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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】レーダートランシーバ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/35 20060101AFI20240814BHJP
   G01S 13/34 20060101ALN20240814BHJP
【FI】
G01S7/35
G01S13/34
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023193493
(22)【出願日】2023-11-14
(62)【分割の表示】P 2021526226の分割
【原出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2024023296
(43)【公開日】2024-02-21
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】62/760,312
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/680,647
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテシュ スリニヴァサン
(72)【発明者】
【氏名】スリーキラン サマラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジャヤ レンラタラ
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-516364(JP,A)
【文献】国際公開第2016/031108(WO,A1)
【文献】米国特許第05828955(US,A)
【文献】米国特許第05150128(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0327932(US,A1)
【文献】米国特許第08907842(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダートランシーバであって、
レシーバであって、
入力と出力とを有する低雑音増幅器と、
前記低雑音増幅器の出力に結合される第1の入力と、第2の入力と、出力とを有する第1のミキサと、
前記第1のミキサの出力に結合される入力と、第1の出力とを有する第1のベースバンドフィルタと、
前記第1のベースバンドフィルタの第1の出力に結合される入力と、出力とを有する第1の積分器と、
前記第1の積分器の出力に結合される制御入力と、前記第1のミキサの第2の入力に結合される出力とを有する位相シフタと、
を含む、前記レシーバを含む、レーダートランシーバ。
【請求項2】
請求項1に記載のレーダートランシーバであって、
前記位相シフタが信号入力を更に有し、
前記レーダートランシーバが、
前記位相シフタの信号入力に結合される出力を有する無線周波数シンセサイザーを更に含む、レーダートランシーバ。
【請求項3】
請求項1に記載のレーダートランシーバであって、
前記レシーバが、前記位相シフタの出力に結合される信号入力と、前記第1のミキサの第2の入力に結合される第1の出力と、第2の出力とを有するI/Q信号生成器を更に含む、レーダートランシーバ。
【請求項4】
請求項3に記載のレーダートランシーバであって、
前記I/Q信号生成器が第2の出力を更に有し、
前記レシーバが、
前記I/Q信号生成器の第2の出力に結合される第1の入力と、出力とを有する第2のミキサと、
前記第2のミキサの出力に結合される入力と、第1の出力とを有する第2のベースバンドフィルタと、
前記第2のベースバンドフィルタの第1の出力に結合される入力を有する第2の積分器と、
を更に含む、レーダートランシーバ。
【請求項5】
請求項1に記載のレーダートランシーバであって、
出力を有するトランスミッタ変調制御回路を含むトランスミッタを更に含み、
前記レシーバが、前記トランスミッタ変調制御回路の出力に結合される第1の入力と、前記第1の積分器の出力に結合される第2の入力と、前記位相シフタの制御入力に結合される出力とを有する加算回路を更に含む、レーダートランシーバ。
【請求項6】
請求項1に記載のレーダートランシーバであって、
前記位相シフタの出力が前記低雑音増幅器の入力に結合される、レーダートランシーバ。
【請求項7】
請求項1に記載のレーダートランシーバであって、
前記第1のベースバンドフィルタが第2の出力を更に有し、
前記レーダートランシーバが、
前記第1のベースバンドフィルタの第2の出力に結合される入力と、出力とを有するアナログ・デジタルコンバータと、
前記アナログ・デジタルコンバータの出力に結合される入力を有する直交位相シフト回路と、
を更に含む、レーダートランシーバ。
【請求項8】
レーダートランシーバであって、
レシーバであって、
出力を有する低雑音増幅器と、
前記低雑音増幅器の出力に結合される第1の入力と、出力とを有する第1のミキサと、
前記第1のミキサの出力に結合される入力と、第1の出力とを有する第1のベースバンドフィルタと、
前記第1のベースバンドフィルタの第1の出力に結合される入力と、出力とを有する第1の積分器と、
前記第1の積分器の出力に結合される制御入力を有する第1の位相シフタと、
を含む、前記レシーバを含む、レーダートランシーバ。
【請求項9】
請求項8に記載のレーダートランシーバであって、
前記第1の位相シフタが、無線周波数シンセサイザーの出力に結合される信号入力を更に有し、
前記レーダートランシーバが、
前記無線周波数シンセサイザーの出力に結合される信号入力と、出力とを有する第2の位相シフタと、
前記第2の位相シフタの出力に結合される入力を有する電力増幅器と、
を含むトランスミッタを更に含む、レーダートランシーバ。
【請求項10】
請求項8に記載のレーダートランシーバであって、
前記第1のミキサが第2の入力を更に有し、
前記レシーバが、前記第1の位相シフタの出力に結合される信号入力と、前記第1のミキサの第2の入力に結合される第1の出力とを有するI/Q信号生成を更に含む、レーダートランシーバ。
【請求項11】
請求項10に記載のレーダートランシーバであって、
前記I/Q信号生成器が第2の出力を更に有し、
前記レシーバが、
前記I/Q信号生成器の第2の出力に結合される入力と、出力とを有する第2のミキサと、
前記第2のミキサの出力に結合される入力と、出力とを有する第2のベースバンドフィルタと、
前記第2のベースバンドフィルタの出力に結合される入力を有する第2の積分器と、
を更に含む、レーダートランシーバ。
【請求項12】
請求項11に記載のレーダートランシーバであって、
前記第1のミキサが直交チャネルミキサであり、前記第2のミキサが同相チャネルミキサである、レーダートランシーバ。
【請求項13】
請求項8に記載のレーダートランシーバであって、
出力を有するトランスミッタ変調制御回路を含むトランスミッタを更に含み、
前記レシーバが、前記トランスミッタ変調制御回路の出力に結合される第1の入力と、前記第1の積分器の出力に結合される第2の入力と、前記第1の位相シフタの制御入力に結合される出力とを有する加算回路を更に含む、レーダートランシーバ。
【請求項14】
請求項8に記載のレーダートランシーバであって、
前記第1の位相シフタが、前記低雑音増幅器の入力に結合される出力を更に有する、レーダートランシーバ。
【請求項15】
請求項8に記載のレーダートランシーバであって、
前記第1のベースバンドフィルタが第2の出力を更に有し、
前記レーダートランシーバが、
前記第1のベースバンドフィルタの第2の出力に結合される入力と、出力とを有するアナログ・デジタルコンバータと、
前記アナログ・デジタルコンバータの出力に結合される入力を有する直交位相シフト回路と、
を更に含む、レーダートランシーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
レーダーシステムは種々の用途においてオブジェクトを検出するために用いられる。車両関連の応用例において、レーダーは、レーダー使用可能車両の動作環境において、他の車両などのオブジェクトを検出するために用いられる。レーダーシステムにおいて、アンテナはトランスミッタによって生成された無線信号を放射する。対象から反射された信号は、受信され、反射信号は、局部発振器信号と組み合わされて、反射信号が中間周波数にダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた信号は、対象の位置を判定するために処理される。
【発明の概要】
【0002】
強いリフレクタが存在する状況で信号対雑音比が改善されたレーダートランシーバについて本記載において記載する。一例では、デバイスが、位相シフタ、I/Q信号生成器、第1のミキサ、第2のミキサ、及びフィードバック経路を含む。位相シフタは、信号入力、制御入力、及び出力を含む。I/Q信号生成器は、入力、第1出力、及び第2出力を含む。入力は、位相シフタの出力に結合される。第1のミキサは、I/Q信号生成器の第1の出力に結合される入力を含む。第2のミキサは、I/Q信号生成器の第2の出力に結合される入力を含む。フィードバック経路は、第2のミキサの出力と位相シフタの制御入力との間で結合される。
【0003】
別の例において、レーダートランシーバがレシーバを含む。レシーバは、低雑音増幅器、ミキサ、ベースバンドフィルタ、積分器、及び位相シフタを含む。ミキサは、低雑音増幅器の出力に結合される入力を含む。ベースバンドフィルタは、ミキサの出力に結合される入力を含む。積分器は、ベースバンドフィルタの出力に結合される入力を含む。位相シフタは、制御入力及び出力を含む。制御入力は積分器の出力に結合される。位相シフタの出力はミキサに結合される。
【0004】
更なる例において、レーダートランシーバがレシーバを含む。レシーバは、低雑音増幅器ミキサ、ベースバンドフィルタ、積分器、及び位相シフタを含む。ミキサは、低雑音増幅器の出力に結合される入力を含む。ベースバンドフィルタは、ミキサの出力に結合される入力を含む。積分器は、ベースバンドフィルタの出力に結合される入力を含む。位相シフタは制御入力を含む。制御入力は積分器の出力に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
種々の例の詳細な説明のため、ここで、添付の図面を参照する。
【0006】
図1】本記載における位相/周波数フィードバックループを有する第1の例示のレーダートランシーバを含むレーダーシステムについてのブロック図を示す。
【0007】
図2A】本記載における位相/周波数フィードバックループを含むレーダーレシーバにおいて提供される例示の信号を示す。
図2B】本記載における位相/周波数フィードバックループを含むレーダーレシーバにおいて提供される例示の信号を示す。
図2C】本記載における位相/周波数フィードバックループを含むレーダーレシーバにおいて提供される例示の信号を示す。
【0008】
図3】本記載における位相/周波数フィードバックループを有する第2の例示のレーダートランシーバを含むレーダーシステムについてのブロック図を示す。
【0009】
図4】本記載における位相/周波数フィードバックループを含む例示のレーダーレシーバのためのブロック図を示す。
【0010】
図5】本記載における位相/周波数フィードバックループを含む例示のレーダーレシーバのためのブロック図を示す。
【0011】
図6】本記載における位相/周波数フィードバックループを有する第3の例示のレーダートランシーバを含むレーダーシステムのためのブロック図を示す。
【0012】
図7】本記載において強いリフレクタの振動の相殺のためにループ帯域幅を設定するために用いられる式を示す。
【0013】
図8】本記載においてフィードバックループを用いて生成される振幅ノイズと無相関位相ノイズの例示のシミュレーションを示す。
【0014】
図9】本記載における位相/周波数フィードバックループを有するレーダーシステムを含む例示の車両を示す。
【0015】
図10】本記載において位相/周波数フィードバックループを有するレーダーレシーバを用いて車両を制御するための方法に関するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「結合する」という用語は、間接的又は直接的な有線又は無線接続のいずれかを意味する。そのため、第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は直接的接続を介するもの、又は他のデバイス及び接続を介した間接的接続を介するものであり得る。また、「~に基づく」という記載は、「少なくとも部分的に~に基づく」ことを意味する。従って、XがYに基づく場合、Xは、Y及び任意の数の他の要因の関数であり得る。
【0017】
周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムでは、トランスミッタとレシーバが同時に動作される。FMCWレーダーシステムによって伝送される信号はチャープの線形周波数変調連続波シーケンスであり、チャープは、線形周波数掃引(ランプ又は鋸歯状周波数掃引)である。チャープシーケンスは、電力増幅器によって増幅され、送信アンテナから送信される。受信アンテナは、送信された信号の反射を受信する。受信した信号は、増幅され、送信されたチャープシーケンスと混合されて、デジタル化及び処理されたビート周波数を生成する。
【0018】
レーダーシステムのアンテナ付近に強いリフレクタが配置されると、そのリフレクタによって返された信号が、レーダー性能を実質的に劣化させる恐れがある。例えば、車両レーダーシステムにおいて、送信及び受信アンテナが車両のバンパの裏に配置される場合、レシーバ、トランスミッタ、及び周波数シンセサイザーの無相関位相ノイズ(UPN)は、レシーバノイズフロアを激しく劣化させ、オブジェクト検出の信号対雑音比(SNR)を制限し、これがレーダーシステムのレンジを減少させる。UPNによる12デシベル(dB)のノイズフロア劣化により、レーダーシステムのレンジが2分の1減少する。
【0019】
アンテナからレンジRbumpの干渉バンパ(例えば、アンテナが裏に取り付けられているバンパ)の場合、受信信号の周波数シフトは、局部発振器信号に対して、Δfbump=(B/T)τである。ここで、τ=(2Rbump)/cは、強いリフレクタによる送信から反射までの時間遅延であり、Tは、送信されたチャープのランプ時間であり、cは光速であり、B/TはFMCWのチャープの勾配である。
【0020】
レーダーレシーバによっては、レシーバにおいて用いられる局部発振器に固定遅延を付加することによって、強いリフレクタによって誘発される周波数や位相シフトを相殺しようとするものもある。固定遅延は、強いリフレクタ(例えば、バンパ)によって引き起こされる受信信号の遅延を相殺し、無線周波数(RF)シンセサイザーUPNの影響を低減するが、強いリフレクタの動き(例えば、振動)によって引き起こされる遅延の変化は相殺せず、トランスミッタ、レシーバ、又は局部発振器バッファからのUPNを低減しない。他のレーダーレシーバ実装は、レシーバスペクトルをシフトさせるためにデジタル後処理を適用する。デジタル後処理は、例えば、(1)Δfbumpを無効にした後にアナログ・デジタルコンバータ(ADC)出力で検出された位相は、振幅ノイズ(AN)条件を達成するためにRF位相シフトに関連していない可能性がある、(2)位相シフト不正確性は、デジタル化におけるクロック不確実性のサンプリングによって誘発される、(3)位相シフト誤差は、レシーバのフィルタにおける位相シフトによって引き起こされる、及び/又は、(4)デジタル処理が、処理時間制約のためにリフレクタ振動を追跡することができない、などの多くの問題を導入する。
【0021】
本明細書に記載されるレーダートランシーバは、強いリフレクタによって引き起こされる周波数シフト及び位相シフトを相殺するアナログ制御ループを含む。アナログ制御ループは、レシーバの直交(Q)チャネルで動作することがあり、これはレシーバの同相(I)チャネルをAN条件に置き、強いリフレクタの存在下でレシーバのSNRを増加させる。レーダートランシーバのノイズフロアは、他のレシーバ実装に比べ最大10dB或いはそれ以上改善され得る。また、アナログ制御ループは、強いリフレクタの振動によって生じる周波数及び位相シフト変動を追跡し、相殺することができる。
【0022】
図1は、本記載における位相/周波数フィードバックループを有する例示のレーダートランシーバを含むレーダーシステム100のためのブロック図を示す。レーダーシステム100は、レーダートランシーバ102、アンテナ104、106、及びRFシンセサイザー108(無線周波数シンセサイザー108)を含む。アンテナ104は、反射レーダー信号(アンテナ106によって送信されたレーダー信号の反射)の受信のためにレーダートランシーバ102に結合される。アンテナ106は、レーダー信号の送信のためにレーダートランシーバ102に結合される。RFシンセサイザー108は、レーダートランシーバ102に結合され、局部発振器信号146を生成する。局部発振器信号146は、レーダートランシーバ102によって送信され、受信レーダー反射をダウンコンバートするためにレーダートランシーバ102によって用いられる。
【0023】
レーダートランシーバ102は、レシーバ110及びトランスミッタ111を含む。トランスミッタ111は、RFシンセサイザー108及びアンテナ106に結合される電力増幅器142を含む。レシーバ110は、同相(I)チャネル及び直交位相(Q)チャネルに結合される低雑音増幅器(LNA)112と、I/Q信号生成器118と、位相シフタ124とを含む。I/Q信号生成器118は局部発振器信号146を受け取り、局部発振器信号146の同相及び直交位相バージョンを生成する。Iチャネルは、LNA114、ミキサ116(同相チャネルミキサ)、ベースバンドフィルタ130、及び積分器132を含む。Qチャネルは、LNA126、ミキサ128(直交チャネルミキサ)、ベースバンドフィルタ134、及び積分器136を含む。ミキサ116は、LNA114に結合される入力116Aと、バッファ120を介してI/Q信号生成器118の出力118Bに結合される入力116Bと、ベースバンドフィルタ130の入力130Aに結合される出力116Cとを含む。ミキサ116は、LNA112及びLNA114を介して提供される反射レーダー信号と、局部発振器信号146の同相バージョンとを乗算して、反射レーダー信号をダウンコンバートし、中間周波数信号を生成する。ベースバンドフィルタ130は、積分器132の入力132Aに結合される出力130Bと、ADC138に結合される出力130Cとを含む。ADC138はデルタシグマADCであってもよい。ベースバンドフィルタ130は、ADC138によるデジタル化のために、ミキサ116の出力をフィルタする。積分器132は、ベースバンドフィルタ130に結合され、Iチャネルに設けられて、ベースバンドフィルタ130に提示されたインピーダンス及び装荷を、Qチャネルのベースバンドフィルタ134に提示されたインピーダンス及び装荷に適合させる。
【0024】
Qチャネルにおいて、ミキサ128は、LNA126に結合される入力128Aと、バッファ122を介してI/Q信号生成器118の出力118Cに結合される入力128Bと、ベースバンドフィルタ134の入力134Aに結合される出力128Cとを含む。ミキサ128は、LNA112及びLNA126を介して提供される反射レーダー信号と、局部発振器信号146の直交位相バージョンとを乗算して、反射レーダー信号をダウンコンバートし、中間周波数信号を生成する。ベースバンドフィルタ134は、積分器136の入力136Aに結合される出力134Bと、アナログ・デジタルコンバータ(ADC)140に結合される出力134Cとを含む。ADC140はデルタシグマADCであってもよい。ベースバンドフィルタ134は、ADC140によるデジタル化のために、ミキサ128の出力をフィルタする。強いリフレクタ144によって反射された信号は、ベースバンドフィルタ134の出力134Bにおいて提供され、積分器136によって積分されて位相シフタ124のための制御信号148を生成する。
【0025】
線形時間変動位相シフトが、時間と共に線形位相シフトの傾きに比例する一定の周波数オフセットを提供する。アンテナ104及び106からのレンジRbumpにおける強いリフレクタ144について、ランプに加算されるべき周波数シフトΔfbumpは、(B/T)×τであり、これは、強いリフレクタ144による送信から反射までの時間遅延であり、FMCWのチャープの勾配である。位相シフタ124が0~90°の位相シフタを有し、制御信号148に対して1ボルトレンジであるとすると、生成される最大周波数シフトはΔfphs_max=1/4Tとなる。Δfphs_max>Δfbumpである限り、制御信号148は、Δfbumpの周波数差を、受信レーダー信号と局部発振器信号146との間で補正することができる。
【0026】
位相シフタ124は、RFシンセサイザー108の出力に結合される信号入力124Aと、積分器136の出力136Bに結合される制御入力124Bと、I/Q信号生成器118の入力118Aに結合される出力124Cとを含む。積分器136は、ベースバンドフィルタ134の出力をゼロと比較し、その差を積分して位相シフタ124のための制御信号148を生成する。位相シフタ124は、RFシンセサイザー108によって生成された局部発振器信号146を受信し、局部発振器信号146の位相を制御信号148に基づいてシフトする。ベースバンドフィルタ134及び積分器136は、ミキサ128の出力128Cと位相シフタ124の制御入力124Bとの間に結合されるフィードバック経路の一部である。ミキサ128の出力128Cをベースバンドフィルタ134の入力134Aに結合し、ベースバンドフィルタ134の出力134Bを積分器136の入力136Aに結合し、積分器136の出力136Bを位相シフタ124の制御入力124Bに結合して位相シフタ124を制御することによって、フィードバックループが形成される。位相シフタ124の出力124Cは、I/Q信号生成器118の入力118Aに接続され、I/Q信号生成器118の出力118Cは、ミキサ128の入力128Bに接続されて、フィードバックループを閉じる。制御信号148は、強いリフレクタ144(例えば、アンテナ106及びアンテナ104が裏に取り付けられるバンパ)によって反射されたように、電力増幅器142を介して送信された周波数ランプの周波数シフトに適合するように局部発振器信号146の周波数をシフトさせ、シフトされた局部発振器の位相シフトとミキサ128に提供される反射レーダー信号とを90°に強制する。周波数及び位相調整は、QチャネルにおけるDC電圧を最小化し、IチャネルにおけるDC電圧を最大化し、それによって、IチャネルをAN条件に置き、Iチャネルにおけるレシーバ110のSNRに対するRFシンセサイザー108の位相ノイズ及びUPNの影響を低減するか又はなくす。制御信号148は強いリフレクタ144の振動を追跡して、IチャネルにおけるAN条件を維持する。
【0027】
レーダーシステム100のいくつかの実装において、レシーバ110は集積回路150上に提供される。集積回路はパッケージ152に封入されてもよい。
【0028】
図2Aは、RFシンセサイザー108によって生成され、電力増幅器142を介して送信される周波数ランプ202、強いリフレクタ144によって反射され、レシーバ110によって受信される信号204、及び信号204のインタバルにわたって位相シフタ124を制御するために積分器136によって生成される制御信号148の例を示す。図2Bは、反射信号と局部発振器信号146との間のΔfbumpの周波数差を補正し、反射信号と局部発振器信号146との間の位相シフトが90°であることを確実にする、ステップ206とランプ208とを含む制御信号148を示す。図2Cは、制御信号148を位相シフタ124における局部発振器信号146に適用した後、周波数ランプ202及び信号204を整合させた(Δfbump=0)状態を示す。
【0029】
図3は、本記載における位相/周波数フィードバックループを有する第2の例示のレーダートランシーバを含むレーダーシステム300のためのブロック図を示す。レーダーシステム300は、レーダートランシーバ302、アンテナ304、アンテナ306、及びRFシンセサイザー308を含む。アンテナ304は、反射レーダー信号の受信のためにレーダートランシーバ302に結合される。アンテナ306は、レーダー信号の送信のためにレーダートランシーバ302に結合される。RFシンセサイザー308は、レーダートランシーバ302に結合され、局部発振器信号346を生成する。局部発振器信号346は、レーダートランシーバ302によって送信され、受信レーダー反射をダウンコンバートするためにレーダートランシーバ302によって用いられる。
【0030】
レーダートランシーバ302は、レシーバ310及びトランスミッタ311を含む。トランスミッタ311は、電力増幅器342、位相シフタ350、及びトランスミッタ変調制御回路352を含む。位相シフタ350は、RFシンセサイザー308、電力増幅器342、及びトランスミッタ変調制御回路352に結合される。トランスミッタ変調制御回路352は、電力増幅器342によって増幅される前に、位相シフタ350が局部発振器信号346の位相を変調するために適用する出力信号353を生成する。
【0031】
レシーバ310は、Iチャネル及びQチャネルに結合されるLNA312、I/Q信号生成器318、位相シフタ324、及び加算回路354を含む。I/Q信号生成器318は、位相シフタ324を介して局部発振器信号346を受信し、局部発振器信号346の同相及び直交位相バージョンを生成する。Iチャネルは、LNA314、ミキサ316、ベースバンドフィルタ330、及び積分器332を含む。Qチャネルは、LNA326、ミキサ328、ベースバンドフィルタ334、及び積分器336を含む。ミキサ316は、LNA314に結合される入力316A、バッファ320を介してI/Q信号生成器318の出力318Bに結合される入力316B、及び、ベースバンドフィルタ330の入力330Aに結合される出力316Cを含む。ベースバンドフィルタ330は、積分器332の入力332Aに結合される出力330Bと、アナログ・デジタルコンバータ(ADC)338に結合される出力330Cとを含む。ADC338はデルタシグマADCであってもよい。積分器332は、ベースバンドフィルタ330に提示されたインピーダンス及び装荷を、Qチャネルのベースバンドフィルタ334に提示されたインピーダンス及び装荷に適合させるために、ベースバンドフィルタ330に結合される。
【0032】
Qチャネルにおいて、ミキサ328は、LNA326に結合される入力328Aと、バッファ322を介してI/Q信号生成器318の出力318Cに結合される入力328Bと、ベースバンドフィルタ334の入力334Aに結合される出力328Cとを含む。ベースバンドフィルタ334は、積分器336の入力336Aに結合される出力334Bと、アナログ・デジタルコンバータ(ADC)340に結合される出力334Cとを含む。ADC140はデルタシグマADCであってもよい。
【0033】
加算回路354は、積分器336及び位相シフタ324に結合される。加算回路354は、積分器336の出力336Bに結合される入力354Aと、トランスミッタ変調制御回路352の出力352Bに結合される入力354Bと、位相シフタ324の制御入力324Bに結合される出力354Cとを含む。加算回路354は、制御信号348内のトランスミッタ変調を考慮するため、送信のために局部発振器信号346を変調する際に使用するためのトランスミッタ変調制御回路352によって生成される変調制御信号を積分器336の出力信号に付加して、送信変調がIチャネルにおけるAN条件に影響を与えないようにする。
【0034】
位相シフタ324は、RFシンセサイザー308の出力に結合される信号入力324Aと、I/Q信号生成器318の入力318Aに結合される出力324Cとを含む。積分器336は、ベースバンドフィルタ334の出力をゼロと比較し、積分して出力信号356を生成する。加算回路354は、位相シフタ324に提供される制御信号348を生成するために、出力信号356とトランスミッタ変調制御回路352によって生成される出力信号353とを加算する。位相シフタ324は、RFシンセサイザー308によって生成された局部発振器信号346を受信し、局部発振器信号346の位相を制御信号348に基づいてシフトする。ベースバンドフィルタ334及び積分器336は、ミキサ328の出力328Cと位相シフタ324の制御入力324Bとの間に結合されるフィードバック経路の一部である。制御信号348は、リフレクタ344によって反射されたように、電力増幅器342を介して送信される周波数ランプの周波数シフトに適合するように局部発振器信号346の周波数をシフトさせ、シフトされた局部発振器の位相シフトとミキサ328に提供された反射レーダー信号とを90°に強制する。周波数及び位相調節は、IチャネルにおけるQチャネルにおけるDCを最小化し、IチャネルにおけるDCを最大化し、それにより、IチャネルをAN条件に置き、Iにおけるレシーバ310のSNRに対するRFシンセサイザー308の位相ノイズ及びUPNの影響を低減するか又はなくす。制御信号348は、IチャネルにおけるAN条件を維持するためにリフレクタ344の振動を追跡する。
【0035】
レシーバ110及びレシーバ310において、Qチャネルに含まれるフィードバック経路が、自動的にIチャネルをAN条件にしてレシーバノイズフロアを下げる。図4は、単一のレシーバチャネル内に位相/周波数フィードバックループを含む例示のレシーバ400のためのブロック図を示す。レシーバ400の実装にはQチャネル回路要素がない。レシーバ400は、LNA412、ミキサ416、ベースバンドフィルタ430、及び積分器432、位相シフタ424、バッファ420、ADC438、及びデジタル位相シフト回路440(直交位相シフト回路)を含む。
【0036】
LNA412は、反射レーダー信号の受信のためにアンテナ(図示せず)に結合される。ミキサ416は、LNA412に結合される入力416A、及びバッファ420を介して位相シフタ424の出力424Cに結合される入力416B、及びベースバンドフィルタ430の入力430Aに結合される出力416Cを含む。ベースバンドフィルタ430は、積分器432の入力432Aに結合される出力430Bと、ADC438に結合される出力430Cとを含む。ADC438はデルタシグマADCであってもよい。
【0037】
位相シフタ424は、RFシンセサイザー(図示せず)の出力に結合される信号入力424Aと、積分器432の出力432Bに結合される制御入力424Bと、バッファ420を介してミキサ416に結合される出力424Cとを含む。積分器432は、ベースバンドフィルタ430の出力をゼロと比較し、積分して、位相シフタ424のための制御信号448を生成する。位相シフタ424は、局部発振器信号446を受信し、局部発振器信号446の位相を制御信号448に基づいてシフトする。ベースバンドフィルタ430及び積分器432は、ミキサ416の出力416Cと位相シフタ424の制御入力424Bとの間に結合されるフィードバック経路の一部である。制御信号448は、局部発振器信号446の周波数をシフトさせて、強いリフレクタによって反射された送信周波数ランプの周波数シフトに適合させ、シフトされた局部発振器の位相シフトとミキサ416に提供される反射レーダー信号とを90°に強制する。
【0038】
デジタル位相シフト回路440はADC438に結合される。レシーバ400をAN条件にするために、デジタル位相シフト回路440は、ADC438によって生成されたデジタル化データの位相を90°シフトさせ、それによって、RFシンセサイザーの位相ノイズ及びUPNがレシーバ400のSNRに及ぼす影響をなくす。
【0039】
レシーバ110、レシーバ310、及びレシーバ400において、局部発振器の位相及び周波数がシフトされ、レシーバ内の位相ノイズが抑制される。図5は、局部発振器経路ではなくLNA経路に位相シフタを含む例示のレシーバ500のためのブロック図を示す。レシーバ500は、LNA512、位相シフタ524、及びI/Q信号生成器518を含む。I/Q信号生成器518は、局部発振器信号546を受信し、局部発振器信号546の位相バージョン及び直交位相バージョンを生成する。LNA512は位相シフタ524に結合される。LNA512は反射レーダー信号を受け取る。位相シフタ524は、Iチャネル及びQチャネルに結合される。Iチャネルは、LNA514、ミキサ516、ベースバンドフィルタ530、及び積分器532を含む。Qチャネルは、LNA526、ミキサ528、ベースバンドフィルタ534、及び積分器536を含む。ミキサ516は、LNA514を介して位相シフタ524の出力524Cに結合される入力516Aと、バッファ520を介してI/Q信号生成器518の出力518Bに結合される入力516Bと、ベースバンドフィルタ530の入力530Aに結合される出力516Cとを含む。ベースバンドフィルタ530は、積分器532の入力532Aに結合される出力530Bと、ADC538に結合される出力530Cとを含む。ADC538はデルタシグマADCであってもよい。積分器532は、ベースバンドフィルタ530に結合されて、ベースバンドフィルタ530に提示されたインピーダンス及び装荷を、Qチャネルのベースバンドフィルタ534に提示されたインピーダンス及び装荷に適合させる。
【0040】
Qチャネルにおいて、ミキサ528は、LNA526を介して位相シフタ524の出力524Cに結合される入力528Aと、バッファ522を介してI/Q信号生成器518の出力518Cに結合される入力528Bと、ベースバンドフィルタ534の入力534Aに結合される出力528Cとを含む。ベースバンドフィルタ534は、積分器536の入力536Aに結合される出力534Bと、ADC540に結合される出力534Cとを含む。ADC540はデルタシグマADCであってもよい。
【0041】
位相シフタ524は、LNA512の出力に結合される信号入力524Aと、積分器536の出力536Bに結合される制御入力524Bと、ミキサ516及びミキサ528に結合される出力524Cとを含む。積分器536は、ベースバンドフィルタ534の出力をゼロと比較し、その差を積分して、位相シフタ524のための制御信号548を生成する。位相シフタ524は、反射レーダー信号を受け取り、制御信号548に基づいて反射レーダー信号の位相をシフトする。ベースバンドフィルタ534及び積分器536は、ミキサ528の出力528Cと位相シフタ524の制御入力524Bとの間に連結されるフィードバック経路の一部である。制御信号548は、強いリフレクタによって反射されたように、送信周波数ランプの周波数シフトに適合するように反射レーダー信号の周波数をシフトし、ミキサ528に提供された局部発振器及び反射レーダー信号の位相シフトを90°に強制する。周波数及び位相調節は、IチャネルにおけるDCを最小限にし、それによりIチャネルをAN条件にし、I周波数におけるレシーバ500のSNRに対するRFシンセサイザー108の位相ノイズ及びUPNの影響をなくす。
【0042】
レシーバ110、レシーバ310、及びレシーバ400において、レシーバにおいて適用される局部発振器信号の位相及び周波数は、レシーバにおける位相ノイズを抑制するようにシフトされる。図6は、レシーバではなくトランスミッタ内に位相シフタを含むレーダーシステム600のためのブロック図を示す。レーダーシステム600は、レーダートランシーバ602、アンテナ604、アンテナ606、及びRFシンセサイザー608を含む。アンテナ604は、反射レーダー信号の受信のためにレーダートランシーバ602に結合される。アンテナ606は、レーダー信号の送信のためにレーダートランシーバ602に結合される。RFシンセサイザー608は、レーダートランシーバ602に結合され、局部発振器信号646を生成する。局部発振器信号646は、レーダートランシーバ602によって送信され、レーダートランシーバ602によって受信レーダー反射をダウンコンバートするために用いられる。
【0043】
レーダートランシーバ602は、レシーバ610及びトランスミッタ611を含む。トランスミッタ611は、電力増幅器642及び位相シフタ624を含む。位相シフタ624の入力624Aが、局部発振器信号646を受け取るために高周波シンセサイザー608に結合される。位相シフタ624の出力624Cが、位相シフタ624によってシフトされたように局部発振器信号646を送信するために電力増幅器642に結合される。レシーバ610は、Iチャネル及びQチャネルに結合されるLNA612と、I/Q信号生成器618とを含む。I/Q信号生成器618は、入力618Aで局部発振器信号646を受信し、局部発振器信号646の同相及び直交位相バージョンを生成する。Iチャネルは、LNA614、ミキサ616、ベースバンドフィルタ630、及び積分器632を含む。Qチャネルは、LNA626、ミキサ628、ベースバンドフィルタ634、及び積分器636を含む。ミキサ616は、LNA614に結合される入力616A、バッファ620を介してI/Q信号生成器618の出力618Bに結合される入力616B、及びベースバンドフィルタ630の入力630Aに結合される出力616Cを含む。ベースバンドフィルタ630は、積分器632の入力632Aに結合される出力630Bと、ADC638に結合される出力630Cとを含む。ADC638はデルタシグマADCであってもよい。積分器632は、ベースバンドフィルタ630に提示されたインピーダンス及び装荷を、Qチャネルのベースバンドフィルタ634に提示されたインピーダンス及び装荷に適合させるために、ベースバンドフィルタ630に結合される。
【0044】
Qチャネルにおいて、ミキサ628は、LNA626に結合される入力628Aと、バッファ622を介してI/Q信号生成器618の出力618Cに結合される入力628Bと、ベースバンドフィルタ634の入力634Aに結合される出力628Cとを含む。ベースバンドフィルタ634は、積分器636の入力636Aに結合される出力634Bと、ADC640に結合される出力634Cとを含む。ADC640はデルタシグマADCであってもよい。積分器636は、出力634Bにおけるベースバンドフィルタ634の出力をゼロと比較し、積分して、位相シフタ624のための制御信号648を生成する。
【0045】
位相シフタ624は、RFシンセサイザー608の出力に結合される入力624Aと、積分器636の出力636Bに結合される制御入力624Bと、電力増幅器642に結合される出力624Cとを含む。位相シフタ624は、RFシンセサイザー608によって生成された局部発振器信号646を受信し、局部発振器信号646の位相を制御信号648に基づいてシフトする。ベースバンドフィルタ634及び積分器636は、ミキサ628の出力628Cと位相シフタ624の制御入力624Bの間に連結されるフィードバック経路の一部である。制御信号648は、局部発振器信号646の周波数をシフトして、リフレクタ644によって反射されたレーダー信号の周波数ランプの周波数シフトに適合させ、シフトされた局部発振器の位相シフトとミキサ628に提供される反射レーダー信号とを90°に強制する。周波数及び位相調節は、IチャネルにおけるDCを最小限にし、それによりIチャネルをAN条件にし、Iチャネルにおけるレシーバ610のSNRに対するRFシンセサイザー608の位相ノイズ及びUPNの影響をなくす。
【0046】
図7は、本記載において、強いリフレクタの振動の相殺のためのループ帯域幅を決定し設定するために用いられる式を示す。フィードバックループ700の帯域幅は下記である。

ここで、RFBは抵抗器702の抵抗であり、Rは抵抗器704の抵抗であり、Rは抵抗器706の抵抗であり、RHPFは抵抗器708の抵抗であり、CHPFはコンデンサ710の静電容量である。フィードバックループ700の帯域幅は、強いリフレクタ144の振動を追跡するように設定される。
【0047】
図8は、本記載においてフィードバックループを用いて生成された振幅ノイズと無相関位相ノイズの例示のシミュレーションを示す。フィードバックループ800の同相ミキサ802の出力において生成される振幅ノイズレベルは、レシーバ110内のADC138で測定される振幅ノイズレベルとの良好に適合する。また、位相ノイズレベルは、LNA804の大きな信号ノイズファクタが無相関位相ノイズとして扱われる場合、ADC138における位相ノイズと一致する。
【0048】
図9は、本記載における位相/周波数フィードバックループを有するレーダーシステムを含む例示の車両900を示す。車両900は、レーダーシステム902及びコンピュータシステム904を含む。レーダーシステム902は、例えば、本明細書に記載される、レーダーシステム100、レーダーシステム300、レーダーシステム600、或いは、レシーバ500又はレーダーシステム600を含むレーダーシステムの実装である。車両900内のレーダーシステム902のノイズフロアは、他のレーダーシステム実装に比べて最大10dB又はそれ以上改善され得、これにより検出範囲が改善される。
【0049】
レーダーシステム902はレーダー信号906をコンピュータシステム904に提供し、コンピュータシステム904は、レーダー信号906を処理して、車両900の環境におけるオブジェクトを識別し、識別されたオブジェクトに基づいて車両900を制御する。コンピュータシステム904は車両900内の任意の場所に取り付けることができ、レーダーシステム902は、車両900の任意の外側表面に隣接して取り付けることができる。コンピュータシステム904は、レーダー信号906を処理する一つ又は複数のプロセッサ(例えば、汎用マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサなど)を含む。コンピュータシステム904は、レーダーシステム902を介したオブジェクトの識別に基づいて、車両900の自動運転制御、車両900の自動駐車制御、車両900の死角モニタリング制御、車両900のクルーズコントロールシステムの制御、又は車両900の他のオートモーティブシステムの制御をすることができる。
【0050】
図10は、本記載における、位相/周波数フィードバックループを有するレーダーレシーバを用いて車両を制御するための方法1000に対するフローチャートを示す。便宜上順次示されているが、示されている行為の少なくとも幾つかが、異なる順で実施され得及び/又は並列して実施され得る。また、幾つかの実装が、示された行為のうちの幾つかのみを行い得る。方法1000のオペレーションは、車両900の実装によって実施され得る。方法1000はレーダーシステム100に関して記載されるが、方法1000は、本記載に記載されるレシーバの任意のもの使用に適用し得る。
【0051】
ブロック1002において、レーダーシステム902は、車両900の動作環境におけるオブジェクトから反射されたレーダー信号を受信する。
【0052】
ブロック1004において、レーダーシステム902は、受信レーダー信号を、ミキサ116及びミキサ128内の局部発振器信号146のIバージョン及びQバージョンと混合する。
【0053】
ブロック1006において、レーダーシステム902は、I及びQミキサ出力をフィルタする。より具体的には、レーダーシステム902は、ベースバンドフィルタ130及びベースバンドフィルタ134内のミキサ116及びミキサ128の出力をフィルタする。
【0054】
ブロック1008において、レーダーシステム902はQフィルタ出力を積分する。より具体的には、レーダーシステム902は、積分器136内のベースバンドフィルタ134の出力をフィルタする。
【0055】
ブロック1010において、レーダーシステム902は、用いられた局部発振器信号146を位相変調し、I及びQ発振器信号を生成する。より具体的には、レーダーシステム902は、積分器136の出力を適用して、I及びQ発振器信号を生成するために用いられる局部発振器信号146を位相変調する。
【0056】
ブロック1012において、レーダーシステム902はフィルタ出力をデジタル化する。より具体的には、レーダーシステム902は、ADC138及びADC140内のベースバンドフィルタ130及びベースバンドフィルタ134の出力信号をデジタル化する。レーダーシステム902は、デジタル化されたレーダー信号をコンピュータシステム904に提供する。
【0057】
ブロック1014において、コンピュータシステム904は、デジタル化されたレーダー信号に基づいてオブジェクトを識別する。より具体的には、コンピュータシステム904は、車両900の動作環境におけるオブジェクトを識別するために、デジタル化されたレーダー信号を処理する。
【0058】
ブロック1016において、コンピュータシステム904は、ブロック1014において識別されたオブジェクトに基づいて車両900を制御する。例えば、コンピュータシステム904は、オブジェクトの識別に基づいて、車両900の自動運転の制御、車両900の自動駐車の制御、車両900の死角モニタリングの制御、車両900のクルーズコントロールの制御、又は車両900の他のオートモーティブシステムの制御をすることができる。
【0059】
本発明の特許請求の範囲内で、記載した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。

図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10