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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】シャンプーボウル構造
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/02 20060101AFI20240815BHJP
   A45D 19/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A45D44/02 A
A45D19/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020031545
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021132862
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】高田 知明
(72)【発明者】
【氏名】末宗 雄一郎
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3171262(JP,U)
【文献】特開2001-258944(JP,A)
【文献】特開2001-169969(JP,A)
【文献】特開2015-085094(JP,A)
【文献】特開2016-016292(JP,A)
【文献】実開平05-070402(JP,U)
【文献】実開平03-020903(JP,U)
【文献】米国特許第04620697(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/02
A45D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンプーボウルと、前記シャンプーボウルにおける被施術者の頭頂部側に配置されるシャンプーボウル用アームレストとから構成されたシャンプーボウル構造であって、
前記シャンプーボウル用アームレストが、
施術者の上肢が載置される本体部と、
前記本体部の裏側に備えられて前記シャンプーボウルの縁に着脱される着脱部と、を有し、
前記本体部が、
前記縁よりも前記シャンプーボウルの内側に向けて張り出すと共に被施術者における頭頂部の周囲に配置される一対の張出し部と、
この張出し部同士を連接した連接部と、から構成され、
前記連接部のうち、前記シャンプーボウルの内側に向けられる側に、被施術者の頭部に沿って窪んだ第一窪み部が形成され、
前記連接部において前記シャンプーボウルの外側に向けられる側である後部から前記第一窪み部までの長さよりも、前記張出し部において前記シャンプーボウルの外側に向けられる側である後部から前記シャンプーボウルの内側に向けて張り出す長さが長
前記張出し部において前記シャンプーボウルの内側に向けられる側である前部の頂点の位置が、前記シャンプーボウルに被施術者の頭部が置かれたときの被施術者の眼耳平面よりも後方である、
ことを特徴とするシャンプーボウル構造
【請求項2】
前記本体部が、当該本体部に対して被施術者と反対側において窪んだ第二窪み部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載されたシャンプーボウル構造
【請求項3】
前記張出し部が弾性素材で構成された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたシャンプーボウル構造
【請求項4】
前記連接部が弾性素材で構成された、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたシャンプーボウル構造
【請求項5】
前記着脱部が、前記縁を内側から挟む内側片と、前記縁を外側から挟む外側片とを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたシャンプーボウル構造
【請求項6】
前記内側片又は前記外側片の一方が、他方よりも長く形成された、
ことを特徴とする請求項5に記載されたシャンプーボウル構造
【請求項7】
前記着脱部が、前記本体部と対面する突部を有する、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載されたシャンプーボウル構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプーボウルに取り付けられるシャンプーボウル用アームレストを有するシャンプーボウル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘアサロン等の理美容施設では、ヘアカットやヘッドスパの他、例えば、アイラッシュやアイブロウ等のアイメイク施術が行われている。このようなアイメイク施術には、例えば、下記特許文献1に記載されたアイメイク施術台(以下、「特許文献1発明」と記す。)が用いられている。特許文献1発明は、ヘッドレストに可動式の肘置きが連結されており、この肘置きが、ヘッドレストの周囲において、任意の角度で変化するものである。したがって、施術者は、施術し易い向きに肘置きを調節して自身の肘を置くことで、快適な姿勢でアイメイク施術を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-85094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、アイメイクや顔面に施す他の施術(以下、「アイメイク施術等」と記す。)において、上記した特許文献1発明のような専用の設備が必須となると、このような専用の設備を理美容施設内に常設することになるため、設置するためのスペースやレイアウトに配慮しなければならない。仮に、専用の設備を常設できたとしても、施術者、被施術者とも、ヘアカット等の施術に要する椅子と、アイメイク施術等に要する設備とを往来する必要があるし、両施術を行おうとすれば、ヘアカット等の施術に要する時間に加えて、アイメイク施術等の時間を要する。ヘアカラー、パーマ等は、一般的に1時間以上を要するし、アイメイク施術等は、施術の内容や施術者の技量によって異なるが、1時間程度に及ぶものもある。このように、施術者にとっての設備的な負担と、被施術者にとっての時間的な負担とから、理美容施設でアイメイク施術等を扱うことは、簡単ではない。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、シャンプーボウルに着脱することで、アイメイク施術等に対する設備的な負担及び施術の時間的な負担を解消することができるシャンプーボウル用アームレストの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、シャンプーボウルにおける被施術者の頭頂部側に配置されるシャンプーボウル用アームレストであって、施術者の上肢が載置される本体部と、前記本体部の裏側に備えられて前記シャンプーボウルの縁に着脱される着脱部と、を有する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、前記本体部が、前記縁よりも前記シャンプーボウルの内側に向けて張り出すと共に被施術者における頭頂部の周囲に配置される張出し部を有する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、前記本体部が、被施術者の頭部に沿って窪んだ第一窪み部を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、平面視した場合において、両前記張出し部が、被施術者の頭部に向けて互いに近づく方向に傾斜し、前記張出し部が傾斜する方向に沿ったそれぞれの仮想延長線の交点が、被施術者の両目の間又はその近傍にある、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、前記本体部が、当該本体部に対して被施術者と反対側において窪んだ第二窪み部を有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、前記張出し部が弾性素材で構成された、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、各前記張出し部同士を連接した連接部を有し、この連接部が弾性素材で構成された、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、前記本体部が、前記縁よりも前記シャンプーボウルの内側に向けて張り出すと共に被施術者における頭頂部の周囲に配置される一対の張出し部と、この張出し部同士を連接した連接部とから構成され、前記連接部のうち、前記シャンプーボウルの内側に向けられる側に、被施術者の頭部に沿って窪んだ第一窪み部が形成され、前記連接部のうち、前記シャンプーボウルの外側に向けられる側に、前記第一窪み部に向けて窪んだ第二窪み部が形成された、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、前記着脱部が、前記縁を内側から挟む内側片と、前記縁を外側から挟む外側片とを有する、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、前記内側片又は前記外側片の一方が、他方よりも長く形成された、ことを特徴とする。
【0016】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、前記着脱部が、前記本体部と対面する突部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、シャンプーボウルにおける被施術者の頭頂部側に配置されるシャンプーボウル用アームレストであって、施術者の上肢が載置される本体部と、本体部の裏側に備えられてシャンプーボウルの縁に着脱される着脱部と、を有している。すなわち、シャンプーボウル用アームレストは、シャンプーボウルに着脱されるものであって、既設のシャンプーボウルにおいて、施術者が上肢を載置することができるようになるものである。施術者は、本体部に上肢を載置し、シャンプーボウルに頭部を置いた被施術者にアイメイク施術等を行う。したがって、理美容施設でアイメイク施術等を行う場合であっても、新たに専用の設備を要せず、設備的な負担がない。また、例えば、シャンプーボウルにおいて、ヘアカラーやパーマの薬剤を毛髪に定着させている間に、アイメイク施術等を行うことができる。したがって、施術の時間的な負担を解消することができる。
【0018】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、本体部が、縁よりもシャンプーボウルの内側に向けて張り出すと共に被施術者における頭頂部の周囲に配置される張出し部を有している。すなわち、シャンプーボウルの内側に上肢の置き場所が在ることから、施術者は、張出し部に上肢を載置することで、被施術者の頭部や顔面の側でアイメイク施術等を行うことができる。
【0019】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、本体部が、被施術者の頭部に沿って窪んだ第一窪み部を有している。この構成により、本体部は、被施術者の頭部と干渉することが無いうえ、施術者は、被施術者の頭部や顔面の側で、本体部に上肢を載置してアイメイク施術等を行うことができる。
【0020】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、平面視した場合において、両張出し部が、被施術者の頭部に向けて互いに近づく方向に傾斜し、張出し部が傾斜する方向に沿ったそれぞれの仮想延長線の交点が、被施術者の両目の間又はその近傍にある。この構成により、アイメイク施術等の際、施術者が、例えば、張出し部に肘を置くと、前腕が仮想延長線に揃えられ、手が自然と目の近傍に配置される。したがって、被施術者の目の側でアイメイク施術等を行うことができる。
【0021】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、本体部が、当該本体部に対して被施術者と反対側において窪んだ第二窪み部を有している。この構成により、本体部は、施術者の身体と干渉することが無いうえ、施術者は、被施術者の頭部や顔面の側に身体を近づけて、アイメイク施術等を行うことができる。
【0022】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、張出し部が弾性素材で構成されている。この構成により、施術者は、上肢を張出し部に載置しても、張出し部との接触による負担が少ない。したがって、長時間であってもアイメイク施術等を行うことができる。
【0023】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、張出し部同士を連接した連接部を有し、この連接部が弾性素材で構成されている。この構成により、施術者は、上肢を連接部に載置しても、連接部との接触による負担が少ない。したがって、施術に応じた様々な姿勢でアイメイク施術等を行うことができる。
【0024】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、本体部が、縁よりもシャンプーボウルの内側に向けて張り出すと共に被施術者における頭頂部の周囲に配置される一対の張出し部と、この張出し部同士を連接した連接部とから構成され、連接部のうち、シャンプーボウルの内側に向けられる側に、被施術者の頭部に沿って窪んだ第一窪み部が形成され、連接部のうち、シャンプーボウルの外側に向けられる側に、第一窪み部に向けて窪んだ第二窪み部が形成されている。したがって、施術者が快適にアイメイク施術等を行うことができる。
【0025】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、着脱部が、縁を内側から挟む内側片と、縁を外側から挟む外側片とを有している。すなわち、各片によってシャンプーボウルの縁が挟まれることで着脱部が縁に装着される。したがって、本体部をシャンプーボウルに取り付けることができる。
【0026】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、内側片又は外側片の一方が、他方よりも長く形成されている。着脱部は、本体部の裏側に備えられていることから、本体部を表側から視して、着脱部をシャンプーボウルの縁に装着することは、困難な場合がある。ここで、着脱部における各片のうちの一方が他方よりも長く形成されているため、長い方の片が縁に当たったところで本体部を押し下げれば、自然と着脱部が縁に装着される。したがって、容易に装着することができる。
【0027】
本発明に係るシャンプーボウル用アームレストは、着脱部が、本体部と対面する突部を有している。この構成により、突部と本体部との間に溝が形成される。この溝が、シャンプーボウルの縁に合わせられることで、突部が縁に引っ掛かって本体部が縁からぶら下がった状態となる。すなわち、シャンプーボウル用アームレストを使用しない場合に、縁に引っ掛けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストがシャンプーボウルに取り付けられた状態の外観斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける上方からの外観斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける下方からの外観斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける上面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける後面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける下面図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける側面図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける着脱部の上面図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける着脱部の側面図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける着脱部の下面図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける着脱部の後面図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける着脱部の前面図である。
図13図13は、図8のXIII-XIII断面であって、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける着脱部の断面図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストがシャンプーボウルに取り付けられた状態の上面図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける着脱部がシャンプーボウルの縁に取り付けられた状態の第1態様が示された調節説明図である。
図16図16は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストにおける着脱部がシャンプーボウルの縁に取り付けられた状態の第2態様が示された調節説明図である。
図17図17は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレストがシャンプーボウルの縁に引っ掛けられた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下は、本発明の実施形態に係るシャンプーボウル用アームレスト(以下、単に「アームレスト」と記す。)の説明である。図1は、アームレスト10が、シャンプーボウル1に取り付けられた状態の外観が示されている。図2ないし7は、アームレスト10の外観が示されている。なお、以下の説明では、図1において、バックシャンプーの際に施術者(図示省略。)が立つ位置から視して、施術者の正面を前方(Front)とし、反対側を後方(Back)とし、横を側方(Left Side、Right Side)とする。また、シャンプーボウル1の高さ方向を上下(Up、Down)とする。
【0030】
図1に示されているとおり、アームレスト10は、理美容施設に設置されたシャンプーボウル1に着脱され、施術者(図示省略)が施術の際に、上肢のうち、手、前腕、肘、上腕等の任意の部位(以下、「肘等」と記す。)を載せるものである。図1において、シャンプーボウル1は被施術者H(図14参照。)が、理美容椅子などの施術台(図示省略。)において仰向けに横たわった状態で頭部を置き、施術を受けるためのものである。施術は、例えば、シャンプー、ヘッドスパ、カラー、パーマの他、アイメイク施術等が含まれる。シャンプーボウル1は、例えば、底部2と側壁部3とから構成されたほぼ半球状のボウルである。底部2には、排水口4(図14参照。)が形成され、側壁部3の内側には、給湯水が放出されるシャワーヘッド5(図14参照。)や、給湯水の止水栓6等が設置されている。また、側壁部3における前方側の上端縁8に、被施術者Hの頸部が載せられる載置具7等が取り付けられている。アームレスト10は、シャンプーボウル1に被施術者Hが頭部を置いた状態において、被施術者Hの頭頂部側であって、シャンプーボウル1における後方に配置される。
【0031】
図2ないし7に示されているとおり、アームレスト10は、施術者の肘等が載せられる本体部11と、この本体部11の裏側に備えられてシャンプーボウル1における側壁部3のうち、後方側の上端縁9(図14参照。)に着脱される着脱部19とを有している。本体部11は、例えば、ウレタン、発砲ゴム、スポンジ等の弾性素材で構成され、裏側に、樹脂、木、金属等で構成された基板部12を有している。本体部11は、左右一対の張出し部13a,bと、この各張出し部13a,b同士を連接した連接部14とから構成されている。各張出し部13a,bは、上方から視して、丸みのある三角形であり、前方に向けて突出している。各張出し部13a,bは、後方から前方に向けて、互いに近づく方向に傾斜している。連接部14は、本体部11の中央において、各張出し部13a,bよりも小さく形成され、各張出し部13a,bにおける後部側に配置されている。この連接部14によって、本体部11の前部は、後方に向けて窪んだ第一窪み部16が形成されている。一方で、本体部11の後部は、第一窪み部16のある前方に向けて緩やかに窪んだ第二窪み部17が形成されている。第一窪み部16は、被施術者Hと干渉しないよう、被施術者Hの頭部に沿って湾曲した形状であり、一方で、第二窪み部17は、施術者と干渉しないよう、施術者の腹部や胸部に沿って緩やかに湾曲した形状である。
【0032】
次に、着脱部19を図面に基づいて説明する。図8ないし13は、着脱部19の外観が示されている。
【0033】
着脱部19は、本体部11における各張出し部13a,bの裏側において、固定ネジ18によって二点でそれぞれ固定されている。図8ないし13に示されているとおり、着脱部19は、本体部11に着脱される基部20と、この基部20から下方に伸びた脚部25とを有している。基部20は、平板状のほぼ楕円形であり、固定片21と起立片22とから構成されている。固定片21は、固定ネジ18が通されるネジ孔23が二箇所に形成され、一方で、起立片22は、固定片21と連接されているが、固定されずに固定片21に対して起立することができるものである。固定片21と起立片22との境界であって、起立片22が起立する際の基点部24は、各片21,22と比較して肉薄である。
【0034】
脚部25は、固定片21に連接された内側片26と、起立片22に連接されて内側片26と間を空けて対面した外側片27とから構成されている。内側片26は、外側片27よりも長く形成されている。内側片26は、脚部25が伸びた下方と交差する方向に向けて突出した突部28が形成されている。突部28は、内側片26のうち、外側片27と対面した部位を除いた側面が隆起したものである。この突部28によって、内側片26のうち、脚部25が伸びた下方と交差する方向の幅が、外側片27の幅よりも広く形成されている(図11参照。)。外側片27は、上下に貫通した貫通孔29が形成され、この貫通孔29に調節ネジ30が取り付けられている。調節ネジ30の先端は、基部20に向けられ、一方で、調節ネジ30の頭部は、基部20と反対側の下端において露出している。以上の構成により、後述のとおり、脚部25の間隔を調節する調節手段が実現する(図15及び16参照。)。
【0035】
以上のとおり、アームレスト10が構成されている。
【0036】
次に、アームレスト10の使用方法を説明する。図14は、アームレスト10がシャンプーボウル1に取り付けられた状態が示されている。図15及び16は、調節手段による脚部25の動作が示されている。図17は、不使用のアームレスト10がシャンプーボウル1に引っ掛けられた状態が示されている。
【0037】
図14に示されているとおり、アームレスト10は、被施術者Hが頭部を置いたシャンプーボウル1において、被施術者Hの頭頂部側に取り付けられる。その際、アームレスト10は、着脱部19が裏側となる向きで取り付けられるため、施術者は、アームレスト10の表側である上方から視して、着脱部19を視認することができないが、施術者が、例えば、アームレスト10をシャンプーボウル1の縁に沿って、内側から後方に向けて移動させることで、長く形成された着脱部19の内側片26が後方側の上端縁9に当たるため、視認できずとも位置決めが可能となる。内側片26が上端縁9に当たったところで、施術者が本体部11を下方に向けて押せば、着脱部19の脚部25によって後方側の上端縁9が挟まれる。すなわち、後方側の上端縁9は、内側片26と外側片27とによって挟まれる。
【0038】
アームレスト10は、シャンプーボウル1の側壁部3を左右に渡るように、後方側の上端縁9に沿って配置されている。アームレスト10における本体部11の張出し部13a,bは、後方側の上端縁9よりも、シャンプーボウル1の内側に向けて張り出すと共に被施術者Hにおける頭頂部の周囲に配置される。張出し部13a,bが張り出す度合いは、張出し部13a,bにおける前部の頂点の位置が、被施術者Hの眼耳平面(目の位置と耳の位置とを含む平面)よりも後方であって、当該頂点が、被施術者Hの耳に当たらない程度である。第一窪み部16は、シャンプーボウル1の内側に向けられ、被施術者Hの頭部が配置される。この状態において上方から視した(平面視した)場合、各張出し部13a,bは、被施術者Hの頭部に向けて互いに近づく方向に傾斜しており、この傾斜する方向に沿ったそれぞれの仮想延長線Va,bの交点は、被施術者Hの両目の間、眉間又はその近傍である額や鼻筋等にある。一方で、第二窪み部17は、シャンプーボウル1の外側に向けられ、施術者の腹部や胸部が寄せられる。
【0039】
ここで、着脱部19は、施術の際の施術者の肘置きや必要な道具の置き場をシャンプーボウル1に作るものであるため、着脱部19に着脱される対象である被支持体には、本体部11の他、平坦な台座部31等が含まれる。
【0040】
図15及び16に示されているとおり、着脱部19の脚部25は、シャンプーボウル1における後方側の上端縁9の厚みに応じて、間隔が調節される。調節手段によれば、調節ネジ30が、回転することで基部20に向けて前進し、調節ネジ30の先端が本体部11に当たると、外側片27が調節ネジ30に対して後退することで、外側片27が、基点部24を起点として内側片26に向けて傾倒する。したがって、脚部25の間隔が変化する。なお、脚部25の調節は、アームレスト10がシャンプーボウル1に取り付けられる前、又は、取り付けられた後に行われ、調節ネジ30は、例えばL字型の六角レンチ等で操作される。
【0041】
図17に示されているとおり、使用されないアームレスト10は、シャンプーボウル1の外側において、側壁部3に引っ掛けられる。アームレスト10における着脱部19の突部28は、本体部11の基板部12と対面するため、基板部12と突部28との間に溝32が形成される。この溝32が、側壁部3の上端縁に合わせられることで、突部28が上端縁に引っ掛かって本体部11がぶら下がった状態となる。なお、アームレスト10が引っ掛けられる場所は任意である。
【0042】
以上のとおり、アームレスト10が構成されている。
【0043】
次に、本実施形態の効果を説明する。
【0044】
上記したとおり、アームレスト10は、施術者の肘等が置かれる本体部11と、この本体部11の裏側に備えられてシャンプーボウル1における後方側の上端縁9に着脱される着脱部19とを有している(図14参照)。すなわち、アームレスト10は、シャンプーボウル1に取り付けられるため、施術の際、施術者は、本体部11に肘等を載せ、シャンプーボウル1において被施術者Hにアイメイク施術等を行う。したがって、理美容施設においてアイメイク施術等を行う場合であっても、新たに専用の設備を要せず、設備的な負担がない。また、例えば、シャンプーボウル1において、ヘアカラーやパーマの薬剤を毛髪に定着させている間に、アイメイク施術等を行うことができる。したがって、施術の時間的な負担を解消することができる。
【0045】
アームレスト10の本体部11は、左右一対の張出し部13a,bを有し、この各張出し部13a,bは、平面から視して、丸みのある三角形であり、前方に向けて突出している(図2参照。)。アームレスト10は、シャンプーボウル1の側壁部3を左右に渡るように、後方側の上端縁9に沿って配置され、張出し部13a,bは、後方側の上端縁9よりも、シャンプーボウル1の内側に向けて張り出すと共に被施術者Hにおける頭頂部の周囲に配置される(図14参照。)。すなわち、シャンプーボウル1の内側に肘等の置き場所が在ることから、施術者は、張出し部13a,bに肘等を置くことで、被施術者Hの頭部や顔面の側でアイメイク施術等を行うことができる。
【0046】
アームレスト10における各張出し部13a,bは、被施術者Hの頭部に向けて互いに近づく方向に傾斜している(図14参照。)。被施術者Hがシャンプーボウル1に頭部を置いた状態において上方から視した場合、各張出し部13a,bが傾斜する方向に沿ったそれぞれの仮想延長線Va,bの交点は、被施術者Hの両目の間、眉間又はその近傍である額や鼻筋等にある(図14参照。)。この構成により、アイメイク施術等の際、施術者が、例えば、張出し部13a,bに肘を置くと、前腕が仮想延長線Va,bに揃えられ、手が自然と被施術者Hの目の近傍に配置される。したがって、被施術者Hの目の側でアイメイク施術等を行うことができる。
【0047】
アームレスト10の本体部11は、各張出し部13a,b同士を連接した連接部14を有し、この連接部14によって、本体部11の前部に、後方に向けて窪んだ第一窪み部16が形成されている(図2参照。)。第一窪み部16は、シャンプーボウル1の内側に向けられ、被施術者Hの頭部が配置される(図14参照。)。この構成により、本体部11は、被施術者Hの頭部と干渉することが無いうえ、施術者は、被施術者Hの頭部や顔面の側で、本体部11に肘等を置いてアイメイク施術等を行うことができる。
【0048】
アームレスト10の本体部11は、後部に、第一窪み部16のある前方に向けて緩やかに窪んだ第二窪み部17が形成されている。第二窪み部17は、シャンプーボウル1の外側に向けられ、施術者の腹部や胸部が寄せられる。この構成により、本体部11は、施術者の身体と干渉することが無いうえ、施術者は、被施術者Hの頭部や顔面の側に身体を近づけて、アイメイク施術等を行うことができる。
【0049】
アームレスト10の本体部11は、例えば、ウレタン、発砲ゴム、スポンジ等の弾性素材で構成されている。この構成により、施術者は、肘等を張出し部13a,bや連接部14に置いても、各部13a,b,14との接触による負担が少ない。したがって、長時間であってもアイメイク施術等を行うことができるし、また、例えば被施術者Hの目尻を施術する際等、連接部14に肘等を置いた姿勢でアイメイク施術等を行うことができる。
【0050】
アームレスト10の着脱部19は、本体部11に着脱される基部20から下方に伸びた脚部25を有し、この脚部25は、内側片26と、この内側片26と間を空けて対面した外側片27とから構成され、内側片26が、外側片27よりも長く形成されている(図9参照。)。アームレスト10は、着脱部19が裏側となる向きで取り付けられるため、施術者は、アームレスト10の表側である上方から視して、着脱部19を視認することができないが、施術者が、例えば、アームレスト10をシャンプーボウル1における側壁部3の縁に沿って、内側から後方に向けて移動させることで、長く形成された内側片26が後方側の上端縁9に当たるため、視認できずとも位置決めが可能となる(図14参照。)。したがって、容易に装着することができる。
【0051】
着脱部19における内側片26は、脚部25が伸びた下方と交差する方向に向けて突出した突部28が形成されている(図10参照。)。この突部28は、本体部11の基板部12と対面するため、基板部12と突部28との間に溝32が形成される。この構成により、溝32が、側壁部3の上端縁に合わせられることで、突部28が上端縁に引っ掛かって本体部11がぶら下がった状態となる(図17参照。)。すなわち、アームレスト10を使用しない場合に、側壁部3の上端縁に引っ掛けることができる。
【0052】
以下、着脱部19の効果に付言する。
【0053】
着脱部19は、本体部11に着脱される基部20と、この基部20から下方に伸びた脚部25とを有し、この脚部25の内側片26と外側片27とでシャンプーボウル1における後方側の上端縁9を挟むものである(図14参照)。すなわち、脚部25が後方側の上端縁9を挟むことで、基部20を介して本体部11や台座部31がシャンプーボウル1に取り付けられる。本体部11には、施術者が肘等を置くことができるし、台座部31には、施術に用いられる道具を置くことができる。
【0054】
着脱部19の基部20は、固定片21と起立片22とから構成され、起立片22は、固定片21と連接されると共に、固定片21との境界である基点部24を起点として固定片21に対して起立することができるものである(図15参照。)。また、内側片26は、固定片21に連接され、一方で、外側片27は、起立片22に連接されると共に、上下に貫通した貫通孔29に調節ネジ30が取り付けられている。この構成により、調節手段が実現し、調節ネジ30が、回転することで基部20に向けて前進し、調節ネジ30の先端が本体部11に当たると、外側片27が調節ネジ30に対して後退することで、外側片27が、基点部24を起点として内側片26に向けて傾倒する。したがって、脚部25の間隔が変化する。この構成により、調節ネジ30を回転させるだけの簡便な操作で、脚部25の間隔を変化させることができる。したがって、厚みの異なる様々な側壁部3の上端縁に容易に装着することができる。
【0055】
着脱部19における外側片27は、調節ネジ30の頭部が、基部20と反対側の下端において露出している(図13参照。)。したがって、容易に調節ネジ30を操作することができる。
【0056】
着脱部19は、突部28によって、内側片26のうち、脚部25が伸びた下方と交差する方向の幅が、外側片27の幅よりも広く形成されている(図11参照。)。この構成により、着脱部19がシャンプーボウル1における後方側の上端縁9に装着された状態において、幅の広い内側片28が、シャンプーボウル1における側壁部3の内側に当てられる。すなわち、シャンプーボウル1は、後方側の上端縁9が湾曲していることから、アームレスト10が内側に傾く場合が考えられるところ、外側片27と、それよりも幅広い内側片26の両端との三点で後方側の上端縁9を挟むことで、アームレスト10を後方側の上端縁9に安定して取り付けておくことができる。
【0057】
本発明の他の実施形態では、本体部は、張出し部のみが弾性素材であり、連接部は、樹脂、木、金属等で構成されている。本発明の他の実施形態では、本体部のすべてが、樹脂、木、金属等で構成されている。本発明の他の実施形態では、張出し部と連接部とが異なる種類の弾性素材で構成されている。本発明の他の実施形態では、本体部は、例えば、円形、楕円形、四角形、長方形、ひし形、台形等の任意の形状である。本発明の他の実施形態では、本体部の張出し部は、円形、楕円形、四角形、長方形、ひし形、台形等の任意の形状である。本発明の他の実施形態では、仮想延長線の交点が、被施術者の両目の間からずれている。本発明の他の実施形態では、第一窪み部を有しておらず、本体部の前部に凹凸がない。本発明の他の実施形態では、第二窪み部を有しておらず、本体部の後部に凹凸がない。本発明の他の実施形態では、着脱部の各片が同じ長さである。本発明の他の実施形態では、着脱部の外側片が内側片よりも長く形成されている。本発明の他の実施形態では、内側片に突部が形成されている。本発明の他の実施形態では、内側片及び外側片に突部が形成されている。本発明の他の実施形態では、突部を有していない。本発明の他の実施形態では、突部を有しておらず、内側片の幅と外側片の幅とが同じ広さである。本発明の他の実施形態では、突部を有しておらず、内側片の幅が外側片の幅よりも広い。本発明の他の実施形態では、着脱部は、単一の固定ネジによって本体部に一点で留められ、回転自在である。本発明の他の実施形態では、外側片に調節ネジが取り付けられている。本発明の他の実施形態では、調節手段を有していない。
【0058】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 シャンプーボウル
2 底部
3 側壁部
4 排水口
5 シャワーヘッド
6 止水栓
7 載置具
8 前方側の上端縁
9 後方側の上端縁
10 アームレスト(シャンプーボウル用アームレスト)
11 本体部
12 基板部
13a,b 張出し部
14 連接部
16 第一窪み部
17 第二窪み部
18 固定ネジ
19 着脱部
20 基部
21 固定片
22 起立片
23 ネジ孔
24 基点部
25 脚部
26 内側片
27 外側片
28 突部
29 貫通孔
30 調節ネジ(ネジ)
31 台座部
32 溝
H 被施術者
,V 仮想延長線
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
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図17