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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】電子部品実装基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20240815BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240815BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H05K3/34 502E
H01L21/60 311Q
H01L23/12 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020141349
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037295
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 慎也
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-294632(JP,A)
【文献】実開平04-082854(JP,U)
【文献】特開2004-146529(JP,A)
【文献】特開平09-097969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
H01L 21/60
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配設されたプリント配線部と、
前記プリント配線部上の所定箇所に、リフロー処理されたはんだを介して接続される電子部品と、を備え、
前記電子部品の下面側には、所定面積を有する電極部が設けられ、
前記電極部に対向する前記基板の対向領域の一部には、導電体が露出していない非導電体領域が形成され、
前記非導電体領域は、前記対向領域の少なくとも一端部から前記対向領域の内方に延びるように形成されており、
前記電子部品は、前記電極部を取り付けるための樹脂製の取付ピンを有し、
前記電極部は、前記取付ピンが差し込まれる貫通孔を有し、
前記非導電体領域は、少なくとも前記貫通孔を介して前記取付ピンが下方に露出した樹脂露出部に対向する領域に形成されている、電子部品実装基板。
【請求項2】
前記プリント配線部は、前記電極部に対応する導電体領域を含み、
前記非導電体領域は、前記導電体領域上の一部領域に形成されたレジストにより構成される、請求項1に記載の電子部品実装基板。
【請求項3】
前記プリント配線部は、前記対向領域のうちの前記非導電体領域以外の領域に形成される、請求項1に記載の電子部品実装基板。
【請求項4】
前記非導電体領域は、前記対向領域を二分するように前記対向領域の所定方向一端部と他端部とを繋ぐように形成される、請求項1から3の何れかに記載の電子部品実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装基板関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置のコントローラ等の製造時に、種々の電子部品をプリント配線基板に実装するための方法として、基板上のプリント配線部(所定の導電体領域)にクリームはんだを載せ、その上に電子部品の電極部を載置したものを、リフロー炉に導入して加熱することで、プリント配線部と電子部品の電極部とをリフロー処理されたはんだを介して接続することが行われている。
【0003】
また、プリント配線基板に実装する電子部品には、例えば、定電圧を生成するためのレギュレータ等が含まれる。このような電子部品は、電子部品で発生する熱を放熱するために、電子部品の下面に、他の電極部より大きい所定面積を有する電極部(例えばグランド用電極等)を備えている。
【0004】
このような比較的大きい面積の電極部においてリフロー方式のはんだ付けを行う場合に、ボイド(気泡の発生によるはんだ不良)が生じる恐れがある。ボイドが生じると、それが電極部に対応するはんだ領域から外部に抜ける際にそのはんだ領域の端部(フィレット部)に穴(ブローホール)を形成してしまい、はんだ接続の信頼性が低下する。
【0005】
このような課題に対して、下記特許文献1では、クリームはんだを印刷するためのメタルマスクを1つの部品ランドに対して2つの領域に分割することにより、クリームはんだを1つの部品ランドに対して分割配置する態様が開示されている。このように、特許文献1では、クリームはんだが1つの部品ランドに対して2つの領域に分割配置されることにより、リフロー時に発生したボイドが2つの領域間の隙間を通じて外部に流れるため、部品の実装不良を防止することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-315183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の態様では、分割配置されたクリームはんだが、リフロー処理によって加熱されることにより、2つの領域間の隙間に流れ出る恐れがある。すなわち、流れ出たクリームはんだが発生したボイドを排出する経路をふさぐ、または、狭めてしまう恐れがある。これにより、発生したボイドが外部に流れ難くなり、ボイド抑制効果を十分に発揮できない恐れがある。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、リフロー処理時に発生するボイドによる電子部品の実装不良を防止することができる電子部品実装基板提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る電子部品実装基板は、基板と、前記基板上に配設されたプリント配線部と、前記プリント配線部上の所定箇所に、リフロー処理されたはんだを介して接続される電子部品と、を備え、前記電子部品の下面側には、所定面積を有する電極部が設けられ、前記電極部に対向する前記基板の対向領域の一部には、導電体が露出していない非導電体領域が形成され、前記非導電体領域は、前記対向領域の少なくとも一端部から前記対向領域の内方に延びるように形成されている。
【0010】
上記構成によれば、電子部品の下面側に設けられた電極部に対向する基板の対向領域の一部に、導電体が露出していない非導電体領域が形成される。非導電体領域にははんだが接触しないため、リフロー処理を経ても対向領域のうちの非導電体領域にはんだが形成されるのを防止することができる。非導電体領域は、対向領域の少なくとも一端部から前記対向領域の内方に延びるように形成されているため、リフロー処理時に対向領域の内部で生じたボイドを、非導電体領域上の空間を通じて外部に確実に排出することができる。したがって、リフロー処理時に発生するボイドによる電子部品の実装不良を防止することができる。
【0011】
前記プリント配線部は、前記電極部に対応する導電体領域を含み、前記非導電体領域は、前記導電体領域上の一部領域に形成されたレジストを含んでもよい。これによれば、電子部品の電極部に対応する導電体領域の面積を小さくすることなく非導電体領域を形成することができる。したがって、プリント配線部の導電体領域における放熱容量を低下させることなくボイドを外部に排出する経路を形成することができる。
【0012】
前記プリント配線部は、前記対向領域のうちの前記非導電体領域以外の領域に形成されてもよい。これによれば、対向領域のうちの非導電体領域にはプリント配線部(導電体領域)が形成されない。したがって、電子部品の電極部と非導電体領域との間の空間(ボイドを外部に排出する経路における高さ方向の空間)を、より大きくすることができる。
【0013】
前記非導電体領域は、前記対向領域を二分するように前記対向領域の所定方向一端部と他端部とを繋ぐように形成されてもよい。これにより、対向領域内で発生したボイドを外部により排出し易くすることができる。
【0014】
前記電極部は、貫通孔を有し、前記電子部品は、前記貫通孔を介して樹脂部が下方に露出した樹脂露出部を有し、前記非導電体領域は、少なくとも前記樹脂露出部に対向する領域に形成されていてもよい。樹脂露出部にははんだが接続されないため、リフロー処理の際、樹脂露出部においてボイドが発生し易い。そのため、樹脂露出部に対向する領域を含むように非導電体領域を形成することにより、ボイドを効率よく外部に排出することができる。
【0015】
本発明の他の態様に係る電子部品実装基板の製造方法は、基板上にプリント配線部を配設するステップと、前記プリント配線部上の所定箇所に、クリームはんだを塗布するステップと、下面側に所定面積を有する電極部が設けられた電子部品を、前記電極部と前記クリームはんだとが接触するように載置するステップと、リフロー処理を行うことにより、前記プリント配線部に、リフロー処理されたはんだを介して前記電極部を電気的に接続させるステップと、前記クリームはんだを塗布する前に、前記電極部に対向する前記基板の対向領域の一部に、導電体が露出していない非導電体領域を形成するステップを含み、前記非導電体領域は、前記対向領域の少なくとも一端部から前記対向領域の内方に延びるように形成されている。
【0016】
上記方法によれば、電子部品の下面側に設けられた電極部に対向する基板の対向領域の一部に、導電体が露出していない非導電体領域が形成される。非導電体領域にははんだが接触しないため、リフロー処理を経ても対向領域のうちの非導電体領域にはんだが形成されるのを防止することができる。非導電体領域は、対向領域の少なくとも一端部から前記対向領域の内方に延びるように形成されているため、リフロー処理時に対向領域の内部で生じたボイドを、非導電体領域上の空間を通じて外部に確実に排出することができる。したがって、リフロー処理時に発生するボイドによる電子部品の実装不良を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、リフロー処理時に発生するボイドによる電子部品の実装不良を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る電子部品実装基板を示す側面図である。
図2図2は、図1に示す電子部品実装基板の平面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1の変形例に係る電子部品実装基板を示す側面図である。
図4図4は、図3に示す電子部品実装基板の平面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2に係る電子部品実装基板を示す側面図である。
図6図6は、図5に示す電子部品実装基板の平面図である。
図7図7は、本発明の他の実施の形態に係る電子部品実装基板における非導電体領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電子部品実装基板を示す側面図であり、図2は、図1に示す電子部品実装基板の平面図である。なお、図1においては、基板2の厚み方向の大きさを誇張して図示している。また、図1には、一の電子部品3およびそれが接続される基板2の一部領域のみが示されている。また、図2において、電子部品3は実装していない状態を示している(実装位置が想像線で示されている)。図1および図2に示すように、本実施の形態における電子部品実装基板1は、基板2上に少なくとも1つの電子部品3が実装されている。
【0021】
電子部品3は、樹脂のケーシングで覆われた電子部品本体30と、電子部品信号配線等の各種配線部に接続される少なくとも1つの端子電極部31と、グランド(図示せず)に接続されるグランド電極部32と、を有している。グランド電極部32は、電子部品3(電子部品本体30)の下面側に設けられている。なお、グランド電極部32は、図1および図2に示されるように、平面視において電子部品本体30を画するケーシングの内側だけでなくケーシングの外側にも延出され得る。
【0022】
電子部品3は、例えば、給湯装置のコントローラを構成する電子部品である。例えば、電子部品3は、定電圧を生成するためのレギュレータ等の比較的大きな放熱容量を必要とする電子部品である。このため、グランド電極部32は、端子電極部31に比べて大きい面積(必要な放熱容量に基づいて定められる所定面積)を有する電極部として構成されている。
【0023】
絶縁体により構成される基板2上には、銅箔等の導電体で構成されるプリント配線部4が配設される。電子部品3(の電極部31,32)は、プリント配線部4上の所定箇所に、リフロー処理されたはんだ5を介して電気的に接続される。
【0024】
ここで、グランド電極部32に対向する基板2の対向領域OAの一部には、グランド電極部32に対して導電体が露出していない非導電体領域NCAが形成されている。図2に示すように、本実施の形態において、対向領域OAは、平面視においてグランド電極部32に重複する領域(載置領域)およびその周囲の領域を含む領域(グランド電極部32より大きい領域)として構成されている。非導電体領域NCAは、対向領域OAの中央部を含むように形成されている。
【0025】
本実施の形態において、プリント配線部4は、グランド電極部32に対応する導電体領域を含んでいる。より詳しくは、プリント配線部4は、対向領域OAの全域が導電体領域となるように形成されている。非導電体領域NCAは、プリント配線部4の導電体領域上の一部領域に形成されたレジスト(ソルダーレジスト)6aにより構成されている。したがって、対向領域OAは、グランド電極部32に対して導電体が露出した導電体露出領域CAとグランド電極部32に対して導電体が露出していない非導電体領域NCAとを含む。
【0026】
なお、図1および図2には、対向領域OA上のレジスト6aをその他の領域に形成された(基板2上に直接形成された)レジスト(ソルダーレジスト)6とはハッチングを変えて表示しているが、両者は、レジスト(層)が設けられる高さ方向(厚み方向)の位置が異なる(対向領域OA上のレジスト6aが他の領域のレジスト6よりプリント配線部4の厚み分高い位置に位置する)が、上層にはんだがつかないようにするためのレジストとして同じ機能を有するものである。
【0027】
非導電体領域NCAは、対向領域OAの少なくとも一端部P1から対向領域OAの内方に延びるように形成されている。本実施の形態において、非導電体領域NCAは、対向領域OAを二分するように対向領域OAの所定方向一端部P1と他端部P2とを繋ぐように形成されている。なお、図2の例では、非導電体領域NCAは、端子電極部31の延出方向(図2における左右方向)に交差する(直交する)方向の一端部P1と他端部P2とを繋ぐように形成されている。
【0028】
これにより、電子部品実装基板1には、グランド電極部32の下面、はんだ5およびレジスト6aの上面(非導電体領域NCA)により画されるボイド流通経路50が形成される。例えば、平面寸法が5mm角の電子部品3においてボイド流通経路50の幅(非導電体領域NCAの幅)は、1mm以上に形成される。ボイド流通経路50は、対向領域OAにおける端子電極部31の延出方向(図2における左右方向)中央部に形成される。
【0029】
以下に、本実施の形態における電子部品実装基板1の製造方法について説明する。まず、基板2にプリント配線部4を配設する。例えば、基板2上にフォトレジストを塗布し、配線パターンが形成されたフォトマスクを介して配線パターンを露光したり、フォトマスクを介さずにフォトレジストが塗布された基板2上に直接配線パターンを露光したりすることにより、銅箔等の導電体による配線パターンを有するプリント配線部4が基板2上に形成される。
【0030】
次に、プリント配線部4が形成された基板2上において、はんだ5が形成される所定箇所(ランドと呼称される)以外の領域に、レジスト6,6aを形成する。例えば、全面に液状レジストが塗布された基板2に対して所定のマスクを用いて露光することにより、はんだ5が形成される所定箇所以外の領域にレジスト6,6aを定着させる。なお、対向領域OAの非導電体領域NCAを構成するレジスト6aとそれ以外の箇所におけるレジスト6とは、1つのマスクを用いて一度に形成可能である。すなわち、この工程によって、グランド電極部32に対向する基板2の対向領域OAの一部に、導電体が露出していない非導電体領域NCAが形成される。
【0031】
レジスト6,6aの形成後、対向領域OAにおける導電体露出領域CAを含むプリント配線部4上の所定箇所(ランド)に、クリームはんだを塗布する。クリームはんだは、フラックスにはんだ粒子が混ぜられたものである。クリームはんだの塗布には、ランド対応箇所が切り抜かれたメタルマスクが用いられる。その後、電子部品3を、電極部31,32とクリームはんだとが接触するように載置する。
【0032】
そして、電子部品3が載置された基板2に対してリフロー処理を行う。より詳しくは、電子部品3が載置された基板2をリフロー炉に導入することにより、クリームはんだを加熱する。クリームはんだが加熱されると、クリームはんだに含まれるフラックスが気化し、残りのはんだ粒子同士が接合することにより、ランド上に固定される。これにより、電子部品3の電極部31,32が、プリント配線部4にリフロー処理されたはんだ5を介して電気的に接続される。このとき、対向領域OAにおける導電体露出領域CAの端部には、グランド電極部32の周囲を取り囲むようにフィレットが形成される。
【0033】
上記製造方法によって形成された電子部品実装基板1によれば、電子部品3の下面側に設けられたグランド電極部32に対向する基板2の対向領域OAの一部に、導電体が露出していない非導電体領域NCAが形成される。非導電体領域NCAにははんだ(クリームはんだ)が接触しないため、リフロー処理を経ても対向領域OAのうちの非導電体領域NCAにはんだ5が形成されるのを防止することができる。非導電体領域NCAは、対向領域OAの少なくとも一端部P1から対向領域OAの内方に延びるように形成されているため、リフロー処理時に対向領域OAの内部で生じたボイドを、非導電体領域NCA上の空間(ボイド流通経路50)を通じて外部に確実に排出することができる。したがって、リフロー処理時に発生するボイドによるフィレットの破壊(ブローホールの形成)を防止することができ、ボイドによる電子部品3の実装不良を防止することができる。
【0034】
さらに、本実施の形態においては、非導電体領域NCAがグランド電極部32の少なくとも中央部に設けられる。比較的大きな面積を有する電極部においては、全面が導電体面である場合(下記変形例で示すような樹脂露出部等がない場合)、中央部においてボイドが生じ易いと考えられる。本実施の形態では、グランド電極部32の中央部においてボイド流通経路50が形成されるため、グランド電極部32の中央部においてボイドが生じるのを抑制し、導電体露出領域CA上のクリームはんだがリフロー炉で加熱される際にボイドが発生してもボイド流通経路50を通じてボイドを外部に排出することができる。
【0035】
さらに、本実施の形態においては、非導電体領域NCAが、対向領域OAを二分するように対向領域OAの所定方向一端部P1と他端部P2とを繋ぐように形成されている。すなわち、対向領域OAにおける導電体露出領域CAが非導電体領域NCAによって2分割される。これにより、対向領域OA内で発生したボイドを外部により排出し易くすることができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、対向領域OAの全域に形成されたプリント配線部4の導電体領域上の一部領域上にレジスト6aを形成することにより、非導電体領域NCAが形成される。すなわち、対向領域OAにおけるプリント配線部4の導電体領域は、対向領域OA(=導電体露出領域CA+非導電体領域NCA)に一致する。これにより、電子部品3のグランド電極部32に対応するプリント配線部4の導電体領域の面積を小さくすることなく非導電体領域NCAを形成することができる。したがって、プリント配線部4の導電体領域における放熱容量を低下させることなくボイドを外部に排出するボイド流通経路50を形成することができる。
【0037】
(変形例)
図3は、本発明の実施の形態1の変形例に係る電子部品実装基板を示す側面図であり、図4は、図3に示す電子部品実装基板の平面図である。本変形例において、図1および図2に示す実施の形態1と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。本変形例における電子部品実装基板1Bが実施の形態1における電子部品実装基板1と異なる点は、電子部品3Bが電子部品3と異なる構成を有することに起因するものである。
【0038】
より具体的には、電子部品3Bは、電子部品本体30に、グランド電極部32Bを取り付けるための樹脂製の取付ピン(ダボピン)33が設けられている。取付ピン33は、端子電極部31の延出方向に交差(直交)する方向に2つ並んで配設されている。電子部品3Bのグランド電極部32Bは、取付ピン33に対応する貫通孔32aを有している。グランド電極部32Bは、貫通孔32aに取付ピン33を差し込むことにより、電子部品本体30に取り付けられる。この結果、電子部品3Bは、貫通孔32aを介して樹脂部(取付ピン33)が下方に露出した樹脂露出部33aを有している。
【0039】
ここで、非導電体領域NCAは、少なくとも樹脂露出部33aに対向する領域に形成されている。本実施の形態において、樹脂露出部33aは、端子電極部31の延出方向に関してグランド電極部32Bの中央部より端子電極部31から遠い側(図2における左側)にオフセットされて設けられている。このため、非導電体領域NCAも、樹脂露出部33aに合わせてオフセットされて設けられている。
【0040】
樹脂露出部33aにははんだ5が接続されないため、リフロー処理の際、樹脂露出部33aにおいてボイドが発生し易い。そのため、樹脂露出部33aに対向する領域を含むように非導電体領域NCAを形成することにより、ボイドを効率よく外部に排出することができる。
【0041】
なお、取付ピン33の下端部は、グランド電極部32Bから飛び出していてもよいし、グランド電極部32Bの下面より上方に位置していてもよい。いずれの場合であっても樹脂露出部33aが存在すると言え、リフロー処理の際、当該樹脂露出部33aにおいてボイドが発生し易いと言える。したがって、本実施の形態のように、樹脂露出部33aに対向する領域に非導電体領域NCAを形成することにより、ボイドによる電子部品3Bの実装不良等の不具合を抑制することができる。
【0042】
また、本変形例では、非導電体領域NCAが樹脂露出部33aの位置に合わせてグランド電極部32Bの中央部からオフセットした位置に形成されているが、非導電体領域NCAが対向領域OAにおいて樹脂露出部33aに対応する領域を含み、かつグランド電極部32Bの中央部に位置するように形成されてもよい。
【0043】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る電子部品実装基板を示す側面図であり、図6は、図5に示す電子部品実装基板の平面図である。本実施の形態において、図1および図2に示す実施の形態1と同様の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0044】
本実施の形態における電子部品実装基板1Cが実施の形態1における電子部品実装基板1と異なる点は、非導電体領域NCAcの下層には、プリント配線部4(導電体領域)がないことである。すなわち、プリント配線部4は、対向領域OAのうちの非導電体領域NCAc以外の領域に形成される。
【0045】
本実施の形態における電子部品実装基板1Cの製造方法は、基板2にプリント配線部4を形成する際に、対向領域OAのうちの非導電体領域NCAcには導電体領域を配設しないこと、および、基板2上にレジスト6aを直接形成すること以外は、実施の形態1と同様である。この結果、対向領域OA上のレジスト6aとその他の領域のレジスト6とは、レジスト(層)が設けられる高さ方向(厚み方向)の位置も同じになる。図5および図6においてはレジスト6およびレジスト6aに対して同じハッチングを付している。
【0046】
本実施の形態によれば、電子部品3のグランド電極部32と非導電体領域NCAcとの間の空間(ボイドを外部に排出するボイド流通経路50における高さ方向の空間)を、より大きくすることができる。これにより、対向領域OA内で発生したボイドを外部により排出し易くすることができる。
【0047】
(他の実施の形態)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【0048】
例えば、実施の形態1の変形例として示した樹脂露出部33aを有する電子部品3Bを実施の形態2のように実装することも可能である。この場合、下層にプリント配線部4(導電体領域)がない非導電体領域NCAcが、少なくとも樹脂露出部33aに対向する領域に形成される。
【0049】
また、上記実施の形態および変形例では、非導電体領域NCA,NCAcが、対向領域OAを二分するように対向領域OAの所定方向一端部P1と他端部P2とを繋ぐように形成されている態様を例示したが、これに限られない。例えば、非導電体領域NCAは、対向領域OAの所定位置(例えば中央部または樹脂露出部33aに対向する領域)と、対向領域OAの少なくとも1つの端部(例えば所定方向一端部P1)とを繋ぐように形成されてもよい。
【0050】
図7は、本発明の他の実施の形態に係る電子部品実装基板における非導電体領域を示す平面図である。図7(a)は、実施の形態1および実施の形態2に対応し、図7(b)は、図3,4に示す変形例に対応する。図7(a)の例では、非導電体領域NCAdが、対向領域OAの中央部と一端部P1とを繋ぐように形成されている。また、図7(b)の例では、非導電体領域NCAeが、2つの樹脂露出部33aを含む領域と一端部P1とを繋ぐように形成されている。図7に示す2つの例では、対向領域OAにおける導電体露出領域CAは、いずれも分割されていない。
【0051】
また、非導電体領域NCAは、対向領域OAの所定位置と、対向領域OAの3つ以上の端部とを繋ぐように形成されてもよい。すなわち、対向領域OAにおける導電体露出領域CAが非導電体領域NCAによって3つ以上の領域に分割されてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、非導電体領域NCAが対向領域OAの所定位置における幅と、対向領域OAの端部における幅とが同じ(ボイド流通経路50の幅が長手方向のすべての位置において同じ)である例を示したが、対向領域OAの所定位置における非導電体領域NCAの幅と、対向領域OAの端部における非導電体領域NCAの幅とは異なっていてもよい。
【0053】
例えば、非導電体領域NCAにおける対向領域OAの所定位置(中央部または樹脂露出部33a等のボイド発生部)における幅がそれ以外の箇所(ボイド流通部)における幅より大きくてもよい。また、例えば、対向領域OAの所定位置から対向領域OAの端部に向かうに従って、非導電体領域NCAの幅が大きくなってもよいし、小さくなってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、リフロー処理時に発生するボイドによる電子部品の実装不良を防止するために有用である。
【符号の説明】
【0055】
1,1B,1C 電子部品実装基板
2 基板
3,3B 電子部品
4 プリント配線部
5 はんだ
6a 対向領域におけるレジスト
32,32B グランド電極部(電極部)
32a 貫通孔
33 取付ピン(樹脂部)
33a 樹脂露出部
NCA,NCAc,NCAd,NCAe 非導電体領域
OA 対向領域
P1 対向領域の一端部
P2 対向領域の他端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7