(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】シート及び車両
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240815BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240815BHJP
A61B 5/021 20060101ALI20240815BHJP
A61B 5/0265 20060101ALI20240815BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240815BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/02 310Z
A61B5/02 310V
A61B5/02 A
A61B5/021
A61B5/0265
B60N2/90
B60N3/00 Z
(21)【出願番号】P 2023060509
(22)【出願日】2023-04-04
(62)【分割の表示】P 2018070548の分割
【原出願日】2018-04-02
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
(72)【発明者】
【氏名】伊波 悠太
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-068842(JP,A)
【文献】特開2016-144989(JP,A)
【文献】特開2009-055997(JP,A)
【文献】国際公開第2011/135651(WO,A1)
【文献】特開2016-198121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
A61B 5/02 - 5/03
B60N 2/00 - 2/90
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波によって人の生体情報を検出する非接触型の生体センサーが少なくとも一か所に設けられ、人が着座するシートにおいて、
前記人の荷重を受け止める板状の
受圧部材と、
前記
受圧部材を支持して荷重を
シートバックフレームに伝え、前記
受圧部材に対し、
当該シートに人が着座した場合の前記人から遠い側に配置された支持部材と、を有し、
前記
受圧部材に前記生体センサーが設置されて、当該生体センサーは前記支持部材と前記人との間に配置されることを特徴とするシート。
【請求項2】
前記受圧部材には、第一センサー及び第二センサーを装着させるための装着部が形成され、
前記装着部は、当該シートに人が着座した状態で前記人の腰部に対応する位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記装着部は、前記第一センサーを嵌め込み可能な第一凹部と、前記第二センサーを嵌め込み可能な第二凹部と、を備え、前記第一凹部に対して前記第一センサーが嵌め込まれて装着され、前記第二凹部に対して前記第二センサーが嵌め込まれて装着されていることを特徴とする請求項
2に記載のシート。
【請求項4】
前記シートバックフレームは、上部に架橋フレームを、また下部にロアフレームをそれぞれ備えており、
前記支持部材は、当該支持部材の下部を前記ロアフレームに固定するための下側掛止部と、上端部を前記架橋フレームに固定するためのワイヤーと、を備えることを特徴とする請求項
2又は3に記載のシート。
【請求項5】
前記
第一センサー及び第二センサーは、異なる周波数の電磁波を人に向かって発する
センサーであることを特徴とする
請求項2から4のいずれか一項に記載のシート。
【請求項6】
前記生体センサーは、前記シートの
左右の中心に沿って、又は
中心から片側に片寄っ
た位置に設けられていることを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載のシート。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載のシートが搭載されていることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する運転者の健康状態が悪化した場合、車両の運転に悪影響を及ぼすおそれがあるため、健康状態の悪化を事前に検知して何らかの対策を施すことが望ましい。このような対策として、シートの座面及び背面部に埋め込まれるようにして設けられた非接触式の血流センサーによる脈波等の計測結果に基づいて、血流や血圧等の生体情報を推定して運転者の健康状態を把握する技術が知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生体センサーには、生体に対して電磁波を照射し、生体からの反射波から生体情報を検出する非接触型のものが知られているが、生体の体表面における微細な振動を検出するため、振動や体動がノイズになりやすい。そこで、必要に応じてノイズ除去を行わなければならないが、1種類の生体センサーを用いるだけではノイズ除去が難しく、生体情報を正確に検出しにくい場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、生体情報を正確に検出しやすいシート及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、電磁波によって人の生体情報を検出する非接触型の生体センサーが少なくとも一か所に設けられ、人が着座するシートにおいて、
前記人の荷重を受け止める板状の受圧部材と、
前記受圧部材を支持して荷重をシートバックフレームに伝え、前記受圧部材に対し、当該シートに人が着座した場合の前記人から遠い側に配置された支持部材と、を有し、
前記受圧部材に前記生体センサーが設置されて、当該生体センサーは前記支持部材と前記人との間に配置されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートにおいて、
前記受圧部材には、第一センサー及び第二センサーを装着させるための装着部が形成され、
前記装着部は、当該シートに人が着座した状態で前記人の腰部に対応する位置に配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシートにおいて、
前記装着部は、前記第一センサーを嵌め込み可能な第一凹部と、前記第二センサーを嵌め込み可能な第二凹部と、を備え、前記第一凹部に対して前記第一センサーが嵌め込まれて装着され、前記第二凹部に対して前記第二センサーが嵌め込まれて装着されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項請求項2又は3に記載のシートにおいて、
前記シートバックフレームは、上部に架橋フレームを、また下部にロアフレームをそれぞれ備えており、
前記支持部材は、当該支持部材の下部を前記ロアフレームに固定するための下側掛止部と、上端部を前記架橋フレームに固定するためのワイヤーと、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載のシートにおいて、
前記第一センサー及び第二センサーは、異なる周波数の電磁波を人に向かって発するセンサーであることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のシートにおいて、
前記生体センサーは、前記シートの左右の中心に沿って、又は中心から片側に片寄った位置に設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、車両であって、請求項1から6のいずれか一項に記載のシートが搭載されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、心臓に近い位置に生体センサーが配置されるので、シートに着座している人の生体情報を正確に検出しやすくなるなるとともに、生体情報の検出が支持部材によって妨害されない位置に生体センサーが配設されることとなる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、ランバーサポート装置に対応することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、生体センサーが、前記シートの左右の中心に沿って設けられていると、生体センサーが背骨の位置に沿って配置された状態となるので、シート着座時の座り心地を損ねにくくなる。一方、生体センサーが、シートの中心から片側に片寄った位置に設けられていると、背骨の位置を外して生体センサーが配置された状態となるので、生体センサーと人の身体との間隔が狭まり、生体情報を検出しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】生体センサーが配置されるシートを示す斜視図である。
【
図2】シートクッションに対する生体センサーの配置例を示す平面図である。
【
図3】シートバックに対する生体センサーの配置例を示す平面図である。
【
図4】シートに対する生体センサーの配置例を説明する図である。
【
図5】バネ部材が内蔵されたシートに対する生体センサーの配置例を説明する斜視図である。
【
図6】バネ部材に対する生体センサーの配置例を説明する平面図である。
【
図7】バネ部材が内蔵されたシートクッションに対する生体センサーの配置例を説明する断面図である。
【
図8】ランバーサポート装置を備えるシートに対する生体センサーの配置例を説明する斜視図である。
【
図9】生体センサーがユニット化された状態を示す斜視図である。
【
図10】第一センサー及び第二センサーと受信部の配置例を説明する図である。
【
図11】可動部を備えたシートに対する生体センサーの配置例を説明する図である。
【
図12】可動部を備えたシートをリクライニング状態とした場合における乗員と複数の生体センサーとの位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0026】
図1において符号10は、人が着座するシートを示す。このシート10は、自動車等の車両に設けられるものである。車両は、手動運転のみで走行するものでもよいし、自動運転と手動運転とを切り替えて走行可能なものであってもよい。
【0027】
シート10は、人の臀部及び大腿部を支持するシートクッション11と、下端部がシートクッション11に支持されて背もたれとなるシートバック14と、シートバック14に設けられて人の頭部を支持するヘッドレスト17と、を備える。
【0028】
シートクッション11は、骨格となるシートクッションフレームと、シートクッションフレーム上に設けられたクッションパッド12と、シートクッションフレーム及びクッションパッド12を被覆する表皮13と、から主に構成されている(
図2参照)。
本実施形態のシートクッション11は、さらにクッションパッド12と表皮13との間に設けられたシートヒーター20を備えている。
【0029】
クッションパッド12の上面には、シート10の左右方向に長尺な溝12aが形成されている。溝12aは、クッションパッド12の上面を前後方向に区分けするようにして、クッションパッド12の上面に2本設けられている。すなわち、クッションパッド12の上面は、前方側と、中央側と、後方側に区分けされている。
【0030】
シートバック14は、骨格となるシートバックフレームと、シートバックフレーム上に設けられたクッションパッド15と、シートバックフレーム及びクッションパッド15を被覆する表皮16と、から主に構成されている(
図3参照)。
本実施形態のシートバック14は、さらにクッションパッド15と表皮16との間に設けられたシートヒーター30を備えている。
【0031】
クッションパッド15の前面には、シート10の左右方向に長尺な溝15aが形成されている。溝15aは、クッションパッド15の前面を上下方向に区分けするようにして、クッションパッド15の前面に2本設けられている。すなわち、クッションパッド15の上面は、上方側と、中央側と、下方側に区分けされている。
【0032】
シートクッション11におけるシートヒーター20は、シートクッション11を温める面状発熱体であって、
図2に示すように、ポリエステルの布材等からなる面状の基材21と、基材21に接着固定される金属製のヒーター線22(電熱線ともいう)と、から主に構成されている。
【0033】
ヒーター線22は、基材21上に接着固定されており、
図2に示すように、シートクッション11の後方から2本のヒーター線22が前方に向って略平行に蛇行しており、前方部分にて連結されている。
なお、本実施形態のヒーター線22は、前後方向に略平行に蛇行して基材21上に固定されているが、これに限定されることなく、ヒーター線22の配置を適宜変更しても良い。また、ヒーター線22は、接着剤によって基材21上に固着されているが、ヒーター線22が基材21の内部に折り込まれるように固定されても良い。
【0034】
ヒーター線22は、
図2に示すように、クッションパッド12上面の前方側の区画に位置する前方ヒーター線22aと、中央側の区画に位置する中央ヒーター線22bと、後方側の区画に位置する後方ヒーター線22cと、前方ヒーター線22a、中央ヒーター線22b、後方ヒーター線22c同士を連結し、溝12a内部に差し込まれる溝部ヒーター線23とから構成されている。
【0035】
シートバック14におけるシートヒーター30も同様に、基材31と、ヒーター線32と、から主に構成されている。
また、ヒーター線32は、
図3に示すように、クッションパッド15前面の上方側の区画に位置する上方ヒーター線32aと、中央側の区画に位置する中央ヒーター線32bと、下方側の区画に位置する下方ヒーター線32cと、上方ヒーター線32a、中央ヒーター線32b、下方ヒーター線32c同士を連結し、溝15a内部に差し込まれる溝部ヒーター線33とから構成されている。
【0036】
このようなシート10が、自動運転と手動運転とを切り替えて走行可能な車両に設けられる場合、自動運転中は、運転者もリラックス状態でいられるため、シート10も手動運転に適さない形態に変更される。例えば、自動運転中のシート10は、後部座席側に向けて位置変更したり、フラットな状態に変更したりすることができる。
また、手動運転のみで走行可能な車両の場合も停車時には、シート10をリクライニングさせることができる。
【0037】
また、自動運転と手動運転とを切り替えて走行可能な車両を採用した場合は、図示はしないが、自動運転と手動運転とを切り替える運転制御部と、複数の形態に変更可能な上記のシート10と、形態を変更する際のシート10の動作を制御するシート制御部と、を備える。
運転制御部は、例えば高速道路から一般道路へと車両を移す際や、複雑な形状の道路に差し掛かった際に、自動運転から手動運転に切り替える制御を行う。このような場合に、運転者の健康状態に異常が発生していると、強制的に手動運転に切り替えられるのは好ましくない。また、反対に、手動運転中に運転者の健康状態が悪化した場合には、手動運転から自動運転に切り替えることも考えられ、以上のような場合には事前に健康状態を把握しておく必要がある。
手動運転のみで走行可能な車両を採用した場合も、停車時におけるシート10の動作をシート制御部によって自動で制御してもよい。そして、停車時に、健康状態を把握できるようにしてもよい。
なお、説明の便宜上、以下では、自動運転と手動運転とを切り替えて走行可能な車両の場合について説明するが、これに限られるものではなく、手動運転のみで走行可能な車両を採用してもよい。
【0038】
シート10には、運転者の健康状態を把握するための手段として、
図2,
図3に示すように、生体センサー1,2が設けられている。本実施形態における生体センサー1,2は、例えば、被計測者である人の血流状態を計測するためのものであり、被計測領域の皮膚表面に対向する位置の血流を計測することができる。
【0039】
本実施形態の生体センサー1,2は、電磁波によって人の生体情報を検出する非接触型のものであり、運転制御部とデータ通信可能に接続されている。
運転制御部は、生体センサー1,2から伝達された生体情報に係るデータに基づいて自動運転と手動運転とを切り替えるようにし、シート制御部が、シート10の形態を適宜変更する。
【0040】
本実施形態の生体センサー1,2は、電磁波によって人の生体情報を検出する非接触型のものであり、運転制御部とデータ通信可能に接続されている。
運転制御部は、生体センサー1,2から伝達された生体情報に係るデータに基づいて自動運転と手動運転とを切り替えるようにし、シート制御部が、シート10の形態を適宜変更する。
【0041】
なお、本実施形態における生体センサー1,2は、上記のように、電磁波によって人の生体情報を検出するものである。
より詳細に説明すると、本実施形態における生体センサー1,2は、異なる周波数の電磁波を人に向かって発する第一センサー1と第二センサー2とを有する。また、第一センサー1及び第二センサー2の基本的な機能は、人の身体に照射した電磁波の反射で、拍動による体表面の微細な振動を検出するものである。このような第一センサー1及び第二センサー2は、対象物の速度に応じ、ドップラー効果による反射波の周波数変化を利用するため、ドップラーセンサーともいう。このようなドップラーセンサーは、例えば呼吸時などの僅かな体動も検出するため、脈波以外の体動がノイズとして検出されてしまう場合があるが、第一センサー1及び第二センサー2を用いることで、ノイズ要素を除去し、脈波だけを抽出できるようになっている。
【0042】
第一センサー1は、血液まで到達する周波数の電磁波を発する生体センサーである。血液まで電磁波が到達する生体センサーは、血中のヘモグロビン量で電磁波の反射率が変化することを利用するものである。ヘモグロビンは、酸素を全身に運搬する役割を果たすものであり、身体の細胞組織において酸欠状態が生じると、酸素をいち早く運搬するために血流が早くなる(動悸)、大量の酸素を体内に取り込むために呼吸が速くなる(息切れ)、といった症状が出る。第一センサー1は、このような身体の状態(血流の状態:脈波)を検出することができる。
また、第一センサー1は、ヘモグロビン量の検出時における体表面の微細な振動を検出する。すなわち、第一センサー1によって得られる検出データの波形には、脈波とノイズ要素とが含まれることになる。
なお、血液まで到達する電磁波の周波数は、例えば270MHzとされているが、血液まで到達してヘモグロビン量を検出できる周波数であればよく、特に限定されない。
【0043】
さらに、第一センサー1は、この第一センサー1が発する電磁波の反射波を受信する受信部が一体化されて構成されている。すなわち、第一センサー1は、電磁波を発信する発信機能と、電磁波を受信する受信機能とを備えたものとなっている。
受信部は、図示しない演算部(本実施形態では運転制御部が備える)との間でデータ通信可能に接続されており、検出した脈波とノイズ要素に係るデータは演算部に送信されて記憶される。
【0044】
第二センサー2は、体表面の微細な振動を検出する周波数の電磁波を発する生体センサーである。この第二センサー2によっては、体表面の微細な振動、すなわちノイズ要素のみを検出することができる。すなわち、第二センサー2によって得られる検出データの波形には、ノイズ要素のみが含まれることになる。
なお、体表面の微細な振動を検出する電磁波の周波数は、例えば10GHzとされているが、体表面の微細な振動を検出できればよく、特に限定されるものではない。
【0045】
さらに、第二センサー2は、この第二センサー2が発する電磁波の反射波を受信する受信部が一体化されて構成されている。すなわち、第二センサー2は、電磁波を発信する発信機能と、電磁波を受信する受信機能とを備えたものとなっている。
受信部は、図示しない演算部(本実施形態では運転制御部が備える)との間でデータ通信可能に接続されており、検出したノイズ要素に係るデータは演算部に送信されて記憶される。
【0046】
第一センサー1は、脈波とノイズ要素を検出するものであり、第二センサー2は、ノイズ要素を検出するものである。したがって、ノイズ要素の分の差分を取ることで脈波だけを抽出することができるようになっている。
そのため、第一センサー1と第二センサー2とが、大きく間隔をあけて配置されてしまうと、ノイズ要素の整合が取りにくくなってしまう(誤差が生じる)場合があるため、これら第一センサー1と第二センサー2は隣り合って配置される。すなわち、第一センサー1と第二センサー2は、極力近くに寄せて配置されるか、互いに接するように配置されている。
【0047】
なお、本実施形態における生体センサー1,2は、上記のように、電磁波によって人の生体情報を検出するものである。
このような電磁波は、例えば鉄や銅、アルミ等を始めとする種々の金属を通過しにくいという特徴がある。そのため、本実施形態における生体センサー1,2は、
図4に示すように、シート10に対し、電磁波の通過を妨害する(おそれのある)部材A1~A3を避けた位置に配置されている。
【0048】
図4に示す例において、シートクッション11に設けられた第一センサー1及び第二センサー2は、シート10のうち、第一センサー1及び第二センサー2から照射される電磁波の照射範囲R内に部材A1が入らない位置に配置されている。
すなわち、第一センサー1及び第二センサー2をシート10に設ける場合は、第一センサー1及び第二センサー2から照射される電磁波の照射範囲R内に、妨害する部材A1が入らないことが、生体情報を正確に検出する上での一つの条件となる。
【0049】
図4に示す例において、シートバック14に設けられた第一センサー1及び第二センサー2は、シート10のうち、第一センサー1及び第二センサー2から照射される電磁波の照射中心Cが部材A2を避ける位置に配置されている。
すなわち、第一センサー1及び第二センサー2をシート10に設ける場合は、第一センサー1及び第二センサー2から照射される電磁波の照射中心Cが、妨害する部材A2を避ける位置であればよく、照射範囲R内に入っていても構わない。この点も、生体情報を検出しやすくする上での一つの条件となる。
【0050】
図4に示す例において、第一センサー1及び第二センサー2は、電磁波の通過を妨害する部材A3よりも人に近い位置に配置されている。すなわち、第一センサー1及び第二センサー2は、シート10のうち、電磁波の通過を妨害する部材(例えば部材A3)よりも人に近い位置に配置されていることが好ましい。
上記した妨害する部材A1,A2のように、第一センサー1及び第二センサー2よりも人の近くに配置されていても、生体情報を検出することはできるが、第一センサー1及び第二センサー2が妨害する部材A1,A2よりも人の近くに配置されている方が当然電磁波を妨害されにくいため、望ましい。この点も、生体情報を正確に検出する上での一つの条件となる。
【0051】
電磁波の通過を妨害する部材A1,A2,A3は、第一センサー1及び第二センサー2に対する位置取りがそれぞれ異なるが、いずれの部材A1,A2,A3も電磁波の通過を完全に妨害するものではないので、いずれを採用してもよい。ただし、より正確な生体情報の検出が求められる場合は、部材A3の位置取りが最適であり、部材A1の位置取りも好適であると言える。部材A2の位置取りは不可ではない。
また、
図4はシート10を側方から見た状態の例である。補足説明すると、部材A1,A2,A3は、側面視で生体センサー1,2に近い位置取りであっても、水平方向(左右方向)にずれて配置されていれば、電磁波の通過を妨害しにくくなるので好ましい。
【0052】
また、第一センサー1及び第二センサー2は、上述のように隣り合って配置されることも、生体情報を正確に検出する上での一つの条件となる。
そこで、第一センサー1及び第二センサー2は、シート10の着座面における面方向に隣り合って配置されている。また、本実施形態においては、第一センサー1及び第二センサー2の電磁波を発する部位の正面部分が、シート10の着座面に平行又は略平行するようにして配置されている。
なお、シート10の着座面とは、シートクッション11の場合は、
図2に示すように、人の臀部及び大腿部が接する面を指し、シートバック14の場合は、
図3に示すように、人の背中(胸部側、腰部側)が接する面を指す。シートクッション11の場合、第一センサー1と第二センサー2は、前後方向、左右方向、又は斜め方向に隣り合って配置される。シートバック14の場合、第一センサー1と第二センサー2は、上下方向、左右方向、又は斜め方向に隣り合って配置される。
【0053】
また、第一センサー1及び第二センサー2は、
図4に示すように、シートクッション11とシートバック14のうち少なくとも一方の厚み方向に隣り合って配置されるようにしてもよい。この場合、第一センサー1と第二センサー2が、部分的にオーバーラップするようにして配置されてもよい。
このように、第一センサー1及び第二センサー2を、シートクッション11とシートバック14のうち少なくとも一方の厚み方向に隣り合って配置する場合は、血液まで到達する周波数の電磁波を発する第一センサー1を着座面側(前側)とし、体表面の微細な振動を検出する周波数の電磁波を発する第二センサー2を着座面から遠い側(後側)に配置すると、電磁波の照射距離が揃うので好ましい。
【0054】
第一センサー1及び第二センサー2の配置について、より具体的に説明すると、本実施形態における電磁波の通過を妨害する部材A1,A2,A3は、
図2,
図3に示すように、シートヒーター20,30における金属製のヒーター線22,32であり、第一センサー1及び第二センサー2は、シート10のうち、ヒーター線22,32を避けた位置に配置されている。
第一センサー1及び第二センサー2は、シート10のうち少なくとも二箇所に、互いに離間して配置されている。より詳細には、第一センサー1及び第二センサー2は、シートクッション11とシートバック14の双方に設けられている。
このように、第一センサー1と第二センサー2が、シート10のうち少なくとも二箇所に、互いに離間して配置されていると、シート10に着座する人の心臓の位置(心臓があると推定される位置)から、少なくとも二箇所の生体センサー1,2までの距離が算出できるため、脈波を検出する上で好ましい。
なお、被計測者の血圧を算出するためには動脈の長さを考慮する必要があるが、人の身体には個体差があるため、このようにシート10を基準として脈波を検出している。
また、動脈の長さを判別しやすくして脈波検出の精度を上げるために、少なくとも二箇所の生体センサー1,2の配置位置をシートクッション11のみに限定したり、シートバック14のみに限定したりしてもよい。シートクッション11の少なくとも二箇所に生体センサー1,2を配置する場合は、左右いずれかの大腿部に沿って配置することが好ましい。シートバック14の少なくとも二箇所に生体センサー1,2を配置する場合は、背骨の位置(中心)を外して左右いずれかに配置するか、又は背骨に沿って配置してもよい。
【0055】
シートクッション11に設けられた第一センサー1及び第二センサー2は、座り心地をよくするために、
図2に示すように、シートクッション11の着座面における中心に沿って設けられている。つまり、人の臀部における左右の坐骨の中央部(臀裂)に対応して配置されている。換言すれば、シート10におけるシートクッション11のうち、臀部が乗る位置の中央部分に、第一センサー1及び第二センサー2が配置されている。
【0056】
本実施形態においては、第一センサー1及び第二センサー2が、このように左右の坐骨の中央部に対応して配置されるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば
図2の二点鎖線で示すように、シートクッション11に設けられる第一センサー1及び第二センサー2は、大腿部の位置に対応して配置されてもよいし、人の臀部における左右いずれかの坐骨の位置に配置されてもよい。
すなわち、
図2において符号P1,P2は、第一センサー1及び第二センサー2を配置する候補となる箇所であり、当該候補となる箇所P1は、シート10に着座した人の大腿部の位置に対応しており、候補となる箇所P2は、人の臀部における左側の坐骨の位置に対応している。
なお、大腿部には、膝窩動脈が通っており、生体センサー1,2によって血流状態を計測するのに好適である。
【0057】
シートバック14に設けられた第一センサー1及び第二センサー2は、
図3に示すように、シート10の着座面における中心に沿って、かつ人の心臓の位置に対応して配置されている。心臓のある胸部には胸部大動脈が通っており、第一センサー1及び第二センサー2によって血流状態を計測するのに好適である。
裏を返せば、シートバック14に設けられたシートヒーター30のヒーター線32は、第一センサー1及び第二センサー2を配置し、当該第一センサー1及び第二センサー2による計測精度を向上させるために、人の心臓の位置を避けて配置されていることになる。すなわち、電磁波の通過を妨害するヒーター線32(22)には、シート10の内部に、粗密差があるように配設されており、第一センサー1及び第二センサー2は、ヒーター線32(22)の密度が粗い箇所に配置された状態となっている。なお、ヒーター線32(22)の密度が高い箇所は温度が高くなりやすい。ただし、ヒーター線32(22)よりも着座面側に第一センサー1及び第二センサー2が配置されていれば、生体情報の検出に問題は生じにくい。
【0058】
なお、本実施形態においては、第一センサー1及び第二センサー2が、心臓の位置に対応して配置されるものとしたが、これに限られるものではなく、血流状態を計測するのに好適な位置であればよいものとする。例えば
図3の二点鎖線で示すように、第一センサー1及び第二センサー2は、人の腰部の中心位置に対応して配置されていてもよいし、人の腰部の左右いずれかに対応して配置されてもよい。
すなわち、
図3において符号P3,P4は、第一センサー1及び第二センサー2を配置する候補となる箇所であり、当該候補となる箇所P3は、人の腰部の中心位置に対応しており、候補となる箇所P4は、人の腰部における左側の位置に対応している。
【0059】
なお、上述したように、第一センサー1及び第二センサー2のようなドップラーセンサーは、僅かな体動も検出する。そのため、第一センサー1及び第二センサー2が配置される箇所は、シート10に着座する人の身体のうち、臀部、大腿部、腰部など体動の少ない箇所とされている。また、体動が多くても、心臓の位置が良いと判断される場合は、第一センサー1及び第二センサー2は、心臓の位置に対応して配置される。また、大腿部は、体動の少ない位置であるものの、アクセルやブレーキを操作する方の脚における大腿部は、体動が多くなってしまう可能性があるため、アクセルやブレーキを操作しない方の脚における大腿部に対応して第一センサー1及び第二センサー2が配置される方が好ましい。
また、シートクッション11のクッションパッド12における溝12aの位置と、シートバック14のクッションパッド15における溝15aの位置には、表皮13,16の吊り込み部(
図7に示す吊り込み部49参照。)を形成するための金属ワイヤーが設けられるため、第一センサー1及び第二センサー2は、溝12a,15a(すなわち、吊り込み部)の位置は避けて配置されている。
【0060】
第一センサー1及び第二センサー2によって計測して得られた膝窩動脈や胸部大動脈における血流状態に係るデータを利用して、上記の運転制御部(その他のコンピュータ等の外部装置でもよい。)に予め組み込まれた算出プログラムにより、脈波伝搬速度及び動脈硬化度を求めることができる。さらに、運転制御部は、脈波伝搬速度及び動脈硬化度に基づいて、被計測者である人の血圧(動脈圧)を演算により求めることができる。すなわち、運転制御部は、上記の演算部として機能する。
【0061】
なお、本実施形態におけるシート10は、上記のように、自動運転と手動運転とを切り替えて走行可能な車両に設けられているものである。そのため、安全性の向上のために、第一センサー1及び第二センサー2と、シート10に着座する人の様子を撮影するカメラ(図示せず。)を併用してもよい。第一センサー1及び第二センサー2とカメラを併用すれば、着座していてもハンドルHに手が置かれていない人が、健康状態が悪化しているかいないかだけでなく、単に居眠りしているだけかどうかを判別することができる。
また、シート10に着座する人の声を集音するマイクを採用し、第一センサー1及び第二センサー2とマイクを併用して、意識の有無を確認できるようにしてもよい。すなわち、シート10に着座する人に対して発話を促し、応答がない場合は、意識が無いと判断する。
【0062】
以上のような本実施の形態によれば、第一センサー1と第二センサー2のうち、いずれか一方を、ノイズ要素を含む生体情報の検出に用い、他方をノイズ要素の検出に用い、ノイズ要素の分の差分を取ることで生体情報だけを抽出できる。さらに、第一センサー1と第二センサー2は隣り合って配置されているので、第一センサー1と第二センサー2との間で検出に誤差が生じにくく、生体情報を正確に検出しやすくなる。
【0063】
また、人の身体の少なくとも二箇所から生体情報を検出することができるので、検出した生体情報から人の健康状態を算出する場合の精度を高めることができる。
【0064】
また、生体センサーは、シートクッション11とシートバック14のうち少なくとも一方に設けられているので、人の身体の上半身側と下半身側のうち少なくとも一方から生体情報を検出できる。
さらに、第一センサー1及び第二センサー2は、シート10の着座面における面方向に隣り合って配置されているので、例えばシートクッション11又はシートバック14の内部構造や、シート10着座時の座り心地を考慮して、第一センサー1と第二センサー2を前後や上下、左右、又は斜め方向に隣り合うように配置できる。
【0065】
また、第一センサー1及び第二センサー2は、シートクッション11とシートバック14のうち少なくとも一方の厚み方向に隣り合って配置されているので、面方向に隣り合って配置しにくい場合に、第一センサー1と第二センサー2とを隣り合って配置できる。
【0066】
また、第一センサー1と第二センサー2が、部分的にオーバーラップするようにして配置されているので、生体情報を検出する際に、第一センサー1と第二センサー2がお互いに妨げとならないように隣り合って配置できる。
【0067】
また、生体センサー1,2が、シート10の着座面における中心に沿って設けられていると、生体センサー1,2が臀裂や背骨の位置に沿って配置された状態となるので、シート10着座時の座り心地を損ねにくくなる。
一方、生体センサー1,2が、シート10の着座面における片側に片寄って設けられていると、臀裂や背骨の位置を外して生体センサー1,2が配置された状態となるので、生体センサー1,2と人の身体との間隔が狭まり、生体情報を検出しやすい。
【0068】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。
【0069】
〔変形例1〕
本変形例におけるシート40は、
図5に示すようなシートフレーム41が内蔵されている。シートフレーム41は、シートクッションを構成するクッションフレーム42と、シートバックを構成するシートバックフレーム43、を有している。
クッションフレーム42及びシートバックフレーム43には、それぞれクッションパッド42aが設けられ、さらに表皮42bが被せられることで、シート40を構成している。
【0070】
クッションフレーム42は、前後に長く延びるとともに左右に離間して配置された一対のサイドフレーム44と、この一対のサイドフレーム44の前端部同士を接続する板金から構成されたパンフレーム45と、一対のサイドフレーム44の後端部同士を接続する金属パイプから構成された連結パイプ46とを備えて平面視で枠状に構成されている。
そして、パンフレーム45と連結パイプ46との間には、シートスプリング47が架設されている。
【0071】
まず、クッションフレーム42について説明する。
クッションフレーム42におけるシートスプリング47は、前後に長く延びるとともに左右に並んだ4つのバネ部材47A~47Dにより構成されている。
各バネ部材47A~47Dは、金属線が屈曲されてなり、後端に連結パイプ46に引っ掛けるためのフック部47Aa~47Daが形成され、このフック部47Aa~47Daから前方に向けて延びるとともに左右にジグザグに屈曲している。各バネ部材47A~47Dの前端は、
図5に示すようにパンフレーム45に連結されており、各バネ部材47A~47Dの位置ずれを防いでいる。
【0072】
そして、生体センサーである第一センサー1及び第二センサー2が、クッションフレーム42に対して設けられている。本変形例においては、各バネ部材47A~47Dが、電磁波の通過を妨害する部材であり、第一センサー1及び第二センサー2は、これら各バネ部材47A~47Dを避けた位置に配置されている。
より具体的に説明すると、第一センサー1及び第二センサー2は、
図5に示すように、バネ部材47C,47D同士を連結する樹脂製の連結部材48A,48Bに対して設けられている。すなわち、連結部材48Aに対して第一センサー1が設けられ、連結部材48Bに対して第二センサー2が設けられている。
第一センサー1及び第二センサー2の位置は、人の臀部における左右の坐骨の中央部に対応する箇所か、大腿部の位置に対応する箇所となっている。大腿部の位置に対応するように設けられる場合、片方の大腿部の位置でもよいし、両方の大腿部の位置に対応するように設けられてもよい。
第一センサー1及び第二センサー2は、連結部材48A,48B、各バネ部材47A~47Dよりも人に近い位置に配置されるものであり、第一センサー1及び第二センサー2は、このような連結部材48A,48Bに設けられているため、第一センサー1及び第二センサー2によって計測を行う上で、各バネ部材47A~47Dによる影響を受けにくくなっている。
連結部材48Aは、
図5においては、隣り合うバネ部材47C,47D(47A,47B)のうち、遠い位置にあるジグザグ部分同士を連結している。この連結部材48A上に設けられる第一センサー1及び第二センサー2は、バネ部材47C,47D(47A,47B)と重ならないように配置することができる。
連結部材48Bは、
図5においては、隣り合うバネ部材47C,47D(47A,47B)のうち、近い位置にあるジグザグ部分同士を連結している。この連結部材48B上に設けられる第一センサー1及び第二センサー2は、バネ部材47C,47D(47A,47B)と重なるように配置される場合がある。
【0073】
なお、上記の連結部材48A,48Bは、
図5に示す例においては、隣り合うバネ材47C,47Dを連結するように設けられているが、
図6に示すように、各バネ部材47A~47Dを適宜連結するように設けることもできる。また、
図6に示す他の連結部材48Cのように、ジグザグ状に屈曲して形成された各バネ部材47A~47Dのジグザグ部分を連結するように設けられてもよい。このような他の連結部材48Cの上にも、第一センサー1及び第二センサー2を配置することができる。
上述の連結部材48A~48Cは、換言すれば、板状に形成された箇所を有し、その箇所の上面が第一センサー1及び第二センサー2の設置面とされた被設置板である。つまり、本変形例においては、このように連結部材48A~48Cに対して第一センサー1及び第二センサー2が配置されるものとしたが、これに限られるものではなく、クッションパッド42aよりも下方に位置し、かつ、上面が第一センサー1及び第二センサー2の設置面とされた板状体(すなわち、連結部材48A~48Cとは異なる形態の被設置板を指す。)を採用してもよい。
【0074】
なお、以上の各連結部材48A~48Cの上には第一センサー1及び第二センサー2を配置することができるが、シート40におけるクッションパッド42aのうち、第一センサー1及び第二センサー2が配置された箇所の上方に位置する箇所には、第一センサー1及び第二センサー2を収容できる凹部420が形成されている。すなわち、凹部420は、
図7に示すように、クッションパッド42aの下面において凹むように形成されている。
【0075】
また、上述のように、各バネ部材47A~47Dの前端はパンフレーム45に連結されており、各バネ部材47A~47Dの位置ずれを防いでいるので、各バネ部材47A~47Dを連結する連結部材48A~48Dに設けられた第一センサー1及び第二センサー2の位置ずれも抑制することができる。
【0076】
また、パンフレーム45の上にも第一センサー1及び第二センサー2を配置してもよい。パンフレーム45は、上述のように板金で構成されているため、電磁波の通過を妨害する部材であり、第一センサー1及び第二センサー2を配置する際は、その上面側に配置することが好ましい。すなわち、第一センサー1及び第二センサー2は、電磁波の通過を妨害する部材(パンフレーム45)よりも人に近い位置に配置されることになる。
パンフレーム45上面に第一センサー1及び第二センサー2を配置する場合は、パンフレーム45中央側の平らな箇所でもよいし、周縁側の傾斜した箇所であってもよい。
ただし、
図5に示すように、パンフレーム45に開口部45aが形成され、この開口部45aの位置に対応する場合であれば、第一センサー1及び第二センサー2を、パンフレーム45よりも人に遠い位置に配置してもよい。このように第一センサー1及び第二センサー2が配置されることで、開口部45aを通じて電磁波を人に向かって照射できるようになっている。
【0077】
また、パンフレーム45に代わって、図示しないフレーム材やパイプ材を用いて一対のサイドフレーム44の前端部同士を接続してもよく、その場合、各バネ部材47A~47Dの前端は、当該フレーム材やパイプ材に連結されてもよい。そして、このようにパンフレーム45に代わって設けられたフレーム材やパイプ材に対しても、図示しないクリップ部材等を用いるなどして第一センサー1及び第二センサー2を配置してもよい。
【0078】
また、第一センサー1及び第二センサー2は、
図7に示すように、クッションフレーム42に設けられたクッションパッド42aに埋め込まれるようにして設けられてもよいものとする。第一センサー1及び第二センサー2をクッションパッド42aに埋め込むようにして設ける場合は、クッションパッド42a自体を、第一センサー1及び第二センサー2が埋設された状態で形成するような、いわゆるインサート成形によって設けてもよい。なお、第一センサー1及び第二センサー2が、クッションパッド42aに埋め込まれるようにして設けられる場合、クッションパッド42aに、第一センサー1及び第二センサー2を収容するための凹部(図示せず。)を形成して、第一センサー1及び第二センサー2を設置しやすくしてもよい。
【0079】
また、第一センサー1及び第二センサー2をクッションパッド42aに埋め込むようにして設けるに当たっては、以上のようなインサート成形によるものだけに限られず、クッションパッド42aの成形後であっても第一センサー1及び第二センサー2を埋設できるようにすることが望ましい。すなわち、クッションパッド42aの一部(
図7における取り外し部422)を取り外し可能に構成し、当該取り外し部422に対応する位置に第一センサー1及び第二センサー2を収容する凹部421を形成する形態を採用してもよい。
つまり、第一センサー1及び第二センサー2をクッションパッド42aに埋め込むようにして設ける際は、取り外し部422を取り外し、凹部421に第一センサー1及び第二センサー2を収容し、取り外し部422を嵌め込んで元に戻すことで、第一センサー1及び第二センサー2をクッションパッド42aに埋め込むことができる。
なお、本変形例においては、取り外し部422は、クッションパッド42aの下面側から取り外せる形態となっているが、上面側から取り外せる形態としてもよい。
また、クッションパッド42a内には、第一センサー1及び第二センサー2の他にも、第一センサー1及び第二センサー2と外部装置(例えば発電素子や記憶装置、制御装置等。)とを電気的に接続するハーネス(図示せず)を配線できる空間が形成されているものとする。
【0080】
また、クッションパッド42a内には、
図7に示すように、シート10に対する人の着座を検知する着座センサー3が設けられる場合がある。この着座センサー3と生体センサー1,2は連動しており、生体センサー1,2は、着座センサー3によって人の着座が検知された場合に作動するように設定されている。
【0081】
第一センサー1及び第二センサー2は、
図6に示すように、並び順が逆になるように配置されてもよい。すなわち、
図6に示すバネ部材47A,47Bを連結している二つの連結部材48Aには、それぞれ第一センサー1及び第二センサー2が設けられているが、一方の連結部材48Aに設けられた第一センサー1及び第二センサー2と、他方の連結部材48Aに設けられた第一センサー1及び第二センサー2とでは、その並びが逆になっている。このように配置した場合であっても、生体情報の検出を行うことができる。
【0082】
続いて、シートバックフレーム43について説明する。
シートバックフレーム43は、
図5に示すように、上下に長く延びるとともに左右に離間して配置された一対のサイドフレーム43aと、一対のサイドフレーム43aの上端部間に架け渡されて設けられた上部フレーム43bと、一対のサイドフレーム43aの下端部間に架け渡されて設けられた板状のロアメンバー43cと、を備えている。また、上部フレーム43bと、ロアメンバー43cとの間には、一対のサイドフレーム43a間に架け渡されるようにして複数のバネ部材からなるシートスプリング43dが設けられている。
シートスプリング43dを構成する複数のバネ部材は、左右に向けて延びるとともに上下にジグザグに屈曲している。
以上のように構成されたシートバックフレーム43に対しても、上述のクッションフレーム42側と同様に、第一センサー1及び第二センサー2を設けることができる。
すなわち、第一センサー1及び第二センサー2は、一対のサイドフレーム43aのうち、いずれか一方もしくは両方に対して設けられてもよい。その場合、サイドフレーム43aの内側の面に取り付けられてもよいし、外側の面に取り付けられてもよい。
また、第一センサー1及び第二センサー2は、ロアメンバー43cの前面に設けられてもよい。また、ロアメンバー43cが金属製とされ、第一センサー1及び第二センサー2をロアメンバー43cの後面側に配置する場合は、ロアメンバー43cに対して開口部(図示せず)を形成し、その開口部の位置に対応するようにして配置する。
さらに、第一センサー1及び第二センサー2は、シートスプリング43dに設けられてもよい。その場合、
図5に示すように、第一センサー1は、上記の連結部材48Bと同様に構成されてバネ部材同士を連結する連結部材48Dに設けられている。第二センサー2は、上記の連結部材48Aと同様に構成されてバネ部材同士を連結する連結部材48Eに設けられている。各バネ部材に粗密差がある場合には、各バネ部材の密度が粗い箇所に配置してもよい。
また、図示はしないが、シートバックフレーム43の前面側にもクッションパッドが設けられるが、上述のクッションフレーム42側と同様に、このクッションパッドに対して第一センサー1及び第二センサー2を埋設するようにして設けてもよい。
【0083】
本変形例によれば、第一センサー1と第二センサー2のうち、いずれか一方を、ノイズ要素を含む生体情報の検出に用い、他方をノイズ要素の検出に用い、ノイズ要素の分の差分を取ることで生体情報だけを抽出できる。さらに、第一センサー1と第二センサー2は隣り合って配置されているので、第一センサー1と第二センサー2との間で検出に誤差が生じにくく、生体情報を正確に検出しやすくなる。
また、第一センサー1及び第二センサー2が、シート40に対し、シート40を構成する部材のうち電磁波の通過を妨害する部材47A~47Dを避けた位置に配置されているので、電磁波の通過を妨害する部材47A~47Dによって、第一センサー1及び第二センサー2による電磁波の照射が妨害されにくくなり、生体情報を正確に検出しやすくなる。
また、クッションフレーム42に設けられた第一センサー1及び第二センサー2が、人の臀部における左右の坐骨の中央部に対応して配置されているので、坐骨が当たらない位置に第一センサー1及び第二センサー2を配置でき、シート着座時の快適性を損なわない。さらに、クッションフレーム42に設けられた第一センサー1及び第二センサー2が、大腿部の位置に対応して配置されているので、膝窩動脈の血流状態を把握できる。そのため、例えば血流量の少ない細い血管を利用して生体情報を検出する場合に比して、生体情報を検出しやすい。
また、電磁波の通過を妨害する部材47A~47D,43dに対し、当該部材47A~47D,43dよりも人に近い位置に配置されるようにして取り付けられた樹脂製の被設置板(連結部材48A~48E)に第一センサー1及び第二センサー2が配置されているので、第一センサー1及び第二センサー2が電磁波の通過を妨害する部材47A~47D,43dの近傍に配置されても、当該電磁波の通過を妨害する部材47A~47D,43dの影響を受けにくくなる。
さらに、第一センサー1及び第二センサー2が、シート40のうち、電磁波の通過を妨害する部材(パンフレーム45,ロアメンバー43c)よりも人に遠い位置であって、かつ電磁波の通過を妨害する部材45,43cに形成された開口部45aの位置に対応して配置されているので、第一センサー1及び第二センサー2が、シート40のうち、電磁波の通過を妨害する部材45,43cよりも人に遠い位置に配置されても、電磁波の通過を妨害する部材45,43cの影響を受けにくくなる。
加えて、電磁波の通過を妨害する部材47A~47D,43dが、シート40の内部に、粗密差があるように配設されており、第一センサー1及び第二センサー2が、電磁波の通過を妨害する部材47A~47D,43dの密度が粗い箇所に配置されているので、電磁波の通過を妨害する部材47A~47D,43dの密度が高い箇所に配置された場合に比して、電磁波の通過を妨害する部材47A~47D,43dの影響を受けにくくなる。
しかも、シート40におけるクッションパッド42aが、当該クッションパッド42aの一部(取り外し部422)が取り外し可能に構成されるとともに、当該一部422に対応する位置に第一センサー1及び第二センサー2を収容する凹部421を備えているので、シート40内に、第一センサー1及び第二センサー2を配置するスペースを確保できる。
その上、シート40におけるクッションパッド42aが、第一センサー1及び第二センサー2が埋設された状態で形成されているので、第一センサー1及び第二センサー2がクッションパッド42aに埋設された状態でシート40の設置作業を行うことができるようになり、効率が良い。
【0084】
〔変形例2〕
本変形例におけるシート50は、
図8に示すようなシートフレーム51が内蔵されている。シートフレーム51は、シートクッションを構成するクッションフレーム52と、シートバックを構成するシートバックフレーム53、を有している。
クッションフレーム52及びシートバックフレーム53には、それぞれクッションパッドが設けられ、さらに表皮が被せられることで、シート50を構成している。
【0085】
シートバックフレーム53は、受圧部材であるランバーサポート装置LSを支持している。シートバックフレーム53は、左右に離間して配置された一対の板金フレーム54と、一対の板金フレーム54のそれぞれの上端に接続された、パイプ材をU字状に屈曲させてなるパイプフレーム55とを備えている。
シートバックフレーム53は、板金フレーム54の下部同士を連結する連結部材および支持部としてのロアフレーム56と、パイプフレーム55の左右を連結する架橋部材としての架橋フレーム57とを有している。
ロアフレーム56は、上縁および下縁が少し前方に延出した断面形状を有する板金からなる部材であり、左右の端部が板金フレーム54の左右内側に延出した部分に溶接により固着されている。
【0086】
ランバーサポート装置LSは、乗員がシートバックにもたれかかる力を受け止めてシートバックフレーム53に伝えるとともに、乗員の腰部に当たる部分の形状を変化させて、乗員の好みに応じて腰部のサポート状態を変えるための装置であり、シートバックフレーム53に取り付けられる。
ランバーサポート装置LSは、乗員の背中からの荷重を、図示しないクッション部材を介して受ける樹脂製の受圧板60と、受圧板60を支持し、かつ受圧板60の形状を変化させる支持部材61と、支持部材61(ランバーサポート装置LS)の下部をロアフレーム56に固定するための下側掛止部62と、支持部材61の上端部を架橋フレーム57に固定するためのワイヤー63と、を備える。
【0087】
そして、第一センサー1及び第二センサー2が、ランバーサポート装置LSに対して設けられている。本変形例においては、支持部材61を構成する金属部品が、電磁波の通過を妨害する部材であり、第一センサー1及び第二センサー2は、支持部材61を構成する金属部品を避けた位置に配置されている。
より具体的に説明すると、ランバーサポート装置LSにおける樹脂製の受圧板60に対して、第一センサー1及び第二センサー2を装着させるための装着部64が一体形成されている。換言すれば、第一センサー1及び第二センサー2は、ランバーサポート装置LSにおける受圧板60を含んでユニット化された状態となっている。
装着部64は、第一センサー1を嵌め込むようにして装着可能な第一凹部と、第二センサー2を嵌め込むようにして装着可能な第二凹部と、を備えている。使用時には、第一凹部に対して第一センサー1が嵌め込まれて装着され、第二凹部に対して第二センサー2が嵌め込まれて装着されている。
なお、第一センサー1及び第二センサー2が同一の形状であって、第一凹部及び第二凹部も同一の形状に形成されていれば、第一センサー1と第二センサー2の装着位置を反対にしてもよい。
【0088】
本変形例によれば、第一センサー1及び第二センサー2が、シート50に対し、シート50を構成する部材のうち電磁波の通過を妨害する部材61を避けた位置に配置されているので、電磁波の通過を妨害する部材61によって、第一センサー1及び第二センサー2による電磁波の照射が妨害されにくくなり、生体情報を正確に検出しやすくなる。
また、生体センサー1,2が、第一センサ1ーと第二センサー2とが隣り合って配置された状態となるようにユニット化されているので、第一センサー1と第二センサー2の取り扱いがしやすく、シート50への取り付けが容易となる。
【0089】
〔変形例3〕
本変形例における生体センサー1,2は、
図9に示すように、第一センサー1と第二センサー2とが隣り合って配置された状態となるようにユニット化されている。
すなわち、本変形例においては、第一センサー1と第二センサー2とを装着させるための筐体70が用いられている。筐体70は、第一センサー1を嵌め込むようにして装着可能な第一凹部71と、第二センサー2を嵌め込むようにして装着可能な第二凹部72と、を備えている。
使用時には、第一凹部71に対して第一センサー1が嵌め込まれて装着され、第二凹部72に対して第二センサー2が嵌め込まれて装着されている。
第一センサー1及び第二センサー2が同一の形状であって、第一凹部71及び第二凹部72も同一の形状に形成されていれば、第一センサー1と第二センサー2の装着位置を反対にしてもよい。
【0090】
筐体70によってユニット化された第一センサー1及び第二センサー2を、シートに配置する場合は、筐体70自体が、シートの適切な位置に取り付けられることで、第一センサー1及び第二センサー2の配置が行われる。
【0091】
本変形例によれば、生体センサー1,2が、筐体70によって、第一センサ1ーと第二センサー2とが隣り合って配置された状態となるようにユニット化されているので、第一センサー1と第二センサー2の取り扱いがしやすく、シートへの取り付けが容易となる。
【0092】
〔変形例4〕
上記の実施形態において、生体センサーは、第一センサー1と第二センサー2がそれぞれ発する電磁波を受信する受信部を一体に備えたものとして構成されていたが、本変形例における生体センサー1,2は、受信部3が別体となっている。
別体とされた受信部3は、
図10に示すように、第一センサー1及び第二センサー2と並んで設けられている。なお、受信部3は、一つで第一センサー1及び第二センサー2が発した電磁波の反射波を受信するものでもよいし、第一センサー1と第二センサー2にそれぞれ対応できるように複数用いられてもよい。
【0093】
また、上記の実施形態において、第一センサー1及び第二センサー2は、シート10の着座面に対して平行又は略平行に配置されているものとしたが、本変形例において、第一センサー1及び第二センサー2は、シート80の着座面に対して傾いて(角度をつけて)配置されてもよい。すなわち、第一センサー1及び第二センサー2は、シート80の着座面に対して平行又は略平行に配置されていてもよいし、シート80の着座面に対して非平行となるように配置されてもよい。
なお、本変形例におけるシート80は、シートクッション81と、シートバック84と、を備えている。
【0094】
図10において、第一センサー1及び第二センサー2は、左右方向に隣り合って配置されているものとする。そして、これら第一センサー1及び第二センサー2の下側に、受信部3が設けられている。なお、第一センサー1及び第二センサー2と、受信部3との並び方向は、特に限定されるものではない。
図10に示す例では、第一センサー1及び第二センサー2の下側に、受信部3が設けられているが、上側に設けられてもよいし、横に並んで設けられてもよい。
図10における双方向矢印Yは、シート80を側面視した場合の着座面の広がり(面方向)を表している。
受信部3も、第一センサー1及び第二センサー2と同様に、シート80の着座面に対して平行又は略平行に配置されていてもよいし、シート80の着座面に対して非平行となるように配置されてもよい。
【0095】
図10(a)に示す例では、第一センサー1及び第二センサー2が、シート80の着座面に対して平行となるように配置され、受信部3が、シート80の着座面に対して非平行となるように配置されている。
図10(b)に示す例では、第一センサー1及び第二センサー2が、シート80の着座面に対して非平行となるように配置され、受信部3が、シート80の着座面に対して非平行となるように配置されている。また、この例では、第一センサー1及び第二センサー2の電磁波の照射方向と、受信部3の電磁波の受信方向が交差するように配置されている。
図10(c)に示す例では、第一センサー1及び第二センサー2が、シート80の着座面に対して平行となるように配置され、受信部3も、シート80の着座面に対して平行となるように配置されている。
図10(d)に示す例では、第一センサー1及び第二センサー2が、シート80の着座面に対して非平行となるように配置され、受信部3が、シート80の着座面に対して平行となるように配置されている。
【0096】
なお、
図10に示すような配置構造は、第一センサー1及び第二センサー2の横に受信部3が並んで設けられる場合にも適用できるものとする。
また、本変形例における第一センサー1及び第二センサー2と受信部3との配置構造は、シートクッションにも適用できるものとする。
【0097】
本変形例によれば、第一センサー1と第二センサ2ーがそれぞれ発する電磁波を受信する受信3部が、第一センサー1及び第二センサー2と並んで設けられているので、第一センサー1と第二センサー2との間で検出に誤差が生じにくく、生体情報を正確に検出しやすくなる。
さらに、第一センサー1及び第二センサー2と受信部3における、シート80の着座面に対する角度を適宜変更することによって、受信部3による電磁波の受信精度を調整することができるので、生体情報をより正確に検出しやすくなる。・・・補正していない
【0098】
〔変形例5〕
上記の実施形態においては、生体センサー1,2が、シート10のうち少なくとも二箇所に、互いに離間して配置されているものとし、シートクッション11及びシートバック14のうち、少なくとも二箇所に設けられるものとした。
すなわち、シートクッション11に一組以上の第一センサー1及び第二センサー2を設けた上で、シートバック14に一組以上の第一センサー1及び第二センサー2を設けてもよいし、シートクッション11だけに二組以上の第一センサー1及び第二センサー2を設けてもよいし、シートバック14だけに二組以上の第一センサー1及び第二センサー2を設けてもよい、というものである。
これに対して、本変形例においては、
図11,
図12に示すように、シート90が、人の臀部及び大腿部を支持するシートクッション91と、下端部がシートクッション91に支持されたシートバック94と、シートクッション91及びシートバック94のいずれかに付属し、シートクッション91及びシートバック94のいずれかに対して動作する可動部95~99と、を備える。
そして、生体センサー1,2は、シートクッション91と、シートバック94と、可動部95~99のうちの、少なくともいずれかに設けられている。
【0099】
シートクッション91は、シート90に着座する人の大腿部P12を支持し、シートバック94は、胴体P11を支持する。なお、胴体P11には、肩部、胸部、腹部、腰部、臀部が含まれているものとする。臀部については、シートクッション91が支持するものとしてもよい。シートクッション91及びシートバック94は、シート90におけるシート本体とされており、可動部95~99は、このシート本体に付属している。
可動部95~99には、シート90に着座する人の腕部P13を支持するアームレスト95と、頭部P14を支持するヘッドレスト12と、乗員Pの頸部P15を支持するネックレスト13と、脚部P16を支持するオットマン14と、足部P17を支持するフットレスト15と、が含まれている。
そして、本変形例においては、シートクッション91、シートバック94、可動部95~99のいずれにも生体センサー1,2が設けられている。なお、本変形例においては、第一センサー1及び第二センサー2が、シート90の左右方向に並んで配置されているものとする。
【0100】
図11に示す例においては、シート90をリクライニングさせない状態で生体センサー1,2によって生体情報を検出することができる。この場合は、シートクッション91及びシートバック94に設けられた第一センサー1及び第二センサー2によって生体情報の検出を行う。
図12に示す例においては、シート90をリクライニングさせた状態で生体センサー1,2によって生体情報を検出することができる。この場合は、シート90全体に設けられた生体センサー1,2によって生体情報の検出を行うことができる。又は、適宜選択された二箇所以上の生体センサー1,2によって生体情報の検出を行ってもよい。
【0101】
本変形例によれば、生体センサー1,2は、シートクッション91と、シートバック94と、可動部95~99のうちの、少なくともいずれかに設けられているので、人の身体の様々な部位を通じて生体情報を検出できる。これにより、生体情報の検出を行って人の健康状態を測定する上で精度の向上を図ることができる。
また、可動部95~99が、シートクッション91及びシートバック94に対して可動する構成となっているため、シート90をリクライニングさせない場合と、リクライニングさせた場合の双方において生体情報の検出を行うことができる。これにより、例えばシート90が搭載される車両が、自動運転と手動運転とを切り替えて走行可能なものである場合に好適に対応できる。
【符号の説明】
【0102】
A1 電磁波の通過を妨害する部材
A2 電磁波の通過を妨害する部材
A3 電磁波の通過を妨害する部材
R 照射範囲
C 照射中心
P1 候補箇所
P2 候補箇所
P3 候補箇所
P4 候補箇所
1 第一センサー
2 第二センサー
10 シート
11 シートクッション
12 クッションパッド
12a 溝
13 表皮
14 シートバック
15 クッションパッド
15a 溝
16 表皮
17 ヘッドレスト
20 シートヒーター
21 基材
22 ヒーター線
22a 前方ヒーター線
22b 中央ヒーター線
22c 後方ヒーター線
23 溝部ヒーター線
30 シートヒーター
31 基材
32 ヒーター線
32a 上方ヒーター線
32b 中央ヒーター線
32c 下方ヒーター線
33 溝部ヒーター線