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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】ガス比例弁ユニット及び給湯器
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/02 20060101AFI20240815BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20240815BHJP
   F16K 47/02 20060101ALI20240815BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20240815BHJP
   F23N 1/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F16K27/02
F16K31/06 385F
F16K31/06 305K
F16K47/02 D
F23K5/00 301D
F23N1/00 102D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020058518
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156385
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢祐
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-000015(JP,A)
【文献】特開平01-153878(JP,A)
【文献】特開2000-310350(JP,A)
【文献】実開昭56-008983(JP,U)
【文献】特開2002-228140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00-1/54
27/00-27/12
31/06-31/11
39/00-51/02
F23K 5/00-5/22
F23N 1/00
5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスが通過可能な円柱状の内部通路を有する第1ケーシングと、
前記内部通路内で前記内部通路の軸方向へ移動可能に配置される弁体と、
前記第1ケーシングに連結され、通電量に応じてプランジャを動作させて前記弁体を移動させ、前記内部通路の開度を調整可能な電磁ソレノイドと、
前記第1ケーシングに設けられ、前記弁体より上流側から前記内部通路に燃料ガスを供給するためのガス供給路と、を含んでなるガス比例弁ユニットであって、
前記弁体の下流側で前記第1ケーシングには、前記内部通路と連通し、前記内部通路の軸線に沿って延びる第2の内部通路を備えた第2ケーシングが連結されており、
前記第2の内部通路の下流側の端部で前記第2ケーシングに、前記第2の内部通路と連通するガス出口部が設けられている一方、
前記第2の内部通路は、前記内部通路との連通側に、前記内部通路と同軸となる円柱状通路を有し、
前記円柱状通路には、当該円柱状通路の軸方向に沿って延びる支持柱が設けられて、前記支持柱と前記弁体との間に、前記弁体を閉弁方向に付勢すると共に、前記弁体の移動を支持するコイルバネが設けられていることを特徴とするガス比例弁ユニット。
【請求項2】
前記第2の内部通路における前記円柱状通路の下流側には、前記円柱状通路よりも通路面積が小さい狭窄通路が形成されて、前記狭窄通路の下流側の端部が前記ガス出口部と連通していることを特徴とする請求項に記載のガス比例弁ユニット。
【請求項3】
前記円柱状通路は、前記内部通路よりも軸方向の長さが長くなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス比例弁ユニット。
【請求項4】
バーナと、
前記バーナに燃料ガスを供給するガス管と、を含み、
前記ガス管に、請求項1乃至の何れかに記載のガス比例弁ユニットを備えてなることを特徴とする給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器において、バーナに燃料ガスを供給するために設けられるガス比例弁ユニットと、そのガス比例弁ユニットを備えた給湯器とに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器は、筐体内に、バーナを備えた燃焼装置と、熱交換器とを備え、燃料ガスと燃焼用空気との混合気に点火して燃焼するバーナの燃焼排気により、熱交換器を通過する水を加熱して出湯させる。
バーナへのガス管には、要求されるインプットに対応して開度(通過面積)を調整する比例弁が設けられる。この比例弁は、特許文献1に開示されるように、ケーシング内に設けた円柱状の第1空間内に弁座を形成し、この弁座を開閉する弁体部を備えた軸部を、電磁ソレノイドによって軸方向へ進退動可能に設ける一方、弁体部の一次圧室側にガス流入口を、弁体部の二次圧室側にガス流出口をそれぞれ備えている。比例弁は、電磁ソレノイドへの通電量に比例した押圧力を軸部に作用させて弁体部と弁座との間の開度を調整し、ガス流入口から供給される燃料ガスを所定量だけガス流出口へ供給する。
このような比例弁において、ガス流入口の上流側には、元電磁弁を収容する円柱状の第2空間が、第1空間と直交状に連結され、第2空間の上流側に、給湯器のガス入口と接続されるガス通路が形成される。よって、比例弁は、第2空間とガス通路とが連設されて一体化したガス比例弁ユニットとして製造され、給湯器内に組み込まれることが多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-26026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のガス比例弁ユニットにおいては、弁座を通過した燃料ガスが二次圧室の側面に形成されるガス流出口へ短い距離だけ移動して流れる。このため二次圧室内で燃料ガスが偏って流れ、ケーシングの一部や弁体の一部に力が集中して作用し、ユニット全体に振動が発生してユーザに不快感を与えるおそれがある。二次圧室に整流用の新たな部材を設ければガス分布の偏りは軽減されるが、構造が複雑となって製造コストがかさんでしまう。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成で、振動の発生を効果的に抑制することができるガス比例弁ユニット及び給湯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、燃料ガスが通過可能な円柱状の内部通路を有する第1ケーシングと、
内部通路内で内部通路の軸方向へ移動可能に配置される弁体と、
第1ケーシングに連結され、通電量に応じてプランジャを動作させて弁体を移動させ、内部通路の開度を調整可能な電磁ソレノイドと、
第1ケーシングに設けられ、弁体より上流側から内部通路に燃料ガスを供給するためのガス供給路と、を含んでなるガス比例弁ユニットであって、
弁体の下流側で第1ケーシングには、内部通路と連通し、内部通路の軸線に沿って延びる第2の内部通路を備えた第2ケーシングが連結されており、
第2の内部通路の下流側の端部で第2ケーシングに、第2の内部通路と連通するガス出口部が設けられている一方、
第2の内部通路は、内部通路との連通側に、内部通路と同軸となる円柱状通路を有し、
円柱状通路には、当該円柱状通路の軸方向に沿って延び支持柱が設けられて、支持柱と弁体との間に、弁体を閉弁方向に付勢すると共に、弁体の移動を支持するコイルバネが設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、上記構成において、第2の内部通路における円柱状通路の下流側には、円柱状通路よりも通路面積が小さい狭窄通路が形成されて、狭窄通路の下流側の端部がガス出口部と連通していることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、上記構成において、円柱状通路は、内部通路よりも軸方向の長さが長くなるように形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項に記載の発明は、給湯器であって、
バーナと、
バーナに燃料ガスを供給するガス管と、を含み、
ガス管に、請求項1乃至の何れかに記載のガス比例弁ユニットを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1及びに記載の発明によれば、弁体の下流側で第1ケーシングに、内部通路と連通し、内部通路の軸線に沿って延びる第2の内部通路を備えた第2ケーシングを連結して、第2の内部通路の下流側にガス出口部を設ける構成としたことで、内部通路内で燃料ガスの流れに偏りが生じたとしても、第2の内部通路では燃料ガスが周方向に拡散しつつ軸方向に向けて流れるため、燃料ガスの集中が緩和され、第1ケーシング等に作用する力が弱まる。よって、簡単な構成で振動の発生を効果的に抑制することができる。
特に、第2の内部通路の円柱状通路には、当該円柱状通路の軸方向に沿って延び支持柱が設けられているので、円柱状通路において燃料ガスの周方向への流れを促進することができ、ガスの均一化が効果的に行われ、振動の発生の抑制により効果的となる。また、支持柱と弁体との間に介在させたコイルバネによって弁体のがたつきも抑えられるため、ここでも振動抑制に繋がる。
請求項に記載の発明によれば、上記効果に加えて、第2の内部通路における円柱状通路の下流側には、通路面積が小さい狭窄通路が形成されて、狭窄通路の下流側の端部がガス出口部と連通しているので、円柱状通路で均一化された燃料ガスを狭窄通路に導いて直線状のガス出口部に流すことができる。よって、ガス出口部の圧損を防止することができる。また、第1ケーシングから後側に突出することなく狭窄通路をガス出口部の後端に接続できるので、前後方向の厚みが大きくなることがない。
請求項に記載の発明によれば、円柱状通路は、内部通路よりも軸方向の長さが長くなるように形成されているので、燃料ガスを均一化するのに十分な通路長さを確保でき、振動抑制に効果的となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フロントカバーを外した状態の給湯器の斜視図である。
図2】フロントカバーを外した状態の給湯器の正面図である。
図3】ガス分配ユニット及びガス比例弁ユニットの正面図である。
図4】ガス比例弁ユニットの斜視図である。
図5】ガス比例弁ユニットの側面図である。
図6図3のA-A線断面図である。
図7図3のB-B線断面図である。
図8図3のC-C線断面図である。
図9図3のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,2は、給湯器の一例を示す説明図で、図1は前面のフロントカバーを外した状態の斜視を示し、図2は正面を示している。
給湯器1は、四角箱状の筐体2内に、燃焼装置3と、その上側の熱交換器4とを設置している。燃焼装置3の前面には、燃焼装置3内の図示しないバーナユニットに燃料ガスを分配供給するためのガス分配ユニット5が組み付けられる。燃焼装置3の下面には、燃焼用空気を供給する給気ファン6が組み付けられる。熱交換器4は、バーナユニットの燃焼排気から顕熱を回収する下側の一次熱交換器4Aと、潜熱を回収する上側の二次熱交換器4Bとを備える。燃焼装置3と一次、二次熱交換器4A,4Bとの内部は、それぞれ風呂側と給湯側とに仕切られている。二次熱交換器4Bを通過した燃焼排気は、二次熱交換器4Bの前面に設けた排気口7から外部へ排出可能となっている。
【0010】
一次熱交換器4Aにおいて、給湯側一次熱交換器の伝熱管は、入側端部が給湯側二次熱交換器の吸熱管の出側端部に接続され、伝熱管の出側端部が出湯管8に接続される。二次熱交換器4Bにおいて、給湯側二次熱交換器の吸熱管の入側端部は、給水管9に接続される。一次熱交換器4Aにおいて、風呂側一次熱交換器の伝熱管は、入側端部が風呂側二次熱交換器の吸熱管の出側端部に接続され、伝熱管の出側端部が往き管10に接続される。二次熱交換器4Bにおいて、風呂側二次熱交換器の吸熱管の入側端部は、戻り管11に接続される。
筐体2の下面には、外部のガス管が接続されるガス入口12と、水道管が接続される水入口13と、給湯栓への外部配管が接続される湯出口14と、外部の浴槽へ接続される往き口15及び戻り口16とが設けられている。ガス入口12は、筐体2内で、ガス比例弁ユニット17を介してガス分配ユニット5に接続される。水入口13は、給水管9に接続され、湯出口14は、出湯管8に接続される。往き口15は往き管10に接続され、戻り口16は戻り管11に接続される。ガス比例弁ユニット17の前方には、制御回路基板を備えたコントローラC(図6)が配置される。
【0011】
ガス分配ユニット5は、バーナユニットを収容する燃焼装置3のインナーケース20の前面に組み付けられている。ガス分配ユニット5は、図3に示すように、左右方向に延びる扁平状で、背面には、バーナユニットを構成する複数のバーナの位置に合わせてノズル21,21(図6)を左右方向に複数備えると共に、内部には、複数のノズル21,21の群ごとに風呂側と給湯側とに区画されるガス分配部22A,22Bを有している。但し、給湯側のガス分配部22B,22B・・は、バーナの数が異なる3つに分割されている。各ガス分配部22A,22Bの下部は、左右方向のガス供給部23とそれぞれ連通しており、各ガス分配部22A,22Bの下部とガス供給部23との連通部には、電磁弁24,24・・が設けられて、各電磁弁24の開閉動作により、選択したガス分配部22A,22Bへ燃料ガスが供給可能となっている。
【0012】
ガス比例弁ユニット17は、図4,5にも示すように、上端がガス分配ユニット5に接続される上ケーシング31と、上ケーシング31の下部に連結され、下端がガス入口12に接続される下ケーシング32とからなるケーシング30を備える。下ケーシング32には、電磁ソレノイド33と元電磁弁34とが連結されている。
上ケーシング31は、図6に示すように、軸線A1が上下方向に延びる筒状で、下部には円柱部35が、その上側には、前側の半円部分を切除した格好の半円部36が形成されている。但し、半円部36は、上方へ行くに従って横断面形状が徐々に小さくなる先細り状となっている。半円部36の上端には、筒状のガス出口部37が前向きに形成されて、ガス分配ユニット5のガス供給部23の上流端と接続されている。
上ケーシング31内において、円柱部35の上面には、軸線A1と同軸上で下向きに突出する支持柱38が形成されている。この支持柱38は、図7に示すように、開放側が後向きとなる横断面C字状で、前側には、リブ39が形成されている。
【0013】
下ケーシング32は、上ケーシング31の円柱部35に連結される比例弁部40と、比例弁部40の側面から横向きに形成される元弁部41と、元弁部41の下面から下向きに形成されるガス入口部42とを備え、正面視が倒L字状となっている。
比例弁部40は、円柱部35と同軸で結合される筒状で、比例弁部40の内部には、環状の弁座43が形成されている。弁座43の内側には、上下方向に延びる軸部45と、軸部45の上部から上方へ行くに従って徐々に拡開する傘状の弁部46とからなる弁体44が配置されている。軸部45は、比例弁部40の下端に設けられたダイヤフラム47により、上下移動可能に支持されている。よって、弁体44の上下移動により、比例弁部40内の後述する第3通路63の開度が変更可能となっている。支持柱38の下端と弁部46の上面中央に設けたバネ受け部48との間には、コイルバネ49が介在されて、弁体44を閉弁方向に付勢すると共に、弁体44の上下方向の移動を支持している。
電磁ソレノイド33は、比例弁部40の下部に連結されて、プランジャ50を軸部45の下端に結合させている。よって、電磁ソレノイド33の通電に伴ってプランジャ50が上方へ移動することで、軸部45を連動させて弁部46による開度調整が可能となっている。
【0014】
元弁部41は、比例弁部40から左向きに突出する筒状で、内部には、図8に示すように、環状の弁座55が形成されている。但し、元弁部41の軸線A2は、比例弁部40の軸線A1と交わっておらず、図6及び図8に示すように、比例弁部40の軸線A1から前後方向で手前側にオフセットしている。元弁部41の突出端には、元電磁弁34が連結されて、元弁部41内に突出する弁軸56の先端に、弁体57を備えている。弁軸56は、常態では弁体57が弁座55を閉塞する位置にあり、通電により弁軸56が左方向へ後退することで、弁座55を開放可能となっている。
ガス入口部42は、図9に示すように、元弁部41の下面から下向きに突出する筒状であるが、ガス入口部42の軸線A3は、元弁部41の軸線A2と交わっておらず、図8及び図9に示すように、元弁部41の軸線A2から前後方向で手前側にオフセットしている。
【0015】
こうしてガス比例弁ユニット17の内部には、下ケーシング32のガス入口部42内に同軸で形成される第1通路61(図8,9)と、元弁部41内に同軸で形成される第2通路62(図8,9)と、比例弁部40内に同軸で形成される第3通路63(図6,8)と、上ケーシング31の円柱部35内に同軸で形成される第4通路64(図6)と、半円部36内に形成される第5通路65(図6)と、ガス出口部37内に形成される第6通路66(図6)とが一連で形成される。第4通路64と第5通路65とが上ケーシング31内で連通する連通空間67を形成している。第4通路64は、軸方向で第3通路63よりも長く形成されている。
ガス入口部42は、平面視でガス分配ユニット5よりも後方に位置するガス入口12に接続される。このガス入口部42に対して元弁部41が後方へオフセットし、元弁部41に対して比例弁部40が後方へさらにオフセットすることになる。よって、ガス比例弁ユニット17の組み付け状態では、ガス比例弁ユニット17は、図6に示すように、ガス分配ユニット5よりも前方に突出することがないため、その前側にコントローラCを設置するスペースを確保できる。
【0016】
以上の如く構成されたガス比例弁ユニット17及び給湯器1においては、湯出口14の配管に接続される給湯栓を開栓して器具内に通水させると、これを検知したコントローラCがガス比例弁ユニット17の元電磁弁34へ通電させて第2通路62を開くと共に、電磁ソレノイド33へ通電させて、第3通路63が点火時の所定開度となるように弁体44を移動させる。一方、コントローラCは、風呂側の使用であればこれに対応するガス分配部22Aの電磁弁24を開き、給湯側の使用であればこれに対応するガス分配部22Bの電磁弁24を開く。
よって、ガス入口12からガス比例弁ユニット17に供給される燃料ガスは、ガス入口部42の第1通路61から元弁部41の第2通路62を通って比例弁部40の第3通路63に流れる。このとき、第3通路63に対してオフセットしている第2通路62から流れ込む燃料ガスは、図8に矢印で示すように、第3通路63内で比例弁部40の内周面に沿って旋回しながら弁座43と弁部46との間を通過する。よって、燃料ガスが上ケーシング31側へ均一に流れ、一部に集中して流れたり、軸部45に当たって分岐して反対側で合流したりすることで渦流が発生することが少なくなり、下ケーシング32での騒音の発生が抑制される。
【0017】
比例弁部40を通過した燃料ガスは、図6に矢印で示すように、上ケーシング31の円柱部35内の第4通路64へ上向きに流れる。よって、燃料ガスが一部に集中することなく、周方向の流れを生じさせて第4通路64内を上昇するため、燃料ガスが均一に流れて上ケーシング31に作用する力が抑えられる。特に第4通路64は、第3通路63よりも軸方向の長さが長いので、燃料ガスの均一化が促進され、上ケーシング31でも騒音の発生が抑制される。
そして、燃料ガスは、第4通路64から半円部36内の通路面積の狭い第5通路65を流れ、ガス出口部37の第6通路66を通ってガス分配ユニット5のガス供給部23に入る。このとき、ガス出口部37では、第6通路66の後端から前進してガス供給部23に流れ込むため、ガス供給部23に至る直線状の流れが確保でき、振動抑制及び圧損抑制に繋がる。また、第4通路64に対して後方へ偏心させることで第5通路65を形成しているので、ガス出口部37を上ケーシング31から後方へ突出させることなく第6通路66を形成でき、前後方向での薄型化も維持可能となる。
【0018】
こうしてコントローラCは、ガス分配ユニット5へ燃料ガスを供給させると共に、給気ファン6を作動させて燃焼用空気を供給させる。よって、ガス分配ユニット5のノズル21,21・・から供給される燃料ガスは、一次空気と共に各バーナに供給される。そして、コントローラCにより放電電極が連続放電すると、各バーナの炎孔部から噴出する混合気が燃焼する。バーナユニットの燃焼排気は、一次熱交換器4Aの伝熱管と二次熱交換器4Bの吸熱管とを通過する水と熱交換され、設定温度の湯となって出湯管8から出湯される。コントローラCは、必要な燃焼量に合わせて電磁ソレノイド33の通電量を制御して弁体44による第3通路63の開度を調整し、ガス比例弁ユニット17からの燃料ガスの供給量を調整すると共に、給気ファン6の回転数を連続的に変化させて、所定の空燃比を維持する。また、コントローラCは、必要な燃焼量に合わせてガス分配部22A,22Bの電磁弁24を開閉制御することで、バーナの燃焼本数を段階的に制御する。
【0019】
(第2通路のオフセットに係る発明の効果)
上記形態のガス比例弁ユニット17及び給湯器1によれば、燃料ガスが通過可能な円柱状の第3通路63(内部通路)を有する下ケーシング32(ケーシング)と、第3通路63内で第3通路63の軸方向へ移動可能に配置される弁体44と、下ケーシング32に連結され、通電量に応じてプランジャ50を動作させて弁体44を移動させ、第3通路63の開度を調整可能な電磁ソレノイド33と、を含み、下ケーシング32には、弁体44より上流側から第3通路63に燃料ガスを供給するための第2通路62(ガス供給路)が、自身の軸線A2(中心)が第3通路63の軸線A1に対してオフセットする位置で設けられている。
この構成により、第2通路62から第3通路63に入り込んだ燃料ガスは、第3通路63内で旋回するため、弁体44の一部に集中して作用したり、第2通路62の反対側で合流して渦流を発生させたりすることがなくなる。よって、簡単な構成で振動の発生を効果的に抑制することができる。また、弁体44の下流側へ燃料ガスを均一に流すことができるため、燃料ガスの分布を均一化させるための部材が不要又は小型化し、コスト低減に繋がる。
【0020】
特に、第2通路62は、第3通路63の軸線A1と交差する円柱状に形成されて、下ケーシング32には、第2通路62を開閉する弁体57を備えた元電磁弁34が設けられており、元電磁弁34よりも上流側で第2通路62には、第3通路63の軸線A1に沿って延びる第1通路61(上流側ガス供給路)が、自身の軸線A3(中心)が第2通路62の軸線A2に対して、第2通路62のオフセットと同じ方向へオフセットする位置で設けられている。
この構成により、ガス入口12(ガス入口部)の位置に対して、ガス比例弁ユニット17全体を一方側(ここでは奥側)へ配置することができる。よって、ガス入口12の配置の自由度を高めることができると共に、筐体2内部でガス比例弁ユニット17と干渉することなくコントローラCの設置スペースが確保可能となる。
【0021】
なお、第2通路の位置は上記形態に限らず、第3通路(内部通路)の軸線から半径方向へより離れる方向へオフセットさせてもよい。また、第2通路は厳密な左右方向とせず、前後や上下に傾斜するものであっても差し支えない。第3通路に対する接続の向きも上記形態に限らず、右側や後側、前側から接続させることもできる。
第1通路のオフセットは必須ではなく、第2通路の軸線と交差するように設けることもできる。
【0022】
(連通空間に係る発明の効果)
上記形態のガス比例弁ユニット17及び給湯器1によれば、燃料ガスが通過可能な円柱状の第3通路63(内部通路)を有する下ケーシング32(第1ケーシング)と、第3通路63内で第3通路63の軸方向へ移動可能に配置される弁体44と、下ケーシング32に連結され、通電量に応じてプランジャ50を動作させて弁体44を移動させ、第3通路63の開度を調整可能な電磁ソレノイド33と、下ケーシング32に設けられ、弁体44より上流側から第3通路63に燃料ガスを供給するための第2通路62(ガス供給路)と、を含んでなり、弁体44の下流側で下ケーシング32には、第3通路63と連通し、第3通路63の軸線A1に沿って延びる連通空間67(第2の内部通路)を備えた上ケーシング31(第2ケーシング)が連結されており、連通空間67の下流側の端部で上ケーシング31に、連通空間67と連通するガス出口部37が設けられている。
この構成により、第3通路63内で燃料ガスの流れに偏りが生じたとしても、連通空間67では燃料ガスが周方向に拡散しつつ軸方向に向けて流れるため、燃料ガスの集中が緩和され、上ケーシング31に作用する力が弱まる。よって、簡単な構成で振動の発生を効果的に抑制することができる。
【0023】
特に、連通空間67は、第3通路63との連通側に、第3通路63と同軸となる第4通路64(円柱状通路)を有し、第4通路64には、当該第4通路64の軸方向に沿って延びて弁体44の移動を支持する支持柱38が設けられている。
この構成により、第4通路64において燃料ガスの周方向への流れを促進することができ、ガスの均一化が効果的に行われ、振動の発生の抑制により効果的となる。また、支持柱38によって弁体44のがたつきも抑えられるため、ここでも振動抑制に繋がる。
【0024】
また、連通空間67における第4通路64の下流側には、第4通路64よりも通路面積が小さい第5通路65(狭窄通路)が形成されて、第5通路65の下流側の端部がガス出口部37と連通している。
この構成により、第4通路64で均一化された燃料ガスを第5通路65に導いて直線状のガス出口部37に流すことができる。よって、ガス出口部37の圧損を防止することができる。また、上ケーシング31から後側に突出することなく第5通路65をガス出口部37の後端に接続できるので、前後方向の厚みが大きくなることがない。
さらに、第4通路64は、第3通路63よりも軸方向の長さが長くなるように形成されている。
この構成により、燃料ガスを均一化するのに十分な通路長さを確保でき、振動抑制に効果的となる。
【0025】
なお、第3通路(内部通路)に対する第4通路(円柱状通路)の軸方向長さは、第3通路の軸方向長さの1.2~2.0倍とするのが望ましい。特に1.5倍以上とすると、振動抑制効果が顕著となる。但し、内部通路と円柱状通路との軸方向長さを同じとしたり、内部通路の方を長くしたりする変更を排除するものではない。
第4通路内の支持柱による弁体の支持は、コイルバネを用いず、例えば弁体の上面中央に設けた有底孔に支持柱の下端を遊挿させて支持させたり、これと逆に、弁体の上面中央に立設した突起を支持柱の下端に設けた開口に遊挿させて支持させたりしてもよい。支持柱の省略も可能である。
連通空間では狭窄通路をなくすこともできる。
【0026】
そして、各発明に共通して、ガス比例弁ユニットは上下方向でなく、第1ケーシングと第2ケーシングとの何れか一方又は両方が左右方向や前後方向、或いは傾斜方向に延びる形態であってもよい。ケーシングに対する電磁ソレノイド及び元電磁弁の取付位置も適宜変更できる。
ケーシングの構成も上記形態に限らず、3つ以上の部品を用いてケーシングを形成したりしても差し支えない。
給湯器自体の構成も上記形態に限らず、二次熱交換器を備えないタイプや風呂側の回路を備えないタイプであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・燃焼装置、4・・熱交換器、5・・ガス分配ユニット、8・・出湯管、9・・給水管、12・・ガス入口、14・・湯出口、17・・ガス供給ユニット、30・・ケーシング、31・・上ケーシング、32・・下ケーシング、33・・電磁ソレノイド、34・・元電磁弁、35・・円柱部、36・・半円部、37・・ガス出口部、38・・支持柱、40・・比例弁部、41・・元弁部、42・・ガス入口部、43,55・・弁座、44,57・・弁体、46・・弁部、61・・第1通路、62・・第2通路、63・・第3通路、64・・第4通路、65・・第5通路、66・・第6通路、67・・連通空間、C・・コントローラ。
図1
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図9