(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-13
(45)【発行日】2024-08-21
(54)【発明の名称】測位方法、及び測位装置
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20240814BHJP
H04W 4/029 20180101ALI20240814BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240814BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20240814BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20240814BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
H04W4/029
H04W84/10 110
H04W64/00 140
H04W84/18
(21)【出願番号】P 2023550129
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(86)【国際出願番号】 CN2022077471
(87)【国際公開番号】W WO2022179526
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】202110215123.7
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】陳春雷
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/008402(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108282747(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112312315(CN,A)
【文献】特開2002-049538(JP,A)
【文献】特開2002-217813(JP,A)
【文献】特開2008-087102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
H04W 4/029
H04W 84/10
H04W 64/00
H04W 84/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルートゥースメッシュネットワーク内のブルートゥースノードに適用される測位方法であって、
前記ブルートゥースメッシュネットワークは、ブルートゥースゲートウェイ及び少なくとも2つの前記ブルートゥースノードを含み、前記ブルートゥースノードは、全てのブルートゥースノードの位置情報及び各ブルートゥースノード間の距離情報を記憶し、
前記方法は、
前記ブルートゥースゲートウェイによって、端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ及び端末機器との距離が最も近いブルートゥースノードの位置情報を受信するステップと、
前記端末機器に最も近いブルートゥースノードの位置情報に基づき、最も近いブルートゥースノードを決定するステップと、
最も近いブルートゥースノードが、前記端末機器から送信された固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを受信するステップと、
前記CTE情報に基づき、端末機器の現在の位置情報を取得するステップと、
前記端末機器の現在の位置情報と前記目標位置情報が一致しない場合、端末機器の現在の位置情報及び目標位置情報に基づいて端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードの位置情報及びナビゲーション情報を取得し、かつナビゲーション情報を端末機器に送信するステップと、を含む、測位方法。
【請求項2】
前記CTE情報に基づき端末機器の現在の位置情報を取得するステップは、
前記CTE情報に基づき、ブルートゥースノード内における異なるアンテナを制御して切り替え、
端末機器から送信されたブロードキャストメッセージが前記異なるアンテナに到着する際の時間差を取得し、
前記ブロードキャストメッセージが前記異なるアンテナに到着する時間差に基づいて、最も近いブルートゥースノードに対する端末機器の距離情報及び方位情報を含む端末機器の現在の位置情報を取得することを含む、請求項1に記載の測位方法。
【請求項3】
前記CTE情報は、アンテナ切り替えタイムスロット、信号サンプリングタイムスロット及び端末機器と前記ブルートゥースノードのアンテナとの間の角度情報を含む、請求項1又は2に記載の測位方法。
【請求項4】
前記ナビゲーション情報は、端末機器の現在位置から端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードまでの距離情報及び方位情報を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の測位方法。
【請求項5】
前記端末機器の現在の位置情報と前記目標位置情報が一致しない場合、端末機器の現在の位置情報及び目標位置情報に基づいて端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードの位置情報及びナビゲーション情報を取得し、かつナビゲーション情報を端末機器に送信する前に、
前記端末機器の現在の位置情報と前記目標位置情報が一致するかどうかを判断し、一致した場合、測位が終了することを更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の測位方法。
【請求項6】
端末機器に適用される測位方法であって、
前記端末機器は、ブルートゥースメッシュネットワーク内に配置され、前記ブルートゥースメッシュネットワークは、ブルートゥースゲートウェイ及び少なくとも2つのブルートゥースノードを含み、前記ブルートゥースノードは、全てのブルートゥースノードの位置情報及び各ブルートゥースノード間の距離情報を記憶し、
前記方法は、
端末機器との距離が最も近いブルートゥースノードの位置情報を取得するステップと、
前記ブルートゥースゲートウェイによって、目標位置情報を含むデータメッセージ及び最も近いブルートゥースノードの位置情報を各ブルートゥースノードに送信するステップと、
端末機器と前記最も近いブルートゥースノードの距離が予め設定された閾値未満である場合、前記ブルートゥースノードがナビゲーション情報を取得して端末機器に送信するように、前記ブルートゥースゲートウェイを用いて固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを前記最も近いブルートゥースノードに送信するステップと、
前記ブルートゥースゲートウェイによって、最も近いブルートゥースノードから送信されたナビゲーション情報を受信するステップと、を含む、測位方法。
【請求項7】
前記端末機器に最も近いブルートゥースノードの位置情報を取得するステップは、
前記ブルートゥースノードから送信され、かつ受信信号の強度情報及び前記ブルートゥースノードのMACアドレスを含むブロードキャストメッセージを受信し、
受信信号の強度情報に基づき、各ブルートゥースノードと端末機器との間の距離情報を取得し、
各ブルートゥースノードと端末機器との間の距離情報及びブルートゥースノードのMACアドレスに基づき、端末機器との距離が最も近いブルートゥースノードの位置情報を決定することを含む、請求項6に記載の測位方法。
【請求項8】
ブルートゥースメッシュネットワーク内に配置される測位装置であって、
各測位装置の間は、ブロードキャストメッセージ又はデータメッセージを用いて通信を行い、前記測位装置は、
端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ、最も近いブルートゥースノードの位置情報、及び固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを受信するブルートゥースモジュールと、
前記CTE情報に基づき端末機器の現在の位置情報を取得し、前記端末機器の現在の位置情報と前記目標位置情報が一致しない場合、端末機器の現在の位置情報及び目標位置情報に基づいて端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードの位置情報及びナビゲーション情報を取得し、かつナビゲーション情報を端末機器に送信する処理モジュールと、を含む、測位装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202110215123.7、出願日が2021年02月25日、発明の名称が「測位方法、ゲートウェイ及び測位装置」である中国特許出願に基づいたものであり、該中国特許出願の優先権を主張し、該中国特許出願の全部内容が援用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願の実施例は、測位技術の分野に関し、特に測位方法、ゲートウェイ及び測位装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、主流の屋内測位及び位置検索技術には、WiFi屋内測位技術、超広帯域UWB屋内測位技術、RFID屋内測位技術、ブルートゥース(登録商標)屋内測位技術が含まれており、これらの技術にはそれぞれ長所と短所があり、一般的に測位が精細であるほどコスト及び配置の難易度が高くなる。そのうち、ブルートゥース測位技術はほとんど受信信号の強度情報によって測位を実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような方式は受信信号強度メッセージの転送に依存しており、外部環境による干渉を受けやすく、特に、屋内環境に障害物が多く、信号が限られた空間内に伝播すると多重反射や屈折は発生しやすく、測位の精度に影響を与えるとともに、ブルートゥースの伝送距離に制限される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例は、ブルートゥースメッシュネットワーク内のブルートゥースノードに適用される測位方法を提供し、前記ブルートゥースメッシュネットワークは、ブルートゥースゲートウェイ及び少なくとも2つの前記ブルートゥースノードを含み、前記ブルートゥースノードは、全てのブルートゥースノードの位置情報及び各ブルートゥースノード間の距離情報を記憶し、前記方法は、
前記ブルートゥースゲートウェイによって、端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ及び端末機器に最も近いブルートゥースノードの位置情報を受信するステップと、前記端末機器に最も近いブルートゥースノードの位置情報に基づき最も近いブルートゥースノードを決定するステップと、最も近いブルートゥースノードが、前記端末機器から送信された固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを受信するステップと、前記CTE情報に基づき端末機器の現在の位置情報を取得するステップと、前記端末機器の現在の位置情報と前記目標位置情報が一致しない場合、端末機器の現在の位置情報及び目標位置情報に基づいて端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードの位置情報及びナビゲーション情報を取得し、かつナビゲーション情報を端末機器に送信するステップと、を含む。
【0006】
本願の実施例は、さらに、端末機器に適用される測位方法を提供し、前記端末機器は、ブルートゥースメッシュネットワーク内に配置され、前記ブルートゥースメッシュネットワークは、ブルートゥースゲートウェイ及び少なくとも2つのブルートゥースノードを含み、前記ブルートゥースノードは、全てのブルートゥースノードの位置情報及び各ブルートゥースノード間の距離情報を記憶し、前記方法は、
端末機器との距離が最も近いブルートゥースノードの位置情報を取得するステップと、前記ブルートゥースゲートウェイによって、目標位置情報を含むデータメッセージ及び最も近いブルートゥースノードの位置情報を各ブルートゥースノードに送信するステップと、端末機器と前記最も近いブルートゥースノードの距離が予め設定された閾値未満である場合、前記ブルートゥースノードがナビゲーション情報を取得して端末機器に送信するように、前記ブルートゥースゲートウェイによって固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを前記最も近いブルートゥースノードに送信するステップと、前記ブルートゥースゲートウェイによって最も近いブルートゥースノードから送信されたナビゲーション情報を受信するステップと、を含む。
【0007】
本願の実施例は、さらに、ブルートゥースメッシュネットワーク内に配置されるブルートゥースゲートウェイを提供し、前記ブルートゥースメッシュネットワークは、少なくとも2つのブルートゥースノードを含み、
前記ブルートゥースゲートウェイは、端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ、最も近いブルートゥースノードの位置情報、及び固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを受信し、並びに前記ブルートゥースノードから送信されたナビゲーション情報を受信するために用いられ、
前記ブルートゥースゲートウェイは、さらに、目標位置情報を含むデータメッセージ、最も近いブルートゥースノードの位置情報、及び固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを前記ブルートゥースノードに送信し、並びに前記端末機器にナビゲーション情報を送信するために用いられる。
【0008】
本願の実施例は、さらに、ブルートゥースメッシュネットワーク内に配置される測位装置を提供し、各測位装置の間は、ブロードキャストメッセージ又はデータメッセージを用いて通信を行い、前記測位装置は、
端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ、最も近いブルートゥースノードの位置情報、及び固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを受信するブルートゥースモジュールと、
前記CTE情報に基づき端末機器の現在の位置情報を取得し、前記端末機器の現在の位置情報と前記目標位置情報が一致しない場合、端末機器の現在の位置情報及び目標位置情報に基づいて端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードの位置情報及びナビゲーション情報を取得し、かつナビゲーション情報を端末機器に送信する処理モジュールと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本願の1つ又は複数の実施例については、それに対応する添付の図面を利用して例示的な説明が行われるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではない。
【
図1】本願の第1実施例に係る測位方法のフローチャートである。
【
図2】本願の第2実施例に係る測位方法のフローチャートである。
【
図3】本願の第3実施例に係る測位方法のフローチャートである。
【
図4】本願の第4実施例に係る測位方法のフローチャートである。
【
図5】本願の第5実施例に係る測位方法のフローチャートである。
【
図6】本願の第6実施例に係る測位装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下において添付図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。しかしながら、読者に本願をより良く理解してもらうために、本願の各実施例において多くの技術的詳細が示されていることは当業者には理解されるであろう。言うまでもなく、かかる技術的詳細や、以下の実施例に基づく種々の変更及び変形がなくても本願で保護を求める技術案を実現することができる。以下の各実施例の区分は、説明上の便宜のためであり、本願の具体的な実施例を限定するものではなく、各実施例は、矛盾しない限り互いに組み合わせて互いに引用することができる。
【0011】
本願の実施例は、高精度な遠距離測位を実現するための測位方法、ゲートウェイ及び測位装置を提供することを主な目的とする。
【0012】
本願により提案される測位方法において、ブルートゥースメッシュネットワーク内のブルートゥースノードは、端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ及び端末機器に最も近いブルートゥースノードの位置情報を受信することにより、端末機器に最も近いブルートゥースノードを決定し、端末機器の移動過程において、最も近いブルートゥースノードは、CTE情報を利用して端末機器の現在の位置情報を決定し、かつ端末機器の現在位置情報と目標位置情報が一致するまで、端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードを継続的に検出し、ナビゲーション情報を取得するにより、ブルートゥースのカバー範囲を拡大し、測位精度を向上させ、遠距離の測位を実現する。
【0013】
本願の測位方法は、ブルートゥースメッシュネットワークに適用され、屋内又は限られた空間内に複数の測位装置を予め配置する必要があり、測位装置を配置する際には、実際の状況に応じて測位装置の具体的な数及び位置を決定する必要がある。例えば、屋内駐車場の場合、駐車スペースの分布状況に応じてブルートゥースノードを配置する必要があり、病院の場合、部門の分布状況に応じてブルートゥースノードを配置する必要がある。ネットワーク全体は、メッシュ構造であり、各測位装置の間の距離が同じであってもよく、異なっても構わない。
【0014】
本願の第1の実施例は、ブルートゥースメッシュネットワーク内のブルートゥースノードに適用される測位方法に関し、前記ブルートゥースメッシュネットワークは、ブルートゥースゲートウェイ及び少なくとも2つの前記ブルートゥースノードを含み、前記ブルートゥースノードには、全てのブルートゥースノードの位置情報及び各ブルートゥースノード間の距離情報が記憶されており、
図1に示すように、具体的には、ステップ101~ステップ105を含む。
【0015】
ステップ101では、ブルートゥースゲートウェイによって端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ、及び端末機器に最も近いブルートゥースノードの位置情報を受信する。
【0016】
本実施例において、ブルートゥースメッシュネットワーク内の各ブルートゥースノードは、ブルートゥースゲートウェイを介して端末機器と通信を行い、ブルートゥースノード間は、互いにデータメッセージ又はブロードキャストメッセージを直接送信することができ、1つのブルートゥースノードは、他の全てのブルートゥースノードの位置情報、及び該ブルートゥースノードから他の全てのブルートゥースノードまでの距離情報を予め記憶する。最も近いブルートゥースノードの位置情報は、ブルートゥースノードのMACアドレス、及び最も近いブルートゥースノードから端末機器までの距離を含むことができる。ブルートゥースノードのMACアドレスは、ブルートゥースノードを標識するために用いられる。
【0017】
敢えて言えば、ユーザが実際の応用に際して目標位置の名称又は標識のみを知り、具体的な距離及び方向情報については把握できないのが一般であるため、ステップ101において、ブルートゥースノードが取得した目標位置情報はユーザが端末機器に入力した名称であり、そして端末機器又はブルートゥースノードによって処理されることにより、例えば、ブルートゥースノードのMACアドレスなどのブルートゥースメッシュネットワーク内のブルートゥースノードの位置情報に変換される。
【0018】
また、実用に際して、ブルートゥースノードは、ブルートゥースモジュールを含む機器又は装置であってもよく、ブルートゥースモジュールは通常のブルートゥースモジュールであってもよく、低電力ブルートゥースモジュールであってもよい。
【0019】
ステップ102では、端末機器に最も近いブルートゥースノードの位置情報に基づき最も近いブルートゥースノードを決定する。
【0020】
本実施例において、ユーザ端末に最も近いブルートゥースノードの位置情報が端末機器により取得され、最も近いブルートゥースノード自体は、それ自体とユーザ端末との距離が最も近いであることを知らないため、ブルートゥースノードが最も近いブルートゥースノードの位置情報を受信して確認する必要がある。
【0021】
ステップ103では、最も近いブルートゥースノードが、端末機器から送信された固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを受信する。
【0022】
ステップ104では、前記CTE情報に基づき端末機器の現在の位置情報を取得する。
【0023】
本実施例において、最も近いブルートゥースノードが端末機器から送信されたCTE情報を含むデータメッセージを受信する前に、最も近いブルートゥースノードが先に端末機器にCTE情報を含むデータメッセージの送信を要求するLL_CTE_REQPDUデータパケットを確立し、それに従ってブルートゥースノードがCTE情報を受信した後に到着角(AOA)測位方法を採用し、こうした全過程はブルートゥース5.1標準及び関連プロトコルに従う。
【0024】
敢えて言えば、LL_CTE_REQPDUデータパケットは、AOAタイプのCTE情報を含んでもよく、発射角(AOD)タイプのCTE情報を含んでもよい。LL_CTE_REQPDUデータパケットがAOAタイプのCTEを含む場合、送信側はアンテナ切り替えを行う必要がなく、受信側はアンテナ切り替えの方法を利用して受信角を取得する。LL_CTE_REQPDUデータパケットがAODタイプのCTEを含む場合、送信側はアンテナ切り替えを行う必要があり、受信側はアンテナ切り替えを行わずに発射角を取得することができる。
【0025】
また、留意されたいこととして、本実施例において、端末機器内のブルートゥースは1本のアンテナで済むが、ブルートゥースノードの測位装置では、ブルートゥースモジュールがアンテナアレイを使用する必要があり、好ましくはアンテナの本数が5本であり、5本のアンテナが十字状に配置される。もちろん、実用に当たってはアンテナの本数や配置方式を実際の状況に応じて他の方式にすることも可能である。
【0026】
ステップ105では、端末機器の現在の位置情報と目標位置情報が一致しない場合、端末機器の現在の位置情報及び目標位置情報に基づいて端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードの位置情報及びナビゲーション情報を取得し、かつナビゲーション情報を端末機器に送信する。
【0027】
本実施例において、端末機器は、全過程において移動状態にあり、すなわち全測位過程においてリアルタイムに測位を行い、端末機器に最も近いブルートゥースノード(第1の最も近いブルートゥースノード)が端末の現在位置情報を取得し、端末の現在位置情報と目標位置情報が一致しない場合、端末機器の現在の位置情報及び目標位置情報に基づいて端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノード情報(第2の最も近いブルートゥースノード)及びナビゲーション情報を決定し、端末は、ナビゲーション情報に基づき次の最も近いブルートゥースノードに移動し、第2の最も近いブルートゥースノードも同様にして上記ステップを繰り返し、CTE情報を含むデータメッセージを受信して端末の現在位置情報、第3の最も近いブルートゥースノード及びナビゲーション情報を取得し、端末の現在位置情報と目標位置情報が一致するまでこのような処理を繰り返す。
【0028】
敢えて言えば、ナビゲーション情報は、端末機器の現在位置から端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードまでの距離情報及び方位情報を含む。
【0029】
本実施例に係る測位方法によれば、ブルートゥースメッシュネットワーク内のブルートゥースノードは、端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ及び端末機器との距離が最も近いブルートゥースノードの位置情報を受信することにより、端末機器との距離が最も近いブルートゥースノードを決定し、端末機器の移動中に、最も近いブルートゥースノードは、CTE情報を利用して端末機器の現在の位置情報を決定し、かつ端末機器の現在の位置情報と目標位置情報が一致するまで端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードを継続的に検出してナビゲーション情報を取得するにより、ブルートゥースのカバー範囲を拡大し、測位精度を向上させ、遠距離の測位を実現する。
【0030】
本願の第2の実施例は、測位方法に関し、本実施例と第1の実施例がほぼ同様であるが、その相違点としては、具体的には
図2に示すように、ステップ104がステップ201~ステップ203を含む。
【0031】
ステップ201では、CTE情報に基づきブルートゥースノード内の異なるアンテナを制御して切り替える。
【0032】
本実施例において、CTE情報は、アンテナ切り替えタイムスロット、信号サンプリングタイムスロット、及び端末機器と前記ブルートゥースノードのアンテナとの間の角度情報を含む。CTE情報に基づき各アンテナのオン又はオフを制御することにより、メッセージが異なるアンテナに到着する際の時間差を取得することができる。
【0033】
ステップ202では、端末機器から送信されたブロードキャストメッセージが異なるアンテナに到着する際の時間差を取得する。
【0034】
ステップ203では、ブロードキャストメッセージが異なるアンテナに到着する際の時間差に基づいて、最も近いブルートゥースノードに対する端末機器の距離情報及び方位情報を含む端末機器の現在の位置情報を取得する。
【0035】
本実施例に係る測位方法において、最も近いブルートゥースノードは、第1の実施例の処理に加え、CTE情報を利用して異なるアンテナを制御して切り替えることにより、端末機器から送信されたブロードキャストメッセージが異なるアンテナに到着する際の時間差を精確に取得し、さらに端末機器の現在の位置情報を精確に取得することができる。これにより、後により精確に端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードの位置情報を決定することができる。
【0036】
本願の第3の実施例は、測位方法に関し、本実施例と第1の実施例がほぼ同じであるが、両者の相違点としては、具体的には
図3に示すように、ステップ105の前にステップ301及びステップ302を更に含む。
【0037】
ステップ301では、端末機器の現在の位置情報と目標位置情報が一致するかどうかを判断する。
【0038】
本実施例において、一致した場合にステップ302を実行し、一致しなかった場合にはステップ105を実行する。
【0039】
ステップ302では、測位が終了する。
【0040】
本実施例において、端末機器は、全測位過程において移動状態を保持し、すなわちリアルタイムで測位が行われ、ブルートゥースノードは、端末機器が目標位置に到着したかどうかを判断するために端末機器の現在の位置情報を継続的に取得する必要がある。
【0041】
つまり、本願の上記第1~第3の実施例は、測位方法に関し、ブルートゥースノードに具体的に適用されて、高精度な遠距離測位の目的を実現する。
【0042】
本願の第4の実施例は、端末機器に適用される測位方法に関し、前記端末機器は、ブルートゥースメッシュネットワークに配置され、前記ブルートゥースメッシュネットワークは、ブルートゥースゲートウェイ及び少なくとも2つのブルートゥースノードを含み、前記ブルートゥースノードは、全てのブルートゥースノードの位置情報及び各ブルートゥースノード間の距離情報を記憶し、
図4に具体的なプロセスが示される。
【0043】
ステップ401では、端末機器との距離が最も近いブルートゥースノードの位置情報を取得する。
【0044】
本実施例において、最も近いブルートゥースノードの位置情報を取得した後、ブルートゥースゲートウェイを介して最も近いブルートゥースノードの位置情報を全てのブルートゥースノードにブロードキャストしてもよく、先に最も近いブルートゥースノードの位置情報を最も近いブルートゥースノードに送信し、最も近いブルートゥースノードによって全てのブルートゥースノードにブロードキャストしてもよい。また、最も近いブルートゥースノードの位置情報は、端末機器との距離情報及び該ブルートゥースノードのMACアドレスを含むことができる。
【0045】
ステップ402では、ブルートゥースゲートウェイを利用して目標位置情報を含むデータメッセージ、最も近いブルートゥースノードの位置情報を各ブルートゥースノードに送信する。
【0046】
本実施例において、ユーザ端末機器がブルートゥースメッシュネットワークにアクセスすると、ブルートゥースゲートウェイを利用して目標位置情報を各ブルートゥースノードに送信する。もちろん、該もちろん、目標位置情報は、ブルートゥースメッシュネットワーク内の既知の位置であることが望ましい。また、送信されるデータメッセージには、目標位置情報に加えて端末機器のMACアドレスなどの他の情報が更に含まれてもよい。
【0047】
また、端末機器にアプリAPPをインストールすることもでき、該APPには、ブルートゥースメッシュネットワーク構造及び各ブルートゥースノードの位置情報が予め設定され、かつ測位エリアの屋内地図エンジンも搭載されている。もちろん、目標位置情報を含むデータメッセージを送信するとき、APPは無線ネットワークを介してサーバから暗号化トークンを取得することができ、該サーバアドレスがAPPに組み込まれると同時に、サーバ上の暗号化トークンは、セキュリティの問題を回避するために定期的に更新される。それに対応して、ブルートゥースゲートウェイ内にも同じサーバアドレスが同時に組み込まれ、無線ネットワークを介して暗号化トークンを取得して記憶する。
【0048】
敢えて言えば、APPは、暗号化トークンに従って、SHA256又はMD5などの不可逆アルゴリズムを使用して測位対象の目標位置情報をなどの暗号化し、暗号化シーケンスを取得してAPPに記憶する。それに対応して、ブルートゥースゲートウェイも同じアルゴリズムを使用して位置情報を暗号化することで暗号化シーケンスを取得し、後のステップでこの2つの暗号化シーケンスが同じであるかどうかを比較することによって、目標位置を検索したかどうかを判断する必要がある。もちろん、上記の暗号化アルゴリズムは飽くまでも具体的な例示に過ぎず、実際には任意の暗号化方法を使用して目標位置情報を暗号化することができ、ここで重複説明を省略する。
【0049】
ステップ403では、端末機器と最も近いブルートゥースノードとの距離が予め設定された閾値未満である場合、ブルートゥースノードがナビゲーション情報を取得して端末機器に送信するように、ブルートゥースゲートウェイによって固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを最も近いブルートゥースノードに送信する。
【0050】
ステップ404では、ブルートゥースゲートウェイを利用して最も近いブルートゥースノードから送信されたナビゲーション情報を受信する。
【0051】
本実施例において、ブルートゥースゲートウェイを利用して最も近いブルートゥースノードから送信されたメッセージを受信する際、ブルートゥースゲートウェイは、メッセージに対して識別処理を行い、該メッセージが最も近いブルートゥースノードから送信されたものであるか否かを判断することができる。具体的には、ブルートゥースゲートウェイに保存されている最も近いブルートゥースノードのMACアドレスと、メッセージに含まれているMACアドレスを比較することにより判断する。
【0052】
本実施例に係る測位方法によれば、端末機器がそれ自体に最も近いブルートゥースノードの位置情報を取得し、かつ目標位置情報及び最も近いブルートゥースノードの位置情報をブルートゥースノードに送信し、端末機器と最も近いブルートゥースノードの距離が予め設定された閾値未満である場合、ブルートゥースノードがナビゲーション情報を取得するように、固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを最も近いブルートゥースノードに送信する。端末機器は、移動中においてナビゲーション情報を継続的に受信することで目標位置の精確な測位及び検出を実現し、同時にブルートゥース伝送距離の制限を受けずに遠距離目標の測位を実現する。
【0053】
本願の第5の実施例は、測位方法に関し、本実施例と第4の実施例がほぼ同じであるが、両者の相違点としては、具体的には
図5に示すように、ステップ401がステップ501~ステップ503を含む。
【0054】
ステップ501では、ブルートゥースノードから送信され、受信信号の強度情報及びブルートゥースノードのMACアドレスを含むブロードキャストメッセージを受信する。
【0055】
本実施例において、ブロードキャストメッセージには、メッセージの標識情報、受信信号の強度情報及びブルートゥースノードのMACアドレスが含まれてもよい。メッセージの標識情報は、該メッセージの由来を標識し、つまり、該ブルートゥースメッシュネットワークに由来のメッセージのみが受信されて標識される。通常、ブルートゥースノードは一定の時間間隔で1つのbeaconメッセージをブロードキャストし、端末機器は該メッセージから受信信号の強度情報及びブルートゥースノードのMACアドレスなどの情報を解析する。
【0056】
ステップ502では、受信信号の強度情報に基づき各ブルートゥースノードと端末機器との間の距離情報を取得する。
【0057】
本実施例において、端末機器は下記算式を使用して、受信されたブロードキャストメッセージに対応するブルートゥースノードと端末機器との間の距離を算出する。
【数1】
そのうち、dは、算出された距離であり、単位がmであり、RSSIは、受信信号強度であり、単位がdBであり、Aは、送信側と受信側の相対距離が1メートルである場合の信号強度であり、nは、環境減衰率であり、Aとn値は、実測を数回繰り返して得られた経験値を必要とし、初期値は経験値に基づいて設定される。もちろん、演算過程において、ブロードキャストメッセージを受信しなかったブルートゥースノードについては該ブルートゥースノードから端末機器までの距離が無限大であるとデフォルト設定することができる。
【0058】
また、受信信号の強度情報を用いて各ブルートゥースノードと端末機器との間の距離情報を取得する前に、受信信号の強度情報に対してノイズ除去及びフィルタリング処理を行うことができ、具体的にはメジアンフィルタリングアルゴリズム、カルマンフィルタリングアルゴリズム又は他のフィルタリングアルゴリズムを使用することができ、ここでは具体例を挙げて説明したに過ぎない。
【0059】
ステップ503では、各ブルートゥースノードと端末機器との間の距離情報及びブルートゥースノードのMACアドレスに基づいて、端末機器との距離が最も近いブルートゥースノードの位置情報を決定する。
【0060】
本実施例に係る測位方法によれば、第4の実施例の処理に加え、受信信号の強度情報を取得し且つ受信信号の強度情報に対してフィルタリング処理及びノイズ低減処理を行うことにより、位置演算の精確度を向上させ、測位の精度を更に向上させる。
【0061】
なお、上記の本願の第4~第5の実施例は、測位方法に関し、具体的には端末機器に適用されることで高精度な遠距離測位の目的を実現する。
【0062】
また、上記各方法におけるステップの区分は、説明を明確にするためであり、実施時には1つのステップにまとめることも、一部のステップを分割して複数のステップに分解することも可能であり、同じ論理的関係を含む限り、いずれも本特許の保護範囲内であると理解されたい。また、アルゴリズムやプロセスに重要でない変更を加えたり、アルゴリズムやプロセスの中核となる設計を変更しない前提であまり重要でない設計を導入したりすることも本特許の保護範囲内であると理解されたい。
【0063】
本願の第6の実施例は、ブルートゥースメッシュネットワーク内に配置される測位装置に関し、各測位装置の間は、ブロードキャストメッセージ又はデータメッセージを利用して通信を行い、
図6に示すように、前記測位装置は、ブルートゥースモジュール601及び処理モジュール602を備える。
ブルートゥースモジュール601は、端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ、最も近いブルートゥースノードの位置情報及び固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを受信し、処理モジュール602は、前記CTE情報に基づき端末機器の現在の位置情報を取得し、前記端末機器の現在の位置情報及び前記目標位置情報に基づいて端末機器との距離が最も近い次のブルートゥースノードの位置情報及びナビゲーション情報を取得し、前記ブルートゥースモジュール601が前記ナビゲーション情報を前記端末機器に送信するように、前記ナビゲーション情報を前記ブルートゥースモジュールに送信する。
【0064】
本願の第7の実施例は、ブルートゥースメッシュネットワーク内に配置されるブルートゥースゲートウェイに関し、前記ブルートゥースメッシュネットワークは、少なくとも2つのブルートゥースノードを含む。
前記ブルートゥースゲートウェイは、端末機器から送信された目標位置情報を含むデータメッセージ、最も近いブルートゥースノードの位置情報、及び固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを受信し、並びに前記ブルートゥースノードから送信されたナビゲーション情報を受信するために用いられる。
前記ブルートゥースゲートウェイは、さらに、目標位置情報を含むデータメッセージ、最も近いブルートゥースノードの位置情報、及び固定周波数拡張信号CTE情報を含むデータメッセージを前記ブルートゥースノードに送信し、並びに前記端末機器にナビゲーション情報を送信するために用いられる。
【0065】
なお、敢えて言えば、ブルートゥースゲートウェイは、さらに、目標位置情報が正当かどうかを分析するために用いられる。具体的には、正当な目標位置情報とは、該目標位置情報がブルートゥースメッシュネットワーク内にあることを指す。ここで、ブルートゥースゲートウェイは、端末機器とブルートゥースノードとの間の情報伝送を実現するために用いられ、ブルートゥースゲートウェイが端末機器上のAPPとメッセージ伝送を実現しようとする場合、ブルートゥースゲートウェイにインターネットアクセス機能をサポートするモジュールを備えることが必要である点にも留意されたい。
【0066】
敢えて言えば、本実施例に係る各モジュールは、いずれも論理モジュールであり、実用時において、1つの論理ユニットは、1つの物理ユニット又は1つの物理ユニットの一部であってもよいし、複数の物理ユニットの組み合わせで実現されてもよい。さらに、本願の実施例においては、本願の革新的な部分を強調するために、本願が解決しようとする技術課題にさほど密接に関係しない要素を導入していないが、本願の実施例に他の要素が存在しないことを意味するわけではない。
【0067】
上記各実施例は、本願を実現するための具体的な実施例であり、実際応用に際して、本願の要旨及び範囲から逸脱すしない前提で形式や詳細に種々の変更を加えることができることは、当業者には理解されるであろう。