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特許7538350反射ディスプレイデバイス、ディスプレイパネル、およびディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】反射ディスプレイデバイス、ディスプレイパネル、およびディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/157 20060101AFI20240814BHJP
   G09G 3/38 20060101ALI20240814BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240814BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240814BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20240814BHJP
【FI】
G02F1/157
G09G3/38
G09G3/20 612U
G09G3/20 642E
G09G3/20 611A
G09F9/30 380
G09F9/30 349D
G02F1/15
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023526154
(86)(22)【出願日】2020-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 CN2020125668
(87)【国際公開番号】W WO2022088152
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 上
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 友明
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0316694(US,A1)
【文献】特開2011-145672(JP,A)
【文献】特開2013-148727(JP,A)
【文献】特開2009-276766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0091224(US,A1)
【文献】国際公開第2018/176761(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15-1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射ディスプレイデバイスであって、
基板と、
前記基板の一方の側に配置された複数のアンテナからなるアンテナアレイであって、前記アンテナアレイは、前記基板の面方向に周期的に配置された誘電材料アレイと、前記誘電材料アレイの表面を覆うエレクトロクロミック材料薄膜とを備え、前記誘電材料アレイは、可視光を反射し、反射スペクトルの反射ピークを形成するように構成される、アンテナアレイと、
導電材料を使用することによって前記エレクトロクロミック材料薄膜に接続され、前記可視光について前記誘電材料アレイによって形成された前記反射ピークの高さを調整するために、前記エレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部を調整するように構成された制御回路と
を備え
第1の導電層が、前記誘電材料アレイと前記エレクトロクロミック材料薄膜との間に配置され、第2の導電層が、前記エレクトロクロミック材料薄膜の、前記誘電材料アレイから離れている側に配置され、前記第1の導電層および前記第2の導電層は共に、前記制御回路に接続され、前記第1の導電層は、各アンテナの、他のアンテナと向かい合う面を覆うように配置される、反射ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記誘電材料アレイの材料の屈折率は、前記基板の材料の屈折率より大きい請求項1に記載の反射ディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記基板の前記アンテナアレイが配置される前記一方のの部分は、透明な材料製である請求項1に記載の反射ディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記誘電材料アレイの材料は、ケイ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、および二酸化チタンのうちの1つまたは複数を含む請求項1に記載の反射ディスプレイデバイス。
【請求項5】
複数のピクセルユニットを備えるディスプレイパネルであって、前記複数のピクセルユニットは周期的に配置され、各ピクセルユニットは、複数の反射ディスプレイデバイスを備え、前記反射ディスプレイデバイスは、請求項1乃至のいずれか一項に記載の反射ディスプレイデバイスである、ディスプレイパネル。
【請求項6】
各ピクセルユニットは、少なくとも3つの反射ディスプレイデバイスを備え、異なる反射ディスプレイデバイスにおいて、アンテナアレイにおけるアンテナ幅が異なり、前記アンテナアレイのアレイ周期が異なる請求項に記載のディスプレイパネル。
【請求項7】
ディスプレイドライバと、請求項に記載のディスプレイパネルとを備えるディスプレイであって、前記ディスプレイドライバは、前記ディスプレイパネルに接続され、画像を表示するように前記ディスプレイパネルを制御するように構成される、ディスプレイ。
【請求項8】
ディスプレイに適用される画像ディスプレイ制御方法であって、前記ディスプレイは、ディスプレイドライバと、ディスプレイパネルとを備え、前記ディスプレイドライバは、前記ディスプレイパネルに接続され、画像を表示するように前記ディスプレイパネルを制御するように構成され、
前記ディスプレイパネルは、複数のピクセルユニットを備え、前記複数のピクセルユニットは周期的に配置され、各ピクセルユニットは、複数の反射ディスプレイデバイスを備え、
前記反射ディスプレイデバイスは、
基板と、
前記基板の一方の側に配置された複数のアンテナからなるアンテナアレイであって、前記アンテナアレイは、前記基板の面方向に周期的に配置された誘電材料アレイと、前記誘電材料アレイの表面を覆うエレクトロクロミック材料薄膜とを備え、前記誘電材料アレイは、可視光を反射し、反射スペクトルの反射ピークを形成するように構成される、アンテナアレイと、
導電材料を使用することによって前記エレクトロクロミック材料薄膜に接続され、前記可視光について前記誘電材料アレイによって形成された前記反射ピークの高さを調整するために、前記エレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部を調整するように構成された制御回路とを備え、
第1の導電層が、前記誘電材料アレイと前記エレクトロクロミック材料薄膜との間に配置され、第2の導電層が、前記エレクトロクロミック材料薄膜の、前記誘電材料アレイから離れている側に配置され、前記第1の導電層および前記第2の導電層は共に、前記制御回路に接続され、前記第1の導電層は、各アンテナの、他のアンテナとが向かい合う面を覆うように配置され、
前記画像ディスプレイ制御方法は、
前記ディスプレイドライバによって、画像ディスプレイ信号を受信するステップと、
前記ディスプレイドライバによって、前記画像ディスプレイ信号に基づいて各ピクセルユニット内の各反射ディスプレイデバイスの制御回路にディスプレイ制御信号を送るステップと、
前記制御回路によって、各反射ディスプレイデバイスの輝度を調整するために、前記ディスプレイ制御信号に基づいて各反射ディスプレイデバイス内の前記エレクトロクロミック材料薄膜の前記屈折率の前記虚数部を調整するステップと、
前記ディスプレイパネルによって、前記画像ディスプレイ信号に対応する画像を表示するステップと
を含む、画像ディスプレイ制御方法。
【請求項9】
前記制御回路によって、前記ディスプレイ制御信号に基づいて各反射ディスプレイデバイス内の前記エレクトロクロミック材料薄膜の前記屈折率の前記虚数部を調整する前記ステップは、前記制御回路によって、制御電圧を出力するステップであって、前記制御電圧は、前記ディスプレイ制御信号に基づいて決定され、前記制御電圧は、各ディスプレイデバイス内の前記エレクトロクロミック材料薄膜の前記屈折率の前記虚数部を調整するために使用される、ステップを含む請求項に記載の画像ディスプレイ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、表示技術の分野、特に反射ディスプレイデバイス、ディスプレイパネル、およびディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、液晶表示または有機エレクトロルミネセンス表示など自発光透過表示技術が、電子デバイス内で使用されるディスプレイデバイスに適用される。自発光透過表示技術が使用されているとき表示される明るさは、周辺光とは大きく異なり、その結果、人の目を刺激しがちであり、ドライアイおよび目の疲れをもたらす。自発光透過表示技術に存在する問題を解決するために、周辺光を使用し目の保護効果を有する反射表示技術が開発されている。
【0003】
既存の反射表示技術は、主に、発光性の反射液晶表示、電気泳動表示、エレクトロウェッティング表示、および微小電気機械システム(MEMS)表示などを含む。反射液晶表示技術は、低い反射率、厚さが大きい、および高いエネルギー消費という欠点を有し、電気泳動表示技術は、低い解像度、複雑な処理、低い反射率、および低いリフレッシュレートという欠点を有し、エレクトロウェッティング表示技術は、複雑な設計処理、高い駆動電圧、低い解像度、および複雑な処理という欠点を有し、微小電気機械システム表示技術は、低い処理歩留率、高いコスト、および不十分な安定性という欠点を有する。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施形態は、既存の反射ディスプレイデバイスの低い解像度、低い反射率、高いエネルギー消費、および複雑な処理の問題を解決するために、したがって、反射ディスプレイデバイスの解像度および反射率を改善し、製品のエネルギー消費およびコストを低減するために、反射ディスプレイデバイス、ディスプレイパネル、およびディスプレイを提供する。
【0005】
前述の目的を達成するために、本出願は、以下の技術的解決策を使用する。
【0006】
第1の態様によれば、本出願は、反射ディスプレイデバイスを提供する。反射ディスプレイデバイスは、基板と、アンテナアレイと、制御回路とを含む。アンテナアレイは、基板の一方の側に配置される。アンテナアレイは、周期的に配置された誘電材料アレイと、誘電材料アレイの表面を覆うエレクトロクロミック材料薄膜とを含み、誘電材料アレイは、可視光を反射し、反射ピークを形成するように構成される。誘電材料は、高度に電気的に分極されることが可能である材料である。誘電材料アレイでは、誘電材料は、固定された形状になされ、特定の規則に従って配置され、たとえば方形アレイまたは六角形アレイで配置される。エレクトロクロミック材料は、印加された電界の作用下で、安定した可逆の色変化が、材料の反射率、透過率、および吸収率など光学的属性に生じ、見た目において可逆の色および透明度の変化として提示される材料を指す。たとえば、本出願のこの実施形態における反射ディスプレイデバイスでは、電圧がエレクトロクロミック材料薄膜に印加されたとき、エレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部が変化し得る。このようにして、エレクトロクロミック材料の光吸収率が変化する、すなわち、形成された反射スペクトルの反射ピークの高さが変化し、最終的に色変化および輝度変化が反映される。制御回路は、導電材料を使用することによってエレクトロクロミック材料薄膜に接続され、可視光について誘電材料アレイによって形成された反射ピークを調整するために、エレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部を調整するように構成される。
【0007】
第1の態様において提供される反射ディスプレイデバイスでは、誘電材料アレイおよびエレクトロクロミック材料薄膜によって形成されたアンテナアレイは、基板の一方の側に配置され、制御回路は、電気信号を使用することによってエレクトロクロミック材料を制御するために、導電材料を使用することによってエレクトロクロミック材料薄膜に接続され、エレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部の変化が、その電気信号を使用することによって制御される。この場合、特定の色の表示輝度が変化させられる。このようにして、異なる色および輝度を、異なる幾何学的サイズのアンテナアレイを使用することによって表示することができ、様々な色が、異なる色および輝度の組合せに基づいて表示され得る。第1の態様において提供される反射ディスプレイデバイスでは、ナノメートルレベルのアンテナアレイが、光学共鳴モードをサポートし、ディスプレイデバイスの解像度および反射率を改善するように、高い反射率および狭い帯域幅を有する反射ピークを形成することができる。アンテナアレイは、誘電材料製であり、半導体製造方法を使用することによって生産することができる。これは、生産コストを削減することができる。特定の色の輝度を連続的に変化させ、加色原理に基づいて異なる色および輝度を表示するために、エレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部を、電気信号を使用することによって連続的に制御することができる。さらに、エレクトロクロミック材料は、双安定特性をさらに有し、エレクトロクロミック材料の光学損失が変化するとき得られる状態を、連続的に維持することができ、電気信号は、連続的に印加されることを必要としない。したがって、輝度が調整されるとき、エレクトロクロミック材料は、エネルギーを連続的に消費することを必要としない。これは、全体的なディスプレイデバイスのエネルギー消費を削減することができる。エレクトロクロミック材料薄膜の厚さは、ナノメートルレベルの厚さである。光変調中、エレクトロクロミック材料薄膜のより小さい厚さは、エレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部を調整するよりよい効果、およびより速い応答速度を示す。さらに、エレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部の調整効果および応答速度をさらに改善するように、強い局所電磁界が共鳴効果により誘電材料アレイ周りに生成される。
【0008】
可能な実装では、第1の導電層が、誘電材料アレイとエレクトロクロミック材料薄膜との間に配置され、第2の導電層が、エレクトロクロミック材料薄膜のものであり誘電材料アレイから離れている側に配置され、第1の導電層および第2の導電層は共に、制御回路に接続される。この可能な実装では、エレクトロクロミック材料薄膜が電気信号の制御下でエレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部を調整することを可能とするために、また特定の色の輝度を調整するために、導電層は、電気信号を伝送するためにエレクトロクロミック材料薄膜の上側および下側に別々に配置されることを必要とする。このようにして、アンテナアレイは、様々な色でさらに表示される。
【0009】
さらに、誘電材料アレイの材料の屈折率は、基板の材料の屈折率より大きい。このさらなる解決策では、大きな屈折率対比は、高い反射率および狭い帯域幅を有する反射ピークをサポートするように、アンテナアレイが十分に強い光照射野局所化モードを生成することを可能にする。
【0010】
任意選択で、誘電材料アレイの材料の屈折率の実部は、2より大きい。
【0011】
任意選択で、基板の材料の屈折率の実部は、2未満である。
【0012】
任意選択で、基板のものでありアンテナアレイが配置される側は、透明な材料製である。これは、周辺光の反射を容易にする。
【0013】
任意選択で、誘電材料アレイの材料は、ケイ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、および二酸化チタンのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0014】
第2の態様によれば、本出願は、ディスプレイパネルを提供する。ディスプレイパネルは、複数のピクセルユニットを含む。複数のピクセルユニットは、周期的に配置され、各ピクセルユニットは、複数の反射ディスプレイデバイスを含む。反射ディスプレイデバイスは、第1の態様による任意の可能な反射ディスプレイデバイスである。このようにして、複数の反射ディスプレイデバイスは、異なる色を別々に表示し、共にピクセルユニットをカラーピクセルユニットとして形成し得る。カラーピクセルユニットは、カラーディスプレイパネルを形成するように周期的に配置され得る。各ピクセルユニット内の異なる反射ディスプレイデバイスにおける制御回路の独立制御を通して、カラー画像を表示するために、各ピクセルユニットの輝度が調整される。
【0015】
可能な実装では、各ピクセルユニットは、少なくとも3つの反射ディスプレイデバイスを含む。異なる反射ディスプレイデバイスでは、アンテナアレイにおけるアンテナ幅は異なり、アンテナアレイのアレイ周期は異なる。このようにして、アンテナアレイの異なるアンテナ幅および異なるアレイ周期は、カラー画像を表示するために、異なる色で表示され得る。
【0016】
第3の態様によれば、本出願は、ディスプレイを提供する。ディスプレイは、ディスプレイドライバと、第2の態様による任意の可能なディスプレイパネルとを含む。ディスプレイドライバは、ディスプレイパネルに接続され、画像を表示するようにディスプレイパネルを制御するように構成される。
【0017】
第4の態様によれば、本出願は、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、駆動回路と、第3の態様において提供されるディスプレイとを含む。
【0018】
第5の態様によれば、本出願は、画像ディスプレイ制御方法を提供する。画像ディスプレイ制御方法は、ディスプレイに適用される。ディスプレイは、ディスプレイドライバと、ディスプレイパネルとを含む。ディスプレイドライバは、ディスプレイパネルに接続され、画像を表示するようにディスプレイパネルを制御するように構成される。ディスプレイパネルは、複数のピクセルユニットを含む。複数のピクセルユニットは、周期的に配置され、各ピクセルユニットは、複数の反射ディスプレイデバイスを含む。反射ディスプレイデバイスは、基板と、基板の一方の側に配置されたアンテナアレイであって、アンテナアレイは、周期的に配置された誘電材料アレイと、誘電材料アレイの表面を覆うエレクトロクロミック材料薄膜とを含み、誘電材料アレイは、可視光を反射し、反射ピークを形成するように構成される、アンテナアレイと、導電材料を使用することによってエレクトロクロミック材料薄膜に接続され、可視光について誘電材料アレイによって形成された反射ピークを調整するために、エレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部を調整するように構成された制御回路とを含む。
【0019】
画像ディスプレイ制御方法は、以下を含む。ディスプレイドライバが、画像ディスプレイ信号を受信し、ディスプレイドライバが、画像ディスプレイ信号に基づいて各ピクセルユニット内の各反射ディスプレイデバイスの制御回路にディスプレイ制御信号を送り、制御回路が、各反射ディスプレイデバイスの輝度を調整するために、ディスプレイ制御信号に基づいて各反射ディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部を調整し、ディスプレイパネルが、画像ディスプレイ信号に対応する画像を表示する。
【0020】
可能な実装では、制御回路が、ディスプレイ制御信号に基づいて各反射ディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部を調整することは、以下を含む。制御回路が、制御電圧を出力する。制御電圧は、ディスプレイ制御信号に基づいて決定され、制御電圧は、各ディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜の屈折率の虚数部を調整するために使用される。
【0021】
上記で提供されるディスプレイパネル、ディスプレイ、電子デバイス、画像ディスプレイ制御方法などは、上記で提供される反射ディスプレイデバイスによって実装され、または上記で提供される反射ディスプレイデバイスに関連付けられ得ることが理解され得る。したがって、達成することができる有利な効果については、上記で提供される反射ディスプレイデバイスの有利な効果を参照されたい。詳細は、本明細書に再度記載されない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本出願の実施形態による電子デバイスの構造の概略図である。
図2】本出願の実施形態によるディスプレイパネルの表示原理の構造の概略図である。
図3】本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの上面図である。
図4】本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの構造の概略図である。
図5】本出願の実施形態による別の反射ディスプレイデバイスの構造の概略図である。
図6】本出願の実施形態による3つの反射ディスプレイデバイスを含むピクセルユニットの構造の概略図である。
図7】本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの反射スペクトル波形図1である。
図8】本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの反射スペクトル波形図2である。
図9】本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの特定の例の構造の概略図である。
図10図9に示されている特定の例におけるエレクトロクロミック材料の屈折率がゼロである場合に対応する反射スペクトル波形図である。
図11】CIE1931色度図における、図9に示されている特定の例において生成される構造色に対応する位置の概略図である。
図12図9に示されている特定の例におけるエレクトロクロミック材料の屈折率が増大する場合に対応する反射スペクトル波形図である。
図13】本出願の実施形態による画像ディスプレイ制御方法のフローチャートである。
【0023】
符号:
01:ディスプレイ、201:ピクセルユニット、2011:第1の単一ピクセルユニット、2012:第2の単一ピクセルユニット、2013:第3の単一ピクセルユニット、301:基板、302:アンテナアレイ、3021:誘電材料アレイ、3022:エレクトロクロミック材料薄膜、303:制御回路、304:第1の導電層、305:第2の導電層、および306:電解質層
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下は、本出願の実施形態において使用される用語について説明および記載する。
【0025】
(1)誘電材料
【0026】
本出願における誘電材料は、誘電体である。誘電体は、電気的に分極されることが可能である絶縁体であり、通常、高度に電気的に分極されることが可能である物質、たとえばケイ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、および二酸化チタンである。
【0027】
(2)エレクトロクロミック材料
【0028】
本出願におけるエレクトロクロミック材料は、印加された電界の作用下で、安定した可逆の色変化が、材料の反射率、透過率、および吸収率など光学的属性に生じ、見た目において可逆の色および透明度の変化として提示される材料を指す。
【0029】
(3)構造色
【0030】
本出願における構造色は、その空間周期が波長に近い物体に光が入射したとき光の散乱、波の干渉、または回折によって生成される色である。
【0031】
(4)加色法
【0032】
本出願における加色法は、新しい色を形成するために特定の色を異なる割合で混合する方法である。特定の色は、三原色、すなわち赤、緑、および青であってよく、または別の色であってよい。
【0033】
以下は、本出願の実施形態における添付の図面を参照して、本出願の実施形態における技術的解決策について記載する。記載の実施形態が本出願の実施形態のすべてではなく一部にすぎないことは明らかである。
【0034】
下記で述べられる「第1の」および「第2の」などの用語は、説明のためのものとして意図されているにすぎず、相対的な重要性を示すまたは暗示するものとしても、示されている技術的特徴の数量を暗黙に示すものとしても理解されないものとする。したがって、「第1の」、「第2の」などによって限定される特徴は、1つまたは複数のそのような特徴を明示的に示す、または暗黙に含み得る。
【0035】
さらに、本出願では、「上」「下」「左」「右」「水平」および「垂直」など方向の用語は、添付の図面における構成要素の、図示されている配置位置に対して定義される。これらの方向用語は、相対的な概念であり、相対性について記述し明確化するために使用され、添付の図面内の構成要素の配置位置が変化したとき、それに応じて変化し得ることを理解されたい。
【0036】
本出願の一実施形態は、電子デバイスを提供する(図1に示されているように)。電子デバイスは、モバイル電話、タブレットコンピュータ、インテリジェントウェアラブルデバイス、物品タグ、携帯情報端末(PDA)、車載コンピュータ、電子ブックなどであってよい。電子デバイスの特定の形態は、本出願のこの実施形態において特に限定されない。
【0037】
電子デバイスは、駆動回路(図1に図示せず)と、ディスプレイ01とを含む。駆動回路は、対応する機能を実施するように電子デバイスを制御するように構成される。ディスプレイ01は、ディスプレイドライバと、図2に示されているディスプレイパネルとを含む。ディスプレイドライバは、図2に示されているディスプレイパネルに接続され、画像を表示するようにディスプレイパネルを制御するように構成され得る。
【0038】
本出願の一実施形態は、ディスプレイパネルをさらに提供する(図2に示されているように)。ディスプレイパネルは、図2における(c)に示されている複数のピクセルユニット201を含み、複数のピクセルユニット201は、1つのカラーピクセルユニットとして使用され、周期的に配置される。周期的な配置は、図2における(b)に示されているように、ピクセルユニットがディスプレイパネルの水平方向および垂直方向に、ディスプレイパネル全体に、順次および繰り返し配置されることであり得る。このようにして、ディスプレイパネルは、図2における(a)に示されている画像を表示するように制御され得る。
【0039】
図2を参照されたい。各ピクセルユニット201は、複数の色の組合せ、たとえば3色、すなわち赤、緑、および青の組合せを含み、すなわち、各ピクセルユニット201は、複数の単一ピクセルユニットを含む。色の加色原理に基づいて、様々な色を、異なるレベルの輝度での複数の色の組合せによって表示することができる。たとえば、各ピクセルユニット201は、3色の組合せを含む。各ピクセルユニット201は、図2における(d)に示されているように、3つの単一ピクセルユニット、すなわち第1の単一ピクセルユニット2011、第2の単一ピクセルユニット2012、および第3の単一ピクセルユニット2013を含む。
【0040】
異なる色を表示するために、本出願のいくつかの実施形態は、反射ディスプレイデバイスを提供する。複数の反射ディスプレイデバイスが、図1に示されているディスプレイパネル内の各ピクセルユニット201内に配置され得、各反射ディスプレイデバイスは1つの色を表示する。具体的には、本出願のこの実施形態では、第1の単一ピクセルユニット2011、第2の単一ピクセルユニット2012、および第3の単一ピクセルユニット2013はすべて、本出願のこの実施形態において提供される反射ディスプレイデバイスを使用する。たとえば、各ピクセルユニット201は、3つの異なる色を表示する。一般に、赤、緑、および青が色の組合せとして選択される。各ピクセルユニット201が3つの異なる色を表示することを可能にするために、各ピクセルユニット201は、3つの反射ディスプレイデバイスを含む。すなわち、第1の単一ピクセルユニット2011は、第1の反射ディスプレイデバイスに対応し、ある色、たとえば赤を表示するように構成され、第2の単一ピクセルユニット2012は、第2の反射ディスプレイデバイスに対応し、別の色、たとえば緑を表示するように構成され、第3の単一ピクセルユニット2013は、第3の反射ディスプレイデバイスに対応し、さらに別の色、たとえば青を表示するように構成される。
【0041】
カラーピクセルユニットに対応する第1の反射ディスプレイデバイス、第2の反射ディスプレイデバイス、および第3の反射ディスプレイデバイスが異なる色を表示すること、たとえば赤、緑、および青を別々に表示することを可能にするために、異なるアンテナ幅およびアレイ周期のアンテナアレイが、第1の反射ディスプレイデバイスと第2の反射ディスプレイデバイスと第3の反射ディスプレイデバイス中とに配置され得る。アンテナアレイは、反射ディスプレイデバイスにおける色表示のための構造構成要素であり得る。
【0042】
図3は、本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの上面図である。図4は、本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの構造の概略図である。図3および図4を参照されたい。反射ディスプレイデバイスは、基板301と、アンテナアレイ302と、制御回路303とを含む。
【0043】
周辺光の反射効率を改善するために、基板301は、透明な材料製であり、または基板301のものでありアンテナアレイ302に近い少なくとも1つの側が透明な材料製である。アレイにおける光学モードに対して引き起こされる損失を回避するために、基板301によって使用される材料の屈折率の虚数部は低いことを理解されたい。基板301は、反射ディスプレイデバイスにおいて支持する役割を果たす。たとえば、基板301は、ガラス材料製であり得る。
【0044】
アンテナアレイ302は、基板301の一方の側に配置される。アンテナアレイ302は、周期的に配置された誘電材料アレイ3021と、誘電材料アレイ3021の表面を覆うエレクトロクロミック材料薄膜3022とを含み、誘電材料アレイ3021は、可視光を反射し、反射ピークを形成するように構成される。
【0045】
誘電材料アレイ3021はナノメートルレベルであり、誘電材料アレイ3021は、異なる形状およびサイズ、たとえば方形アレイまたは六角形アレイのナノメートル誘電材料構造を使用することによって規則正しく配置されることに留意されたい。誘電材料アレイ3021は、特定のディスプレイ要件に基づいて、また任意の規則に従って配置されてもよい。アンテナアレイ302では、各アンテナ、すなわちナノメートル誘電材料は、立方体形状、円筒形状、または別の形状にある3次元構造のものであってよい。
【0046】
誘電材料アレイ3021における誘電材料のためには、様々な光学誘電材料が選択され得、光学誘電材料は、高い屈折率および低損失という特性を有する。低損失は、屈折率の虚数部が低いことを意味する。任意選択で、誘電材料アレイ3021の材料の屈折率は、基板301の材料の屈折率より大きい。このようにして、大きな屈折率対比は、高い反射率および狭い帯域幅を有する反射ピークをサポートするように、アンテナアレイ302が十分に強い光照射野局所化モードを生成することを可能にする。たとえば、誘電材料アレイ3021の材料の屈折率の実部は、2より大きく、基板301の材料の屈折率の実部は、2未満である。誘電材料アレイ3021の材料は、たとえばケイ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、および二酸化チタンであってよい。代替として複数の誘電材料を含む複合誘電材料、たとえば窒化ケイ素および二酸化チタンを含む複合誘電材料が、誘電材料アレイ3021の材料として選択されてよいことを理解されたい。
【0047】
誘電材料アレイ3021は、可視光帯域における電気双極子共鳴モードおよび磁気双極子共鳴モードをサポートし得、特定のスペクトル波長位置で限られた帯域幅の反射を形成する、すなわち、高い反射率および狭い帯域幅を有する反射ピークを形成し得る。限られた帯域幅の反射位置、すなわち、スペクトル波長位置は、誘電材料アレイ3021の幾何学的パラメータ、たとえば誘電材料アレイ3021の周期、水平幅、高さ、および配置方式を調整することによって変化し得る。異なるスペクトル波長位置は、異なるタイプのカラーディスプレイに対応する、すなわち、異なる構造色に対応し得る。
【0048】
誘電材料アレイ3021の周期は、2つの隣接する誘電材料構造間の距離、たとえばi番目の誘電材料構造の最も左の終点から(i+1)番目の誘電材料構造の最も左の終点までの距離であることを理解されたい。誘電材料アレイ3021の水平幅は、i番目の誘電材料構造における最も左の終点から最も右の終点までの距離である。
【0049】
本出願では、反射ディスプレイデバイスの解像度を効果的に改善するために、誘電材料アレイ3021内の単一の誘電材料構造の水平幅は、百ナノメートルレベルにある。
【0050】
さらに、エレクトロクロミック材料薄膜3022は、誘電材料アレイ3021の表面上に配置され、誘電材料アレイ3021と共にアンテナアレイ302を形成する。本出願のこの実施形態において提供される反射ディスプレイデバイスでは、ナノメートルレベルのアンテナアレイ302は、光学共鳴モードをサポートし、高い反射率および狭い帯域幅を有する反射ピークを形成することができる。光学共鳴モードでは、強い光照射野増強が誘電材料アレイ3021の表面の局所化範囲内で形成され、その表面を覆うエレクトロクロミック材料薄膜3022と光照射野との間の相互作用を効率的に増強することができる。したがって、単に極度に薄いエレクトロクロミック材料を使用することによって、光変調を実装することができる。エレクトロクロミック材料薄膜3022の厚さは、50nm未満であってよい。これは、エレクトロクロミック材料の変調速度を改善し、ディスプレイ性能を改善する助けになる。すなわち、エレクトロクロミック材料薄膜3022の厚さは、ナノメートルレベルの厚さである。光変調中、エレクトロクロミック材料薄膜3022のより小さい厚さは、エレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部を調整するよりよい効果、およびより速い応答速度を示す。さらに、エレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部の調整効果および応答速度をさらに改善するように、強い局所電磁界が共鳴効果により誘電材料アレイ3021周りに生成される。
【0051】
エレクトロクロミック材料の光吸収率は印加された電界の作用下で変化することが可能であるので、エレクトロクロミック材料は、電気信号の制御下でエレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部を変化させ得る。屈折率の虚数部の変化は、実際には、エレクトロクロミック材料の光吸収率の変化として理解され得る。具体的には、エレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部が変化するとき、エレクトロクロミック材料は、光学損失なしと、低い光学損失と、高い光学損失との間で連続的に変化し得る。
【0052】
エレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部が増大するとき、その膜は、光学損失を有する材料として提示されることにさらに留意されたい。したがって、アンテナアレイ302によってサポートされる共鳴モードは減衰され、入射光との結合は弱められ、アンテナアレイ302の反射率は低減され、すなわち、構造色の輝度が低減される。
【0053】
エレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部の変化を制御するために、対応する電気信号が、制御のためにエレクトロクロミック材料薄膜3022に印加され得る。電気信号は、制御回路303によって出力され得、制御回路303は、エレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部を調整し、可視光について誘電材料アレイ3021によって形成された反射ピークを調整するために、導電材料を使用することによってエレクトロクロミック材料薄膜3022に接続される。たとえば、第1の導電層304は、誘電材料アレイ3021とエレクトロクロミック材料薄膜3022との間に配置され、第2の導電層305は、エレクトロクロミック材料薄膜3022のものであり誘電材料アレイ3021から離れている側に配置される。制御回路303は、エレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部を調整するために、第1の導電層304および第2の導電層305を使用することによってエレクトロクロミック材料薄膜3022接続し得る。
【0054】
図5は、本出願の実施形態による別の反射ディスプレイデバイスの構造の概略図である。図5における反射ディスプレイデバイスの構造と図4における反射ディスプレイデバイスの構造との間の違いは、第2の導電層305の厚さが一致しないことにある。本出願において提供される反射ディスプレイデバイスでは、反射ディスプレイデバイスのディスプレイ要件を満たすために、第2の導電層305として導電材料の薄い層だけが必要とされる。したがって、第1の導電層304および第2の導電層305の両方が導電材料の薄い層であってよい。
【0055】
以下は、可視光について誘電材料アレイ3021を含めて反射ピークを調整するために、制御回路303がエレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部を制御する特定の処理である。
【0056】
制御回路303は、特定のディスプレイ要件に基づいて、対応する電気信号を出力する。エレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部が電気信号の制御下でゼロである、すなわち、エレクトロクロミック材料の吸収率がゼロであるとき、光は、限られた帯域幅の反射を形成するようにアンテナアレイ302に入射する。これは、特定の波長位置での高い反射ピークとして提示される。この場合、アンテナアレイ302の反射率は最も高く、高い輝度を有する特定の色として視覚的に提示される。しかし、エレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部が電気信号の制御下で徐々に増大するとき、エレクトロクロミック材料の吸収率は増大し、アンテナアレイ302の反射率は減少し、特定の波長位置における反射ピークは、徐々に減少する。これは、低い輝度を有する特定の色として視覚的に提示される。エレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部が電気信号の制御下で特定の程度増大された後、アンテナアレイ302の反射率は最小に低減され、黒を形成するように、非常に低い輝度として視覚的に提示される。したがって、エレクトロクロミック材料の屈折率の虚数部は、アンテナアレイ302の反射によって提示される色の輝度を調整するために、電気信号の制御を通して調整され得、加色原理に基づいて、様々な色を表示することができる。
【0057】
本出願のこの実施形態では、エレクトロクロミック材料は、三酸化タングステン(WO)もしくは酸化ニッケル(NiO)など遷移金属酸化物であってよく、またはポリアニリンなど有機ポリマーであってよい。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0058】
さらに、エレクトロクロミック材料は双安定特性を有するので、エレクトロクロミック材料の光学損失が変化するとき得られる状態を、連続的に維持することができる。したがって、エレクトロクロミック材料の状態が維持されるとき、電気信号が連続的に印加されることを必要としない。輝度が調整されるとき、エレクトロクロミック材料は、エネルギーを連続的に消費することを必要としない。これは、全体的なディスプレイデバイスのエネルギー消費を削減することができる。
【0059】
反射ディスプレイデバイスのアンテナアレイ302では、異なるアンテナ幅および異なるアレイ周期により、誘電材料アレイ3021が異なる光学共鳴モードをサポートすることが可能になり得、限られた帯域幅の反射が特定のスペクトル波長位置において形成され得る。
【0060】
図6は、本出願の実施形態による3つの反射ディスプレイデバイスを含むピクセルユニットの構造の概略図である。図6では、異なる周期および異なるアンテナ幅を有する3つの反射ディスプレイデバイスが共に、ピクセルユニット201、すなわちカラーピクセルユニットを形成する。は、3つの異なる反射ディスプレイデバイスによって、異なる構造色を形成するように別々に反射されてよく、たとえばそれぞれ青、緑、および赤に対応し得る。
【0061】
3つの異なる反射ディスプレイデバイスは、それぞれの独立した制御回路303によって別々に制御される。図7は、本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの反射スペクトル波形図1である。図7における波形図は、3つの異なる反射ディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部がゼロである場合に対応する。図7では、波形S1は青を表し、波形S2は緑を表し、波形S3は赤を表す。図7では、各色に対応する反射率が高く、エレクトロクロミック材料薄膜3022は、光学損失のない材料として提示されることがわかる。この場合、各色の輝度もまた最も高い。
【0062】
さらに、図8は、本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの反射スペクトル波形図2である。図8における波形図は、3つの異なる反射ディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部が特定の程度増大する場合に対応する。図7では、波形S1は青を表し、波形S2は緑を表し、波形S3は赤を表す。図8では、各色に対応する反射率が非常に低く、エレクトロクロミック材料薄膜3022は、光学損失のある材料として提示されることがわかる。この場合、各色の輝度は最も低く、黒として視覚的に提示される。
【0063】
したがって、図2における概略図を参照する、異なる色の反射ディスプレイデバイスが、ピクセルユニット201、すなわちカラーピクセルユニットを形成し、カラーピクセルユニットは、カラーディスプレイパネルを形成するように周期的に配置される。各ピクセルユニット201内の異なる反射ディスプレイデバイス内の制御回路303の独立制御を通して、各ピクセルユニット201の輝度が、カラー画像を表示するように調整される。
【0064】
以下は、例を使用することによって反射構造デバイスについて記載する。
【0065】
図9は、本出願の実施形態による反射ディスプレイデバイスの特定の例の構造の概略図である。図9では、反射ディスプレイデバイスは、基板301を含む。基板301は、ガラス基板であり、主に、支持する役割を果たす。基板301の材料は、二酸化ケイ素であり、可視光セクションにおける二酸化ケイ素の屈折率は、1.46である。アンテナアレイ302は、基板301の上方に配置され、アンテナアレイ302内の各アンテナユニットの形状は台形であり、台形の辺と底辺との間の挟角は、70度である。アンテナアレイ302内の誘電材料アレイ3021のために選択された誘電材料は、窒化ケイ素および二酸化チタンであり、窒化ケイ素の屈折率は2であり、二酸化チタンの屈折率は、2.45である。誘電材料アレイ3021は、導電電極として10ナノメートルの厚さを有する第1の導電層304で覆われる。第1の導電層304の材料は、酸化インジウムスズであり、透明であり、酸化インジウムスズの屈折率は、1.37である。第1の導電層304は、エレクトロクロミック材料薄膜3022として30ナノメートルの厚さを有する有機エレクトロクロミック材料のポリアニリン(PANI)の層でさらに覆われる。有機エレクトロクロミック材料は、第2の導電層305で覆われ、第2の導電層305は、酸化インジウムスズであってもよい。さらに、電解質層306は、エレクトロクロミック材料薄膜3022と第2の導電層305との間に配置される。電解質層306の屈折率は1.33である。これは、第2の導電層305の電気の導通をさらに容易にする。本明細書における電解質層306は任意選択であり、実際の機能の実装は、電解質層306が配置されない場合でも影響を受けないことを理解されたい。
【0066】
図9に示されている反射構造デバイスでは、最初に、反射構造デバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜3022は、第1の状態になるように、すなわち、屈折率の実部が1.37であり、屈折率の虚数部が0であるように、制御回路303を使用することによって制御される。さらに、アンテナアレイ302の高さは固定される。アンテナアレイ302の幅wを調整することによって、アンテナアレイ302のアレイ周期pは、可視光がアンテナアレイ302によって反射された後形成される反射ピークのスペクトル波長(spectral wavelength)位置を変化させ得る。変化したスペクトル波長位置は、異なる構造色に対応し得る。図10を参照されたい。
【0067】
図10は、異なるアンテナアレイ構造によって形成された反射スペクトルの概略図である。図10を参照する、アンテナアレイ302のアレイ周期pが290ナノメートルであり、アンテナアレイ302のアンテナ幅wが230ナノメートルであるとき、反射ピークは、スペクトル波長が450ナノメートルであり、反射率(reflectance)が90%より大きい位置で形成される。この場合、構造色は、青として提示される。この場合、アンテナアレイ302によって形成された反射ディスプレイデバイスは、図2における(d)における第3の反射ディスプレイデバイスとして使用され得る。
【0068】
アンテナアレイ302のアレイ周期pが340ナノメートルであり、アンテナアレイ302のアンテナ幅wが285ナノメートルであるとき、反射ピークは、スペクトル波長が550ナノメートルであり、反射率が80%より大きい位置で形成される。この場合、構造色は、緑として提示される。この場合、アンテナアレイ302によって形成された反射ディスプレイデバイスは、図2における(d)における第2の反射ディスプレイデバイスとして使用され得る。
【0069】
アンテナアレイ302のアレイ周期pが400ナノメートルであり、アンテナアレイ302のアンテナ幅wが300ナノメートルであるとき、反射ピークは、スペクトル波長が600ナノメートルであり、反射率が80%より大きい位置で形成される。この場合、構造色は、赤として提示される。この場合、アンテナアレイ302によって形成された反射ディスプレイデバイスは、図2における(d)における第1の反射ディスプレイデバイスとして使用され得る。
【0070】
図11は、CIE1931色度図における、図10における反射スペクトルによって提示される構造色の座標の概略図である。点Aは緑を表し、点Bは青を表し、点Cは赤を表す。点A、点B、および点Cは、三角形として接続され、三角形領域は、図6における反射デバイスによってカバーすることができる色域領域である。点A、点B、および点Cによってカバーされる色域領域は大きく、様々な反射ディスプレイ応用シナリオをサポートすることができることがわかる。
【0071】
図11に示されているCIE1931色度図では、水平座標xは、三原色(赤、緑、および青)における赤成分の割合であり、垂直座標yは、三原色(赤、緑、および青)における緑成分の割合であることを理解されたい。CIE1931色度図では、各色における赤成分、緑成分、および青成分の割合の和は、1に等しいはずである。
【0072】
図12は、図9における3つの構造内のエレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部kが0.05、0.2、および1に等しいときの反射スペクトルである。図12に示されているように、エレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部が増大するとき、各構造色に対応する反射スペクトルにおける反射ピークの高さが減少する。エレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部kが1に等しいとき、各構造色に対応する反射スペクトルにおける反射ピークの高さは、最低まで低減される。すなわち、アンテナアレイ302の構造は、全体的な可視光帯域において極度に低い放射率を有する。これは、対応する構造色の輝度を使用不能にすることに対応する。したがって、エレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部を調整することによって、可視光がアンテナアレイ302上に放射された後形成される構造色の輝度が調整され得る。
【0073】
カラーディスプレイのためには、カラーピクセルユニット201、たとえば図2に示されている(c)および(d)を形成するために、図9に示されている反射ディスプレイデバイスが、対応するアンテナ幅およびアンテナアレイ周期に基づいて組み合わされ、配置され得る。各反射デバイスは、独立した制御回路303を含む。対応する反射デバイスによって反射される光のカラー輝度は、制御回路303を使用することによって制御され得、加色原理に基づいて3つ以上の色を混合することによって、様々な異なる色の反射ディスプレイが実装される。
【0074】
さらに、反射ディスプレイデバイスのエネルギー消費が考慮されず、デバイスのスイッチング速度が増大される場合、時間ディメンションにおけるデバイスの使用可能状態または使用不能状態の割合が制御され得、構造色の輝度は、人の目の残像効果を使用することによって制御される。すなわち、反射ディスプレイデバイスは、2つの状態に設定される。一方は、特定の色の明状態表示であり、この場合、その色の輝度は最も高く、他方は、特定の色の暗状態表示であり、この場合、その色の輝度は最も低い。表示色の輝度は、特定の色の暗状態表示時間に対する明状態表示時間の比率に基づいて制御される。たとえば、ある期間において、特定の色の暗状態表示時間に対する明状態表示時間の比率が1:1である場合、人の目によって視覚的に知覚することができる色の輝度は、50%である。
【0075】
画像ディスプレイのために、本出願の一実施形態は、画像ディスプレイ制御方法をさらに提供する。図13は、本出願のこの実施形態による画像ディスプレイ制御方法のフローチャートである。画像ディスプレイ制御方法は、図1に示されているディスプレイ01に適用され得る。
【0076】
図13を参照する図2における表示原理、および図4または図5における反射ディスプレイデバイスが例として使用され、画像ディスプレイ制御方法は、以下を含む。

【0077】
S1301:ディスプレイドライバが画像ディスプレイ信号を受信する。画像が表示されるとき、ディスプレイドライバは画像ディスプレイ信号を受信する。画像ディスプレイ信号は、表示されることを必要とする画像のピクセル情報を含む。ディスプレイ01のディスプレイパネルでは、各反射ディスプレイデバイスは、各ピクセルユニット201内のカラーディスプレイを実装するために、対応するピクセル情報に基づいて、制御回路303を使用することによって色の輝度表示を制御し得る。
【0078】
S1302:ディスプレイドライバは、画像ディスプレイ信号に基づいて、各ピクセルユニット201内の各反射ディスプレイデバイスの制御回路303にディスプレイ制御信号を送る。反射ディスプレイデバイスの輝度調整は、制御回路303によって制御される。ディスプレイドライバが画像ディスプレイ信号を受信したとき、ディスプレイドライバは、画像ディスプレイ信号内のピクセル情報に基づいて、対応するピクセルユニット201内の各反射ディスプレイデバイスの制御回路303にディスプレイ制御信号を送り、制御回路303は、対応する反射ディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部を調整する。
【0079】
S1303:制御回路303は、各反射ディスプレイデバイスの輝度を調整するために、ディスプレイ制御信号に基づいて、各反射ディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部を調整する。一般に、反射ディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部は、電圧によって制御される。異なる電圧がエレクトロクロミック材料薄膜3022に印加されたとき、エレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部は、異なるサイズのものであり、エレクトロクロミック材料薄膜3022は、光反射中、異なる光学損失を提示する。したがって、制御回路303がディスプレイ制御信号を受信したとき、制御回路303は、各ディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部を調整するために、また可視光について誘電材料アレイによって形成された反射ピークを調整するために、制御電圧を出力する。
【0080】
S1304:制御回路303が発光中のディスプレイデバイス内のエレクトロクロミック材料薄膜3022の屈折率の虚数部の条件を完了したとき、ディスプレイパネルは、画像ディスプレイ信号に対応する画像を表示する。
【0081】
前述の説明は、本出願の特定の実装にすぎず、本出願の保護範囲を限定することは意図されていない。本出願に開示されている技術範囲内の、当業者によって容易に理解される変形または置換は、本出願の保護範囲内に入るものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲の対象になるものとする。
図1
図2
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図11
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図13