IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋インキSCホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ トーヨーカラー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-供給チューブ 図1
  • 特許-供給チューブ 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】供給チューブ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/00 20060101AFI20240815BHJP
   B29B 7/94 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B29C45/00
B29B7/94
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020199460
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087494
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 恵子
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西川 悟
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】真嶋 佑樹
【審査官】岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-001338(JP,A)
【文献】特開2006-076193(JP,A)
【文献】特表平08-510812(JP,A)
【文献】実開平07-031328(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00
B29B 7/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1送液チューブと、
前記第1送液チューブの一端に備えられ,液状着色剤容器を接続した時に連通し、液状着色剤容器を切り離した時に閉じるカプラと,
前記第1送液チューブの他端に接続するポンプ用チューブと、
前記ポンプ用チューブと接続する第2送液チューブと、
前記第2送液チューブと接続する耐熱チューブと、を備え、
前記ポンプ用チューブのショアA硬度が75~90である、供給チューブ。
【請求項2】
前記ポンプ用チューブの肉厚が1.0mm以上~2.0mm以下である、請求項1に記載の供給チューブ。
【請求項3】
前記ポンプ用チューブはウレタンチューブである、請求項1または2に記載の供給チューブ。
【請求項4】
前記耐熱チューブは、耐熱温度が150℃以上である、請求項1から3のいずれかに記載の供給チューブ。
【請求項5】
前記耐熱チューブは、ポリテトラフルオロエチレンチューブである請求項1から4のいずれかに記載の供給チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は供給チューブに関し、例えば,液状着色剤を注入する液状着色剤注入装に適用可能な供給チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の形状や種々の色合いを有するプラスチック材料の成形には、色むらを発生させず、また所望の発色が安定して得られるようにマスターバッチや樹脂コンパウンドが用いられている。これらの原料は、既に樹脂に着色されているため、溶融して所望の型に射出し、溶融樹脂を所定形状のノズルから押し出すことでプラスチック製品を製造できる。
【0003】
一方,このような溶融樹脂の成型において,色替えが簡単にでき原料の調達も容易な技術が求められている。
【0004】
特許文献1には,液状着色剤を用いることで成型品製造時の色替えを容易にすることができる液状着色剤対応溶融吐出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-1338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,従来の装置では,ポンプ停止にも関わらずチューブの先端から液状着色剤が漏れ出てしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の供給チューブは,第1送液チューブと、前記第1送液チューブの一端に備えられ,液状着色剤容器を接続した時に連通し、液状着色剤容器を切り離した時に閉じるカプラと,前記第1送液チューブの他端に接続するポンプ用チューブと、前記ポンプ用チューブと接続する第2送液チューブと、前記第2送液チューブと接続する耐熱チューブと、を備え、前記ポンプ用チューブのショアA硬度が75~90であるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の供給チューブによれば,ポンプ停止にも関わらずチューブの先端から液状着色剤が漏れ出てしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態にかかる供給チューブの一例を示す略図である。
図2】本実施の形態に係る供給装置の一例を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は,本実施の形態にかかる供給チューブの一例を示す略図である。図1において,供給チューブ100は,カプラ101と,第1送液用チューブ102と,継ぎ手103と,ポンプ用チューブ104と,継ぎ手105と,第2送液用チューブ106と,継ぎ手107と,耐熱チューブ108とを備える。また,供給チューブ100に接続する液状着色剤容器150は,容器151と,カプラ152を備える。
【0011】
カプラ101は,液状着色剤容器150のカプラ152と接続する形状を有している。そして,カプラ101とカプラ152が接続すると,第1送液用チューブ102と容器151が連通する。また,カプラ152と接続していない時,カプラ101は閉じている。例えば,カプラ101及びカプラ152は,片路開閉型または両路開閉型の構造を有するカプラが好適である。
【0012】
第1送液用チューブ102は,中空の配管である。第1送液用チューブ102は,例えばポリプロピレンチューブ,シリコンチューブまたはポリウレタンチューブが好適である。第1送液用チューブ102は,一端にカプラ101で接続し,他端で継ぎ手103と接続する。
【0013】
継ぎ手103は,第1送液用チューブ102とポンプ用チューブ104とを接続する中空継ぎ手である。例えば,継ぎ手103は,ポリプロピレンコネクタが好適である。
【0014】
ポンプ用チューブ104は,ローラーポンプなどの定量送液ポンプに適用可能なチューブである。具体的にはローラーポンプは,チューブの弾性を利用して、回転するローラーによりチューブにしごきを加えて液体を送る。このローラーポンプが停止した場合に供給チューブ100の先端から液状着色剤が漏れ出ることを抑制するには、ポンプ用チューブ104も速やかにローラーに追従して停止する必要がある。
【0015】
したがって,ポンプ用チューブ104は,押し込み弾性を有するチューブとした。ポンプ用チューブ104は、ショアA硬度が75~90以上であることが望ましい。このようなポンプ用チューブ104を用いることにより、ローラーポンプが停止した場合にポンプ用チューブ104も速やかにローラーに追従して停止する。この結果、ポンプ用チューブ104の内部の液状着色剤には速やかに負圧が発生する。この負圧は、速やかに第2送液用チューブ106及び耐熱チューブ108に伝わり、供給チューブ100の先端にある液状着色剤はポンプ用チューブ104側に引かれる。この結果、供給チューブ100の先端から液状着色剤が漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0016】
例えば,ポンプ用チューブ104は,ウレタンチューブが好適である。また、ポンプ用チューブ104の肉厚は、1.0mm以上2.0mm以下であることが望ましい。好ましくは、ポンプ用チューブ104の肉厚は、1.5mm以上2.0mm以下であることが望ましい。肉厚は、(チューブの外径―チューブの内径)÷2で表される。
【0017】
継ぎ手105は,ポンプ用チューブ104と第2送液用チューブ106を接続する継ぎ手である。例えば,継ぎ手105は,ポリプロピレンコネクタが好適である。
【0018】
第2送液用チューブ106は,中空の配管である。第2送液用チューブ106は,例えばポリプロピレンチューブ,シリコンチューブまたはポリウレタンチューブが好適である。第2送液用チューブ106は,一端に継ぎ手105で接続し,他端で継ぎ手107と接続する。
【0019】
継ぎ手107は,第2送液用チューブ106と耐熱チューブ108とを接続する継ぎ手である。
【0020】
耐熱チューブ108は,中空の配管である。耐熱チューブ108は,耐熱温度が150℃以上であることが望ましい。耐熱チューブ108は,例えばポリテトラフルオロエチレンが好適である。耐熱チューブ108は,一端に継ぎ手107で接続する。また、耐熱チューブ108は,熱伝導率が0.5W/mK以下であることが望ましい。熱伝導率が0.5W/mK以下とすることにより、ノズルの熱が第2送液用チューブ106側に伝わるのを抑制できる。
【0021】
これらの第1送液用チューブ102,継ぎ手103,ポンプ用チューブ104,継ぎ手105,第2送液用チューブ106,継ぎ手107及び耐熱チューブ108の構成により,液状着色剤を供給する配管が構成される。
【0022】
液状着色剤容器150は,予め準備した所定の色味を有する液状着色剤(リキッドカラー)を蓄えておく容器である。
【0023】
容器151は,開口を有する中空の容器であり,内部に液状着色剤を蓄えることが可能である。また,容器151は,液状着色剤が変質しない素材で構成されていることが望ましい。また,容器151は,パウチ容器やボトル容器が好適である。また,容器151は,バッグインザボックスの態様で提供されてもよい。
【0024】
カプラ152は,容器151の開口に設けられる。そして,カプラ152がカプラ101と接続することにより,容器151と第1送液用チューブ102が連通する。
【0025】
以上の構成により供給チューブ100が構成される。次に供給チューブ100を供給装置に接続した例について説明する。図2は,本実施の形態に係る供給装置の一例を示す略図である。図2において,供給装置200は,ポンプ201と,ノズル202と、アクチュエータ203と,ホッパー204と,フランジ205と,コントローラ206とを備える。また図1と同一の構成については,同じ番号を付し,説明を省略する。
【0026】
ポンプ201は,液状着色剤を送出するポンプである。例えば,ポンプ201は,ローラーポンプなどの定量送液ポンプを備える。そして,ポンプ201のローラーにポンプ用チューブ104が固定される。ポンプ201は,ポンプ用チューブ104をしごくことにより,液状着色剤を送出する。


【0027】
ノズル202は、フランジ205内に液状着色剤を噴出するノズルである。ノズル202は、供給チューブ100の耐熱チューブ108が接続される。また、ノズル202は、液状着色が固化することを抑制するためにヒーター等で加熱されている。したがって、耐熱チューブ108は、この熱によりチューブが変形または溶解しない耐熱温度の材料で構成されることが望ましい。
アクチュエータ203は,ノズル202内のピストンを駆動するアクチュエータである。
【0028】
ホッパー204は,原料樹脂が投入されるホッパーである。例えば,ホッパー204は,中空の円錐台形状を有する。ホッパー204において,原料樹脂が投入される開口の径が,フランジ205に接続する口の径より大きい。
【0029】
フランジ205は,中空の円筒形状を有するフランジである。フランジ205は,開口の一方をホッパー204に接続する。また,フランジ205は,もう一方の開口を溶融装置等に接続する。また,フランジ205は円筒の側面にノズル202を受け入れ可能な開口を有する。供給チューブ100のノズル202が側面の開口からフランジ205内に挿入されることにより,ホッパー204から投入された原料樹脂と,ノズル202から噴射された液状着色剤とが混合される。
【0030】
コントローラ206は,ノズル202から液状着色剤を送出する量を制御する。コントローラ206はMCU(Micro Controller Unit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)の電子回路で構成されることが望ましい。
【0031】
また,コントローラ206は,ノズル202の動作も制御する。例えば,コントローラ206は,ホッパー204に投入された原料樹脂を着色するタイミングに合わせてノズル202を駆動するようにしてもよい。また,コントローラ206は,ポンプ201による液状着色剤の送出にあわせてノズル202を駆動するようにしてもよい。
【0032】
コントローラ206は,ポンプ201及びアクチュエータ203と電気配線で接続される。また,コントローラ206は,ポンプ201及びアクチュエータ203と無線信号で信号を送受信してもよい。
【0033】
このように本実施の形態の供給チューブによれば,ポンプ停止にも関わらずチューブの先端から液状着色剤が漏れ出てしまうことを抑制できる。
【0034】
また,本実施の形態の供給チューブによれば,ノズルに接続する部分を耐熱チューブとすることにより、ノズルを加熱する熱により供給チューブが変形または溶解することを防ぐことができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、供給チューブに流量計を備え,積算した流量が所定量を超えた場合,ポンプの駆動を止めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
100 供給チューブ
101 カプラ
102 第1送液用チューブ
103,105,107 継ぎ手
104 ポンプ用チューブ
106 第2送液用チューブ
108 耐熱チューブ
150 液状着色剤容器
151 容器
152 カプラ
161 圧力センサ
200 供給装置
201 ポンプ
202 ノズル
203 アクチュエータ
204 ホッパー
205 フランジ
206 コントローラ
図1
図2