(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】容器詰め飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/54 20060101AFI20240815BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240815BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240815BHJP
A23L 2/58 20060101ALI20240815BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240815BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240815BHJP
A61K 31/185 20060101ALI20240815BHJP
A61K 31/51 20060101ALI20240815BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240815BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240815BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20240815BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240815BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A23L2/54
A23L2/52
A23L2/00 B
A23L2/00 M
A61P3/02
A61P43/00 121
A61K31/185
A61K31/51
A61K31/506
A61K31/675
A61K31/505
A61K47/04
A61K47/26
(21)【出願番号】P 2020046687
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2019059931
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 芳子
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 幸市朗
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-095867(JP,A)
【文献】特開2004-305087(JP,A)
【文献】特開2004-305088(JP,A)
【文献】特開2004-321178(JP,A)
【文献】特開2010-143894(JP,A)
【文献】クックパッド [オンライン], 2010.09.26 [検索日 2022.10.12], インターネット:<URL:https://cookpad.com/recipe/1200981>
【文献】楽天レシピ [オンライン], 2014.06.04 [検索日 2022.10.14], インターネット:<URL:https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1090015576/>
【文献】ヤンマー部隊隊長の日記 [オンライン], 2011.02.22 [検索日 2022.10.12], インターネット:<URL:https://butaitaichou.com/entry/20110222/p1>
【文献】livedoor Blog [オンライン], 2006.03.13 [検索日 2022.10.12], インターネット:<URL:http://blog.livedoor.jp/masakani911/archives/50362022.html>
【文献】You Tube [オンライン], 2016.07.05 [検索日 2022.10.12], インターネット:<URL:https://www.youtube.com/watch?v=OlGTDgl4qTA>
【文献】Hatena Blog [オンライン], 2010.05.07 [検索日 2022.10.14], インターネット:<URL:https://softcandy.hatenablog.com/entry/20100507/1273250160>
【文献】クックパッド [オンライン], 2011.07.12 [検索日 2024.02.05], インターネット:<URL:https://cookpad.com/recipe/1489218>
【文献】Amazon [オンライン], 2015.06.04 [検索日 2022.10.12], インターネット:<URL:https://amzn.asia/d/7eE8sqL>
【文献】Amazon [オンライン], 2008.03.07 [検索日 2022.10.14], インターネット:<URL:https://amzn.asia/d/29nJJn3>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/54
A23L 2/52
A23L 2/00
A23L 2/58
A61P 3/02
A61P 43/00
A61K 31/185
A61K 31/51
A61K 31/506
A61K 31/675
A61K 31/505
A61K 47/04
A61K 47/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)タウリン1W/V%以上、b
)チアミン、ジセチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ビスベンチアミン、ビスイブチアミン、ベンフォチアミン、シコチアミン、オクトチアミン、プロスルチアミン、及びそれらの硝酸塩又は塩酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であるビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩、c)甘味剤、
並びにd)ガス内圧で1.0~4.0kg/cm
2の二酸化炭素を含有することを特徴とする
キャッピングされた容器詰め飲料。
【請求項2】
甘味剤が、ブドウ糖、果糖、ラクトース、アラビノース、マルトース、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、白糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース及びマルチトールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の容器詰め飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タウリンと、ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩と、甘味剤を含有した容器詰め飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
タウリンはアミノエチルスルホン酸とも呼ばれる、分子量125.15の単純な化学構造をもつ含硫アミノ酸である。タウリンは化学構造的にはアミノ酸に属するが、タンパク質を構成するアミノ酸とは異なり、ビタミン類やホルモンのような作用、さらには脳神経系、循環系、肝胆系をはじめとして様々な薬理作用を示すことが知られている。
【0003】
タウリン及び甘味剤を含有した液剤は経時的に着色しやすく、その抑制をするために、甘味剤の種類を限定した内服液剤が開示されている(特許文献1)。タウリンは身体機能の改善やそれらの改善に伴う疲労回復等を目的に栄養ドリンクに配合され、その含有量は効果を最大限発揮するという点で1%以上が好ましいが、タウリン及び甘味剤含有製剤において、様々な種類の甘味剤を使用する際に、着色抑制の課題が解決されているとはいえない。
【0004】
ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩は、チアミンとも称される生理活性物質であり、生体内で変換されたチアミン2リン酸が糖代謝に関わるピルビン酸デヒドロゲナーゼの補酵素として働いており、欠乏すると脚気、ウェルニッケ脳症、多発性神経炎、神経痛、筋肉痛、関節痛、末梢神経炎等を発症する。
【0005】
一方でビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩は、非常に不快味が強く、服用後苦味が残留するという特異性があるため、マスキングが必要であり(特許文献2)、甘味剤の配合だけでは、その効果も十分とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-120559
【文献】特開2002-3379
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
タウリン、ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩、及び甘味剤を含有した容器詰め飲料は、経時的な着色と不快味・不快臭を有するため、複数の甘味剤の配合したり、甘味剤の種類を限定すること、あるいは、配合成分の比率を工夫すること等で解決を図っている。しかしながら、上記工夫には、様々な試行錯誤が必要であり、より簡便に、風味の良い飲みやすい飲料を調製することが必要と考えた。したがって、本発明は、飲料中のタウリンと甘味剤による経時的な着色を抑制し、ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩による不快味・不快臭を抑制した容器詰め飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、二酸化炭素を含有させた場合に、飲料の経時的着色が抑制され、かつ、不快味・不快臭も改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち本発明は、
(1)a) タウリン1W/V%以上、b) ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩、c)甘味剤、及びd) ガス内圧で1.0~4.0kg/cm2の二酸化炭素を含有することを特徴とする容器詰め飲料、
(2)ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩が、チアミン、ジセチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ビスベンチアミン、ビスイブチアミン、ベンフォチアミン、シコチアミン、オクトチアミン、プロスルチアミン、及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種である(1)に記載の容器詰め飲料、
(3)甘味剤が、ブドウ糖、果糖、ラクトース、アラビノース、マルトース、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、白糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース及びマルチトールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の容器詰め飲料、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、タウリン、ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩、及び甘味剤を含有した容器詰め飲料に、二酸化炭素を含有させることで、経時的な着色と不快味を抑制した容器詰め飲料を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明におけるタウリンとは、通常可食性のものを指し、アミノエチルスルホン酸とも呼ばれる含硫アミノ酸である。
【0012】
本願におけるタウリンの含有量は、疲労回復等の効能効果の観点から、飲料全体の1~10W/V%であり、好ましくは1~5.0W/V%であり、さらに好ましくは1.0~3.0W/V%である。
【0013】
本発明におけるビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩(以下、「ビタミンB1類」とも言う)とは、通常可食性のものを指し、具体的にはチアミン、ジセチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ビスベンチアミン、ビスイブチアミン、ベンフォチアミン、シコチアミン、オクトチアミン、プロスルチアミン及びそれらの塩等があげられる。前記それらの塩としては硝酸塩、塩酸塩等があげられる。ビタミンB1類のうち、好ましいものとしては、チアミン、ジセチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ベンフォチアミンであり、さらに好ましくは、チアミン、ジセチアミン、フルスルチアミンである。
【0014】
ビタミンB1類の含有量は疲労の回復・予防、体力、身体抵抗力の維持、改善等の効能効果の観点から、飲料全体の0.0001~0.3W/V%であり、好ましくは0.001~0.1W/V%であり、さらに好ましくは0.005~0.05W/V%である。
【0015】
本発明における甘味剤とは、通常可食性のものを指し、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ラクトース、アラビノース、マルトース、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、白糖等の単糖及び二糖類、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース及びマルチトール等の糖アルコール類があげられる。好ましくは、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、白糖等の単糖及び二糖類、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース及びマルチトール等の糖アルコール類であり、さらに好ましくは果糖ブドウ糖液糖、白糖、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース及びマルチトールである。
【0016】
通常、甘味剤の含有量は、それぞれの甘味度、甘味質により異なるが、例えば、果糖ブドウ糖液糖は飲料全体の1~50W/V%、白糖は飲料全体の2.5~50W/V%、ソルビトールは飲料全体の0.5~50W/V%、エリスリトールは飲料全体の0.1~10W/V%、トレハロースは飲料全体の0.5~40W/V%、マルチトールは飲料全体の0.5~40W/V%であり、好ましくは果糖ブドウ糖液糖は飲料全体の5~30W/V%、白糖は飲料全体の5~30W/V%、ソルビトールは飲料全体の1~30W/V%、エリスリトールは飲料全体の1~5W/V%、トレハロースは飲料全体の1~20W/V%、マルチトールは飲料全体の1~20W/V%である。
【0017】
本発明に用いる二酸化炭素は、通常、食品や医薬品に用いられるものを指す。二酸化炭素としては、二酸化炭素を単独で使用するものであっても、二酸化炭素とそれ以外の酸素、水素、窒素等のガス類とを2種類以上混合するものであってよいが、二酸化炭素を単独で用いることが好ましい。
【0018】
二酸化炭素の含有量は、ビタミンB1類の不快味抑制の観点から、飲料全体に対するガス内圧(単位体積中に溶解しているガス量)として、1.0~4.0kg/cm2であるが、1.3~3.8kg/cm2がより好ましい。
【0019】
本発明に用いる容器は、具体的には、ガラス瓶、アルミ缶、PETボトルなどが挙げられるが、容器の材質は、特に制限がないが、好ましくはガラス瓶である。
【0020】
本発明にかかる飲料のpHは、特に限定されず、例えば、2.0~7.0である。風味の観点からは低pHであることが好ましく、具体的には2.0~6.0であることが好ましく、さらに好ましくは2.5~5.0である。本発明の飲料のpH調整は、通常使用されるpH調整剤を使用することができる。具体的なpH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸等の有機酸及びそれらの塩類、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基等が挙げられる。
【0021】
本発明の飲料にはその他の成分として、他のビタミン類、ミネラル類、アミノ酸及びその塩類、他の生薬や生薬抽出物、カフェインなどを本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
【0022】
さらに必要に応じて、酸味料、増粘安定剤、酸化防止剤、着色剤、香料、矯味剤、保存料、調味料、苦味料、強化剤、可溶化剤、乳化剤などの添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
【0023】
本発明の飲料は、常法により調製することができ、その方法は特に限定されるものではない。通常、各成分をとり適量の精製水で溶解した後、pHを調整し、残りの精製水を加えて容量調整し、必要に応じてろ過、殺菌処理し得られた飲料原液を冷却した後、ガス圧が所定の範囲、例えば、1.0~4.0kg/cm2になるように炭酸ガスをガス封入(カーボネーション)し、容器に充填する工程により製造することができる。なお、炭酸飲料の製法には、プレミックス法とポストミックス法とがあるが、本発明においてはいずれを採用してもよい。
【0024】
本発明の飲料は、例えばシロップ剤、ドリンク剤などの医薬品や医薬部外品などの各種製剤、健康飲料などの各種飲料に適用することができる。
【実施例】
【0025】
以下に実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
【0026】
(実施例1~3、比較例1~3)
タウリン1000mg、チアミン硝酸塩5mg、白糖10000mg、安息香酸ナトリウム60mg、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを精製水に溶解し、二酸化炭素をガス内圧で1.3kg/cm2になるように調整した炭酸水で全量を100mLとした。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを飲料とした。
タウリン1000mg、チアミン硝酸塩5mg、果糖ブドウ糖液糖10000mg、安息香酸ナトリウム60mg、クエン酸およびクエン酸ナトリウムを精製水に溶解し、二酸化炭素をガス内圧で1.3kg/cm2になるように調整した炭酸水で全量を100mLとした。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを飲料とした。
タウリン1000mg、チアミン硝酸塩5mg、D-ソルビトール70%液5000mg、安息香酸ナトリウム60mg、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを精製水に溶解し、二酸化炭素をガス内圧で1.3kg/cm2になるように調整した炭酸水で全量を100mLとした。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを飲料とした。
比較例1~3は、炭酸水を精製水に変更し、その他は実施例1~3と同様に調製した。 それぞれの処方を表1に示す。
【0027】
(実施例4-1、4-2、比較例4)
タウリン1000mg、チアミン硝酸塩5mg、白糖10000mg、安息香酸ナトリウム60mg、クエン酸を精製水に溶解し、二酸化炭素をガス内圧でそれぞれ、1.3kg/cm2、3.8kg/cm2になるように調整した炭酸水で全量を100mLとした。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを飲料とした。
比較例4は、炭酸水を精製水に変更し、その他は実施例4-1、4-2と同様に調製した。
それぞれの処方を表2に示す。
【0028】
(実施例5、比較例5)
タウリン3000mg、チアミン硝酸塩5mg、白糖10000mg、安息香酸ナトリウム60mg、クエン酸を精製水で溶解し、二酸化炭素をガス内圧で2.4kg/cm2になるように調整した炭酸水で全量を100mLとした。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを飲料とした。
比較例5は、炭酸水を精製水に変更し、その他は実施例5と同様に調製した。
それぞれの処方を表3に示す。
【0029】
(実施例6、比較例6)
タウリン1000mg、フルスルチアミン塩酸塩10mg、白糖10000mg、安息香酸ナトリウム60mg、クエン酸を精製水で溶解し、二酸化炭素をガス内圧で2.4kg/cm2になるように調整した炭酸水で全量を100mLとした。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを飲料とした。
比較例6は、炭酸水を精製水に変更し、その他は実施例6と同様に調製した。
それぞれの処方を表3に示す。
【0030】
(実施例7~8、比較例7~8)
タウリン1000mg、チアミン硝酸塩5mg、白糖10000mg、安息香酸ナトリウム60mg、クエン酸及び1M水酸化ナトリウム溶液を精製水に溶解し、二酸化炭素をガス内圧で3.8kg/cm2になるように調整した炭酸水で全量を100mLとした。この液を洗浄した褐色ガラスビンに充填し、キャッピングしたものを飲料とした。
比較例7~8は、炭酸水を精製水に変更し、その他は実施例7~8と同様に調製した。
それぞれの処方を表4に示す。
【0031】
(試験例1:飲料の硫黄臭と苦味評価)
実施例1~6及び比較例1~6の飲料を、良く訓練された専門パネル3名により評価した。専門パネルは、各飲料の香りと口に含んだ時の風味から感じられる不快味及び不快臭を硫黄臭及び苦味と特定し、硫黄臭と苦味の強度を下記の評価基準にて評価した。結果は、専門パネルがつけた点数の平均値を、表1~3に処方とともに示した。
【0032】
評価基準
0点:硫黄臭又は苦味を非常に強く感じる
1点:硫黄臭又は苦味をかなり感じる
2点:硫黄臭又は苦味を感じる
3点:硫黄臭又は苦味をやや感じる
4点:硫黄臭又は苦味をわずかに感じる
5点:硫黄臭又は苦味を感じない
【0033】
(試験例2:安定性試験(色の変化))
実施例1~2、5~6及び比較例1~2、5~6の飲料を80℃恒温槽にて1日、実施例3及び比較例3の検体を80℃恒温槽にて1週間保管した。実施例4-1、4-2、7~8及び比較例4、7~8の飲料を65℃恒温槽にて2週間保管した。
保管後の検体の液をそれぞれ内径15mmの無色の試験管に液層が30mmになるように入れ、白色の背景を用い、色の変化を観察した。色の変化は良く訓練された専門パネル2名により、着色の度合いを目視で評価した。
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4-1と比較例4、実施例4-2と比較例4、実施例5と比較例5、実施例6と比較例6、実施例7と比較例7、実施例8と比較例8のそれぞれ2検体を比較し、着色の度合いが小さい方を○、大きい方を×とした。なお、専門パネル2名の評価は同じであった。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
表1~表4より、実施例はそれぞれ比較した比較例に比べて飲料の硫黄臭及び苦味が改善並びに/又は色の変化が抑制されることが示された。
この結果から二酸化炭素を含有させることにより、タウリン、ビタミンB1類及び甘味剤が含有された際に生じる不快味や不快臭の改善、及び色の変化を改善できることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によりタウリン、ビタミンB1類及び甘味剤を安定に含有し、不快味及び経時的な着色を抑制した飲料を得ることができ、医薬品、食品、健康飲料、特定保健用食品などに使用可能である。