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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】無線電力伝送システムの動作の方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20240814BHJP
   H02J 50/30 20160101ALI20240814BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/30
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023063862
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2019563261の分割
【原出願日】2018-05-15
(65)【公開番号】P2023098981
(43)【公開日】2023-07-11
【審査請求日】2023-05-10
(31)【優先権主張番号】62/506,275
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513314090
【氏名又は名称】ワイ-チャージ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】アルパート、 オータル
(72)【発明者】
【氏名】サギ、 ラン
(72)【発明者】
【氏名】モール、 オリ
(72)【発明者】
【氏名】ゴラン、 リオール
(72)【発明者】
【氏名】ビダーマン、 ヨアブ
(72)【発明者】
【氏名】ナミアス、 オメル
(72)【発明者】
【氏名】スレポイ、 アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】レビン、 ゾーハル
(72)【発明者】
【氏名】コンフォーティ、 エヤル
(72)【発明者】
【氏名】ロッシュ、 ヤン
【審査官】山口 大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/187344(WO,A1)
【文献】特表2018-522421(JP,A)
【文献】特開2015-231315(JP,A)
【文献】特開2016-001954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力を少なくとも一つの受信器に伝送するシステムの動作の方法であって、
)送信器から前記受信器にレーザ出力のビームを伝送することであって、前記送信器は少なくとも2つの状態を有し、前記状態は、少なくとも一つの既知安全状態を含むステップと
(b)前記送信器を、
(i)受信器制御ユニットの誤動作検出システムが受信器制御ユニットの誤動作を検出する場合、
(ii)ハザード検出システムが、前記無線電力を伝送するシステムからの人アクセス可能放出レベルが、所定安全しきい値を超える確率を検出する場合又は
(iii)少なくとも一つのシステム制御ユニット誤動作検出システムが、システム制御ユニット誤動作及び受信制御ユニット誤動作を検出する場合
いずれか一つの場合に前記少なくとも一つの既知安全状態のうちの一つに切り替えるステップと、
(c)前記システムの動作に関連するデータを複数のセンサから収集するステップであって、前記センサの少なくとも一つ前記少なくとも一つの受信器の一つに関連付けられるステップと、
記データの少なくとも一部分を、少なくとも一つの既知のシグネチャと比較するステップであって、前記シグネチャは、非重大事象と高確率の一つ以上の潜在的な望ましくない状況とに関連付けられるステップと、
)前記比較の結果に基づいて一つ以上の応答を実行し、前記ハザード検出システムが前記送信器を前記少なくとも一つの既知安全状態のいずれかとなるように切り替えていない時間中にのみ前記一つ以上の応答が生じるように前記一つ以上の応答を開始するステップと
を含み
前記一以上の応答は、
(i)前記潜在的な望ましくない状況の一つ以上の発生確率を低減することと、
(ii)前記潜在的な望ましくない状況の一つ以上の効果を低減することと、
(iii)前記潜在的な望ましくない状況の一つ以上からの成功裏の回復を容易にすることと
の少なくとも一つを達成するように構成される、方法
【請求項2】
前記一つ以上の応答を実行することは、前記システムの連続動作を、重大事象の発生を回避することと、重大事象が発生する場合に前記システムを動作パラメータの修正により再構成することとのいずれかによって可能にするべく構成される、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記少なくとも一つの既知安全状態が、前記ビームをオフにすることと、前記ビームの出力を低減することと、前記ビームの方向をスキャンすることと、前記ビームを安全な方向にそらせることとの少なくとも一つである、請求項1及び2のいずれか一項に記載の方法
【請求項4】
前記送信器が前記少なくとも一つの既知安全状態のいずれかにあると決定される場合、前記システムが、通常出力動作を再開するまで待ってから前記システム制御ユニットが特定した応答を開始するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
前記データの少なくとも一部分を少なくとも一つの既知のシグネチャと比較した結果に基づいて前記一つ以上の応答を実行するステップは、特定された所定の応答の自動的な実行によって行われる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
前記データの少なくとも一部分を少なくとも一つの既知のシグネチャと比較した結果に基づいて前記一つ以上の応答を実行するステップは、特定された応答又はその欠如のすべてを考慮して最適なアクション過程を決定する決定システムにおいて行われる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
前記決定システムはさらに、前記誤動作検出システム及び前記ハザード検出システムからの入力も考慮する、請求項に記載の方法
【請求項8】
前記決定システムは、事前にプログラムされた命令の階層に従って少なくとも2つの応答を取り扱うように適合される、請求項に記載の方法
【請求項9】
少なくとも2つの応答が、異なって割り当てられた優先順位を有する場合、前記決定システムは、
(i)最も高い優先順位の応答を最初に開始することと、
(ii)重要ではない方の応答の実行を許否することと、
(iii)前記少なくとも2つの応答すべてを、同時に成立可能となるように調整した後に同時に実行することと
のいずれかを行う、請求項方法
【請求項10】
少なくとも2つの応答のいずれかが互いに競合する可能性が高い場合、前記決定システムは、
(i)前記少なくとも2つの応答の一つを、前記少なくとも2つの応答の他方を実行する前に実行することと、
(ii)前記少なくとも2つの応答を同時に成立可能となるように調整することと、
(iii)重要性が低いとみなされる応答の実行を拒否することと
のいずれかを行う、請求項に記載の方法
【請求項11】
前記一つ以上の応答は、
前記システムを完全にオフにすることなく安全レベルまで電力レベルを低減することと、
統計を改善する使用のために又は将来の分析のために前記非重大事象をログに登録することと、
潜在的に望ましくない状況からの回復が検出されるまで電力レベルを低減することと、
受信器の数を再確立するべく受信器のための部屋を再スキャンすることと、前記少なくとも一つの受信器への電力送信の序を再スケジューリングすることと、
所定位置をチェックする頻度を変更することと、
所定位置又は方向にアクセスする頻度を変更することと、
所定位置又は方向にアクセスするデューティーサイクルを変更することと
所定位置又は方向にアクセスする時間スケジュールを変更することと
前記システムを再起動させることと
記受信器制御ユニットの少なくとも一つを再起動させることと
自己チェック手順を行うことと
電力計及び他のセンサを較正することと
使用者に潜在的な望ましくない状況の警告を与えることと
リスクが存在しないことを検証するべく安全性チェックを行うことと
前記システムの過熱が検出される場合に電力レベルを低減することと、
受信器との接触が中断された場合に受信器が再び現れる可能性が高い場所の統計を確立するように、受信器との接触の位置及び時刻を登録することと
の少なくとも一つを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法
【請求項12】
前記送信器と前記少なくとも一つの受信器との通信又は伝送のリンクの信号対雑音比と、前記リンクに対して履歴から収集された統計データの信号対雑音比とを比較して現在の信号対雑音比が所定レベルよりも低いか否かを決定し、低い場合に前記リンクの信号対雑音比を改善するのに適切な応答を発行するステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記信号対雑音比を改善するのに適切な応答は、
前記信号対雑音比が前記所定レベルよりも低い限りは前記リンクのみを介したデータ収集に多くの時間を費やすことと、
前記システムが、前記改善が不要な場合でも前記信号対雑音比を改善することに時間がかかりすぎてシステムの効率及び使いやすさが損なわれることを回避するように、前記信号対雑音比が少なくとも前記所定レベルに戻った場合に少ない時間を費やすことと
を含む、請求項12の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つの受信器それぞれが固有のID又は有効性のキーを有することにより、前記システムが、前記固有のID又は有効性のキーが前記システムの中に入った場合にのみ受信器に電力を伝送することができる、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記システムへのサイバー侵入を防止するルーチンをさらに含み、
前記ルーチンは、
異なる受信器のID又は有効性のキーの使用を繰り返す試みのパターンを、前記入ったID又は有効性のキーデータを既知のシグネチャと比較することによって検出することと、
前記望ましくない侵入を緩和する自動応答を生成することと
を含み、
前記自動応答を生成することは、
前記受信器のすべて又はいくつかから二次キーを要求すること、
接続要求のための応答時間を増加させて前記ID又はキー発見アルゴリズムを低速にすること、
前記システムの操作者に、警告灯又は通信によって警告を与えること、又は
前記侵入の試みが検出された後に所定時間にわたり特定の受信器にのみサービスを与えること
のさらなるステップの少なくとも一つを使用することによる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電力伝送システムの様々な安全システムの監視の分野に関し、特に携帯
電子デバイスに給電及び充電するレーザービームシステムに適用される。
【背景技術】
【0002】
現在までに、コリメートされ又は本質的にコリメートされた電磁波を使用して、携帯電
子デバイスへの電力の無線伝送を許容する商用技術は、以下の3つのみである。
電磁誘導:これは典型的に、ほんの数ミリメートル(mm)までの範囲に限られる。
太陽電池:これは、携帯電話機に関係するサイズに対して0.1ワットを超えて発電す
ることができない。
環境発電(エネルギーハーベスティング)技術:これは、典型的な居住環境における電
気信号収集のような関連状況において、0.01Wを超えて発電することができない。
【0003】
しかしながら、携帯電子デバイスの典型的な電池は、1~100ワット時であり、完全
充電は一般に、数時間から一週間継続する。そうすると、携帯電話機のような携帯デバイ
スはほとんどが、ずっと長い範囲でずっと高い電力を必要とする。したがって、数センチ
メートルをよりも長い範囲にわたって十分な電力を、安全に、効率的に、費用効果高く、
かつ便利に、通常は充電式バッテリーを搭載した携帯電子機器に転送する必要性が、満た
されていないと長く感じられている。
【0004】
さらに、このような製品の大量市場での商業的な入手可能性は、現時点では限られてい
る。このような商業製品が成功裏に立ち上げられるのを妨げる安全性に関する問題が存在
するからである。先行技術において提案されたシステムはほとんどが、潜在的に様々な場
(例えばRF、レーザ、磁気、電気又は超音波)に使用者をさらし、その結果、そのよう
な場に使用者をさらすことを阻止するように設計された何らかの安全システムを必要とす
る。多くの既存の安全システムは、「重大事象」に応答するように設計される。これは、
即時に応答しない場合に安全レベルを超える放射線が、制御されない態様で当該システム
から放出されて人に又は所有物に害を及ぼし得る事象として定義される。例えば、人がビ
ームに侵入して危険にさらされた場合、これは「重大事象」とみなされ、安全システムは
、例えばレーザビームのようなビームの放出の停止によって応答することができる。
【0005】
重大事象は、本開示の文脈において、適切な対策が取られない限りシステムが、安全で
ない態様で動作する結果となる可能性が高い事象、又はシステムがその安全パラメータ若
しくは規制動作パラメータを超える事象となる。典型的に、必要とされる応答は、重大事
象が検出された後に即時であり、又は極短時間の時間フレーム以内となるべきである。
【0006】
重大事象の例は以下を含む。
1.安全事象
2.人、動物又は物体がビームに侵入
3.安全違反の兆候
4.人がアクセス可能な放出超過規制制限又は許容安全制限
5.非常停止ボタンの作動
6.不正システム侵入
【0007】
この明細書を通して及び特許請求の範囲のとおり、非重大事象という用語は、短い時間
フレーム内の応答が必要とされない事象又は状況とみなすことができる。即時の損害を引
き起こす可能性は低いが、検出及び管理がされない場合は重大事象に展開し得るからであ
る。非重大状況は、まれな場合も多いが、まるでほこりがコンポーネント上に経時的に集
積されるかのように頻繁又は累積的であり得ると理解すべきである。
【0008】
先行技術のシステムは、人を危険にさらすリスクが存在する場合に電力伝送をオフにす
るハザード検出システムを用いるのが典型的である。しかしながら、かかる安全システム
は通常、重大事象が生じるときに応答するのみであり、そのような重大事象への応答は通
常、システム全体をシャットダウンすることである。
【0009】
それにもかかわらず、典型的な居住環境は、非常に多岐にわたり、予測不能な態様で劇
的に変化する。それゆえ、一つの状況において望ましい設定は、他の状況において望まし
くないかもしれない。そのような変化する環境において各状況は一時的なので、現代の居
住環境が浮き彫りにしているのは、先行技術のシステムでは重要でなかったニーズであっ
て、当該システムに不具合を引き起こそうという意図的な試みのような、又は当該システ
ムが、特定の環境に対して一意的となり得る既知の状況での反復的な障害のような、その
ような環境において益々重要になっているニーズである。
【0010】
先行技術のシステムは一般に、重大事象を検出してそれに応答して一時的に対処するだ
けであり、又は多数の、例えば、重大ではないが望ましくない状況、若しくは望ましくな
い若しくは危険な事象の高確率性に関連付けられる状況にまったく応答しない。先行技術
のほとんどは、変わりゆく状況に適応するシステムの能力を示す点で限られている。例え
ば、異物が送信器と受信器との間の経路を横切るときに動作を停止する先行技術のシステ
ムは一般に、システムをシャットダウンすること以外に、変わりゆく状況に応答すること
ができない。実際のところ、そのようなシャットダウンは、必要ではないかもしれないし
、システムのエネルギー損失、サービス中断及び非効率動作をもたらし得る。
【0011】
さらに面倒なことに、先行技術のシステムは、大半の状況において安全な性能を提供す
るように設計されているので、このような安全システムには広いマージンが維持されるの
が典型的であり、非脅威イベントが検出されてもシステムのシャットダウンが引き起こさ
れる。例えば、一般的な家庭環境及びルーチン使用には、例えば、ほこり及び指紋からの
ような汚染、振動、ビーム遮断、プロフェッショナルでない者による設置、床への偶発的
な落下が含まれる。これらの典型的な非重大状況が「重大事象」とみなされないので、ほ
とんどの先行技術のシステムは、これらの状況がシステム誤動作、システム非効率、さら
には危険な結果さえもたらし得るにもかかわらず、これらに応答しないことが多い。代替
的に、多くの先行技術のシステムは、不必要な場合が多いにもかかわらずシステムを無効
にすることによって当該状況に応答する。これらの問題により、当該先行技術のシステム
は、公衆環境においての使用には不適切となる。
【0012】
さらに、先行技術のほとんどにおいては、安全システムがニュートラルにされ又はバイ
パスされると、システムが危険となる。ほとんどの先行技術のシステムは、システムをそ
の安全な動作態様から分離させようとする悪意の試みを検出してそれに応答するようには
設計されていない。
【0013】
さらに、政府規制を満たす包括的な安全システムを有する公衆環境での使用に適した無
線電力システムが必要とされている。米国において現在許可されているレーザ出力レベル
は、報告が義務付けられた高信頼性かつ複雑な安全システムなしに、有用な量の出力を与
えるには不十分である。例えば、米国連邦規則集(CFR)、タイトル21、ボリューム
8、2014年4月改訂、チャプターI、サブチャプターJパート1040が、発光製品
(レーザー製品)の性能基準を扱っている。
【0014】
不可視波長に対しては、クラスI、クラスIII-b及びクラスIVのレーザ(クラス
II、IIa及びIIIaは、例えば可視レーザのような400nmから710nmのレ
ーザ用である)。
【0015】
不可視波長のうち、クラスIは、一般公衆使用に対して安全とみなされ、クラスIII
b及びIVは安全でないとみなされる。
【0016】
米国CFR21、ボリューム8、2014年4月改訂、チャプターI、サブチャプター
Jパート1040によれば、クラスIレーザに対するMPE(最大許容露光値)は、0.
1~60秒の露光に対し、図1のグラフに示される。
【0017】
このグラフからわかるのは以下の点である。
1.最大許容露光レベルは一般に、波長とともに増加し、露光持続時間とともに減少
する。
2.人がビームに侵入して0.1秒後にレーザがオフにされたとしても、米国CFR
21~1040によれば、1.25W以下の光が2.5μm超過の波長で伝送され、これ
より短い波長ではずっと少なくなり得る。報告義務のある高信頼性システムがなければ、
数ミリワットのレーザ出力が許容されるだけであり、これは、電気に変換し直すと、ほと
んどのポータブル電子デバイスを充電するのに必要とされる電力よりも著しく少ない電力
を供給することとなる(例えば携帯電話はフル充電に1から12Wを必要とする)。業界
周知であるが、レーザ光は、指紋及びほこりにより散乱され、透明な表面により反射又は
散乱される。1~12Wの電力を使用して充電される典型的な電話機に対してのように、
高電力が伝送される場合、レーザから電力への変換非効率性(効率は典型的に50%超過
となり得ない)を考慮した後であっても2~24Wのレーザ出力が必要となる。
【0018】
したがって、そのような典型的な電話機を充電するには、クラスIVレーザに対応する
出力を有するレーザが必要となる。クラスIVレーザは、主要ビームからの散乱放射であ
っても危険である。米国CFR21、ボリューム8、2014年4月改訂、チャプターI
、サブチャプターJパート1040によれば、0.5秒を超える露光のための0.5Wを
超える400nmから1400nmのレーザは通常クラスIVレーザとみなされ、かかる
レーザからの散乱放射であっても危険となり得る(ただし、レーザの安全性を確保するべ
く特別に設計された吸収要素からは散乱されない)。かかるレーザは、様々な安全機能を
有することが要求され、ロックキー及び図2に示される警告ラベルのような予防的な警告
及び制限機能が必要とされるので、レーザの使用者は、安全ゴーグルを装着し、適切な訓
練を受けるのが通常である。したがって、柔軟、包括的かつ頑丈な安全システムがなけれ
ば、クラスIIIb又はクラスIVのレーザは、公衆用途に適切とはいえない。
【0019】
しかしながら、高出力レーザがクラスIレーザにクラス分けされ得る様々な安全システ
ムが存在し得る。これらのレーザ基準は、人がアクセス可能な放射を扱うからである。例
えば、高出力レーザに、当該高出力レーザへの人のアクセスを許容しない安全システムが
装備されていれば、それは、当該出力が以下に高かろうともクラスIレーザとなり得る。
例えば、高出力レーザが、当該レーザビームへのアクセスを許容しない保護エンクロージ
ャに埋め込まれている場合、それは、クラスIレーザ製品とみなされ、公衆用とに適切と
され得る。例えば、家庭用レーザプリンタは、クラスIレーザ製品となるのが典型的であ
るが、埋め込まれた高出力レーザを有している。結局、通常の公衆環境においてレーザを
使用して電力伝送を許容するには、包括的な安全システムが必要とされるという一般的な
合意が存在し、本願の出願日であっても、何も商品化されていない。
【0020】
したがって、安全な態様でのルーチン使用、誤用及び乱用のカテゴリに入るものを含む
変化する状況に応答することができて、先行技術のシステム及び方法の欠点の少なくとも
いくつかを克服する、包括的な光無線電力供給の柔軟な管理システムが必要とされている
【0021】
様々な光無線電力供給システムを記載する先行技術は、特許文献1、米国特許出願第1
5/069,384号、62/208,878号、62/307,878号、62/32
0,679号及び62/363,660号に見出すことができる。
【0022】
本明細書のこのセクション及び他のセクションにおいて言及される各公報の開示は、そ
の全体がそれぞれ参照によりここに組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【文献】米国特許第9,312,701号明細書
【発明の概要】
【0024】
本開示は、レーザビームを使用して送信器から少なくとも一つの受信器へ無線で伝送す
る新たな典型的なシステムを開示する。このシステムは、変化する環境及び状況に、効率
的かつ安全な態様で応答することができるので、公衆環境においての使用に適切となる。
動的な環境は本質的に複雑であり、本開示のシステムは、システムパラメータの設定の変
化を当該変化する状況に応じて調整されるように構築される。シャットダウンのみによっ
て重大事象に応答する先行技術のシステムとは異なり、本開示のシステムは、当該変化す
る環境の状態及び状況に対し、いずれの状況にも最適な応答を与えてできる限り多くの異
なる想定状況のもとでサービスを維持する必要性を考慮する多面的な態様で応答する。
【0025】
本開示のシステムは、重大事象にのみ応答することに限られず、切迫した危険ではない
が望ましくない又は望ましくない事象の確率が高い多数の状況にも応答する。本開示のシ
ステムは、例えば重大事象になるときに応答する代わりに、システムが望ましくない状況
に到達するのを回避することを許容する柔軟なアプローチを与える。かかる柔軟性は、変
化する多様な環境においてシステムが効率的な態様で連続動作するのを許容するべく、シ
ステムが、異なる状況に対して多数の適切な応答を与えることによって達成される。
【0026】
切迫した危険を検出することに加え、本開示の典型的なレーザベースの電力供給システ
ムは、複雑な、動的に変化する、及び予測不能な環境において多くの異なる状況を特定す
ることができる。かかる状況の例は、システムの誤用、誤った設置、システムの不正使用
、動いて変化する環境、変化する照明条件、送信器又は受信器の移動を含む。これらの状
況は、ほとんどの先行技術システムによっては「重大事象」とはみなされない。ただし、
これらの状況は、高確率の望ましくない事象に関連付けられ得る。
【0027】
さらに、安全システムがニュートラル又はバイパスされる場合の保護のためのフェール
セーフ機能を有しない先行技術の安全システムとは異なり、本開示のレーザベースの無線
電力システムは、通常使用中に生じ得る状況(例えば人が誤ってビームに侵入すること)
のみならず、誤使用(例えば、誤った設置、誤った接続、又は誤ったボタン押圧)のみな
らず、潜在的な乱用(例えば、システムを安全でない態様で動作させようとするサイバー
侵入者、又はハードウェア介入を使用してシステムをだまして誤った方向に電力を送ろう
とする者)にも弾力的である。
【0028】
ハザード検出システムに加えられ得る本開示に記載される典型的な管理システムは、シ
ステム状態及び外部環境をモニタリングし、望ましくない潜在的状況に到達する可能性を
減らすべくシステムの動作パラメータを動的に変更する。すなわち、かかるシステムの一
つの機能は、当該システムが、ハザード検出システムが電力伝送を停止する状態に到達す
ることによってサービスを中断するリスクを防止又は低減することとなり得る。付加的に
、本開示のシステムは、当該システムが、攻撃に対して脆弱となる状態に到達するリスク
を防止又は低減することとなり得る。本開示のシステムの他の機能は、とりわけ、機能性
、効率、又は乱用若しくは誤用の回避の観点からのものを含む何らかの理由で望ましくな
い状況を防止し、又は生産的に応答することとなり得る。かかる生産的な応答は、例えば
、望ましくない状況が生じ若しくは悪化することを防止し、及び/又はさらなる分析のた
めにデータを収集することを含み得る。かかる防止は、危険な又は望ましくない状況の確
率を、システムの中又は外部で現在生じている状況に関連付けることによって達成するこ
とができる。かかるシステムの、例えば多くの潜在的に不利な状況又は潜在的に危険とさ
えいえる状況を検出してこれに応答する能力のような、柔軟性及び感受性により、当該シ
ステムは、関連法規を満たす公衆使用に対して適切となり得る。
【0029】
本開示の一つの典型的なシステムは、サイバー侵入に関連するパターン、例えば、サイ
バー侵入者が有効鍵を見つけようと試みて繰り返す送信要求、を検出するための構成を与
える。最終的にレーザを何らかの望ましくない方向に向けることによってそのような状況
に応答するほとんどの先行技術のシステムとは異なり、ここでの典型的なシステムは、当
該パターンを検出する構成を有し、当該望ましくない状況を軽減して当該試みに抵抗する
システムの弾力性を改善するべく自動応答を与える。
【0030】
本開示の他の典型的なシステムは、低い信号対雑音比(SNR)の状況を検出して効率
的かつ安全に応答する。ほとんどの先行技術のシステムは、安全でない動作を導き得るか
かる状況に応答することもなく、電力伝送をオフにすることにより当該低いSNRの状況
に応答することもない。低いSNRの状況を克服することは、特定及び決定に費やされる
時間を増加させることによって可能となり得る。ただし、このようなソリューションは永
久的なソリューションとして推奨できない。そのようなソリューションを中心にシステム
を設計すると、非効率的なシステムがもたらされ、特定及び決定に時間がかかりすぎて、
通常の状況での効率性及び使いやすさが損なわれるからである。
【0031】
これとは対照的に、ここでの典型的なシステムは、当該状況の適切な特定を許容するべ
く現行SNR値に関して収集されたデータを評価した後、SNRが低い場合にはSNR比
を改善するべく特定にさらに時間をかけて適切な応答を発行することにより、そのような
状況であっても連続して電力を与え続ける。それにより、SNRが許容可能レベルに戻る
ときに特定にかかる時間が少なくなる。
【0032】
本開示のシステムの一つの新規な側面は、不可避な重大事象が発生する事象においてシ
ステムをシャットダウンするのではなく、多くの状況において、重大事象に応答する代わ
りに重大事象を回避することにより、又は建設的な態様で応答するようにシステムを再構
成することにより、システムの連続的な動作を許容する能力にある。これにより、システ
ムの動作効率及び使いやすさが増加する。この特徴を示す一例として、毎日9AM~9:
10AMに人々がオフィスの正面玄関を通り過ぎると予想される場合、これはビームをブ
ロックする重大事象をもたらすところ、予防的なソリューションは、最初の人が玄関に入
るとすぐに、天井の煙検出器のように当該オフィスを通り過ぎる人々のレベルを超えるよ
うにデバイスを充電するべくシステムに指示する手配をし得る。これにより、人々の通過
による重大事象の可能性の発生が回避される。提案されるシステムは、不要な試験を行う
ことなく潜在的に無駄なパターンを検出してそれに応答することができるエネルギー効率
性のよい監視システムとなり得る。システムは、一定の状況を検出し、それを分析し、適
切な応答を発行するべく十分に進歩している。提案される典型的なシステムは、エネルギ
ーの使用を指示して連続的な動作を許容する特定のアルゴリズムを使用する。
【0033】
かかる提案される柔軟な管理システムは、当該システムから入手可能な多くの異なる情
報源をモニタリングし、切迫した「重大事象」とはならない異なる望ましくない状況に対
応するパターンを探す。ただし、これらの状況は「重大事象」に発展し又は至るかもしれ
ない。そして、万一生じたとしても、典型的には、当該システムの動作パラメータを修正
することによって、かかる望ましくない事象の効果を緩和するべく適切な態様で応答する
。かかる望ましくない状況は、システムの安全性、効率、機能又は利便性に密接に関係す
るかもしれず、ルーチンの使用、誤用又は乱用により引き起こされるかもしれない。かか
るシステムは、かかるパターンが検出されたときにシステム構成に修正を施す能力を有す
る。さらに、かかる変更は通常一時的である。状態が再び変化すれば当該修正を戻す必要
があり得るからである。すなわち、システムは、常にモニタリング及び管理を行い、任意
の時点での現在の状況に適した出力及び応答を与える。
【0034】
一つの典型的な光無線電力供給システムは、通常はレーザ出力である無線電力を、当該
無線電力を電力に変換する受信器に伝送するべく適合された送信器を含み得る。システム
は、一般には、受信器制御ユニットと、当該システムとともに動作するアルゴリズム及び
通信プロトコルを有する制御ユニット誤動作検出システムを備えていることにより、本開
示に記載される制御システムとともに動作するべく適合された任意の受信器とともに動作
することができる。いくつかの設置例において、システムは、内部又は外部のコントロー
ラ/制御ユニット、典型的にはコンピューティングデバイス若しくはマイクロコントロー
ラ、又はネットワーク経由のサービスを含む。これ又はこれらは、送信器及び/又は受信
器にどのように動作すべきかを指示することができる。
【0035】
システムは、ビーム生成器、ビーム偏向ユニット、ハザード検出システム、送信器制御
ユニット(典型的にはメモリ及びCPUを含むが、FPGA、マイクロコントローラ、A
SIC等のような他のコンピューティング要素も含み得る)から構成される送信器を含み
得る。これらは、(時間、温度、湿度のような)外部パラメータ及び内部パラメータ(例
えばコンポーネントの温度、ビームの方向、受信器からの情報、及びメモリの内容)を感
知する必要なセンサに接続される。送信器制御ユニットは、可能であれば受信器からのデ
ータを含む様々なセンサからデータを収集するように構成される。この送信器制御ユニッ
トは、受信器に電力を供給することが意図され、これらのセンサからの出力を、ルックア
ップテーブル又はデータベースに格納され得るデータ「シグネチャ」と比較し、ひいては
、潜在的にハザードとなり得る非重大状況を特定する。かかるテーブルは、プリロードさ
れ、動的に生成され、随時更新を介してロードされ、使用者設定可能であり、又は他の態
様で生成され得る。かかるテーブルは、必要とされる自動応答を含み、コントローラはま
た、(レーザドライバ、モータドライバ、電子メールサーバ、SMSゲートウェイ、警告
信号、LED、照明及び警報のような)こうした自動応答を実行することができる実行ユ
ニットに接続される。自動応答は、そのような非重大状況を特定するべく使用されるテー
ブルさえも含んでよいシステム設定における一つ以上のパラメータを変更することによっ
て達成することができる。
【0036】
本開示全体にわたり、又は特許請求の範囲のように、センサからのデータの収集又は取
得は、人がボタンを押すことのような、システム外部要因によって意図的に開始されたデ
ータ収集を含まない。センサからのデータは、連続的に、所定時間インターバルで収集さ
れ、又は、当該データと一つ以上のシグネチャとの間の一つ以上の関係を検出したときに
システムにより開始され得る。継続ベースの及びシステム自体により開始されるデータ収
集により、システムの自律的な柔軟な管理が許容される。
【0037】
送信器は典型的に、光共振器に配置されたレーザ利得媒体を含むビーム生成器と、ビー
ム偏向器と、送信器制御ユニットとを含み、この送信器制御ユニットは、当該制御ユニッ
トが誤動作する場合に当該制御ユニットにおける誤動作を検出して当該ビーム生成器を安
全な状態に切り替える少なくとも一つの送信器誤動作検出装置を備える。これは、データ
を所定シグネチャと比較し、その比較に基づいて応答を実行することによって行われる。
上述したように、制御ユニットは送信器の外部にあってよく、かなりの遠隔にあってもよ
い。加えて、システムが動作する環境を「特定」するべく様々なシステムセンサが設けら
れ、ほとんどの場合、ハザード検出システムも存在する。これは、送信器に、受信器に、
双方の外部に、又はこれらのサイトの間に分散され得る。
【0038】
ハザード検出システムは、ハザード、典型的には重大事象を検出し、これに対し、典型
的にはシステムが伝送する電力を低減するか若しくは当該電力をそらせるかのいずれかに
よって応答し、又は電力伝送の完全な防止によって応答し、若しくは安全とわかっている
何らかの他の応答による。ハザード検出システムから生じる当該アクションからもたらさ
れるシステムの状態は、又は誤動作検出システムにより開始されたアクションの結果もた
らされるシステムの状態は、本開示において、安全状態と定義され、そのように特許請求
の範囲に記載される。ハザード検出システムは、コントローラ及びセンサを使用して実現
することができるが、重大事象に対してのみ応答する。いくつかの場合、ハザード検出シ
ステムは、現行システムと同じ制御ユニット及びセンサを使用するが重大事象に対しての
み応答するソフトウェアとしてよい。
【0039】
送信器制御ユニットは、非重大状況に対応する状況、高確率の望ましくない状況に対応
する状況を検出し、一つ以上のそのような望ましくない状況が生じた場合にシステム挙動
が改善されるようにシステムを自動的に再構成するように構成され得る。ほとんどの場合
、システムの再構成によってシステムは電力の伝送を続けることができる。この挙動の例
が以下に与えられる。
【0040】
システムが一緒に動作することが意図される受信器には、他の誤動作検出システム(受
信器誤動作検出システム)を有する付加的な受信器制御ユニットが装備され得る。これは
、送信器制御ユニットを、受信器制御ユニットにおける当該誤動作を検出するようにプロ
グラミングすることによって実現され得る。この受信器誤動作検出システムは、受信器制
御器誤動作の検出時にビーム生成器を安全な状態に切り替えるように構成することができ
る。これは、データを所定シグネチャと比較し、その比較に基づいて応答を実行すること
によって行われる。
【0041】
安全な状態は、レーザをオフにすることとなり得るがこれに限られない。これは、レー
ザ出力を低減すること、レーザ伝送検出をスキャンすること、又はレーザを安全な方向に
そらせることも含み得る。
【0042】
かかるシステムは、ビーム生成器に対する信頼性のある制御を与えること、並びに、望
ましくない様々な状況、又は望ましくない可能性/望ましくなる可能性が高く注意する必
要がある様々な状況を検出することができる。
【0043】
システムは、各非重大状況が生じたかもしれないときに、決定すべき一つ以上の「シグ
ネチャ」に対する比較が可能なデータを生成するセンサを含み得る。本発明に従ってシス
テムにおいて使用され得る共通センサのリストは以下を含む。
追跡センサ
位置センサ
タイマー
時間センサ - クロック
位置センサ
方向センサ
受信器配向センサ
温度センサ
送信器放出電力センサ/電力計
受信器の受信電力センサ/電力計
通信リンク
波長センサ
送信器の衝撃センサ
受信器の衝撃センサ
ビーム形状センサ
ロケーションテーブルであって、当該ロケーションに存在するものについての情報に関連
付けられるもの
時刻テーブルであって、当該時刻に通常生じることについての情報に関連付けられるもの
湿度センサ
ガスセンサ
範囲センサ
光センサ
システムにおける他の表示センサ
【0044】
システムは、センサごとに異なり得る又は所定状況によりトリガされ得るスケジュール
に従って、センサからの測定データを読み取る。その後、システムは、これらの入力と、
システム内へとハードコーディングされ、ファームウェア又はデータファイルのいずれか
としてシステムにロードされ、システム自体が生成し、又は使用者が編集し得る望ましく
ない状況の一つ以上の「シグネチャ」とを比較する。
【0045】
そのような「シグネチャ」の一つ以上を検出するときに、システムは、当該状況の改善
が典型的に意図される一つ以上の自動アクションを行うことによって応答し得る。各アク
ションの持続時間は、システムの現行状況に応じて一時的な時間から永久的な時間まで変
わり得る。可能な自動応答のいくつかは以下のようになり得る。
すなわち、
システムを完全にオフにすることなく安全レベルまで電力レベルを低減すること
事象を登録して統計を改善するべく使用すること、又は将来の分析のために保管すること
電力レベルを低減し、ひとたび状況が変化したら接続を再確立すること
受信器のための部屋を再スキャンすること、これは受信器の正しい数を確立するべく使用
され得る
受信器のいくつか又はすべてを再スケジューリングすること、例えば、各受信器への充電
又は伝送される電力の順番を変更すること
事象をログに登録すること
所定位置を試験する頻度を変更すること
所定位置又は方向にアクセスする頻度を変更すること
所定位置又は方向にアクセスするデューティーサイクルを変更すること
所定位置又は方向にアクセスする時間スケジュールを変更すること
システムを再起動すること
自己チェック手順を行うこと
電力計及び他のセンサを較正すること
使用者に警告を与えること
リスクが存在しないことを検証するべく徹底的な安全性チェックを行うこと
システムがクールダウンするまで電力レベルを低減すること
デバイスが返すと予測される場所(例えばコーナー)から及びデバイスが返さない場所(
例えばドア)からの統計をシステムが改善できるように、受信器の位置及び時間を登録す
ること
である。
【0046】
本開示全体にわたり、又は特許請求の範囲のように、リスクの低減、効果の低減、及び成
功裏に回復の促進との用語は、使用者により直接指示されて制御されるシナリオ、又は完
全なシステムシャットダウンを含みシステムのそれ以上の動作を含むシナリオのいずれか
を意味するというわけではない。
【0047】
本開示全体にわたり、又は特許請求の範囲のように、誤動作検出システムは、制御ユニ
ット(例えば受信器制御ユニット、システム制御ユニット、CPU、コントローラ、マイ
クロコントローラ、FPGA、又はリモートサーバ)の動作条件を検証又は試験するべく
使用される様々な装置又はルーチンを含むことと、万一これらが非動作状態にあるように
見える場合に自動応答を引き起こすこととを意味する。その例は、周期的にリセットされ
るカウントダウンタイマーを含み、カウントダウンが終了すると、自動応答の実行が引き
起される。他の例は、コンポーネントの熱モニタリングを行い、しきい温度に到達したと
きにシステムが応答を発行することとなり得る。かかる応答は、リモートサーバにピン(
ping)を送信し、当該サーバが応答しない場合に指令を発行し、第1キーワードをコ
ントローラに送信し、当該コントローラが第2キーワード又は様々な他のキープアライブ
信号及びモニタリング機器の使用で応答するのを待つ(そうでない場合はさらに応答を発
行する)。
【0048】
したがって、本開示において与えられるシステムの典型的な実装によれば、無線電力伝
送のためのシステムは、
(i)レーザビーム生成器を含む送信器であって、当該送信器は、レーザビームを電力に
変換するべく構成された少なくとも一つの受信器に無線電力を伝送するように適合され、
当該少なくとも一つの受信器は、受信器制御ユニットと、これに関連付けられた受信器制
御ユニット誤動作検出システムとを有し、当該送信器は少なくとも2つの状態を有し、当
該状態は、少なくとも一つの既知安全状態を含み、当該少なくとも一つの受信器制御ユニ
ット誤動作検出システムは、受信器制御ユニット誤動作の検出時に当該送信器を当該状態
の少なくとも一つから切り替えるように構成されるものと、
(ii)無線電力伝送システムからの人アクセス可能放出レベルが、所定しきい値を超え
る確率を検出し、当該確率が確率しきい値を超えた場合に当該送信器を当該安全状態の少
なくとも一つに切り替えるように構成されたハザード検出システムと、
(iii)システム制御ユニットと、
(iv)システム制御ユニット誤動作又は受信機制御ユニット誤動作の少なくとも一方の
検出時に当該送信器を当該安全状態の少なくとも一つに切り替えるように構成された少な
くとも一つのシステム制御ユニット誤動作検出システムと
を含み、
当該システム制御ユニットは、
(a)当該システムの動作に関連するデータを、当該データを取得するべく適合され
た複数のセンサから格納することであって、当該センサの少なくとも一つは当該受信器の
少なくとも一つに関連付けられることと、
(b)当該複数のセンサからのデータの少なくとも一部分を、少なくとも一つの既知
のシグネチャと比較することであって、当該シグネチャは、非重大事象と高確率の一つ以
上の潜在的な望ましくない状況とに関連付けられることと、
(c)当該比較の結果に基づいて一つ以上の応答を実行することであって、当該一つ
以上の応答の開始は、ハザード検出システムが当該送信器の、安全状態のいずれかへの切
り替えを引き起こしていない時間中にのみ生じ、当該応答は、
当該潜在的な望ましくない状況の一つ以上の発生確率を低減することと、
当該潜在的な望ましくない状況の一つ以上の効果を低減することと、
当該潜在的な望ましくない状況の一つ以上からの成功裏の回復を容易にすることと
の少なくとも一つを達成するように構成されることと
を行うように適合される。
【0049】
かかるシステムにおいて、一つ以上の応答は、システムの連続した動作を容易にするよ
うに構成され得る。代替的及び付加的に、当該応答の一つ以上はさらに、当該データの一
部分と当該シグネチャの一つとの間に所定の関係が存在するまでずっと、所定時間周期に
わたり当該潜在的な望ましくない状況の一つ以上の防止を達成するように、又は当該潜在
的な望ましくない状況の一つ以上の防止を達成するように構成され得る。
【0050】
上述のシステムのいずれかにおいて、一つ以上のシグネチャは、無線電力伝送システム
からの人アクセス可能放出レベルがしきい値を超えることの検出に基づく必要がない。付
加的に、既知のシグネチャは、(i)製造者、(ii)システムの使用者又は(iii)
販売者、(iv)サービス員、及び(v)サポート員の少なくとも一つによってシステム
内にエンコードされ得る。
【0051】
上述したシステムのさらなる実装によれば、シグネチャの一つ以上が関連付けられた潜
在的な望ましくない状況の少なくとも一つは、システムに安全でない態様の挙動を引き起
こす試み、若しくはシステムに不正な受信器への無線電力伝送を引き起こす試み、又はシ
ステムコンポーネント誤動作を示し得る若しくは引き起こし得る状況、若しくはシステム
が当該システムのハードウェアのサポートがないまま動作している状況となり得る。
【0052】
付加的に、上述したシステムのいずれにおいても、一つ以上の応答は、自動的に実行し
てよい。さらに、一つ以上の応答は、
伝送される無線電力の電力レベルを低減することと、
付加的なチェック又は検証を行うことと、
異なる受信器が無線電力を受信する順番又は持続時間を再スケジューリングすることと

システム制御ユニットを再起動することと、
使用者に警告を与えることと、
事象をシステムログに再登録することと、
受信器制御ユニットの少なくとも一つを再起動することとの一つ以上を含み得る。
【0053】
上述したシステムのなおもさらなる実装によれば、複数のセンサは、
追跡センサと、
位置センサと、
タイマーと、
時間クロックと、
方向センサと、
受信器配向センサと、
温度センサと、
送信器放出電力センサと、
受信器受信電力センサと、
通信リンクと、
波長センサと、
送信器衝撃センサと、
受信器衝撃センサと、
ビーム形状センサと、
コンピュータメモリに格納された時刻及び場所に関連付けられた一組のデータと、
湿度センサと、
ガスセンサと、
範囲センサと、
光センサと、
受信器制御ユニット誤動作検出システム回路と、
システム制御ユニット誤動作検出システム回路と、
通信手段を経由した制御センターからの表示と
の少なくとも一つを含み得る。
【0054】
システムのなおもさらなる実装において、受信器制御ユニット誤動作検出システムは、
受信器制御ユニット及びシステム制御ユニットの少なくとも一方に配置され得る。
【0055】
付加的に、システムのいずれにおいても、複数のセンサからのデータの少なくとも一部
分を少なくとも一つの既知シグネチャと比較することは、一つ以上の比較を含んでよく、
システム制御ユニットはさらに、当該比較の一つに基づいて少なくとも一組の命令を特定
し、当該少なくとも一組の命令に基づいて一つ以上の応答を実行するように適合される。
かかる場合、少なくとも一組の命令は、少なくとも2組の命令を含んでよく、当該少なく
とも2組の命令のうちの少なくとも一組の命令は、所定の階層に従って、当該少なくとも
2組の命令のうちの少なくとも一つの他組の命令よりも優先され得る。代替的に、少なく
とも一組の命令は、少なくとも2組の命令の組み合わせを含んでよく、当該少なくとも2
組の命令は、当該応答の一つ以上の基礎となる所定の関係を有する。
【0056】
上述したシステムにおいて、複数のセンサからのデータの少なくとも一部分を少なくと
も一つの既知シグネチャと比較することは、一つ以上の比較を含んでよく、当該応答の一
つ以上はそれぞれが、(i)データの第1部分と第1シグネチャとの少なくとも一つの比
較、及び(ii)データの第2部分と第2シグネチャとの少なくとも一つの比較に基づく
。かかる一つ以上の応答はその後それぞれ、所定時間窓にわたって、又は代替的に、少な
くとも一つのセンサからのデータの少なくとも一部分が少なくとも一つの既知安全シグネ
チャに整合するまで、行われ得る。
【0057】
上述したシステムのなおもさらなる実装によれば、送信器はさらに、ビーム偏向ユニッ
ト及び受信器特定器の少なくとも一方を含み得る。後者の場合、受信器特定器は、制御ユ
ニット上で実行されているコードを利用し得る。このコードは、他の機能のために使用さ
れるセンサからのデータを検証するべく構成することができる。
【0058】
これらのシステムのさらに他の典型的な実装において、システムの動作に関連するデー
タは、当該システムが動作する環境に関連するデータとしてよい。
【0059】
付加的に、かかるシステムのいずれにおいても、一つ以上の応答を実行するステップはさ
らに、一つ以上の応答を、優先順位をつけて管理し、最適なアクション過程を決定する決
定システムに基づいてよい。
【0060】
最後に、本開示に記載されるシステムのなおもさらなる実装によれば、無線電力伝送の
ためのさらに他のシステムであって、
(i)レーザビーム生成器を含む送信器であって、当該送信器は、レーザビームを電力に
変換するべく構成された少なくとも一つの受信器に無線電力を伝送するように適合され、
当該少なくとも一つの受信器は、受信器制御ユニットと、これに関連付けられた受信器制
御ユニット誤動作検出システムとを有し、当該送信器は少なくとも2つの状態を有し、当
該状態は、少なくとも一つの既知安全状態を含み、当該少なくとも一つの受信器制御ユニ
ット誤動作検出システムは、受信器制御ユニット誤動作の検出時に当該送信器を当該状態
の少なくとも一つから切り替えるように構成されるものと、
(ii)無線電力伝送システムからの人アクセス可能放出レベルが、所定しきい値を超え
る確率を検出し、当該確率が確率しきい値を超えた場合に当該送信器を当該安全状態の少
なくとも一つに切り替えるように構成されたハザード検出システムと、
(iii)システム制御ユニットと、
(iv)少なくとも一つのシステム制御ユニット誤動作検出システムと
を含むシステムが与えられ、
当該システム制御ユニットは、
(a)当該システムの動作に関連するデータを、当該データを取得するべく適合され
た複数のセンサから格納することであって、当該センサの少なくとも一つは当該受信器の
少なくとも一つに関連付けられることと、
(b)当該複数のセンサからのデータの少なくとも一部分を、少なくとも一つの既知
のシグネチャと比較することであって、当該シグネチャは、非重大事象と高確率の一つ以
上の潜在的な望ましくない状況とに関連付けられることと、
(c)当該比較の結果に基づいて一つ以上の応答を実行することであって、当該応答
は、
当該潜在的な望ましくない状況の一つ以上の発生確率を低減することと、
当該潜在的な望ましくない状況の一つ以上の効果を低減することと、
当該潜在的な望ましくない状況の一つ以上からの成功裏の回復を容易にすることと
の少なくとも一つを達成するように構成されることと
を行うように適合される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明は、図面と併せて以下の詳細な説明からより完全に理解及び認識される。
【0062】
図1】米国CFR21、ボリューム8、2014年4月改定、チャプターI、サブチャプターJパート1040による0.1~60秒の露光の、クラスIレーザのMPE(最大許容露光値)のグラフである。
図2】クラス4レーザに対して義務とされる警告標識の一例である。
図3】典型的なシステムの模式的ブロック図を示す。
図4】本開示の方法の典型的な概念フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明に係るシステムの典型的な模式的ブロック図を示す図3を参照すると、当該シス
テムの別個の機能ブロックを含み、各ブロックは、それ自体のコンポーネント構成部品を
有し、情報、信号及び電力の4つの大きなフロー経路が示される。ただし、図3が、一般
的な機能に応じて分割されたシステムの基本部分のみを示しており、すべての機能部分及
びそれらの機能部分間のすべての相関関係の包括的概略を意図していないことを理解すべ
きである。
【0064】
電力送達システム400xは、システム制御ユニット200xからの命令に従って、レ
ーザビームのような無線電力ビームを生成し、システム内に又はシステムの外部に配置さ
れた受信器300xへと向ける。この図が一つの受信器のみを含むにもかかわらず、送信
器は一般に、システム制御ユニットとの通信を有しながらシステム内に又はシステムの外
部に配置され得る複数の受信器に無線電力を伝送するように適合されることを理解するべ
きである。
【0065】
システムは多数のセンサ100xを有する。これらのセンサは、当該システムの様々な
サブシステム全体にわたって展開される。または、当該システムの外側に配置されてもよ
い。受信器300xがシステムの外側に配置される場合、この受信器に関連付けられるセ
ンサ、例えば受信器配向センサ及び受信器電力センサもまた、システムの外部に配置され
得る。
【0066】
電力送達システム400xは、以下のサブコンポーネントを含む。すなわち、ビーム生
成器4002、ビーム偏向器4001、ハザード検出システム(4003)、及び受信器
特定器(4004)を含む。本開示の代替的なシステムにおいて、電力送達システム40
0xはビーム生成器4002のみを含んでもよく、又は、ビーム偏向器、ハザード検出シ
ステム及び受信器特定器の一つ以上を欠いてもよい。かかる代替的なシステムにおいて、
これらのコンポーネントは、電力送達システムの外部に配置されてもよく、すべてを欠い
てもよい。
【0067】
ビーム生成器4002は、システム制御ユニット200xからの命令に基づいて、電力
、波長、ビーム形状、デューティーサイクル、ビーム品質、M2値及び幅のような異なる
仕様を有する無線電力ビームを生成することができる。ビーム生成器4002には、電力
センサ(1007)、波長センサ(1010)及び/又は温度センサ(1003~100
6)、ビーム形状センサ(1013)、並びに様々な他の光センサ(1018)が装備さ
れてよい。これらのセンサは、任意の伝送ビームがハザード検出システム及びシステム制
御ユニット双方の出力及び決定に整合することを保証するべく使用することができる。例
えば、ハザード検出システムが、人アクセス可能放出レベルが所定しきい値を超えたこと
を検出した場合、当該ハザード検出システムは、送信器に対し、低電力安全状態に切り替
わるように命令する。電力センサ1007は、正確な電力レベルが使用されていることを
検証するべく使用することができる。
【0068】
ビーム偏向器4001は、ビームを遠隔受信器300xに向けて偏向させる。システム
と両立可能な付加的な正式の受信器が存在する場合、ビーム偏向器は、各受信器に向かっ
てビームを偏向するように構成されてもよい。ビーム偏向器には、追跡センサ(1019
)及び/又は位置センサ(1020)、方向センサ(1002)、受信器配向センサ(1
003)、温度センサ(1004~1006)、光センサ(1018)、及び他のセンサ
が装備されてよい。これらのセンサは、任意の伝送ビームの方向がハザード検出システム
及びシステム制御ユニット双方の出力及び決定に整合することを保証するべく使用するこ
とができる。例えば、ハザード検出システムが、人アクセス可能放出レベルが所定しきい
値を超えたことを検出した場合、当該ハザード検出システムは、送信器に対し、ビームを
そらせることを含む安全状態に切り替わるように命令する。方向センサ1002は、正確
なビーム方向が使用されていることを検証するべく使用することができる。
【0069】
ハザード検出システム4003が図面において電力送達システム400x内に存在する
ように示されるにもかかわらず、これは、センサ及びハードウェアコンポーネントの双方
を含み、さらには、制御ユニットにおいて情報を処理するソフトウェアルーチンを含んで
もよい。よって、ハザード検出システムは、送信器、受信器に配置され、これら2つの間
に分散されても、これら双方の外部に配置されてもよく、ビーム侵入又は他のハザードの
ような重大事象を検出するべく使用することができる。かかる検出時、ハザード検出シス
テムは、システムが最大許容露光値(すなわち人アクセス可能放出しきい値)、放出限界
、又は使用者が設定し得る他の限界を超えることを防止するべく、システムの迅速応答を
引き起こす。ハザード検出システムが検出する事象は、重大事象と称する。これは、当該
事象に対する応答が短時間内に存在しない場合、システムは、最大許容可能露光若しくは
露光限界、又は火災ハザードしきい値又は何らかの他のしきい値を超えてしまい、安全な
態様で動作しなくなるからである。ハザード検出システムは、重大事象を特定するべく有
用な、位置センサ(1020)、方向センサ(1002)、受信器配向センサと(100
3)、温度センサ(1004~1006)、送信器放出電力センサ(1007)、受信器
受信電力センサ(1008)、通信リンク(1009)、波長センサ(1010)、ビー
ム形状センサ(1013)、ガスセンサ(1016)、範囲センサ(1017)及び光セ
ンサ(1018)のような様々なセンサからのデータを含み又は受信し得る。例えば、送
信器放出電力センサ(1007)により測定された電力レベルと、受信器受信電力センサ
(1008)により測定された電力レベルとが大きく食い違うことは、人、動物又は物体
がビーム経路内に存在する重大事象を示し得る。
【0070】
受信器特定器(4004)は、ハザード検出システムと同様に電力送達システムに存在
するように示され、ハードウェア及びソフトウェアコンポーネントを有し得る。これは、
正当又は承認された受信器を特定するべく使用される一意の要素であり、システム内のど
こにでも配置することができる。受信器特定器は、この特定を光学的若しくは電子的に、
又はこれらの方法の組み合わせを介して、行うことができる。これは、センサ、及びハザ
ード検出システムの一部の双方とみなすことができる。受信器特定器はまた、潜在的な望
ましくない状況を特定するための入力をシステム制御ユニットに与えるべく使用すること
もできる。例えば、未知の受信器による頻繁な電力要求は、重大事象とはならないが、可
能性の高い潜在的な望ましくない状況に相関し得る。
【0071】
受信器300xは、システムの外部に配置されてよいが当該システムと通信するべく構
成され、送信器400xが放出したビームを電力に変換する。受信器は、逆反射アレイ(
3001)、太陽電池(3002)、電圧変換器(3003)、電力計(3004)、温
度センサ(3005)及び通信モジュール(3006)を含み得る。送信器が電力を送る
多数の受信器が存在する代替的実装例において、当該受信器はそれぞれ、これらのコンポ
ーネントを有し得る。
【0072】
逆反射アレイ(3001)は、受信器特定器(4004)によって特定され得る。太陽
電池(3002)は、ビームを電気エネルギーに変換するべく使用することができる。電
圧変換器(3003)は、電圧を、必要な出力電圧までにして、太陽電池(3002)か
ら見る負荷を最適化することもできる。電力計(3004)は、太陽電池の電流、電圧又
は他の電気的特性に基づいてよく、又は他のセンサ若しくは測定値に基づいてよい。電力
計3004はまた、温度変動(温度センサ3005が測定するもののような)、角度変動
、履歴測定データ、又は較正グラフに基づいて補償される。通信モジュール(3006)
は、電力計からの測定電力及び他のデータを、典型的には無線通信チャネルを介して報告
する。
【0073】
システム制御ユニット200xは、典型的に送信器に配置されるが、送信器の外側に若
しくはその複数の部分に配置されてよく、又は受信器の内側に配置されていてもよい。シ
ステム制御ユニットは、CPU(2001)と、CPU2001の中に又は外側に配置さ
れ得るメモリユニット(2002)とを含む。システム制御ユニットはまた典型的に、様
々なセンサ及び検出器からの信号を、制御ユニットにより処理され得るデジタル信号に変
換するべく使用されるA/Dユニット(2003)も含む。システム制御ユニットにはま
た、様々なセンサからのデータを収集するべく使用されるデジタルセンサフロントエンド
ユニット(2004)も装備され得る。または、センサはCPUにより直接ポーリングす
ることもできる。システム制御ユニットはまた、各受信器が電力を受信する順序及び典型
的持続時間を与えるスケジュールエンジン(2005)を含んでもよい。かかるスケジュ
ールエンジンは、外部ユニット、内部ユニット、又はメモリ内のデータ構造としてもよい
。システム制御ユニットは典型的に、ビームの方向及びビームの出力レベルのような現在
の伝送状態を保持する動作状態エンジン(2006)を含む。現在の伝送状態は、コンピ
ュータメモリに、機械的状態、電子的状態、光学的状態又はこれらの組み合わせで実装さ
れ得る。制御ユニット200xはまた、誤動作検出システムユニット(2007)も包含
する。これは、システム制御ユニットの内部コンポーネントの少なくともいくつかをモニ
タリングし、システム制御ユニットが、不要な動作状態に捕らえられないことを保証する
。代替的実装例において、誤動作検出システムは、システム制御ユニットの外側に配置さ
れ得るが、当該システム制御ユニットと通信し得る。すなわち、この明細書において及び
特許請求の範囲のとおり使用される言語用語「システム制御ユニット」は、単一のユニッ
トとの印象を与え得るにもかかわらず、システムのいくつかの部分に分散でき、別個のハ
ードウェア回路基板又はサブコンポーネントを含むことができ、実行ソフトウェアルーチ
ンを処理し、本質的に完全な制御システムとなることを理解すべきである。したがって、
この用語は、そのように理解及び解釈されるものとする。
【0074】
システムは、少なくとも一つのセンサーユニット(100x)からの、ただし典型的に
は複数のセンサからのデータを取得及び格納するべく適合される。当該複数のセンサは、
システムの動作に関連する情報を与え、重大状況及び/又は潜在的な望ましくない状況を
特定するべく有用となり得る。一般的なセンサのいくつかの例は、
位置センサ(1001)
方向センサ(1002)
受信器配向センサ(1003)
温度センサ(1004~1006)
送信器放出電力センサ(1007)
受信器受信電力センサ(1008)
通信リンク(1009)
波長センサ(1010)
送信器衝撃センサ(1011)
受信器衝撃センサ(1012)
ビーム形状センサ(1013)
不良配置テーブル(1014)
湿度センサ(1015)
ガスセンサ(1016)
範囲センサ(1017)
光センサ(1018)
追跡センサ(1019)
位置センサ(1020)
他の表示センサ(1021)
タイマー(1022)
時間センサ(1023)である。
【0075】
システムの動作中、様々なセンサ(100x)から受信したデータは、制御ユニット2
00xのメモリユニット(2002)に格納されている特定シグネチャと比較される。か
かるシグネチャは、高確率の一つ以上の望ましくない状況に対応する非重大状況を表す。
センサからのデータは、直接比較してよく、又はシグネチャの比較前に他のコンポーネン
トを介して変換若しくは送信してよい。シグネチャの比較のためにセンサから受信したデ
ータは、A/Dユニット(2003)からの、デジタルセンサフロントエンドユニット(
2004)からの、誤動作検出ユニット(2007)からの、動作状態エンジン(200
6)からの、システムのクロックからの、又は他のコンポーネントからのデータと比較し
てよい。
【0076】
その後、センサから直接又は間接のいずれかで受信したデータの選択部分が、様々な潜
在的な望ましくない状況を表す既知のシグネチャと比較される。これらの比較は、CPU
(2001)により、又は他の処理ユニットにより行われ得る。望ましくない状況の想定
される将来の発生を検出すると、システム制御ユニット(200x)は、当該比較に基づ
いて少なくとも一セットの所定命令を特定する。その後、システム制御ユニットは、これ
らの命令に基づいて応答を実行してよく、典型的には当該事象をシステムログ(図面には
示さず)に報告する。かかる応答は、所定であってよく、又は一セットのパラメータから
の計算、インターネットからの受信、若しくはリストからのランダムな選択により自動的
に生成してよい。代替的、特定された命令は、最適なアクション過程を決定するべくさら
なる分析を目的として決定システムに入力されてよい。
【0077】
システムログからのデータは、システム状態をモニタリングするべく、適切な応答を発
行するべく、新たなセットのルールを生成するべく、及び/又は使用者若しくはシステム
製造者いずれかに対して概要を生成するべく、使用及び分析され得る。
【0078】
図4を参照する。図4は、本開示のシステムにおいて使用され得る方法の一つの典型的
な実装例の概念的なフローチャートを示す。ステップ40において、センサが使用されて
、システムの動作に関連するデータが収集される。このデータは、システムにおけるコン
ポーネントに関連するデータ、及びシステムを取り巻く環境に関連するデータが含まれる
。当該センサは、システム内の、又は受信器内若しくは送信器内のようなシステム外の、
任意の場所に配置され得る。ステップ41において、センサから取得されたデータの少な
くとも一部分が、予め選択されたシグネチャと比較される。かかる予め選択されたシグネ
チャは、非重大状況に、一般には、将来発生する可能性が高い一つ以上の潜在的な望まし
くない若しくは危険でさえある事象に相関する現在の非重大状況に、関連付けられる。こ
れは、ハザード検出システムの機能とは対照的である。ハザード検出システムは、一般に
はすでに人にとって危険とされる現在の重大状況を扱うためのものだからである。
【0079】
ステップ42において、データとシグネチャとの比較に基づいて所定の応答が特定され
る。この典型的な方法において特定された応答が所定であるにもかかわらず、本開示の代
替的な実装例では、応答が同時に識別及び決定されてよく、又は応答が当該識別後に決定
されてよいことを理解すべきである。データがシグネチャとの類似性を有しない場合、適
切な応答は、アクション欠如となり、システムは、データの新たな部分若しくは新たなシ
グネチャ又はこれらの双方を、比較のために選択し得る。しかしながら、データの選択さ
れた部分がシグネチャに整合し、又はシグネチャとの関連関係を示す場合、特定される所
定の応答は、一つ以上の潜在的な望ましくない状況のリスクを低減すること、一つ以上の
潜在的な望ましくない状況を防止すること、一つ以上の潜在的な望ましくない状況を緩和
すること、一つ以上の潜在的な望ましくない状況の影響を低減すること、又は一つ以上の
潜在的な望ましくない状況若しくはこれらの任意の組み合わせからの成功裏の回復を容易
にすることを行うべく意図された応答となり得る。
【0080】
ステップ43において、特定された応答はすべて、特定された応答又はその欠如のすべ
てを考慮して最適なアクション過程を決定する決定システムに入力される。決定システム
はまた、誤動作検出システムからの及びハザード検出システムからの入力も考慮してよく
、例えば、システムが安全状態にあるか否か、又は現在のところ安全状態に切り替わりつ
つあるか否か、そうであればどの安全状態なのかを決定する。例えば、ハザード検出シス
テムが現在のところ、システムに安全状態への切り替えを引き起こしている場合、人アク
セス可能放出がしきい値を超える現在の状況は、望ましくない状況のリスクの増加よりも
優先されるので、システムが、通常動作を再開するまで待ってからシステム制御ユニット
が特定した応答を開始するのが望ましくなり得る。
【0081】
ステップ43の代替例として、システムが決定システムを有しなくてもよく、このシス
テムが利用されなくてもよい。この場合、特定された所定の応答は、必要な応答を特定し
た固有のシグネチャに直接関連しない他のいずれの特定された自動応答にも、かつ、他の
システムパラメータの状態にもかかわらず、自動的に実行される。この代替例は、少数の
センサ及び限られた可能な応答により、システムにおいて効率的となり得る。
【0082】
しかしながら、決定システムは特に、近似的に同じ時刻に発行される多数の応答が存在
するときに有利となる。例えば、近似的に同じ時刻に2つの所定応答が発行され、一方の
応答が他方の応答よりも優先度が高いことがあり得る。この場合、決定システムは、優先
度の高い応答を最初に開始し、引き続いて他方の応答を開始するように決定し得る。また
は、重要ではない方の応答の実行を完全に拒否し得る。他のオプションは、双方の応答を
同時に開始するが、当該応答を同時に成立可能となるように調整し得る。他の例として、
2つの所定応答が、互いに競合する可能性が高いと特定され得る。この場合、決定システ
ムは、最初に実行すべき応答と引き続いて実行するべき2番目の応答とのうちの一方を選
択し得る。または、双方の応答を、同時に成立可能となるように応答を調整し、又は重要
性の低い応答の実行を拒否し得る。発生し得る他の状況は、例えば、2つの特定された所
定応答が同一であることである。この場合、決定システムが決定し得る所定応答を一回の
み実行することが一般に効率的となる。すなわち、これらの状況すべてにおいて、決定シ
ステムを使用することが、特定された所定応答の自動実行よりも有利となる場合が多い。
【0083】
決定システムは、命令の階層又は優先順位によりプログラムすることができるので、当
該システムが2つの競合する命令セットを同時に受信する状況が存在する場合でも当該シ
ステムは適切に応答することができる。例えば、システム平均温度が以前は高くて電力レ
ベルが低減されたが、今はシステムが冷却されている場合、典型的な命令は、フル/通常
電力レベルを再開することとなる。しかしながら、フル/通常の電力レベルを再開するこ
の命令と同時に、受信器が極めて迅速に一の位置から他の位置に移動したように見える場
合、これは、電力レベルを低減すべきとの典型的な命令をもたらす。すなわち、この例で
は、システムは、(i)フル/通常の電力レベルの再開、及び(ii)電力レベルの低減
という2つの競合する命令セットを受信している。この例におけるシステムは、「デフォ
ルト値からの変更」命令が「デフォルト値への復元」命令よりも優先されるようにプログ
ラムされ得るので、電力レベルの低減は、フル/通常の電力の再開よりも優先される。
【0084】
さらに、2つ以上の同一又は同様の命令セットを一つの命令セットに結合し、又はプロ
グラミングに従って別個に実行してよい。時々、2つ以上の異なる応答が必要となる。例
えば、何らかのコンポーネントに対する誤動作検出システムが正常な動作信号を報告して
いないのと同時にセンサの信号ノイズ比が低いときに「事象をログに登録」が2回発行さ
れる場合、これらの2つの異なりかつ別個の事象は、ログに登録される(2つの同一命令
への2つの異なる応答)。これとは対照的に、時々、2つ以上の命令を、一つの応答をも
たらすべく結合する必要がある。例えば、受信器が急速に回転しているように見えるのと
同時に平均温度が高いために「電力の低減」が2回発行される場合、電力を低減するため
の2つの同一命令が結合されて電力低減の一つの応答となる(2つの同一命令への一つの
応答)。
【0085】
多数の命令セットが、システム応答のための基礎を与えるべく任意の態様で結合され、
分析され、又は比較される。すなわち、システムは、一セットのデータに基づいて又は一
つのシグネチャに基づいてのみだけではなく、データベース全体と既知のデータ・シグネ
チャ比較全体とにも基づいて、応答を実行することができる。
【0086】
かかるシステムは、高確率の望ましくない状況に対応する多くの様々な非重大状況を検
出することができ、この場合、適切な応答を発行するべきとなる。適切な応答は、非重大
状況の一つ以上の検出に基づき得る。以下の段落は、典型的なシステム及び方法として提
案され、提案されたシステムは、高確率の望ましくない状況に関連付けられる非重大状況
の検出及び当該状況への応答の多数の方法を含み得る。さらに、これらの例は、一つの非
重大状況の検出に基づく応答と自動応答の実行とを示すので単純であるが、システムは、
例えば図4に係る決定システムの使用により、任意数の非重大状況又はその欠如の検出に
適切に応答する方法を用いることができる。
【0087】
一例として、システムは、収集されたデータの少なくとも一部をシグネチャと比較した
後、未知の見かけの受信器による頻繁な電力要求を検出し、毎回異なる偽の資格証を送信
する。典型的に、受信器は、伝送された電力を安全に取り扱うことができることを証明す
る資格証を送信する。資格のある受信器以外のいずれかの場所にレーザを向けることは、
潜在的に危険である。レーザ出力を取り扱うことができる受信器を特定するべく典型的に
使用される方法の一つは、受信器がID及び有効な資格証を送信することによる。これは
、本願と共通の発明者を有する「光無線電力供給のシステム」との名称の特許文献1に記
載される。この例では、資格証は例えば、受信器のID及びキーが偽であるから、そのよ
うな受信器はシステムによる電力が拒否される。偽の資格証を有する受信器は、伝送され
た電力を取り扱うために必要な安全機能を有しないかもしれないからである。したがって
、誤ったID及びキーを受け取ることに関与する即時又は特定のリスクは存在しない。レ
ーザビームが危険な方向に向けられる結果とはならないからである。
【0088】
すなわち、上述の例は非重要事象である。ただし、以下のシナリオによれば重要事象に
なるリスクを有する。偽の資格証が繰り返される頻繁な電力要求の状況において、何者か
がシステムを「ハッキング」して不正な受信器に又は不正な方向に電力を送ろうとしてい
る確率が高くなっている。ただし、確かとはいえない。これは、いくつかの理由により望
ましくない状況である。
a.サイバー侵入者は、最終的にキーを解読し、システムに不正な態様で電力を送達
させることに成功し得る。
b.システムが多くの偽の受信器をチェックして無視するのに忙しい間、正式な受信
器に対して貧弱なサービスが与えられる可能性がある(応答時間が遅い、効率が低い等)
【0089】
現在開示されているシステムの一つは、データを既知のシグネチャと比較することによ
り、例えば異なるキーを試行する繰り返しの試みのようなパターンを検出する構成を有す
る。その後、自動応答が生成されることにより、望ましくない状況が緩和され、そのよう
な試みに対するシステムの回復力が改善され得る。
【0090】
この状況を緩和するためのかかる自動応答は、以下のようなステップを含み得る。
受信器のすべて又はいくつかからの二次キーを要求すること、
(キー発見アルゴリズムを低速にして他の受信器に良好なサービスを与える)接続要
求のための応答時間を増加させること、
システムの操作者に、警告灯又は通信によってのように警告を与えること、又は
例えば2時間のような所定時間にわたり既知の受信器にのみサービスを与えることで
ある。
【0091】
かかる自動応答はすべて、特定の潜在的に望ましくない状況に対するシステムの回復力
を一時的に改善するように設計される。これらの応答は典型的に、本質的に一時的である
。ただし、使用者が永続的にすることを選択してよく、又はいくつかの場合にはシステム
が自動的に永続的にしてもよい。
【0092】
本開示のさらなる典型的な方法は、信号対雑音比(SNR)に関する。伝送リンクの信
号対雑音比(SNR)が劣化することがある。これは、例えば他の電子ソースからの動的
環境で発生し、ビームに侵入する物体を正確に検出することを困難にし得る。一つの典型
的な開示のシステムによれば、かかる低SNR状況を検出してシステムは生産的に応答し
得る。例えば、SNRを、センサからの履歴統計データを調べてデータの分散を評価する
ことによって決定することができる。かかるシステムは、その後、適切な状況特定を許容
するべく現在のSNR値に関する収集データを評価した後、適切な応答を発行する。当該
応答は例えば、SNRが低いときにSNR比を改善するべく多くの時間を特定に費やし、
ひいてはかかる状況でも電力を供給し続けることであり、SNRが許容レベルに戻るとき
には特定に費やす時間が少なくなる。
【0093】
他の典型的な非重大状況は、受信器の位置又は速度の突然の変化であり、これは通常、
受信器が迅速に移動していることを示す。しかしながら、稀な場合に、システムに不正な
受信器を追跡し続けさせようとする試みを示し得る。これは、望ましくない状況である。
したがって、かかる突然の速い動き、すなわち受信器位置の連続性の欠如の検出は、高確
率の望ましくない状況を示す。かかる状況の検出への望ましい自動応答は、例えば、受信
器の特定が再度の検証完了までずっと、移動が停止した後であり得る現在の受信器の電力
供給を一時的に保留し、その後、不正な受信器が続いている可能性がなくなったときに電
力供給を続けることとなり得る。
【0094】
システムへの不正侵入の試みを検出して防止することに加え、本開示の方法及びシステ
ムは、例えば、いくつかの無線電力システムに存在し得る冷却システムの通気口にほこり
が蓄積することのような、他の非重大状況にシステムを応答させるべく使用することがで
きる。かかる場所にほこりが蓄積すると、冷却効率が低下し、コンポーネントの温度上昇
がもたらされる。コンポーネントの温度が上昇するこの事象において、高確率のいくつか
の望ましくない状況に対応する2つの異なる非重大事象がシステムによって検出され得る
【0095】
一つ目は、周囲温度又は受信器温度とは無関係であることが決定される多くのコンポー
ネントの一般的な温度上昇である。かかる状況において、通気口がブロックされている可
能性があり、適切な自動応答は、例えば、通気口をチェックして清掃するべくLED光、
アプリケーション、電子メール、テキストメッセージを介して使用者に警告を与えること
となる。
【0096】
2つ目の非重大事象は、単一のコンポーネントのみが高温で動作しているときに検出さ
れ得る。これは、自動の使用者通知をもたらすはずの、このコンポーネントがその寿命の
終わりに近づいている確率の高まりに関連付けられ、又は代替的に、現在の状況が当該コ
ンポーネントに過度のストレスをかけている確率の高まりに関連付けられる。かかる場合
、ことなる動作スケジュールを自動的に導入することができる。コンポーネントがセンサ
の場合、同じ状況でも悪い信号対雑音比をもたらし得るので、例えば、一つ又は複数の脅
威の検出漏れの確率が高くなり得る。高確率の望ましくない状況に対応する一つ以上の非
重大状況が検出されるかかる状況において、動作パラメータの自動調整がソリューション
となり得る。
【0097】
かかる包括的かつ柔軟な管理システムは、異なる状況の検出時に同時に適用される可能
性を有する複数のアルゴリズム及び結果を含み得る。したがって、取りまとめるシステム
が必要となり得る。かかるシステムは、システム全体にとって最も有益となるものに応じ
て、例えば、結果の階層若しくは優先順位付け、又は結果の組み合わせ若しくは描写を含
み得る。例えば、高速で移動する受信器、過熱した要素、及び高い大気伝送損失の検出の
ような、バラバラな状況が同時に生じ得る。与えられる典型的なシステムは、一つ又は複
数の適切な応答を発行する前に、かかる要因をすべて考慮することができなければならな
い。かかる状況及び応答の例は、以下の段落で詳細に与えられる。様々なパラメータとデ
ータの収集及び格納とを常にモニタリングすることにより、経時的なデータの分析と、シ
ステムアルゴリズムのさらなる改善とが可能となる。データの格納により、アルゴリズム
はまた、長い時間周期にわたって及び短周期にわたって収集されたデータに対応すること
が可能となる。
【0098】
受信器が安全システムの最大有効距離の外側に移動すると、高確率の望ましくない状況
に対応する検出可能な非重大状況が発生し得る。最大有効距離は、電力のような他の変数
に依存し得る。かかる状況において、受信器は、依然として追跡システム又は何らかの他
のサブシステムの範囲内に存在しており、短時間に動作システム範囲に戻ることが統計的
に予測される。かかる場合、電力を完全にオフにすることにより位置データの損失が引き
起こされて受信器を再度サーチして再び明確な視線の存在を確立する必要が生じる状況と
なり得る。かかる状況において、受信器の痕跡喪失の高い確率が存在し、貧弱なサービス
を与えることとなるので、望ましくない状況である。かかる状況は、現在の受信器の範囲
及び位置が動作範囲外に存在することの検出、又は追跡センサ、範囲センサ、若しくは他
の表示パラメータの貧弱な信号対雑音比に対応することができ、又は統計的に対応するこ
とができる。かかる状況の検出時、システムは、事前にプログラムされた命令を特定し、
これらの命令に基づく適切な自動応答が、電力を安全限界まで低減するが完全にオフには
せず、受信器の位置及び時刻を登録する。その結果、システムは、受信器が戻ると予想さ
れる場所、戻ると予想されない場所の統計を改善することができる。例えば、かかる状況
において受信器が部屋の隅に向かって範囲外に移動していると検出される場合、受信器が
、安全システムの最大有効距離まで戻ることが予測される可能性が高いので、システムは
、電力を低減して、受信器の位置及び時刻を登録して範囲内に戻るまで待機するべきであ
る。受信器が範囲まで戻らない事象の可能性が高い場合、システムは、完全にシャットダ
ウンする場合になされていたのと同じ態様を再開する必要がなく、位置データなして受信
器を再びサーチして明確な視線が存在することを再確立する。反対の例として、受信器が
ドアに向かって移動している場合、使用者が退出して戻る予定がない可能性が高いので、
電力を完全にオフにすることが適切な対応となり得る。これら2つのシナリオ間の描写は
、ガイドされたアルゴリズムがエネルギー効率を上げる態様の一例である。
【0099】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、何らかのコンポー
ネントに対する誤動作検出システムが通常動作信号を報告していないときに生じ得る。か
かる場合、誤動作検出システムによってモニタリングされているコンポーネントが機能を
停止させている状況があり得るが、誤動作検出システム自体が誤っているか、若しくはシ
ステムクロックが同期していないか、又はその他の問題である状況もあり得る。すなわち
、かかる状況において、誤動作検出システムが故障している可能性が高く、これは望まし
くない状況である。かかる状況は、誤動作検出システムからの最後の通常信号が、タイマ
ーセンサにおける何らかのしきい値よりも大きくなって以来の経過時間の検出に対応し得
る(又は統計的に対応し得る)。この非重大状況の検出時、システムはプログラムされた
命令を特定する必要がある。これらの命令に基づく適切な自動応答は、システムを再起動
し、当該事象をシステムログに登録し、使用者に通知し、及び検出リスクが存在しないこ
とを検証する安全チェックを行うようにされ得る。
【0100】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、受信器が一位置か
ら他位置へ極めて迅速に移動したように見えるときに生じ得る。かかる場合において、誰
かが正当な受信器を偽の受信器に迅速に交換しようとしている状況があり得るので、かか
る状況では、電力を受け入れることができない受信器にシステムが電力を送っている高い
確率が存在する。これは望ましくない状況である。かかる状況は、連続した測定値間の位
置変化が、位置センサにおける何らかのしきい値よりも大きいことの検出に対応し得る(
又は統計的に対応し得る)。適切な自動応答は、電力レベルの低減、受信器への接続の一
時的停止、及びひとたび受信器の移動が停止したときの接続の再確立となり得る。
【0101】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、受信器が迅速に回
転している(例えばその配向が変化する)ように見えるときに生じ得る。かかる場合にお
いて、誰かが正当な受信器を偽の受信器に迅速に交換しようとしている状況があり得るの
で、電力を受け入れることができない受信器にシステムが電力を送っている高い確率が存
在する。これは望ましくない状況である。かかる状況は、位置追跡センサ及び/又は受信
器配向センサにおける信号の急速な変化の検出に対応し得る(又は統計的に対応し得る)
。適切な自動応答は、電力レベルの低減、受信器への接続の一時的停止、及びその後の、
ひとたび受信器の動きが停止したときの接続の再確立となり得る。
【0102】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、あまりにも多くの
受信器が送信器まわりに存在するように見えるときに生じ得る。かかる場合において、一
つ以上の受信器が何らかのエラーにより一回を超えて計数される状況があり得るので、こ
の状況は、存在していない受信器すべてをサーチしようとして時間を無駄にしている確率
が高いことに寄与する。これは望ましくない状況である。かかる状況は、受信器の計数が
、受信器計数器における統計的に受け入れられる数を超えていることの検出に対応し得る
(又は統計的に対応し得る)。適切な自動応答は、部屋を再スキャンして受信器の正しい
数を確立することとなり得る。
【0103】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、信号対雑音比が低
いときに生じ得る。かかる場合において、センサが最適には動作していない状況があり得
るので、この状況は、ハザード検出システムによる何らかの異物の高確率の誤検出に関連
付けられる。これは望ましくない状況である。かかる状況は、いずれかのセンサにおける
測定値の大きなばらつきの検出に対応し得る(又は統計的に対応し得る)。連続する測定
値における当該大きなばらつきは通常、状況の急速な変化を示すことはなく、むしろ、信
号と比べての雑音レベルの増加を示す場合が多い。例えば、コンポーネントの温度が所定
時点で150度であると測定され、一秒後に-60度であると測定された場合、これは通
常、温度センサが不良であることを意味し、温度の急激な変化を意味するわけではない。
かかる状況に対する適切な自動応答は、当該事象をログに登録し、電力レベルを下げ、及
び使用者又はサービスセンターに警告を与えることとなり得る。すなわち、システムは、
誤って検出した異物に応答してシステムをシャットダウンさせるよりもむしろ、問題の根
本的な原因を特定して連続的かつ効率的に動作することができる。
【0104】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、単一のコンポーネ
ントの温度が高いときに生じ得る。かかる場合において、当該コンポーネントがその寿命
の最後に近づきつつあるか又は当該コンポーネントに一時的な負荷が存在するかのいずれ
かの状況となり得る。すなわち、この状況は、高確率のコンポーネント不具合に関連付け
られる。これは望ましくない状況である。この望ましくない状況の義務的なリスクを低減
するべく設計された適切な自動応答は、電力レベルを低減し、(過熱したコンポーネント
が所定受信器に存在する場合)他の受信器の再スケジュール及び給電を行い、並びに当該
事象をログに登録することとなり得る。
【0105】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、システム平均温度
が、所定しきい値と比べて熱いときに生じ得る。かかる場合において、システムが通常よ
りも多くの熱エネルギーを放出している状況があり得る。すなわち、高確率のシステム短
寿命化が存在する。これは望ましくない状況である。かかる状況は、温度センサを含むシ
ステム内の様々なセンサにわたって高温が検出されることに対応し得る(又は統計的に対
応し得る)。適切な自動応答は、システムがクールダウンするまで電力レベルを低減して
成功裏の回復を容易にすることとなり得る。
【0106】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、システムが受信器
の位置を繰り返し試験するがそこには受信器が存在しないときに生じ得る。かかる場合に
おいて、システムにとって類似しているように見える物体がそこに存在している状況とな
り得るので、この状況は、高確率のシステムリソース浪費に対応する。これは望ましくな
い状況である。かかる状況は、位置センサにおいて同じ位置にある受信器の誤特定の繰り
返しを検出することに対応し得る(又は統計的に対応し得る)。かかる状況に対する適切
な自動応答は、この位置の試験頻度を低減し、及び当該事象をログに登録することとなり
得る。
【0107】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、受信器へ伝送して
いるときの大気電力損失が、しきい値を超えるときに生じ得る。かかる場合において、空
気中に多くのほこり又は煙が存在する状況となり得る。この状況は、高確率の光学機器ク
リーニング必要性又は火災に寄与する。これは望ましくない状況である。かかる状況は、
送信器及び受信器における電力計センサの、送信器及び受信器間の大きな光学的損失の検
出に対応し得る(又は統計的に対応し得る)。適切な自動応答は、使用者に警告を与え、
電力レベルを低減し、及び当該事象をログに登録することとなり得る。
【0108】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、レーザ波長がドリ
フト又は変化するときに生じ得る。かかる場合において、レーザダイオードが熱すぎ若し
くは冷たすぎ又は電流が高すぎる状況となり得る。この状況は高確率のシステム安全しき
い値超過に関連付けられる。これは望ましくない状況である。かかる状況は、システムガ
イドラインに注記される波長センサにおける異なる波長の検出に対応し得る(又は統計的
に対応し得る)。望ましくない状況のリスクを低減するべく設計された適切な自動応答は
、電力レベルを低減してシステムを再起動することである。
【0109】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、受信器又は送信器
が機械的衝撃を受けるときに生じ得る。かかる場合において、何らかのコンポーネントが
アラインメントを外れるように動いた状況となり得るので、高確率の誤動作が存在する。
これは望ましくない状況である。かかる状況は、衝撃センサにおける機械的衝撃の検出に
対応し得る(又は統計的に対応し得る)。適切な自動応答は、自己チェック手順を行うこ
ととなり得る。
【0110】
高確率の望ましくない状況に対応する他の検出可能な非重大状況は、システムが、長時
間オフにされていた後にオンにされたときに生じ得る。かかる場合において、システムが
輸送中に機械的衝撃を受けた状況となり得るので、高確率の誤動作が存在する。これは望
ましくない状況である。かかる状況は、タイマーセンサにおいて最後の使用依頼に経過し
た長時間の検出に対応し得る(又は統計的に対応し得る)。適切な自動応答は、自己チェ
ック手順を行い、部屋を再スキャンし、電力計及び他のセンサを較正し、並びに使用者に
警告を与えることとなり得る。
【0111】
理解すべきことだが、これらの例のいずれにおいても、特定された自動応答は、さらな
る分析なしに実行されるか、又は多数の特定された応答若しくはその欠如を優先して管理
する決定システムに入力されるかのいずれかにより、最適なアクション過程を決定し得る
。決定システムはまた、システムが現在安全状態にあるか否か、システムがどの安全状態
にあるかについて、ハザード検出システムからの入力を考慮し、及び受信器及び送信器の
誤動作検出ユニットシステムからの入力を考慮し得る。
【0112】
当業者によりわかることだが、本発明は、特定的に図示され上述されたものよよって制
限されるわけではない。むしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴のコンビネーショ
ン及びサブコンビネーション双方と、当業者が上記説明を読んで想到するが先行技術では
ない変形例及び修正例とを含む。
図1
図2
図3
図4