(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】カッター装置及びプリンタ装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/22 20060101AFI20240815BHJP
B26D 1/08 20060101ALI20240815BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20240815BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
B26D7/22 A
B26D1/08
B26D7/06 Z
B41J11/70
(21)【出願番号】P 2020134014
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】502038842
【氏名又は名称】株式会社デジアイズ
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】及川 森夫
(72)【発明者】
【氏名】菊池 優太
(72)【発明者】
【氏名】山田 直史
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-176813(JP,A)
【文献】特開昭49-035509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/22
B26D 1/08
B26D 7/06
B41J 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の刃の少なくとも一方の刃を他方の刃に対して相対移動させることで、前記一対の刃の間に挿通された用紙を切断するカッター装置において、
前記少なくとも一方の刃が前記他方の刃から離間したときに、前記用紙の搬送方向において前記一対の刃の下流側の隙間に移動して、前記一対の刃の下流側へと移動する前記用紙を支持する支持部材を備え
、
前記支持部材は、前記少なくとも一方の刃の動作に応じて移動し、前記少なくとも一方の刃が前記他方の刃に近接したことを受けて前記隙間から下方へと退避し、前記少なくとも一方の刃が他方の刃から離間したときに前記隙間へと移動する、
ことを特徴とするカッター装置。
【請求項2】
一対の刃の少なくとも一方の刃を他方の刃に対して相対移動させることで、前記一対の刃の間に挿通された用紙を切断するカッター装置において、
前記少なくとも一方の刃
が前記他方の刃から離間
したときに、前記用紙の搬送方向において前記一対の刃の下流側の隙間に移動して、前記一対の刃の下流側へと移動する前記用紙を支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、水平方向に搬送される前記用紙の搬送面に対して、前記用紙の搬送方向における上流側端部が低く、前記用紙の搬送方向における下流側端部が略同一の高さとなるように、前記用紙の受け面が前記用紙の搬送方向における下流側に向けて上り傾斜した状態となるように配置される、
ことを特徴とするカッター装置。
【請求項3】
一対の刃の少なくとも一方の刃を他方の刃に対して相対移動させることで、前記一対の刃の間に挿通された用紙を切断し、前記少なくとも一方の刃が前記他方の刃から離間したとき
に、前記用紙の搬送方向において前記一対の刃の下流側の隙間
に移動
して、前記一対の刃の下流側へと移動する前記用紙を支持する支持部材を備えたカッター装置
を有する印刷対象物に印刷するプリンタ装置において、
前記一対の刃のうち、前記少なくとも一方の刃が前記他方の刃から離間したときに、前記一対の刃の間に挿通された後の印刷前又は印刷後の帯状の印刷対象物が前記カッター装置の下流側へと移動する過程で、前記支持部材により支持される、
ことを特徴とする
プリンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される用紙を所定の長さで切断するカッター装置及びプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送される感熱紙などの用紙に印字を行い、内蔵されたカッター装置により所定長さで用紙を切断するプリンタが提供されている。カッター装置は、固定刃と可動刃とを有し、可動刃を固定刃に向けて動かすことにより、固定刃と可動刃との間に挟まれた用紙を切断する。このような構造のカッター装置は、周囲に対して隙間を空けて配置されていることから、搬送される用紙の先端部が隙間に入り込みやすく、用紙詰まりの原因となる。
【0003】
カッター装置近傍での紙詰まりを防止する方法として、例えば固定刃を固定する筐体部に用紙を下方から支持する下側記録紙ガイドをカッター装置の下流側に配置し、筐体部と固定刃との間の隙間に用紙が入り込むことを防止する方法が考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この記録紙ガイドは、筐体部の外側に配置される外側ガイド部、筐体部と固定刃との間の領域に配置される内側ガイド部、及びこれらガイド部を支持する支持部とを有し、外側ガイド部及び内側ガイド部は、水平面となる構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、固定刃と内側ガイド部との間に可動刃が移動する領域が設けられていることから、用紙がロール状に巻かれたロール紙など、カールが強い場合には、上記領域に用紙の先端が入り込むことが想定され、用紙詰まり(ジャム)を発生させる要因となる。
【0007】
本発明は、カッター装置の近傍における用紙詰まりの発生を防止することができるようにしたカッター装置及びカッター装置を用いたプリンタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの観点によれば、本発明のカッター装置は、一対の刃の少なくとも一方の刃を他方の刃に対して相対移動させることで、前記一対の刃の間に挿通された用紙を切断するカッター装置において、前記少なくとも一方の刃が前記他方の刃から離間したときに、前記用紙の搬送方向において前記一対の刃の下流側の隙間に移動して、前記一対の刃の下流側へと移動する前記用紙を支持する支持部材を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に示すラベルプリンタ装置の主要構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1に示すラベルプリンタ装置の上面図、
図2(b)は、
図2(a)におけるA-A断面図である。
【
図3】
図3(a)は、カッター部の正面図、
図3(b)は、カッター部の側面図、
図3(c)は、カッター部の背面図、
図3(d)は、カッター部の上面図、
図3(e)は、
図3(c)におけるB-B断面図、
図3(f)は、
図3(d)におけるC-C断面図である。
【
図4】
図4(a)は、固定刃及び可動刃近傍の構成を示す正面図、
図4(b)は、固定刃及び可動刃近傍の構成を示す背面図である。
【
図5】ラベル生成時におけるカッター装置の動作の流れを示す断面図である。
【
図6】第2実施形態に示すラベルプリンタ装置の断面図である。
【
図7】
図7(a)は、カッター装置の外観構成を示す斜視図、
図7(b)は、用紙ガイドの構成を示す斜視図、
図7(c)は、
図7(b)に示す用紙ガイドを下方から見た斜視図である。
【
図8】ラベル生成時におけるカッター装置の動作の流れを示す断面図である。
【
図9】1つのローラを用いた用紙ガイドの一例を示す斜視図である。
【
図10】他の実施形態を示すカッター部近傍の構成を示す断面図である。
【
図11】ラベル材を筐体の発行口から発行するラベルプリンタ装置の構成を示す断面図である。
【
図12】用紙ガイドをラベル搬送部の搬送ベルトの搬送面よりも上方に配置した場合を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に示すラベルプリンタ装置の主要構成の一例を示す斜視図である。
図2(a)は、
図1に示すラベルプリンタ装置の上面図、
図2(b)は、
図2(a)におけるA-A断面図である。
【0011】
第1実施形態のラベルプリンタ装置10は、帯状のラベル用紙5を送り出す過程でラベル材5aを台紙5bから剥離し、剥離したラベル材5aを所定長に切断した後、ラベル材5aの一面に印字を行ってラベル材5aをラベルとして排出するものである。
【0012】
ラベルプリンタ装置10は、ロール保持部11、ラベル剥離部12、カッター部(請求項に記載のカッター装置に相当)13、ラベル搬送部14、印字部15、台紙回収部16を含む。なお、
図1においては、ラベルプリンタ装置10の内部の構造を示しているが、ラベルプリンタ装置10の各構成は、図示を省略した筐体の内部に収納される。
【0013】
ロール保持部11は、保持軸21,22及び駆動モータ23を有する。保持軸21は固定フレーム24に、保持軸22は可動フレーム25に固定される。保持軸21,22は、同軸となるように、各フレームに固定される。
【0014】
ロール保持部11は、例えば操作ハンドル26の回転操作により、可動フレーム25を固定フレーム24に向けて近接する方向に、又は可動フレーム25を固定フレーム24から離間する方向のいずれかの方向に移動できる構造となっている。例えば用紙ロールRをロール保持部11にセットする場合、操作ハンドルの一方向における回転により、可動フレーム25が固定フレーム24から離間する方向に移動する。したがって、保持軸22の先端と保持軸21の先端との距離が、用紙ロールRの厚み以上となるときに、操作ハンドル26の回転操作を停止する。保持軸21と保持軸22との間に用紙ロールRを挿入した後、操作ハンドル26を逆方向に回転操作させる。操作ハンドル26を逆方向に回転操作すると、可動フレーム25が固定フレーム24に向けて移動する。つまり、ロール保持部11に用紙ロールRを設置すると、用紙ロールRは、保持軸21,22により挟持される。
【0015】
駆動モータ23は、保持軸21を回転させる。ロール保持部11に設置される用紙ロールRは、保持軸21,22に挟持されている。駆動モータ23は、保持軸21を回転させることで、ロール保持部11の保持軸21及び保持軸22に挟持された用紙ロールRを回転させ、用紙ロールRの外周面側に位置するラベル用紙5をラベル剥離部12へと送り出す。なお、ラベル用紙5は、テンションローラ27、ローラ28の順で巻き掛けられる。したがって、用紙ロールから送り出されるラベル用紙は、下向きにばね付勢されるテンションローラ27により張力が付加される。
【0016】
ラベル剥離部12は、給紙ローラ対31、折返しローラ32を有する。給紙ローラ対31は、上下方向に配置された2つの給紙ローラ31a,31bを含む。2つの給紙ローラ31a,31bは、駆動モータ33の駆動時に各々回転し、挟み込んだラベル用紙5をカッター部13に向けて送り出す。折返しローラ32は、カッター部13に向けて送り出されたラベル用紙5を斜め下方に折り返す。折返しローラ32によりラベル用紙5が折り返されることで、ラベル材5aが台紙5bから剥離する。ラベル材5aが台紙5bから剥離されると、ラベル材5aはカッター部13に向けて移動し、台紙5bは台紙回収部16に向けて移動する。
【0017】
カッター部13は、台紙5bから剥離したラベル材5aを予め設定された長さに切断する。詳細は省略するが、カッター部13は、詳細は後述するが、固定刃51と可動刃52とを有し、可動刃52を固定刃51に向けて移動させることで、固定刃51と可動刃52との間に入り込んだラベル材5aを切断するものである。
【0018】
ラベル搬送部14は、カッター部13により切断されたラベル材5aを印字部15に向けて搬送する。ラベル搬送部14は、プーリ35,36、搬送ベルト37、押さえローラ39,40を有する。プーリ35,36のうち、プーリ35は、図示を省略した駆動モータの駆動時に回転して、プーリ35,36に巻き掛けた搬送ベルト37の上面側のベルト部分を引き込み、プーリ35の外周面に巻き掛けたベルト部分をプーリ36に向けて送り出す。プーリ36は、プーリ35の回転に伴う搬送ベルト37の移動に伴って回転する。したがって、プーリ35が駆動プーリ、プーリ36が従動プーリとして機能する。
【0019】
搬送ベルト37の上面側のベルト部分は、所定間隔で配置されたローラ41a,41b,41c,41dにより、搬送ベルト37の内周面側から支持される。図示は省略するが、ローラ41a,41b,41c,41dは、鉛直方向における最頂点の位置がプーリ35,36の最頂点の位置よりも上方となるように配置される。このようにローラ41a,41b,41c,41dを配置することで、搬送ベルト37が経年劣化し、搬送ベルト37の幅方向における両端部が上方に浮き上がるように反った場合であっても、搬送ベルト37の走行方向における弛みを防止し、搬送ベルト37に張力が付与された状態を保持することができる。
【0020】
搬送ベルト37は、プーリ35の回転により、プーリ35,36に巻き掛けられる搬送ベルト37の上面側のベルト部分が印字部15に向けて走行する。このとき、カッター部13にて切断されたラベル材5aは、搬送ベルト37の外周面(搬送面)に貼付された状態で印字部15に向けて搬送される。そして、印字部15において印字がされたラベル材は、搬送ベルト37の外周面から剥離されて排出される。したがって、搬送ベルト37は、貼付したラベル材5aを剥離できる材質で製造される。なお、搬送ベルト37は、貼付したラベル材5aを剥離できるような表面加工を外周面に施すことも可能である。
【0021】
なお、搬送ベルト37は、ラベル材5aの幅よりも広いベルト幅を有する1本の無端ベルトとしてもよいし、ラベル材5aの幅よりも狭いベルト幅を有する無端ベルトを複数本並置してもよい。例えばラベル材5aの幅よりも狭いベルト幅を有する無端ベルトを複数本並置した場合、1本の幅広な無端ベルトを用いたときに比べて、ラベル材5aの貼着面積が少なくなるので、ラベル材5aを搬送ベルト37から剥離しやすくなる。
【0022】
押さえローラ39は、プーリ36の上方に位置して、カッター部13にて切断されたラベル材5aを搬送ベルト37の上面に向けて押圧する。同様に、押さえローラ40は、ローラの上方に位置して、搬送ベルト37の走行により搬送されるラベル材5aを搬送ベルト37の上面に向けて押圧する。
【0023】
印字部15は、搬送ベルト37の走行により搬送されるラベル材5aの上面に印刷(印字)を行う。印字部15は、一例として、インクリボンに塗布されたインクを熱で溶かして転写するサーマルヘッドを含む。
【0024】
台紙回収部16は、ラベル剥離部12の下方で、且つロール保持部11の近傍に配置される。台紙回収部16は、折返しローラ32で折り返された台紙5bが内部に送り込まれる。台紙回収部16の内部に送り込まれた台紙5bは、内部でロール状に巻回され、一定の巻回量になると、図示を省略した回収口から回収される。
【0025】
次に、カッター部13の構成について
図3及び
図4を用いて説明する。
図3(a)はカッター部の正面図、
図3(b)はカッター部の側面図、
図3(c)は、カッター部の背面図、
図3(d)は、カッター部の上面図、
図3(e)は、
図3(c)におけるB-B断面図、
図3(f)は、
図3(d)におけるC-C断面図である。また、
図4(a)は、固定刃及び可動刃近傍の構成を示す正面図、
図4(b)は、固定刃及び可動刃近傍の構成を示す背面図である。
【0026】
図3及び
図4に示すように、カッター部13は、固定刃51、可動刃52、用紙ガイド53、スライド板54、ウォームホイール55、駆動モータ56、ウォームギヤ57、本体枠58、保持枠59を含む。ここで、固定刃51と可動刃52は、請求項に記載の一対の刃に相当する。また、用紙ガイド53は、請求項に記載の支持部材に相当する。
【0027】
固定刃51は、本体枠60の固定片60bに固定される。固定刃51は、例えば、幅方向に延びる刃先を有する。
【0028】
可動刃52は、スライド板54の両面のうち、固定刃51側の面54aに固定され、スライド板54の下方向のスライド時に、固定刃51に向けて移動して、固定刃51との間に挿通されたラベル材5aを切断する。可動刃52は、例えば、幅方向における両端部から中央部に向けて傾斜した谷形形状の刃先を有する。なお、可動刃52の刃先形状は、幅方向における両端部から中央部に向けて傾斜した谷形形状に限定する必要はなく、幅方向における一端側から他端側に向けて傾斜した刃先であってもよい。
【0029】
用紙ガイド53は、スライド板54の可動刃52が固定される面54aとは反対側の面54bに固定される。用紙ガイド53は、固定刃51及び可動刃52との間に挿通されたラベル材5aの先端を受け止める。
【0030】
なお、用紙ガイド53をスライド板54に固定しているが、用紙ガイド53とスライド板54とを一体に形成してもよい。また、この他に、用紙ガイド53と、可動刃52とを一体としてもよい。
【0031】
用紙ガイド53は、ガイド本体53aと、舌片53b,53cとを有する。ガイド本体53aは、長方形状をしており、上面がラベル材5aの先端を下方から支持する。ここで、ラベル材5aは、裏面に粘着層を有している。したがって、用紙ガイド53は、貼り付かないように微小な粗さを持たせるか、コーティング等の非粘着処理を施している。
【0032】
舌片53b,53cは、用紙ガイド53をスライド板54に固定する際に、不図示のねじ等によってスライド板54に固定される。舌片53b,53cは、ガイド本体53aの長手方向における両端部から同一方向に突出し、ガイド本体53aに対して同一方向に折り曲げられている。舌片53b,53cは、ガイド本体53aと舌片53b,53cとなす角度が、例えば80~90°となるように折り曲げられる。第1実施形態におけるラベル材5aは水平方向に搬送されるものであり、用紙ガイド53をスライド板54に固定すると、ガイド本体53aは、ラベル材5aの搬送方向における上流側端部がラベル材5aの搬送面よりも低く、ラベル材5aの搬送方向における下流側端部がラベル材5aの搬送面と略同一の高さとなるように、ラベル材5aの搬送方向において下流側に向けて上り傾斜した状態で配置される。
【0033】
なお、用紙ガイド53のガイド本体53aの下流側端部は、カッター部13がラベルプリンタ装置10に組み付けられたときに、例えばラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面と同一の高さ、またはラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面よりも高い位置に配置される。なお、
図5においては、用紙ガイド53のガイド本体53aの下流側端部は、例えばラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面と同一の高さとなる場合を示している。
【0034】
スライド板54は、可動刃52を面54aに、用紙ガイド53を面54bに各々固定する。スライド板54は、スライド板54の幅方向に延出される長孔54cを有する。スライド板54は、長孔54cにウォームホイール55に固定されるクランクピン61が挿通された状態で、クランクピン61に保持される。ここで、長孔54cの長手方向における長さは、少なくとも、ウォームホイール55が回転したときに、スライド板54の幅方向におけるクランクピン61の移動長、又は該移動長よりも若干長く設定される。
【0035】
ウォームホイール55は、保持枠59に軸支される。ウォームホイール55は、ウォームギヤ57に噛合する。ウォームホイール55は、クランクピン61を面56aに固着する。クランクピン61が固着される位置は、ウォームホイール55の回転中心から所定長ずれた位置である。なお、ウォームホイール55は挿通孔55aにブッシュ62を挿通した状態でねじ63により保持枠59に軸着される。
【0036】
クランクピン61は、スライド板54に設けた長孔54cに挿通される。クランクピン61は、ウォームホイール55の回転とともに回転し、挿通されたスライド板54の長孔54cの内周面を上方向、又は下方向に押圧する。この押圧により、スライド板54が上方向又は下方向に移動する。したがって、スライド板54に固定される可動刃52及び用紙ガイド53も、上方向、又は下方向に移動する。以下、クランクピン61の回転軌跡において、クランクピン61が最も高い位置にあるときの可動刃52の位置を上限位置、最も低い位置にあるときの可動刃52の位置を下限位置と称する。
【0037】
駆動モータ56は、可動刃52を上下方向に移動させるアクチュエータとして機能する。ウォームギヤ57は、駆動モータ56の回転軸に固定され、駆動モータ56の駆動力をウォームホイール55に伝達する。
【0038】
本体枠58は、幅方向における両端部及び上下方向における上端部が、ラベル材5aの搬送方向における下流側に向けて折り曲げられた板部材である。本体枠58は、ラベル材5aが挿通される挿通孔58aを有する。また、本体枠58は、挿通孔58aの下方には、ラベル材5aの搬送方向における下流側で固定刃51を固定する固定部58bを有する。固定部58bの上端部は、折返しローラ32側に折り曲げられている。固定部58bの上端部の、折返しローラ32側に折り曲げられた部分は、カッター部13に向けて搬送するラベル材5aの先端を支持するガイド部58cとして機能する。
【0039】
保持枠59は、ウォームホイール55を軸支する他、駆動モータ56を保持した状態で、本体枠58に固定される。保持枠59を本体枠58に固定した状態では、クランクピン61に保持されるスライド板54は、本体枠58の折り曲げられた壁部58d,58eの間に位置する。したがって、スライド板54は、クランクピン61が回転したときに、本体枠58の壁部58d,58eによってスライド板54の幅方向における移動が規制されて、上下方向に移動する。
【0040】
次に、カッター部13の動作について、
図5を用いて説明する。
図5(a)に示すように、用紙ロールRから送り出されたラベル用紙5は、折返しローラ32に巻き掛けられることで、ラベル材5aが台紙5bから剥離する。台紙5bから剥離したラベル材5aは、カッター部13に向けて搬送される。このとき、カッター部13において、可動刃52が上限位置で停止している。したがって、本体枠58の挿通孔58aは開口されている。また、用紙ガイド53は、ラベル材5aの搬送方向における固定刃51及び可動刃52と、ラベル搬送部14との隙間を埋めるように保持される。
【0041】
カッター部13に向けて搬送されるラベル材5aは、ラベル材5aの先端がガイド部58cに支持されながら、ガイド部58cの上面を摺接しながら移動した後、カッター部13の本体枠58の挿通孔58aを通過する。
【0042】
図5(b)に示すように、ラベル材5aの先端部分は、折返しローラ32からの距離が長くなるにしたがって、折返しローラ32を支点として自重により下方へと湾曲していく。下方へと湾曲するラベル材5aの先端は、スライド板54に固定された用紙ガイド53のガイド本体53aに支持される。その後、ラベル材5aの先端は、用紙ガイド53のガイド本体53aに摺接しながらラベル搬送部14に向けて移動する。ここで、用紙ガイド53のガイド本体53aは、ラベル材5aの搬送方向における上流側端部がラベル材5aの搬送面よりも低く、ラベル材5aの搬送方向における下流側端部がラベル材5aの搬送面と略同一の高さとなるように、ラベル材5aの搬送方向において下流側に向けて上り傾斜している。したがって、ラベル材5aの先端は、用紙ガイド53のガイド本体53aに摺接されながら移動する過程で、ラベル搬送部14の搬送面と同一の高さまで上昇する。
用紙ガイド53のガイド本体53aへの摺接が解除されると、ラベル材5aの先端は下方に移動し、ラベル搬送部14の搬送ベルト37に乗り上げる(
図5(c)参照)。このとき、ラベル搬送部14は駆動しており、搬送ベルト37は走行している。したがって、搬送されるラベル材5aは、先端から徐々に搬送ベルト37に乗り上げていき、ラベル材5aの先端は、搬送ベルト37と押さえローラ39との間で挟持される(
図5(d)参照)。
【0043】
ラベル材5aが所定長さ搬送されると、用紙ロールRからのラベル用紙5及びラベル搬送部14の駆動が停止される。これを受けて、カッター部13が駆動する。詳細には、駆動モータ56が駆動し、ウォームギヤ57が回転する。ウォームギヤ57の回転により、ウォームギヤ57に噛合するウォームホイール55が回転する。ウォームホイール55が回転すると、ウォームホイール55に固定されるクランクピン61が回転し、スライド板54が下方に移動する。スライド板54の下方への移動により、可動刃52及び用紙ガイド53が下方に移動する。これにより、可動刃52が上限位置から下限位置へと移動する(
図5(e)参照)。可動刃52の下限位置へ移動する過程で、固定刃51と可動刃52との間に位置するラベル材5aが切断される。
【0044】
スライド板54は、クランクピン61の回転運動により、下方へ移動した後、上方へ移動する。したがって、下限位置まで移動した可動刃52は、上方に、すなわち、上限位置に向けて移動する。可動刃52が上限位置まで移動すると、駆動モータ56の回転が停止される。同時に、ラベル搬送部14が駆動して、ラベル材5aの切断された部分を印字部15に向けて搬送する。このとき、
図5(f)に示すように、切断されたラベル材5aの後端側は、用紙ガイド53に支持される。
【0045】
上記構成によれば、送り出されるラベル材5aの先端は、カッター部13の本体枠58の挿通孔58a、及び固定刃51と可動刃52との隙間に挿通されると、固定刃51とラベル搬送部14との隙間に位置する用紙ガイド53により下方から支持されながら、ラベル搬送部14に向けて搬送される。したがって、カッター部13の下流側において、カッター部13と、ラベル搬送部14との隙間にラベル材5aの先端が入り込むことが防止され、カッター部13の下流側でのラベル材5aの詰まり(ジャム)の発生が防止できる。
【0046】
また、折返しローラ32から送り出されるラベル材5aは、カッター部13の本体枠58に設けたガイド部58cに乗り上げる。したがって、ラベル材5aが折返しローラ32とカッター部13との隙間に入り込むことが防止され、カッター部13の上流側でのラベル材5aの詰まりの発生が防止できる。
【0047】
また、可動刃52が上端位置にあるとき、用紙ガイド53のガイド本体53aは、下流側端部がカッター部13の下流側に配置されるラベル搬送部14の搬送面と略同一の高さとなるように配置される。例えばラベル材5aの先端が用紙ガイド53のガイド本体53aから外れると、下方に移動するラベル材5aの先端は下方に移動し、ラベル搬送部14の搬送ベルト37の上流側端部に受け止められる。したがって、ラベル材5aの先端は、用紙ガイド53とラベル搬送部14との間に入り込むことはなく、ラベル搬送部14によって搬送される。したがって、ラベル材5aが用紙ガイド53とラベル搬送部14との間に入り込むことで、ラベル材5aによる詰まりの発生を防止することができる。
【0048】
第1実施形態では、可動刃52を固定したスライド板54に用紙ガイド53を設け、スライド板54の上下方向の移動に合わせて移動させるようにしているが、用紙ガイド53は、可動刃52に直接固定してもよい。
【0049】
第1実施形態では、ガイド本体53aと舌片53b,53cとを有する用紙ガイド53を用いてラベル材5aの先端を下方から支持することで、カッター部13の下流側での詰まりの発生を防止しているが、用紙ガイド53の構成は、第1実施形態に示した用紙ガイド53に限定されるものではない。以下、複数のローラユニットを配置した用紙ガイドを用いる場合について説明する。
【0050】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態に示すラベルプリンタ装置70において、第1実施形態に示すラベルプリンタ装置10と同一の構成については説明を省略し、また、第1実施形態と同一の符号を付すものとする。
【0051】
図6に示すように、第2実施形態に示すラベルプリンタ装置70は、ロール保持部11、ラベル剥離部12、ラベル搬送部14、印字部15、台紙回収部16の他、カッター部71を含む。なお、ラベルプリンタ装置70も、第1実施形態に示すラベルプリンタ装置10と同様に、帯状のラベル用紙5を送り出す過程でラベル材5aを台紙5bから剥離し、剥離したラベル材5aを所定長に切断した後、ラベル材5aの一面に印字を行ってラベル材5aをラベルとして排出するものである。
【0052】
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、カッター部71は、第1実施形態に示すカッター部13と同様に、固定刃51、可動刃52、スライド板54、ウォームホイール55、駆動モータ56、ウォームギヤ57、本体枠58、保持枠59を有する他、用紙ガイド72を有する。
【0053】
用紙ガイド72は、支持フレーム73、保持レール74,75及びローラユニット76を含む。支持フレーム73は、舌片73a,73b及び保持片73c,73dを有する。舌片73a,73bは、不図示のねじなどによりスライド板54に固定される。第2実施形態におけるラベル材5aは、第2実施形態と同様に、水平方向に搬送されるものであり、用紙ガイド72をスライド板54に固定すると、各ローラユニットにおける搬送面は、ラベル材5aの搬送方向における上流側端部がラベル材5aの搬送面よりも低く、ラベル材5aの搬送方向における下流側端部がラベル材5aの搬送面と略同一の高さとなるように、ラベル材5aの搬送方向において下流側に向けて上り傾斜した状態となる。
【0054】
なお、ローラユニット76に配置されるローラ77のうち、最も下流側に配置される77の最頂点は、カッター部71がラベルプリンタ装置70に組み付けられたときに、例えばラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面と同一の高さ、またはラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面よりも高い位置に配置される。なお、第2実施形態では、ローラユニット76に配置されるローラ77のうち、最も下流側に配置される77の最頂点は、例えばラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面と同一の高さとなる場合を示している。
【0055】
保持片73c,73dは、保持レール74,75が平行となるように、これら保持レール74,75の延出方向の両端部を保持する。ローラユニット76は、ローラ77及びユニット本体78を有する。この実施形態では、3つのローラ77を用いた場合を説明するが、ローラ77の数は1以上であればよい。ローラ77は、外周面の断面形状が山形形状のローラや、外周面に非粘着処理を施したローラである。
【0056】
ユニット本体78は、保持レール74,75に跨って配置される。ユニット本体78は、3つのローラ77のうち、2つのローラ77を、ラベル材5aの搬送方向に並置した状態で軸支し、また、残り1つのローラ77を、並置した2つのローラ77の回転軸の間に回転軸が位置し、且つユニット本体78の幅方向において、並置した2つのローラ77の位置からずれた位置で軸支する。
【0057】
なお、ローラユニット76は、ラベル材5aの幅方向における中央部分の2か所と、ラベル材5aの幅方向における両端部近傍の計4か所に、一定間隔を空けて配置される。
【0058】
次に、ローラユニット76を有する用紙ガイド72を用いたカッター部71の動作について、
図8を用いて説明する。
図8(a)に示すように、用紙ロールRから送り出されたラベル用紙5は、折返しローラ32に巻き掛けられることで、ラベル材5aが台紙5bから剥離する。台紙5bから剥離したラベル材5aは、カッター部13に向けて搬送される。このとき、カッター部71において、可動刃52が上限位置で停止している。したがって、本体枠58の挿通孔58aは開口されている。
【0059】
カッター部71に向けて搬送されるラベル材5aは、ラベル材5aの先端がガイド部58cに支持されながら、ガイド部58cの上面を摺接しながら移動した後、カッター部71の本体枠58の挿通孔58aを通過する。
【0060】
図8(b)に示すように、ラベル材5aの先端部分は、折返しローラ32からの距離が長くなるにしたがって、折返しローラ32を支点として自重により下方へと湾曲していく。ラベル材5aの先端は、スライド板54に固定された用紙ガイド72の各ローラユニット76に支持される。搬送されるラベル材5aの先端は、ローラユニット76の各ローラ77に受け渡されながら各ローラに支持されて、ラベル搬送部14に向けて移動する。このとき、ラベル材5aの先端を支持するローラ77は搬送されるラベル材5aによって回転する。
【0061】
ラベル材5aの先端に対する、ローラユニット76の最も下流側に位置するローラ77の支持が解除されると、ラベル材5aの先端は下方に移動し、ラベル搬送部14の搬送ベルト37に下方から支持される(
図8(c)参照)。このとき、ラベル搬送部14は駆動しており、搬送ベルト37は走行している。したがって、搬送されるラベル材5aは、先端から徐々に搬送ベルト37に乗り上げていき、ラベル材5aの先端は、搬送ベルト37と押さえローラ39との間で挟持される(
図8(d)参照)。
【0062】
ラベル材5aが所定長さ搬送されると、用紙ロールRからのラベル用紙5及びラベル搬送部14の駆動が停止される。これを受けて、カッター部71が駆動する。詳細には、駆動モータ56が駆動し、ウォームギヤ57が回転する。ウォームギヤ57の回転により、ウォームギヤ57に噛合するウォームホイール55が回転する。ウォームホイール55が回転すると、ウォームホイール55に固定されるクランクピン61が回転し、スライド板54が下方に移動する。スライド板54の下方への移動により、可動刃52及び用紙ガイド72が下方に移動する。その結果、可動刃52が上限位置から下限位置へと移動する(
図8(e)参照)。可動刃52の下限位置へ移動する過程で、固定刃51と可動刃52との間に位置するラベル材5aが切断される。
【0063】
スライド板54は、クランクピン61の回転運動により、下方へ移動した後、上方へ移動する。したがって、下限位置まで移動した可動刃52は、上方に、すなわち、上限位置に向けて移動する。
図8(f)に示すように、可動刃52が上限位置まで移動すると、駆動モータ56の回転が停止される。同時に、ラベル搬送部14が駆動して、ラベル材5aの切断された部分を印字部15に向けて搬送する。このとき、用紙ガイド72は、固定刃51とラベル搬送部14との隙間に入り込んだ状態である。したがって、切断されたラベル材5aの後端側は、用紙ガイド72のローラユニット76の各ローラ77に受け渡されながら支持される。
【0064】
この場合も、第1実施形態におけるカッター部13と同様にして、カッター部71の近傍でラベル材5aの詰まりの発生を防止できるという作用効果を得ることができる。
【0065】
第2実施形態では、ローラユニット76を複数配置した用いた用紙ガイド72について説明しているが、ローラユニット76を複数用いるのではなく、
図9に示すように、ローラ90と、該ローラ90を軸支する支持フレーム91とから用紙ガイド92を構成することも可能である。
図9では、1つのローラ90を用いた用紙ガイド92を例示するが、複数のローラをラベル材の搬送方向に並置した用紙ガイドを用いてもよい。
【0066】
<他の実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態では、可動刃を移動させるスライド板に用紙ガイドを設けたカッター部について説明しているが、用紙ガイドは、カッター部のスライド板に設ける必要はない。例えば、カッター部95の下方に、ガイド部材96を設ける。このガイド部材96は、図示を省略したばねにより、上面が水平面となる水平状態に付勢される(
図10(a)参照)。ここで、ガイド部材96の表面は、ラベル材5aが貼り付かないように微小な粗さを持たせるか、コーティング等の非粘着処理を施している。
【0067】
可動刃97が下限位置へと移動する際に、ガイド部材96は、可動刃97又は可動刃97に設けた押圧片(図示省略)によって押圧され、所定の角度回動し、回動した後、その状態で保持される(
図10(b)参照)。そして、可動刃97が下限位置から上限位置へと移動すると、ガイド部材96は、ばね付勢によって、水平状態に復帰する。
【0068】
この場合も、可動刃97が移動しない場合には、固定刃98とラベル搬送部14との間に、水平状態にばね付勢されたガイド部材96が保持されるので、固定刃98とラベル搬送部14との隙間にラベル材5aが入り込むことを防止でき、ラベル材5aによる詰まりの発生を防止することができる。
【0069】
また、可動刃97が移動したときには、ガイド部材96は所定の角度回動した状態で保持されるので、ラベル材5aがガイド部材96に接地される面積を最小限に抑えることができる。その結果、ラベル材5aが、ガイド部材96に貼着することによるつまりの発生を防止できる。
【0070】
第1及び第2実施形態では、固定刃51に対して可動刃52を移動させて用紙を切断するカッター部を例示しているが、2枚の刃を各々相対移動させて用紙を切断するカッター部としてもよい。
【0071】
第1及び第2実施形態では、可動刃52が上限位置に移動すると、可動刃52は、固定刃51から完全に離れ、固定刃51に接触していない状態となる。しかしながら、可動刃52が上限位置に移動したとき、可動刃52の幅方向における両端部と、固定刃51の両端部とが接触した状態であってもよい。また、可動刃の刃先が、幅方向における一端側から他端側に向けて斜めに傾斜する形状の場合、可動刃が上限位置にあるとき、可動刃の刃先が固定刃の刃先から離れていてもよいし、可動刃の刃先の一部が固定刃の刃先と接触した状態であってもよい。
【0072】
また、第1及び第2実施形態では、可動刃52が固定刃51へと近接する方向に、すなわち、可動刃52が上限位置から下限位置に向けて移動する過程で、可動刃52の刃先と固定刃51の刃先とが接触して、固定刃51の刃先と可動刃52の刃先との隙間に挿通されたラベル材5aが切断される場合を例示している。しかしながら、可動刃52が固定刃51から離間する方向に、すなわち、下限位置から上限位置へと移動したときに、可動刃52の刃先と固定刃51の刃先とが接触して、固定刃51の刃先と可動刃52の刃先との隙間に挿通されたラベル材5aが切断されるようにしてもよい。
【0073】
第1及び第2実施形態では、ラベル材5a及び台紙5bを有するラベル用紙5を用紙ロールRから送り出し、台紙5bから剥離したラベル材5aを切断した後、印字するラベルプリンタ装置を例に挙げて説明している。しかしながら、第1実施形態に開示されるカッター部の構成や、第2実施形態に開示されるカッター部の構成を用いる装置は、ラベルプリンタ装置10に限定されるのではなく、例えば、レシート等を発行するプリンタ装置に用いることが可能である。
【0074】
また、台紙5bから剥離したラベル材5aを切断した後、切断したラベル材5aに印字を行うラベルプリンタ装置を一例として取り上げていることから、ラベル材5aの搬送方向において、カッター部は、印字部15の上流側に配置される。しかしながら、カッター部の位置は、印字部の上流側に限定されるものではなく、印字部の下流側に配置し、印字部による印字後のラベル材5aを切断し、切断したラベル材5aを下流側に搬送するラベルプリンタ装置でもよい。
【0075】
また、
図11に示すように、印字部の下流側にカッター部を配置する構成としては、例えば筐体101に設けた発行口102から、切断したラベル材5aを発行するラベルプリンタ装置100であってもよい。なお、
図11においては、第1実施形態に示すカッター部13を、筐体101の内部に設けた場合を例示している。この場合、用紙ガイド53のガイド本体53aの下流側端部の位置が、発行口102よりも高い位置となるようにカッター部13を配置すればよい。
【0076】
第1実施形態では、用紙ガイド53のガイド本体53aの下流側端部と、ラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面とを同一の高さとしている。しかしながら、
図12に示すように、用紙ガイド53のガイド本体53aの下流側端部の位置を、ラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面の位置よりも高くなるように、カッター部13を配置することも可能である。例えばラベル材5aは、用紙ロールRの巻回方向の巻き癖が付いている場合もある。したがって、用紙ロールRの巻回方向の巻き癖を考慮して、用紙ガイド53のガイド本体53aの下流側端部がラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面の位置よりも高くようにカッター部13を配置する。これによれば、カッター部13の下流側で、用紙詰まりの発生が低減される。
【0077】
この場合、ラベル材5aに巻き癖が付いていない場合には、ラベル材5aは、水平方向に移動する。その結果、ラベル材5aは、カッター部13の下流側で意図しない方向に移動し用紙詰まりを発生させる原因となる。したがって、
図12の二点鎖線で示す位置に、ガイド板103を設ける。ガイド板103は、ラベル材5aの先端に当接され、ラベル材5aの搬送方向をラベル搬送部14の搬送ベルト37へと変更させる。これによれば、ラベル材5aの先端が、ラベル搬送部14の搬送ベルト37に向けて確実に搬送される。
【0078】
また、第2実施形態も同様にして、用紙ガイド72のローラユニット76に配置されるローラ77のうち、最も下流側に配置されるローラ77の最頂点が、ラベル搬送部14の搬送ベルト37の搬送面よりも高くなるように、カッター部71を配置することも可能である。
【0079】
<実施形態の総括>
本発明は、搬送される用紙を所定の長さで切断するカッター装置及びプリンタ装置に関する。
【0080】
従来では、例えば固定刃と内側ガイド部との間に可動刃が移動する領域が設けられていることから、用紙がロール状に巻かれたロール紙など、カールが強い場合には、上記領域に用紙の先端が入り込むことが想定され、用紙詰まり(ジャム)を発生させる要因となる。
【0081】
本発明は、カッター装置の近傍における用紙詰まりの発生を防止することができるようにしたカッター装置及びカッター装置を用いたプリンタ装置を提供することを目的とする。
【0082】
本発明の一態様は、一対の刃の少なくとも一方の刃を他方の刃に対して相対移動させることで、前記一対の刃の間に挿通された用紙を切断するカッター装置において、前記少なくとも一方の刃が前記他方の刃から離間したときに、前記用紙の搬送方向において前記一対の刃の下流側の隙間に移動して、前記一対の刃の下流側へと移動する前記用紙を支持する支持部材を備えたカッター装置である。
【0083】
上記構成によれば、送り出されるラベル材5aの先端は、カッター部13の本体枠58の挿通孔58a、及び固定刃51と可動刃52との隙間に挿通されると、固定刃51とラベル搬送部14との隙間に位置する用紙ガイド53により下方から支持されながら、ラベル搬送部14に向けて搬送される。したがって、カッター部13の下流側において、カッター部13と、ラベル搬送部14との隙間にラベル材5aの先端が入り込むことが防止され、カッター部13の下流側でのラベル材5aの詰まり(ジャム)の発生が防止できる。
【0084】
また、前記支持部材は、前記少なくとも一方の刃の動作に応じて移動することを特徴とする。
【0085】
また、用紙ガイド53は、可動刃52が上限位置にあるときには、固定刃51とラベル搬送部14との隙間に入り込んだ状態で保持され、可動刃52が上限位置から下限位置へと移動したときには、該隙間から退避する。ラベル材5aが搬送される場合、ラベル材5aの先端は用紙ガイド53によって摺接されながら移動する。つまり、ラベル材5aの先端は、用紙ガイド53により下方から支持されながら搬送される。その一方で、可動刃52が上限位置から下限位置へと移動したときには、ラベル材5aの先端は、ラベル搬送部14の搬送ベルト37と押さえローラ39との間で挟持される。このとき、ラベル材5aが用紙ガイド53により下方から支持されていると、ラベル材5aが用紙ガイド53に貼着される恐れがある。したがって、可動刃52が下限位置へと移動したときに、用紙ガイド53も退避することで、ラベル材5aが用紙ガイド53に貼着されて、ラベル材5aの詰まりを防止することができる。
【0086】
この場合、前記支持部材は、前記少なくとも一方の刃が前記他方の刃に近接したことを受けて前記隙間から下方へと退避し、前記少なくとも一方の刃が他方の刃から離間したときに前記隙間へと移動することを特徴とする。
【0087】
また、用紙ガイド53は、可動刃52が上限位置にあるときには、固定刃51とラベル搬送部14との隙間に入り込んだ状態で保持され、可動刃52が上限位置から下限位置へと移動したときには、該隙間から退避する。ラベル材5aが搬送される場合、ラベル材5aの先端は用紙ガイド53によって摺接されながら移動する。つまり、ラベル材5aの先端は、用紙ガイド53により下方から支持されながら搬送される。その一方で、可動刃52が上限位置から下限位置へと移動したときには、ラベル材5aの先端は、ラベル搬送部14の搬送ベルト37と押さえローラ39との間で挟持される。このとき、ラベル材5aが用紙ガイド53により下方から支持されていると、ラベル材5aが用紙ガイド53に貼着される恐れがある。したがって、可動刃52が下限位置へと移動したときに、用紙ガイド53も退避することで、ラベル材5aが用紙ガイド53に貼着されて、ラベル材5aの詰まりを防止することができる。
【0088】
また、前記支持部材は、水平方向に搬送される前記用紙の搬送面に対して、前記用紙の搬送方向における上流側端部が低く、前記用紙の搬送方向における下流側端部が略同一の高さとなるように、前記用紙の受け面が前記用紙の搬送方向における下流側に向けて上り傾斜した状態となるように配置されることを特徴とする。
【0089】
上記構成によれば、用紙ガイド53のガイド本体53aがラベル材5aを下方から支持したときに、摺接されるラベル材5aの接地面積を極力抑え、ラベル材5aが用紙ガイド53のガイド本体53aに貼着されることを防止できる。
【0090】
また、本発明の一態様は、上記記載のカッター装置を有し、印刷対象物に印刷するプリンタ装置において、前記一対の刃のうち、少なくとも一方の刃が前記他方の刃から離間したときに、前記一対の刃の間に挿通された後の印刷前又は印刷後の帯状の印刷対象物が前記カッター装置の下流側へと移動する過程で、前記支持部材により支持されるプリンタ装置である。
【0091】
上記構成によれば、送り出されるラベル材5aの先端は、カッター部13の本体枠58の挿通孔58a、及び固定刃51と可動刃52との隙間に挿通されると、固定刃51とラベル搬送部14との隙間に位置する用紙ガイド53により下方から支持されながら、ラベル搬送部14に向けて搬送される。したがって、カッター部13の下流側において、カッター部13と、ラベル搬送部14との隙間にラベル材5aの先端が入り込むことが防止され、カッター部13の下流側でのラベル材5aの詰まり(ジャム)の発生が防止できる。
【符号の説明】
【0092】
5…ラベル用紙
5a…ラベル材
10,70…ラベルプリンタ装置
13,71…カッター部
51…固定刃
52,97…可動刃
53,72…用紙ガイド
96…ガイド部材