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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】水－グリコール系作動液
(51)【国際特許分類】
C10M 173/02 20060101AFI20240815BHJP
C10M 105/14 20060101ALI20240815BHJP
C10M 129/28 20060101ALI20240815BHJP
C10M 129/64 20060101ALI20240815BHJP
C10M 137/10 20060101ALI20240815BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20240815BHJP
C10N 40/08 20060101ALN20240815BHJP
【ＦＩ】
C10M173/02
C10M105/14
C10M129/28
C10M129/64
C10M137/10 Z
C10N30:06
C10N40:08
【請求項の数】
3
(21)【出願番号】P 2020067576
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021161354
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】517436615
【氏名又は名称】シェルルブリカンツジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】金子 弘
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開２００７－２４６６８４（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平１０－０６７９９３（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１５－０２５１１４（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１４－０５１６５０（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１６－０５０２１７（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００１－１０７０７５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開昭５１－０１９２８０（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平０６－２７９７８０（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｃ１０Ｍ １０１／００－１７７／００
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水－グリコール系作動液において、水を２０～６０質量％含有し、脂肪酸潤滑剤として脂肪酸とダイマー酸とを合計で０.４を超えて１.２質量％以下含み、さらに下記一般式（１）で示されるリン酸エステルを含んでなることを特徴とする水－グリコール系作動液。【化1】
【請求項2】
上記リン酸エステルの含有量が０.０１～０.０７質量％である請求項１に記載の水－グリコール系作動液。
【請求項3】
上記脂肪酸の炭素数が６～１８である請求項１または２に記載の水－グリコール系作動液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水－グリコール系作動液の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油圧装置は産業界において広く用いられて、生産性の向上に貢献しているだけでなく、一般社会にも広く取り入れられている。これらの油圧装置には動力伝達媒体として油圧作動油が使用されており、一般には、この油圧作動油として高精製度のパラフィン系基油などの鉱油系の基油を用いた石油系作動油が使用されている。
【0003】
しかしながら、耐火性が必要とされる鉄鋼業における製鉄・製鋼設備の各種の油圧機器、ダイカストマシン、鍛造プレスなどの機械設備、及び火災に対する安全性が重視される室内施設である遊技装置や舞台装置などの油圧装置には、油圧作動油として石油系作動油を用いることができず、難燃性の含水系作動液である水－グリコール系作動液などが使用されている。
【0004】
このような含水系作動液である水－グリコール系作動液を使用する場合においては、油圧作動が円滑に行われると共に油圧機器の長寿命化を図ることも重要であって、そのためにも耐摩耗性や潤滑性を良好にすることが必要とされる。
水－グリコール系作動液における潤滑性や耐摩耗性の性能を向上させるものとしては、例えば、水に特定構造のポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物、ポリオキシアルキレングリコールモノエーテル化合物、ポリオキシプロピレングリコールモノエーテル化合物及び脂肪酸塩を含有させる含水系作動液組成物が知られている。（特許文献１）
水－グリコール系作動液における潤滑性や耐摩耗性の性能を向上させるものとしては、例えば、水に特定構造のポリオキシアルキレングリコールジエーテル化合物、ポリオキシアルキレングリコールモノエーテル化合物、ポリオキシプロピレングリコールモノエーテル化合物及び脂肪酸塩を含有させる含水系作動液組成物が知られている。（特許文献１）
【0005】
また、水－グリコール系作動液において、例えばグリセロールに無水ホウ酸又は三塩化ホウ素を反応させて得られるグリセロールボレートと塩基との中和生成物を、少量含有させるものも知られている。（特許文献２）
更に、水－グリコール系作動液に、水溶性ポリオキシアルキレンポリオールとグリシジルエーテルから誘導される特定構造の水溶性ポリエーテルを含有させるものなども知られている。（特許文献３）
更に、水－グリコール系作動液に、水溶性ポリオキシアルキレンポリオールとグリシジルエーテルから誘導される特定構造の水溶性ポリエーテルを含有させるものなども知られている。（特許文献３）
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第３２３３４９０号公報
【文献】特許第２６４６３０８号公報
【文献】特開平７－２３３３９１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、水－グリコール系作動液に特定の添加剤を配合することにより、水－グリコール系作動液が有している各種の性能を何ら損なうことなく、その耐摩耗性を大幅に改善し、性能の良い水－グリコール系作動液を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
水－グリコール系作動液とは、合計１００質量％のうち、水を２０～６０質量％、グリコール類を２０～６０質量％、脂肪酸系の潤滑剤、水酸化アルカリ化合物、増粘剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤などを含むものである。本発明者は、上記の如く水－グリコール系作動液の性能の向上を目指して研究、開発を進めていたところ、脂肪酸潤滑剤としてダイマー酸とラウリン酸の両者を使用し、併せて特殊な構造のリン酸エステルを含有させることにより、水－グリコール系作動液の耐摩耗性を大きく改善することが出来ることを見出し、こうした知見に基づいて本発明を完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、ダイマー酸と脂肪酸を合計で０.４質量％を超えて１.２質量％以下に、さらにリン酸エステルを添加剤として含有させて水－グリコール系作動液とするもので、このリン酸エステルは、下記の構造を有するものである。
（式中、Ｒ１及びＲ２は同じでも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数１～３０の炭化水素基を示し、Ｒ３は炭素数１～２０の炭化水素基を示し、Ｒ４は水素原子又は炭素数１～３０の炭化水素基を示し、Ｘ１、Ｘ２、Ｘ３及びＸ４は同じでも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子または硫黄原子を示す。）
【化1】
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記した特定の添加剤を少量配合することにより、水－グリコール系作動液が有している各種の性能が何ら損なわれることなく、その耐摩耗性を大幅に改善して使い勝手の良い水－グリコール系作動液を簡便に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の水－グリコール系作動液において、脂肪酸潤滑剤が使用される。脂肪酸潤滑剤としては、例えば、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸などがある。また炭素数１８の不飽和脂肪酸の２量体であるダイマー酸を含むものである。上記ダイマー酸は植物系油脂を原料とするＣ１８不飽和脂肪酸の二量化によって生成されたＣ３６ジカルボン酸の二塩基酸を主成分とし、一塩基酸、三塩基酸を含有する液状脂肪酸である。
【0012】
この脂肪酸とダイマー酸は、水－グリコール系作動液の組成物の全量に対して合計で０.４質量％を超えて１.２質量％以下で含有されており、好ましくは０.６～１.１質量％、より好ましくは０.８～１.０質量％含ませるようにすると良い。
上記の含有量が０.４質量％以下であると、充分な耐摩耗性を得ることが出来なくなるし、一方で１.２質量％を超えるとスラッジが発生し易くなって好ましくない。
また、上記脂肪酸は、通常、酸の形で用いるけれども、これがナトリウム塩になったものを用いることができ、両者を適宜に混合して用いることも可能である。
上記の含有量が０.４質量％以下であると、充分な耐摩耗性を得ることが出来なくなるし、一方で１.２質量％を超えるとスラッジが発生し易くなって好ましくない。
また、上記脂肪酸は、通常、酸の形で用いるけれども、これがナトリウム塩になったものを用いることができ、両者を適宜に混合して用いることも可能である。
【0013】
また、この水－グリコール系作動液には、リン酸エステルが含有される。
このリン酸エステルは下記の一般式で表わされるものである。
このリン酸エステルは下記の一般式で表わされるものである。
【化2】
【0014】
上記一般式において、Ｒ１及びＲ２は、それぞれ水素原子又は炭素数１～３０の炭化水素基であって、このＲ１とＲ２は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記のＲ３は炭素数１～２０の炭化水素基であり、Ｒ４は水素原子又は炭素数１～３０の炭化水素基であることを示している。
Ｘ１、Ｘ２、Ｘ３及びＸ４はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子であって、これらは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記のＲ３は炭素数１～２０の炭化水素基であり、Ｒ４は水素原子又は炭素数１～３０の炭化水素基であることを示している。
Ｘ１、Ｘ２、Ｘ３及びＸ４はそれぞれ酸素原子又は硫黄原子であって、これらは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0015】
このリン酸エステルは、水－グリコール系作動液の組成物の全量に対して０.０１～０.０７質量％程度含有されるが、好ましくは０.０１～０.０５質量％、さらに好ましくは０.０１５～０.０３質量％使用するとよい。
上記含有量が０.０１質量％未満であると、充分な耐摩耗性を得るための添加効果が得られないので好ましくない。
上記含有量が０.０１質量％未満であると、充分な耐摩耗性を得るための添加効果が得られないので好ましくない。
【0016】
上記グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ジヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどがある。
このグリコール類は上記した１種のものを単独で用いても良いし、２種以上のものを混合して使用することができる。好ましくは、プロピレングリコールや、ジプロピレングリコールを用いるとよい。このグリコールは、水－グリコール系作動液の組成物全量に対して、２０～６０質量％、より好ましくは３０～５０質量％使用される。
このグリコール類は上記した１種のものを単独で用いても良いし、２種以上のものを混合して使用することができる。好ましくは、プロピレングリコールや、ジプロピレングリコールを用いるとよい。このグリコールは、水－グリコール系作動液の組成物全量に対して、２０～６０質量％、より好ましくは３０～５０質量％使用される。
【0017】
更に、防錆剤としてアルカノールアミンを使用することもできる。アルカノールアミンとしては、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン，トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、Ｎ－メチルエタノールアミン、Ｎ－メチルジエタノールアミン、Ｎ,Ｎ－ジメチルアミノエタノール、Ｎ,Ｎ－ジエチルアミノエタノール、Ｎ,Ｎ－ジプロピルアミノエタノール、Ｎ,Ｎ－ジブチルアミノエタノール、Ｎ,Ｎ－ジペンチルアミノエタノール、Ｎ,Ｎ－ジヘキシルアミノエタノール、Ｎ,Ｎ－ジヘプチルアミノエタノール、Ｎ,Ｎ－ジオクチルアミノエタノール、などがある。
このアルカノールアミンは、組成物全量に対して、１.０～５.０質量％含有される。
このアルカノールアミンは、組成物全量に対して、１.０～５.０質量％含有される。
【0018】
上記した水酸化アルカリ化合物としては、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムがあり、これらを各々単独で使用したり、適宜、両者を併用したりする。この水酸化アルカリ化合物は、組成物全量に対して、０．０１～０．１２質量％、より好ましくは０．０４～０．０６質量％含有される。
【0019】
また、こうした水－グリコール系作動液には、必要に応じて公知の添加剤、例えば、増粘剤、潤滑剤、金属不活性剤、摩耗防止剤、極圧剤、分散剤、金属系清浄剤、摩擦調整剤、腐食防止剤、抗乳化剤、消泡剤その他の各種の添加剤を単独で又は数種類を組み合わせて配合するようにしても良い。この場合、水－グリコール系作動液用の添加剤パッケージを用いてもよい。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の水－グリコール系作動液について実施例、比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
表１に示す配合量に基づいて各成分をよく混合し、実施例１～３の水－グリコール系作動液を得た。
表１に示す配合量に基づいて各成分をよく混合し、実施例１～３の水－グリコール系作動液を得た。
【0021】
（実施例１）
ダイマー酸を０．４００質量％、脂肪酸としてのラウリン酸を０．４００質量％、リン酸エステル（Ａ）として３－（ＤＩ－ＩＳＯＢＵＴＯＸＹ－ＴＨＩＯＰＨＯＳＰＨＯＲＹＬＳＵＬＦＡＮＹＬ）－２－ＭＥＴＨＹＬ－ＰＲＯＰＩＯＮＩＣ ＡＣＩＤを０．０１５質量％、グリコールとしてプロピレングリコールを３８．６２８質量％、増粘剤として水溶性ポリマーを１６．１０質量％、その他添加剤として水酸化ナトリウムや腐食防止剤や消泡剤などを含むものを合計で２．５６５質量％、水を４１．８９２質量％用い、これらを良く混合して水－グリコール系作動液を得た。この水－グリコール系作動液は、ＪＩＳ Ｋ ２２３４－１９９４により得られる予備アルカリ度が２０で、４０℃動粘度は４６ｍｍ２／ｓ、ｐＨは１１であった。
ダイマー酸を０．４００質量％、脂肪酸としてのラウリン酸を０．４００質量％、リン酸エステル（Ａ）として３－（ＤＩ－ＩＳＯＢＵＴＯＸＹ－ＴＨＩＯＰＨＯＳＰＨＯＲＹＬＳＵＬＦＡＮＹＬ）－２－ＭＥＴＨＹＬ－ＰＲＯＰＩＯＮＩＣ ＡＣＩＤを０．０１５質量％、グリコールとしてプロピレングリコールを３８．６２８質量％、増粘剤として水溶性ポリマーを１６．１０質量％、その他添加剤として水酸化ナトリウムや腐食防止剤や消泡剤などを含むものを合計で２．５６５質量％、水を４１．８９２質量％用い、これらを良く混合して水－グリコール系作動液を得た。この水－グリコール系作動液は、ＪＩＳ Ｋ ２２３４－１９９４により得られる予備アルカリ度が２０で、４０℃動粘度は４６ｍｍ２／ｓ、ｐＨは１１であった。
【0022】
上記実施例１で使用したリン酸エステル（Ａ）は下記の構造式で示されるものである。
【化3】
【0023】
（実施例２）
ダイマー酸を０．４００質量％、脂肪酸としてのラウリン酸を０．４００質量％、リン酸エステル（Ｂ）としてＥＴＨＹＬ－３（ＢＩＳ（１－ＭＥＴＨＹＬ ＥＴＨＯＸＹ）ＰＨＯＳＰＨＩＮＯＴＨＩＯＹＬ）－ＴＨＩＯＬ）ＰＲＯＰＩＯＮＡＴＥを０．０１５質量％、グリコールを３８．６２８質量％、増粘剤を１６．１０質量％、その他添加剤を２．５６５質量％、水を４１．８９２質量％用い、これらを良く混合して水－グリコール系作動液を得た。この水－グリコール系作動液は、ＪＩＳ Ｋ ２２３４－１９９４により得られる予備アルカリ度が２０で、４０℃動粘度は４６ｍｍ２／ｓであった。
ダイマー酸を０．４００質量％、脂肪酸としてのラウリン酸を０．４００質量％、リン酸エステル（Ｂ）としてＥＴＨＹＬ－３（ＢＩＳ（１－ＭＥＴＨＹＬ ＥＴＨＯＸＹ）ＰＨＯＳＰＨＩＮＯＴＨＩＯＹＬ）－ＴＨＩＯＬ）ＰＲＯＰＩＯＮＡＴＥを０．０１５質量％、グリコールを３８．６２８質量％、増粘剤を１６．１０質量％、その他添加剤を２．５６５質量％、水を４１．８９２質量％用い、これらを良く混合して水－グリコール系作動液を得た。この水－グリコール系作動液は、ＪＩＳ Ｋ ２２３４－１９９４により得られる予備アルカリ度が２０で、４０℃動粘度は４６ｍｍ２／ｓであった。
【0024】
上記実施例２で使用したリン酸エステル（Ｂ）は下記の構造式で示されるものである。
（式中のRはエチル基である。）
【化4】
【0025】
（実施例３）
ダイマー酸を０．４００質量％、脂肪酸としてのラウリン酸を０．４００質量％、リン酸エステル（Ｂ）を０．０３０質量％、グリコールを３８．６２８質量％、増粘剤を１６．１０質量％、その他添加剤を２．５６５質量％、水を４１．８７７質量％用い、これらを良く混合して水－グリコール系作動液を得た。ＪＩＳ Ｋ ２２３４－１９９４により得られる予備アルカリ度が２０で、４０℃動粘度は４６ｍｍ２／ｓであった。
ダイマー酸を０．４００質量％、脂肪酸としてのラウリン酸を０．４００質量％、リン酸エステル（Ｂ）を０．０３０質量％、グリコールを３８．６２８質量％、増粘剤を１６．１０質量％、その他添加剤を２．５６５質量％、水を４１．８７７質量％用い、これらを良く混合して水－グリコール系作動液を得た。ＪＩＳ Ｋ ２２３４－１９９４により得られる予備アルカリ度が２０で、４０℃動粘度は４６ｍｍ２／ｓであった。
【0026】
（比較例１～５）
表２に示す配合量に基づいて各成分をよく混合し、上記実施例と同様にして水－グリコール系作動液を得た。比較例１～５の水－グリコール系作動液は、いずれもＪＩＳ Ｋ ２２３４－１９９４により得られる予備アルカリ度が２０で、４０℃動粘度は４６ｍｍ２／ｓであった。
表２に示す配合量に基づいて各成分をよく混合し、上記実施例と同様にして水－グリコール系作動液を得た。比較例１～５の水－グリコール系作動液は、いずれもＪＩＳ Ｋ ２２３４－１９９４により得られる予備アルカリ度が２０で、４０℃動粘度は４６ｍｍ２／ｓであった。
【0027】
［試験］
上記実施例及び比較例について耐摩耗性・潤滑性を評価するために以下の試験を行った。
（シェル四球試験）
ＡＳＴＭ Ｄ４１７２に準じて、主軸回転数を１５００回転／分、荷重を４０ｋｇｆ、室温にて３０分間の運転を実施し、試験後の鋼球の摩耗痕直径（ｍｍ）を測定した。
評価基準：摩耗痕直径が０.６５ｍｍ以下・・・・・・合 格（〇）
摩耗痕直径が０.６５ｍｍを超える・・・・不合格（×）
上記実施例及び比較例について耐摩耗性・潤滑性を評価するために以下の試験を行った。
（シェル四球試験）
ＡＳＴＭ Ｄ４１７２に準じて、主軸回転数を１５００回転／分、荷重を４０ｋｇｆ、室温にて３０分間の運転を実施し、試験後の鋼球の摩耗痕直径（ｍｍ）を測定した。
評価基準：摩耗痕直径が０.６５ｍｍ以下・・・・・・合 格（〇）
摩耗痕直径が０.６５ｍｍを超える・・・・不合格（×）
【0028】
（試験結果）
試験の結果を表１～２に示す。
試験の結果を表１～２に示す。
【0029】
（考察）
表１に示すように実施例１のダイマー酸の０.４０質量%とラウリン酸の０.４０質量%を併用（合計量で０.８０質量％）し、リン酸エステル（Ａ）を０.０１５質量％使用したものでは、シェル四球試験後の摩耗痕直径が０.４７ｍｍと小さく、優れた耐摩耗性・潤滑性を示していることが判る。
実施例２のものは、実施例１のリン酸エステル（Ａ）の代わりに同（Ｂ）を同量使用したもので、摩耗痕直径が０.５７ｍｍであってこれも結果が良好である。実施例３は、実施例２に比べてリン酸エステル（Ｂ）の含有量を２倍に増やしたものであり、摩耗痕直径が０.５２ｍｍと良化している。
表１に示すように実施例１のダイマー酸の０.４０質量%とラウリン酸の０.４０質量%を併用（合計量で０.８０質量％）し、リン酸エステル（Ａ）を０.０１５質量％使用したものでは、シェル四球試験後の摩耗痕直径が０.４７ｍｍと小さく、優れた耐摩耗性・潤滑性を示していることが判る。
実施例２のものは、実施例１のリン酸エステル（Ａ）の代わりに同（Ｂ）を同量使用したもので、摩耗痕直径が０.５７ｍｍであってこれも結果が良好である。実施例３は、実施例２に比べてリン酸エステル（Ｂ）の含有量を２倍に増やしたものであり、摩耗痕直径が０.５２ｍｍと良化している。
【0030】
一方、比較例１のように、ダイマー酸及びラウリン酸を使用しても、リン酸エステルが無ければシェル四球試験後の摩耗痕直径が０.７２ｍｍと不合格になってしまう。
比較例２、３のように、リン酸エステルが含まれていても、ダイマー酸とラウリン酸の合計量が少なければ良好な効果が得られていない。
また、比較例４～５のように、ダイマー酸とラウリン酸のどちらか一方が含有されていない場合には、リン酸エステルが０．０５質量％と増えても、好ましい効果が得られていないことが判る。
比較例２、３のように、リン酸エステルが含まれていても、ダイマー酸とラウリン酸の合計量が少なければ良好な効果が得られていない。
また、比較例４～５のように、ダイマー酸とラウリン酸のどちらか一方が含有されていない場合には、リン酸エステルが０．０５質量％と増えても、好ましい効果が得られていないことが判る。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】