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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/06 20060101AFI20240815BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20240815BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20240815BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F02D29/06 D
B60K6/442 ZHV
B60W20/00
F02D29/02 F
F02D29/02 321C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020126494
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023507
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】則竹 康秀
(72)【発明者】
【氏名】山崎 敏彦
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-243291(JP,A)
【文献】特開平06-257484(JP,A)
【文献】特開2002-276409(JP,A)
【文献】特開昭55-099423(JP,A)
【文献】特開平09-042005(JP,A)
【文献】特開2015-040011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/06
B60K 6/442
B60W 20/00
F02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池、エンジン、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機、前記蓄電池及び前記発電機から電力を車外に出力する電力取り出し部と、を有する車両に備えられた制御装置であって、
前記車両の走行停止状態において、前記エンジンが第1の所定時間以上連続して作動した場合に前記エンジンを自動停止させるエンジン自動停止部と、
前記電力取り出し部からの電力の出力時には、前記エンジン自動停止部によるエンジン自動停止を無効化する給電制御部と、を備え、
前記給電制御部は更に、前記車両の停止位置環境として、前記車両のナビゲ-ションシステムにより、前記車両が屋内か屋外に位置しているかを判定し、前記車両が屋内である場合には前記エンジン自動停止の無効化を不能とし、前記車両が屋外である場合に前記エンジン自動停止の無効化を可能にする
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
蓄電池、エンジン、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機、前記蓄電池及び前記発電機から電力を車外に出力する電力取り出し部と、を有する車両に備えられた制御装置であって、
前記車両の走行停止状態において、前記エンジンが第1の所定時間以上連続して作動した場合に前記エンジンを自動停止させるエンジン自動停止部と、
前記電力取り出し部からの電力の出力時には、前記エンジン自動停止部によるエンジン自動停止を無効化する給電制御部と、を備え、
前記車両には、前記車両の周囲の大気状況として、排気成分である一酸化炭素を検出するセンサが設けられ、
前記給電制御部は更に、前記車両の周囲の大気中における前記排気成分が所定割合以上である場合には前記エンジン自動停止の無効化を不能とし、前記車両の周囲の大気中における前記排気成分が所定割合未満である場合には前記エンジン自動停止の無効化を可能にする
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
蓄電池、エンジン、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機、前記蓄電池及び前記発電機から電力を車外に出力する電力取り出し部と、を有する車両に備えられた制御装置であって、
前記車両の走行停止状態において、前記エンジンが第1の所定時間以上連続して作動した場合に前記エンジンを自動停止させるエンジン自動停止部と、
前記電力取り出し部からの電力の出力時には、前記エンジン自動停止部によるエンジン自動停止を無効化する給電制御部と、を備え、
前記給電制御部は更に、前記蓄電池の充電状況として、前記蓄電池に備えられたバッテリマネジメントユニットより前記蓄電池の充電率を入力し、前記蓄電池の充電率が所定値以上である場合には前記エンジン自動停止の無効化を不能とし、前記蓄電池の充電率が所定値未満である場合には前記エンジン自動停止の無効化を可能にする
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
前記給電制御部による前記エンジン自動停止の無効化を報知する報知部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記エンジン自動停止の無効化を確認操作する自動停止無効化確認操作部を備え、
前記給電制御部は、前記自動停止無効化確認操作部により前記エンジン自動停止の無効化の確認操作がされている場合には、前記エンジン自動停止部による前記エンジン自動停止の無効化を許可することを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記給電制御部は、前記報知部により前記エンジン自動停止の無効化が報知されてから第2の所定時間経過するまでに、前記自動停止無効化確認操作部による前記エンジン自動停止の無効化の確認操作がされていない場合には、前記エンジン自動停止部によるエンジン自動停止を実行することを特徴とする請求項5に記載の車両の制御装置。
【請求項7】
前記自動停止無効化確認操作部による確認操作を記憶する確認操作記憶部を備え、
前記給電制御部は、前記電力取り出し部からの電力の出力の際に、前記確認操作記憶部に記憶された前記確認操作に基づいて、前記エンジン自動停止の許可または無効化を判定することを特徴とする請求項5または6に記載の車両の制御装置。
【請求項8】
前記確認操作記憶部は、前記車両の電源オフ時に前記確認操作の記憶を消去することを特徴とする請求項7に記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車外へ給電可能な車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やプラグインハイブリッド車のように比較的大容量の蓄電池を搭載した車両において、例えば非常用電源として車外へ電力を供給可能な車両が開発されている。
特に、プラグインハイブリッド車のように、エンジンにより発電機を駆動して発電可能な車両においては、車外への電力供給の際にエンジンを駆動して発電することで長時間電力を供給することが可能になる。例えば特許文献1には、車外への電力供給時に、車両の蓄電池の充電残量が低下したときに、自動的にエンジンを作動して発電する機能を有する車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-185560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガレージ内や屋内のような換気の困難な場所において、車両の走行停止状態で長時間エンジンを作動させていると、車両の周囲に排気が充満する虞がある。そこで、駐停車してエンジンを作動させた状態であるときに、所定時間経過後に自動的にエンジン停止させるオートシャットオフ装置の装備が要求されている。
しかしながら、車外に電力を供給可能な車両においては、上記のような駐停車状態で自動的にエンジンが停止するオートシャットオフ装置が装備されていると、長時間連続して外部に電力を供給することが不可能となり、使い勝手が低下してしまうといった問題点があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車外に連続して電力を供給可能にして使用性の優れた車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の車両の制御装置は、蓄電池、エンジン、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機、前記蓄電池及び前記発電機から電力を車外に出力する電力取り出し部と、を有する車両に備えられた制御装置であって、前記車両の走行停止状態において、前記エンジンが第1の所定時間以上連続して作動した場合に前記エンジンを自動停止させるエンジン自動停止部と、前記電力取り出し部からの電力の出力時には、前記エンジン自動停止部によるエンジン自動停止を無効化する給電制御部と、を備え、前記給電制御部は更に、前記車両の停止位置環境として、前記車両のナビゲ-ションシステムにより、前記車両が屋内か屋外に位置しているかを判定し、前記車両が屋内である場合には前記エンジン自動停止の無効化を不能とし、前記車両が屋外である場合に前記エンジン自動停止の無効化を可能にすることを特徴とする。
あるいは本発明の車両の制御装置は、蓄電池、エンジン、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機、前記蓄電池及び前記発電機から電力を車外に出力する電力取り出し部と、を有する車両に備えられた制御装置であって、前記車両の走行停止状態において、前記エンジンが第1の所定時間以上連続して作動した場合に前記エンジンを自動停止させるエンジン自動停止部と、前記電力取り出し部からの電力の出力時には、前記エンジン自動停止部によるエンジン自動停止を無効化する給電制御部と、を備え、前記車両には、前記車両の周囲の大気状況として、排気成分である一酸化炭素を検出するセンサが設けられ、前記給電制御部は更に、前記車両の周囲の大気中における前記排気成分が所定割合以上である場合には前記エンジン自動停止の無効化を不能とし、前記車両の周囲の大気中における前記排気成分が所定割合未満である場合には前記エンジン自動停止の無効化を可能にすることを特徴とする。
あるいは本発明の車両の制御装置は、蓄電池、エンジン、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機、前記蓄電池及び前記発電機から電力を車外に出力する電力取り出し部と、を有する車両に備えられた制御装置であって、前記車両の走行停止状態において、前記エンジンが第1の所定時間以上連続して作動した場合に前記エンジンを自動停止させるエンジン自動停止部と、前記電力取り出し部からの電力の出力時には、前記エンジン自動停止部によるエンジン自動停止を無効化する給電制御部と、を備え、前記給電制御部は更に、前記蓄電池の充電状況として、前記蓄電池に備えられたバッテリマネジメントユニットより前記蓄電池の充電率を入力し、前記蓄電池の充電率が所定値以上である場合には前記エンジン自動停止の無効化を不能とし、前記蓄電池の充電率が所定割合未満である場合には前記エンジン自動停止の無効化を可能にすることを特徴とする。
【0007】
これにより、電力取り出し部からの電力の出力時に、エンジンを第1の所定時間以上連続して作動することが可能になる。したがって、電力取り出し部から電力を第1の所定時間以上連続して出力することが可能になる。
また、車両の停止位置環境、車両の周囲の大気状況、あるいは蓄電池の充電状況に基づいて、エンジン自動停止の無効化を可能あるいは不能にするので、適切にエンジン自動停止の無効化を実行することができる。
好ましくは、前記給電制御部による前記エンジン自動停止の無効化を報知する報知部を備えるとよい。
【0008】
これにより、エンジン自動停止の無効化を車両のユーザーに報知するので、駐停車状態でエンジンが作動し続けることをユーザーに知らしめて注意させることができる。
好ましくは、前記エンジン自動停止の無効化を確認操作する自動停止無効化確認操作部を備え、前記給電制御部は、前記自動停止無効化確認操作部により前記エンジン自動停止の無効化の確認操作がされている場合には、前記エンジン自動停止部による前記エンジン自動停止の無効化を許可するとよい。
【0009】
これにより、電力取り出し部から電力を出力する際に、ユーザーが認識せずにエンジン自動停止が無効化されることを防止することができる。
好ましくは、前記給電制御部は、前記報知部により前記エンジン自動停止の無効化が報知されてから第2の所定時間経過するまでに、前記自動停止無効化確認操作部による前記エンジン自動停止の無効化の確認操作がされていない場合には、前記エンジン自動停止部によるエンジン自動停止を実行するとよい。
【0010】
これにより、エンジン自動停止の無効化が報知されてから第2の所定時間経過するまでに、エンジン自動停止の無効化の確認操作がされていない場合には、エンジン自動停止が実行されて、駐停車状態でのエンジンの第1の所定時間以上の作動が規制される。
好ましくは、前記自動停止無効化確認操作部による前記確認操作を記憶する確認操作記憶部を備え、前記給電制御部は、前記電力取り出し部からの電力の出力時に、前記確認操作記憶部に記憶された前記確認操作に基づいて、前記エンジン自動停止の有効化または無効化を判定するとよい。
【0011】
これにより、電力取り出し部から電力を出力させる際に、毎回エンジン自動停止の無効化の確認操作を行う必要がなくなり、確認操作の手間を省くことができる。
好ましくは、前記確認操作記憶部は、前記車両の電源オフ時に前記確認操作の記憶を消去するとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両の走行制御装置によれば、電力取り出し部からの電力出力時にエンジン自動停止部によるエンジン自動停止が無効化されるので、車両が走行停止した状態でエンジンが自動停止せずに継続してエンジン運転が可能になる。したがって、長時間連続して車外への電力出力が可能になり、使用性の優れた車外への給電が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る車両の走行駆動系の概略構成図である。
図2】本実施形態の車両の電源制御装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラグインハイブリッド車(以下、車両1という)の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のエンジン自動停止制御システム(制御装置)を備えた車両1は、エンジン2の出力によって前輪3を駆動して走行可能であるとともに、前輪3を駆動する電動のフロントモータ4及び後輪5を駆動する電動のリヤモータ6を備えた四輪駆動車である。
【0016】
エンジン2は、減速機7を介して前輪3の駆動軸8を駆動可能であるとともに、減速機7を介して発電機9を駆動して発電させることが可能となっている。
フロントモータ4は、フロントインバータ10を介して、車両1に搭載された蓄電池11及び発電機9から高電圧の電力を供給されて駆動し、減速機7を介して前輪3の駆動軸8を駆動する。減速機7には、エンジン2の出力軸と前輪3の駆動軸8との間の動力の伝達を断接切換え可能なクラッチ7aが内蔵されている。
【0017】
リヤモータ6は、リヤインバータ12を介して蓄電池11及び発電機9から高電圧の電力を供給されて駆動し、減速機13を介して後輪5の駆動軸14を駆動する。
発電機9によって発電された電力は、フロントインバータ10を介して蓄電池11を充電可能であるとともに、フロントモータ4及びリヤモータ6に電力を供給可能である。
蓄電池11は、リチウムイオン電池等の二次電池で構成され、複数の電池セルをまとめて構成された図示しない電池モジュールを有している。また、蓄電池11は、電池モジュールの電圧や温度等の電池モジュールの状態を監視するバッテリマネジメントユニット11aを備えている。
【0018】
フロントインバータ10は、後述するハイブリッドECU(Electronic Control Unit)20からの制御信号に基づきフロントモータ4の出力を制御するとともに、ハイブリッドECU20からの制御信号に基づき発電機9の出力(発電電力)を制御する機能を有する。
リヤインバータ12は、ハイブリッドECU20からの制御信号に基づきリヤモータ6の出力を制御する機能を有する。
【0019】
車両1には、蓄電池11を外部電源によって充電する充電機21、エンジン2を駆動制御するエンジンECU22が備えられている。
また、車両1の例えば荷室内部や後部には、電源コンセント30(電力取り出し部)が備えられている。電源コンセント30には、蓄電池11及び発電機9から変圧器31を介して例えば交流100Vに変圧された電力が出力可能になっている。変圧器31は、電源ECU32(給電制御部)によって作動が制御され、電源コンセント30からの電力の出力あるいは出力停止が制御される。
【0020】
車両1の運転席近傍あるいは電源コンセント30の近傍には、ACサプライSW33が備えられている。ACサプライSW33は、電源コンセント30からの電力の出力の可否を切り替えるスイッチである。ACサプライSW33は、車両1の電源オン時に操作することで電力の出力を可能にした状態を保持する。例えばACサプライSW33にLED等の表示ランプが備えられており、電源コンセント30からの電力の出力可能状態を保持していることを表示する。電力の出力可能状態の保持は、ACサプライSW33の再操作や車両電源オフによって電力の出力不能状態にリセットされる。
【0021】
図2は、本実施形態の車両1のエンジン自動停止制御システム40(制御装置)の構成図である。
本実施形態のエンジン自動停止制御システム40は、電源ECU32、ハイブリッドECU20、メーター34(報知部)を備えて構成されている。
ハイブリッドECU20は、車両1の走行制御を行うための総合的な制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマ等を含んで構成されている。また、エンジンECU22及び電源ECU32も、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマ等を含んで構成されている。
【0022】
ハイブリッドECU20には、ACサプライSW33の操作情報が入力される。また、ハイブリッドECU20には、シフトSW35等によりシフトレバ-の操作情報(現在のシフトポジション)が入力される。
メ-タ-34は、車両1の例えばダッシュボ-ドに設置されたディスプレイ装置であり、運転者に対する各種情報の表示とタッチパネルによる操作が可能である。
【0023】
ハイブリッドECU20、電源ECU32及びメーター34は、CANによって接続され、各種制御、操作情報を相互に交換可能になっている。
また、電源ECU32及びハイブリッドECU20のように、車両1の各種ECUは、車両1の電源オン・オフ情報(IGスイッチ操作情報)を交換可能になっている。
電源ECU32には、オートシャットオフ機能を実行するエンジン自動停止部32aを備えている。
【0024】
オートシャットオフ機能は、車両1の周囲に排気が充満することを抑制するための機能であり、車両1の電源オン状態で走行停止時に、第1の所定時間t1以上エンジン2の作動が継続した場合に、ハイブリッドECU20及びエンジンECU22を介して、自動的にエンジン2を停止させる。電源ECU32は、例えばハイブリッドECU20を介して入力したシフトポジションが駐車(P)ポジションであることによって、車両1が走行停止状態であることを判定すればよい。なお、第1の所定時間t1は、例えば数分から数十分程度に設定されていればよい。第1の所定時間t1については、メーター34に表示するスイッチ等によって任意に変更可能であってもよい。
【0025】
次に、オートシャットオフ機能の無効化制御について説明する。
電源ECU32は、車両電源オン(IG-ON)時にACサプライSW33を操作したときに、メーター34に文字等の表示によって、オートシャットオフ機能を無効化(規制)する旨の報知を行わせる。オートシャットオフ機能の無効化の報知は、更に音声によって行ってもよい。また、メーター34は、オートシャットオフ機能の無効化の表示とともに、オートシャットオフ機能の無効化の確認操作をする確認スイッチ34a(自動停止無効化確認操作部)を表示する。メーター34は、確認スイッチ34aとして、例えばOK等の表示をしたスイッチを表示すればよい。
【0026】
電源ECU32は、オートシャットオフ機能の無効化の報知の開始とともにタイマ32bを作動開始する。そして、タイマ32bの作動開始から第2の所定時間t2経過するまでに、確認スイッチ34aが操作された場合には、オートシャットオフ機能の無効化を実行する。即ち、電源ECU32は、ACサプライSW33がオン状態にある場合には、車両1の駐停車時(走行停止状態)で第1の所定時間t1以上、エンジン2の作動が継続しても、自動的にエンジン2を停止させない。
【0027】
一方、電源ECU32は、オートシャットオフ機能の無効化の報知の開始から第2の所定時間t2経過するまでに、確認スイッチ34aが操作されない場合には、オートシャットオフ機能を無効化せずに、オートシャットオフ機能を実行させる。即ち、車両の走行停止状態で第1の所定時間t1以上、エンジン2の作動が継続したときに、自動的にエンジン2を停止させる。
【0028】
なお、メーター34には、オートシャットオフ機能の無効化の確認スイッチ34aの表示とともに、オートシャットオフ機能の無効化を拒否する操作スイッチを表示させてもよい。このオートシャットオフ機能の無効化を拒否する操作スイッチが操作された場合には、オートシャットオフ機能の無効化の報知の開始から第2の所定時間t2経過する前であっても、オートシャットオフ機能が実行される。
【0029】
電源ECU32の記憶装置に、確認スイッチ34aの操作情報(無効化確認操作の有無)を記憶する記憶部32c(確認操作記憶部)を備えるとよい。記憶部32cは、オートシャットオフ機能の無効化の報知後における確認スイッチ34aの操作情報を確認操作情報として記憶しておく。
そして、記憶部32cは、車両電源オン状態において、次回のACサプライSW33のオン時に、確認スイッチ34aを表示することなく、記憶部32cに記憶しておいた前回の確認スイッチ34aの操作情報に応じて、オートシャットオフ機能の有効化あるは無効化を判定してもよい。記憶部32cに記憶された確認スイッチ34aの操作情報は、電源オフ(IG-OFF)時に消去される。したがって、電源オフ後に電源オンしてACサプライSW33をオンしたときには、確認スイッチ34aを表示して、オートシャットオフ機能の無効化の確認が必要となる。
【0030】
以上のように、本実施形態では、ACサプライSW33がオン状態にある場合には、オートシャットオフ機能が無効化される。即ち、電源ECU32は、ACサプライSW33がオン状態にある場合には、車両1の駐停車時(走行停止状態)で第1の所定時間t1以上、エンジン2の作動が継続しても、自動的にエンジン2を停止させない。
これにより、車両1の電源コンセント30からの電力の出力時には、第1の所定時間t1以上エンジンを継続して作動することが可能になり、電源コンセント30からの電力出力の継続時間を延長させることができる。したがって、使い勝手のよい車外への電力供給が可能になる。
【0031】
また、電源ECU32は、車両1の電源オン状態でACサプライSW33がオン状態である場合に、オートシャットオフ機能が無効化されることを表示あるいは音声等によって車両1の乗員等のユーザーに報知するので、エンジン2が作動し続けることをユーザーに知らしめて注意させることができる。
また、オートシャットオフ機能が無効化されることを報知した後に、確認スイッチ34aが操作された場合に、オートシャットオフ機能の無効化が許可されるので、ACサプライSW33をオン状態にしたときにユーザーが知らずにオートシャットオフ機能が無効化されることを防止することができる。
【0032】
更に、オートシャットオフ機能が無効化されることを報知した後に、第2の所定時間t2経過するまでに確認スイッチ34aが操作されていない場合には、オートシャットオフ機能が実行されるので、例えばユーザーが確認スイッチ34aを操作し忘れた場合にはオートシャットオフ機能が実行されて、駐停車時におけるエンジン2の第1の所定時間t1以上の作動が規制される。
【0033】
また、確認スイッチ34aの操作情報を記憶する記憶部32cを備えており、ACサプライSW33がオンになったときには、記憶部32cに記憶されている前回の確認スイッチ34aの操作情報に基づいてオートシャットオフ機能の無効化の判断がされるので、ACサプライSW33がオンになる毎に確認スイッチ34aの操作をする必要がなく、確認操作の手間を省けることができる。
【0034】
但し、車両1の電源がオフになった場合には、記憶部32cから確認スイッチ34aの操作情報が消去されるので、その後車両1の電源及びACサプライSW33がオンになったときには、エンジン2を第1の所定時間t1以上継続して運転する必要がある場合には、再度確認スイッチ34aの操作が必要となる。したがって、例えば長期間駐車してユーザーが前回に確認スイッチ34aを操作したことを忘れてしまった場合や他のユーザーに代わった場合に、ユーザーが知らずにオートシャットオフ機能が無効化されることを防止することができる。
【0035】
また、電源ECU32は、ACサプライSW33の操作によるオートシャットオフ機能が無効化される際の無効化許可条件を有しているとよい。無効化可能条件としては、例えば車両1の停止位置環境、周囲の大気状況、蓄電池11の充電状況が挙げられる。
車両1の停止位置環境として、車両1のナビゲーションシステム等により、車両1が屋内か屋外に位置しているかを判定し、屋内である場合にはオートシャットオフ機能の無効化を不能とし、屋外である場合にオートシャットオフ機能の無効化を可能にすればよい。これにより、屋内でのオートシャットオフ機能の無効化を防止して、屋内に排気が充満することを防止することができる。
【0036】
周囲の大気状況としては、車両1に一酸化炭素等の排気成分を検出するセンサを設け、車両1の周囲の大気中における排気成分が所定割合以上である場合にはオートシャットオフ機能の無効化を不能とし、所定割合未満である場合にオートシャットオフ機能の無効化を可能にすればよい。更に、エンジン2を作動して電源コンセント30から電力を供給しているときに、車両1の周囲の大気中における排気成分が所定割合以上になった場合には、その時点でエンジン2を停止させるように制御するとよい。これにより、車両1の周囲の大気に排気が充満することを防止することができる。
【0037】
蓄電池11の充電状況としては、バッテリマネジメントユニット11aより蓄電池11の充電率を入力し、所定の充電率以上である場合にオートシャットオフ機能の無効化を不能とし、所定の充電率未満である場合にオートシャットオフ機能の無効化を可能にすればよい。これにより、所定の充電率以上であるような発電の要求が低い場合では、オートシャットオフ機能を無効化させないことで、車両走行停止時にエンジン2の長時間の作動を防止することができる。
【0038】
以上で本発明の説明を終了するが、本発明は上記の実施形態に限定するものではない。
例えば、上記実施形態では、車両1の駆動系を総合的に制御するハイブリッドECU20と、オートシャットオフ機能及びその無効化制御を行う電源ECU32とが別々であるが、ハイブリッドECU20やその他の制御部に統合してもよい。
また、上記実施形態の車両1は、四輪駆動のプラグインハイブリッド車であるが、二輪駆動車であってもよいし、プラグインタイプでないハイブリッド車でも本発明を適用可能である。
【0039】
また、上記実施形態の車両1は、エンジン2によって前輪3を走行駆動可能なパラレル式のハイブリッド車であるが、シリーズ式のハイブリッド車であってもよい。本発明は発電機を駆動するエンジンを搭載し、外部に電力を供給可能な車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 車両
2 エンジン
9 発電機
11 蓄電池
30 電源コンセント(電力取り出し部)
32 電源ECU(給電制御部)
32a エンジン自動停止部
32c 記憶部(確認操作記憶部)
34 メーター(報知部)
34a 確認スイッチ(自動停止無効化確認操作部)
40 エンジン自動停止制御システム(制御装置)
図1
図2