に、目標搬送機器が目標在庫容器の所在する在庫ラックの底部層に走入する停止位置は、目標ピックアンドプレース機器が目標在庫容器をピックアンドプレースする位置に近くする必要があり、こうして、目標ピックアンドプレース機器が在庫ラックから目標在庫容器を取り出した時、目標ピックアンドプレース機器は水平に移動する必要がなく、取り出された目標在庫容器を上から下へ搬送するだけで、その場で取り出された目標在庫容器を目標搬送機器の載置機構上に直接置くことができる。
【0059】
本実施形態において、目標搬送機器に設けられた載置機構は移送機能を備え、目標ピックアンドプレース機器が取り出された目標在庫容器を目標搬送機器の載置機構上に置いた時、載置機構の移送機能を用いるだけで、受け取られた目標在庫容器を載置機構の特定の位置に移送することができる。選択的に、搬送機器の載置機構はベルト又はローラ機構であってもよい。選択的に、搬送機器の載置機構は2つであってもよく、且つ2つの載置機構は水平又は鉛直に設けられる。
【0060】
一代替例において、搬送機器の載置機構自体は移送動力を備え、目標ピックアンドプレース機器により押し出された目標在庫容器を検出した時、載置機構の移送機能を有効にし、目標在庫容器を載置機構の特定の位置に自動的に移送することができる。別の代替例において、搬送機器の載置機構自体は移送動力を備えないが、載置機構は目標ピックアンドプレース機器が目標在庫容器を押し出す時の押し力によって移送を行うことができる。例えば、目標在庫容器を置くプロセスにおいて、ピックアンドプレース機器が目標在庫容器を押す時の移動操作に伴い、搬送機器における載置機構はピックアンドプレース機器の押し動作につれて同期して回転し、それによって目標在庫容器は搬送機器の載置機構の特定位置に円滑に移行できる。
【0061】
本実施例の別の代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。図6-1は本願の実施例で提供される別のピックアンドプレース機器が目標在庫容器をピックアンドプレースする正面図である。図6-1を参照し、本願の実施例に係る在庫システムにおいて、在庫ラックの底部層に予備格納ラックが設けられる。
【0062】
目標ピックアンドプレース機器はさらに、取り出された目標在庫容器を目標在庫ラックの底部層下方位置での予備格納ラックに置くように構成され、
目標搬送機器はさらに、予備格納ラックからそこに置かれた目標在庫容器を受け取り取得するように構成される。
【0063】
本実施形態において、図6-1を参照し、予備格納ラックは目標在庫ラックの底部下方の所定位置に設けられ、且つ該所定位置はピックアンドプレース機器の所在する位置が予備格納ラックの所在する位置に近くなるようにする必要があり、これにより、ピックアンドプレース機器が目標在庫ラックから目標在庫容器を取り出した時、目標ピックアンドプレース機器は水平移動する必要がなく、取り出された目標在庫容器を持ち運んで上から下へ搬送するだけで、その場で取り出された目標在庫容器を予備格納ラックに直接置くことができる。上記予備格納ラックを採用すれば、ピックアンドプレース機器は搬送機器の位置到達を待つ必要がなく、取り出された目標在庫容器を予備格納ラックに直接置くだけで、次の取り出しタスクに進むことができ、それにより、取り出し操作を実行するために時間が大量節約され、同一の目標在庫容器のピックアンドプレースにそれ以上の時間がかかることなくピックアンドプレース機器が取り出し操作を実行可能な状態に維持されることが十分に保証される。選択的に、在庫ラックの底部層に予備格納ラックの所在する位置が設けられ、該位置は目標ピックアンドプレース機器が該目標在庫容器を取り出す位置に対応し、且つできる限りそこに近くなる。予備格納ラック位置を設ければ、目標ピックアンドプレース機器は目標在庫容器を取り出した後、水平移動搬送を行うことなく、その場で目標在庫容器を在庫ラックの底部下方に位置する予備格納ラックに置くことができ、水平搬送に時間がかかることが回避される。
【0064】
本実施形態において、図6-2を参照し、目標搬送機器にジャッキアップ機構が設けられ、搬送機器は具体的に、さらに、予備格納ラックの下方まで走行し、ジャッキアップ機構で予備格納ラックの上方に置かれた目標在庫容器をジャッキアップし取得するように構成され、さらに搬送機器は取得された目標在庫容器をワークステーションに搬送して在庫のピッキング出庫操作を完了することができる。搬送機器は目標在庫容器を搬送するための搬送ロボットであってもよい。図7-1及び図7-2は本願の実施例で提供されるジャッキアップ式搬送ロボットの構造模式図である。図7-2はジャッキアップ機構が上昇した時の状態である。図7-1及び図7-2を参照し、搬送ロボットは駆動機構を含んでもよく、該駆動機構によって、搬送ロボットは作動空間内を移動できる。搬送ロボットは目標在庫容器を搬送するためのジャッキアップ機構をさらに含んでもよく、搬送ロボットは予備格納ラックの下方まで運動でき、搬送ロボットはジャッキアップ機構で予備格納ラックに置かれた目標在庫容器を持ち上げ、ピッキングワークステーションに搬送することができる。ジャッキアップ機構は、搬送ロボットが目標在庫容器を搬送するように、上昇した時に目標在庫容器全体を予備格納ラックから持ち上げ、ジャッキアップ機構は降下した時に目標在庫容器を全搬送ロボット上に置く。選択的に、搬送ロボットは目標認識コンポーネントをさらに含んでもよく、目標認識コンポーネントによって、搬送ロボットが目標在庫容器を持ち上げる際に、目標在庫容器への認識及び位置合わせを効果的に行うことができる。
【0065】
本実施形態において、図6-1を参照し、予備格納ラックの上方と下方は貫通し、且つ予備格納ラックの下方に、搬送機器が予備格納ラックの下方に進入するための少なくとも1つの開口が設けられる。予備格納ラックを上方と下方が貫通するように設置すれば、搬送ロボットは予備格納ラックの下方で予備格納ラックの上方に位置する目標在庫容器を容易に押し上げて搬送することができる。予備格納ラックの下方に少なくとも1つの開口を設けるのは、搬送機器が容易に予備格納ラックの下方に入り、取得された目標在庫容器をジャッキアップして予備格納ラックの下方から出ることができるためである。上記予備格納ラックの設置に基づき、搬送機器が在庫ラックの底部下方から目標在庫容器を取得して水平に搬送できることは十分に保証でき、ピックアンドプレース機器の走行経路との衝突は回避できる。選択的に、予備格納ラックの下方に設けられた少なくとも1つの開口の開口方向は在庫ラックの入れ出し開口方向と一致するように維持され、それによって搬送機器は第2走行路に従って予備格納ラックの開口部から予備格納ラックの底部下方空間に容易に進入できる。
【0066】
説明すべきことは、図5及び図6-1に示す搬送機器の搬送解決手段を参照し、図5に示す搬送機器は移送機能を備える載置機構が配設され、ピックアンドプレース機器が搬送機器にドッキングされた時、載置機構の移送機能によって、受け取られた目標在庫容器を特定の位置に移送することができる点である。図5に示す搬送機器の搬送解決手段とは異なり、図6-1に示す搬送機器には移送機能を備える載置機構が配設されず、ジャッキアップ機構が配設され、ジャッキアップ機構によって、予備格納ラックに置かれた目標在庫容器をジャッキアップすることができる。また、図5に示す搬送機器と図6に示す搬送機器の搬送解決手段は、両者とも駆動機構を備え得、該駆動機構によって、搬送機器が作動空間内を移動できる点で共通する。及び、目標認識コンポーネントをさらに備えてもよく、目標認識コンポーネントによって、目標在庫容器への認識及び位置合わせを効果的に行うことができる。
【0067】
図6-2は本願の実施例で提供される別の在庫ラックの模式図であり、本実施例において、前記在庫ラックの最下仕切り層は予備格納層とする。本実施例は2つの棚が背中合わせで並べられることを例にして模式的に説明するが、在庫ラックの具体的な並べ方式は本願の実施例により限定されない。
【0068】
本願の実施例で提供される在庫ラックの予備格納層は上方と下方が貫通し、且つ予備格納層の下方に、搬送機器が予備格納層の下方に進入するための少なくとも1つの開口が設けられる。予備格納層を上方と下方が貫通するように設置すれば、搬送ロボットは予備格納層の下方で予備格納層の上方に位置する目標在庫容器を容易に押し上げて搬送することができる。予備格納層の下方に少なくとも1つの開口を設けるのは、搬送機器が容易に予備格納層の下方に入り、ジャッキアップによって目標在庫容器を取得し、その後、予備格納層の下方から出ることができるためである。上記予備格納層の設置に基づき、搬送機器が在庫ラックの底部下方から目標在庫容器を取得して水平に搬送できることは十分に保証でき、ピックアンドプレース機器の走行経路との衝突は回避できる。選択的に、予備格納層の下方に設けられる少なくとも1つの開口の開口方向は在庫ラックの入れ出し開口方向と一致するように維持され、それによって搬送機器は第2走行路に従って予備格納層の開口部から予備格納層の底部下方空間に容易に進入できる。
【0069】
本実施例において、目標搬送機器はスケジューリング命令に応答することができ、目標ピックアンドプレース機器は取り出された目標在庫容器を前記予備格納層である最下仕切り層に置くことができる。
【0070】
目標搬送機器は前記目標在庫容器の所在する在庫ラックの最下仕切り層の下方に走入するか又は前記目標ピックアンドプレース機器が前記目標在庫容器を取り出す時に所在するレーン内に走入し、前記予備格納層である最下仕切り層から前記在庫容器を受け取ることができる。
【0071】
本実施例の一代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。図4を参照し、本願の実施例に係る在庫システムにおいて、目標在庫ラックの各保管場所には、ピックアンドプレース機器が認識によって目標在庫容器の所在する保管場所と位置合わせされるための保管場所ラベルが付けられる。
【0072】
本実施形態において、図4に示す仕切り板棚が在庫ラックであることを例にし、在庫ラックの各保管場所に保管場所ラベルを設けてもよい。保管場所ラベルには、在庫ラックにおける該保管場所の在庫容器の基本情報、及び例えば在庫容器に置かれた目標在庫物品のタイプ及び数量等の情報を含み得る在庫容器の保管情報が記録されてもよい。また、各在庫ラックの所定位置に在庫ラックの身分を認識するためのラックラベルが設けられてもよい。例えば、仕切り板棚の仕切り板の横梁にラックラベルを設けてもよい。選択的に、上記保管場所ラベル及びラックラベルは二次元コード、バーコード、RFIDタグ等の任意の情報記載形式としてもよい。
【0073】
本実施形態において、選択的に、制御システムはピックアンドプレース機器に在庫ラックにおける目標在庫容器の高さを報知してもよい。目標ピックアンドプレース機器が目標在庫容器の所在する在庫ラックまで走行した時、目標ピックアンドプレース機器は自機器のカメラを目標在庫容器に対応する高さまで上げ、目標在庫容器の所在する保管場所における保管場所ラベルを走査し、見つけられた在庫容器が目標在庫容器であるか否かを検証してもよい。
【0074】
本実施例の一代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。図4を参照し、本願の実施例に係る在庫システムにおいて、目標在庫容器には、ピックアンドプレース機器による認識及び位置合わせのための容器ラベルが付けられる。
【0075】
本実施形態において、図4に示す各在庫ラックに在庫容器が置かれ、在庫容器の所定位置に在庫容器の身分を認識するための容器ラベルが設けられてもよい。例えば、在庫容器を例にし、在庫容器の側面位置に容器ラベルを設けてもよい。容器ラベルには、在庫容器に収容された在庫物品の情報及び在庫容器の基本情報が記録されてもよい。選択的に、容器ラベルは二次元コード、バーコード、RFIDタグ等の任意の情報記載形式としてもよい。選択的に、在庫容器での容器ラベルの設置位置は、在庫容器が在庫ラックに置かれる相対位置に基づいて設定してもよく、ピックアンドプレース機器が各在庫容器に付けられる容器ラベルを迅速に見つけて、注文タスクに必要な目標在庫容器であるか否かを認識できることは保証でき、ピックアンドプレース機器が目標在庫容器をピックアンドプレースする時間を一定程度節約し、ピックアンドプレース効率をさらに高め、ピッキング効率をさらに高めることはできる。
【0076】
本実施例の一代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。本願の実施例に係る在庫システムにおいて、ピックアンドプレース機器に容器ピックアンドプレースアセンブリが設けられ、容器ピックアンドプレースアセンブリによって在庫ラックから在庫容器を取り出すことができる。
【0077】
本実施形態において、ピックアンドプレース機器には容器ピックアンドプレースアセンブリが含まれ、容器ピックアンドプレースアセンブリによって目標在庫容器の所在する在庫ラックから目標在庫容器を取り出し、容器ピックアンドプレースアセンブリによって目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すことができる。また、ピックアンドプレース機器には、容器ピックアンドプレースアセンブリを所定高さまで上げ及び/又は下げることができる昇降アセンブリがさらに含まれる。ピックアンドプレース機器は、ピックアンドプレースアセンブリが在庫ラックの任意高さでピックアンドプレース操作を行うように、昇降アセンブリによって該容器ピックアンドプレースアセンブリの高さを調整することができる。こうして、ピックアンドプレース機器は取り出された目標在庫容器を上から下へ搬送することで、自機器が苦手とする水平搬送操作を実行することなく、水平搬送に大量の時間がかかることなく、その場で目標在庫容器を搬送機器に受け渡すことができ、ピッキング効率がさらに向上する。
【0078】
本実施例の一代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。図8は本願の実施例で提供される在庫容器が1つの仕切り層に置かれる模式図である。図8を参照し、本願の実施例に係る在庫システムにおいて、在庫ラックにおける各仕切り層の奥行き方向には、少なくとも1つの在庫容器を置くことができる少なくとも1つの保管場所がある。
【0079】
本実施形態において、図4及び図8を参照し、在庫ラックが仕切り板棚であることを例にし、棚は双方向入れ出し開口による棚であってもよく、仕切り板棚の仕切り層の奥行き方向に沿って2つの保管場所が含まれてもよく、2つの保管場所に2つの在庫容器を順に置くことができ、つまり、各入れ出し開口の方向にそれぞれ1つの在庫容器が置かれる。保管領域の空間を節約するために、2つの在庫ラックを仕切り層の奥行き方向に沿ってつなぎ合わせてもよく、この場合、つなぎ合わせられた各在庫ラックについて、各在庫ラックの各仕切り層には、在庫ラックの仕切り層への在庫容器の進出を可能にする入れ出し開口が1つのみある。当然、図5を参照し、仕切り板棚は単方向入れ出し開口による棚であってもよいが、仕切り板棚の仕切り層の奥行き方向に沿って2つの保管場所を順に設けることができ、2つの保管場所には奥行き方向に沿って2つの在庫容器を順に置くことができ、つまり、奥行き方向に沿って同一の入れ出し開口から2つの在庫容器を順に仕切り層の保管場所に置くことができる。奥行き方向は第1走行路を起点としてもよく、在庫ラックの入れ出し開口の方向に指している。
【0080】
本実施例の一代替形態において、本実施形態は上記1つ又は複数の実施例における各代替解決手段と組み合わせることができる。本願の実施例に係る在庫システムにおいて、ピックアンドプレース機器に仮格納ラックがさらに設けられ、仮格納ラックは複数の仕切り層を有し、各仕切り層は少なくとも1つの保管場所を含む。
【0081】
本実施形態において、選択的に、目標在庫容器は所在する仕切り層の奥行き方向における後列に順に置かれる。これをもとに、目標在庫容器の前列に他の在庫容器が存在しない場合、目標ピックアンドプレース機器はさらに、目標在庫容器を直接取り出すように構成される。目標在庫容器の前列に目標在庫容器を阻害する少なくとも1つの在庫容器が存在する場合、目標ピックアンドプレース機器はさらに、まず前列に位置する少なくとも1つの在庫容器を順に取り出し、仮格納ラックの少なくとも1つの保管場所に順に置き、次に目標在庫容器を取り出し、仮格納ラックの1つの保管場所に置き、さらに前列に位置する少なくとも1つの在庫容器を在庫ラックに戻すように構成される。
【0082】
本実施形態において、選択的に、在庫ラックの各仕切り層に奥行き方向に沿って2つの在庫容器が順に置かれる場合、本願の解決手段に係るピックアンドプレース機器は二伸長位置によるロボットであってもよく、この場合、それに設けられたピックアンドプレースアセンブリによって、仕切り層において外側に近い在庫容器を取り出すことができ、仕切り層内側の在庫容器を取り出すこともできる。また、在庫ラックの各仕切り層に奥行き方向に沿って在庫容器が1つのみ置かれる場合、本願の解決手段に係るピックアンドプレース機器は一伸長位置によるロボットであってもよく、この場合、それに設けられたピックアンドプレースアセンブリによって仕切り層外側の在庫容器を取り出せればよい。
【0083】
図9は本願の実施例で提供される在庫方法の手順図であり、本実施例の技術的解決手段は在庫ピッキングのシーンにおける在庫ピッキングに適用でき、該方法は本願の任意の実施例で提供される在庫システムに応用される。
【0084】
図9に示すように、本願の実施例における在庫方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0085】
S910で、制御システムは在庫システムの保管領域に位置する在庫容器のうちから、目標在庫容器を特定する。
S920で、前記制御システムは前記複数のピックアンドプレース機器及び複数の搬送機器のうちから、目標ピックアンドプレース機器及び目標搬送機器をそれぞれ特定し、前記目標ピックアンドプレース機器及び前記目標搬送機器にスケジューリング命令をそれぞれ送信する。前記複数のピックアンドプレース機器及び前記複数の搬送機器は前記制御システムとそれぞれ通信し、前記複数のピックアンドプレース機器は前記保管領域で動作し、前記保管領域内に複数の在庫ラックが配備され、前記在庫ラックは複数の仕切り層を有し、各仕切り層は複数の保管場所を含み、前記1つの保管場所に1つの在庫容器が置かれる。
S930で、前記目標ピックアンドプレース機器は前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、前記目標在庫容器を取り出し、前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡す。
S940で、前記目標搬送機器は前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、前記目標在庫容器を受け取り、前記目標在庫容器を前記保管領域から前記スケジューリング命令により指定されたワークステーションに搬送して業務操作を行う。
【0086】
上記実施例のもとに、選択的に、前記目標搬送機器は前記スケジューリング命令に応答して、前記スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、前記目標在庫容器を受け取るステップは、
前記目標搬送機器は前記スケジューリング命令に応答して、前記目標ピックアンドプレース機器が前記目標在庫容器を取り出す位置に対応するように前記目標在庫容器の所在する在庫ラックの底部層に走入し、前記目標搬送機器から前記目標在庫容器を受け取るステップを含む。
【0087】
上記実施例のもとに、選択的に、前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すステップは、
前記目標ピックアンドプレース機器は取り出された少なくとも1つの前記目標在庫容器を前記目標搬送機器の少なくとも1つの載置機構上に置くステップを含み、
それに応じて、前記目標搬送機器は前記目標在庫容器を受け取るステップは、
前記目標搬送機器は少なくとも1つの載置機構によって少なくとも1つの前記目標在庫容器を受け取るステップを含む。
【0088】
上記実施例のもとに、選択的に、前記目標搬送機器が前記目標在庫容器を受け取った後に、
前記目標搬送機器は前記移送機能を備える載置機構を用いて、受け取られた前記目標在庫容器を前記載置機構の特定の位置に移送するステップをさらに含む。
【0089】
上記実施例のもとに、選択的に、前記載置機構はベルト又はローラ機構である。
【0090】
上記実施例のもとに、選択的に、前記載置機構は2つであり、且つ2つの載置機構は水平又は鉛直に設けられる。
【0091】
上記実施例のもとに、選択的に、前記在庫ラックの各保管場所には、前記ピックアンドプレース機器による前記目標在庫容器の所在する保管場所への認識及び位置合わせのための保管場所ラベルが付けられる。
【0092】
上記実施例のもとに、選択的に、前記在庫容器には、前記ピックアンドプレース機器による前記目標在庫容器への認識及び位置合わせのための容器ラベルが付けられる。
【0093】
上記実施例のもとに、選択的に、前記目標在庫容器を前記目標搬送機器に直接又は間接的に受け渡すステップは、
前記目標ピックアンドプレース機器は取り出された前記目標在庫容器を前記予備格納ラックに置くステップであって、前記予備格納ラックは前記在庫ラックの底部層に設けられるステップを含み、
それに応じて、前記目標搬送機器は前記目標在庫容器を受け取るステップは、
前記目標搬送機器は前記予備格納ラックから前記在庫容器を受け取るステップを含む。
【0094】
上記実施例のもとに、選択的に、前記目標搬送機器は前記予備格納ラックから前記在庫容器を受け取るステップは、
前記目標搬送機器は前記予備格納ラックの下方まで走行し、前記目標搬送機器に設けられたジャッキアップ機構を用いて前記予備格納ラックに置かれた前記目標在庫容器を受け取りジャッキアップするステップを含む。
【0095】
上記実施例のもとに、選択的に、前記在庫ラックにおける各仕切り層の奥行き方向には、少なくとも1つの在庫容器を置くことができる少なくとも1つの保管場所がある。
【0096】
上記実施例のもとに、選択的に、前記ピックアンドプレース機器に容器ピックアンドプレースアセンブリが設けられ、前記容器ピックアンドプレースアセンブリによって前記在庫ラックから在庫容器を取り出すことができる。
【0097】
上記実施例のもとに、選択的に、前記ピックアンドプレース機器に仮格納ラックがさらに設けられ、前記仮格納ラックは複数の仕切り層を有し、各仕切り層は少なくとも1つの保管場所を含む。
【0098】
上記実施例のもとに、選択的に、前記目標在庫容器はその所在する仕切り層の奥行き方向における後列に位置し、前記目標ピックアンドプレース機器は前記スケジューリング命令により指定された位置まで走行し、前記目標在庫容器を取り出すステップは、
前記目標在庫容器の前列に他の在庫容器が存在しない場合、前記目標ピックアンドプレース機器は前記目標在庫容器を直接取り出すステップと、
目標在庫容器の前列に目標在庫容器を阻害する少なくとも1つの在庫容器が存在する場合、前記目標ピックアンドプレース機器はまず前列に位置する少なくとも1つの在庫容器を順に取り出し、前記仮格納ラックの少なくとも1つの保管場所に順に置き、次に前記目標在庫容器を取り出し、前記仮格納ラックの1つの保管場所に置き、さらに前記前列に位置する少なくとも1つの在庫容器を在庫ラックに戻すステップと、を含む。
【0099】
本願の実施例で提供される在庫方法は上記本願の任意の実施例で提供される在庫システムに応用でき、該在庫システムに対応する機能及び有益な効果を備え、上記実施例で詳しく説明されていない技術的詳細は、具体的に本願の任意の実施例で提供される在庫システムを参照すればよい。
【0100】
図11は本願の実施例で提供される在庫システムの模式図であり、該システムは倉庫内の荷物のピッキング及び搬送を実現するために用いられ、該システムは、1つ又は複数の制御システム100、1つ又は複数のピックアンドプレース機器102、1つ又は複数の搬送機器104及び1つ又は複数の目的点106を含み、該システムによって搬送スケジューリングを行う該倉庫は少なくとも1つの在庫ラック108からなり、該倉庫内の各在庫ラック108は複数層設けられ、制御システム100はピックアンドプレース機器102及び搬送機器104とそれぞれ通信する。
【0101】
本願の1つ又は複数の実施例において、該倉庫内の目的点106は、倉庫内に設けられた在庫容器を仮格納するためのラックの所在する位置、又は在庫容器を予備格納するためのラックの所在する位置、又は倉庫内の荷物ピッキングワークステーションの所在する位置、又は出庫積み替えポイントの所在する位置等であってもよく、本願はこれを限定せず、説明の便宜上、後述で該目的点106が出庫積み替えポイントであることを例にして説明する。
【0102】
また、該倉庫内の各在庫ラック108間の空間は第1レーンを形成し、該在庫ラック108の各層は、奥行き方向において少なくとも2つの保管場所が設けられる。本願において、在庫ラック108の奥行き方向とは、該在庫ラック108における第1レーンに隣接する保管場所から、第1レーンに隣接しない保管場所へ指す方向をいい、図11に示す模式図は断面図であり、図から分かるように、各棚の奥行き方向に3つの保管場所が設けられる。
【0103】
図12は本願で提供される在庫ラックの平面図である。また、理解の便宜上、図12は在庫ラック108の底部層といくつかの上部層を別々に示す。図12中、矢印は該在庫ラック108の奥行き方向を表し、図から分かるように、x軸の奥行き方向において、該在庫ラック108は3つの保管場所が設けられ、y軸の奥行き方向において、該在庫ラック108は5つの保管場所が設けられる。
【0104】
また、図11及び図12に示すように、本願において該在庫ラック108の第1レーンに隣接する少なくとも1面の底部層の位置に1列の第1底部層保管場所101が設けられる。該在庫ラック108の上部層に上部層保管場所が設けられ、倉庫の運営時、在庫ラック108の底部層における少なくとも一部の第1底部層保管場所101に在庫容器が配置され、該在庫ラック108の底部層を除いた他の上部層における少なくとも一部の上部層保管場所に在庫容器が配置される。
【0105】
本願で提供される1つ又は複数の実施例において、図11及び図12に示すように、該在庫ラック108の底部層において第1底部層保管場所101が設けられていない空間は第2レーンを形成し、該第2レーンは搬送機器104の走行のためのものであるため、該在庫ラック108の底部層を貫通する必要があり、図12中の破線で囲まれる領域は在庫ラック108の底部層内の第2レーンである。
【0106】
当然、図12は単に一形態の在庫ラックの模式図に過ぎず、第1底部層保管場所101は在庫ラック108の投影が形成する矩形の長辺、即ちy軸方向に設けられるため、第2レーンが該在庫ラック108の底部層を貫通できるために、該第2レーンもy軸方向にあり、当然ながら、該第1底部層保管場所101は在庫ラック108の投影が形成する矩形の短辺、即ちx軸方向に設けられてもよく、この場合、第2レーンの方向はx軸方向にあるようにしてもよい。当然、第2レーンは第1底部層保管場所101が設けられていない空間で形成されるため、第1底部層保管場所101の具体的な設置方式は、第2レーンの可能な位置を決定し、設置方式は必要に応じて設定してもよい。
【0107】
本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該制御システム100は具体的に、荷物の入庫後に置かれる保管場所、倉庫内の荷物の出庫時に搬送されるべき目的点106、及び搬送タスク等を特定するための倉庫サーバであってもよい。当然、如何に荷物の入庫保管場所、荷物の出庫目的点106を特定するか、及び如何に搬送タスクを生成するか等は、いずれも現在のインテリジェント倉庫のサーバが実行すべきタスクであり、比較的成熟した解決手段が既に存在しているため、本願では該制御システム100が具体的に搬送タスクを如何に特定するかについてのプロセスを限定しない。
【0108】
本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該制御システム100は1つ又は複数であってもよく、説明の便宜上、後述で該制御システム100が1つであることに基づいて説明する。
【0109】
該制御システム100は搬送タスクに基づき、該搬送タスクを実行するピックアンドプレース機器102及び/又は搬送機器104を特定し、特定されたピックアンドプレース機器102及び搬送機器104に搬送タスクを実行するための搬送命令をそれぞれ送信するために用いられる。搬送命令はピックアンドプレース機器102又は搬送機器104に目標在庫容器112を保管場所又は目的点106に搬送することを指示するためのものであるため、搬送命令には少なくとも、目標在庫容器112の搬送開始位置、搬送終点位置が含まれなければならない。また、該搬送命令には搬送経路が含まれてもよく、又は該ピックアンドプレース機器102及び搬送機器104は経路を適応的に計画しナビゲーションを行ってもよく、この場合、該制御システム100は経路の計画を担当しなくてもよく、該搬送命令には搬送経路が含まれなくてもよい。
【0110】
本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該システムにおけるピックアンドプレース機器102は第1レーン内を走行するものであり、該制御システム100により送信された搬送命令に基づき、該在庫ラック108の上部層保管場所から搬送命令により指示された目標在庫容器112を取り出し、空いている第1底部層保管場所101に入れるか、又は該第1底部層保管場所101から該搬送命令により指示された目標在庫容器112を取り出し、該上部層保管場所101に入れるために用いられる。
【0111】
本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該システムにおける搬送機器104は該第1レーン内及び/又は第2レーン内を走行するものであり、該制御システム100により送信された搬送命令に基づき、該第1底部層保管場所101から該搬送命令により指示された目標在庫容器112を取り出すか、又は該第1底部層保管場所101に該搬送命令により指示された目標在庫容器112を入れ、及び該第1底部層保管場所101と該目的点106との間で該搬送命令により指示された目標在庫容器112を搬送するために用いられる。
【0112】
本願において、搬送タスクは少なくとも、荷物が入っている目標在庫容器112を保管場所から目的点106まで搬送するプロセス、即ち荷物出庫のプロセス、及び荷物が入っている目標在庫容器112を目的点106から保管場所まで搬送するプロセス、即ち荷物入庫のプロセスを含む。このことから分かるように、本願で提供されるシステムにおいて、該ピックアンドプレース機器102は底部層保管場所と上部層保管場所との間で在庫容器を搬送できるため、該ピックアンドプレース機器102は主に、底部層保管場所と上部層保管場所との間の目標在庫容器112の搬送、即ち目標在庫容器112の垂直方向での移動に用いることができる。一方、搬送機器104は、底部層の異なる保管場所と目的点106との間で目標在庫容器112を搬送できるため、主に、底部層保管場所と目的点との間の目標在庫容器112の搬送、即ち目標在庫容器112の水平方向での移動に用いることができる。
【0113】
また、ピックアンドプレース機器102は上部層保管場所の在庫容器を搬送する必要があるため、その重心は高く、安全を確保するために、その走行速度は通常低く設定され、一方、搬送機器104は底部層保管場所内の在庫容器の搬送にのみ用いられるため、その重心は低く、走行速度はピックアンドプレース機器102に比べて高く設定してもよい。また、第2搬送機器104は第1レーン内及び第2レーン内の両方でも走行できるため、搬送効率を高めるように、在庫容器を搬送する際にピックアンドプレース機器102と同一のレーン内を走行するのを最大限に回避できる。
【0114】
つまり、本願で提供されるシステムは、在庫ラック108の設置によって、倉庫に第1レーン及び第2レーンを含ませ、重視するところが異なるピックアンドプレース機器102と搬送機器104の協働によって搬送タスクを実行することで、ピックアンドプレース機器102はさらに主に、目標在庫容器112の垂直方向での搬送に用いることができ、ピックアンドプレース機器102の保管場所と目的点106との間での移動が低減され、一方、搬送機器104で在庫容器の保管場所と目的点106との間での搬送を完了し、搬送タスクを異なる機器で実行されるいくつかの段階に分解することで、倉庫全体の運営効率を高める。
【0115】
図11に示す在庫システムに基づき、倉庫に設けられた在庫ラックによって、在庫ラック間の空間を第1レーンとし、在庫ラックの底部層において第1底部層保管場所が設けられていない、在庫ラックの底部層を貫通する空間を第2レーンとすることで、ピックアンドプレース機器は第1レーン内を走行し、搬送機器は第1レーン及び/又は第2レーン内を走行でき、ピックアンドプレース機器と搬送機器を組み合わせて使用して倉庫内で荷物を搬送する。底部層を走行できる搬送機器の走行速度は自機器の高さに影響されず、搬送機器の走行レーンはピックアンドプレース機器と異なるため、高速で走行する搬送機器と上部層保管場所での搬送が可能なピックアンドプレース機器とは協働してタスクを実行するようになり、ピックアンドプレース機器の走行が遅いことによる問題が回避され、倉庫搬送効率、荷物ピッキング効率が向上する。
【0116】
また、さらに説明すべきことは、本願の実施例における倉庫及び関連方法は倉庫保管のシーンにおける商品荷物のピッキング及び搬送に適するだけでなく、工場生産のシーンにおける完成品、半製品又は半加工品等の荷物のピッキング及び搬送にも適し、ピッキングされる荷物はある生産段階の実現又はある生産ノードに用いられる。本願は具体的な応用シーンを具体的に限定しない。
【0117】
本願の実施例において、在庫容器は荷物を載置するためのものであるが、在庫容器の具体的な形態について本願は限定せず、例えば、該在庫容器はトレイ、材料箱等であり得、荷物を収容又は積載できればよい。
【0118】
さらに、本願の実施例において、各層の保管場所の占有率、即ち在庫容器が配置されている保管場所と保管場所の総数との比は、必要に応じて構成してもよい。これにより、上部層の上部層保管場所の占有率は0~100%の間で設定でき、底部層の底部層保管場所の占有率は0~100%の間で設定できる。
【0119】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該在庫ラック108の底部層はすべて第1底部層保管場所101が設けられてもよく、この場合、在庫ラック108の底部層に余剰の空間がないため、搬送機器104とピックアンドプレース機器102は第1レーンを共有し、受信された搬送命令に基づいて目標在庫容器112の搬送をそれぞれ行ってもよい。
【0120】
この場合、搬送機器104とピックアンドプレース機器102は第1レーンを共有する必要があるが、経路計画の第1レーン内にピックアンドプレース機器102がないとき、該搬送機器104は依然として高い移動速度で在庫容器を搬送できる。また、本願の実施例において該目的点106は在庫ラック108の所在する領域内に組み込まれ、該搬送機器104は主に底部層保管場所と目的点106との間で在庫容器を搬送するために用いられ得るため、在庫ラック108の所在する領域と目的点106との間でのピックアンドプレース機器102の移動を回避することができ、且つ図13に示すように、搬送機器104が在庫ラック108の所在する領域と目的点106との間で移動し、倉庫の運営効率が向上する。
【0121】
図13は本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器の動作領域及び搬送機器の動作領域の模式図であり、図から分かるように、ピックアンドプレース機器102は在庫ラック108の所在する領域内でのみ移動し、在庫容器を上げ又は下げる搬送を実行することができ、搬送機器は主に水平方向の移動を行って在庫容器を搬送する。実線はピックアンドプレース機器102の動作領域であり、破線は搬送機器104の動作領域である。ピックアンドプレース機器102と搬送機器104を一定程度分離するような領域によって、倉庫全体の運営効率を効果的に高めることができる。
【0122】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該在庫ラック108の該第1レーンに隣接しない底部層の位置に、少なくとも1列の第2底部層保管場所114がさらに設けられてもよく、該在庫ラック108の底部層における少なくとも一部の第2底部層保管場所114に在庫容器が配置される。この場合、図14に示すように、該在庫ラック108の底部層において第1底部層保管場所101及び第2底部層保管場所114が設けられていない空間は第2レーンを形成する。
【0123】
図14は本願の実施例で提供される在庫ラックの形態模式図であり、図から分かるように、該在庫ラックの底部層の第1レーンに隣接する面に2列の第1底部層保管場所101が設けられ、底部層の中間位置に1列の第2底部層保管場所114が設けられ、第1底部層保管場所101と第2底部層保管場所114との間の空間は第2レーンを形成する。
【0124】
さらに、本願の実施例において該第1底部層保管場所101は第2底部層保管場所114に隣接してもよく、この場合、在庫ラック108の底部層における残りの空間も第2レーンを形成できる。つまり、本願の実施例では、第2レーンが第1底部層保管場所101と第2底部層保管場所114との間の空間で形成されることを限定せず、底部層において第1底部層保管場所101及び第2底部層保管場所114が設けられていない空間であれば、いずれも第2レーンと見なすことができる。当然、第2レーンは搬送機器104の走行のためのものであるため、形成される第2レーンは在庫ラック108の底部層を貫通する。
【0125】
図15は本願の実施例で提供される在庫ラックの形態模式図であり、図から分かるように、該在庫ラックの底部層の第1レーンに隣接する面に2列の第1底部層保管場所101が設けられ、第1底部層保管場所101に隣接する位置に2列の第2底部層保管場所114がそれぞれ設けられ、第2底部層保管場所114間の空間は第2レーンを形成する。
【0126】
当然、本願の実施例において、該ピックアンドプレース機器102は上部層保管場所のうち、第1レーンに近づかない上部層保管場所内の在庫容器を取り出すことができるため、ピックアンドプレース機器102のピックアンドプレース機構は異なる伸長位置の在庫容器を伸縮して取り出すことができる。これによって、第2底部層保管場所114内の在庫容器もピックアンドプレース機器102で取り出すことができ、又はピックアンドプレース機器102は在庫容器を第2底部層保管場所114に入れることができる。
【0127】
ただし、第2底部層保管場所114が底部層に位置するため、搬送機器104は第2底部層保管場所114で取り出し又は入れ操作を行うことができ、そこで、倉庫の搬送効率を高めるために、本願の実施例では搬送機器104でのみ第2底部層保管場所114の在庫容器をピックアンドプレースしてもよい。
【0128】
第2底部層保管場所114を設けることで、在庫ラック108の空間利用率を高め、倉庫内で敷地面積がより大きな在庫ラック108を設け、搬送機器104により第2底部層保管場所114で在庫容器をピックアンドプレースすることができ、ピックアンドプレース機器102の搬送負担を軽減することもできる。
【0129】
さらに、第2底部層保管場所114内の在庫容器は搬送機器104で取り出すことができ、又は搬送機器104は在庫容器を第2底部層保管場所114に入れることができ、一方、在庫ラック108の底部層において第1レーンに隣接するのは第1底部層保管場所101であるため、該第2底部層保管場所114は少なくとも1つの第2レーンに隣接し、図14に示すように、第2底部層保管場所114は2つの第2レーンに隣接し、図15中の第2底部層保管場所114は1つの第2レーンに隣接する。
【0130】
本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該搬送機器104はさらに、該制御システム100により送信された搬送命令に基づき、該第2底部層保管場所114から該搬送命令により指示された目標在庫容器112を取り出すか、又は該第2底部層保管場所114に該搬送命令により指示された目標在庫容器112を入れ、及び該第2底部層保管場所114と該目的点106との間又は該第1底部層保管場所101と該第2底部層保管場所114との間で該搬送命令により指示された目標在庫容器112を搬送するために用いられる。
【0131】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該ピックアンドプレース機器102は複数伸長位置による上部層保管場所内の在庫容器をピックアンドプレースすることができ、目標在庫容器112が第1レーンに隣接する面の上部層保管場所に位置し、且つ目標在庫容器112の外側に阻害在庫容器が存在する場合、該制御システム100は、少なくとも2つのピックアンドプレース機器102が協働してまず目標在庫容器112外側の阻害在庫容器を取り除き、次に該目標在庫容器112を取得するように、少なくとも2つのピックアンドプレース機器102に搬送命令をそれぞれ送信する必要がある。当然、目標在庫容器112を複数伸長位置による上部層保管場所に入れる際に、外側に阻害在庫容器が存在する場合も、複数のピックアンドプレース機器102の協働が必要である。
【0132】
さらに、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、単一のピックアンドプレース機器102の搬送力を高め、倉庫運営に必要なピックアンドプレース機器102の最低数を減少させるために、該ピックアンドプレース機器102にさらに1つの仮格納棚を設けてもよく、該仮格納棚は複数層設けられ、各層に少なくとも1つの仮格納場所が設けられ、それによって該ピックアンドプレース機器102は複数の在庫容器を搬送できるようになる。
【0133】
図16a及び16bは本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器の模式図であり、図から分かるように、該ピックアンドプレース機器102はピックアンドプレース機構を含み、該ピックアンドプレース機構は、複数の伸長位置による保管場所から在庫容器を取り出すか、又は在庫容器を複数の伸長位置による保管場所に入れるように、伸縮可能である。該ピックアンドプレース機構は昇降機構に設けられ、異なる層の位置に合わせて在庫容器をピックアンドプレースするように、垂直方向に沿って移動可能である。図16bから分かるように、ピックアンドプレース機器に仮格納棚が設けられ、仮格納棚は在庫ラック108の各層と同じ高さに、対応する仮格納場所が設けられる。該ピックアンドプレース機器102のピックアンドプレース機構は荷物を取り出した後、90度回転して、荷物を仮格納棚の任意の空いている仮格納場所に入れることができる。
【0134】
さらに、本願の実施例において該ピックアンドプレース機器102に複数の仮格納場所を含む仮格納棚を設けることができるため、目標在庫容器112の外側に阻害在庫容器が存在する場合、該ピックアンドプレース機器102はさらに、該搬送命令により指示された目標在庫容器112が第1レーンに隣接する上部層保管場所に位置しないと判定した場合、該搬送命令に基づき、該目標在庫容器の所在する上部層保管場所外側の阻害在庫容器を該ピックアンドプレース機器102の仮格納棚の少なくとも1つの仮格納場所に搬送してから、該目標在庫容器112を取り出すために用いられる。
【0135】
つまり、該ピックアンドプレース機器102の仮格納棚は複数の搬送タスクに対応する搬送すべき目標在庫容器112の仮格納に用いることができ、目標在庫容器112をピックアンドプレースする時の在庫ラック108における阻害在庫容器を仮格納することもできる。これによって、仮格納棚が設けられた1つのピックアンドプレース機器102は、仮格納棚が設けられていない複数のピックアンドプレース機器102の搬送タスクを実現でき、制御システム100は搬送タスクに基づき搬送命令をより少なく送信することができ、倉庫内で動作するピックアンドプレース機器102の数はより少なくすることができ、第1レーンの交通負担が軽減される。
【0136】
本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該ピックアンドプレース機器102に1つ又は複数の仮格納テーブルを設けてもよく、各仮格納テーブルに少なくとも1つの仮格納場所が設けられる。該ピックアンドプレース機器102はさらに、該搬送命令により指示された目標在庫容器112が第1レーンに隣接する上部層保管場所に位置しないと判定した場合、該搬送命令に基づき、該ピックアンドプレース機構で該目標在庫容器の所在する上部層保管場所外側の少なくとも1つの阻害在庫容器を取り出して該1つ又は複数の仮格納テーブルの仮格納場所に入れてから、該ピックアンドプレース機構で該目標在庫容器112を取り出すために用いられる。図16cは本願の実施例で提供されるピックアンドプレース機器の模式図であり、図から分かるように、ピックアンドプレース機器102に仮格納テーブルが設けられ、該仮格納テーブルは、阻害在庫容器を一時的に格納するための少なくとも1つの仮格納場所を含む。
【0137】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該搬送機器104はさらに、該搬送命令に基づき、該在庫ラック108内の第2レーン上方の上部層保管場所から該搬送命令により指示された目標在庫容器112を取り出すか、又は該第2レーン上方の上部層保管場所に該搬送命令により指示された目標在庫容器112を入れ、及び該第2レーン上方の上部層保管場所と該第1底部層保管場所101との間、該第2レーン上方の上部層保管場所と目的点との間及び該第2レーン上方の上部層保管場所と第2底部層保管場所との間のうちの少なくとも1つで該搬送命令により指示された目標在庫容器112を搬送するために用いられる。
【0138】
したがって、本願において、図17に示すように、該搬送機器104は在庫容器をピックアンドプレース可能な保管場所をさらに拡大することができる。図17は本願の実施例で提供される搬送機器が在庫容器をピックアンドプレースする保管場所の位置模式図であり、図17は1つの在庫ラック108の断面図を示し、図中、斜線で塗りつぶされた保管場所は第1底部層保管場所101、第2底部層保管場所114及び第2レーン上方の上部層保管場所を含み、これらの保管場所はいずれも搬送機器104が在庫容器をピックアンドプレース可能な保管場所であり、ピックアンドプレース機器102が在庫容器をピックアンドプレースすべき保管場所、即ち図8中の斜線で塗りつぶされていない保管場所をさらに減少させて、倉庫全体の運営効率を高めることができる。
【0139】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、在庫ラック108に少なくとも、第1底部層保管場所101が含まれる場合、該制御システム100はさらに、履歴データに基づき、該倉庫に保管される各荷物の流通速度を特定し、少なくとも部分的に各荷物の高い順での流通速度及び該倉庫内の第1底部層保管場所の数に基づき、注目荷物を特定し、少なくとも一部の第1底部層保管場所101を、注目荷物を格納する在庫容器を置くために使用するために用いることができる。
【0140】
具体的には、まず、該制御システム100は、履歴注文データ、履歴搬送タスクデータ等を含む履歴データに基づき、該倉庫に保管される各荷物の流通速度を特定してもよい。その後、第1底部層保管場所101の数が限られるため、少なくとも部分的に第1底部層保管場所101の数に基づき、各荷物の流通速度の高い順で、いくつかの流通速度が高い荷物を、注目荷物として特定し、少なくとも一部の第1底部層保管場所101を、注目荷物を格納する在庫容器を置くために使用すると決定してもよい。
【0141】
例えば、第1底部層保管場所101の数が200個であると仮定すると、該制御システム100は流通速度の高い順での最大で上位200種の荷物を注目荷物として特定し、少なくとも一部の第1底部層保管場所101を、注目荷物を格納する在庫容器を置くために使用することができる。
【0142】
さらに、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、在庫ラック108に第1底部層保管場所101、第2底部層保管場所114及び第2レーン上方の上部層保管場所が含まれる場合、該制御システム100はさらに、履歴データに基づき、該倉庫に保管される各荷物の流通速度を特定し、少なくとも部分的に各荷物の高い順での流通速度、該倉庫内の第1底部層保管場所101の数、該倉庫内の第2底部層保管場所114の数及び該倉庫内の第2レーン上方の上部層保管場所の数に基づき、注目荷物を特定し、その後、各第1底部層保管場所101、各第2底部層保管場所114及び該第2レーン上方の各上部層保管場所のうちの一部を、注目荷物を格納する在庫容器を置くために使用するために用いることができる。
【0143】
つまり、搬送機器104が在庫容器を搬送する効率はピックアンドプレース機器102より高いため、搬送機器102ができる限り、格納される荷物の流通速度が低い在庫容器を搬送するように、荷物の流通速度に基づき、注目荷物を特定し、注目荷物を格納する在庫容器を搬送機器104による搬送が可能な保管場所に置き、ピックアンドプレース機器102の搬送頻度を低下させてもよい。
【0144】
さらに、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、搬送機器104は第1底部層保管場所101、第2底部層保管場所114及び第2レーン上方の上部層保管場所内の在庫容器を搬送でき、第1底部層保管場所101、第2底部層保管場所114及び第2レーン上方の上部層保管場所間の搬送複雑度にも一般的に差異があるため、制御システム100は、さらに注目荷物の流通速度に基づき、第1底部層保管場所101、第2底部層保管場所114及び第2レーン上方の上部層保管場所に格納される在庫容器を区別してもよい。
【0145】
具体的には、ピックアンドプレース機器102と搬送機器104が目標在庫容器112をリレー搬送して、搬送タスクを完了する際に、第1底部層保管場所101は目標在庫容器112を仮格納できるため、第1底部層保管場所101は目標在庫容器112の仮格納を実現する機能も備える。第1底部層保管場所101がいずれも注目荷物を格納する在庫容器により占有されている場合、ピックアンドプレース機器102と搬送機器104は目標在庫容器112をリレー搬送しにくくなる。そこで、本願の実施例において該第2レーン上方の各上部層保管場所に置かれる在庫容器に格納される荷物の流通速度は第1底部層保管場所101に置かれる在庫容器に格納される荷物の流通速度以上であってもよい。それによって、注目荷物を格納する在庫容器は、第1底部層保管場所101への影響をできる限り軽減するように、できる限り第2レーン上方の各上部層保管場所に置いてもよい。
【0146】
同様に、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該第2底部層保管場所114に置かれる在庫容器に格納される荷物の流通速度も第1底部層保管場所101に置かれる在庫容器に格納される荷物の流通速度以上であり得る。
【0147】
また、第1レーンに近い保管場所内の在庫容器のピックアンドプレース効率は第1レーンに近くない保管場所より高いため、在庫容器のピックアンドプレース効率の向上を考慮した上で、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該第1レーンに隣接する保管場所に置かれる在庫容器に格納される荷物の流通速度は該第1レーンに隣接しない保管場所に置かれる在庫容器に格納される荷物の流通速度より速くなる。
【0148】
当然、上記の流通速度によって、荷物の格納位置を特定するいくつかのルールは、単独で使用してもよく、又は組み合わせて使用してもよい。組み合わせて使用する場合、矛盾が存在すれば、重み付け加算の方式で、異なる荷物を置く保管場所を総合的に特定してもよく、本願はこれを限定しない。
【0149】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該制御システム100は在庫容器を倉庫に格納する保管場所位置を必要に応じて調整してもよく、これにより、制御システム100は、ピックアンドプレース機器102及び/又は搬送機器104に位置変更命令を送信することで、ピックアンドプレース機器102、又は搬送機器104、又はピックアンドプレース機器102と搬送機器104に、在庫容器位置の調整を実現させてもよい。
【0150】
具体的には、該制御システム100はさらに、該ピックアンドプレース機器102に位置変更命令を送信するために用いることができる。該位置変更命令は位置を変更すべき目標在庫容器112の現在所在する保管場所位置、及び目標在庫容器112の変更先の保管場所位置を含む。
【0151】
この場合、該ピックアンドプレース機器102はさらに、該位置変更命令に基づき、該位置変更命令により指示された目標在庫容器112を現在の保管場所から第1底部層保管場所101、第2底部層保管場所114及び第2レーン上方の上部層保管場所のうちの少なくとも1つに変更するために用いることができる。
【0152】
これらのことから分かるように、該制御システム100はピックアンドプレース機器102に位置変更命令を送信するだけで、ピックアンドプレース機器102に目標在庫容器112の位置変更を完了させることができる。現在の保管場所は具体的に、該在庫ラック108の第2レーン上方の上部層保管場所を除いた他の上部層保管場所であってもよい。
【0153】
さらに、本願の1つ又は複数の実施例において、該目標在庫容器112の現在の保管場所は非上部層保管場所であってもよく、この場合、該ピックアンドプレース機器102はさらに、該位置変更命令に基づき、該位置変更命令により指示された目標在庫容器112を第1底部層保管場所101から第2レーン上方の上部層保管場所に変更するために用いられ、つまり、現在の保管場所は第1底部層保管場所101であってもよい。
【0154】
また、本願の1つ又は複数の実施例において、該制御システム101はさらに、該搬送機器104に位置変更命令を送信するために用いられる。搬送機器104は第1底部層保管場所101、第2底部層保管場所114及び第2レーン上方の上部層保管場所内の目標在庫容器112に対してのみピックアンドプレース操作を実行可能であるため、該位置変更命令内の現在の保管場所及び変更先の保管場所も、それぞれ上記3つの保管場所のうちの1つでなければならない。
【0155】
具体的には、該搬送機器104はさらに、該位置変更命令に基づき、該位置変更命令により指示された目標在庫容器112を第2底部層保管場所114から第1底部層保管場所101に置き、及び第2レーン上方の上部層保管場所の在庫容器を第1底部層保管場所101に置くために用いられる。
【0156】
また、本願の1つ又は複数の実施例において、該制御システム100は、在庫ラック108の上部層保管場所内の奥行き的に内側に位置する在庫容器を、在庫ラック108外側の第1レーンに近い保管場所に搬送するだけとしてもよい。この場合、該制御システム100はさらに、該ピックアンドプレース機器102に位置変更命令を送信するために用いられる。
【0157】
これにより、該ピックアンドプレース機器102はさらに、該位置変更命令に基づき、該位置変更命令により指示された目標在庫容器112を該第1レーンに隣接しない保管場所から該第1レーンに隣接する保管場所に変更するために用いられる。
【0158】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、目的点が荷物ピッキングワークステーションである場合、搬送機器104が目標在庫容器112を目的点に搬送し、荷物ピッキングワークステーションで目標在庫容器112内の荷物へのピッキングを完了した後、搬送機器104はさらに目標在庫容器112を在庫ラック108の保管場所に返却する必要がある。
【0159】
この場合、該制御システム100は新しい搬送タスクを特定し、搬送タスクを実行するピックアンドプレース機器102及び/又は搬送機器104を特定し、ピックアンドプレース機器102及び搬送機器104が搬送命令に基づき、目標在庫容器112を元の保管場所に搬送するように、該ピックアンドプレース機器102及び搬送機器104に該搬送タスクを実行するための搬送命令をそれぞれ送信してもよい。つまり、目標在庫容器112は返却際に、在庫ラック108から搬出される時に所在する保管場所に戻され、つまり、原位置に返却される。
【0160】
さらに、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、原位置に返却する方式で目標在庫容器112を返却する場合、目標在庫容器112の原位置が上部層保管場所であれば、返却際にピックアンドプレース機器102はさらに目標在庫容器112を該上部層保管場所に送り戻す必要がある。搬送機器104が目標在庫容器112を返却する第1底部層保管場所101が、水平方向において該上部層保管場所から遠い場合、ピックアンドプレース機器102は遠く移動して目標在庫容器112を返却する必要があり、倉庫の運営効率に影響する。したがって、本願の実施例において、目標在庫容器112の原位置が上部層保管場所である場合、制御システム100は、ピックアンドプレース機器102の移動すべき距離を減少させるように、水平方向において該上部層保管場所に最も近い、空いている第1底部層保管場所101を、搬送機器104が目標在庫容器112を返却する第1底部層保管場所101として特定してもよい。
【0161】
あるいは、本願の1つ又は複数の実施例において、搬送機器104はさらに、前記搬送命令に基づき、搬送命令により指示された目標在庫容器112を前記第1底部層保管場所101に返却するために用いられ、ピックアンドプレース機器102はさらに、搬送命令に基づき、該第1底部層保管場所101から該搬送命令により指示された目標在庫容器112を取り出し、該目標在庫容器112を任意の空いている上部層保管場所に入れるために用いられる。つまり、制御システム100も任意の空いている上部層保管場所を、目標在庫容器112を返却する保管場所とする。ピックアンドプレース機器102及び搬送機器104の移動すべき距離をできる限り減少させる。
【0162】
さらに、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、原位置に返却する方式で目標在庫容器112を返却する場合、目標在庫容器112の原位置が上部層保管場所であれば、返却際にピックアンドプレース機器102はさらに搬送に関与する必要があり、倉庫の運営効率に影響する。したがって、該搬送機器104はさらに、該搬送命令に基づき、該搬送命令により指示された目標在庫容器112を該第1底部層保管場所101、該第2底部層保管場所114及び該第2レーン上方の上部層保管場所のうちの少なくとも1つに返却するために用いられる。つまり、制御システム100は、目標在庫容器112を返却する効率を高めるように、第1底部層保管場所101、該第2底部層保管場所114及び該第2レーン上方の上部層保管場所のうちから、任意の空いている保管場所を、第2搬送機器104に送信される制御命令内の目標在庫容器112を置く保管場所として特定してもよい。
【0163】
当然、目標在庫容器112を返却する保管場所が変化した場合、該制御システム100はさらに荷物を格納する保管場所の記録を更新する必要がある。
【0164】
さらに、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該目標在庫容器112が該第2底部層保管場所114又は該第2レーン上方の上部層保管場所に返却される場合、該搬送機器104はさらに、該搬送命令に基づき、該第2底部層保管場所114又は該第2レーン上方の上部層保管場所から該目標在庫容器112を取り出し、該第1底部層保管場所101に入れるために用いられる。
【0165】
該ピックアンドプレース機器102はさらに、該搬送命令に基づき、該第1底部層保管場所101から該搬送命令により指示された目標在庫容器112を取り出し、該目標在庫容器112を任意の空いている上部層保管場所に入れるために用いられる。
【0166】
また、本願において、ピックアンドプレース機器102が、阻害在庫容器を空いている保管場所に搬送する必要がある場合、一般的には、ピックアンドプレース機器102の搬送効率を高める目的で、制御システム100は、阻害在庫容器の所在する保管場所に最も近い1つの空いている上部層保管場所を、阻害在庫容器を格納する保管場所として特定し、通常、ピックアンドプレース機器102の荷取り構造の伸縮にかかる時間を減少させるように、第1レーンに隣接する、空いている上部層保管場所を選択する。しかし、こうすれば該阻害在庫容器が他の搬送タスクにおいて、引き続き阻害在庫容器となる確率は増加する。
【0167】
そこで、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、ピックアンドプレース機器102の搬送効率が搬送機器104より低いため、ピックアンドプレース機器102に阻害在庫容器を空いている保管場所に搬送する必要がある場合、該ピックアンドプレース機器102は阻害在庫容器を第2レーン上方の空いている上部層保管場所に置いて、後続でピックアンドプレース機器102が他の搬送命令に基づいて在庫容器を搬送する時の、在庫容器を移動すべき確率を低下させ、倉庫の運営効率を高めることができる。
【0168】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該ピックアンドプレース機器102及び搬送機器104は少なくとも、位置特定ラベルによるナビゲーションの方式で、該第1レーン及び第2レーン内を走行することができる。したがって、該倉庫空間内には位置を特定するためのラベルが設けられ、該ピックアンドプレース機器102及び該搬送機器104は倉庫空間内に設けられるラベルによって位置を特定し、該ラベルは具体的にデジタルオブジェクト一意識別子(Digital Object Unique Identifier,DOI)であってもよく、具体的な形式はバーコード、二次元コード、カラーコード等であってもよく、該ラベルは該倉庫の床面、天井又は在庫ラック等の位置に設けてもよく、本願は位置特定用のラベルの具体的な形式、及びその設置位置を限定せず、必要に応じて設定してもよい。
【0169】
さらに、本願の実施例において、該ラベルは非等ピッチで倉庫空間内に設けてもよい。
【0170】
またさらに、本願の実施例は、搬送機器104が目標在庫容器112を搬送する時により正確に位置を特定できること、即ち、目標在庫容器112の中心と搬送機器104の目標在庫容器112を積載する部材の中心との位置ずれが小さくなること、及び搬送機器104が目標在庫容器112を搬送する安定性を向上させることを目的とする。
【0171】
本願において、倉庫内の在庫容器の底部に位置特定用のラベルが設けられ、該ラベルは在庫容器の中心に位置してもよく、該搬送機器104には、搬送機器104が目標在庫容器112を搬送する時に、収集された画像中のラベルに基づき、該目標在庫容器112の位置及び姿勢を特定するための上向きに撮影する画像センサが設けられる。
【0172】
具体的には、該搬送機器104はさらに、制御システム100により送信された搬送命令に基づいて目標位置に到達し、リアルタイムに収集された画像に基づき、自機器の位置と該目標在庫容器112の位置とのずれを特定し、該ずれが所定閾値より大きくなるか否かを判定し、大きいの場合、該ずれに基づいて自機器の位置を調整した後、該目標位置の保管場所から該目標在庫容器112を取り出し、大きくない場合、該目標位置まで走行して保管場所から該目標在庫容器112を取り出すために用いられる。
【0173】
説明すべきことは、該搬送機器104は制御命令に基づいて該目標在庫容器112を格納する保管場所へ走行する時、自機器と該目標在庫容器112を格納する保管場所との距離を監視し、該保管場所の位置との距離が所定距離以下である場合、目標位置まで到達したと判定できる点である。
【0174】
該搬送機器104は引き続き制御命令に基づいて該保管場所へ走行するとともに、自自機器の画像センサによって画像をリアルタイムに収集し、収集された各フレームの画像について、該画像に基づいて自機器の位置と目標在庫容器112の位置とのずれを特定することができる。ずれが所定閾値より大きくなる場合、該搬送機器104は自機器の位置を調整し、つまり、自機器の位置を再決定し、再決定された自機器の位置に基づいてラベルによって位置を特定し、保管場所まで走行して目標在庫容器112を取り出すことができ、自機器の位置を再決定することで自機器の位置と目標在庫容器112の位置とのずれが解消される。
【0175】
これにより、目標在庫容器112を保管場所に置く時にずれが発生して、目標在庫容器112と保管場所中心とのずれをもたらした場合、該搬送機器104は、保管場所に到達する時に、保管場所ではなく目標在庫容器112に位置合わせされるように、保管場所へ走行する時に、自機器の位置をリアルタイムに調整し、走行軌跡を変えてもよい。
【0176】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該搬送機器104はさらに、該制御システム100により送信された搬送命令及び該搬送機器104に設けられたセンサにより収集された情報に基づき、自機器の中心と自機器が搬送する目標在庫容器の中心とのずれを特定するために用いられる。
【0177】
該センサは、無線周波数センサ、画像センサ、磁気センサ、近距離通信チップのうちの少なくとも1つを含み、それによって、該搬送機器104は無線周波数識別(Radio Frequency Identification,RFID)技術、画像認識技術、磁気ナビゲーション技術等によって、自機器の位置と目標在庫容器の中心の位置を特定して、姿勢のずれを特定することができる。
【0178】
該搬送機器104はさらに、該ずれ及び該第1底部層保管場所101又は第2底部層保管場所114又は該第2レーン上方の上部層保管場所の位置に基づき、該目標位置及び/又は該搬送機器の該目標位置での姿勢を調整するために用いられる。
【0179】
目標位置まで走行した後、該目標在庫容器112を該第1底部層保管場所101又は第2底部層保管場所114又は該第2レーン上方の上部層保管場所に入れる。
【0180】
つまり、該搬送機器104は目標在庫容器112を取り出す時、目標在庫容器112の位置と自機器の位置との間にずれが存在することがあり、この場合、目標在庫容器112が正確に保管場所に入れられるように、該搬送機器104は自機器の位置と搬送中の目標在庫容器112の位置とのずれを特定し、目標位置を調整するか、又は自機器の目標位置での姿勢を調整してもよい。
【0181】
さらに、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該在庫ラック108の底部層における少なくとも一部の第1底部層保管場所101及び少なくとも一部の第2底部層保管場所114の在庫容器ラックの高さは、該搬送機器104が在庫容器を載置していない時の高さより高い。
【0182】
これにより、本願の実施例において、搬送機器104は様々な方式で底部層保管場所から目標在庫容器112を搬出し又はそこに目標在庫容器112を格納することができる。
【0183】
具体的には、該搬送機器104はさらに、在庫容器を載置していない時に該少なくとも一部の第1底部層保管場所100及び少なくとも一部の第2底部層保管場所114の下方を選択的に通過するか、又は、該少なくとも一部の第1底部層保管場所101及び少なくとも一部の第2底部層保管場所114の下方からピギーバックの方式で該目標在庫容器を搬送して離間するために用いられる。
【0184】
あるいは、本願の実施例において、第1底部層保管場所101は少なくとも第1レーンに隣接するため、該搬送機器104はさらに、該第1底部層保管場所101に隣接する該第1レーンの位置で、該第1底部層保管場所101の側方から該目標在庫容器を該搬送機器104上に取り出すか、又は、該搬送機器104上の該目標在庫容器112を該第1底部層保管場所101の側方から該第1底部層保管場所101に入れるために用いられる。
【0185】
当然、該第1底部層保管場所101が第2レーンにも隣接する場合、搬送機器104はさらに、該第1底部層保管場所101に隣接する該第2レーンの位置で、該第1底部層保管場所101の側方から該目標在庫容器を該搬送機器104上に取り出すか、又は、該搬送機器104上の該目標在庫容器112を該第1底部層保管場所101の側方から該第1底部層保管場所101に入れるために用いられる。
【0186】
あるいは、本願の実施例において、第2底部層保管場所114は少なくとも、1つの第2レーンに隣接するため、該搬送機器104はさらに、該第2底部層保管場所114に隣接する該第2レーンの位置で、該第2底部層保管場所114の側方から該目標在庫容器112を該搬送機器104上に取り出すか、又は、該搬送機器104上の該目標在庫容器112を該第2底部層保管場所114の側方から該第2底部層保管場所114に入れるために用いられる。
【0187】
図18は本願の実施例で提供される搬送機器が側方から在庫容器をピックアンドプレースする模式図であり、搬送機器104は第2底部層保管場所114に隣接する第2レーン位置に位置し、第2底部層保管場所114の側方から在庫容器をピックアンドプレースする。
【0188】
また、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該目的点106がピッキングステーションである場合、該目的点106には操作端116がさらに設けられ、該操作端116はピッキング作業者のワークステーション、又はピッキング機器であってもよい。
【0189】
該操作端116は該目的点106で該目標在庫容器112から荷物を取り出すか、又は該目標在庫容器112に荷物を入れるために用いられる。本願で提供される1つ又は複数の実施例において、目的点106は少なくとも2つ以上の操作端116を含む。
【0190】
搬送機器104は目標在庫容器112を搬送する時、重心を低くするために、一般的には目標在庫容器112の高さをできる限り低くするため、搬送機器104が目標在庫容器112を目的点106まで搬送した時、目標在庫容器112の高さは低い。これにより、該操作端116が手動で荷物をピッキングする場合、作業者は低い目標在庫容器112から荷物を取り出す必要があり、作業者の負担が重い。
【0191】
そこで、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該搬送機器104はさらに、該目標在庫容器112を目的点106まで搬送した時、該目的点での該操作端116が目標在庫容器112から荷物を取り出すか、又は該目標在庫容器112に荷物を入れるように、該目標在庫容器112を所定高さまで上げるために用いられる。該所定高さは必要に応じて設定してもよく、例えば、倉庫内で働く作業者の平均身長を統計することで、作業者の手が自然に下りる状態時の平均高さを特定し、該高さを所定高さとしてもよい。又は、各作業者について、該作業者の手が自然に下りる状態時の高さを特定し、目的点106で働く作業者の手が自然に下りる状態時の高さに基づき、所定高さを決定する。つまり、異なる作業者にパーソナライズして適応し、完全には同じでない所定高さを決定する。
【0192】
又は、搬送機器104が目標在庫容器112を上げる高さが限られ、完全に要求を満たすことができないことがあるため、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該目的点106には昇降機器118がさらに設けられる。
【0193】
この場合、該搬送機器104はさらに、該目標在庫容器112を目的点106まで搬送した時、該目標在庫容器112を該昇降機器118に入れるか、又は該昇降機器118から該目標在庫容器112を取り出すために用いられる。
【0194】
該昇降機器118は、該搬送機器104が該目標在庫容器112を入れた後、該操作端116が該目標在庫容器112から荷物を取り出すか、又は該操作端116が該目標在庫容器112に荷物を入れるように、該目標在庫容器112を該所定高さまで上げるために用いられる。該操作端116が該目標在庫容器112に荷物を入れた時、該昇降機器118は該目標在庫容器112を元の高さに下げる。
【0195】
元の高さは搬送機器104が目標在庫容器112を昇降機器118に入れる時の、昇降機器118の高さである。また、搬送機器104が目標在庫容器112を昇降機器118の在庫容器ラックに入れることができるように、該昇降機器118に在庫容器ラックが設けられてもよい。
【0196】
図19は本願の実施例で提供される昇降機器の作動模式図である。図から分かるように、搬送機器104は目的点106まで移動して目標在庫容器112を昇降機器118に入れることができ、その後、昇降機器118は、操作端116が便利に操作できるように、高さを上げる。
【0197】
さらに、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該搬送機器104は目標在庫容器112を目的点106まで搬送した後、操作端116による荷物ピッキングが完了するまで待ってから、目標在庫容器112を在庫ラック108に送り戻し、目標在庫容器112の返却を行うことができる。
【0198】
あるいは、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、目標在庫容器112を目的点106まで送る搬送機器104は、目標在庫容器112を目的点106から取り出す搬送機器104と完全には同じでなくてもよい。それによって、システムは目的点での荷物ピッキング時間を十分に利用することができ、搬送機器104が待つことによる時間遅れが回避され、搬送機器104の作動効率が向上する。
【0199】
具体的には、該制御システム100はさらに、該搬送機器104が該目標在庫容器112を該昇降機器118に置いたと判定した後、引き続き該搬送機器104に他の搬送命令を送信するために用いられる。
【0200】
該昇降機器118は、荷物ピッキングが完了した時、該制御システム100に通知情報を送信するために用いられる。通知情報は、制御システム100に該目標在庫容器112内の荷物のピッキングが既に完了していることを通知するために用いられる。
【0201】
該制御システム100はさらに、該昇降機器118により送信された通知情報に基づき、新しい搬送タスクを特定し、該新しい搬送タスクを実行する搬送機器104を特定し、搬送命令を受信する搬送機器104が該目的点106の昇降機器118まで到達して目標在庫容器112を取り出すように、該新しい搬送タスクに基づいて特定された搬送機器104に搬送命令を送信するために用いられる。
【0202】
またさらに、本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該目的点106には、該搬送機器104により搬送された該目標在庫容器112を予備格納するための予備格納エリアが設けられる。図20に示すように、該予備格納エリアはローラ線形式のものであってもよい。図20は本願で提供される目的点の予備格納エリアの模式図である。
【0203】
本願で提供される1つ又は複数の実施例において、該目的点106の予備格納エリアは該昇降機器118に設けてもよい。該昇降機器118はさらに、該搬送機器104により置かれた該目標在庫容器112を該予備格納エリアに仮格納し、該操作端116が目標在庫容器112から荷物を取り出すか、又は目標在庫容器112に荷物を入れるように、該操作端116が空いている時に、仮格納された該目標在庫容器112を該所定高さまで上げるために用いられる。
【0204】
図11に示すシステムに基づき、図21に示すように、本願の実施例は在庫方法をさらに提供する。
【0205】
図21は本願の実施例で提供される在庫方法の手順模式図であり、倉庫は少なくとも、1つ又は複数のピックアンドプレース機器、1つ又は複数の搬送機器及び1つ又は複数の目的点を含み、該倉庫は少なくとも1つの在庫ラックからなり、該在庫ラックは複数層設けられ、各在庫ラック間の空間は第1レーンを形成し、該在庫ラックの各層は奥行き方向において少なくとも2つの保管場所が設けられ、該在庫ラックは該第1レーンに隣接する少なくとも1面の底部層の位置に1列の第1底部層保管場所が設けられ、該在庫ラック底部層における少なくとも一部の第1底部層保管場所に在庫容器が配置され、該在庫ラックの底部層を除いた他の上部層における少なくとも一部の上部層保管場所に在庫容器が配置され、該在庫ラックの底部層において第1底部層保管場所が設けられていない空間は第2レーンを形成し、該第2レーンは該在庫ラックの底部層を貫通し、該搬送手順は具体的に以下のステップを含んでもよい。
【0206】
S200で、実行待ちの搬送タスクを特定する。
【0207】
説明すべきことは、該搬送タスクは倉庫の荷物仕分け、搬送、出庫又は入庫等を実現し、搬送機器に在庫容器を搬送させるためのタスクであり、受信された注文に基づいて特定するか、又は必要に応じて特定してもよい点であり、本願はこれを限定しない。
【0208】
S202で、前記搬送タスクに基づき、搬送タスクを実行するピックアンドプレース機器及び/又は搬送機器を特定する。
【0209】
S204で、前記ピックアンドプレース機器が前記第1レーン内を走行し、前記搬送機器が前記第1レーン内及び/又は第2レーン内を走行し、両者が協働して前記搬送命令により指示された目標在庫容器を前記倉庫の上部層保管場所又は第1底部層保管場所から前記目的点まで搬送するか、又は前記搬送命令により指示された目標在庫容器を前記目的点から前記倉庫の上部層保管場所又は第1底部層保管場所に搬送するように、前記ピックアンドプレース機器及び搬送機器に前記搬送タスクを実行するための搬送命令をそれぞれ送信する。
【0210】
本願の実施例で提供される在庫方法は具体的に、制御システムにより実行してもよく、該制御システムは1つ又は複数の機器であってもよく、例えば複数のサーバからなる分散型サーバであってもよく、本願はこれを限定せず、当然、在庫ラックは1つ又は複数であってもよいため、1つの制御システムを設けて複数の在庫ラックの搬送タスクを特定し、機器を、搬送タスクを実行するようにスケジューリングしてもよく、又は複数の制御システムで異なる搬送タスクをそれぞれ特定し、機器を、搬送タスクを実行するようにスケジューリングしてもよい。また、複数の制御システムが存在する場合、各制御システムは、複数の制御システムが連携して複数の搬送タスクを完了できるように、特定された搬送タスクを共有してもよい。
【0211】
また、該方法の詳細な実行プロセスは上記在庫システムにおいて搬送タスクを実行するプロセスについての説明を参照すればよく、本願はここで詳細な説明を省略する。
【0212】
さらに、本願の実施例において、制御システムが該搬送スケジューリング手順を実行することを例にして説明し、該ピックアンドプレース機器は上部層保管場所の上方又は側方から目標在庫容器を搬送できるため、ピックアンドプレース機器が搬送タスクを実行するように、特定されたピックアンドプレース機器に搬送命令を送信する時、制御システムは、ピックアンドプレース機器が搬送命令に基づき、第1レーン位置で上部層保管場所の側方から搬送命令により指示された目標在庫容器をピックアンドプレース機器に取り出すか、又はピックアンドプレース機器が搬送命令に基づき、ピックアンドプレース機器から搬送命令により指示された目標在庫容器を側方から上部層保管場所に入れるように、搬送タスクに基づき、搬送タスクに対応する上部層保管場所を特定し、上部層保管場所の位置及び上部層保管場所に隣接する第1レーンの位置に基づき、特定されたピックアンドプレース機器に搬送命令を送信してもよい。
【0213】
また、本願の実施例において該搬送機器は異なる方式、例えば、底部層保管場所の下方又は側方から目標在庫容器を搬送する方式で、第1底部層保管場所及び第2底部層保管場所から荷物を取り出してもよいため、搬送機器が搬送タスクを実行するように、特定された搬送機器に搬送命令を送信する時、制御システムは、搬送機器が第1底部層保管場所又は第2底部層保管場所に隣接する第1レーン又は第2レーンの位置で、底部層保管場所の側方から搬送命令により指示された目標在庫容器を搬送機器に取り出すか、又は搬送機器から搬送命令により指示された目標在庫容器を側方から第1底部層保管場所又は第2底部層保管場所に入れるように、搬送タスクに基づき、搬送タスクに対応する第1底部層保管場所又は第2底部層保管場所を特定し、第1底部層保管場所もしくは第2底部層保管場所の位置及び底部層保管場所に隣接する第1レーンもしくは第2レーンの位置に基づき、搬送機器に搬送命令を送信してもよい。
【0214】
さらに、制御システムは、搬送機器が第1底部層保管場所又は第2底部層保管場所の下方に進入し、第1底部層保管場所又は第2底部層保管場所の下方から搬送命令により指示された目標在庫容器を搬送機器に取り出すか、又は搬送機器から搬送命令により指示された目標在庫容器を第1底部層保管場所又は第2底部層保管場所に入れるように、搬送タスクに基づき、搬送タスクに対応する第1底部層保管場所又は第2底部層保管場所を特定し、第1底部層保管場所又は第2底部層保管場所の位置に基づき、搬送機器に搬送命令を送信してもよい。
【0215】
図21に示す方法に基づき、倉庫に設けられる在庫ラックによって、在庫ラック間の空間を第1レーンとし、在庫ラックの底部層において第1底部層保管場所が設けられていない、在庫ラックの底部層を貫通する空間を第2レーンとし、ピックアンドプレース機器は第1レーン内を走行し、搬送機器は第1レーン及び/又は第2レーン内を走行でき、ピックアンドプレース機器と搬送機器を組み合わせて使用して倉庫内で荷物を搬送する。底部層を走行できる搬送機器の走行速度は自機器の高さに影響されず、搬送機器が走行するレーンはピックアンドプレース機器と異なってもよいため、高速で走行する搬送機器と上部層保管場所での搬送が可能なピックアンドプレース機器は協働してタスクを実行し、ピックアンドプレース機器の走行が遅いことによる問題が回避され、倉庫の搬送効率、荷物ピッキング効率が向上する。
【0216】
1990年代で、技術の改良は、ハードウェアの改良(例えば、ダイオード、トランジスタ、スイッチ等の回路構造の改良)であるか、ソフトウェアの改良(方法手順の改良)であるかを明確に区別することが可能であった。しかし、技術の発展に伴い、今日の方法手順の改良は既にハードウェア回路構造の直接改良と見なすことができていることが多い。設計者の殆どは改良された方法手順をハードウェア回路へプログラミングすることで対応するハードウェア回路構造を得ている。したがって、方法手順の改良はハードウェアエンティティモジュールで実現できないとはいえない。例えば、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device,PLD)(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array,FPGA))はこのような集積回路であり、そのロジック機能はユーザによるデイバスへのプログラミングによって決定される。設計者は自らプログラミングして1つのデジタルシステムを1つのPLD上に「統合」するため、チップ製造者を雇って専用集積回路チップを設計及び製造する必要はない。また、今日では、集積回路チップを手動で製造する代わりに、このようなプログラミングは大抵、プログラム開発及び書き込みにおいて使用されるソフトウェアコンパイラと類似する「ロジックコンパイラ(logic compiler)」ソフトウェアを使用して実現され、コンパイル前の元のコードもハードウェア記述言語(Hardware Description Language,HDL)と呼ばれる特定のプログラミング言語で書き込まれなければならないが、HDLは1種類だけでなく複数種類存在し、例えばABEL(Advanced Boolean Expression Language)、AHDL(Altera Hardware Description Language)、Confluence、CUPL(Cornell University Programming Language)、HDCal、JHDL(Java Hardware Description Language)、Lava、Lola、MyHDL、PALASM、RHDL(Ruby Hardware Description Language)等が存在し、現在最も広範囲に使用されているのはVHDL(Very-High-Speed Integrated Circuit Hardware Description Language)及びVerilogである。方法手順を実現するハードウェア回路は、上記いくつかのハードウェア記述言語で該方法手順を少し論理的にプログラミングして集積回路にプログラミングするだけで、容易に取得可能であることも、当業者には自明であろう。
【0217】
コントローラは任意の適切な形態で実現可能であり、例を挙げると、コントローラは、例えばマイクロプロセッサ又はプロセッサ及び該(マイクロ)プロセッサにより実行可能なコンピュータ可読プログラムコード(例えばソフトウェア又はファームウェア)を記憶するコンピュータ可読媒体、ロジックゲート、スイッチ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASIC)、プログラマブルロジックコントローラ及び組み込み型マイクロコントローラの形式を採用してもよく、コントローラの例は、ARC 625D、Atmel AT91SAM、Microchip PIC18F26K20及びSilicone Labs C8051F320というマイクロコントローラを含むが、それらに限定されず、また、メモリコントローラはメモリの制御ロジックの一部として実現されてもよい。純コンピュータ可読プログラムコードの形態でコントローラを実現することに加えて、ロジックゲート、スイッチ、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックコントローラ、及び組み込み型マイクロコントローラ等の形式で同じ機能をコントローラに実現させるように、方法ステップを論理的にプログラミングすることは十分実現可能であることも、当業者は理解していよう。したがって、このようなコントローラは、ハードウェアコンポーネントと見なすことが可能であり、様々な機能を達成するためにこれに含まれる装置もまた、ハードウェアコンポーネント内の構造として見なすことが可能である。あるいは、様々な機能を実現するための装置は、方法を実現するソフトウェアモジュールでありながらハードウェアコンポーネント内の構造であると見なすことですら可能である。
【0218】
上記実施例で述べられたシステム、装置、モジュール又はユニットは、具体的に、コンピュータチップ又はエンティティにより実現されてもよく、又はある機能を有する製品により実現されてもよい。典型的な実施機器はコンピュータである。具体的には、コンピュータは、例えばパソコン、ラップトップ型コンピュータ、セルラ電話、カメラ電話、スマートフォン、携帯情報端末、メディアプレイヤー、ナビゲーション機器、電子メール機器、ゲームコンソール、タブレット、ウェアラブル機器又はこれらの機器の任意組合せであってもよい。
【0219】
説明の便宜上、以上の装置は説明する際に機能に基づいて様々なユニットに分割してそれぞれ説明する。当然、本願の実施例は実施する際に各ユニットの機能を同一又は複数のソフトウェア及び/又はハードウェアで実現してもよい。
【0220】
本願の実施例は方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供できることは、当業者に自明であろう。したがって、本願は完全ハードウェア実施例、完全ソフトウェア実施例、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施例の形態を採用してもよい。また、本願は、コンピュータ利用可能プログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータ利用可能記憶媒体(磁気ディスク記憶装置、CD-ROM、光学記憶装置等を含むが、それらに限定されない)上で実施されるコンピュータプログラム製品の形態を採用してもよい。
【0221】
本願は本願の実施例に係る方法、機器(システム)、及びコンピュータプログラム製品の手順図及び/又はブロック図を参照して説明している。なお、手順図及び/又はブロック図におけるそれぞれの手順及び/又はブロック、並びに手順図及び/又はブロック図における手順及び/又はブロックの組合せはコンピュータプログラム命令によって実現できることを理解すべきである。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を製造するために、共通コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサへ提供されてもよく、それにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令は、手順図の1つ又は複数の手順及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現する手段を創出する。
【0222】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置を特定の方式で動作させるように指導可能なコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、それによって該コンピュータ可読メモリに記憶された命令は、手順図の1つ又は複数の手順及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現する命令手段を含む製品を創出する。
【0223】
これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードすることにより、コンピュータ実行処理を生成するように、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置において一連の動作ステップを実行させるようにしてもよく、それにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置において実行される命令は手順図の1つ又は複数の手順及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能を実現するためのステップを提供する。
【0224】
典型的な構成において、計算機器は1つ又は複数のプロセッサ(CPU)、入力/出力インタフェース、ネットワークインタフェース及び内部メモリを含む。
【0225】
内部メモリはコンピュータ可読媒体のうちの非永続型メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び/又は読み取り専用メモリ(ROM)もしくはフラッシュメモリ(flash RAM)のような不揮発性内部メモリ等の形態を含み得る。内部メモリはコンピュータ可読媒体の例である。
【0226】
コンピュータ可読媒体は永続的及び非永続的、移動可能及び移動不能な媒体を含み、任意の方法又は技術によって、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムのモジュール又は他のデータであり得る情報の記憶を実現可能である。コンピュータの記憶媒体の例としては、相変化メモリ(PRAM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、他のタイプのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他の内部メモリ技術、携帯型コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光学メモリ、磁気カートリッジ型磁気テープ、磁気テープ磁気ディスクメモリ又は他の磁気記憶デバイス又は任意の他の非伝送媒体を含むが、これらに限定されず、それらはコンピュータ機器がアクセス可能な情報を記憶するために用いることができる。本明細書における定義によれば、コンピュータ可読媒体は、変調されたデータ信号及びキャリアのような一時的媒体(transitory media)を含まない。
【0227】
さらに説明すべきことは、用語「含む」、「からなる」又はその他のあらゆる変形は、非排他的包含を含むように意図され、それにより一連の要素を含むプロセス、方法、商品又は機器は、それらの要素のみならず、明示されていない他の要素、又はこのようなプロセス、方法、商品又は機器に固有の要素をも含む点である。特に断らない限り、語句「1つの……を含む」により限定される要素は、該要素を含むプロセス、方法、商品又は機器に別の同じ要素がさらに存在することを排除するものではない。
【0228】
本願の実施例は方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として提供できることは、当業者に自明であろう。したがって、本願は完全ハードウェア実施例、完全ソフトウェア実施例、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施例の形態を採用してもよい。また、本願は、コンピュータ利用可能プログラムコードを含む1つ又は複数のコンピュータ利用可能記憶媒体(磁気ディスク記憶装置、CD-ROM、光学記憶装置等を含むが、それらに限定されない)上で実施されるコンピュータプログラム製品の形態を採用してもよい。
【0229】
本願はコンピュータにより実行されるコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテキスト、例えばプログラムモジュールにおいて説明してもよい。一般的には、プログラムモジュールは特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含んでもよい。本願は分散型コンピューティング環境において実施してもよく、これらの分散型コンピューティング環境において、タスクは通信ネットワークによって接続される遠隔処理機器により実行される。分散型コンピューティング環境において、プログラムモジュールは記憶機器を含むローカル及び遠隔計算システムの記憶媒体に存在してもよい。
【0230】
本願における各実施例はいずれも漸進的に説明され、各実施例間の同一又は類似の部分については相互に参照すればよく、各実施例は他の実施例との相違点を重点的に説明した。特に、システム実施例については、それは方法実施例に基本的に類似するので、説明は比較的簡単であり、関連部分は方法実施例の説明の一部を参照すればよい。
【0231】
以上は本願の実施例に過ぎず、本願を限定するものではない。当業者であれば、本願の様々な変更及び変化は可能である。本願の精神及び原理内に行われる修正、同等な取り替え、改良等は、いずれも本願の特許請求の範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16a
図16b
図16c
図17
図18
図19
図20
図21