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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】シートへのセンシング部材の配置構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240815BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20240815BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240815BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20240815BHJP
   A61B 5/026 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/56
A47C7/62 Z
A47C7/74 A
A61B5/026 140
A61B5/026 120
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022092638
(22)【出願日】2022-06-08
(62)【分割の表示】P 2017157300の分割
【原出願日】2017-08-17
(65)【公開番号】P2022118049
(43)【公開日】2022-08-12
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小澤 英俊
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
(72)【発明者】
【氏名】三好 晃
(72)【発明者】
【氏名】古和 宗高
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-017510(JP,A)
【文献】特開2012-196335(JP,A)
【文献】特開2016-168177(JP,A)
【文献】特開2013-147225(JP,A)
【文献】特開2014-008846(JP,A)
【文献】特開2014-231256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 - B60N 2/90
A47C 7/00 - A47C 7/74
A47C 27/00
A61B 5/026
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシートに、通気路と、前記乗員の生体情報を検出するための非接触型のセンシング部材とが設けられており、
前記通気路の一部をなす凹部が前記シートのクッションパッドに設けられ、
バー部材が前記凹部を覆って前記クッションパッドに設けられることで前記通気路が形成されており、
前記通気路内を流通した空気が前記カバー部材の送風口から前記乗員に向けて吹き出されるようになっており、
前記センシング部材が生体センサーを含み、
前記生体センサーが前記通気路の角隅部に配置され、
案内面が前記角隅部をなす2面に対して斜めに前記2面をつなぎ、
前記生体センサーが前記2面と前記案内面によって囲われた領域に配置される
ことを特徴とするシートへのセンシング部材の配置構造。
【請求項2】
前記生体センサーは、前記送風口に対向する位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のシートへのセンシング部材の配置構造。
【請求項3】
前記生体センサーは、電磁波を照射するように構成されており、
前記案内面は、前記生体センサーが照射する電磁波を透過する材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシートへのセンシング部材の配置構造。
【請求項4】
前記センシング部材は、前記生体センサーと外部装置とを電気的に接続するためのハーネスを含み、
前記ハーネスが前記通気路内に配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のシートへのセンシング部材の配置構造。
【請求項5】
前記ハーネスは、前記通気路の壁面に沿うように配置されていることを特徴とする請求項に記載のシートへのセンシング部材の配置構造。
【請求項6】
前記センシング部材はハーネスを含み、
前記シートに設けられた前記生体センサーと車両に設けられた振動発電素子とを前記ハーネスで接続し、前記ハーネスを介して前記振動発電素子から前記生体センサーに電力を供給するように構成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のシートへのセンシング部材の配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートへのセンシング部材の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する運転者の健康状態が悪化した場合、車両の運転に悪影響を及ぼすおそれがあるため、健康状態の悪化を事前に検知して何らかの対策を施すことが望ましい。このような対策として、シートの座面及び背面部に埋め込まれるようにして設けられた非接触式の血流センサーによる脈波等の計測結果に基づいて、血流や血圧等の生体情報を推定して運転者の健康状態を把握する技術が知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-168177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような血流センサー等の生体センサーを含むセンシング部材をシートに組み込む場合、生体センサー自体や、生体センサーと外部装置とを電気的に接続するハーネスを設けなければならない。ところが、生体センサーやハーネスをシートに設ける位置や態様によっては、シートが有する機能に障害が生じてしまう場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シートに生体センサーやハーネスを設ける際に、シートが有する機能を害しないシートへのセンシング部材の配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、乗員が着座するシートに、通気路と、前記乗員の生体情報を検出するための非接触型のセンシング部材とが設けられており、前記通気路の一部をなす凹部が前記シートのクッションパッドに設けられ、カバー部材が前記凹部を覆って前記クッションパッドに設けられることで前記通気路が形成されており、前記通気路内を流通した空気が前記カバー部材の送風口から前記乗員に向けて吹き出されるようになっており、前記センシング部材が生体センサーを含み、前記生体センサーが前記通気路の角隅部に配置され、案内面が前記角隅部をなす2面に対して斜めに前記2面をつなぎ、前記センシング部材が前記2面と前記案内面によって囲われた領域に配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のシートへのセンシング部材の配置構造において、前記生体センサーは、前記送風口に対向する位置に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載のシートへのセンシング部材の配置構造において、前記生体センサーは、電磁波を照射するように構成されており、前記案内面は、前記生体センサーが照射する電磁波を透過する材料で形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載のシートへのセンシング部材の配置構造において、前記センシング部材は、前記生体センサーと外部装置とを電気的に接続するためのハーネスを含み、前記ハーネスが前記通気路内に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のシートへのセンシング部材の配置構造において、前記ハーネスは、前記通気路の壁面に沿うように配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載のシートへのセンシング部材の配置構造において、前記センシング部材はハーネスを含み、前記シートに設けられた前記生体センサーと車両に設けられた振動発電素子とを前記ハーネスで接続し、前記ハーネスを介して前記振動発電素子から前記生体センサーに電力を供給するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項に記載の発明によれば、生体センサーを通気路の角隅部に配置しても、案内面によって角隅部で空気がスムーズに流れるため、通気路内に乱流が生じることが抑制され、生体センサーにより通気路における空気の流通が阻害されにくくなる。
【0023】
請求項に記載の発明によれば、生体センサーから電磁波等を乗員に照射してセンシングを行う場合、電磁波等がシートの構成部材に妨げられずに送風口を通過して乗員に照射されるため、電磁波等の乗員への照射効率が向上しやすくなり、生体センサーの感度を向上させやすくなる。
【0024】
請求項に記載の発明によれば、生体センサーから照射された電磁波が、案内面によって妨げられにくい状態で案内面を透過するため、生体センサーから照射された電磁波が乗員に照射されやすくなる。
【0025】
請求項に記載の発明によれば、通気路内にハーネスを配置した場合も上記の有用な作用効果を奏することが可能となる。
【0026】
請求項に記載の発明によれば、通気路内を流れる空気がハーネスに沿ってスムーズに流れるため、ハーネスを通気路における空気の流通を阻害しにくい態様で設けることが可能となり、通気路内に乱流が生じることが抑制され、ハーネスにより通気路における空気の流通が阻害されにくくなる。
【0027】
請求項に記載の発明によれば、センシング部材は、生体センサー及びハーネスを含み、シートに設けられた生体センサーと車両に設けられた振動発電素子とをハーネスで接続し、ハーネスを介して振動発電素子から生体センサーに電力を供給するように構成されているので、シートが、通気路の送風口から乗員に向けて温風や冷風を吹き出して暖房や冷房を行う機能等を有している場合に、シートに生体センサーやハーネスを設けても、シートが有する冷暖房機能等の機能が害されにくくなり、シートの機能を発揮させやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】シートを示す斜視図である。
図2】シートクッションのクッションパッドに形成された通気路やカバー部材に形成された送風口等を示す斜視図である。
図3】シートクッションフレームを示す斜視図である。
図4】シートクッションを下側から見た図である。
図5】生体センサーやハーネスのシートへの配置例を示す図である。
図6】(A)生体センサーやハーネスを通気路の中心を含む位置に配置した状態を示す断面図であり、(B)(A)のY-Y線に沿う断面図である。
図7】生体センサーを通気路がカーブする部分に配置した状態を示す断面図である。
図8】(A)生体センサーを通気路の壁面と面一になるように埋め込んだ状態を示す断面図であり、(B)ハーネスを通気路の壁面に沿うように配置した状態を示す断面図である。
図9】(A)通気路内に案内面を備える生体センサーを配置した状態を示す断面図であり、(B)(A)のZ-Z線に沿う断面図である。
図10】案内面を備える生体センサーを通気路の角隅部に配置した状態を示す断面図である。
図11】生体センサーを送風口に対向する位置に配置する際、(A)生体センサーを通気路の壁面と面一になるように埋め込んだ状態、(B)通気路の角隅部に案内面を備えるように配置した状態を示す断面図である。
図12】シートに設けられた生体センサーと車両に設けられた振動発電素子とをハーネスで接続した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
また、以下では、シートクッションやシートバックにセンシング部材(生体センサーやハーネス)が設けられている場合について説明するが、この他にも、シートのヘッドレストやネックレスト、アームレスト、フットレスト、オットマン等のいわゆる補助支持部にセンシング部材が設けられている場合もあり、本発明はこのように補助支持部にセンシング部材が形成されている場合にも適用される。
【0038】
図1に示すシート10は、自動車等の車両に設けられるものであり、運転者等の乗員が着座するものである。図1に示すように、シート10は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション11と、下端部がシートクッション11に支持されて背もたれとなるシートバック14と、シートバック14に設けられて乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を備える。なお、この他、ネックレストやアームレスト、フットレスト、オットマン等の補助支持部を備えていてもよい。
【0039】
図2に示すように、シートクッション11は、骨格となるシートクッションフレーム17(後述する図3参照)と、シートクッションフレーム17上に設けられたクッションパッド12と、シートクッションフレーム17及びクッションパッド12を被覆してシートの表面を構成する表皮13(図2では図示省略。図1参照)と、から主に構成されている。
【0040】
本実施形態のシートクッション11は、さらにクッションパッド12と表皮13との間に空気(温風や冷風)の通気路30が設けられている。具体的には、図2に示すように、クッションパッド12に通気路30の一部をなす凹部30Aが設けられている。また、カバー部材12Aの、当該凹部30Aに対応する位置に、通気路30の残りの部分をなす凹部(図示省略)が設けられており、カバー部材12Aのクッションパッド12の所定の部分に嵌め込むことで通気路30が形成されるようになっている。
【0041】
また、カバー部材12Aには複数のパンチング孔が形成されており、これらのパンチング孔が通気路30の送風口30Cとされている。そして、カバー部材12Aを含むクッションパッド12が、少なくとも送風口30Cに対応する部分は通気性とされている表皮13で被覆されるようになっている。
そして、後述するブロワー20(後述する図4参照)から送り込まれた空気が貫通孔30Bを通って通気路30内に送られ、通気路30内を流通した空気が通気路30の送風口30Cから乗員に向けて吹き出されるようになっている。
【0042】
本実施形態のシートクッション11は、クッションパッド12の下にシートクッションフレーム17が設けられている。図3に示すように、シートクッションフレーム17は、左右一対のサイドフレーム17Aと、各サイドフレーム17Aの前側を連結するパンフレーム17Bと、各サイドフレーム17Aの前端部や後端部をそれぞれ連結する連結部材17C(前端部側の連結部材17Cは後述する図4参照)と、から主に構成されている。
また、パンフレーム17Bと後端部側の連結部材17Cとの間には、複数のSバネ17Dが架設されている。
【0043】
図4は、シートクッション11を下側から見た図である。図4に示すように、パンフレーム17Bの下側には、ブロワー20と、ブロワー20をパンフレーム17Bに固定するための取付部材21とが設けられている。
ブロワー20は、モーター20Aやファン20B、ダクト22等を備えており、ダクト22は前述した通気路30の貫通孔30Bに接続されている。そして、ブロワー20は、ファン20Bの回転により図示しない吸い込み口から吸い込んだ空気を、ダクト22や貫通孔30Bを介して通気路30に向けて送り込むようになっている。
【0044】
詳しい図示は省略するが、シートバック14(図1参照)も、以上で説明したシートクッション11の場合と同様の構成になっている。そして、シートバック14の表皮15にも通気路30の送風口30Cが複数形成されており、通気路30内を流通した空気が送風口20Cから乗員(不図示)に向けて送風されるようになっている。
なお、ブロワー20は、シートクッション11とシートバック14の両方にそれぞれ設けられていてもよく、あるいは、シートクッション11とシートバック14のいずれか一方に設けられており、そこから他方の通気路30にも空気を送り込むように構成することも可能である。また、シート10は、このほか、ヒーター等の構造を有していてもよい。
【0045】
一方、シート10には、図5に示すように、生体センサー1A,1Bが設けられている。本実施形態における生体センサー1A,1Bは、例えば、被計測者である人(乗員A)の血流状態を計測するためのものであり、被計測領域の皮膚表面に対向する位置の血流を計測することができる。また、本実施形態の生体センサー1A,1Bは、電磁波や超音波等によって乗員Aの生体情報を検出する非接触型のものであり、ハーネス2A,2Bにより外部装置と電気的に接続されている。
そして、生体センサー1A,1Bは、ハーネス2A,2Bを介して外部電源から電力の供給を受けるとともに、検出した生体情報をハーネス2A,2Bを介して外部装置に伝達するようになっている。
【0046】
なお、生体センサー1A,1Bやハーネス2A,2Bをそれぞれ代表して言う場合は、生体センサー1やハーネス2という。また、生体センサー1とハーネス2とをまとめて言う場合は、センシング部材という。さらに、図5では、生体センサー1やハーネス2(すなわちセンシング部材)をシート10に2つずつ設ける場合を示したが、センシング部材はシート10に1つだけ設けられてもよく、また、3つ以上設けてもよい。
【0047】
生体センサー1(生体センサー1A,1B)を、例えば図5に示したようにシートクッション11とシートバック14(あるいはヘッドレスト16等の補助支持部等)に設ける等して、シート10のうち少なくとも二箇所に、互いに離間して配置するように構成すると、人の身体の少なくとも二箇所から生体情報を検出することが可能となるため、検出した生体情報から人の健康状態を算出する場合の精度を、1つの生体センサー1のみを用いる場合に比べて向上させることができる。
【0048】
また、生体センサー1には、電磁波を照射して人の生体情報を検出するものが含まれ得る。
ここで、電磁波とは、100MHz程度の電波やマイクロ波を始め、赤外光、可視光、紫外光、X線等を含む広義の電磁波を意味しており、人体に悪影響を及ぼさない範囲で好適な電磁波が使用される。
【0049】
このような電磁波は、例えば鉄や銅、アルミニウム等を始めとする種々の金属を透過しにくいという特徴がある。そのため、本実施形態における生体センサー1は、シート10に対し、電磁波の透過を妨害する部材あるいは妨害するおそれのある部材を避けた位置に配置される。
具体的には、電磁波の透過を妨害する部材あるいは妨害するおそれのある部材が、生体センサー1から照射される電磁波の照射中心Cを遮らず、また、そのような部材が電磁波の照射範囲R内にできるだけ入らないような位置に配置されることが望ましい。
【0050】
ところで、生体センサー1やハーネス2、すなわちセンシング部材は、乗員Aの邪魔にならず、また、シートの各部材の取り付け等の邪魔になったりシートが有する種々の機能の障害になったりしない限り、基本的に、シート10のシートクッション11やシートバック14(あるいはヘッドレスト16等の補助支持部等)のいかなる箇所に設けてもよい。また、生体センサーに接続されるハーネスも、乗員Aの邪魔にならない等の上記の条件を満たす限り、基本的に、シート10のいかなる箇所に設けてもよい。
すなわち、本発明において、センシング部材は、基本的に、シート10のいかなる箇所に設けることも可能である。
【0051】
しかし、前述したように、シート10にセンシング部材を設ける位置や態様によっては、シート10が有する機能に障害が生じてしまう場合がある。
例えば、本実施形態のように、シート10に通気路30(図2参照)が設けられ、ブロワー20(図4参照)から温風や冷風等の空気を通気路30に送り込み、送風口30Cから乗員Aに向けて吹き出すことで暖房や冷房を行う機能をシート10が有している場合がある。
【0052】
このような場合に、センシング部材すなわち生体センサー1やハーネス2を、シート10の通気路30に配置すると、生体センサー1やハーネス2によって通気路30での空気の流通が阻害されてしまう可能性がある。
そして、このように生体センサー1やハーネス2により通気路30での空気の流通が阻害されると、通気路30内に乱流が生じてしまい空気の圧力損失が生じるため、シート10の表皮13,15に設けた送風口30Cからの空気の吹き出し量が減少してしまう。そのため、送風口30Cから吹き出す温風や冷風が設定された量よりも少なくなってしまったり、温風や冷風が吹き出さなくなってしまう等の問題が生じ得る。
【0053】
そこで、本実施形態では、生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材は、シート10に設けられた通気路30における空気の流通を阻害しない位置に設けられるようになっており、あるいは通気路30における空気の流通を阻害しない態様で設けられるようになっている。
【0054】
本発明者らの研究では、生体センサー1やハーネス2を通気路30内に配置する場合、図6(A)、(B)に示すように生体センサー1やハーネス2を通気路30の中心αを含む位置に配置すると、生体センサー1やハーネス2により通気路30内に乱流が生じる場合があることが分かっている。
そのため、本実施形態では、生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材をシート10に設けられた通気路30内に設ける配置する場合には、生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材を配置する位置は、通気路30の中心αを避けた位置に配置されるようになっている。
【0055】
なお、図6(A)や後述する図7図9(A)、図10図11(A)、(B)は通気路30の延在方向に沿う断面図を表しており、図6(B)や後述する図8(A)、(B)、図9(B)は通気路30の延在方向に直交する方向に沿う断面図を表している。
【0056】
このようにセンシング部材を通気路30の中心αを避けた位置に配置するように構成すれば、生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材により、シート10に設けられた通気路30における空気の流通を阻害することが抑制され、通気路30内に乱流が生じることが抑制されるため、空気の圧力損失が生じず、シート10の表皮13,15に設けた送風口30Cからの空気の吹き出し量が減少することを防止しやすくなる。
そのため、生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材をシート10の通気路30内に配置しても、シート10が有している暖房や冷房を行う機能が害されにくくなり、冷暖房機能を発揮させやすくなる(あるいはセンシング部材により機能が阻害されにくくなる)。
【0057】
また、通気路30がカーブする部分は、流れる空気の方向が変化する部分でもあり、もともと空気の流れに乱流が生じ易い。そして、図7に示すように、通気路30のカーブする部分βに生体センサー1等のセンシング部材を設けると、ただでさえ乱流が生じやすい空気の流れが生体センサー1等により乱されて、通気路30内に乱流が発生してしまう可能性がある。
そのため、通気路30がカーブする部分βには、生体センサー1等のセンシング部材を設けないことが望ましい。
【0058】
なお、以下では、図6(A)、(B)や図7に示したように、主に、生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材がシート10のクッションパッド12(以下、クッションパッド12という場合、シートクッション11のクッションパッドだけでなくシートバック14や補助支持部等のクッションパッドも含む。以下同じ。)に形成された通気路30に配置されている場合について説明するが、例えば、通気路30以外のクッションパッド12等に穴や貫通孔を形成する等してその中に生体センサー1やハーネス2等を配置するように構成することも可能であることは改めて説明するまでもない。
【0059】
また、生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材を、通気路30に空気を供給するためのブロアー20やダクト22(図4参照)に配置するように構成してもよい。例えば温度が低いとセンサー機能が十分に発揮されないような生体センサー1をブロアー20やダクト22に配置すれば、ブロワー20が通気路30に暖気を送り込む際に生体センサー1が温められるため、生体センサー1を機能させやすくなる。
なお、生体センサー1をブロワー20等に配置する場合には、生体センサー1が照射する電磁波等が乗員Aに届くようにするために、生体センサー1が配置される位置の上方のパンフレーム17B等に孔を設けたり電磁波等を透過する部材でパンフレーム17B等を形成するなど必要な措置が取られる。
【0060】
また、逆に、生体センサー1やハーネス2が高温に弱いタイプのものであるような場合には、生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材を高温になる場合があるブロアー20やダクト22の近傍には配置しないように構成することも可能である。このように構成すれば、ブロワー20やダクト22の熱で生体センサー1やハーネス2が熱せられなくなるため、生体センサー1等が高温になりにくくなり、その機能を発揮しやすくなる。
【0061】
生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材をシート10のクッションパッド12に形成された通気路30に配置する場合、例えば図8(A)に示すように、生体センサー1を、その通気路30に露出する面1aが通気路30の壁面30aと面一になるように通気路30の壁面30aに埋め込むように設けることが可能である。
この場合、生体センサー1の面1aが通気路30の壁面30aから突き出たり凹んだりしていると、その部分で通気路30内に乱流が生じる可能性が生じるが、上記のように構成して、生体センサー1の面1aが通気路30の壁面30aと面一になるようにすれば、通気路30内で空気がスムーズに流れる。このように、上記の構成では、生体センサー1が通気路30における空気の流通を阻害しない態様で設けられるため、通気路30内に乱流が生じることが抑制され、生体センサー1により通気路30における空気の流通が阻害されにくくなる。
【0062】
また、ハーネス2を通気路30内に配置する場合には、例えば図8(B)に示すように、ハーネス2を、通気路30の壁面30aに沿うように配置するように構成することが可能である。このように構成すれば、通気路30内を流れる空気がハーネス2に沿ってスムーズに流れるため、ハーネス2を通気路30における空気の流通を阻害しない態様で設けることができる。そのため、通気路30内に乱流が生じることが抑制され、ハーネス2により通気路30における空気の流通が阻害にくくなる。
【0063】
また、生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材を通気路30内に配置する際、例えば図9(A)、(B)に示すように、生体センサー1が、通気路30内の空気が当該生体センサー1には向かわず、かつ、滑らかに流れるように通気路30内の空気を案内する案内面3を備えるように構成することが可能である。
このように案内面3を設けると、通気路30内の空気の流れが生体センサー1の方には向かわず、案内面3によってスムーズに流れ、生体センサー1を通気路30における空気の流通を阻害しない態様で設けることができる。そのため、このように構成すれば、通気路30内に生体センサー1等を設けても通気路30内に乱流が生じることが抑制され、生体センサー1等により通気路30における空気の流通が阻害されにくくなる。
【0064】
なお、図9(A)、(B)に示したように案内面3を生体センサー1のセンサー面上に配置する場合、例えば生体センサー1が電磁波等を照射するタイプのものであり、案内面3が例えば金属等のように電磁波等の透過を妨害するものであると、案内面3により生体センサー1のセンサー機能が阻害されてしまう可能性がある。そのため、案内面3は、生体センサー1が照射する電磁波等を透過する例えば樹脂等の材料で形成される。
また、生体センサー1が例えば光電式の場合には、案内面3を、生体センサー1が照射する光を透過する透明な材料で形成することが可能である。
【0065】
また、図9(A)、(B)に示すような案内面3を備える生体センサー1を通気路30がカーブする部分β(図7参照)に配置した場合に、通気路30内を流れる空気に乱流が生じないのであれば、案内面3を備える生体センサー1を通気路30がカーブする部分βに配置するように構成することも可能である。
【0066】
一方、上記の案内面3は、例えば図10に示すように、生体センサー1等を通気路30の角隅部γに配置するような場合にも適用できる。
このように構成すると、通気路30の角隅部γに配置された生体センサー1が案内面3によって通気路30の角隅部γの空気の流れから隔離され、空気が案内面3によってスムーズに流れる。そのため、通気路30の角隅部γに生体センサー1等を設けても通気路30内に乱流が生じることが抑制され、生体センサー1等により通気路30における空気の流通が阻害されにくくすることができる。
なお、図10では(後述する図11(B)においても同様)、案内面3を平面状に形成する場合を示したが、案内面3を曲面状に形成してもよい。
【0067】
ところで、前述したように、本実施形態では、シート10のカバー部材12A(図2参照)には、通気路30内を流通した空気を乗員Aに向けて吹き出すための送風口30Cが設けられている。そして、生体センサー1から電磁波等を乗員Aに照射してセンシングを行う場合、電磁波等が送風口30Cを通過して乗員Aに照射されるように構成すれば、送風口30Cの部分では電磁波等の妨げになるものがないため電磁波等の乗員Aへの照射効率が向上しやすくなり、生体センサー1の感度を向上させやすくなる。
そのため、上記のように生体センサー1をシート10のクッションパッド12に形成された通気路30に設ける場合、生体センサー1を、送風口30Cに対向する位置に配置するように構成することが好ましい。
【0068】
この場合、例えば、図8(A)に示した構成を適用して、図11(A)に示すように、生体センサー1を、送風口30Cに対向する位置の通気路30の壁面30aに埋め込み、生体センサー1の面1aと通気路30の壁面30aとが面一になるように構成することが可能である。
【0069】
また、図示を省略するが、例えば、図9(A)、(B)に示した構成を適用して、送風口30Cに対向する位置に配置した生体センサー1を、案内面3で被覆するように構成することも可能である。さらに、図11(B)に示すように、送風口30Cが通気路30の角隅部γに形成されている場合には、例えば、図10に示した構成を適用して、通気路30の角隅部γに配置した生体センサー1を案内面3で被覆して、生体センサー1を通気路30から送風口30Cに向かう空気の流れから隔離するように構成することも可能である。
上記のいずれのように構成しても、生体センサー1によって通気路30内に乱流が生じることが抑制され、生体センサー1により通気路30における空気の流通が阻害されにくくなる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係るシート10へのセンシング部材(生体センサー1、ハーネス2)の配置構造によれば、センシング部材は、通気路における空気の流通を阻害しない位置に設けられており、あるいは、通気路30における空気の流通を阻害しない態様で設けられている。
そのため、センシング部材によって通気路30内に乱流が生じることが抑制され、センシング部材によって通気路30における空気の流通が阻害されにくくなる。
【0071】
そして、本実施形態のように、シート10が、送風口30Cから乗員Aに向けて温風や冷風を吹き出して暖房や冷房を行う冷暖房機能等を有している場合に、シート10に生体センサー1やハーネス2等のセンシング部材を設けても、シート10が有する冷暖房機能等の機能を害しにくくなり、シート10の機能を発揮させやすくなる。
【0072】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0073】
また、シート10に設けられた生体センサー1への電力の供給は、車両のバッテリーからハーネス2を介して行われることが多いが、近年、振動で発電を行うことができる振動発電素子の開発が進んでおり、振動発電素子からハーネス2を介して生体センサー1に電力を供給するように構成することができる。
この場合、例えば図12に示すように、振動発電素子40を車両100に設ける。その際、振動発電素子40をシート10に設けてもよいが、より振動が生じやすい車両100のエンジンや、サスペンション等のシャシ等に設けてもよい。
【0074】
そして、例えば、振動発電素子40に接続したハーネス2を、シート10の貫通孔30B(図2参照)や通気路30等を通すように配置して、シート10に設けられた生体センサー1に接続する。このようにして、生体センサー1と振動発電素子40とをハーネス2で接続し、ハーネス2を介して振動発電素子40から生体センサー1に電力を供給して生体センサー1を作動させるように構成することも可能である。
【0075】
そして、その際、生体センサー1やハーネス2の配置の仕方として、上記の実施形態で説明したシートへのセンシング部材の配置構造を適用することで、シート10に生体センサー1やハーネス2を配置しても、シート10が有している冷暖房機能等の機能を害しにくくなり、当該機能を発揮させやすくなる。
<開示の概要>
以上の記載によれば、以下の(1)~(15)の発明が開示されている。
(1) 乗員が着座するシートに、通気路と、乗員の生体情報を検出するための非接触型のセンシング部材とが設けられており、前記センシング部材は、前記通気路における空気の流通を阻害しない位置に又は態様で設けられていることを特徴とするシートへのセンシング部材の配置構造が開示されている。
(2) 乗員が着座するシートに、通気路と、乗員の生体情報を検出するための非接触型のセンシング部材とが設けられており、前記センシング部材は、前記通気路の中心を避けた位置に配置されていることを特徴とするシートへのセンシング部材の配置構造が開示されている。
(3) (1)又は(2)の配置構造において、前記センシング部材は、前記シートのクッションパッドに形成された前記通気路に配置されていることを特徴とする配置構造が開示されている。
(4) (1)から(3)のいずれかの配置構造において、前記センシング部材は、前記シートのクッションパッドに形成された前記通気路に空気を供給するためのブロアー及び/又はダクトに配置されていることを特徴とする配置構造が開示されている。
(5) (1)から(3)のいずれかの配置構造において、前記センシング部材は、前記シートのクッションパッドに形成された前記通気路に空気を供給するためのブロアー及び/又はダクトの近傍には配置されないことを特徴とする配置構造が開示されている。
(6) (1)から(5)のいずれかの配置構造において、前記センシング部材は、生体センサーを含み、前記生体センサーが前記通気路内に配置されていることを特徴とする配置構造が開示されている。
(7) (6)の配置構造において、前記生体センサーは、前記通気路に露出する面が、前記通気路の壁面と面一になるように前記通気路の壁面に埋め込まれていることを特徴とする配置構造が開示されている。
(8) (6)又は(7)の配置構造において、前記通気路には、乗員に向けて空気を吹き出すための送風口が形成されており、前記シートのクッションパッドに形成された前記通気路に設けられた前記生体センサーは、前記送風口に対向する位置に配置されていることを特徴とする配置構造が開示されている。
(9) (6)から(8)のいずれかの配置構造において、前記生体センサーは、前記通気路内の空気が当該生体センサーには向かわず、かつ、滑らかに流れるように前記通気路内の空気を案内する案内面を備えることを特徴とする配置構造が開示されている。
(10) (9)の配置構造において、前記案内面は、前記通気路の角隅部に配置された前記生体センサーを前記通気路の前記角隅部の空気の流れから隔離することを特徴とする配置構造が開示されている。
(11) (9)又は(10)の配置構造において、前記生体センサーは、電磁波を照射するように構成されており、前記案内面は、前記生体センサーが照射する電磁波を透過する材料で形成されていることを特徴とする配置構造が開示されている。
(12) (1)から(11)のいずれかの配置構造において、前記センシング部材は、生体センサーと外部装置とを電気的に接続するためのハーネスを含み、前記ハーネスが前記通気路内に配置されていることを特徴とする配置構造が開示されている。
(13) (12)の配置構造において、前記ハーネスは、前記通気路の壁面に沿うように配置されていることを特徴とする配置構造が開示されている。
(14) (1)から(13)のいずれかの配置構造において、前記センシング部材は、前記通気路がカーブする部分には設けられないことを特徴とする配置構造が開示されている。
(15) (1)から(14)のいずれかの配置構造において、前記センシング部材は、生体センサー及びハーネスを含み、前記シートに設けられた前記生体センサーと車両に設けられた振動発電素子とを前記ハーネスで接続し、前記ハーネスを介して前記振動発電素子から前記生体センサーに電力を供給するように構成されていることを特徴とする配置構造が開示されている。
<効果>
(1)の発明によれば、センシング部材は、シートに設けられた通気路における空気の流通を阻害しない位置に又は態様で設けられているので、センシング部材によって通気路内に乱流が生じることが抑制され、センシング部材によって通気路における空気の流通が阻害されることを抑制することができる。そのため、シートが、通気路の送風口から乗員に向けて温風や冷風を吹き出して暖房や冷房を行う機能等を有している場合に、シートにセンシング部材を設けても、シートが有する冷暖房機能等の機能を害しにくくなり、シートの機能を発揮させやすくなる。
(2)の発明によれば、センシング部材は、シートに設けられた通気路の中心を避けた位置に配置されているので、センシング部材によって通気路内に乱流が生じることが抑制され、センシング部材によって通気路における空気の流通が阻害されることを抑制することができる。そのため、シートが、通気路の送風口から乗員に向けて温風や冷風を吹き出して暖房や冷房を行う機能等を有している場合に、シートにセンシング部材を設けても、シートが有する冷暖房機能等の機能を害しにくくなり、シートの機能を発揮させやすくなる。
(3)の発明によれば、センシング部材は、シートのクッションパッドに形成された通気路に配置されているので、シートのクッションパッドに形成された通気路にセンシング部材を配置する場合も上記の有用な作用効果を奏することが可能となる。
(4)の発明によれば、センシング部材は、シートのクッションパッドに形成された通気路に空気を供給するためのブロアー及び/又はダクトに配置されているので、温度が低いとセンサー機能が十分に発揮されない生体センサー等をブロアー等に配置することで、ブロワーが通気路に暖気を送り込む際に生体センサー等が温められて、生体センサー等を機能させやすくなる。
(5)の発明によれば、センシング部材は、シートのクッションパッドに形成された通気路に空気を供給するためのブロアー及び/又はダクトの近傍には配置されないので、高温に弱いタイプの生体センサー等を高温になる場合があるブロアー等の近傍に配置しないことで、ブロワー等の熱で生体センサー等が高温になることが防止されるため、生体センサー等を機能させやすくなる。
(6)の発明によれば、センシング部材は、生体センサーを含み、生体センサーが通気路内に配置されているので、シートのクッションパッドに形成された通気路内に生体センサーを配置する場合も上記の有用な作用効果を奏することが可能となる。
(7)に記載の発明によれば、生体センサーは、通気路に露出する面が、通気路の壁面と面一になるように通気路の壁面に埋め込まれているので、通気路内で空気が生体センサーを埋め込んだ部分でもスムーズに流れるようになり、生体センサーが通気路における空気の流通を阻害しにくくなるため、通気路内に乱流が生じることが抑制され、生体センサーにより通気路における空気の流通が阻害されにくくなる。
(8)に記載の発明によれば、通気路には、乗員に向けて空気を吹き出すための送風口が形成されており、シートのクッションパッドに形成された通気路に設けられた生体センサーは、送風口に対向する位置に配置されているので、生体センサーから電磁波等を乗員に照射してセンシングを行う場合、電磁波等がシートの構成部材に妨げられずに送風口を通過して乗員に照射されるため、電磁波等の乗員への照射効率が向上しやすくなり、生体センサーの感度を向上させやすくなる。
(9)の発明によれば、生体センサーは、通気路内の空気が当該生体センサーには向かわず、かつ、滑らかに流れるように通気路内の空気を案内する案内面を備えるので、通気路内に生体センサーを設けても通気路内に乱流が生じることが抑制され、生体センサーにより通気路における空気の流通が阻害されにくくなる。
(10)の発明によれば、案内面は、通気路の角隅部に配置された生体センサーを通気路の角隅部の空気の流れから隔離するので、生体センサーを通気路の角隅部に配置しても、案内面によって角隅部で空気がスムーズに流れるため、通気路内に乱流が生じることが抑制され、生体センサーにより通気路における空気の流通が阻害されにくくなる。
(11)の発明によれば、生体センサーは、電磁波を照射するように構成されており、案内面は、生体センサーが照射する電磁波を透過する材料で形成されているので、生体センサーから照射された電磁波が、案内面によって妨げられにくい状態で案内面を透過するため、生体センサーから照射された電磁波が乗員に照射されやすくなる。
(12)の発明によれば、センシング部材は、生体センサーと外部装置とを電気的に接続するためのハーネスを含み、ハーネスが通気路内に配置されているので、通気路内にハーネスを配置した場合も上記の有用な作用効果を奏することが可能となる。
(13)の発明によれば、ハーネスは、通気路の壁面に沿うように配置されているので、通気路内を流れる空気がハーネスに沿ってスムーズに流れるため、ハーネスを通気路における空気の流通を阻害しにくい態様で設けることが可能となり、通気路内に乱流が生じることが抑制され、ハーネスにより通気路における空気の流通が阻害されにくくなる。
(14)の発明によれば、センシング部材は、通気路がカーブする部分には設けられないので、空気の流れに乱流が生じやすい通気路がカーブする部分に生体センサーやハーネスが配置されないため、生体センサーやハーネスにより通気路における空気の流通が阻害されにくくなる。
(15)の発明によれば、センシング部材は、生体センサー及びハーネスを含み、シートに設けられた生体センサーと車両に設けられた振動発電素子とをハーネスで接続し、ハーネスを介して振動発電素子から生体センサーに電力を供給するように構成されているので、シートが、通気路の送風口から乗員に向けて温風や冷風を吹き出して暖房や冷房を行う機能等を有している場合に、シートに生体センサーやハーネスを設けても、シートが有する冷暖房機能等の機能が害されにくくなり、シートの機能を発揮させやすくなる。
【符号の説明】
【0076】
1 生体センサー(生体センサー、センシング部材)
1a 面
2 ハーネス(ハーネス、センシング部材)
3 案内面
10 シート
12 クッションパッド
20 ブロワー
22 ダクト
30 通気路
30a 壁面
30C 送風口
40 振動発電素子
100 車両
A 乗員
α 通気路の中心
β 通気路がカーブする部分
γ 通気路の角隅部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12