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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】車両のフードロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/24 20140101AFI20240815BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20240815BHJP
   E05B 85/04 20140101ALI20240815BHJP
【FI】
E05B83/24 A
B62D25/12 N
E05B85/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021057744
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154623
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】永見 卓三
(72)【発明者】
【氏名】朽木 賢一
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-115718(JP,A)
【文献】特開2011-201453(JP,A)
【文献】特開2020-133285(JP,A)
【文献】実開昭62-151377(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0048746(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-0832183(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
B62D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に開閉可能に備えられたフードに設けられたストライカと、
前記車両の車体に前記ストライカに対して揺動可能に設けられ、前記フードのロックが解除された状態で前記ストライカに係止され、前記フードの開方向への移動を阻止するセカンダリフックと、
前記ストライカに設けられ、前記フードが閉じられる際に、前記セカンダリフックを前記ストライカと係止可能な係止領域に案内するガイドと、を備えた
ことを特徴とする車両のフードロック装置。
【請求項2】
前記ストライカは、車両前後方向に間隔をおいて前記フードから車両上下方向に延びる2本の縦部材と、前記2本の縦部材の下端部を繋ぐとともに前記セカンダリフックが係止される下部部材と、を有する略U字状に形成され、
前記セカンダリフックは、その先部が前記ストライカ側に突出される鉤状に形成されて前記下部部材と交差する方向に揺動可能とされ、
前記ガイドは、前記2本の縦部材の少なくともいずれか一方に設けられて前記ストライカに対する前記セカンダリフックの先部の相対位置を前記2本の縦部材の間の前記係止領域に変位させるべく案内する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両のフードロック装置。
【請求項3】
前記セカンダリフックは、前記ストライカの一側方から係止され、
前記ガイドは、前記ストライカにおける前記縦部材の前記一側方側の側部に重ねて設けられ、前記2本の縦部材の間の前記係止領域に向かって斜め上方に延びる傾斜部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両のフードロック装置。
【請求項4】
前記ストライカは、前記縦部材の上端部から屈曲されて前記フードの壁面に沿って延び、前記フードに固定されるストライカ固定部を有し、
前記ガイドは、その上部に前記フードの壁面に沿って延び、前記フードに固定されるガイド固定部を有し、
前記ストライカ固定部と前記ガイド固定部とが、互いに異なる方向に延びる
ことを特徴とする請求項2または3に記載の車両のフードロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のフードをロックするフードロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車におけるフロントフードは、前部を上方にはね上げる形状が多く、閉状態でロックするフードロック装置を備えている。
例えば特許文献1に示すように、フロントフードのようなパネルのロック装置として、パネル側に丸棒を略U字状に折り曲げて形成したストライカが備えられるとともに、車体側にストライカを係止するフック(爪部)が備えられている。フックは、板状の部材で形成され、車体に揺動可能に支持されている。フックは、スプリング等によって付勢されてストライカを係止し、ワイヤ等によって牽引された場合に揺動することでストライカの係止を解除する構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-115718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、車両のフロントフードを係止するフードロック装置を、メインロック装置とサブロック装置の2個備え、メインロック装置のストライカとフックとの係合が外れたとしても、サブロック装置による係止によって、フードが大きく持ち上がらないようにしていることが一般的である。
このようなフードロック装置においては、軽微な事故等により車体とフロントフードの位置がサブロック装置のフック(セカンダリフック)の幅方向にわずかにずれてしまった場合に、フロントフードを開状態から閉めようとしても、セカンダリフックがストライカの縦棒に当接してセカンダリフックとストライカとが係止されない可能性がある。
【0005】
上記のようにメインロック装置とサブロック装置を備えた車両において、メインロック装置が係止され、かつサブロック装置が係止されない状態で走行中に、振動等によりメインロック装置が外れてしまった場合に、サブロック装置が機能せず、走行中にフードが持ち上がってしまう可能性がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フードの係止性を向上させる車両のフードロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両のフードロック装置は、車両に開閉可能に備えられたフードに設けられたストライカと、前記車両の車体に前記ストライカに対して揺動可能に設けられ、前記フードのロックが解除された状態で前記ストライカに係止され、前記フードの開方向への移動を阻止するセカンダリフックと、前記ストライカに設けられ、前記フードが閉じられる際に、前記セカンダリフックを前記ストライカと係止可能な係止領域に案内するガイドと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
これにより、車両のフードが閉じられる際にセカンダリフックが係止領域に案内されるので、フードが開状態であるときにストライカとセカンダリフックとの相対位置がずれていたとしても、フードを閉じることでセカンダリフックとストライカとを係止させることができる。また、ガイドがストライカに設けられているので、ガイドとストライカとの相対位置が正確に規定される。これにより、ガイドの取付位置の調整が容易になり、ガイドによってセカンダリフックを係止領域に正確に案内することができる。
【0008】
好ましくは、前記ストライカは、車両前後方向に間隔をおいて前記フードから車両上下方向に延びる2本の縦部材と、前記2本の縦部材の下端部を繋ぐとともに前記セカンダリフックが係止される下部部材と、を有する略U字状に形成され、前記セカンダリフックは、その先部が前記ストライカ側に突出される鉤状に形成されて前記下部部材と交差する方向に揺動可能とされ、前記ガイドは、前記2本の縦部材の少なくともいずれか一方に設けられて前記ストライカに対する前記セカンダリフックの先部の相対位置を前記2本の縦部材の間の前記係止領域に変位させるべく案内するとよい。
【0009】
これにより、ストライカを容易に形成するとともに、セカンダリフック及びガイドを簡単に構成することができ、フードロック装置の製造及び設置コストを抑制することができる。
好ましくは、前記セカンダリフックは、前記ストライカの一側方から係止され、前記ガイドは、前記ストライカにおける前記縦部材の前記一側方側の側部に重ねて設けられ、前記2本の縦部材の間の前記係止領域に向かって斜め上方に延びる傾斜部を有するとよい。
【0010】
これにより、セカンダリフックがストライカの一側方から係止される際に、セカンダリフックがガイドの傾斜部によってストライカの2本の縦部材の間の係止領域に案内される。
好ましくは、前記ストライカは、前記縦部材の上端部から屈曲されて前記フードの壁面に沿って延び、前記フードに固定されるストライカ固定部を有し、前記ガイドは、その上部に前記フードの壁面に沿って延び、前記フードに固定されるガイド固定部を有し、前記ストライカ固定部と前記ガイド固定部とが、互いに異なる方向に延びるとよい。
【0011】
これにより、ストライカがフードに固定されるストライカ固定部と、ガイドがフードに固定されるガイド固定部と、が互い異なる方向に延びているので、ストライカ及びガイドをフードに強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る車両のフードロック装置によれば、フードが開状態であるときにストライカとセカンダリフックとの相対位置がずれていたとしても、フードが閉じられる際にセカンダリフックが係止領域に案内され、セカンダリフックとストライカとを係止させることができ、フードの係止性を向上させることができる。更に、ガイドがストライカに設けられているので、ガイドの取付位置の調整が容易になり、セカンダリフックの係止領域への移動を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る車両のフロントフードのフードロック装置の概略構成図である。
図2】サブロック装置におけるサブストライカとサブフックとの車両前後位置関係を示す図である。
図3】フロントフードを開状態から閉じたときのサブロック装置の作動状態を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態のサブストライカ及びガイドの詳細形状を示す正面図である。
図5】本発明の第1実施形態のサブストライカ及びガイドの詳細形状を示す側面図である。
図6】本発明の第2実施形態のサブストライカ及びガイドの詳細形状を示す正面図である。
図7】本発明の第2実施形態のサブストライカ及びガイドの詳細形状を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両のフロントフードのサブロック装置の概略構成図である。なお、図1は、車両前方側から車両後方に向かって車両の前部を視た図である。図2は、サブロック装置におけるサブストライカとサブフックとの車両前後位置関係を示す図であり、車両右方側から視た図である。
【0015】
車両の前部には、エンジンルームの上部を覆うフロントフードが備えられている。フロントフードは、後部に設けられたヒンジを回転軸として、前端部が上方に揺動可能に車体に支持されている。
図1に示すように、車両の車体1の前端部には、フロントフード2(フード)を閉じた状態で、フロントフード2と車体1とを係止するフードロック装置3が備えられている。
【0016】
本実施形態に係るフードロック装置3は、メインロック装置5とサブロック装置6(フードロック装置)の2個のロック装置を有している。
メインロック装置5は、公知のフロントフードのロック装置であり詳細な説明を省略するが、フロントフード2に固定されたメインストライカ7と、メインストライカ7を係止する図示しないメインフックと、を備えている。メインフックは、車体1に固定されたブラケット8に車両左右方向に揺動可能に支持されている。
【0017】
メインロック装置5は、フロントフード2を完全な閉状態で車体1に係止する。メインフックは、解除装置によって揺動して、メインストライカ7の係止が解除される。
サブロック装置6は、メインロック装置5の車両左方側の近傍に配置されている。
サブロック装置6は、フロントフード2に固定されたサブストライカ10(ストライカ)と、サブストライカ10を係止するサブフック11(セカンダリフック)と、を備えている。サブフック11は、車両前後方向に延びるピン12によって、メインフックを支持するブラケット8に下部が揺動可能に支持されている。サブフック11は、ピン12を揺動中心として、上部が車両左右方向(後述するサブストライカ10の下部部材10cと交差する方向)に揺動可能になっている。
【0018】
図1、2に示すように、サブストライカ10は、鉄等の金属の丸棒部材を略U字状に折り曲げて形成されており、車両上下方向に延びる前部部材10a(縦部材)と、前部部材10aの車両後方側に間隔をおいて車両上下方向に延びる後部部材10b(縦部材)と、前部部材10aの下端部と後部部材10bの下端部との間を繋いで車両前後方向に延びる下部部材10cと、を有している。
【0019】
サブストライカ10は、前部部材10a及び後部部材10bの夫々の上部がフロントフード2の下面に溶接等によって固定されている。サブストライカ10の前部部材10aと後部部材10bとは、内幅で車両前後方向に数cm離間している。
サブフック11は、金属等の厚板で形成した平板部材であって、上部(先部)にサブストライカ10側に突出し下部部材10cを係止する鉤状の係止部11aを備えている。
【0020】
図1、2に示すようにフロントフード2が閉状態である場合には、サブフック11の上部の係止部11aがサブストライカ10の下部部材10cに対して上方に数cm程度(作業者の指が入る程度)離間した位置に位置するように設定されている。また、サブフック11は、サブストライカ10の前部部材10aと後部部材10bとの間に位置するように、車両前後方向位置が設定されている。なお、サブストライカ10の下部部材10cの上方、かつ前部部材10aと後部部材10bとの間の領域が本発明の係止領域に該当する。
【0021】
サブフック11は、図示しない付勢部材によって係止部11aが車両左方側に揺動するように付勢されており、車両右方(一側方)からサブストライカ10を係止する。サブフック11は、図示しないストッパによって、図1に示すようにサブフック11の係止部11aがサブストライカ10の上部に位置する揺動位置から、係止部11aが下部部材10cの上方から車両左方側に離脱するまで揺動可能となるように揺動範囲が規制されている。
【0022】
また、サブフック11には、係止部11aとは別に、図示しない操作部を有している。操作部を作業者等が車両右方に押すことで、付勢部材による付勢に抗してサブフック11が揺動可能になっている。更に、サブフック11の係止部11aの上端面は、少なくともサブフック11が付勢部材によって車両左方側に揺動した状態におけるサブストライカ10の車両前後位置から、係止部11aの車両左側端部まで、車両左側に向かって下方に傾斜した傾斜面11bを有している。
【0023】
図3は、フロントフード2を開状態から閉じたときのサブロック装置6の作動状態を示す図である。、
図3に示すように、フロントフード2が大きく開いた状態から閉める方向に移動させると、図3(A)に示すようにサブストライカ10の下端がサブフック11の係止部11aの上端面である傾斜面11bに接触する。更に、図3(B)に示すようにフロントフード2を下方に移動させると、サブストライカ10によってサブフック11の係止部11aが押され、サブフック11が車両右方側(図3において左方)に揺動する。図3(B)の状態からわずかにフロントフード2を下方に移動させ、フロントフード2と車体1との間が数cm程度開いた状態まで下方に移動すると、サブストライカ10と係止部11aとが離間し、サブフック11が車両左方側に付勢される。そして、図3(C)に示すように、フロントフード2が完全に閉状態になると、サブフック11が車両左方向に付勢された状態であって、サブフック11の係止部11aとサブストライカ10との車両左右位置が一致する。
【0024】
なお、フロントフード2は、図示しない付勢装置によって前端部が数cm程度上方に移動するように付勢されている。したがって、メインロック装置5により係止した完全な閉状態のフロントフード2に対して、メインロック装置5を解除すると、付勢装置によってフロントフード2は上方に移動する。しかしながら、フロントフード2の前端部が数cm程度上方に移動すると、サブロック装置6によってサブフック11の係止部11aとサブストライカ10とが係止されるので、それ以上のフロントフード2の開放が規制される。これにより、車両走行中に誤ってメインロック装置5が解除されたとしても、フロントフード2の開方向への移動が阻止されて殆ど開かずに、車両の運転者の視界の走行の妨げにならない。
【0025】
車両停止中では、メインロック装置5を解除した後に、運転者等の作業者がわずかに開いたフロントフード2と車体1との間に指を入れて、サブフック11の操作部を車両右方側に押すことで、サブフック11が車両右方に揺動する。これにより、係止部11aとサブストライカ10との係止が解除され、フロントフード2を更に上方へ開くことが可能になる。
【0026】
図4は、本発明の第1実施形態のサブストライカ10及びガイド20の詳細形状を示す正面図である。図5は、本発明の第1実施形態のサブストライカ10及びガイド20の詳細形状を示す側面図である。なお、図4は車両前方側から後方に向かってサブストライカ10及びガイド20を視た図であり、図5は、車両右方側からサブストライカ10及びガイド20を視た図である。
【0027】
図4、5に示すように、本実施形態のサブストライカ10には、ガイド20が設けられている。
ガイド20は、サブストライカ10の車両前方側を車両上下方向に延びる前部部材10aに沿って車両右方(一側方)側の側部に重ねて設けられ、金属の丸棒部材を屈曲して形成されている。
【0028】
ガイド20は、サブストライカ10の前部部材10aの上部において車両後方側に接触し、中間部で車両前方側に屈曲して、下端部20aがサブストライカ10の下端部付近まで下方に延びるととともにサブストライカ10の前部部材10aよりも数cm車両前方に位置する。したがって、ガイド20の中間部から下方の部位における車両後方側の側面が、前部部材10aと後部部材10bとの間の係止領域に向かって斜め上方に延びる傾斜部になっている。
【0029】
ガイド20の上部20b(ガイド固定部)は、車両左方側に垂直に屈曲している。ガイド20の車両左右方向に延びる上部20bの上端面は、フロントフード2の下壁面に当接して溶接されている(溶接部a)。また、ガイド20の屈曲部付近は、サブストライカ10の前部部材10aの上部に溶接によって固定されている(溶接部b)。
サブストライカ10の前部部材10aの上部10d(ストライカ固定部)は、車両右方側に屈曲してフロントフード2に固定されている。したがって、ガイド20の上部20bと、サブストライカ10の前部部材10aの上部10dとは、車両左右方向で互いに反対方向に延びている。
【0030】
本実施形態では、以上のようにガイド20を備えたことで、たとえサブフック11とサブストライカ10との車両前後位置がずれて、サブフック11がサブストライカ10の前部部材10aと車両前後位置が重なってしまったとしても、フロントフード2を閉めようとした際にサブフック11の傾斜面11bがガイド20に当接し、フロントフード2を下方に移動させるに伴って、サブフック11をガイド20に沿ってサブストライカ10に対して車両後方側に変位させる。
【0031】
これにより、例えば車両の軽衝突時のように、フロントフード2がわずかに歪んで、サブストライカ10がサブフック11に対して車両後方側にずれて、サブフック11がサブストライカ10の前部部材10aと車両前後位置が重なってしまった場合でも、フロントフード2を閉める際にサブフック11をサブストライカ10との係止領域に案内して、サブストライカ10とサブフック11とを係止させることができる。なお、上記実施形態では、ガイド20をサブストライカ10の前部部材10aに設けているが、後部部材10bに設けてもよいし、前部部材10aと後部部材10bの両方に夫々設けてもよい。但し、車両の軽衝突時においては、フロントフード2が屈曲し、サブストライカ10がサブフック11に対して車両前方側にずれるよりも車両後方側にずれる可能性が高いので、上記実施形態のようにガイド20をサブストライカ10の前部部材10aに設けることがより有効である。
【0032】
また、ガイド20がサブストライカ10に備えられることで、ガイド20とサブストライカ10の相対位置が規定される。これにより、サブフック11とサブストライカ10との係止領域に対するガイド20の取付位置の調整が容易になる。
また、ガイド20は、丸棒を曲げただけで形成されており、フロントフード2及びサブストライカ10に溶接で固定されて設置されるので、ガイド20を設けることに伴う部品コスト及び製造コストの上昇が抑えられる。
【0033】
また、ガイド20は、フロントフード2及びサブストライカ10の2箇所で固定されるので、ガイド20を強固に固定することができる。更には、ガイド20によってサブストライカ10を支持してサブストライカ10の強度を向上させることができる。
また、ガイド20の上部20bと、サブストライカ10の前部部材10aの上部10dとは、車両左右方向で互いに逆方向に延びているので、サブストライカ10及びガイド20をフロントフード2に強固に固定して、サブストライカ10及びガイド20の車両左右方向の傾きを抑制することができる。なお、ガイド20の上部20bと、サブストライカ10の前部部材10aの上部10dとは、車両左右方向で互いに逆方向ではなく少なくとも互いに異なる方向に延びるようにしてもよい。上部20bと上部10dとが少なくとも互いに異なる方向に延びるようにすれば、サブストライカ10及びガイド20をフロントフード2に比較的強固に固定することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定するものではない。例えば、ガイド20を丸棒以外で形成してもよい。
図6は、本発明の第2実施形態のサブストライカ10及びガイド30の詳細形状を示す正面図である。図7は、本発明の第2実施形態のサブストライカ10及びガイド30の詳細形状を示す側面図である。なお、図6は車両前方側から後方に向かってサブストライカ10及びガイド30を視た図であり、図7は、車両右方側からサブストライカ10及びガイド30を視た図である。
【0035】
図6、7に示すように、第2実施形態におけるサブストライカ10に設けたガイド30は、金属等の厚板をプレス等によって切断及び屈曲して形成されている。
ガイド30は、サブストライカ10の前部部材10aに沿って車両上下方向に延びる縦部30aと、縦部30aの上端から車両左方側に延びる上部30b(ガイド固定部)と、縦部30aの下端から車両左方側に延びる下部30cと、を有している。
【0036】
ガイド30の上部30bの上端面は、フロントフード2の下壁面に当接して溶接されている(溶接部c)。ガイド30の縦部30aは、その上部がサブストライカの前部部材10aの車両後方(一側方)側に隣接し、サブストライカ10の前部部材10aの上部付近で車両前方側に屈曲して、下端部がサブストライカ10の下端部付近まで下方に延びている。ガイド30の下端部は、サブストライカ10の前部部材10aよりも車両前方に位置する。したがって、ガイド30の縦部30aの車両後方側の側面が、前部部材10aと後部部材10bとの間の係止領域に向かって斜め上方に延びる傾斜部になっている。
【0037】
また、ガイド30の下部30cの車両左方側の先端部は、サブストライカ10の前部部材10aの下部に溶接によって固定されている(溶接部d)。
第2実施形態においても、例えサブフック11とサブストライカ10との車両前後位置がずれて、サブフック11がサブストライカ10の前部部材10aと車両前後位置が重なってしまったとしても、フロントフード2を閉める際にサブフック11の上端部がガイド30に当接し、フロントフード2を下方に移動させるに伴ってサブフック11がガイド30に沿ってサブストライカ10に対して車両後方側に移動し、サブストライカ10とサブフック11とを係止させることができる。
【0038】
なお、第2実施形態においても、ガイド30をサブストライカ10の後部部材10bに設けてもよいし、前部部材10aと後部部材10bの両方に夫々設けてもよい。また、ガイド30の上部30bと、サブストライカ10の前部部材10aの上部10dとを、車両左右方向で互いに逆方向ではなく、少なくとも互いに異なる方向に延びるようにしてもよい。
【0039】
また、上記の実施形態では、車両にメインロック装置5とサブロック装置6が別々に設けられているが、例えばメインロック装置のフックとサブロック装置のセカンダリフックが一体化しているような車両のフードロック装置においても本発明を適用可能である。
また、本発明は、フロントフード以外の車両のフードのロック装置に適用してもよい。本発明は、各種車両のフードロック装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 車体
2 フロントフード(フード)
6 サブロック装置(フードロック装置)
10 サブストライカ(ストライカ)
10a 前部部材(縦部材)
10b 後部部材(縦部材)
10c 下部部材
10d 上部(ストライカ固定部)
11 サブフック(セカンダリフック)
20 ガイド
20b 上部(ガイド固定部)
30 ガイド
30b 上部(ガイド固定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7