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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】振動信号生成装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20240814BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20240814BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
H04R3/00 310
G10K15/04 302M
H04R1/00 310G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022575500
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2021047837
(87)【国際公開番号】W WO2022153822
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2021003489
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 賢太
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-144377(JP,U)
【文献】実開平3-125598(JP,U)
【文献】特開平1-208099(JP,A)
【文献】特開2019-5142(JP,A)
【文献】米国特許第5695455(US,A)
【文献】特表2011-507088(JP,A)
【文献】国際公開第2019/043781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
G10K 15/04
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生装置を振動させるための振動信号を生成する振動信号生成装置であって、
音声信号の包絡線に関する包絡線情報を導出する包絡線情報導出部と、
周波数および振幅が一定の波である基本信号に、前記包絡線情報に基づいた周波数変調および振幅変調を行い、振動信号を生成する振動信号生成部と、を有する、振動信号生成装置。
【請求項2】
前記音声信号のうちの低周波成分を音声信号から抽出する抽出部と、
前記振動信号に、前記抽出された低周波成分の信号を混合する混合部と、をさらに有する、請求項1に記載の振動信号生成装置。
【請求項3】
前記振動信号生成部は、前記包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が高くなるように、前記周波数変調を行う、請求項1または2に記載の振動信号生成装置。
【請求項4】
前記振動信号生成部は、前記包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が低くなるように、前記周波数変調を行う、請求項1または2に記載の振動信号生成装置。
【請求項5】
複数のモードから1つのモードを決定するモード決定部をさらに有し、
前記振動信号生成部は、前記モード決定部により決定されたモードに基づいて、前記周波数変調を行う、請求項1または2に記載の振動信号生成装置。
【請求項6】
前記複数のモードは、リラックス効果を目的とする第1のモードを含み、
前記振動信号生成部は、前記決定されたモードが第1のモードであるならば、前記包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が低くなるように、前記周波数変調を行う、請求項5に記載の振動信号生成装置。
【請求項7】
前記複数のモードは、覚醒効果を目的とする第2のモードを含み、
前記振動信号生成部は、前記決定されたモードが第2のモードであるならば、前記包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が高くなるように、前記周波数変調を行う、請求項5または6に記載の振動信号生成装置。
【請求項8】
振動発生装置を振動させるための振動信号を生成するために、コンピュータで実行される振動信号生成方法であって、
音声信号の包絡線に関する包絡線情報を導出する包絡線情報導出工程と、
周波数および振幅が一定の波である基本信号に、前記包絡線情報に基づいた周波数変調および振幅変調を行い、振動信号を生成する振動信号生成工程と、を有する振動信号生成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の振動信号生成方法を、コンピュータに実行させる振動信号生成プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の振動信号生成プログラムを記憶しているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動信号生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声に基づいて発生させた振動を身体に与えることで、音声を身体で感させることが可能である。人間が感じることができる振動の周波数領域は、人間が聴くことができる周波数領域のうちの低周波領域であるため、従来は、音声信号のうちの低周波領域だけを抽出し、この抽出された低周波領域の信号に基づいて、振動を発生させていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-288887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような方法では、低周波領域の成分がない音声の場合には、音声に基づいた振動を発生することができなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、低周波領域の成分がない音声の場合であっても、音声に基づいた振動を発生することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、振動発生装置を振動させるための振動信号を生成する振動信号生成装置であって、音声信号の包絡線に関する包絡線情報を導出する包絡線情報導出部と、周波数および振幅が一定の波である基本信号に、前記包絡線情報に基づいた周波数変調および振幅変調を行い、振動信号を生成する振動信号生成部と、を有する。
【0007】
請求項8に記載の発明は、振動発生装置を振動させるための振動信号を生成するために、コンピュータで実行される振動信号生成方法であって、音声信号の包絡線に関する包絡線情報を導出する包絡線情報導出工程と、周波数および振幅が一定の波である基本信号に、前記包絡線情報に基づいた周波数変調および振幅変調を行い、振動信号を生成する振動信号生成工程と、を有する。
【0008】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の振動信号生成方法を、コンピュータにより実行させる。
【0009】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の振動信号生成プログラムを記憶している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係る振動発生システムを示す図である。
図2】音声信号の包絡線E(t)を説明する図である。
図3】包絡線のレベルと周波数の関係と生成される振動信号を説明する図である。
図4】包絡線のレベルと周波数の関係と生成される振動信号を説明する図である。
図5】本発明の一実施例に係る振動信号生成装置100おける処理動作の一例を示す図である。
図6】本発明の一実施例に係る音声出力・振動発生システムを示す図である。
図7】包絡線のレベルと周波数の関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る振動信号生成装置は、振動発生装置を振動させるための振動信号を生成する振動信号生成装置であって、音声信号の包絡線に関する包絡線情報を導出する包絡線情報導出部と、周波数および振幅が一定の波である基本信号に、前記包絡線情報に基づいた周波数変調および振幅変調を行い、振動信号を生成する振動信号生成部と、を有する。このため、本実施形態では、低周波領域の成分がない音声の場合であっても、この音声に基づいた振動信号を生成することが可能である。また、本実施形態では、音声信号の包絡線のレベルに基づいて、周波数変調を行う。このため、生成された振動信号の周波数は、包絡線のレベルに応じて変化する。よって、本実施形態では、低周波領域の成分がない音声の場合であっても、この音声に基づいて、単調でない振動を発生することが可能である。
【0012】
前記振動信号生成装置は、前記音声信号のうちの低周波成分を音声信号から抽出する抽出部と、前記振動信号に、前記抽出された低周波成分の信号を混合する混合部と、をさらに有するようにしても良い。このようにすることで、音声に低周波成分がある場合は、音声信号の低周波成分の振動も音声の聴者に与えることが可能になり、結果、アタック感があり、音声により追従した振動をユーザに与えることが可能にある。
【0013】
前記振動信号生成部は、前記包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が高くなるように、前記周波数変調を行うようにしても良い。このようにすることで、周波数が高い振動を周波数が低い振動よりも強調することが可能になる。
【0014】
前記振動信号生成部は、前記包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が低くなるように、前記周波数変調を行うしても良い。このようにすることで、周波数が低い振動を周波数が高い振動よりも強調することが可能になる。
【0015】
前記情報処理装置は、複数のモードから1つのモードを決定するモード決定部をさらに有し、前記振動信号生成部は、前記モード決定部により決定されたモードに基づいて、前記周波数変調を行うようにしても良い。このようにすることで、例えば、心身の状態変化に関する複数のモードを用意した場合に、身心の状態に適した振動をユーザに与えることが可能になる。
【0016】
前記複数のモードは、リラックス効果を目的とする第1のモードを含み、前記振動信号生成部は、前記決定されたモードが第1のモードであるならば、前記包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が低くなるように、前記周波数変調を行うようにしても良い。このようにすることで、周波数が低い振動が、周波数が高い振動よりも強調される。このため、ユーザに、周波数が低い振動をより感じさせ、ユーザをリラックスさせることが可能になる。
【0017】
前記複数のモードは、覚醒効果を目的とする第2のモードを含み、前記振動信号生成部は、前記決定されたモードが第2のモードであるならば、前記包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が高くなるように、前記周波数変調を行うようにしても良い。このようにすることで、周波数が高い振動が、周波数が低い振動よりも強調される。このため、ユーザに、周波数が高い振動をより感じさせ、ユーザを覚醒させることが可能になる。
【0018】
また、本発明の一実施形態にかかる振動信号生成方法は、振動発生装置を振動させるための振動信号を生成するために、コンピュータで実行される振動信号生成方法であって、音声信号の包絡線に関する包絡線情報を導出する包絡線情報導出工程と、周波数および振幅が一定の波である基本信号に、前記包絡線情報に基づいた周波数変調および振幅変調を行い、振動信号を生成する振動信号生成工程と、を有する。このため、本実施形態では、低周波領域の成分がない音声の場合であっても、この音声に基づいた振動信号を生成することが可能である。また、本実施形態では、音声信号の包絡線のレベルに基づいて、周波数変調を行う。このため、生成された振動信号の周波数は、包絡線のレベルに応じて変化する。よって、本実施形態では、低周波領域の成分がない音声の場合であっても、この音声に基づいて、単調でない振動を発生することが可能である。
【0019】
また、本発明の一実施形態に係る振動信号生成プログラムは、上記の振動信号生成方法を、コンピュータに実行させる。このため、本実施形態では、コンピュータを用いて、低周波領域の成分がない音声の場合であっても、この音声に基づいた振動信号を生成することが可能である。
【0020】
また、本発明の一実施形態に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記の振動信号生成プログラムを記憶している。このため、本実施形態では、上記の振動信号生成プログラムを、機器に組み込む以外にも単体で流通することが可能であり、バージョンアップ等を容易に行うことが可能である。
【実施例
【0021】
<振動発生システム>
図1は、本発明の一実施例に係る振動発生システムを示す図である。振動信号生成システムは、振動信号生成装置100と、振動発生装置200と、を有する。振動信号生成装置100が、音声信号に基づいた振動信号を生成し、振動発生装置200が、振動信号生成装置100により生成された振動信号に基づいた振動を発生させる。
【0022】
振動信号生成装置100は、CPUなどを有するコンピュータにより構成され、音声信号取得部110と、包絡線情報導出部120と、振動信号生成部130と、を有する。
【0023】
音声信号取得部110は、音声信号を取得する。例えば、音声信号取得部110は、他の装置から出力された音声信号の入力を受けることで、音声信号を取得するようにしても良いし、記憶装置や、CDなどの記憶媒体、クラウドなどに記憶された音声データを取得し、この取得した音声データから音声信号を生成することで、音声信号を取得するようにしても良い。
【0024】
包絡線情報導出部120は、音声信号取得部110により取得された音声信号の包絡線に関する包絡線情報を導出する。包絡線情報信号120は、例えば、図2に示すように、音声信号の包絡線を時間の関数E(t)として導出する。信号の包絡線を導出する方法としては、例えば、ピークホールド処理や、絶対値平均がある。
【0025】
振動信号生成部130は、周波数および振幅が一定の波である基本信号に、包絡線情報導出部120により取得された包絡線情報に基づいた周波数変調および振幅変調を行い、振動信号を生成し、振動発生装置200に出力する。このとき、振動信号生成部130は、生成された振動信号の周波数が、低周波領域(例えば、20-100Hz)の値になるように、周波数変調を行う。
【0026】
基本振動は、例えば、周波数ωおよび振幅Aが一定である正弦波(Asin(ωt))である。振動信号生成部130は、例えば、この基本振動の周波数ωを包絡線(E(t))のレベルに基づいて変化させ(包絡線情報に基づく周波数変調:ω=Ω(E(t)))、振幅Aが包絡線に一致するように変化させる(包絡線情報に基づく振幅変調:A=E(t))ことで、振動信号(E(t)sin(Ω(E(t))t))を生成する。
【0027】
このとき、振動信号生成部130は、図3(A)に示すように、包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が高くなるように(つまり、dω/dE>0)、周波数変調を行っても良いし、図4(A)に示すように、包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が低くなるように(つまり、dω/dE<0)、周波数変調を行っても良い。なお、図3(A)、図4(A)において、包絡線のレベルと周波数の関係は、線形であるが、包絡線のレベルと周波数の関係は、線形に限らない。
【0028】
包絡線のレベルが高くなるにつれて周波数が高くなるように周波数変調した場合、図3(B)に示すように、振動信号生成部130により生成される振動信号は、包絡線のレベルが高いところで、密であり、包絡線のレベルが低いところで、疎である信号になる。一方、包絡線のレベルが高くなるにつれて周波数が低くなるように周波数変調した場合、図4(B)に示すように、振動信号生成部130により生成される振動信号は、包絡線のレベルが高いところで、疎であり、包絡線のレベルが低いところで、密である信号になる。
【0029】
振動発生装置200は、入力された振動信号に基づいた振動を発生する装置であり、ユーザに、振動信号に基づいた振動を与える。振動発生装置200は、例えば、ユーザが着座可能な座席に埋設される。また、振動発生装置200は、座布団のなかに設置されるようにしても良い。ユーザは、この座布団に着座することや、ユーザの背中と座席の背もたれの間に置くことで、振動を感じることができる。また、振動発生装置200は、ポーチの中に設置されるようにしても良い。ユーザは、このポーチを手、腹、胸、足などの身体の一部にあてることで、振動を感じることができる。
【0030】
このように、本実施例では、音声信号の包絡線に基づいて、振動信号を生成する。このため、低周波領域の成分がない音声の場合であっても、この音声に基づいた振動信号を生成することが可能である。また、本実施例では、音声信号の包絡線のレベルに基づいて、周波数変調を行う。このため、生成された振動信号の周波数は、包絡線のレベルに応じて変化する。よって、本実施例では、低周波領域の成分がない音声の場合であっても、この音声に基づいて、単調でない振動を発生することが可能である。
【0031】
例えば、本実施例では、聴力が弱い者であっても、振動により音声を感じることが可能になる。例えば、本実施例では、楽曲の演奏の際には、聴力が弱い者であっても、楽曲の音量の変化にあった振動を受けることができ、楽曲の雰囲気を味わうことが可能である。また、本実施例では、観劇の際には、聴力が弱い者であっても、演者が発したセリフの抑揚を再現した振動を受けることができ、芝居の雰囲気をより味わうことが可能である。
【0032】
図5は、本発明の一実施例に係る振動信号生成装置100おける処理動作の一例を示す図である。音声信号取得部110は、音声信号を取得する(ステップS501)。包絡線情報導出部120は、音声信号取得部110により取得された音声信号の包絡線に関する包絡線情報を導出する(ステップS502)。振動信号生成部130は、周波数および振幅が一定の波である基本信号に、包絡線情報導出部120により取得された包絡線情報に基づいた周波数変調および振幅変調を行い、振動信号を生成する(ステップS503)。
【0033】
<音声出力・振動発生システム>
図6は、本発明の一実施例に係る音声出力・振動発生システムを示す図である。図7に示した音声出力・振動発生システムは、振動信号生成装置100、振動発生装置200に加え、音声信号出力装置300と、スピーカ400と、をさらに有している。この音声出力・振動発生システムでは、音声出力装置300が音声信号の音をスピーカ300で出力するともに、振動信号生成装置100が、この音声信号に基づいた振動信号を生成し、振動発生装置200が、この振動信号に基づいた振動を発生する。このため、本実施例では、ユーザに、音声を聴かせるとともに、この音声に基づいた振動を与えることが可能である。
【0034】
<低周波成分の混合>
音声に低周波成分がある場合は、音声信号の低周波成分の振動を音声の聴者に与えることで、アタック感があり、音声により追従した振動をユーザに与えることが可能である。そこで、振動信号生成装置100は、音声信号のうちの低周波成分(例えば、20Hzから100Hz)を音声信号から抽出する抽出部140と、振動信号生成部130により生成された振動信号に、抽出部140により抽出された低周波成分の信号を混合する混合部150を有するようにしても良い。
【0035】
<リラックス/覚醒効果>
発明者は、楽曲をユーザに聴かせるとともに、人間が感じることができる周波数領域のうちの周波数が低い方の領域の振動をユーザに与えたときに、ユーザの副交感神経の働きがより活発になること、つまり、ユーザがよりリラックスすることを見いだした。また、発明者は、楽曲をユーザに聴かせるとともに、人間が感じることができる周波数領域のうちの周波数が高い方の帯域の振動をユーザに与えたときに、ユーザの交感神経の働きがより活発になること、つまり、ユーザがより覚醒することを見いだした。
【0036】
そこで、振動信号生成装置100は、心身の状態変化に関する複数のモードから1つのモードを決定するモード決定部160をさらに有するようにしても良い。そして、振動信号生成装置100の振動信号生成部130は、モード決定部160により決定されたモードに基づいて、周波数変調を行うようにしても良い。
【0037】
複数のモードは、ユーザをリラックスさせることを目的とする癒しモード(第1のモード)を含むようにすると良い。そして、振動信号生成部130は、モード決定部160により決定されたモードが癒しモードであるならば、図4(A)に示すように、包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が低くなるように、周波数変調を行うようにすると良い。このようにすることで、周波数が低い振動が、周波数が高い振動よりも強調される。このため、ユーザに、周波数が低い振動をより感じさせ、ユーザをリラックスさせることが可能になる。
【0038】
複数のモードは、ユーザを覚醒させることを目的とする覚醒モード(第2のモード)をを含むようにしても良い。そして、振動信号生成部130は、モード決定部160により決定されたモードが覚醒モードであるならば、図3(A)に示すように、包絡線のレベルが高くなるにつれ、周波数が高くなるように、周波数変調を行うようにすると良い。このようにすることで、周波数が高い振動が、周波数が低い振動よりも強調される。このため、ユーザに、周波数が高い振動をより感じさせ、ユーザを覚醒させることが可能になる。
【0039】
また、複数のモードは、リラックス効果も覚醒効果も目的としない通常モード(第3のモード)を含むようにしても良い。
【0040】
通常モードにおいて包絡線のレベルが高くなるにつれて周波数が低くなるように周波数変調を行う場合、振動信号生成部130は、モード決定部160により決定されたモードが覚醒モードであるならば、図7(A)に示すように、包絡線のレベルが高くなるにつれ、通常モードのときよりも急激に周波数が低くなるように、周波数変調を行うようすると良い。このようにすることで、癒しモードのときは、通常モードに比べ、周波数が低い振動が、周波数が高い振動よりも強調される。このため、ユーザに、周波数が高い振動をより感じさせ、ユーザをよりリラックスさせることが可能になる。
【0041】
通常モードにおいて包絡線のレベルが高くなるにつれて周波数が高くなるように周波数変調を行う場合、振動信号生成部130は、モード決定部160により決定されたモードが覚醒モードであるならば、図7(B)に示すように、包絡線のレベルが高くなるにつれ、通常モードのときより急激に周波数が高くなるように、周波数変調を行うようにすると良い。このようにすることで、覚醒モードのときは、通常モードに比べ、周波数が高い振動が、周波数が低い振動よりも強調される。このため、ユーザに、周波数が高い振動をより感じさせ、ユーザをより覚醒させることが可能になる。
【0042】
また、発明者は、楽曲をユーザに聴かせるとともに、この楽曲に基づいた振動を楽曲と同期させず、楽曲よりも遅れたタイミングでユーザに与えたときに、ユーザの副交感神経の働きが活発になること、つまり、ユーザがリラックスすることを見いだした。また、発明者は、楽曲をユーザに聴かせるとともに、この楽曲に基づいた振動を楽曲と同期させず、楽曲よりも進んだタイミングでユーザに与えたときに、ユーザの交感神経の働きが活発になること、つまり、ユーザが覚醒することを見いだした。
【0043】
そこで、振動信号生成装置100の包絡線情報導出部120は、モード決定部160により決定されたモードに基づいて、包絡線を導出するようにしても良い。
【0044】
包絡線情報導出部120は、例えば、モード決定部160により決定されたモードに基づいたピークホールド時間を用いて、音声信号の包絡線に関する包絡線情報をピークホールド処理により導出するようにすると良い。このとき、第1のモードに対するピークホールド時間を通常モードに対するピークホールド時間より長くし、第2にモードに対するピークホールド時間を通常モードに対するピークホールド時間を短くすると良い。このようにすることで、癒しモードのときに、通常モードに比べ、振動が音声より遅れているようにユーザに感じさせることができ、ユーザをよりリラックスさせることが可能になる。一方で、覚醒モードのときに、通常モードに比べ、振動が音声より先に進んでいるようにユーザに感じさせることができ、ユーザをより覚醒させることが可能になる。
【0045】
包絡線情報導出部120は、例えば、決定されたモードに基づいた平均時間を用いて、音声信号の包絡線を絶対値平均により導出するようにしても良い。このとき、第1のモードに対する平均時間を通常モードに対する平均時間より長くし、第2にモードに対する平均時間を通常モードに対する平均時間を短くすると良い。このようにすることでも、癒しモードのときに、通常モードに比べ、振動が音声より遅れているようにユーザに感じさせることができ、ユーザをよりリラックスさせることが可能になり、覚醒モードのときに、通常モードに比べ、振動が音声より先に進んでいるようにユーザに感じさせることができ、ユーザをより覚醒させることが可能になる。
【0046】
モード決定部160は、例えば、ユーザの入力に基づいてモードの決定をするようにすると良い。このとき、例えば、振動信号生成装置100は、ユーザからの入力を受ける手段を有するようにすると良い。また、振動信号生成装置100が音声の特徴を取得する手段を有し、モード決定部160は、この音声の特徴に基づいてモードの決定をするようにしても良い。また、振動信号生成装置100が機械学習によりユーザがどのような効果を求めて音声の再生を行うのかを学習する手段をさらに有し、モード決定部160は、この学習結果に基づいて、モードの決定をするようにしても良い。
【0047】
また、振動信号生成装置100は、ユーザの生体情報を取得する手段をさらに有し、モード決定部160は、取得された生体情報に基づいて、モードを決定するようにしても良い。このとき、ユーザの生態情報として、ユーザの心拍に関する情報を、ユーザの生体情報として取得するようにすると良い。ユーザの心拍に関する情報は、ユーザの心拍数や、ユーザの心拍変動に関する情報(例えば、心拍変動のLF(Low Frequency)や、HF(High Frequency)、LFとHFの比であるLF/HF)を含むようにすると良い。心拍数や心拍変動に関する情報から、心身の状態を知ることが可能である。例えば、リラックスをしているときは、心拍数は低く、覚醒しているときは、心拍数は高い。そこで、例えば、モード決定部160は、ユーザがリラックスしていることを生体情報が示しているときは、ユーザを覚醒させることを目的して、モードを覚醒モードに決定するようにし、ユーザが覚醒していることを生体情報が示しているときは、ユーザをリラックスさせることを目的して、モードを癒しモードに決定するようにしても良い。
【0048】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
100 振動信号生成装置
110 音声信号取得部
120 包絡線情報導出部
130 振動信号生成部
140 抽出部
150 混合部
160 モード決定部
200 振動発生装置
300 音声信号出力装置
400 スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7