IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通クライアントコンピューティング株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電子機器 図1
  • 特許-電子機器 図2
  • 特許-電子機器 図3
  • 特許-電子機器 図4
  • 特許-電子機器 図5
  • 特許-電子機器 図6
  • 特許-電子機器 図7
  • 特許-電子機器 図8
  • 特許-電子機器 図9
  • 特許-電子機器 図10
  • 特許-電子機器 図11
  • 特許-電子機器 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20240815BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H05K5/02 L
G06F1/16 312E
G06F1/16 312F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021101629
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000675
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 美里
(72)【発明者】
【氏名】大西 益生
(72)【発明者】
【氏名】山元 敦子
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-260511(JP,A)
【文献】特開2004-156671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1壁を有した第1部材と、前記第1壁に対して第1方向側に位置され前記第1壁と対向した第2壁を有し前記第1部材と結合された第2部材と、を有した筐体と、
前記第1部材と前記第2部材との間に介在した緩衝部と、
を備え、
前記緩衝部は、
前記第2壁に設けられ、前記第1方向に延びる中心軸回りに延びるとともに前記中心軸の第1周方向に向かうにつれて前記第1方向に向かう案内面を有した受部と、
前記第1壁と前記第2壁との間に位置し、前記第1部材に支持された弾性部材と、
前記第1壁と前記受部との間に位置され、前記弾性部材を介して前記第1部材に支持され、前記案内面に沿って延び前記案内面と接触した接触面を有した回転部材であって、前記回転部材が第1位置に位置された状態から第1壁と前記第2壁とが相対的に近づく場合に、前記接触面が前記案内面を摺動しつつ、前記回転部材が前記弾性部材の弾性力に抗して前記第1周方向に回転しながら前記第1方向に移動する前記回転部材と、
を備えた電子機器。
【請求項2】
前記回転部材が前記第1位置に位置された状態で、前記第1壁と前記回転部材との間に隙間が設けられ、
前記弾性部材は、前記回転部材が第1位置に位置された状態から第1壁と前記第2壁とが相対的に近づく場合に、第1壁と前記第2壁を相対的に離間させる方向の弾性力を生じる、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記緩衝部は、
前記中心軸回りの筒状であり、前記第1壁から前記第1方向に延びた筒部と、
頭部と、頭部から前記第1方向の反対方向に延び前記筒部に入れられ前記筒部と結合された軸部と、を有した雄ネジ部材と、
を有し、
前記回転部材は、前記中心軸回りの筒状であり、前記筒部を囲み、
前記弾性部材は、前記中心軸回りに延び、前記回転部材と前記筒部との間に位置され、
前記受部は、前記接触面と前記軸部が貫通した貫通孔とが設けられた第3壁を有し、
前記頭部は、前記第3壁に対して前記第1方向に位置して前記第3壁に重ねられた、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記軸部は、前記頭部から前記第1方向の反対方向に延びた第1部分と、前記第1部分から前記第1方向の反対方向に延び前記筒部に入れられ、直径が前記第1部分よりも小さい第2部分と、を有し、
前記第1部分の前記第1方向の反対側の端面が、前記筒部の前記第1方向側の端面と接触した、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記回転部材に支持された一端部と、前記筒部に支持された他端部と、を有した、請求項3または4に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1壁と有した第1部材と、第1壁と対向した第2壁を有し第1部材と結合された第2部材と、備えた電子機器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-43098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電子機器では、例えば、外部からの衝撃を和らげることができれば有益である。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、外部からの衝撃を和らげることができる新規な構成の電子機器を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様にかかる電子機器は、第1壁を有した第1部材と、前記第1壁に対して第1方向側に位置され前記第1壁と対向した第2壁を有し前記第1部材と結合された第2部材と、を有した筐体と、前記第1部材と前記第2部材との間に介在した緩衝部と、を備え、前記緩衝部は、前記第2壁に設けられ、前記第1方向に延びる中心軸回りに延びるとともに前記中心軸の第1周方向に向かうにつれて前記第1方向に向かう案内面を有した受部と、前記第1壁と前記第2壁との間に位置し、前記第1部材に支持された弾性部材と、前記第1壁と前記受部との間に位置され、前記弾性部材を介して前記第1部材に支持され、前記案内面に沿って延び前記案内面と接触した接触面を有した回転部材であって、前記回転部材が第1位置に位置された状態から第1壁と前記第2壁とが相対的に近づく場合に、前記接触面が前記案内面を摺動しつつ、前記回転部材が前記弾性部材の弾性力に抗して前記第1周方向に回転しながら前記第1方向に移動する前記回転部材と、を備える。
【0007】
前記電子機器では、例えば、前記回転部材が前記第1位置に位置された状態で、前記第1壁と前記回転部材との間に隙間が設けられ、前記弾性部材は、前記回転部材が第1位置に位置された状態から第1壁と前記第2壁とが相対的に近づく場合に、第1壁と前記第2壁を相対的に離間させる方向の弾性力を生じる。
【0008】
前記電子機器では、例えば、前記緩衝部は、前記中心軸回りの筒状であり、前記第1壁から前記第1方向に延びた筒部と、頭部と、頭部から前記第1方向の反対方向に延び前記筒部に入れられ前記筒部と結合された軸部と、を有した雄ネジ部材と、を有し、前記回転部材は、前記中心軸回りの筒状であり、前記筒部を囲み、前記弾性部材は、前記中心軸回りに延び、前記回転部材と前記筒部との間に位置され、前記受部は、前記接触面と前記軸部が貫通した貫通孔とが設けられた第3壁を有し、前記頭部は、前記第3壁に対して前記第1方向に位置して前記第3壁に重ねられている。
【0009】
前記電子機器では、例えば、前記軸部は、前記頭部から前記第1方向の反対方向に延びた第1部分と、前記第1部分から前記第1方向の反対方向に延び前記筒部に入れられ、直径が前記第1部分よりも小さい第2部分と、を有し、前記第1部分の前記第1方向の反対側の端面が、前記筒部の前記第1方向側の端面と接触している。
【0010】
前記電子機器では、例えば、前記弾性部材は、前記回転部材に支持された一端部と、前記筒部に支持された他端部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、外部からの衝撃を和らげることができる新規な構成の電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態の電子機器の正面側からの例示的な斜視図であって、ディスプレイ部が展開位置に位置された状態の図である。
図2図2は、実施形態の電子機器の例示的な斜視図であって、ディスプレイ部が閉じ位置に位置された状態の図である。
図3図3は、実施形態の電子機器の例示的な断面図であって、ディスプレイ部が閉じ位置に位置された状態の図である。
図4図4は、実施形態の電子機器における第1筐体のロアカバーの例示的な斜視図である。
図5図5は、実施形態の電子機器における第1筐体のアッパーカバーの例示的な斜視図である。
図6図6は、実施形態の電子機器の緩衝部を含む部分の例示的な断面図である。
図7図7は、実施形態の電子機器におけるロアカバーの受部を含む部分の斜視図である。
図8図8は、実施形態の電子機器におけるアッパーカバーの支持部を含む部分、回転部材および弾性部材の斜視図である。
図9図9は、実施形態の電子機器におけるアッパーカバーの支持部を含む部分、回転部材および弾性部材の底面図である。
図10図10は、実施形態の電子機器における回転部材および弾性部材の斜視図である。
図11図11は、実施形態の電子機器における緩衝部を含む部分の斜視図であって、回転部材が第1位置に位置された通常状態の図である。
図12図12は、実施形態の電子機器における緩衝部を含む部分の斜視図であって、図11の状態から第1筐体に衝撃が加わって回転部材が回転した状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0014】
なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0015】
図1は、実施形態の電子機器1の正面側からの例示的な斜視図であって、ディスプレイ部3が展開位置に位置された状態の図である。図2は、実施形態の電子機器1の例示的な斜視図であって、ディスプレイ部3が閉じ位置に位置された状態の図である。図3は、実施形態の電子機器1の例示的な断面図であって、ディスプレイ部3が閉じ位置に位置された状態の図である。
【0016】
図1図3に示されるように、電子機器1は、例えば、ノートブック型(クラムシェル型)のパーソナルコンピュータとして構成され、ベース部2と、ディスプレイ部3と、を備えている。ベース部2は、例えば机や、台、棚等の載置部100の平面100aに載置される。ディスプレイ部3は、ベース部2に対して回転中心軸C回りに回転可能にベース部2に支持され、展開位置(図1)と閉じ位置(図2図3)との間を移動可能である。具体的には、ディスプレイ部3は、ヒンジ5を介してベース部2に連結されている。
【0017】
なお、本実施形態では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。X方向は、ベース部2の奥行方向(前後方向、短手方向)に沿い、Y方向は、ベース部2の幅方向(左右方向、長手方向)に沿い、Z方向は、ベース部2の高さ方向(上下方向)に沿う。また、以下の説明では、X方向は前方、X方向の反対方向は後方とも称され、Y方向は左方、Y方向の反対方向は右方とも称され、Z方向は上方、Z方向の反対方向は下方とも称される。Z方向の反対方向は、第1方向の一例である。
【0018】
ベース部2は、第1筐体11と、第1筐体11に支持されたキーボード12と、を有している。キーボード12は、上方から操作可能な状態に第1筐体11に支持されている。また、第1筐体11内には、基板が収容されている。基板には、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の複数の電子部品が実装されている。基板に設けられた配線と基板に実装された複数の電子部品とによって、電子機器1の電子回路の少なくとも一部が構成されている。
【0019】
ディスプレイ部3は、第2筐体21と、ディスプレイユニット22と、を有している。ディスプレイユニット22は、表示画面22aが前方から視認可能な状態に、第2筐体21に支持されている。
【0020】
ディスプレイ部3が展開位置(図1)に位置した状態では、第1筐体11の上面11aおよびキーボード12と、第2筐体21の前面21aおよびディスプレイユニット22の表示画面22aとが対向せず、第1筐体11の上面11a、キーボード12、第2筐体21の前面21a、ディスプレイユニット22の表示画面22aが露出する。このとき、第2筐体21の前面21aおよび後面21bは、それぞれ、前方および後方を向く。
【0021】
一方、ディスプレイ部3が閉じ位置(図2図3)に位置した状態では、第1筐体11の上面11aおよびキーボード12と、第2筐体21の前面21aおよびディスプレイユニット22の表示画面22aとが対向する。
【0022】
第1筐体11の形状は、上下方向に扁平な略直方体である。第1筐体11は、例えば、下壁11cや、上壁11d、前壁11e、後壁11f、左壁11g、右壁11h等の複数の壁を有している。第1筐体11は、筐体の一例であり、上壁11dは、第1壁の一例であり、下壁11cは、第2壁の一例である。
【0023】
下壁11cは、下面11bを含み、上壁11dは、上面11aを含む。下壁11cおよび上壁11dは、いずれも、Z方向と直交する方向(XY平面)に沿って延びており、Z方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。下壁11cは、上壁11dに対してZ方向の反対方向側に位置されている。
【0024】
前壁11eおよび後壁11fは、いずれも、X方向と直交する方向(YZ平面)に沿って延びており、X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。前壁11eおよび後壁11fは、それぞれ、第1筐体11の前端部11iおよび後端部11jを構成している。前端部11iは、回転中心軸Cと離間している。後端部11jは、前端部11iに対して回転中心軸C側に設けられている。
【0025】
左壁11gおよび右壁11hは、いずれも、Y方向と直交する方向(XZ平面)に沿って延びており、Y方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。左壁11gおよび右壁11hは、それぞれ、第1筐体11の左端部11kおよび右端部11mを構成している。
【0026】
また、第1筐体11には、四つの角部11na~11ndが設けられている。角部11naは、前壁11eと左壁11gとの交差部によって構成されている。角部11nbは、左壁11gと後壁11fとの交差部によって構成されている。角部11ncは、後壁11fと右壁11hとの交差部によって構成されている。角部11ndは、右壁11hと前壁11eとの交差部によって構成されている。
【0027】
図4は、実施形態の電子機器1における第1筐体11のロアカバー13の例示的な斜視図である。図5は、実施形態の電子機器における第1筐体11のアッパーカバー14の例示的な斜視図である。図1図5に示されるように、第1筐体11は、ロアカバー13と、アッパーカバー14と、を含む複数の部材の組み合わせによって構成されている。ロアカバー13は、少なくとも下壁11cを含む。アッパーカバー14は、少なくとも上壁11dを含む。ロアカバー13とアッパーカバー14とは、ネジや爪等の結合部によって互いに結合されている。また、図3に示されるように、ロアカバー13とアッパーカバー14との間には、緩衝部40が設けられている。緩衝部40は、外部から入力される衝撃(力)を和らげるものである。換言すると、緩衝部40は、衝撃を吸収するものである。緩衝部40は、吸収部とも称される。アッパーカバー14は、第1部材の一例であり、ロアカバー13は、第2部材の一例である。
【0028】
図6は、実施形態の電子機器1の緩衝部40を含む部分の例示的な断面図である。図7は、実施形態の電子機器におけるロアカバー13の受部41を含む部分の斜視図である。図8は、実施形態の電子機器1におけるアッパーカバー14の支持部42を含む部分、回転部材44および弾性部材45の斜視図である。図9は、実施形態の電子機器1におけるアッパーカバー14の支持部を含む部分、回転部材44および弾性部材45の底面図である。図10は、実施形態の電子機器1における回転部材44および弾性部材45の斜視図である。
【0029】
図6に示されるように、緩衝部40は、受部41と、支持部42と、雄ネジ部材43と、回転部材44と、弾性部材45と、を有する。緩衝部40は、ロアカバー13とアッパーカバー14との間に介在している。
【0030】
図4図6に示されるように、受部41は、ロアカバー13の下壁11cに設けられている。図6図7に示されるように、受部41は、筒部41aと、壁41bと、を有する。筒部41aは、Z方向に延びる中心軸Ax1回りの円筒状に形成され、下壁11cの内面11caからZ方向に延びている。壁41bは、筒部41aのZ方向側の端部に設けられ、Z方向と交差する方向に延びている。壁41bは、Z方向側の面41cと、面41cの反対側の面41dと、を有する。壁41bには、面41c,41dに開口した貫通孔41eが設けられている。壁41bは、第3壁の一例である。
【0031】
また、壁41bの面41cには、Z方向に突出した二つの凸部41fが中心軸Ax1回りに間隔を空けて設けられている。各凸部41fは、案内面41gと、ストッパ面41hと、を有する。案内面41gは、中心軸Ax1回りに延びるとともに中心軸Ax1の第1周方向Raに向かうにつれてZ方向の反対方向に向かう。すなわち、案内面41gは、Z方向に対して傾斜した傾斜面である。ストッパ面41hは、凸部41fの第1周方向Raの反対の第2周方向Rbの端面である。案内面41gは、スロープとも称される。
【0032】
図5図6図8図9に示されるように、支持部42は、アッパーカバー14の上壁11dに設けられている。支持部42は、上壁11dの内面11daからZ方向の反対方向に突出した筒部42aを有する。筒部42aは、中心軸Ax1回りの円筒状に形成されている。図8図9に示されるように、筒部42aの内周面42bには、雌ネジ42cが設けられている。筒部42aの外周面には、凹状の支持部42eが設けられている。
【0033】
図5に示されるように、回転部材44は、上壁11dと受部41との間に位置され、弾性部材45を介してアッパーカバー14に支持されている。図5図8図9に示されるように、回転部材44は、筒部42aおよび弾性部材45を囲んでいる。
【0034】
図10に示されるように、回転部材44は、中心軸Ax1回りの円筒状に形成されている。回転部材44は、Z方向側の端面44aと、Z方向の反対方向側の端面44bと、端面44aと端面44bとに亘った内周面44dと、を有する。内周面44dは、貫通孔44cを形成している。
【0035】
また、回転部材44は、端面44aに、案内面41gに沿って延び案内面41gと接触した接触面44gを有する。すなわち、接触面44gは、案内面41gと平行な傾斜面である。また、回転部材44には、接触面44gに連接された当接面44fが設けられている。当接面44fは、第2周方向Rbを向く。接触面44gは、スロープとも称される。
【0036】
また、回転部材44の内周面44dには、凹状の支持部44eが設けられている。回転部材44は、受部41に対して第1位置P1に位置されている。回転部材44が第1位置P1に位置された状態では、上壁11dと回転部材44との間に隙間46(図6)が設けられている。
【0037】
図5に示されるように、弾性部材45は、上壁11dと下壁11cとの間に位置し、筒部42aを介してアッパーカバー14に支持されている。弾性部材45は、中心軸Ax1回りに延び、回転部材44と筒部42aとの間に位置されている。弾性部材45は、例えば、中心軸Ax回りに巻回された渦巻ばね(ぜんまいばね)である。弾性部材45は、回転部材44に支持された一端部45bと、筒部42aに支持された他端部45aと、を有する。一端部45bは、回転部材44の支持部44eに入れられて、支持部44eに支持されている。他端部45aは、筒部42aの支持部42eに入れられて、支持部42eに支持されている。なお、弾性部材45は、上記に限定されない。例えば、弾性部材45は、トーションばね等であってもよい。
【0038】
図6に示されるように、雄ネジ部材43は、頭部43aと、軸部43bと、を有する。頭部43aは、受部41の壁41bに対してZ方向の反対方向に位置して壁41bの面41dに重ねられている。軸部43bは、頭部43aからZ方向に延び筒部42aに入れられ筒部42aと結合されている。詳細には、軸部43bは、頭部43aからZ方向に延びた第1部分43cと、第1部分43cからZ方向に延び筒部42aに入れられ、直径が第1部分43cよりも小さい第2部分43dと、を有する。第1部分43cのZ方向側の端面43fが、筒部42aのZ方向の反対方向側の端面42dと接触している。
【0039】
上記構成では、回転部材44が第1位置P1に位置された状態から上壁11dと下壁11cとが相対的に近づく場合に、接触面44gが案内面41gを摺動しつつ、回転部材44が弾性部材45の弾性力に抗して第1周方向Raに回転しながらZ方向の反対方向に移動する。また、回転部材44が第1位置P1に位置された状態で、上壁11dと回転部材44との間に隙間46が設けられている。このため、弾性部材45は、回転部材44が第1位置P1に位置された状態から上壁11dと下壁11cとが相対的に近づく場合に、上壁11dと下壁11cを相対的に離間させる方向の弾性力を生じる。
【0040】
図11は、実施形態の電子機器1における緩衝部40を含む部分の斜視図であって、回転部材44が第1位置P1に位置された通常状態の図である。図12は、実施形態の電子機器1における緩衝部40を含む部分の斜視図であって、図11の状態から第1筐体11に衝撃が加わって回転部材44が回転した状態の図である。
【0041】
図11に示される状態の電子機器1に外部からZ方向やZ方向の反対方向から衝撃が加わると、まず、上壁11dと下壁11cとがZ方向に相対的に近づく過程で、弾性部材45が弾性変形して衝撃を吸収する。次に、隙間46が無くなり、さらに上壁11dと下壁11cとがZ方向に相対的に近づくと、接触面44gが案内面41gを摺動しつつ、回転部材44が弾性部材45の弾性力に抗して第1周方向Raに回転しながらZ方向の反対方向に移動する(図12)。このように、本実施形態では、例えば、電子機器1に作用するZ方向やZ方向の反対方向の力を、接触面44gと案内面41gとの間の摩擦力に抗して回転部材44を回転させる回転力に変換する。これにより第1筐体11の全体が緩やかに撓む。そして、一例として接触面44gと案内面41gとの間の摩擦力と、衝撃による力が釣り合うと、回転部材44が停止する。また、他の一例として、回転部材44の接触面44gが受部41のストッパ面41hと突き当たることにより、回転部材44が停止する。
【0042】
上記衝撃が無くなると、上壁11dと下壁11cとがZ方向に相対的に離間方するとともに、回転部材44が、弾性部材45の弾性力(復元力)によって第1位置P1に戻される。
【0043】
以上のように、本実施形態では、電子機器1は、第1筐体11(筐体)と、緩衝部40と、を備える。第1筐体11は、上壁11d(第1壁)を有したアッパーカバー14(第1部材)と、上壁11dに対してZ方向の反対方向(第1方向)側に位置された下壁11c(第2壁)を有しアッパーカバー14と結合されたロアカバー13(第2部材)と、を有する。緩衝部40は、アッパーカバー14とロアカバー13との間に介在している。緩衝部40は、受部41と、弾性部材45と、回転部材44と、を備える。受部41は、下壁11cに設けられている。受部41は、Z方向の反対方向に延びる中心軸Ax1回りに延びるとともに中心軸Ax1の第1周方向Raに向かうにつれてZ方向の反対方向に向かう案内面41gを有する。弾性部材45は、上壁11dと下壁11cとの間に位置し、アッパーカバー14に支持されている。回転部材44は、上壁11dと受部41との間に位置され、弾性部材45を介してアッパーカバー14に支持されている。回転部材44は、案内面41gに沿って延び案内面41gと接触した接触面44gを有する。回転部材44が第1位置P1に位置された状態から上壁11dと下壁11cとが相対的に近づく場合に、接触面44gが案内面41gを摺動しつつ、回転部材44が弾性部材45の弾性力に抗して第1周方向Raに回転しながらZ方向の反対方向に移動する。
【0044】
このような構成によれば、例えば、回転部材44が第1位置P1に位置された状態で、電子機器1に外部からZ方向やZ方向の反対方向から衝撃が加わると、上壁11dと下壁11cとがZ方向に相対的に近づくとともに、接触面44gが案内面41gを摺動しつつ、回転部材44が弾性部材45の弾性力に抗して第1周方向Raに回転しながらZ方向の反対方向に移動する。よって、衝撃が、接触面44gと案内面41gとの間の摩擦力に抗して接触面44gを案内面41gに摺動させるとともに回転部材44を弾性部材45の弾性力に抗して回転させるための力に変換されるので、衝撃を和らげることができる。これにより、例えば、ディスプレイユニット22が閉じ位置に位置された状態で、衝撃が加わり、第1筐体11やキーボード12とディスプレイユニット22とがぶつかった場合であっても、ディスプレイユニット22に応力集中が発生するのを抑制することができる。
【0045】
また、回転部材44が第1位置P1に位置された状態で、上壁11dと回転部材44との間に隙間46が設けられている。弾性部材45は、回転部材44が第1位置P1に位置された状態から上壁11dと下壁11cとが相対的に近づく場合に、上壁11dと下壁11cを相対的に離間させる方向の弾性力を生じる。
【0046】
このような構成によれば、回転部材44が第1位置P1に位置された状態で、電子機器1に外部からZ方向やZ方向の反対方向から衝撃が加わると、まず、上壁11dと下壁11cとがZ方向に相対的に近づく過程で、弾性部材45が弾性変形して衝撃を吸収する。次に、隙間46が無くなり、さらに上壁11dと下壁11cとがZ方向に相対的に近づくと、接触面44gが案内面41gを摺動しつつ、回転部材44が弾性部材45の弾性力に抗して第1周方向Raに回転しながらZ方向の反対方向に移動する。よって、衝撃をより和らげることができる。また、隙間46が無くなる前または隙間46が無くたった時点で、上壁11dと下壁11cとの相対移動が停止した場合には、回転部材44が回転しないので、回転部材44の摩耗が抑制されやすい。
【0047】
また、緩衝部40は、筒部42aと、雄ネジ部材43と、を有する。筒部42aは、中心軸Ax1回りの筒状であり、上壁11dからZ方向の反対方向に延びている。雄ネジ部材43は、頭部43aと、頭部43aからZ方向に延び筒部42aに入れられ筒部42aと結合された軸部43bと、を有する。回転部材44は、中心軸Ax1回りの筒状であり、筒部42aを囲んでいる。弾性部材45は、中心軸Ax1回りに延び、回転部材44と筒部42aとの間に位置されている。受部41は、接触面44gと軸部43bが貫通した貫通孔41eとが設けられた壁41bを有する。頭部43aは、壁41bに対してZ方向の反対方向に位置して壁41bに重ねられている。
【0048】
このような構成によれば、回転部材44の回転が安定しやすい。
【0049】
また、軸部43bは、頭部43aからZ方向に延びた第1部分43cと、第1部分43cからZ方向に延び筒部42aに入れられ、直径が第1部分43cよりも小さい第2部分43dと、を有する。第1部分43cのZ方向側の端面43fが、筒部42aのZ方向の反対方向側の端面42dと接触している。
【0050】
このような構成によれば、隙間46を容易に確保することができる。
【0051】
電子機器1では、例えば、弾性部材45は、回転部材44に支持された一端部45bと、筒部42aに支持された他端部45aと、を有する。
【0052】
このような構成によれば、弾性部材45が全体的に弾性変形しやすいので、弾性部材45による衝撃吸収がされやすい。
【0053】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等の仕様(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…電子機器、11…第1筐体(筐体)、11d…上壁(第1壁)、11c…下壁(第2壁)、13…ロアカバー(第2部材)、14…アッパーカバー(第1部材)、40…緩衝部、41…受部、41b…壁(第3壁)、41e…貫通孔、41g…案内面、42a…筒部、42d…端面、43…雄ネジ部材、43a…頭部、43b…軸部、43c…第1部分、43d…第2部分、43f…端面、44…回転部材、44g…接触面、45…弾性部材、45a…他端部、45b…一端部、46…隙間、Ax1…中心軸、Ra…第1周方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12