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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20240815BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240815BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G16H80/00
G08B25/04 K
G08B21/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020040763
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021144292
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】517146563
【氏名又は名称】エイアイビューライフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】安川 徹
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-204774(JP,A)
【文献】特開2008-234443(JP,A)
【文献】特開2019-197263(JP,A)
【文献】特開2002-175581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G08B 19/00-21/24
G08B 23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を検出するマイク及び音を出力するスピーカを備え、第一領域に設置された寝床の所定部位に設置される設置装置と、
音を検出する他のマイク及び音を出力する他のスピーカを備え、前記第一領域から離れた第二領域に設置された監視装置と、
前記設置装置と前記監視装置とに接続された音処理装置と、
を備えた情報処理システムであって、
前記設置装置は、当該設置装置を前記寝床の所定部位に固定する固定具を備え、
前記音処理装置は、
前記第一領域において前記設置装置の前記マイクにて検出した音声を、前記第二領域に設置された前記監視装置の前記他のスピーカから出力すると共に、前記第二領域において前記監視装置の前記他のマイクにて検出した音声を、前記設置装置の前記スピーカにて前記第一領域に出力する通話手段と、
前記設置装置の前記スピーカから予め設定された音声を出力すると共に、その後に前記設置装置の前記マイクにて検出した音声の内容を認識する対話手段と、
を備えた、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記音処理装置は、
前記第一領域において予め設定された特定の動作状態が生じたことを検知する動作検知手段を備え、
前記対話手段は、前記特定の動作状態を検知した後に作動する、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムであって、
前記対話手段は、検知した前記特定の動作状態の内容に応じた予め設定された音声を前記設置装置の前記スピーカから出力する、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の情報処理システムであって、
前記音処理装置は、
前記対話手段による前記マイクにて検出した音声の内容の認識結果に応じて、前記監視装置に対して所定の通知を行う通知手段、
を備えた、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理システムであって、
前記通知手段は、前記対話手段によって前記マイクにて検出した音声が無かった場合に、前記監視装置に対して所定の通知を行う、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記通話手段は、前記特定の動作状態を検知した後に作動する、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかに記載の情報処理システムであって、
前記動作検知手段は、前記第一領域を撮影した撮影画像を用いて、当該第一領域に存在する人物について生じた予め設定された前記特定の動作状態を検知する、
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被介護者と対話する設置装置を備えた情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の人口が増加し、介護の需要が高まっている。一方で、介護には、多くの介護者が必要となり、介護者の作業負担や人件費の増加という問題が生じる。そこで、特許文献1に記載のような、距離画像カメラで撮影した画像を用いて、被介護者といった人物を監視する監視システムが多く開発されている。
【0003】
特許文献1に開示の監視システムでは、距離画像からベッドの位置を抽出し、また、人の領域を検出し、人の動作を判別している。具体的に、ベッドの位置は、ベッドの長手方向及び短手方向における高さの度数分布から求めている。また、人の動作は、所定の高さ位置に対する物体の位置を検出することで、臥床の状態、上半身を起こした状態、起立の状態、といった人の動作を判別している。そして、この監視システムでは、判別した動作が被介護者毎に予め設定された特定の状態である場合に、介護者の待機所に対して報知することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-030042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
介護者は、上述したように監視システムから被介護者について報知があった場合には、すぐに被介護者の部屋に駆け付けたりすることで対応することとなる。ところが、上述したような監視システムによって被介護者の状態を検知した場合には、かかる被介護者の具体的な状態は不明である。このため、被介護者の状態が緊急を要しない場合であっても、介護者が被介護者の部屋に駆け付けることもあり、かかる行為が無駄となるおそれがあり、介護者の負担が増加してしまう、という問題が生じる。また、介護者が他の作業を行ており、被介護者の部屋に駆け付けることができない場合には、被介護者に対して何ら対応ができず、適切な処置をとることができない、という問題が生じる。このように、上述した監視システムでは、介護者が効率よく被介護者に対する適切な対応をとることができない、という問題が生じる。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、介護者が効率よく被介護者に対する適切な対応をとることができない、ということを解決することができる情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である情報処理システムは、
音を検出するマイクと、音を出力するスピーカと、を備え、寝床の所定部位に設置される設置装置と、
前記設置装置にて検出された音及び前記設置装置から出力される音を処理する音処理装置と、
を備えた情報処理システムであって、
前記設置装置は、当該設置装置を寝床の所定部位に固定する固定具を備え、
前記音処理装置は、
前記寝床が設置された第一領域において前記設置装置の前記マイクにて検出した音声を、前記第一領域から離れた第二領域に設置された他のスピーカから出力すると共に、前記第二領域に設置された他のマイクから入力された音声を、前記設置装置の前記スピーカにて前記第一領域に出力する通話手段と、
前記設置装置の前記スピーカから予め設定された音声を出力すると共に、その後に前記設置装置の前記マイクにて検出した音声の内容を認識する対話手段と、
を備えた、
という構成をとる。
【0008】
そして、上記情報処理システムでは、
前記音処理装置は、
前記第一領域において予め設定された特定の動作状態が生じたことを検知する動作検知手段を備え、
前記対話手段は、前記特定の動作状態を検知した後に作動する、
という構成をとる。
【0009】
また、上記情報処理システムでは、
前記対話手段は、検知した前記特定の動作状態の内容に応じた予め設定された音声を前記設置装置の前記スピーカから出力する、
という構成をとる。
【0010】
また、上記情報処理システムでは、
前記音処理装置は、
前記対話手段による前記マイクにて検出した音声の内容の認識結果に応じて、前記第二領域に設置された監視装置に対して所定の通知を行う通知手段、
を備えた、
という構成をとる。
【0011】
また、上記情報処理システムでは、
前記通知手段は、前記対話手段によって前記マイクにて検出した音声が無かった場合に、前記監視装置に対して所定の通知を行う、
という構成をとる。
【0012】
また、上記情報処理システムでは、
前記通話手段は、前記特定の動作状態を検知した後に作動する、
という構成をとる。
【0013】
また、上記情報処理システムでは、
前記動作検知手段は、前記第一領域を撮影した撮影画像を用いて、当該第一領域に存在する人物について生じた予め設定された前記特定の動作状態を検知する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように構成されることにより、介護者が効率よく被介護者に対する適切な対応をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1における情報処理システムの構成を示す概略図である。
図2図1に開示した監視サーバの構成を示すブロック図である。
図3図1に開示した監視サーバにより被介護者の特定の動作を検知した時の様子を示す図である。
図4図1に開示した監視サーバにより被介護者の特定の動作を検知した時の様子を示す図である。
図5図1に開示した監視サーバにより被介護者の特定の動作を検知した時の様子を示す図である。
図6図1に開示した監視サーバの処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図6を参照して説明する。図1乃至図2は、情報処理システムの構成を示す図である。図3乃至図6は、情報処理システムの処理動作を説明するための図である。以下、各図を参照して、情報処理システムの構成及び動作を説明する。
【0017】
本発明における情報処理システムは、被介護者や被監視者といった監視対象となる人物Pの行動を監視するための情報処理システムである。そして、情報処理システムは、監視サーバ10と、距離画像カメラCと、設置ロボット20と、監視端末30と、携帯端末40と、を備えて構成されている。
【0018】
上記距離画像カメラC(撮影装置)は、監視対象となる人物Pが横たわるベッドBが配置された領域である部屋R1(第一領域)内の距離画像を撮影可能な位置に配置されている。例えば、距離画像カメラCは、医療施設や介護施設、宅内の部屋R1の天井に設けられ、部屋R1の大部分が画像内に収まる位置に配置されている。なお、距離画像カメラCは、必ずしも天井に設置されていることに限定されず、壁やスタンドなど、いかなる場所に設置されていてもよい。ここで、ベッドBの周囲には、当該ベッドBの周囲を囲う板材やパイプにて形成されたベッドガードBGが設置されている。但し、部屋R1に設置されるベッドBは、布団などのいかなる寝床であってもよい。
【0019】
距離画像カメラCは、画素値を距離値とした距離画像を撮影するものである。例えば、距離画像カメラCは、赤外線レーザをターゲットに投射した際の往復の時間から距離を計測する形式のものであってもよく、いかなる方式の撮影装置であってもよい。そして、距離画像カメラCは、一定の時間間隔で、あるいは、撮影指示を受けたタイミングで、距離画像を撮影し、かかる距離画像を後述する監視サーバ10に送信する機能を有する。なお、上記監視サーバ10の機能については、上記距離画像カメラCに搭載することもできる。つまり、距離画像カメラCに搭載された情報処理装置にて監視サーバ10の機能を実現してもよい。
【0020】
上記設置ロボット20(設置装置)は、人形の形状のロボットであって、演算装置と記憶装置とを備えた情報処理端末にて構成されている。また、設置ロボット20は、音を検出するマイク21と、音を出力するスピーカ22と、通信装置(図示せず)と、を備えており、監視サーバ10と通信して情報のやり取りが可能となる。特に、設置ロボット20は、演算装置がプログラムを実行することで、後述するように監視サーバ10からの指示に応じて、スピーカ22から音を出力したり、マイク21で検出した音を監視サーバ10に送信する、といった処理を行う機能を有する。
【0021】
また、設置ロボット20は、人形の腕形状のフック20a(固定具)を備えており、寝床であるベッドBの周囲に設置されたベッドガードBGの上端に引っかけることが可能なように構成されている。これにより、設置ロボット20をベッドBのベッドガードBGといった所定部位に固定することができる。但し、設置ロボット20は、いかなる構造の固定具を備えていてもよく、いかなる方法でベッドBなどの寝床に固定されていてもよく、寝床のいかなる部位に固定されていてもよい。
【0022】
上記監視端末30(監視装置)は、被介護者である人物Pの介護を行う介護者や、監視する監視者であるユーザUが操作する情報処理端末である。監視端末30は、介護者などのユーザUが在籍する監視ルームR2など、人物Pの部屋R1(第一領域)とは離れた場所(第二領域)に設置されており、複数のユーザUによって操作可能である。監視端末30は、表示画面に距離画像を表示すると共に、監視に関する操作指示を入力可能とし、かかる操作指示を監視サーバ10に送信したり、監視サーバ10から発せられる人物Pの状態の通知を受信して、ユーザUに報知する機能を有する。また、監視端末30は、図示しないが、マイク(他のマイク)及びスピーカ(他のスピーカ)を備えており、マイクにてユーザUの音声を入力したり、スピーカからユーザUに音声を出力する。そして、ユーザUは監視端末30を用いることで、後述するように、設置ロボット20に搭載されたマイク21とスピーカ22を介して、人物Pと通話することができる。
【0023】
上記携帯端末40(監視装置)は、上記ユーザUが保持して操作するスマートフォンなどの情報処理端末である。携帯端末40は、監視サーバ10と無線通信を介して接続される通信可能であり、介護者などのユーザUが在籍する監視ルームR2や他の被介護者の部屋など、人物Pの部屋R1(第一領域)とは離れた場所(第二領域)に位置し、複数のユーザUによって操作可能である。携帯端末40は、表示画面に距離画像を表示すると共に、監視に関する操作指示を入力可能とし、かかる操作指示を監視サーバ10に送信したり、監視サーバ10から発せられる人物Pの状態の通知を受信して、ユーザUに報知する機能を有する。また、携帯端末40は、図示しないが、マイク(他のマイク)及びスピーカ(他のスピーカ)を備えており、マイクにてユーザUの音声を入力したり、スピーカからユーザUに音声を出力する。そして、ユーザUは携帯端末40を用いることで、後述するように、設置ロボット20に搭載されたマイク21とスピーカ22を介して、人物Pと通話することができる。
【0024】
上記監視サーバ10は、距離画像カメラCからの距離画像を用いて人物Pの部屋における当該人物Pの特定の動作状態を検知する機能と、設置ロボット20にて検出された音及び設置ロボット20から出力される音を処理することにより設置ロボット20による人物Pとの対話を行う機能と、を主に有する。なお、本実施形態では、上記2つの機能を監視サーバ10が備えている場合を例示するが、当該2つの機能は別々のサーバ装置や情報処理システムが備えていてもよい。つまり、監視サーバ10は、距離画像を用いた人物Pの動作を検知する動作検知装置と、設置ロボット20を用いた人物Pとの対話を行う音処理装置と、を備えて構成されていてもよい。
【0025】
監視サーバ10は、演算装置及び記憶装置を有する1台又は複数台の情報処理装置で構成される。そして、監視サーバ10は、図2に示すように、演算装置がプログラムを実行することで構築された、画像取得部11、動作検知部12、対話部13、通知部14、通話部15、を備えている。また、監視サーバ10は、記憶装置に形成された、対話情報記憶部16を備えている。以下、各構成について詳述するが、併せて監視サーバ10の動作も図6のフローチャートを参照して説明する。なお、監視サーバ10の機能については、上記距離画像カメラCに搭載することもできる。つまり、距離画像カメラCに搭載された情報処理装置にて監視サーバ10の機能を実現してもよい。
【0026】
上記画像取得部11は、上述したように距離画像カメラCにて撮影されたベッドBを含む部屋R1内の距離画像を、当該距離画像カメラCから取得する。そして、取得した距離画像を動作検知部12に渡すことで、当該距離画像は後述する処理に用いられる。なお、画像取得部11は、常に取得した距離画像をそのまま監視端末30や携帯端末40に送信し、監視端末30や携帯端末40の表示装置に表示するよう出力してもよい。
【0027】
上記動作検知部12(動作検知手段)は、まず、距離画像内における人物Pを検出する処理を行う。動作検出部12は、例えば、時間的に前後する距離画像の差分を用いて移動する物体を検出し、さらに、検出した物体の形状(例えば、頭部及び胴体部の対に相当する物体があるか)に基づいて、人物Pとして検出する。そして、動作検出部12は、距離画像に基づいて、上述したように検出した人物Pを追従して、かかる人物Pの動作状態を判別する。例えば、動作検出部12は、人物Pの高さと重心位置を検出し、当該高さと重心位置との距離画像内における位置関係から、人物Pの動作状態を判別する。このとき、動作検知部12は、人物Pの高さと重心位置と距離画像内のベッドBとの位置関係にも基づいて、人物Pの動作状態が、予め設定された特定の動作状態であるか否かを判別する(ステップS1)。そして、動作検知部12は、人物Pが特定の動作状態であると判別すると(ステップS1でNo)、その動作状態の内容を認識し、その内容を対話部13に通知する。
【0028】
ここで、人物Pの状態の一例を、図1図3乃至図5に示す。動作検知部12は、図1図3乃至図5に示すような距離画像から上述したように人物Pを検出し、人物Pの頭頂部や重心位置の高さとベッドBの高さとの位置関係に基づいて、当該人物Pの動作状態を判別する。例えば、図1に示すように人物PがベッドBに横たわっている状態(臥位状態)である場合には、人物Pがかかる状態(ベッドB上に位置して横たわっている)であることを認識するだけで、特定の動作状態とは検知しない(ステップS1でNo)。一方で、動作検知部12は、例えば、図3に示すように人物PがベッドBの境界に位置する状態、図4に示すように人物PがベッドBから離れてうずくまっている状態、図5に示すように人物PがベッドBから離れて横たわっている状態、である場合には、人物Pの動作状態が異常と判断できる可能性のある特定の動作状態であることとして検知し、対話部13に通知する(ステップS1でYes)。但し、本発明で判定する特定の動作状態は、上述した状態に限定されず、他の動作状態を特定の動作状態として判定してもよい。例えば、人物PがベッドBに立つ状態(立位状態)、人物PがベッドB上に座っている状態(起き上がり状態)、を異常と判断できる可能性のある特定の動作状態として検知してもよい。
【0029】
なお、ユーザUは、監視端末30や携帯端末40に表示された距離画像カメラCにて撮影された距離画像を見ることができるが、かかる距離画像を見て人物Pが特定の動作状態であると判断した場合に、人物Pと通話するよう携帯端末40を操作してもよい(ステップS2でYes)。これにより、監視サーバ10の通話部15(通話手段)は、ユーザUと人物Pとが通話可能なよう、携帯端末40と設置ロボット20とを接続する(ステップS7)。つまり、通話部15は、携帯端末40のマイクにて検出した音声を設置ロボット20のスピーカ22から出力するよう制御し、かつ、設置ロボット20のマイク21にて検出した音声を携帯端末40のスピーカから出力するよう制御する。
【0030】
例えば、ユーザUは、距離画像を見た際に、図4に示すように人物PがベッドBから離れてうずくまっていて特定の動作状態であると判断した際に、携帯端末40を操作して当該携帯端末40に対して「大丈夫ですか?」などと音声を入力する。これにより、ユーザUは音声を設置ロボット20から出力でき、遠隔で人物Pに声がけを行うことができる。そして、ユーザUからの声がけに応じて人物Pが音声を発することで、かかる音声を設置ロボット20に入力して携帯端末40から出力でき、ユーザUに対して応答することができる。例えば、人物Pが「大丈夫です」と応答した場合には、ユーザUは特に何もせず、人物Pが「痛い」などと応答した場合には、ユーザUは急いで人物Pの部屋に駆け付けるなど迅速な対応をとることができる。なお、通話部15による通話機能は、上述したように動作検出部12にて人物Pが特定の動作状態であることを検知したときに、ユーザUの操作に関わらず自動的に作動してもよい。つまり、人物Pの特定の動作状態を検知した時に、自動的に携帯端末40と設置ロボット20とが通話状態となってもよい。
【0031】
上記対話部13(対話手段)は、上述したように動作検知部12から人物Pが特定の動作状態であり、特定の動作状態の内容の通知を受けると、特定の動作状態の内容に応じて予め設定された音声を、設置ロボット20から出力する(ステップS3)。このとき、監視サーバ10の対話情報記憶部16には、人物Pの特定の動作状態の内容ごとに予め設定された音声データが記憶されている。一例として、対話情報としては、図3に示すように人物PがベッドBの境界に位置する状態であることに対応して、「歩いたら危ないからそのままでいるように」といった音声データが記憶されており、図4に示すように人物PがベッドBから離れてうずくまっている状態や、図5に示すように人物PがベッドBから離れて横たわっている状態に対応して、「大丈夫ですか?コールしますか?」といった音声データが記憶されている。これにより、対話部13は、人物Pの特定の動作状態の内容に応じて設定された音声を、設置ロボット20のスピーカ22から出力することができ、当該設置ロボット20にて人物Pに声がけすることができる。
【0032】
また、対話部13は、上述したように設置ロボット20から音声を出力した後に、当該設置ロボット20のマイク21にて検出された音声を取得し、かかる音声の内容を認識する(ステップS4)。つまり、対話部13は、設置ロボット20を介して、人物Pに対して声がけを行った後の当該人物Pの応答である音声を取得して、その内容を認識する。このとき、対話部13は、人物Pから応答の音声が無い場合でも、音声がない旨を認識する。そして、対話部13は、人物Pからの応答の内容を認識した結果を通知部14に伝える。
【0033】
上記通知部14(通知手段)は、人物Pからの応答の内容を認識した結果に応じて、ユーザUに対して人物Pが異常状態である可能性がある旨の通知を行うか否かを判定する(ステップS5)。そして、通知部14は、通知を行うと判定した場合には(ステップS5でYes)、監視端末30や携帯端末40に対して、人物Pが異常状態である可能性があることを通知する通知情報を送信する(ステップS6)。
【0034】
ここで、上述した対話部13による対話と、それに対する通知部14による通知の具体例を説明する。例えば、図3の場合に、人物PがベッドBの境界に位置する状態で設置ロボット20から「歩いたら危ないからそのままでいるように」といった声がけを行ったときに、人物Pから「ありがとう、じゃぁ待つよ」といった音声の入力を受けて、かかる内容を認識した場合には、人物Pは異常状態ではない可能性が高く、通知を行わないと判定する。また、図4の場合に、人物PがベッドBから離れてうずくまっている状態で設置ロボット20から「大丈夫ですか?コールしますか?」といった声がけを行った時に、人物Pから「大丈夫です」といった音声の入力を受けて、かかる内容を認識した場合には、人物Pは異常状態ではない可能性が高く、通知を行わないと判定する。このように、設置ロボット20との対話において、人物Pがコールを求めないと判定される予め設定された文言を入力した場合には、通知を行わないと判定する。
【0035】
一方、図4の場合に、人物PがベッドBから離れてうずくまっている状態で設置ロボット20から「大丈夫ですか?コールしますか?」といった声がけを行った時に、人物Pから「呼んで」といった音声の入力を受けて、かかる内容を認識した場合には、人物Pは異常状態である可能性があるため、通知を行うと判定する。このように、設置ロボット20との対話において、人物Pがコールを求めると判定される予め設定された文言を入力した場合には、通知を行うと判定する。また、図5の場合に、人物PがベッドBから離れて横たわっている状態で設置ロボット20から「大丈夫ですか?コールしますか?」といった声がけを行った時に、人物Pから何ら音声による応答がなかった場合にも、人物Pは異常状態である可能性があるため、通知を行うと判定する。
【0036】
なお、上述した対話部13による対話と、それに対する通知部14による通知の例は一例であって、いかなる対話が行われてもよく、また、その対話の内容に応じて、いかなる判断で通知を行ってもよい。
【0037】
以上のように、本実施形態では、設置ロボット20が人物Pである被介護者と対話を行い、その内容に応じて、ユーザUである介護者に対して通知を行う。このため、介護者が被介護者に対してあらゆる状況に対処する必要はなく、必要な時だけ対処することができる。その結果、介護者が効率よく被介護者に対して適切な対応をとることができる。特に、本実施形態では、距離画像を用いて事前に被介護者の特定の動作状態を検出して、かかる特定の動作状態の検出後に、設置ロボット20が被介護者と特定の動作状態の内容に応じた対話を行っている。このため、より被介護者の状況に応じて必要なときにのみ介護者に通知を行うことができ、介護者による対応のさらなる効率化を図ることができる。
【0038】
なお、上記では、距離画像を用いて人物Pの特定の動作状態の検知を行っているが、いかなる画像を用いて人物Pの特定の動作状態の検知を行ってもよい。また、人物Pの動作状態の検知は、必ずしも画像を用いて行うことに限定されず、各種センサを用いるなどいかなる方法で人物Pの動作状態の検知を行ってもよい。
【0039】
なお、上述したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0040】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 監視サーバ
11 画像取得部
12 動作検知部
13 対話部
14 通知部
15 通話部
16 対話情報記憶部
20 設置ロボット
20a 固定具
21 マイク
22 スピーカ
30 監視端末
40 携帯端末
B ベッド
BG ベッドガード
C 距離画像カメラ
P 人物
U ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6