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特許7538297喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱するための装置とともに使用するための物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20240814BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240814BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20240814BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/20
A24F40/465
【請求項の数】 26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023108192
(22)【出願日】2023-06-30
(62)【分割の表示】P 2020191838の分割
【原出願日】2016-10-26
(65)【公開番号】P2023134544
(43)【公開日】2023-09-27
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】14/927,551
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブランディノ, トーマス ピー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルケ, アンドリュー ピー
(72)【発明者】
【氏名】フレイター, ジェームズ ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パプロッキ, ベンジャミン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン, デュアン エー
(72)【発明者】
【氏名】ロビー, レイモンド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, ジョン エー
【審査官】芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-502188(JP,A)
【文献】国際公開第2014/104078(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/061477(WO,A1)
【文献】特表平08-511175(JP,A)
【文献】実公昭45-007120(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を燃焼させることなく加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品であって、前記物品が喫煙材の塊及び基板を備え、喫煙材の前記塊が前記基板に接しており、前記基板が平坦な帯板を備え、前記基板のすべてが、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を等しく又は実質的に等しく受けやすく、前記基板が喫煙材の前記塊の内にある、物品。
【請求項2】
前記基板が、喫煙材の前記塊によって取り囲まれる、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記基板が、その長さに垂直な矩形又は実質的に矩形の断面を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記基板が、前記物品の長手方向軸と実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在している、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
揃えられた2つの前記軸が一致する、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記物品の外面が、長さと、前記長さに垂直な幅と、前記長さ及び前記幅のそれぞれに垂直な奥行きとを有し、前記長さが前記幅より長く、又は前記幅と等しく、前記幅が前記奥行きより広く、又は前記奥行きと等しい、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
喫煙材の前記塊が、前記物品の前記外面に対して固定される、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記基板が、長さと、前記基板の前記長さに垂直な幅と、前記基板の前記長さ及び前記幅のそれぞれに垂直な奥行きとを有し、前記基板の前記長さが前記基板の前記幅より長く、又は前記幅と等しく、前記基板の前記幅が前記基板の前記奥行きより広く、
前記基板の前記長さ、幅、及び奥行きが、前記物品の前記外面の前記長さ、幅、及び奥行きにそれぞれ実質的に平行である、請求項に記載の物品。
【請求項9】
前記基板が、前記喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える、請求項に記載の物品。
【請求項10】
前記基板が、全体又は実質的に全体が加熱材からなる、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記加熱材が、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項に記載の物品。
【請求項12】
前記加熱材が金属又は金属合金を含む、請求項に記載の物品。
【請求項13】
前記加熱材が、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む、請求項に記載の物品。
【請求項14】
前記加熱材が前記喫煙材と接触している、請求項に記載の物品。
【請求項15】
前記加熱材が、喫煙材の前記塊の長手方向の両端に延在する、請求項に記載の物品。
【請求項16】
前記基板の一部分が、喫煙材の前記塊の端を超えて突出する、請求項に記載の物品。
【請求項17】
喫煙材の前記塊が、前記物品の前記外面の少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
喫煙材の前記塊の周りにカバーを備え、前記カバーが、前記物品の前記外面の少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
前記喫煙材が、タバコ及び/又は1つ以上の保湿剤を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項20】
前記喫煙材が、再生喫煙材を含む、或いはゲル、塊、圧縮された材料、又は結合材料のうちの1つの形態である、請求項1に記載の物品。
【請求項21】
喫煙材の前記塊が、前記基板の1つの面に接して配置される、請求項1に記載の物品。
【請求項22】
前記物品がカバーを含み、前記カバーが喫煙材の前記塊を取り囲む、請求項1に記載の物品。
【請求項23】
前記カバーが断熱性であり、前記カバーが1mmまでの厚さ又は0.5mmまでの厚さを有する、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の物品を作製する方法であって、基板材上に喫煙材を備えた細長い又はより大きな組立体から前記物品を切り取ることを含む、方法。
【請求項25】
請求項1~23のいずれか一項に記載の物品と、
喫煙材を加熱して前記喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置と、
を備えるシステムであって、
前記装置が、
前記喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、
前記物品の前記一部分が前記加熱領域内にあるとき、前記喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器と、
を備える、システム。
【請求項26】
前記加熱領域は、長さと、前記長さに垂直な幅と、前記長さ及び前記幅のそれぞれに垂直な奥行きとを有し、前記長さは前記幅より長く、又は前記幅と等しく、前記幅は前記奥行きより広く、又は前記奥行きと等しい、請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置と、このような装置とともに使用するための物品と、このような装置及びこのような物品を備えるシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコなどの喫煙品は、使用の間、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼させずに化合物を放出する製品を創出することによってこれらの喫煙品に代わるものを提供する試みがなされている。そのような製品の例としては、いわゆる「非燃焼・加熱式(heat-not-burn)」製品、又はタバコ加熱装置若しくはタバコ加熱製品がある。これらは、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよい。非タバコ製品は、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品を提供し、物品は喫煙材の塊を備え、物品の外面は、長さと、長さに垂直な幅と、長さ及び幅のそれぞれに垂直な奥行きとを有し、長さは幅より長く、又は幅と等しく、幅は奥行きより広い。
【0004】
例示的な実施形態では、喫煙材の塊は、物品の外面に対して固定される。
【0005】
例示的な実施形態では、物品の外面の奥行きは、物品の外面の幅の半分より浅い。例示的な実施形態では、物品の外面の奥行きは、物品の外面の幅の四分の一より浅い。
【0006】
例示的な実施形態では、物品は基板を備え、喫煙材の塊は基板に接している。
【0007】
例示的な実施形態では、基板は、長さと、基板の長さに垂直な幅と、基板の長さ及び幅のそれぞれに垂直な奥行きとを有し、基板の長さは基板の幅より長く、又は幅と等しく、基板の幅は基板の奥行きより広い。
【0008】
例示的な実施形態では、基板の長さ、幅、及び奥行きは、物品の外面の長さ、幅、及び奥行きにそれぞれ実質的に平行である。
【0009】
例示的な実施形態では、基板は、喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。
【0010】
例示的な実施形態では、基板は、全体又は実質的に全体が加熱材からなる。
【0011】
例示的な実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0012】
例示的な実施形態では、加熱材は、金属又は金属合金を含む。
【0013】
例示的な実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含む。
【0014】
例示的な実施形態では、基板の第1の部分は、基板の第2の部分よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすい。
【0015】
例示的な実施形態では、物品は、基板の少なくとも一部分に触媒材料を備える。
【0016】
例示的な実施形態では、加熱材は喫煙材と接触している。
【0017】
例示的な実施形態では、加熱材は、喫煙材の塊の長手方向の両端に延在する。
【0018】
例示的な実施形態では、加熱材は、喫煙材の塊の横方向の両側に延在する。
【0019】
例示的な実施形態では、基板の一部分は、喫煙材の塊の端を超えて突出する。
【0020】
例示的な実施形態では、基板は喫煙材の塊の中にある。
【0021】
例示的な実施形態では、基板は喫煙材を備える。
【0022】
例示的な実施形態では、基板は、物品の外面の少なくとも一部分を画定する。
【0023】
例示的な実施形態では、喫煙材の塊は、物品の外面の少なくとも一部分を画定する。
【0024】
例示的な実施形態では、物品は、喫煙材の塊の周りにカバーを備える。例示的な実施形態では、カバーは、物品の外面の少なくとも一部分を画定する。例示的な実施形態では、カバーは、紙、厚紙、ボール紙、又はプラスチック材料で作ることができる。
【0025】
例示的な実施形態では、喫煙材は、タバコ及び/又は1つ以上の保湿剤を含む。
【0026】
例示的な実施形態では、喫煙材は、再生タバコなどの再生喫煙材を含む。例示的な実施形態では、喫煙材は、ゲル、塊、圧縮された材料、又は結合材料のうちの1つの形態である。
【0027】
例示的な実施形態では、喫煙材の塊は複数の領域を備え、これらの領域の少なくとも1つの喫煙材は、これらの領域の他の少なくとも1つの喫煙材の形態又は化学組成とはそれぞれ異なる形態又は化学組成を有する。
【0028】
本発明の第2の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置を提供し、本装置は、
加熱領域が間に配置された第1及び第2の本体を備え、第1の本体は、加熱領域を圧縮するように第2の本体に対して移動可能であり、加熱領域は、喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるためのものであり、
第1及び第2の本体の少なくとも1つは、物品のその一部分が加熱領域内にあるとき、喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器の少なくとも一部分を備える。
【0029】
例示的な実施形態では、第1の本体は、加熱領域を圧縮するように第2の本体に対して回転可能である。
【0030】
例示的な実施形態では、磁場発生器のその一部分は導電性コイルを備える。
【0031】
例示的な実施形態では、その磁場発生器又はそれぞれの磁場発生器は、加熱領域に侵入する変動磁場を発生させるためのものである。
【0032】
例示的な実施形態では、第1及び第2の本体の1つ又はそれぞれは、加熱領域を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。
【0033】
本発明の第3の態様は、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置を提供し、本装置は、
喫煙材を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域であって、加熱領域は、長さと、長さに垂直な幅と、長さ及び幅のそれぞれに垂直な奥行きとを有し、長さは幅より長く、又は幅と等しく、幅は奥行きより広い、加熱領域と、
物品のその一部分が加熱領域内にあるとき、喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器と
を備える。
【0034】
例示的な実施形態では、磁場発生器は、加熱領域から加熱領域の奥行きに平行な方向にずらされた電源を備える。
【0035】
例示的な実施形態では、電源は、長さと、電源の長さに垂直な幅と、電源の長さ及び幅のそれぞれに垂直な奥行きとを有し、電源の長さは電源の幅より長く、又は幅と等しく、電源の幅は電源の奥行きより広く、
電源の長さ、幅、及び奥行きは、加熱領域の長さ、幅、及び奥行きにそれぞれ実質的に平行である。
【0036】
例示的な実施形態では、本装置は第1及び第2の本体を備え、加熱領域は、第1及び第2の本体によって画定され、それらの間に配置され、物品のその一部分が加熱領域内にあるとき、第1及び第2の本体の1つ又はそれぞれは、喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器の少なくとも一部分を備える。
【0037】
例示的な実施形態では、磁場発生器のその一部分は2次元導電性コイルを備える。
【0038】
例示的な実施形態では、本装置は、電気回路の少なくとも一部分を備える第3の本体を備え、
第2の本体の第1の側は、第1の要素によって第1の本体に取り付けられ、第2の本体の第2の側は、第2の要素によって第3の本体に取り付けられ、
第2の本体は、第1の本体と第3の本体との間にある。
【0039】
本発明の第4の態様はシステムを提供し、本システムは、
喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置と、
この装置とともに使用するための物品であって、物品は喫煙材の塊を備え、物品の外面は、長さと、長さに垂直な幅と、長さ及び幅のそれぞれに垂直な奥行きとを有し、長さは幅より長く、又は幅と等しく、幅は奥行きより広い、物品と
を備え、
この装置は、物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、物品のその一部分が加熱領域内にあるとき、喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器と備える。
【0040】
例示的な実施形態では、この装置は、物品のその一部分が加熱領域内にあるとき、喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。
【0041】
例示的な実施形態では、物品は、物品のその部分が加熱領域内にあるとき、喫煙材を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。
【0042】
例示的な実施形態では、本システムの装置は本発明の第2の態様の装置である。本システムの装置は、本発明の第1の態様の装置の例示的な各実施形態に含まれている上記の特徴のうちのいずれか1つ以上を有することができる。
【0043】
例示的な実施形態では、本システムの装置は、本発明の第3の態様の装置である。本システムの装置は、本発明の第2の態様の装置の例示的な各実施形態に含まれている上記の特徴のうちのいずれか1つ以上を有することができる。
【0044】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための物品の例の概略斜視図である。
図2図1の物品の概略断面図である。
図3図2の概略断面図に対して90度の角度から見た図1の物品の別の概略断面図である。
図4】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略斜視図である。
図5】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するための別の物品の例の概略斜視図である。
図6】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置の例の一部分の概略斜視図である。
図7】喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための別の装置の例の一部分で、部分的に分解した状態の概略斜視図である。
図8】部分的に分解した状態の図7の装置の一部分の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。「喫煙材」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでいてもよい。喫煙材は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生喫煙材、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊などの形態とすることが可能である。「喫煙材」は、他に非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まないでもよい。「喫煙材」は、1つ以上の保湿剤、例えばグリセロール又はプロピレングリコール、を含んでいてもよい。
【0047】
本書では、用語「加熱材」又は「ヒーター材」は、変動磁場の侵入によって加熱可能な材料を指す。
【0048】
本書では、用語「香料」及び「香味料」は、成人消費者用の製品において所望の味又は香りを生成するために(現地の規制によって許可される場合に)使用することができる材料を指す。これらの材料は、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油など)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤若しくは感覚受容体部位刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加物(例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤)を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成材料又は天然材料、或いはこれらの混合物であってもよい。これらは、油、液体、ゲル、粉末など、任意の適切な形態であってもよい。
【0049】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0050】
サセプタが閉回路の形態のときは、使用時におけるサセプタと電磁石との磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0051】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じたもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0052】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0053】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0054】
図1、2、及び3を参照すると、本発明の実施形態による物品の例の概略斜視図、及び互いに対して90度の角度から見た2つの概略断面図が示されている。この実施形態では、物品1は、喫煙材10と基板20とを備え、喫煙材10の塊は基板20に接して配置されている。物品1は、喫煙材10を燃焼させることなく喫煙材10を加熱して喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するためのものである。そのような装置の例を下記で説明する。
【0055】
物品1は外面を有し、外面は、使用時、この装置と接触することができる。物品1の外面は、長さLと、幅Wと、奥行きDとを有する。幅Wは、長さLに対して垂直である。奥行きDは、長さL及び幅Wのそれぞれに対して垂直である。この実施形態では、長さLは幅Wより長く、幅Wは奥行きDより広い。この実施形態では、物品1の外面は直方体であり、その結果、物品1は、実質的に矩形の断面を有して細長い。しかしながら、他の実施形態では、長さLは幅Wと等しくてもよく、又は実質的に等しくてもよく、その結果、物品1はこのように細長くはない。いくつかのこのような実施形態では、物品1の外面は立方体とすることができる。いくつかの実施形態では、物品1の外面は、直平行六面体以外とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、物品1の外面の縁のいくつか、又はすべては、面取りする又は丸みをつけることができる。いくつかの実施形態では、物品1は、楕円の断面など、実質的に矩形の断面以外を有することができる。
【0056】
喫煙材10の塊は、物品1の外面に対して固定される。この実施形態では、喫煙材10の塊は、物品1の外面のすべてを画定する。他の実施形態では、その代わりに、物品1の外面のいくらか、又はすべては、喫煙材10の周りを少なくとも部分的に延在することができるカバーなどの喫煙材10の塊以外の物品1の構成部品によって画定されてもよい。このようなカバーは、例えば、紙、厚紙、ボール紙、又はプラスチック材料などで作ることができる。このようなカバーは、透過性がある、又はそれを貫通する隙間があることが好ましい。カバーは、例えば、織物材料又は不織布材料で作ることができる。
【0057】
この実施形態では、基板20は、喫煙材10を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。このような加熱材の例は下記で説明される。この実施形態では、基板20は喫煙材10の塊の中にある。より詳細には、この実施形態では、基板20は全体が喫煙材10の塊によって包まれる、又は取り囲まれる。したがって、使用時に加熱材が変動磁場によって加熱されると、加熱材から分散した熱は喫煙材10の塊を加熱する。
【0058】
この実施形態では、基板20は、喫煙材10の塊の長手方向の両端、及び喫煙材10の塊の横方向の両側の両方から離間している。これは、基板20で発生した熱を喫煙材に効率的に伝達することを確実にする助けとなり得る。しかしながら、他の実施形態では、基板20は、喫煙材10の塊の長手方向の両端の一方だけに又は両方に、並びに/或いは、喫煙材10の塊の横方向の両側の一方だけに又は両方に延在してもよい。これは、使用時に喫煙材10をさらにより均一に加熱する助けとなり得る。図5を参照して下記で説明するように、いくつかの実施形態では、基板20の一部分は、物品1の外面の一部分を形成するように、喫煙材10の塊の長手方向端などの端を超えて突出することができる。下記でより詳細に説明するように、基板20のその部分は、物品1が使用可能な装置の温度監視器によって接触可能とすることができる。基板20のその部分は、加熱材を備える、又は加熱材よりなることができる。
【0059】
図4を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略斜視図が示されている。この実施形態の物品2は、喫煙材10の塊に対する基板20の形態及び配置を除いて、図1~3の物品1と同一である。図1~3の物品1に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、図4の物品2に対してなされて個別の各実施形態を形成することができる。物品2は、下記の装置の例の1つなど、喫煙材10を燃焼させることなく喫煙材10を加熱して喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するためのものである。
【0060】
物品2の外面は、この場合も、長さLと、幅Wと、奥行きDとを有する。幅Wは、長さLに垂直で、奥行きDは、長さL及び幅Wのそれぞれに垂直である。この実施形態では、長さLは幅Wより長く、幅Wは奥行きDより広い。この実施形態では、物品2の外面は直方体であり、その結果、物品2は、実質的に矩形の断面を有して細長い。しかしながら、上記のように、図1~3の物品1に対する上記の可能な変形のいずれも、図4の物品2に対してなされて個別の各実施形態を形成することができる。
【0061】
喫煙材10の塊は、物品2の外面に対して固定される。しかしながら、図1~3の物品1とは対照的に、この実施形態では、喫煙材10の塊は、物品2の外面の一部分しか画定しない。基板20が、物品2の外面の別の部分を画定する。この実施形態では、物品2の外面は、喫煙材10の塊と基板20とを組み合わせたものによって画定される。しかしながら、他の実施形態では、その代わりに、物品2の外面のいくらか、又はすべては、喫煙材10の周りを少なくとも部分的に延在することができるカバーなど、喫煙材10の塊又は基板20以外の物品2の構成部品によって画定されてもよい。このようなカバーは、例えば、紙、厚紙、ボール紙、又はプラスチック材料などで作ることができる。
【0062】
この実施形態では、基板20の加熱材は喫煙材10と接触している。しかしながら、図1~3に示した配置に対して、この実施形態では、基板20は、喫煙材10の塊の中にはない。その代わり、喫煙材10の塊は、基板20の1つの面に接して配置される。したがって、物品2は、基板20を喫煙材10で覆う工程を含まずに製造することができ、製造を簡単にすることができる。
【0063】
この実施形態では、基板20の加熱材は、喫煙材10の塊の長手方向の両端に延在する。これは、使用時に喫煙材10をより均一に加熱する助けとなり得、また、物品2を製造しやすくすることができる。例えば、物品2は、基板上に喫煙材を備えたより細長い又はより大きな組立体から物品2を切り取ることによって形成することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、基板20の一部分は、物品2の外面の一部分を形成するように、喫煙材10の塊の長手方向端などの端を超えて突出することができる。下記でより詳細に説明するように、基板20の突出部分は、物品2が使用可能な装置の温度監視器によって接触可能とすることができる。基板20の突出部分は、加熱材を備える、又は加熱材よりなることができる。
【0064】
図5を参照すると、本発明の実施形態による別の物品の例の概略斜視図が示されている。この実施形態の物品3は、喫煙材10の塊に対する物品3の外面の形態、及び基板20の形態を除いて、図1~3の物品1と同一である。図1~4の物品1、2に対して本書で説明した可能な変形のいずれも、図5の物品3に対してなされて個別の各実施形態を形成することができる。物品3は、下記の装置の例の1つなど、喫煙材10を燃焼させることなく喫煙材10を加熱して喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用するためのものである。
【0065】
この実施形態では、物品3の外面は、この場合も、長さLと、幅Wと、奥行きDとを有する。幅Wは、長さLに垂直で、奥行きDは、長さL及び幅Wのそれぞれに垂直である。この実施形態では、長さLは幅Wより長く、幅Wは奥行きDより広い。この実施形態では、物品3の外面は、物品3の長さLの方向に走る物品3の細長い縁に丸みがついていることを除けば、直方体である。したがって、物品3は、実質的に丸みのついた矩形の断面を有して細長い。この実施形態に対する変形では、その代わりに、湾曲した縁は、傾斜した又は直角の縁とすることができる。いくつかの実施形態では、長さLは幅Wと等しくてもよく、又は実質的に等しくてもよく、その結果、物品3はこのように細長くはない。いくつかの実施形態では、物品3は、実質的に矩形の断面又は楕円の断面など、丸みのついた矩形の断面以外を有してもよい。
【0066】
喫煙材10の塊は、物品2の外面に対して固定される。しかしながら、図4の物品2とは対照的に、この実施形態では、喫煙材10の塊は、物品3の外面の小さな部分しか画定しない。同様に、基板20は物品3の外面の小さな部分しか画定しない。その代わりに、物品3の外面の大部分は、物品3のカバー30によって画定される。カバー30は、例えば、紙、厚紙、ボール紙、又はプラスチック材料などで作ることができる。
【0067】
この実施形態では、図1~3の物品1とは対照的に、基板20の一部分は、喫煙材10の塊の端を超えて突出する。この実施形態では、この端は喫煙材10の塊の長手方向端である。この実施形態では、基板20のその部分は、物品3の外面の一部分を形成する。下記でより詳細に説明するように、基板20のその部分は、物品3が使用可能な装置の温度監視器によって接触可能とすることができる。基板20のその部分は、加熱材を備える、又は加熱材よりなることができる。
【0068】
この実施形態では、カバー30は喫煙材10を取り囲み、その結果、喫煙材10はカバー30の中にある。いくつかの実施形態では、カバー30はまた、上記の基板20の突出部分の反対側の物品3の長手方向端を覆うことができる。この実施形態では、基板20のほとんど又はすべては、カバー30と接触しない。これは、使用時、基板20が加熱されているときにカバー30が焼けるのを避ける、又は少なくする助けとなり得る。しかしながら、他の実施形態では、基板20はカバー30と接触してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、上記のカバー30のいずれか1つは断熱材を備えることができる。断熱材は、エアロゲル、真空断熱材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙又は厚紙、及び波形の紙又は厚紙などの波形の材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。断熱材は、これに加えて又はこれに代えて、空隙を含むことができる。このような断熱材は、装置の構成部品への熱損失を防ぐ助けとなり得、また、カバー30内の喫煙材10の加熱効率を高める助けとなり得る。いくつかの実施形態では、断熱材は、0.5ミリメートルまでの厚さなど、1ミリメートルまでの厚さを有することができる。
【0070】
図1~5に示す物品1、2、3のそれぞれでは、基板20は、喫煙材10を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。図示の実施形態のそれぞれでは、基板20は、全体又は実質的に全体が加熱材からなる。しかしながら、他の実施形態ではこのようにする必要はない。上記の実施形態のそれぞれでは、加熱材はアルミニウムである。しかしながら、他の実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含んでもよい。加熱材は金属又は金属合金を含むことができる。加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。他の実施形態では、他の(1つ以上の)材料を使用することができる。加熱材として磁性導電材料を用いると、使用時、基板20と装置の電磁石との間の磁気結合を強くすることができることが分かっている。これは、磁気ヒステリシス加熱を潜在的に可能にすることに加えて、加熱材のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材10の加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0071】
図1~5に示した物品1、2、3のそれぞれでは、基板20の加熱材は喫煙材10と接触している。したがって、加熱材が変動磁場の侵入によって加熱されると、熱を加熱材から直接喫煙材10に伝達することができる。他の実施形態では、加熱材は喫煙材10と接触しないようにしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、物品1、2、3は、加熱材がなく、基板20を喫煙材10から離間する熱伝導遮蔽物を備えることができる。いくつかの実施形態では、熱伝導遮蔽物は、基板20のコーティングとすることができる。このような遮蔽物を設けると、熱を分散して加熱材の過熱点を緩和する助けとなるのに有利となり得る。
【0072】
図1~5に示す物品1、2、3のそれぞれでは、基板20は、長さSLと、幅SWと、奥行きSDとを有する。幅SWは、長さSLに垂直である。奥行きSDは、長さSL及び幅SWのそれぞれに垂直である。図示の実施形態では、長さSLは幅SWより長く、幅SWは奥行きSDより広い。しかしながら、いくつかの実施形態では、長さSLは幅SWと等しくてもよい、又は実質的に等しくてもよい。
【0073】
したがって、図1~5に示した物品1、2、3のそれぞれでは、基板20は、2つの小さな面によって接合された対向する2つの大きな面を有する。したがって、基板20の奥行きSD又は厚さは、基板20の他の寸法に比べると比較的浅い。これは、基板20で発生した熱を喫煙材に効率的に伝達することを確実にする助けとなり得る。この実施形態では、基板20は、その長さSLに垂直な矩形又は実質的に矩形の断面を有する。しかしながら、他の実施形態では、基板20は、円形、楕円形、環状、多角形、方形、三角形、星形、又は放射状フィンなど、矩形以外の形状の断面を有することができる。
【0074】
図示の実施形態のそれぞれでは、基板20の長さSL、幅SW、及び奥行きSDは、物品1、2、3の外面の長さL、幅W、及び奥行きDにそれぞれ実質的に平行である。さらに、図示の実施形態のそれぞれでは、基板20は、物品1、2、3の長手方向軸と実質的に揃えられた長手方向軸に沿って延在している。これは、使用時に喫煙材10をよりより均一に加熱する助けとなり得る。図1~3及び5の物品1、3では、これらの揃えられた軸は一致する。これらの実施形態の変形では、図4の物品2の場合と同様、揃えられた軸は互いに平行とすることができる。しかしながら、他の実施形態では、これらの軸は互いに傾けることができる、又は、基板20及び物品1、2、3の一方又は両方は長手方向軸を有さなくてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、基板20は、5ミリメートルより浅い奥行きSDを有する。いくつかの実施形態では、基板20は、2ミリメートルより浅い奥行きSDを有する。いくつかの実施形態では、基板20は、0.3ミリメートルなど、0.1と0.6ミリメートルとの間の奥行きSDを有する。
【0076】
図示の実施形態のそれぞれでは、基板20は空気又は揮発材に対して透過性がなく、また、実質的に切れ目がない。したがって、基板20は比較的容易に製造することができる。しかしながら、これらの実施形態の変形では、基板20は、空気に対して透過性があってもよく、及び/又は、喫煙材10が加熱されたときに生成される揮発材に対して透過性があってもよい。基板20のこのような透過性は、物品1、2、3を通過する空気が、喫煙材10が加熱されたときに生成される揮発材を受け取る助けとなり得る。いくつかの実施形態では、基板20のこのような透過性はまた、基板20の端部への望ましくない熱経路を妨げるように働くことができ、その場合には、喫煙材10をそれほど加熱しなくても熱が物品1、2、3から漏れる可能性がある。
【0077】
図1~5に示す物品1、2、3のそれぞれでは、基板20の断面は基板20の長さに沿って一定である。さらに、これらの実施形態では、基板20は平面状、又は実質的に平面状である。これらの実施形態のそれぞれの基板20は、平坦な帯板と考えることができる。しかしながら、他の実施形態ではその限りではない。
【0078】
例えば、いくつかの実施形態では、基板20は、波状の経路又は波打った経路を辿ってもよい。この経路は正弦波経路とすることができる。いくつかの実施形態では、基板20はねじれていてもよい。いくつかの実施形態では、基板20は、物品1、2、3の長手方向軸と一致する長手方向軸の周りにねじれていると考えられる。いくつかの実施形態では、基板20はひだ状であってもよい。いくつかのこのような実施形態では、基板20は、物品1、2、3の長手方向軸と一致する長手方向軸を辿っていると考えられる。
【0079】
このような基板20の非平面状の形状は、物品1、2、3を通過する空気が、喫煙材10が加熱されたときに生成される揮発材を受け取る助けとなり得る。非平面状の形状によって、空気は曲がりくねった経路を辿り、空気に乱流が生じ、加熱材から喫煙材10への熱伝達がより良くなり得る。非平面状の形状はまた、基板20の単位長さ当たりの基板20の表面積を増大させ得る。この結果、基板20のジュール加熱が増大し、又は改善され、したがって、喫煙材10の加熱が増大し、又は改善され得る。
【0080】
他の実施形態の非平面状の基板20は、上記の形状以外の形状を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、基板20は、螺旋形、渦巻形でもよく、上に突起及び/又は中にぎざぎざを有する板又は片又はリボンを備えてもよく、網を備えてもよく、展伸金物を備えてもよく、或いは、非一様で非平面状の形状を有してもよい。
【0081】
上記の実施形態のそれぞれでは、喫煙材10の塊は物品1、2、3の外面に対して固定されていると言える。しかしながら、他の実施形態では、喫煙材10の塊は、物品1、2、3の外面に対して少なくともある程度、移動可能とすることができる。
【0082】
図1~5に示す物品1、2、3のそれぞれでは、喫煙材10の塊は、第1、第2、及び第3の領域10a、10b、10cを備える(図5又は、図2及び3には明確には示されていない)。これらの領域10a、10b、10cにある少なくとも1つの喫煙材10は、これらの領域10a、10b、10cの他の少なくとも1つの喫煙材10の形態又は化学組成とはそれぞれ異なる形態又は化学組成を有する。いくつかの実施形態では、これらの領域10a、10b、10cの少なくとも1つの喫煙材は、これらの領域10a、10b、10cの他の少なくとも1つの喫煙材よりも急速に加熱可能となるような形態又は化学組成を有する。例えば、領域10a、10b、10cは、それぞれ異なる喫煙材の粒子の平均サイズを有することができる。いくつかの実施形態では、化学組成の違いは、水分、グリセロールなどの蒸気形成剤、又は香味料などの煙改質物質の重量の違いを含むことができる。異なる領域10a、10b、10cに異なる量の水分、煙改質物質、又は香味料を与えることによって、いくつかの実施形態では、使用者が吸入する発生蒸気の香味を変えることができる。この効果は、物品1、2、3とともに使用される装置が、異なる領域10a、10b、10cを別々に及び/又は独立に加熱できることによって可能になる、又は強化することができる。
【0083】
図示の物品1、2、3では、領域10a、10b、10cは、物品1、2、3の長さL方向に相対的に配置されているが、他の実施形態では、領域10a、10b、10cは、物品1、2、3の幅W又は奥行きDの方向に沿って相対的に配置されてもよい。図1、4、及び5のそれぞれには3つの領域10a、10b、10cが示されているが、他の実施形態では、2つ又は3つより多くこのような領域があってもよい。いくつかの実施形態では、喫煙材10の塊のすべては、実質的に一定の形態及び/又は化学組成のものである。
【0084】
いくつかの実施形態では、物品1、2、3の外面の奥行きDは、物品1、2、3の外面の幅Wの半分より浅くすることができる。図1~5に示す物品1、2、3のそれぞれでは、物品1、2、3の外面の奥行きDは、物品1、2、3の外面の幅Wの四分の一より浅い。しかしながら、他の実施形態では、奥行きDは幅Wの半分より深くてもよい。幅Wに対して奥行きDが浅ければ浅いほど、物品1、2、3の所与の体積に対する物品1、2、3の外面の表面積は大きくなる。この結果、使用時、喫煙材10の加熱が増大し、又は改善され得、及び/又は、喫煙材10が加熱されたときに生成される揮発材の物品1、2、3からの放出がより増大する、より容易になる、又は改善され得る。
【0085】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、基板20の第1の部分は、基板20の第2の部分よりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすくすることができる。基板20の第1の部分が第1の材料で作られ、基板20の第2の部分が異なる第2の材料で作られ、第1の材料が第2の材料よりもその中に誘導される渦電流の影響の受けやすさが高い結果、基板20の第1の部分は影響をより受けやすくすることができる。例えば、第1の部分及び第2の部分のうちの一方を鉄で作り、第1の部分及び第2の部分のうちの他方をグラファイトで作ることができる。これに代えて又はこれに加えて、基板20の第1の部分が基板20の第2の部分と異なる厚さを有する結果、基板20の第1の部分は影響をより受けやすくすることができる。いくつかの実施形態では、このような第1及び第2の部分は、物品1、2、3又は基板20の長手方向に互いに隣接して配置されるが、他の実施形態ではこのようにする必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、第1及び第2の部分は、物品1、2、3又は基板20の長手方向に垂直な方向に互いに隣接して配置することができる。
【0086】
基板20の、その中に誘導される渦電流の影響の受けやすさをこのように変えることは、喫煙材10を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。例えば、影響の受けやすさがより高い部分は、喫煙材10の第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材10の第1の領域で、喫煙材10の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。影響の受けやすさがより低い部分は、喫煙材10の第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材10の第2の領域で、喫煙材10の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成されることができ、喫煙材10の第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気が形成され続けることができる。喫煙材10の揮発可能な成分を使い尽くすと、喫煙材10の第1の領域は蒸気の生成を終えることができる。
【0087】
他の実施形態では、基板20のすべてが、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を等しく又は実質的に等しく受けやすくすることができる。いくつかの実施形態では、基板20はこのような渦電流の影響を受けやすくすることができない。そのような実施形態では、加熱材は非導電性の磁性材料の場合があり、したがって、上記の磁気ヒステリシスプロセスによって加熱可能とすることができる。
【0088】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、複数の物品1、2、3は積層体に配置することができる。物品は互いに接着されて積層体にすることができる。積層体の物品1、2、3のそれぞれは、積層体の物品1、2、3のそれぞれ他のものと同一とすることができる。或いは、積層体の物品1、2、3の1つ以上は、積層体の物品1、2、3の1つ以上の他のものと構造が異なってもよい。例えば、積層体の物品の任意の1つ以上は、上記の物品1、2、3の1つであってもよく、積層体の物品の1つ以上の他のものは、上記の物品1、2、3の1つと異なってもよい。そのとき、喫煙材を加熱材の2つの物体間に挟むことができる。
【0089】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、物品1、2、3は、喫煙材10の塊の中に複数の基板20を備えることができ、基板20のそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。複数の基板20の少なくとも1つは、複数の基板20の他の基板20の少なくとも1つよりも、変動磁場の侵入によってその中に誘導される渦電流の影響を受けやすくすることができる。これは、例えば、上記のように、異なる加熱材で作られた基板20、及び/又は異なる厚さを有する基板20によって行うことができる。この場合もまた、上記の態様に対応して、基板20の影響の受けやすさをこのように変えることは、喫煙材10を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。複数の基板20は同一面上とすることができる。
【0090】
基板20が加熱材を備えるいくつかの実施形態では、物品1、2、3は、基板20の少なくとも一部分に触媒材料を備えることができる。触媒材料は、基板20上のコーティングの形態を採ることができる。触媒材料は、基板20の(1つ以上の)表面のすべてに、又は基板20の(1つ以上の)表面のいくつかだけに設けることができる。このような触媒材料を基板20上に設けることは、使用時、物品1、2、3が、加熱された化学的に活性な表面を有することができることを意味する。使用時、触媒材料は、潜在的な刺激物を刺激性のより少ないものに変換する、又はその変換率を上げるように働くことができる。
【0091】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、基板20には加熱材がなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、物品1、2、3全体に加熱材がなくてもよい。いくつかのこのような物品は、喫煙材10を燃焼させることなく喫煙材10を加熱して喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用可能とすることができ、この装置自体は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。基板20は、物品1、2、3が十分な程度の構造及び/又は強さとなる1つ以上の材料を備えることが好ましい。
【0092】
いくつかの実施形態では、基板20はタバコなどの喫煙材を備えることができる。いくつかの実施形態では、基板20は、全体又は実質的に全体が、例えばタバコ、再生タバコなどの再生喫煙材などの喫煙材を備えることができる、又は喫煙材から構成することができる。再生タバコはときどき、「タバコレコン(tobacco recon)」と呼ばれる。再生喫煙材の厚さ及び構成に応じて、物品1、2、3全体の大部分又はすべては、全体又は実質的に全体が喫煙材からなるものであってもよい。
【0093】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、基板20を省略することができる。すなわち、物品1、2、3には基板がなくてもよい。いくつかのこのような実施形態では、全体又は実質的に全体が喫煙材10の塊からなるものとすることができる。しかしながら、適切な結合剤が、喫煙材10の塊をその形状に保持させるために必要とされてもよい。喫煙材10の塊は、所望の最終形状と思われるまで、例えば、喫煙材10を圧縮することを含む工程によって形成することができる。
【0094】
上記の実施形態に対するそれぞれの変形とすることができるいくつかの実施形態では、物品1、2、3は、喫煙材10の塊と流体連通する通路を画定する吸い口を備えることができる。吸い口は、プラスチック材、厚紙、酢酸セルロース、紙、金属、ガラス、セラミック、又はゴムなどの任意の適切な材料で作ることができる。使用時、喫煙材10が加熱されると、喫煙材10の揮発した成分を、使用者は容易に吸引することができる。物品が消耗品である実施形態では、物品の喫煙材10の(1つ以上の)揮発成分のすべて又は実質的にすべてが消費されると、使用者は、吸い口を物品の残りとともに処分することができる。これは、複数の物品で同じ吸い口を使用するよりも衛生的となり得、吸い口が確実に喫煙材と正しく位置合わせされる助けとなり得、使用者が別の物品を使用することを望むたびに清潔で新しい吸い口を使用者に提供する。吸い口は、これを設ける場合、香味料を備える、又は含浸することができる。香味料は、使用時、蒸気が吸い口の通路を通過するときに加熱された蒸気によって受け取られるように配置することができる。
【0095】
上記の物品1、2、3及びそれらの上記の変形のそれぞれは、少なくとも、「平坦」と考えられる物品の外面の形状によって、製造上の著しい利点を提供する。例えば、これらの形状は、それぞれ、様々な厚さ、厚さの許容誤差、並びに熱的、化学的、及び機械的特性を有する様々な利用可能な材料を使用することに対して適応することができる。さらに、これらの形状は、喫煙材が確実に加熱材に接近又は接触して配置される助けとなり得、その結果、熱伝導率は比較的高くなる。これは、温度の上昇時間を短縮して、温度の制御応答性を向上させる助けとなり得る。
【0096】
上記の物品1、2、3及びそれらの上記の変形のそれぞれは、喫煙材10を加熱して喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置とともに使用可能である。本装置は、喫煙材10を燃焼させることなく喫煙材10を加熱して喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるためのものとすることができる。(1つ以上の)物品1、2、3のいずれか1つと、このような装置とをシステムとして一緒に提供してもよい。システムは、物品1、2、3が装置とは別個のものであるキットの形態を採ってもよい。これに代えて、システムは、物品1、2、3が装置と組み合わされている組立体の形態を採ってもよい。次に、このような装置の例を、図6~8を参照して説明する。
【0097】
図6を参照すると、本発明の実施形態による、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置の例の概略断面図が示されている。この実施形態の装置100は、図1~5を参照して上記で説明した物品1、2、3及びそれらの変形とともに使用可能である。大まかに言うと、装置100は、第1の本体111と、第2の本体112と、喫煙材10を備える物品1、2、3の少なくとも一部分を受け入れるための、第1の本体111と第2の本体との間の加熱領域114とを備える。
【0098】
第1の本体111は、加熱領域114を圧縮するように第2の本体112に対して移動可能である。すなわち、この移動によって加熱領域114の容積が変わる。この実施形態では、第1の本体111は、第2の本体112に対して回転可能である。しかしながら、他の実施形態では、この移動は、並進、並進と回転との組合せ、不規則な移動などとすることができる。この実施形態では、第1の本体111を第2の本体112に対して第1の方向に動かすと加熱領域114の容積が減少するが、第1の本体111を第2の本体112に対して第2の方向に動かすと加熱領域114の容積が増大する。
【0099】
いくつかの実施形態では、物品1、2、3が加熱領域114に配置されると、第1の本体111を第2の本体112に対してこのように動かすと物品1、2、3が圧縮される。物品1、2、3をこのように圧縮すると、喫煙材10を圧縮することができ、その結果、喫煙材10の熱伝導率を上げることができる。言い換えると、喫煙材10を圧縮すると、物品1、2、3内の熱伝達をより高くすることができる。このような圧縮は、物品1、2、3を破壊するほど強くすべきではなく、又は、使用者が物品1、2、3から揮発材を引き込むことができないほど強くすべきではない。
【0100】
この実施形態では、装置100は磁場発生器120を備え、この磁場発生器120は、物品1、2、3が加熱領域114に配置されると、物品1、2、3の喫煙材を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるためのものである。この実施形態では、磁場発生器120は、電源121と、2つの導電性コイル122a、122bと、コイル122a、122bのそれぞれに交流電流などの変動電流を流すためのデバイス123と、制御器124と、制御器124を使用者が操作するためのユーザインターフェース125とを備える。
【0101】
第1の本体111は、2つの導電性コイルのうちの第1のコイル122aと、第1の導電性コイル122aが支持される第1の支持部130aと、1つ以上の空気流通路142aを画定する第1の非導電性部材140aと、第1のヒーター110aとを備える。第1の部材140aは、第1の導電性コイル122aと第1のヒーター110aとの間に配置される。同様に、第2の本体112は、2つの導電性コイルのうちの第2のコイル122bと、第2の導電性コイル122bが支持される第2の支持部130bと、1つ以上の空気流通路142bを画定する第2の非導電性部材140bと、第2のヒーター110bとを備える。第2の部材140bは、第2の導電性コイル122bと第2のヒーター110bとの間に配置される。この実施形態では、第1及び第2のヒーター110a、110bは加熱領域114を画定する。しかしながら、他の実施形態では、その代わりに又はそれに加えて、装置100の他の部分が加熱領域114を画定してもよい。
【0102】
この実施形態では、第1及び第2のヒーター110a、110bのそれぞれは、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を備える。加熱材は上記の加熱材の1つ以上を含むことができる。より詳細には、図6には示されていないが、この実施形態では、第1及び第2のヒーター110a、110bのそれぞれは加熱材の複数の閉回路を画定する。閉回路は、使用時、加熱領域114を加熱するために加熱可能である。閉回路を使用すると、使用時、第1及び第2のヒーター110a、110bと第1及び第2のコイル122a、122bとの間の磁気結合をそれぞれ強くし、それは、第1及び第2のヒーター110a、110bのジュール加熱を増大させる、又は改善することができることが分かっている。いくつかの実施形態では、第1及び第2のヒーター110a、110bの1つ又はそれぞれは、加熱材の閉回路を1つだけ画定することができる。第1及び第2のヒーター110a、110bのそれぞれが磁性非導電材料で作られている実施形態などの他の実施形態では、第1及び第2のヒーター110a、110bは閉回路を1つも画定しなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1及び第2のヒーター110a、110bの1つ又はそれぞれは、加熱材の板又は加熱材の複数の分離した領域を備えることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の本体111、112のうちの1つの本体のコイル122aのインピーダンスは、第1及び第2の本体111、112のうちのその1つの本体のヒーター110a、110bのインピーダンスと等しい、又は実質的に等しい。インピーダンスを一致させると、使用中の加熱時に、ヒーター110a、110bに発生する加熱電力を最大にするために電圧と電流とのバランスをとる助けとなり得る。
【0104】
この実施形態では、交流電流又は変動電流をコイル122a、122bのそれぞれに流すためのデバイス123は、電源121とコイル122a、122bのそれぞれとの間に電気的に接続される(ただし、図6では、分かりやすくするために、第1の本体111のコイル122aとの電気接続のみ示している)。この実施形態では、制御器124もまた、電源121に電気的に接続され、デバイス123に通信可能に接続される。制御器124は、装置100による加熱を生じさせ、制御するためのものである。より詳細には、この実施形態では、制御器124はデバイス123を制御して、電源121からコイル122a、122bへの電力の供給を制御するためのものである。この実施形態では、制御器124は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)上の集積回路(IC:integrated circuit)などのICを備える。他の実施形態では、制御器124は異なる形態を採ることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、デバイス123及び制御器124を備える単一の電気又は電子構成部品を有することができる。この実施形態では、制御器124は、ユーザインターフェース125を使用者が操作することによって動作する。この実施形態では、ユーザインターフェース125は、装置100の外側に配置される。ユーザインターフェース125は、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーンなどを備えることができる。他の実施形態では、ユーザインターフェース125は遠隔にあって、ブルートゥース(Bluetooth)などによって装置の残りの部分に無線で接続することができる。
【0105】
この実施形態では、使用者がユーザインターフェース125を操作すると、制御器124は、デバイス123に、コイル122a、122bのそれぞれに交流電流を印加してコイル122a、122bにそれぞれ交流磁場を発生させる。第1のコイル122a及び第1のヒーター110aは、第1のコイル122aによって生成された交流磁場が第1のヒーター110aに侵入するように適切な相対位置に配置される。第1のヒーター110aの加熱材が導電性材料のとき、第1のヒーター110a内に1つ以上の渦電流を発生させることができる。渦電流が第1のヒーター110aの電気抵抗に抗して第1のヒーター110a内を流れると、第1のヒーター110aはジュール加熱によって加熱される。上記のように、第1のヒーター110aが磁性材料で作られているとき、第1のヒーター110a内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、第1のヒーター110a内に熱が生成される。同様に、この実施形態では、第2のコイル122b及び第2のヒーター110bは、第2のコイル122bによって生成された交流磁場が第2のヒーター110bに侵入するように適切な相対位置に配置される。
【0106】
いくつかの実施形態では、加熱材を備える第1及び第2のヒーター110a、110bの一方又は両方を装置100から省略することができる。このような実施形態では、装置100はそれでも変動磁場を発生させるための磁場発生器を備える。このような装置100は、図1~5を参照して上記で説明した物品1、2、3及びそれらの変形のうちの1つなどの物品とともに使用可能であり、この物品はそれ自体、使用時、内部の喫煙材10を加熱するためにヒーターとして働くことができる加熱材を備える。このような実施形態では、加熱領域114は、第1及び第2の本体111、112の他の部分によって画定されることになる。このような実施形態では、加熱領域114及びコイル122a、122bは、使用時、コイル122a、122bによって発生した変動磁場が、物品1、2、3が加熱領域114に配置されたときに物品1、2、3の加熱材が配置されことになる(1つ以上の)場所の加熱領域114に侵入するように相対的に配置することができる。物品1、2、3の加熱材が導電性材料のとき、物品1、2、3の加熱材内に渦電流を発生させることができる。このような渦電流が加熱材の電気抵抗に抗して流れると、加熱材はジュール加熱によって加熱される。物品1、2、3の加熱材が磁性材料で作られているとき、加熱材内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、加熱材内に熱が生成される。
【0107】
いくつかの実施形態では、装置100の(1つ以上の)ヒーター110a、110bの加熱材、又は物品1、2、3の加熱材は、その中に切れ目又は穴を備えることができる。このような切れ目又は穴は、使用時に喫煙材の異なる領域が加熱される度合いを制御するために熱断絶部として機能することができる。その中に切れ目又は穴を有する加熱材の領域は、切れ目又は穴のない領域よりも加熱される程度を低くすることができる。これは、喫煙材を漸進的に加熱し、したがって、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。
【0108】
図7及び8を参照すると、本発明の別の実施形態による、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための装置の例の各部分の概略斜視図が示されている。この実施形態の装置200は、図1~5を参照して上記で説明した物品1、2、3及びそれらの変形とともに使用可能である。大まかに言うと、装置200は、喫煙材10を備える物品1、2、3の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域114と、物品1、2、3のその部分が加熱領域114内にあるとき、喫煙材10を加熱するのに使用するために変動磁場を発生させるための磁場発生器120とを備える。図8には、図5の物品3が装置200の加熱領域114内に挿入されるのが示されている。しかしながら、他の実施形態では、図1~4に示した物品1、2の1つなどの異なる物品が装置200とともに使用されてもよい。
【0109】
装置200の加熱領域114は、長さHLと、長さHLに垂直な幅HWと、長さHL及び幅HWのそれぞれに垂直な奥行きHDとを有する。この実施形態では、長さHLは幅HWより長く、幅HWは奥行きHDより広く、その結果、加熱材114は細長い。しかしながら、他の実施形態では、長さHLは幅HWと等しくてもよく、又は実質的に等しくてもよく、その結果、加熱材114はこのように細長くない。いずれにしても、加熱領域114を、装置200とともに使用される物品1、2、3に対して同様な大きさ及び形状にすることによって、物品1、2、3と装置200との間をしまり嵌め又は滑り嵌めにすることができる。これは、装置200をたたいた場合に装置200に対して動くことによって物品1、2、3が損傷することを防ぐ助けとなり得る。それはまた、物品1、2、3、したがって、物品1、2、3の加熱材を確実に磁場発生器120に対して良好に配置する助けとなり得る。
【0110】
図7に最も良く示されているように、この実施形態では、装置200は、第1、第2、及び第3の本体111、112、113を備える。第2の本体112の第1の側112aは、一対の第1の要素151によって第1の本体111に取り付けられる。第2の本体112の第2の側112bは、一対の第2の要素152によって第3の本体113に取り付けられる。したがって、第2の本体112は、第1の本体111と第3の本体113との間にある。他の実施形態では、第1及び第2の要素151、152のそれぞれのうち1つだけを設けてもよい。この実施形態では、第1及び第2の要素151、152は可撓性があり、したがって、第1、第2、及び第3の本体111、112、113は、それらを一緒に接続する要素151、152の可撓性によって互いに対して動くことができる。第1及び第2の要素151、152は、第1及び第3の本体111、113のそれぞれに対して第2の本体を回転させるように折りたたむことができる。図8に示すように、この実施形態では、第1及び第3の本体111、113は、第2の本体112が第1の本体111と第3の本体113との間に挟まれるように、第2の本体112に対して動くことができる。この実施形態では、このような状態では、第1~第3の本体111、112、113は互いに実質的に平行である。他の実施形態では、第1及び第2の要素151、152は可撓性があるというよりは、ねじれることができてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1及び第2の要素151、152のそれぞれは蝶番を備えることができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2の要素151、152のそれぞれはあまりねじれることができなくてもよい。
【0111】
この実施形態では、磁場発生器120は、電源121と、2つの導電性コイル122a、122bと、コイル122a、122bのそれぞれに交流電流などの変動電流を流すためのデバイス123と、制御器124と、制御器124を使用者が操作するためのユーザインターフェース(図示せず)とを備える。
【0112】
この実施形態では、第1及び第2の本体111、112のそれぞれは、導電性コイル122a、122bをそれぞれ1つ備える。この実施形態では、コイル122a、122bのそれぞれは2次元導電性コイルであるが、他の実施形態では、コイル122a、122bの少なくとも1つは異なる形態を採ることができる。
【0113】
この実施形態では、第3の本体113は、デバイス123及び制御器124を備える。デバイス123及び制御器124は、図6の装置100のデバイス123及び制御器124に対する上記の形態のいずれかを採ることができる。第3の本体は、電気回路の少なくとも一部分を備えることができ、その電気回路は、デバイス123の一部分及び/又は制御器124の一部とすることができる。
【0114】
図6の実施形態と同様に、この実施形態では、交流電流又は変動電流をコイル122a、122bのそれぞれに流すためのデバイス123は、電源121とコイル122a、122bのそれぞれとの間に電気的に接続される。さらに、制御器124もまた、電源121に電気的に接続され、デバイス123に通信可能に接続される。磁場発生器120の第1~第3の本体111、112、113の構成部品間は、第1及び第2の要素151、152の1つ以上を通じて電気接続することができる。制御器124は、装置200による加熱を生じさせ、それを制御するためのものである。制御器124は、図6の装置100の制御器124に対する上記の形態のいずれかを採ることができる。いくつかの実施形態では、装置200は、デバイス123及び制御器124を備える単一の電気又は電子構成部品を有することができる。ユーザインターフェースは、図6の装置100のユーザインターフェース125に対する上記の形態のいずれかを採ることができる。
【0115】
この実施形態では、装置200が図8に示す状態のとき、加熱領域114は、第1の本体111と第2の本体112によって画定され、それらの間に配置される。この実施形態では、装置200が図8に示す状態のとき、断熱材115は、第2の本体112と第3の本体113との間に配置される。断熱材115は、エアロゲル、真空断熱材、綿、フリース、不織布材料、不織布フリース、織物材料、編物材料、ナイロン、発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエステルフィラメント、ポリプロピレン、ポリエステルとポリプロピレンとの混紡、酢酸セルロース、紙又は厚紙、及び波形の紙又は厚紙などの波形の材料からなる群から選択された1つ以上の材料を含むことができる。断熱材115は、これに加えて又はこれに代えて、空隙を含むことができる。このような断熱材115は、加熱領域114からデバイス123及び/又は制御器124などの装置200の電気構成部品への熱損失を防ぐ助けとなり得、加熱領域114内の喫煙材10加熱効率を高める助けとなり得る。いくつかの実施形態では、断熱材115を省略することができる。
【0116】
この実施形態では、装置200の上記の構成部品のすべては、装置200の外側ハウジング150内に入れられており、その結果、すべての構成部品の相対関係が維持される。
【0117】
この実施形態では、電源121は、加熱領域114から加熱領域114の奥行きHDに平行な方向にずらされている。これによって、電源121が、加熱領域141から加熱領域114の長さHL又は幅HWに平行な方向にずらされている代替の構成に比べて、ハウジング150又は装置200の外側寸法を比較的小さくすることができる。この実施形態では、電源121は、長さELと、長さELに垂直な幅EWと、長さEL及び幅EWのそれぞれに垂直な奥行きEDとを有する。長さELは幅EWより長く、幅EWは奥行きEDより広い。さらに、電源121の長さEL、幅EW、及び奥行きEDは、加熱領域114の長さHL、幅HW、及び奥行きHDにそれぞれ実質的に平行である。したがって、ハウジング150又は装置200の外側寸法は、電源121が加熱領域114と異なる形状の代替の構成に比べて、さらに小さくすることができる。しかしながら、他の実施形態では、電源121は、図示のものとは異なる形態を採ってもよく、及び/又は図示の場所とは違う場所に配置してもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、第3の本体113を省略することができる。いくつかのこのような実施形態では、デバイス123及び制御器124は、装置200とは違う場所、例えば、第2のコイル122bを支える主面とは反対側の第2の本体112の主面に配置される。
【0119】
この実施形態では、加熱領域114及びコイル122a、122bは、使用時、コイル122a、122bによって発生した変動磁場が、物品1、2、3が加熱領域114に配置されたときに物品1、2、3の加熱材が配置されことになる(1つ以上の)場所の加熱領域114に侵入するように、相対的に配置される。物品1、2、3の加熱材が導電性材料のとき、物品1、2、3の加熱材内に渦電流を発生させることができる。このような渦電流が加熱材の電気抵抗に抗して流れると、加熱材はジュール加熱によって加熱される。物品1、2、3の加熱材が磁性材料で作られているとき、加熱材内の磁気双極子の向きは印加された磁場の変化に応じて変化し、それによって、加熱材内に熱が生成される。
【0120】
上記の実施形態のそれぞれでは、コイル122a、122bのそれぞれは任意の適切な形態を採ることができる。図示の実施形態では、コイル122a、122bのそれぞれは、銅などの導電材料の2次元渦巻を備える。いくつかの実施形態では、磁場発生器120は、コイル122a、122bがそれぞれ巻かれた1つ以上の透磁性コアを備えることができる。これは、それぞれのコイル122a、122bによって生成される磁束を集中させて磁場をより強力にする助けとなり得る。例えば、その透磁性コア又はそれぞれの透磁性コアは鉄で作ることができる。いくつかの実施形態では、透磁性コアは、その関係するコイル122a、122bの長さに沿って部分的にだけ延在して、特定の領域のみに磁束を集中させることができる。
【0121】
上記の実施形態のそれぞれでは、第1及び第2の本体111、112のそれぞれは、磁場発生器120の導電性コイル122a、122bを備えるが、他の実施形態では、第1及び第2の本体111、112の1つだけがこのようなコイル122a、122bを備えてもよい。いくつかの実施形態では、磁場発生器120はコイル122a、122bを1つだけ備えることができる。
【0122】
上記の実施形態のそれぞれでは、電源121は充電式電池である。他の実施形態では、電源121は、例えば、非充電式電池、キャパシタ、電池-キャパシタハイブリッド、又は商用電源への接続部など、充電式電池以外とすることができる。
【0123】
上記の実施形態のそれぞれでは、装置100、200は、加熱領域114の温度を検知するための温度センサ126を含む。温度センサ126は、制御器124に通信可能に接続され、その結果、制御器124は加熱領域114の温度を監視することができる。いくつかの実施形態では、温度センサ126は、加熱領域114又は物品1、2、3を光学的に温度測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、物品1、2、3は、物品1、2、3の温度を検出するために抵抗温度検出器(RTD:resistance temperature detector)などの温度検出器を備えることができる。物品1、2、3は、温度検出器に電気接続などで接続された1つ以上の端子をさらに備えることができる。(1つ以上の)端子は、物品1、2、3が加熱領域114内にあるときに、装置100の温度モニタとの電気接続などの接続のためのものとすることができる。制御器124は温度モニタを備えることができる。したがって、装置100の温度モニタは、装置100とともに使用中の物品1、2、3の温度を測定することができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、物品1、2、3の加熱材の抵抗を適切にすることによって、加熱材の温度変化に対する応答は、物品1、2、3内の温度に関する情報を与えるには十分とすることができる。そのとき、装置100の温度センサは、物品1、2、3の加熱材を分析するためのプローブを備えることができる。
【0125】
いくつかの実施形態では、装置100、200の温度センサ126は、物品が加熱領域114内にあるとき、物品の加熱材と接触するためのものとすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、装置100、200の温度センサ126は、図5の物品3の基板20の突出部分と接触する熱電対を備えることができる。熱電対は、板ばねなどの弾力性のある要素によって物品と接触するように付勢することができる。
【0126】
上記の実施形態のそれぞれでは、制御器124は、加熱領域114の温度を所定の温度範囲内に確実に維持するために、温度センサ126又は温度検出器から受信された1つ以上の信号に基づいて、必要に応じて第1のコイル122a及び/又は第2のコイル122bに流す変動電流又は交流電流の特性をデバイス123に調節させることができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数とすることができる。使用時、加熱領域114内に配置された物品1、2、3の喫煙材10は、所定の温度範囲で、喫煙材10を燃焼させることなく喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるのに十分な加熱がなされる。したがって、制御器124、及び装置100、200は全体として、喫煙材10を加熱して、喫煙材10を燃焼させることなく喫煙材10の少なくとも1つの成分を揮発させるように構成される。いくつかの実施形態では、温度範囲は、約50℃~約300℃、例えば、約50℃と約250℃との間、約50℃と約150℃との間、約50℃と約120℃との間、約50℃と約100℃との間、約50℃と約80℃との間、又は約60℃と約70℃との間である。いくつかの実施形態では、温度範囲は約170℃と約220℃との間である。他の実施形態では、温度範囲は、この範囲以外であってもよい。いくつかの実施形態では、温度センサ126を省略することができる。
【0127】
いくつかの実施形態では、装置100、200又は物品1、2、3は、吸い口を備えることができる。このような実施形態では、物品1、2、3が加熱領域114に配置されると、使用者は、加熱領域114と流体連通している吸い口の通路を通して(1つ以上の)揮発成分を引き込むことによって喫煙材10の(1つ以上の)揮発成分を吸入することができる。図6の装置100では、(1つ以上の)揮発成分が物品1、2、3から出ると、空気は、装置100の外部から空気流通路142a、142bを経て加熱領域114内に引き込まれることができる。次いで、この空気は物品1、2、3に浸透し、使用者がもう一度吸い込むと、加熱領域114から吸い口の通路を経て出ることができる。このように空気が空気流通路142a、142bを通って流れると、第1及び第2のヒーター110a、100bによって発生した熱を第1及び第2のコイル122a、122b、並びに磁場発生器120の残りの部分から取り去る助けとなり得る。他の実施形態では、空気流通路142a、142bを省略することができ、空気を別の経路を経て加熱領域114内に引き込むことができる。
【0128】
装置100、200は、使用者に触覚フィードバックを与えることができる。このフィードバックは、加熱していることを示すことができる、又は、物品1、2、3の喫煙材10の揮発可能な(1つ以上の)成分が、元の量の所定の割合より多く消費されたことなどを示すようにタイマによってフィードバックを生じさせることができる。この触覚フィードバックは、コイル122a、122bの一方又は両方と加熱材との相互作用(すなわち、磁気的な応答)によって、導電性素子とコイル122a、122bの一方又は両方との相互作用によって、不平衡モータの回転によって、圧電素子に繰り返し電流を印加及び除去することによって、などで生じさせることができる。
【0129】
装置100、200が、図示のものなど、1つより多くのコイル122a、122bを備える実施形態では、複数のコイル122a、122bは、物品1、2、3の喫煙材10を漸進的に加熱し、以て、蒸気を漸進的に生成するように作動することができる。例えば、1つのコイル122aは、加熱材の第1の領域を比較的急速に加熱して、喫煙材10の第1の領域で、喫煙材10の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。別のコイル122bは、加熱材の第2の領域を比較的ゆっくり加熱して、喫煙材10の第2の領域で、喫煙材10の少なくとも1つの成分の揮発及び蒸気の形成を開始させることができる。したがって、蒸気は、使用者が吸入するために比較的迅速に形成することができ、喫煙材10の第1の領域が蒸気の生成を終えた後でさえ、使用者が引き続き吸入するためにその後も蒸気を形成し続けることができる。最初のうちは加熱されていない喫煙材10の第2の領域は、喫煙材10の第1の領域が加熱されている間、生成された蒸気の温度を下げるように、又は生成された蒸気をまろやかにするようにヒートシンクとして働くことができる。
【0130】
本発明の実施形態に使用される加熱材は、誘導電流及び/又は磁気双極子の誘導再配向のほとんどが生じる外側の領域である表皮深さを有することができる。加熱材を備える構成部品の厚さを比較的薄くすることによって、構成部品の他の寸法に比べて比較的長い奥行き又は厚さを有する構成部品の加熱材と比べると、所与の変動磁場によって加熱材のより大きな割合を加熱可能にすることができる。したがって、材料をより効率的に使用することになる。それはコストを削減する。
【0131】
いくつかの実施形態では、加熱材は、その中に切れ目又は穴を備えていてもよい。このような切れ目又は穴は、使用時に喫煙材10の異なる領域が加熱される度合いを制御するための熱断絶部として機能してもよい。加熱材のうち切れ目又は穴を有する領域は、切れ目又は穴のない領域よりも加熱される程度を低くすることができる。これは、喫煙材10を漸進的に加熱し、したがって、蒸気を漸進的に生成する助けとなり得る。一方、このような切れ目又は穴を使用して、使用時、複雑な渦電流の生成を最適化することができる。
【0132】
上記の実施形態の各々において、喫煙材10はタバコを含んでいる。しかしながら、これらの実施形態の各々の変形例では、喫煙材10は、タバコのみからなるものであってもよいし、ほぼ全体がタバコのみからなるものであってもよいし、タバコとタバコ以外の喫煙材とを含むものであってもよいし、タバコ以外の喫煙材を含むものであってもよいし、タバコを含まないものであってもよい。いくつかの実施形態では、喫煙材10は、蒸気又はエアロゾルの形成剤や、湿潤剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコール)を含んでいてもよい。
【0133】
本発明を使用する物品は、例えば、カートリッジとすることができる。
【0134】
上記の実施形態のそれぞれでは、物品1、2、3は消耗品である。物品1、2、3内の喫煙材10の(1つ以上の)揮発成分のすべて又は実質的にすべてが消費されると、使用者は物品1、2、3を装置から取り外して物品1、2、3を処分することができる。使用者は、引き続き、別の物品1、2、3で装置を再使用することができる。しかしながら、他のそれぞれの実施形態では、物品1、2、3は消耗品でないものとすることができ、喫煙材10の(1つ以上の)揮発可能な成分が消費されると、装置と物品1、2、3とを一緒に処分することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、上記の装置は、この装置とともに使用可能な物品1、2、3とは別個に販売され、供給され、又はその他の方法により提供される。しかしながら、いくつかの実施形態では、装置及び1つ以上の上記物品1、2、3を、キットや組立体などのシステムとして、場合によっては清掃器具などの追加の構成要素とともに一緒に提供してもよい。
【0136】
本発明は、本明細書で説明した物品のいずれか1つと、本明細書で説明した装置のいずれか1つとを備えるシステムとして実施することも可能である。ここで、磁場発生器によって生成される変動磁場の侵入による加熱のための加熱材(例えば、サセプタの形態のもの)は、装置自身が有する。装置の加熱材で発生した熱が物品に伝達されて、物品内の喫煙材を加熱する、又はさらに加熱することができる。いくつかの実施形態では、物品には加熱材がなくてもよく、その結果、物品の喫煙材は装置の加熱材から物品に伝わる熱によってのみ加熱される。
【0137】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例示している。これらの実施形態は、特許請求された発明を実施することが可能なものであり、また、喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも1つの成分を揮発させるための優れた装置、このような装置とともに使用するための優れた物品、並びにこのような装置及びこのような物品を備える優れたシステムを提供するものである。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、すべての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲などに開示される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、本開示の範囲や趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備え、それらのみから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。
【符号の説明】
【0138】
1、2、3…物品、10…喫煙材、100、200…装置、D…物品の外面の奥行き、L…物品の外面の長さ、W…物品の外面の幅。

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