(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】車両を制御するための軌道を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20240814BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240814BHJP
B60W 50/06 20060101ALI20240814BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240814BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240814BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W40/02
B60W50/06
B60W60/00
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2023504470
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021070392
(87)【国際公開番号】W WO2022018139
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】102020209214.1
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ザウター
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ ケルスケン
(72)【発明者】
【氏名】フォルコ フレーミヒ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン コネッテ
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013202053(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012018122(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0325595(US,A1)
【文献】特開2001-022708(JP,A)
【文献】特開2019-137321(JP,A)
【文献】特表2019-530609(JP,A)
【文献】特開2009-051356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0250617(US,A1)
【文献】特開2019-171970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
G08G 1/00 ~ 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)を制御するための軌道(120,122)を決定するための、コンピュータ実装される方法であって、前記車両(100)には、前記車両(100)の周辺環境を検出するためのセンサシステム(102,102a,102b)と、センサデータ(116)を処理して前記車両(100)を制御するための車両コンピュータ(112)とが備えられている、方法において、
前記センサシステム(102,102a,102b)によって生成されたセンサデータ(116)を、前記車両コンピュータ(112)の制御モジュール(206)において受け取るステップと、
前記センサデータ(116)に基づいて、安全性に関連する対象物(104,106,109)を識別するように構成された安全性アルゴリズムに前記センサデータ(116)を入力するステップと、
前記センサデータ(116)に基づいて、快適性に関連する対象物(108,109)を識別するように構成された快適性アルゴリズムに前記センサデータ(116)を入力するステップと、
識別された前記対象物(104,106,108,109)が格納され、時間を追って追跡される、前記車両(100)の前記周辺環境を表す周辺環境モデル(226)を使用して、識別された前記対象物(104,106,108,109)の将来の状態を推定するステップと、
識別された前記対象物(104,106,108,109)の推定された前記将来の状態に基づいて、安全性規準を考慮して安全性軌道(120)を計算し、快適性規準を考慮して快適性軌道(122)を計算するステップと、
前記快適性軌道(122)が前記安全性規準を満たしているか否かを検査するステップと、
前記快適性軌道(122)が前記安全性規準を満たしている場合に、前記車両(100)を制御するために前記快適性軌道(122)を使用するステップと、
前記快適性軌道(122)が前記安全性規準を満たしていない場合に、前記車両(100)を制御するために前記安全性軌道(120)を使用するステップと、
を含
み、
さらに、前記安全性アルゴリズムの出力が、前記快適性アルゴリズムに入力され、
前記快適性アルゴリズムは、前記快適性に関連する対象物(108,109)を、さらに前記安全性アルゴリズムの前記出力に基づいて識別するように構成されている、方法。
【請求項2】
前記快適性アルゴリズムは、前記センサデータ(116)に基づいて、快適性に関連する対象物(108,109)及び/又は安全性に関連する対象物(104,106,109)を識別するように、機械学習によって訓練されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記快適性アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークに基づいている、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両(100)を安全な状態に移行させるための別の安全性軌道を、別の安全性規準を考慮して、識別された前記対象物(104,106,108,109)の推定された前記将来の状態に基づいて計算し、
前記安全性軌道(120)の前記計算が失敗した場合に、前記車両(100)を制御するために前記別の安全性軌道を使用する、請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記制御モジュール(206)に関連せずに電気エネルギが供給される、前記車両コンピュータ(112)の別の制御モジュール(208)において前記センサデータ(116)を受け取るステップと、
前記別の制御モジュール(208)によって、前記安全性アルゴリズムに前記センサデータ(116)を入力するステップと、
前記別の制御モジュール(208)によって、前記周辺環境モデル(226)を使用して、識別された前記対象物(104,106,108,109)の将来の状態を推定するステップと、
前記別の制御モジュール(208)によって、識別された前記対象物(104,106,108,109)の推定された前記将来の状態に基づいて、別の安全性規準を考慮して、前記車両(100)を安全な状態に移行させるための別の安全性軌道を計算するステップと、
前記別の制御モジュール(208)によって、前記制御モジュール(206)が機能可能であるか否かを検査するステップと、
前記制御モジュール(206)が機能可能でない場合、前記別の制御モジュール(208)によって、前記車両(100)を制御するために前記別の安全性軌道(120)を使用するステップと、
をさらに含む、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている車両コンピュータ(112)。
【請求項7】
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている制御モジュール(206)と、
前記制御モジュール(206)に関連せずに電気エネルギが供給可能であり、請求項
5に記載の方法を実施するように構成されている少なくとも1つの別の制御モジュール(208)と、
を含む、請求項
6に記載の車両コンピュータ(112)。
【請求項8】
前記制御モジュール(206)は、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の方法を実施するために構成されているソフトウェアモジュール(212,214,218,220,222,226,230,232,236,238,240,242,244,248,250,252,254,258,260,270)を含み、
前記別の制御モジュール(208)は、請求項
5に記載の方法を実施するために構成されているソフトウェアモジュール(212,218,222,228,230,240,244,248,250,252,260,270)を含み、
前記別の制御モジュール(208)の前記ソフトウェアモジュール(212,218,222,228,230,240,244,248,250,252,260,270)は、前記制御モジュール(206)の前記ソフトウェアモジュール(212,214,218,220,222,226,230,232,236,238,240,242,244,248,250,252,254,258,260,270)の少なくとも部分的なコピーである、請求項
7に記載の車両コンピュータ(112)。
【請求項9】
車両(100)の周辺環境を検出するためのセンサシステム(102,102a,102b)と、
前記センサシステム(102,102a,102b)のセンサデータ(116)を処理して前記車両(100)を制御するための、請求項
6乃至
8のいずれか一項に記載の車両コンピュータ(112)と、
を含む車両システム(114)。
【請求項10】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、車両コンピュータ(112)による前記コンピュータプログラムの実行時に、請求項
6乃至
8のいずれか一項に記載の車両コンピュータ(112)に請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の方法を実施させるための命令を含む、
コンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項
10に記載のコンピュータプログラムが格納されているコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、車両を制御するための軌道を決定するための方法に関する。本発明はさらに、この方法を実施するための車両コンピュータ、車両システム、コンピュータプログラム及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
自動運転は、車両の制御コンポーネントの安全性に対して高い要求を課す。同時に、可能な限り快適な走行体験が保証されるべきである。ただし、走行体験に影響を与える要因は、車両の周辺環境によって大きく異なり得る。従って、そのような要因が、車両の可能な限り多くの状況において確実に識別され得ることが望まれるだろう。ここでは、制御コンポーネントの安全性に対する要求が継続して満たされ得るべきである。
【0003】
車両は、車両の周辺環境を検出するためのセンサシステムと、センサデータを処理して車両を制御するための車両コンピュータとを有し得る。センサシステムは、例えば、複数の相互に異なった種類のセンサを含み得る。車両コンピュータは、例えば、個々のセンサのセンサデータを統合し(これはセンサデータの融合とも称される)、統合されたセンサデータを評価することによって、車両の周辺環境にある対象物を識別し、車両の将来の状態と、識別された対象物の将来の状態との両方を考慮して、車両の適当な軌道を計算するように構成され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の開示
これを背景として、本明細書において提示されるアプローチによって、独立請求項に記載の方法、車両コンピュータ、車両システム、コンピュータプログラム及びコンピュータ可読媒体が提示される。本明細書において提示されるアプローチの有利な発展形態及び改良形態は、明細書から明らかであり、従属請求項に記載されている。
【0005】
発明の利点
本発明の実施形態によって、有利には、車両コンピュータのアーキテクチャを、可能な限り安全な軌道を計算するための安全性領域と、可能な限り快適な軌道を計算するための快適性領域とに分けることが可能になる。この場合には、例えば、これら2つの領域の各々に対して、センサデータ処理及び/又は軌道計算のために別のアルゴリズムを使用することができる。これは、各アルゴリズムを、特に、領域の各要求(安全性要求又は快適性要求)に適合させることができるという点において有利であり、これによって、一方では識別精度が、他方では計算効率が上昇し得る。
【0006】
本発明の第1の態様は、車両を制御するための軌道を決定するための、コンピュータ実装される方法に関し、ここで、車両には、車両の周辺環境を検出するためのセンサシステムと、センサデータを処理して車両を制御するための車両コンピュータとが備えられている。この方法は、センサシステムによって生成されたセンサデータを、車両コンピュータの制御モジュールにおいて受け取るステップと、センサデータに基づいて、安全性に関連する対象物を識別するように構成された安全性アルゴリズムにセンサデータを入力するステップと、センサデータに基づいて、快適性に関連する対象物を識別するように構成された快適性アルゴリズムにセンサデータを入力するステップと、識別された対象物が格納され、時間を追って追跡される、車両の周辺環境を表す周辺環境モデルを使用して、識別された対象物の将来の状態を推定するステップと、識別された対象物の推定された将来の状態に基づいて、安全性規準を考慮して安全性軌道を計算し、快適性規準を考慮して快適性軌道を計算するステップと、快適性軌道が安全性規準を満たしているか否かを検査するステップと、快適性軌道が安全性規準を満たしている場合に、車両を制御するために快適性軌道を使用するステップと、快適性軌道が安全性規準を満たしていない場合に、車両を制御するために安全性軌道を使用するステップと、を含む。
【0007】
車両は、例えば、乗用車、トラック、バス又は自動二輪車であるものとしてよい。選択的に、車両が、ロボットであると理解されるものとしてもよい。
【0008】
この方法は、例えば、車両コンピュータによって自動的に実施されるものとしてよい。車両コンピュータは、ハードウェアモジュール及び/又はソフトウェアモジュールを含むものとしてよい。これに応じて、制御モジュールは、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装されるものとしてよい。特に、車両コンピュータは、プロセッサ、メモリ及びプロセッサとメモリとの間のデータ通信のためのバスシステムを含むものとしてよい。付加的に、車両コンピュータは、外部の装置と行われるデータ通信、例えば、他の車両又はインフラストラクチャ装置とも行われるデータ通信(これはCar-to-X通信とも称される)又はインターネットと行われるデータ通信のための1つ又は複数のインタフェースを含むものとしてよい。
【0009】
センサシステムは、例えば、超音波センサ、レーダセンサ、ライダセンサ又はカメラなどの少なくとも1つの周辺環境センサを含むものとしてよい。付加的に、センサシステムは、例えば、回転速度センサ、加速度センサ、車輪回転数センサ又はステアリングホイール角度センサのような少なくとも1つの走行ダイナミクスセンサを含むものとしてよい。さらに、センサシステムは、GPS、GLONASSなどの全球測位衛星システムを用いて車両の絶対位置を特定するための位置センサを含むものとしてよい。車両の絶対位置は、付加的又は選択的に、1つ又は複数の走行ダイナミクスセンサのセンサデータに基づいて特定することができる。
【0010】
車両コンピュータは、車両のアクチュエータシステムの対応する駆動制御によって車両を部分自動又は全自動により制御する、即ち、操舵する、加速する、制動する又はナビゲートするように構成されるものとしてよい。アクチュエータシステムは、例えば、少なくとも1つのステアリングアクチュエータ、少なくとも1つのブレーキアクチュエータ及び/又はエンジン制御装置を含むものとしてよい。アクチュエータシステムを駆動制御するために、車両には、例えば、1つ又は複数の運転者支援機能が備えられるものとしてよい。こうした運転者支援機能は、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装されるものとしてよく、例えば、車両コンピュータに統合されるものとしてよい。
【0011】
センサデータは、センサシステムの個々のセンサの出力であるものとしてよい。例えば、この出力は、センサの生データのフィルタリング及び/又は変換によって生成されたデータであるものとしてよい。しかし、センサデータが、センサの出力の処理によって生成されたデータであるものとしてもよい。
【0012】
対象物の識別時には、例えば、「対向する車両」、「歩行者」又は「車線標識」などの対象物の対象物クラスと、対象物の現在の状態、例えば、車両に対して相対的な及び/又は識別された他の対象物に対して相対的な対象物の速度、位置及び/又は配向とが、順次連続する複数の時間ステップにおいて識別されるものとしてよい。識別された対象物、即ち、例えば、対象物の対象物クラス、速度、位置及び/又は配向が、対象物リストに格納され、継続して更新されるものとしてよい。
【0013】
ここでは、さらに、安全性軌道及び快適性軌道が、識別された対象物の推定された現在の状態に基づいて計算されるものとしてよい。
【0014】
付加的に、対象物の識別を、デジタルマップを使用して行うことができる(後述の記載を参照)。
【0015】
時間を追って、識別された対象物を追跡するために、状態推定器、例えば、ベイズフィルタ、粒子フィルタ又はカルマンフィルタを使用することができる。
【0016】
車両の周辺環境は、例えば、周辺環境モデルによって表されるものとしてよく、周辺環境モデルは、共通の交通空間における、車両及び他の道路利用者の動きを、対象物リストに格納されている対象物に基づいて予測するように構成されている。交通空間は、例えば、路面標識、自由に走行可能な領域、交通標識又は交通信号装置のような識別された対象物によって規定されるものとしてよい。
【0017】
例えば、車両又は識別された対象物の測定された位置を、対象物のデジタルマップに格納されている位置と照合することによって、車両及び/又は識別された対象物を位置特定することができる。デジタルマップ内に格納されている対象物は、例えば、周辺環境モデルに統合可能である。
【0018】
快適性アルゴリズムと安全性アルゴリズムとは、相互に区別することが可能である。例えば、快適性アルゴリズムは機械学習によって訓練されるものとしてよく、安全性アルゴリズムは、その防護及び解除が格段に容易であるアルゴリズムであるものとしてよく、例えば、SOTIF(Safety Of The Intended Functionality;「意図した機能の安全性」)又はISO26262規格の枠内にあるものとしてよい。
【0019】
例えば、車両が走行している車道の状態が、快適性に関連し得る。例えば、車道が平坦か又は起伏があるか、カーブが少ないか又はカーブが多いか、舗装されているか又は舗装されていないか、景観が良好か又はそれほど良好でないか、交通量が少ないか又は交通量が多いか、などであり、車道の隣に歩行者、自転車運転者、スケートボーダなどがいるか、病院などの特殊な建物が存在しているか、トラック、配送車、自動二輪車、道路清掃車などの特殊な車両が、隣接する車線又は離隔した車線に存在しているか、などが、車両乗員の快適性に関連し得る。一般に、快適性アルゴリズムは、安全な軌道計画のために必要とされるであろうよりも広い到達範囲において著しく多数の対象物クラスを識別・予測するように構成されるものとしてよく、例えば、車道から遠く離れた対象物も識別・予測するように構成されるものとしてよい。これに対して、例えば、車両が走行している車道が濡れているか又は乾燥しているか、汚れているか又はきれいであるか、などが、他の道路利用者、特に歩行者又は自転車運転者の快適性に関連し得る。回避されるべきことは、通過する車両によって他の道路利用者が水はね被害を受け、汚され又はその他の方法により妨害されることであろう。
【0020】
安全性に関連する対象物とは、車両及び/又は他の道路利用者の安全性に決定的に影響を及ぼす又は影響を及ぼし得る対象物であると理解され得る。例えば、これは、車両を衝突させるべきではない対象若しくは他の道路利用者、又は、車道標識などであり得る。
【0021】
安全性に関連する対象物は、同時に、快適性に関連する対象物であるものとしてもよく、また、その逆も可能である。
【0022】
安全性規準は、例えば、安全性に関連する対象物、例えば、他の道路利用者、路面標識などに対する車両の所定の距離、所定の配向及び/又は所定の相対速度であるものとしてよい。
【0023】
これと同様に、快適性規準は、例えば、快適性に関連する対象物に対する車両の所定の距離、所定の配向及び/又は所定の相対速度であるものとしてよい。快適性規準は、例えば、人工ニューラルネットワークのような機械学習アルゴリズムの形態で存在するものとしてもよく、これは、周辺環境モデル及び/又はセンサデータ、例えばカメラ画像を評価し、自然のままに観察された人間の走行挙動に基づいて訓練されたものである。
【0024】
換言すれば、この方法は、車両コンピュータのアーキテクチャに基づいており、このアーキテクチャは、快適性レベル(又は領域)と安全性レベル(又は領域)とに分けられており、これによって、各レベルにおいて、自身に最も適したアルゴリズムを使用することが可能になる。従って、例えば、快適性に関連する特徴の比較的複雑な識別のために、相応に訓練された機械学習アルゴリズム、例えば人工ニューラルネットワークを使用することができ、他方では、安全性に関連する特徴の識別のために、より容易に防護・解除されるアルゴリズムを使用することができる。
【0025】
プログラミングコストを低く抑制するために、例えば、種々のレベルに対して、少なくとも部分的に同一のソフトウェアコンポーネントが使用されるものとしてよい。
【0026】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の一実施形態による方法を実施するように構成されている車両コンピュータに関する。このような方法の特徴は、車両コンピュータの特徴であるものとしてもよく、また、その逆も可能である。
【0027】
本発明の第3の態様は、車両の周辺環境を検出するためのセンサシステムと、本発明の第2の態様の一実施形態による車両コンピュータとを含む車両システムに関する。
【0028】
本発明の第1の態様の一実施形態による方法の特徴は車両システムの特徴であるものとしてもよく、また、その逆も可能である。
【0029】
本発明のさらなる態様は、コンピュータプログラムに関し、このコンピュータプログラムは、本発明の第2の態様の一実施形態による車両コンピュータによってこのコンピュータプログラムが実行される場合に、本発明の第1の態様の一実施形態による方法を実施するためのものである。これと並んで、本発明のさらなる態様は、このようなコンピュータプログラムが格納されているコンピュータ可読媒体に関する。
【0030】
コンピュータ可読媒体は、揮発性又は不揮発性のデータ記憶装置であるものとしてよい。例えば、コンピュータ可読媒体は、ハードディスク、USBメモリ装置、RAM、ROM、EPROM又はフラッシュメモリであるものとしてよい。コンピュータ可読媒体は、プログラムコードのダウンロードを可能にするデータ通信ネットワークであるものとしてもよく、これは、例えば、インターネット又はデータクラウド(クラウド)である。本発明の第1の態様の一実施形態による方法の特徴は、コンピュータプログラム及び/又はコンピュータ可読媒体の特徴であるものとしてもよく、また、その逆も可能である。
【0031】
本発明の実施形態に至る着想を、特に、以下において説明される思想及び認識に基づいているとみなすことができる。
【0032】
一実施形態によれば、さらに、安全性アルゴリズムの出力が快適性アルゴリズムに入力され、ここでは、快適性アルゴリズムは、さらに、安全性アルゴリズムのこの出力に基づいて快適性に関連する対象物を識別するように構成されている。これによって、快適性に関連する対象物の識別時に、ある程度の安全性規準が守られることが実現される。換言すれば、このようにして、快適性アルゴリズムを、安全性アルゴリズムによって、より安全なものにすることができる。
【0033】
画像などのセンサ生データを、快適性アルゴリズムによって、専用の対象物識別を伴わずに処理することも可能である。
【0034】
一実施形態によれば、快適性アルゴリズムは、センサデータに基づいて、快適性に関連する及び/又は安全性に関連する対象物を識別するように、機械学習によって訓練されている。これによって、比較的高い自動走行能力を得ることができる。
【0035】
一実施形態によれば、快適性アルゴリズムは、人工ニューラルネットワークに基づいている。人工ニューラルネットワークは、例えば、多層パーセプトロン又は畳み込みニューラルネットワークであるものとしてよい。
【0036】
一実施形態によれば、車両を安全な状態に移行させるための別の安全性軌道が、別の安全性規準を考慮して、識別された対象物の推定された将来の状態に基づいて計算される。別の安全性軌道を、安全な、即ち、リスクが最小の状態において車両を停止させるための、リスクが最適化された軌道として捉えることができる。例えば、別の安全性軌道を用いて、車道の縁部に車両を停止させることができる。安全性軌道の計算が失敗した場合に、車両を制御するために別の安全性軌道が使用される。安全性軌道と別の安全性軌道とは、例えば、後者が、車両を安全な状態に移行させるのに対して、前者は、走行を継続させて、適当な将来の時点において快適性軌道に接続するという点において異なるものとしてよい。
【0037】
一実施形態によれば、この方法はさらに、制御モジュールに関連せずに電気エネルギが供給される、車両コンピュータの別の制御モジュールにおいてセンサデータを受け取るステップと、別の制御モジュールによって、安全性アルゴリズムにセンサデータを入力するステップと、別の制御モジュールによって、周辺環境モデルを使用して、識別された対象物の将来の状態を推定するステップと、別の制御モジュールによって、識別された対象物の推定された将来の状態に基づいて、別の安全性規準を考慮して、車両を安全な状態に移行させるための別の安全性軌道を計算するステップと、別の制御モジュールによって、制御モジュールが機能可能であるか否かを検査するステップと、制御モジュールが機能可能でない場合に、別の制御モジュールによって車両を制御するために別の安全性軌道を使用するステップと、を含む。これによって、車両コンピュータの故障時に車両を事故なく確実に安全な状態に移行させるために、冗長性を得ることができる。
【0038】
一実施形態によれば、車両システムは、本発明の第1の態様の一実施形態による方法を実施するように構成されている制御モジュールと、制御モジュールに関連せずに電気エネルギが供給可能であり、同様に、本発明の第1の態様の一実施形態による方法を実施するように構成されている少なくとも1つの別の制御モジュールと、を含む。
【0039】
一実施形態によれば、制御モジュールは、本発明の第1の態様の一実施形態による方法を実施するために構成されているソフトウェアモジュールを含む。さらに、別の制御モジュールも、本発明の第1の態様の一実施形態による方法を実施するために構成されているソフトウェアモジュールを含む。ここでは、別の制御モジュールのソフトウェアモジュールは、制御モジュールのソフトウェアモジュールの少なくとも部分的なコピーである。
【0040】
以下において、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について説明するが、図面も説明も、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の一実施例による車両システムを備えた車両を示す図である。
【0042】
図面は、概略的なものに過ぎず、縮尺通りではない。図面において、同一の参照符号は、同一の特徴又は機能が同等の特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
発明の実施形態
図1は、車両100を示しており、車両100は、車両100の周辺環境にある対象物、ここでは、例えば、路面標識104、前方を走行する車両106、水たまり108及び水たまり108の近傍にいる歩行者109を検出するためのセンサシステム102と、アクチュエータシステム110と、車両コンピュータ112とを備えている。アクチュエータシステム110は、例えば、1つ又は複数のステアリングアクチュエータ又はブレーキアクチュエータと、エンジン制御装置とを含むものとしてよい。車両コンピュータ112、センサシステム102及びアクチュエータシステム110は、車両100を部分自動及び/又は完全自動により制御するように構成され得る車両システム114のコンポーネントである。例えば、車両コンピュータ112は、車両100が操舵、加速又は制動されるように、アクチュエータシステム110を駆動制御することができる。
【0044】
このために、車両コンピュータ112は、はじめに、センサシステム102の個々のセンサ、ここでは、例えば、カメラ102a及びレーダセンサ102bからセンサデータ116を受け取り、センサデータ116を評価することによって、車両100の少なくとも1つの安全性軌道120及び快適性軌道122(2つの破線の矢印で示唆されている)を計算する。ここでは、車両コンピュータ112は、路面標識104と、前方を走行する車両106と、水たまり108と、歩行者109とを識別する。快適性軌道122の計算には、例えば、特に水たまり108と歩行者109とが関連し得る。他方では、安全性軌道120の計算には、歩行者109に加えて、路面標識104と前方を走行する車両106とが関連し得る。
【0045】
一般に、快適性軌道122の計算には、安全性軌道120の計算にも関連するすべてのものが関連し得る(
図1に示された水たまりの識別及び迂回は、単なる一例に過ぎない)。
【0046】
安全性規準を優先して安全性軌道120が計算され、快適性規準を優先して快適性軌道122が計算されるという点において、2つの軌道120、122が相違するものとしてよく、これについては、以下において、
図2を参照しながらより詳細に説明する。簡単に言えば、快適性軌道122は、車両100の乗員が可能な限り快適な走行体験を有し、同時に、他の道路利用者が車両100によって可能な限り損害を受けることがないように構想されている。例えば、快適性軌道122は、安全性軌道120とは異なり、水たまり108を迂回するので、歩行者109は、車両100の通過時に水はね被害を受けることはない。
【0047】
さらに、車両コンピュータ112は、快適性軌道122が十分に安全であるか否か、例えば、車両100が水たまり108の迂回時に対向する車両に衝突しないか否かを検査する。快適性軌道122が十分に安全である場合には、車両コンピュータ112がアクチュエータシステム110を駆動制御し、これによって、車両100は、快適性軌道122に相応に案内される。快適性軌道122が十分に安全でない場合には、車両コンピュータ112は、車両100を制御するために、安全性軌道120を使用する。
【0048】
図2には、
図1の車両コンピュータ112の可能なアーキテクチャが示されている。このアーキテクチャは、安全性レベル200、快適性レベル202及び冗長性レベル204を含む。レベル200、202、204は、車両コンピュータ112のアーキテクチャの分けられている領域を表す。安全性レベル200及び快適性レベル202は、一次計算クラスタとも称され得る制御モジュール206に実装されている。冗長性レベル204は、制御モジュール206に関連せずに電気エネルギが供給可能な別の制御モジュール208に実装されている。別の制御モジュール208は、二次計算クラスタとも称され得る。制御モジュール206の故障時、例えば、電圧供給が中断された場合、又は、機能不全の場合に、別の制御モジュール208が車両100の制御を担う。
【0049】
車両コンピュータ112は、3つのすべてのレベル200、202、204を介して、以下において詳細に説明される種々の機能領域に分けられている。これらの機能領域に含まれているモジュールは、ハードウェア及び/又はソフトウェアとして実装されるものとしてよい。同一の参照符号を有するモジュールは、異なるレベルにおいて実行される場合は、同一のモジュールとして解釈されるべきである。例えば、別の制御モジュール208のモジュールは、制御モジュール206のモジュールの少なくとも部分的なコピーであるものとしてよい。モジュール間のデータフローは、矢印によって示されている。
【0050】
第1の機能領域210は、車両100の周辺環境の認知、及び、複数の順次連続する時間ステップにおけるセンサデータ116の融合による対象物検出に関する。このために、安全性レベル200及び冗長性レベル204において安全性認知モジュール212が実行され、安全性認知モジュール212は安全性アルゴリズムを実行し、安全性アルゴリズムにセンサデータ116が入力され、安全性アルゴリズムは、出力として、識別された、安全性に関連する対象物、例えば、前方を走行する車両106、路面標識104又は歩行者109を提供する。これと並行して、快適性レベル202において快適性認知モジュール214が実行され、快適性認知モジュール214は快適性アルゴリズムを実行し、快適性アルゴリズムに同様にセンサデータ116が入力され、快適性アルゴリズムは、出力として、識別された、快適性に関連する対象物、例えば、歩行者109及び水たまり108を提供する。
【0051】
快適性アルゴリズムは、相応に訓練された分類器、例えば、人工ニューラルネットワークに基づくものとしてよい。特に、人工ニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク、例えば、Convolutional Layerとも称される、多数の訓練可能な畳み込み層を備えた畳み込みニューラルネットワークであるものとしてよい。
【0052】
安全性アルゴリズムは、快適性アルゴリズムと比較して計算コストのかからないアルゴリズムであるものとしてよい。安全性認知モジュール212は、品質基準ASIL-B(D)又はASIL-Dに準拠して開発されたものであるものとしてよい。
【0053】
第2の機能領域216は、安全性層218及び快適性層220を含むものとしてよいデジタルマップにおける車両100の位置特定と、識別された対象物104、106、108、109の位置特定とに関する。安全性層218と快適性層220とは、それらの安全性要求において相違するものとしてよい。安全性層218は、安全性レベル200と冗長性レベル204とに位置している。快適性層220は、快適性レベル202に位置している。位置特定は、安全性レベル200及び冗長性レベル204で実行可能な位置特定モジュール222によって行われる。位置特定モジュール222の出力は、安全性レベル200から快適性層220に入力することができ、又は、快適性層220内に組み込むことができる。
【0054】
第3の機能領域224は、周辺環境モデル226に関し、周辺環境モデル226には、識別された対象物104、106、108、109及び車両100がモデルとして格納され、継続して更新される。
【0055】
周辺環境モデル226は、例えば、ASIL-Dに従って開発されたものであるものとしてよく、種々の確実性のデータを含むものとしてよい。周辺環境モデル226は、安全性レベル200に位置し、安全な部分グラフ228を含むものとしてよく、そのデータは、安全性レベル200及び冗長性レベル204の双方において使用することが可能である。安全性アクセスモジュール230は、周辺環境モデル226のデータへのアクセスを制御する。
【0056】
快適性レベル202は、快適性アクセスモジュール232を含み、快適性アクセスモジュールは、一方では、データを周辺環境モデル226に入力することができ、例えば、識別された、快適性に関連する対象物108、109に関するデータを入力することができ、他方では、周辺環境モデル226からデータを読み出すことができ、例えば、識別された、安全性に関連する対象物104、106、109に関するデータを読み出すことができる。両方の場合において、アクセスは、安全性アクセスモジュール230を介して行われる。
【0057】
第4の機能領域234は、周辺環境モデル226における対応するモデルを使用した、識別された対象物104、106、108、109又は車両100の動きの予測に関する。
【0058】
このために、快適性レベル202に、周辺環境モデル226の将来の状態を快適性の観点から推定する快適性予測モジュール236が実装されるものとしてよい。快適性予測モジュール236は、例えば、後続の軌道計画のための快適性重視の境界条件を生成することもできる。このような境界条件は、例えば、快適性の理由から、他の道路利用者に対して、遵守されるべき距離であるものとしてよい。
【0059】
快適性予測モジュール236の出力に基づいて、快適性状態推定器238において、周辺環境モデル226の、快適性重視の目標状態を、軌道計画のために求めることができる。
【0060】
これと同様に、安全性レベル200及び冗長性レベル204に、周辺環境モデル226の将来の状態を安全性の観点から推定する安全性予測モジュール240が実装されるものとしてよい。安全性予測モジュール240は、例えば、後続の軌道計画のための安全性重視の境界条件を生成することができる。このような境界条件は、例えば、安全性の理由から、他の道路利用者に対して、遵守されるべき距離であるものとしてよい。
【0061】
安全性予測モジュール240の出力に基づいて、安全性状態推定器242において、周辺環境モデル226の、安全性重視の目標状態を、軌道計画のために求めることができる。安全性状態推定器242は、専ら安全性レベル200に実装されるものとしてよい。
【0062】
さらに、別の安全性状態推定器244において、車両100及び/又は他の道路利用者に対する、可能な限り最小のリスクの状態を表す、周辺環境モデル226の、リスクが最適化された安全性重視の目標状態を求めることができる。別の安全性状態推定器244は、安全性レベル200と冗長性レベル204との両方に実装されるものとしてよい。
【0063】
エラーケースにおいては、例えば、リスクが最適化された目標状態に基づいて、軌道計画が行われるものとしてよい。
【0064】
第5の機能領域246は、軌道計画に関する。ここには、すべての3つのレベル200、202、204において、安全性軌道120又は快適性軌道122を計算するためのソルバ248が実装されるものとしてよい。
【0065】
境界条件評価器250は、各境界条件を評価する。ソルバ248は、各目標状態及び境界条件評価器250の出力に基づいて、複数の可能な安全性軌道又は快適性軌道を計算する。
【0066】
安全性レベル200及び冗長性レベル204に実装されている安全性軌道重み付け器252は、可能な安全性軌道のそれぞれに、安全性コスト関数に基づいてコストを割り当てて、そこから最も適した安全性軌道120を選択する。
【0067】
これと同様に、快適性レベル202に実装されている快適性軌道重み付け器254は、可能な快適性軌道のそれぞれに、快適性コスト関数に基づいてコストを割り当てて、そこから最も適した快適性軌道122を選択する。
【0068】
安全性コスト関数と快適性コスト関数とは、異なる関数であるものとしてよく、例えば、その複雑性が異なるものとしてよい。
【0069】
ソルバ248が、リスクが最適化された目標状態に基づいて、車両100を安全な状態に移行させるために用いられ得る別の安全性軌道を計算することが可能である。別の安全性軌道の計算を、安全性軌道120の計算と同様に行うことができる。別の安全性軌道は、安全性レベル200においても即ち制御モジュール206によっても、冗長性レベル204においても即ち別の制御モジュール208によっても、計算することが可能であり、従って、冗長的に計算され得る。
【0070】
第6の機能領域256は、調停に関する。ここでは、安全性レベル200に実装されている、調停部とも称され得る検査モジュール258が、快適性軌道122が、安全性重視の境界条件と調和し得るか否か、又は、このような境界条件に害を与えるか否かを検査する。快適性軌道122が、安全性重視の境界条件と調和し得る場合には、検査モジュール258は、快適性軌道122を出力する。快適性軌道122が、安全性重視の境界条件と調和し得ない場合には、検査モジュール258は、安全性軌道120又は別の安全性軌道を出力する。後者は、安全性軌道120の計算が何らかの理由により成功しなかった場合に出力され得る。
【0071】
さらに、状態監視器260が、制御モジュール206又は別の制御モジュール208の関連するすべてのコンポーネントを監視することができる。状態監視器260は、安全性レベル200にも冗長性レベル204にも実装されるものとしてよい。例えば、冗長性レベル204の状態監視器260が、制御モジュール206の関連するコンポーネントのうちの1つのコンポーネントの異常な状態を検出すると、別の制御モジュール208が、別の制御モジュール208によって計算された別の安全性軌道に基づいて車両100の制御を担う。
【0072】
第7の機能領域262は、車両100のアクチュエータシステム110、例えば、駆動部264、ブレーキ装置266及び操舵部268の制御に関する。このために、安全性レベル200及び冗長性レベル204に、対応する制御命令をアクチュエータシステム110に送る車両制御モジュール270が実装されている。従って、アクチュエータシステム110は、安全性レベル200及び冗長性レベル204を介して冗長的に駆動制御され、状態監視器260が安全性レベル200の機能障害又は故障さえ検出しない限り、冗長性レベル204からの制御命令よりも、安全性レベル200からの制御命令が優先される。
【0073】
最後に、「有する(aufweisend)」、「含む(umfassend)」などの用語が他の要素又はステップを排除しないこと、また、「eine」又は「ein」のような不定冠詞が複数形を排除しないことに留意されたい。特許請求の範囲における参照符号は、限定するものとみなされるべきではない。