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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240815BHJP
   H01L 25/04 20230101ALI20240815BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240815BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L25/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021151260
(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公開番号】P2023043566
(43)【公開日】2023-03-29
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 佳
(72)【発明者】
【氏名】辻村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】堀 将彦
(72)【発明者】
【氏名】刀禰館 達郎
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-089971(JP,A)
【文献】特開2015-056531(JP,A)
【文献】特開2020-035925(JP,A)
【文献】特開2014-179457(JP,A)
【文献】特開2014-236140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体チップと、
第2の半導体チップと、
第1の主面と前記第1の主面の反対側の第2の主面とを有し、前記第1の主面に、前記第1の半導体チップが非導電性接着剤を用いて固定されている非導電性の第1の剛性プレートと、前記第2の半導体チップの下面端子が半田接合されている導電性の第2の剛性プレートと、を有し、前記第2の主面に前記第1の半導体チップと電気的に接続されている入力端子と、前記第2の剛性プレートと電気的に接続されている出力端子と、を有する配線板と、を具備することを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
前記第1の主面の、前記第1の剛性プレートが配置されている第1の領域には、導電層が配設されていないことを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記入力端子および前記出力端子は、前記第1の領域の反対側の、前記第2の主面の第2の領域に延設されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記第1の剛性プレートは、非透明材料からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記配線板の厚さが100μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
光信号を発生する第3の半導体チップである発光ダイオードチップを更に具備し、
前記第1の半導体チップが、前記光信号を受光するフォトダイオードアレイチップであり、
前記第2の半導体チップが、MOS-FETチップであることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無接点リレーを有する半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
IC用テスタ等の測定器では、被測定物と測定回路を電気的に分離するためにリレーが用いられている。従来は機械的接点を用いたメカニカルリレーが用いられていた。被測定物の動作速度の向上、ノイズ対策、高信頼化のため、光結合素子を用いたフォトリレー等の無接点リレーの使用が拡大している。
【0003】
IC用テスタにおいて用いられる動作クロック周波数は、近年のICの性能向上により1GHzを超えている。フォトリレーの動作速度が被測定物と比較して十分では無い場合、測定精度の劣化、測定時間の増加を引き起こす。動作速度の向上に対応するため、また、測定効率向上のためにフォトリレーの動作速度の向上が求められている。
【0004】
フォトリレー等の半導体パッケージの動作速度向上には、パッケージの寄生容量低減が重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-103654公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、寄生容量が低減された高性能な半導体パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体パッケージは、第1の半導体チップと、第2の半導体チップと、第1の主面と前記第1の主面の反対側の第2の主面とを有し、前記第1の主面に、前記第1の半導体チップが非導電性接着剤を用いて固定されている非導電性の第1の剛性プレートと、前記第2の半導体チップの下面端子が半田接合されている導電性の第2の剛性プレートと、を有し、前記第2の主面に前記第1の半導体チップと電気的に接続されている第1配線と、前記第2の剛性プレートと電気的に接続されている第2配線と、を有する配線板と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の半導体パッケージを含む半導体装置の斜視図である。
図2】実施形態の半導体パッケージを含む半導体装置の斜視図である。
図3】実施形態の半導体パッケージの斜視図である。
図4】実施形態の半導体パッケージの上面図である。
図5】実施形態の半導体パッケージの断面図である。
図6】実施形態の半導体パッケージの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態の半導体パッケージ1について詳細に説明する。
【0010】
実施形態に基づく図面は、模式的であり、各部分の厚さと幅との関係、夫々の部分の厚さの比率および相対角度などは現実のものとは異なる。図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。一部の構成要素の図示および符号の付与を省略する。
【0011】
図1に示すように実施形態の半導体パッケージ1は、例えば、評価のために、配線板2に実装される。配線板2の電極49は、半導体パッケージ1の入力端子33(図5参照)と接続されている。図2に示すように、配線板2に配設されているリードフレーム29は、半導体パッケージ1の出力端子36(図5参照)と接続されている。
【0012】
図3および図4に示すように、半導体パッケージ1は、第1の半導体チップであるフォトダイオードアレイチップ(PDAチップ)10と、第2の半導体チップである2つのMOS-FETチップ(MOSチップ)20A、20Bと、第3の半導体チップである発光ダイオードチップ(LEDチップ)40と、配線板30と、を具備する。以下、2つのMOSチップ20A、20Bの、それぞれをMOSチップ20という。
【0013】
配線板30は第1の主面30SAと第1の主面30SAの反対側の第2の主面30SBとを有する。配線板30は、例えば、厚さDが50μmのポリイミド(PI)を基体とするフレキシブル配線板である。以下、配線板30の第1の主面30SAの方向を、「上」という。配線板30の第1の主面30SAには、非導電性の第1の剛性プレート11と、2つの導電性の第2の剛性プレート34と、2つの電極31と、が配設されている。配線板30の第2の主面30SBには、入力端子33と出力端子36と、が配設されている(図5参照)。
【0014】
非導電性の第1の剛性プレート11には、非導電性の接着剤15を用いてPDAチップ10が固定されている。例えば、第1の剛性プレート11は、厚さ100μmのエポキシ樹脂からなる。PDAチップ10は、フォトダイオードアレイと制御回路とを含む。PDAチップ10の上面である受光面には、シリコーン等の透明樹脂45を用いて、LEDチップ40の発光面が固定されている。PDAチップ10はLEDチップ40の発光に応じて電圧を発生する。
【0015】
導電性の第2の剛性プレート34には、半田または導電性接着剤等の導電性材料26を用いてMOSチップ20が固定されている。例えば、第2の剛性プレート34は、厚さ50μmの銅からなる。
【0016】
LEDチップ40の上面の端子41は、配線板30の電極31と、ボンディングワイヤで接続されている。また、PDAチップ10の上面の複数の電極も、MOSチップ20の上面のゲート端子G、ソース端子Sと、それぞれボンディングワイヤで接続されている。
【0017】
配線板30の電極31は貫通配線32を経由して第2の主面30SBの入力端子33と接続されている。MOSチップ20の下面端子であるドレイン端子(D)25は、導電性材料26、第2の剛性プレート34、貫通配線35を経由して第2の主面30SBの出力端子36と接続されている。
【0018】
第1の主面30SAに配設されているMOSチップ20等の複数の半導体チップ(ダイ)は、熱硬化性エポキシ樹脂等のモールド樹脂50により封止されている。半導体パッケージ1は、第2の主面30SBに、入力端子33および出力端子36を有する。
【0019】
<製造方法>
半導体パッケージ1の製造方法では、最初に配線板30が作製される。例えば、ポリイミドを基体とし、両面に銅箔が配設されたプリント基板に、例えば、レーザ穿孔、スルホールめっきによって貫通配線35が配設される。銅箔をパターニングすることによって、第1の主面30SAに、電極31、第2の剛性プレート34を有し、第2の主面30SBに、入力端子33、出力端子36が作製される。電極31、第2の剛性プレート34は、それぞれの貫通配線32、35を介して、入力端子33、出力端子36と接続されている。
【0020】
第2の剛性プレート34は、銅箔のパターニングによって作製された銅パターンのうえに、さらに銅またはアルミニウムからなる金属板が配設されてもよい。厚さ100μmのエポキシ樹脂板である第1の剛性プレート11が第1の主面30SAの所定位置に配設される。
【0021】
リードフレーム29、配線板2との接合信頼性を担保するために、入力端子33、出力端子36の面積は広いことが好ましい。このため、このため、図5に示すように、入力端子33および出力端子36と、第1の主面30SAの第1の剛性プレート11とは、上方から透明視した際に重畳領域SAを有する。
【0022】
配線板30の第1の剛性プレート11に接着剤15を用いてPDAチップ10が固定される。PDAチップ10の受光面に、LEDチップ40が透明樹脂を用いて固定される。2つのMOSチップ20が、それぞれの第2の剛性プレート34に導電性材料26である半田を用いて固定される。すなわち、MOSチップ20の下面端子であるドレイン端子25が、第2の剛性プレート34に接合される。
【0023】
LEDチップ40の端子41と電極31が、例えば、径100μmの金線を用いてワイヤボンディングされる。PDAチップ10の端子とMOSチップ20の端子、および、2つのMOSチップ20の端子間が、ワイヤボンディングされる。半導体チップの端子は、表面に金めっきされていることが好ましい。
【0024】
PDAチップ10、MOSチップ20。LEDチップ40が搭載された配線板30の第1の主面30SAが、モールド樹脂50を用いて封止されることによって半導体パッケージ1が作製される。
【0025】
<動作>
半導体パッケージ1の動作について簡単に説明する。入力端子33を経由して入力信号が入力するとLEDチップ40は、光信号を発生する。光信号を受光したPDAチップ10は、電圧信号を発生する。電圧信号がMOSチップ20のゲート端子に印加されると、MOSチップ20のドレイン端子25は、「ON」モードとなる。これに対して、MOSチップ20のゲート端子に印加される電圧信号が降下すると、MOSチップ20のドレイン端子25は、「OFF」モードとなる。ドレイン端子25は、出力端子36と接続されている。
【0026】
半導体パッケージ1は、入力信号に応じてON/OFFを繰り返すフォトリレーである。入力端子33と出力端子36とは絶縁されているため、入力端子側の回路の電圧が、出力端子側の回路に印加されることはない。
【0027】
導電性の第2の剛性プレート34は、ダイパッドなどとも呼ばれる。例えば、厚さ50μm―500μmのダイパッドは、可撓性基板の所定の位置に半導体チップを支持し固定するために不可欠である。しかし、図5に示すように、PDAチップ10を、MOSチップ20と同じように、導電性の剛性プレートをダイパッドとして用いると、ダイパッドと入力端子33との間で寄生容量C1が生じるとともに、ダイパッドと出力端子36との間で寄生容量C2が生じる。また、寄生容量C1、C2と比べると小さいが、導電性の剛性プレートは、電極31との間、および、第2の剛性プレート34との間でも、それぞれ寄生容量C3、C4が生じる。
【0028】
すでに説明したように、入力端子33および出力端子36は、第1の主面30SAの第1の剛性プレート11が配置されている第1の領域の反対側の、第2の主面30SBの第2の領域まで延設されている。このため、入力端子33および出力端子36は、すでに説明したように重畳領域SAを有する。導電性の第1の剛性プレートを有する半導体パッケージは、第1の剛性プレートによる寄生容量が特に大きい。
【0029】
半導体パッケージ1では、PDAチップ10を可撓性基板に固定するためのダイパッドに、非導電性の第1の剛性プレート11を用いる。このため、半導体パッケージ1は、寄生容量C1-C4が生じることがない。寄生容量が低減された半導体パッケージ1は高性能である。
【0030】
また、寄生容量C1、C2は、配線板30の厚さDが薄いほど、大きい。このため、半導体パッケージ1の高さを低くするために、配線板30の厚さDが100μm未満である場合に、本発明の効果が顕著である。なお、配線板30の基体は、寄生容量低減のために、低誘電率であることが好ましく、比誘電率(ASTM D150)kが、3.5以下の材料であるPI、PPE、PTFE等からなることが特に好ましい。
【0031】
第1の剛性プレート11の厚さは、PDAチップ10を安定に保持するため、数十μm超であることが好ましい。また、寄生容量を生じないために、PDAチップ10を第1の剛性プレート11に固定するための接着剤は、非導電性であることが好ましい。言い替えれば、第1の主面30SAの第1の剛性プレート11が配置されている第1の領域には、導電層が配設されていないことが好ましい。
【0032】
さらに、第1の剛性プレート11は、PDAチップ10を配線板30の所定位置に配置するための位置決め部材の機能を有することが好ましい。このため、第1の剛性プレート11は、PDAチップ10よりも僅かに大きく、かつ、非透明材料からなることが好ましい。例えば、第1の剛性プレート11は着色剤を含むエポキシ樹脂である。また、第1の剛性プレート11に配設されたPDAチップ10を上から観察した際に、例えば、PDAチップ10の4側面の周囲に、それぞれ、例えば、100μm、第1の剛性プレート11が観察できることが好ましい。第1の剛性プレート11は非導電性であるため、大面積であっても寄生容量が発生することはない。
【0033】
発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1… 半導体パッケージ
10… PDAチップ
11… 第1の剛性プレート
15… 接着剤
20(20A、20B)… MOSチップ
25… ドレイン端子D
26… 導電性材料
29… リードフレーム
30… 配線板
31、49… 電極
32、35… 貫通配線
33… 入力端子
34… 第2の剛性プレート
36… 出力端子
40… LEDチップ
41… 端子
45… 透明樹脂
50… モールド樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6