(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
A63F7/02 334
(21)【出願番号】P 2020163582
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】山室 雅義
(72)【発明者】
【氏名】椿谷 悠
【審査官】福田 知喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-069250(JP,A)
【文献】特開2014-121486(JP,A)
【文献】特開2019-097736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技板とそれを前方から覆う透明な透光窓板との間の流下空間を遊技球が流下すると共に、前記遊技板の前面から前面ダクトと入賞突部とが突出して、前記前面ダクトに取り込まれた遊技球が前記前面ダクトの下面に開口する排出口から、その下方に設けられた前記入賞突部の上面の入賞口に向けて排出される遊技機において、
前記前面ダクトの下面の前後方向の中央に対し、前記排出口の前後方向の中心が後側にずらして配置され
、
前記前面ダクトと前記入賞突部との間に案内部材を有する遊技機。
【請求項2】
遊技板とそれを前方から覆う透明な透光窓板との間の流下空間を遊技球が流下すると共に、前記遊技板の前面から前面ダクトと入賞突部とが突出して、前記前面ダクトに取り込まれた遊技球が前記前面ダクトの下面に開口する排出口から、その下方に設けられた前記入賞突部の上面の入賞口に向けて排出される遊技機において、
前記前面ダクトの下面の前後方向の中央に対し、前記排出口の前後方向の中心が後側にずらして配置され、
前記遊技板の前面に重なり、前記前面ダクト内の後面を形成する板部材と、
前記板部材の
うち前方から見て前記排出口と重なる位置に形成され、遊技球
を斜め後方に向か
うように案内する傾斜面と、を備える
遊技機。
【請求項3】
遊技板とそれを前方から覆う透明な透光窓板との間の流下空間を遊技球が流下すると共に、前記遊技板の前面から前面ダクトと入賞突部とが突出して、前記前面ダクトに取り込まれた遊技球が前記前面ダクトの下面に開口する排出口から、その下方に設けられた前記入賞突部の上面の入賞口に向けて排出される遊技機において、
前記前面ダクトの下面の前後方向の中央に対し、前記排出口の前後方向の中心が後側にずらして配置され、
前記遊技板の前面に重なり、前記前面ダクト内の後面を形成する板部材と、
前記板部材のうち前記排出口と上下方向で
重なる位置に形成され、斜め下後方に向かって傾斜する傾斜面と、を備える
遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊技板の前面を遊技球が流下する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、遊技板の前面から突出する前面ダクトを備え、前面ダクトに入球した遊技球が所定箇所に案内されて排出されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-126562(
図3,4参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した構成の遊技機では、前面ダクトから複数の遊技球が連なって排出されることで、排出先で球噛みを起こすことがあり、その対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の遊技機は、遊技板とそれを前方から覆う透明な透光窓板との間の流下空間を遊技球が流下すると共に、前記遊技板の前面から前面ダクトと入賞突部とが突出して、前記前面ダクトに取り込まれた遊技球が前記前面ダクトの下面に開口する排出口から、その下方に設けられた前記入賞突部の上面の入賞口に向けて排出される遊技機において、前記前面ダクトの下面の前後方向の中央に対し、前記排出口の前後方向の中心が後側にずらして配置されている遊技機である。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る遊技機のように、遊技板と透光窓板との間の流下空間を遊技球が流下するものでは、遊技板の前面か透光窓板の後面かの何れかに板状部材が重なることで流下空間の前後方向で狭くなる部分で球噛みが生じ得る。そして、上面に入賞口を備える入賞突部では、入賞口を前方から覆う入賞突部の前面壁が、透光窓板の後面に重なる板状部材に相当するので、入賞突部の入賞口の上方に排出口を有する前面ダクトを備えたものでは、排出口から遊技球が連なって排出されると、入賞突部の前面壁に乗り上がって遊技板の前面側に寄った遊技球と遊技板の前面との間に後続の遊技球が挟まれて球噛みが生じ得る。これに対し、本開示の遊技機は、前面ダクトの下面の前後方向の中央に対し、排出口の前後方向の中心が後側にずらして配置されているので、排出口から連なって排出される遊技球がスムーズに入賞口に入賞して、球噛みの発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図7】入賞ユニットのうち終端転動面の周辺の平断面図
【
図8】
図7のA-A切断における入賞ユニット及び入賞突部の側断面図
【
図9】球詰まりの一例を示す入賞ユニット及び入賞突部の側断面図
【
図10】スライド扉が閉じた状態の第2始動入賞口の平断面図
【
図11】スライド扉が開いた状態の第2始動入賞口の平断面図
【
図16】変形例に係る入賞ユニットにおける分岐転動路の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図15を参照して、第1実施形態のパチンコ遊技機10(本発明の「遊技機」に相当する。)について説明する。
図1に示すように、パチンコ遊技機10は、前面を前面枠10Zにて覆われており、その前面枠10Zのガラス窓10Wを通して
図2に示す遊技板11の遊技領域R1が視認可能になっている。なお、以下の説明において、特記しない限り「右」及び「左」とは、遊技機10を前方から見た場合の「右」及び「左」を指すものとする。また、図面に、横方向を符号「H1」で示し、その矢印の右側を「R」、左側を「L」として示すと共に、前後方向を符号「H2」で示し、その矢印の前側を「F」、後側を「B」として示す。
【0009】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26及び下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には操作ノブ28が設けられている。操作ノブ28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。なお、上皿26に備えた球排出ボタン(図示せず)を押すと上皿26に収容されている遊技球が下皿27へと移動する。
【0010】
図2に示すように、遊技領域R1は全体をガイドレール12により囲まれ、内側に遊技板11を貫通する表示開口11Hを備える。そして、表示開口11Hを通して表示装置13の表示画面13Gが視認可能になっている。また、表示開口11Hの開口縁には、表示装飾枠23が取り付けられて、表示開口11H内に遊技球が進入しないように規制している。
【0011】
遊技領域R1のうち表示開口11Hの周囲には、複数の入賞口と図示しない複数の障害釘とが分散配置されている。また、遊技領域R1の下端部にはアウト口22が設けられている。そして、遊技領域R1を流下する遊技球は、何れかの入賞口かアウト口22を通して遊技板11の後側に取り込まれる。また、入賞口に遊技球が入球することは「入賞」と呼ばれ、各入賞口への遊技球が入賞すると、複数の遊技球(賞球)が上皿26(
図1参照)に払い出される。
【0012】
上記した複数の入賞口には、ポケット型の入賞口である複数の普通入賞口21、第1及び第3の始動入賞口14,16と、スライド開閉型の入賞口である第2始動入賞口15と、横回動開閉型の入賞口である大入賞口20とが含まれる。
【0013】
ポケット型の複数の普通入賞口21、第1及び第3の始動入賞口14,16は、遊技板11の前面からと突出する入賞突部(
図8の符号16A参照)の上面に開口し、遊技球が1つずつ入賞可能な大きさをなしている。そして、遊技領域R1のうち表示装飾枠23より下方の領域の横方向H1の中央に第1始動入賞口14が配置されると共に、その右下に第3始動入賞口16が配置されている。また、第1始動入賞口14の左側に1対の普通入賞口21が配置されると共に、表示装飾枠23より右側の領域の上部に1つの普通入賞口21が配置されている。
【0014】
横回動開閉型の大入賞口20は、遊技板11の前面から突出して、表示装飾枠23の右側面に隣接する前面ダクト20Dの側面に開口していて、回動扉20Tによって開閉される。その回動扉20Tは、大入賞口20の下端開口縁に沿って前後方向H2に延びる回転軸を中心に回動し、通常は、起立姿勢になって大入賞口20を閉塞していて、大当り遊技が実行されると、横に倒れて大入賞口20を開放すると共に、大入賞口20に遊技球を案内する。
【0015】
図2に示すように、遊技領域R1の右下部分には、後に詳説する入賞ユニット30が設けられ、
図5に示すように、第2始動入賞口15は、入賞ユニット30内の転動路96の途中に開口している。また、第2始動入賞口15には、スライド扉15Tが備えられ、そのスライド扉15Tは、前後方向H2にスライドし、通常は、可動範囲の前端の閉位置に配置されて第2始動入賞口15を閉塞して転動路96の一部を構成している。そして、後述する普図判定で当りになるとスライド扉15Tが可動範囲の後端の開位置に移動して第2始動入賞口15を開放する。また、入賞ユニット30への遊技球の入口には始動ゲート18が備えられ、その始動ゲート18を構成する検出スイッチ18Sにて始動ゲート18を遊技球が通過したことが検出されるようになっている。なお、前述の第3始動入賞口16は、入賞ユニット30のうち転動路96を通過した遊技球が排出される排出口92Bの真下に開口している。
【0016】
本実施形態の遊技機10の当否判定には、普図判定と特図判定とがある。普図判定は、遊技球が始動ゲート18を通過することに起因して行われ、その判定結果は、
図2に示すように、例えば、表示画面13Gに1桁の数字である普通図柄13Dを、奇数と偶数とに交互に切り替わるように変動表示した後、停止表示して、そのときの普通図柄13Dが、例えば、奇数であれば「当り」、偶数であれば「外れ」として報知される。そして、普図判定で当りになると、第2始動入賞口15のスライド扉15Tが一定時間に亘って開く。
【0017】
特図判定は、第1~第3始動入賞口14~16への遊技球の入賞に起因して行われ、その当否判定結果は、表示画面13Gに3つの特別図柄13A,13B,13Cを縦にスクロースさせて変動表示した後、停止表示して、そのときの特別図柄13A,13B,13Cの図柄組み合わせにて報知される。また、特図判定の当りには「大当り」と、「小当り」とがある。「大当り」になると、規定複数回だけ、それら各回につき規定時間に亘って大入賞口20が開放される大当り遊技が実行され、「小当り」になると、大当りの場合より少ない規定複数回だけ、短い規定時間に亘って大入賞口20が開放される小当り遊技が実行される。また、第1及び第2の始動入賞口14,15への遊技球の入賞に起因する特図判定と、第3始動入賞口16への遊技球の入賞に起因した特図判定とでは、大当りとなる確率は同じである一方、小当りとなる確率は第3始動入賞口16への入賞に起因した特図判定の方が高くなっている。
【0018】
なお、普図判定は、始動ゲート18を遊技球が通過する毎に行われ、判定開始から判定結果を報知する迄の間に始動ゲート18を遊技球が通過したときには、その遊技球に対する普図判定は保留され、その保留数の上限は例えば4つになっている。また、特図判定は、第1~第3の始動入賞口14~16に遊技球が入賞する毎に行われ、判定開始から判定結果を報知する迄の間、及び、大当り遊技及び小当り遊技の実行中に、第1~第3の始動入賞口14~16に遊技球が入賞したときには、その遊技球の通過に対する特図判定は保留され、その保留数の上限も4つになっている。
【0019】
遊技状態には、非時短状態と時短状態とが設けられていて、大当り遊技の終了を境にして、非時短状態と時短状態とが切り替わる。その時短状態は、非時短状態に比べて、普図判定における普通図柄13Dの変動表示時間が短くかつ、普図判定で当りになったときの第2始動入賞口15の開放時間が長い。また、遊技状態には、低確率状態と高確率状態とが設けられていて、時短状態と同様に大当り遊技の終了を境にして、低確率状態と高確率状態とが切り替わる。その高確率状態は、低確率状態より第1~第3の始動入賞口14~16の入賞に基づく特図判定の大当り確率が高くなっている。即ち、本実施形態では、低確率状態で且つ非時短状態の通常状態と、低確率状態で且つ時短状態の低確時短状態と、高確率状態で且つ非時短状態の低確時短状態と、高確率状態で且つ時短状態の高確時短状態との4つの遊技状態が設定されている。そして、特図判定の大当りには、通常大当り、低確時短大当り、高確時短なし大当り、高確時短大当りがあり、大当り遊技後にどの遊技状態になるかの判定は特図判定によって行われる。なお、本実施形態では、第1及び第2の始動入賞口14,15の入賞に基づく特図判定よりも第3始動入賞口16に基づく特図判定の方が、時短付き大当りになり易くなっていると共に、小当りになる確率が高くなっている。
【0020】
また、上記設定により本実施形態の遊技機10は、小当りラッシュ状態になることがある。即ち、本実施形態では、遊技状態が高確時短なし状態になると、表示画面13Gに、遊技領域R1のうち進入規制枠23より右側の領域から第3始動入賞口16を狙う旨の案内が表示される。これにより、多くの遊技球が始動ゲート18を通過して第3始動入賞口16へと向かう。このとき、第2始動入賞口15は、時短状態の場合に比べて開放され難くくなっているため、多くの遊技球がスライド扉15T上を転動して排出口92Bから第3始動入賞口16へと向かう。また、低確率状態に比べて第3始動入賞口16への入賞に基づく特図判定において小当りが出やすい状態となっていると共に、特図判定の判定結果が出るまでの時間が短くなっている。これらにより、第3始動入賞口16へと入賞する遊技球が増えて小当りが発生し易い状態となり、小当りが頻繁に発生する小当りラッシュ状態が起こる。
【0021】
以下、前述の入賞ユニット30について詳説する。
図3に示すように、入賞ユニット30は、ユニット本体31の前面にユニットカバー41を取り付けてなる。ユニット本体31は、ベースプレート32の後面から機構部70が突出した構造をなしている。そして、遊技領域R1の右下コーナー部で遊技板11を貫通する図示しない貫通窓に機構部70が受容され、ベースプレート32が、遊技板11の前面に重ねられてビス留めされている。
【0022】
ユニットカバー41は、ガラス窓10Wのガラス板10G(
図7参照)の内面に重ねられる前面プレート42の後面から仕切壁34が突出した構造をなしている。また、
図4に示すように、ベースプレート32の前面の右側部からも仕切壁43が突出している。そして、前面プレート42とベースプレート32との間に仕切壁34,43が挟まれた状態でユニットカバー41がベースプレート32にビス留めされ、ベースプレート32と前面プレート42との間に遊技球が通過する空間が形成されている。つまり、入賞ユニット30のうちベースプレート32より前側部分は、遊技板11の前面から突出して内部を遊技球が通過する前面ダクト30D(
図8参照)になっている。
【0023】
図5に示すように、遊技領域R1の右下角部は、入賞ユニット30の仕切壁34,43等によって第1~第3の流下経路91,92,93に分割されている。それら第1~第3の流下経路91,92,93は、遊技球が1つずつ流下する幅をなし、それらの入球口91A,92A,93Aは、横並びに配置されて上方を向き、共通の共通幹流路94に臨んでいる。また、共通幹流路94は、上方に向かって徐々に窄み、上端部に遊技球が丁度1つ通過する大きさの絞り通過部94Aを有する。そして、遊技領域R1のうち表示装飾枠23の右側に打ち込まれた遊技球で大入賞口20(
図2参照)に入賞しなかった遊技球の全てが共通幹流路94を通り、第1~第3の流下経路91,92,93の何れか1つに流れ込むようになっている。
【0024】
図5に示すように、第1流下経路91は、入賞ユニット30の上面を構成する仕切壁34の一部と、表示装飾枠23の一部とに上下から挟まれてなり、共通幹流路94の下端部の左端に入球口91Aを備える。そして、第1流下経路91は、入球口91Aから鉛直方向に僅かに延びてから、斜め左下に下るように延びている。より具体的には、第1流下経路91には、極めて勾配が小さい1対の緩傾斜部91Cと、それら1対の緩傾斜部91Cの終端から円弧を描いて徐々に下り勾配が大きくなる1対の円弧部91Dとを有し、下流側の円弧部91Dの終端部がS字状に湾曲して、その末端が左側方を向いて開口する排出口91Bになっている。その排出口91Bは、第3始動入賞口16の斜め左上に位置し、排出口91Bから排出される遊技球の多くは、第1と第3の始動入賞口14,16の間を通過してアウト口22に向かい、稀に障害釘で跳ね返されて第3始動入賞口16に入賞する。また、第1流下経路91の後側全体には、ベースプレート32が位置し、第1流下経路91の前側の一部は前面プレート42により覆われている。それらベースプレート32及び前面プレート42には、第1流下経路91に向かって突出する複数の縦長突条91Tが設けられて千鳥状に配置にされ、第1流下経路91を流下する遊技球を蛇行させるようになっている。
【0025】
第3流下経路93は、入賞ユニット30の右側面を構成する仕切壁43と、仕切壁43の下端部と交差するガイドレール12の一部と、それらと対向する仕切壁34とに挟まれてなり、共通幹流路94の下端部の右端に入球口93Aを備える。また、第3流下経路93全体は、ガイドレール12の一部を横辺とするL字形をなし、左側方を向いた排出口93Bを有する。そして、第3流下経路93を通過した遊技球は、ガイドレール12上を転動して第3始動入賞口16の下方を通過し、アウト口22に向かう。さらには、第3流下経路93のうちL形となった角部には、仕切壁43の下端部を第3流下経路93側に円弧状に膨出させた円弧部43Aが形成され、第3流下経路93内における遊技球の流下スピードが落とされるようになっている。
【0026】
第2流下経路92は、ベースプレート32、前面プレート42、仕切壁34、後述の縦長ダクト33、フード部73等の複数の部材で包囲されてなり、
図3の太線矢印で示されているように、3次元的に屈曲しかつ、途中で分岐もしている。また、
図5に示すように、第2流下経路92の入球口92Aは、共通幹流路94の下端部の横方向H1における中央に配置されて、絞り通過部94Aの真下に位置する。
【0027】
図6に示すように、第2流下経路92の入球口92Aには、遊技球の通過を検出する検出スイッチ18Sが備えられ、その検出スイッチ18Sによって前述の始動ゲート18が構成されている。また、前面プレート42のうち検出スイッチ18Sの上方部分からは、ガイド突片44Tが突出し、そのガイド突片44Tの後面上端部に傾斜面44Kが形成されて、絞り通過部94A(
図5参照)から落下した遊技球が前方側に寄ったときに後方に案内して第2流下経路92へスムーズに取り込めるようになっている。
【0028】
検出スイッチ18Sから遊技球1つ分だけ離れた下方には、仕切壁34の一部である上段壁34Aが設けられると共に、その上段壁34Aよりさらに遊技球1つ分だけ離れた下方には、仕切壁34の一部である下段壁34Bが設けられている。そして、機構部70に備えられた縦長ダクト33によって上段壁34A上の空間と下段壁34B上の空間とが連絡されている。また、縦長ダクト33の上下の両端部には三角リブ44Lが設けられ、上段壁34Aの上面と前面プレート42との間にも三角リブ44Lが設けられている。これらにより、第2流下経路92の始端部に、後方に湾曲した湾曲流路92Cが形成されている。そして、第2流下経路92に入球した遊技球は、上段壁34Aで受け止められて後方に移動して円弧を描いて前側に戻り、下段壁34B上に到達する。
【0029】
図3に示すように、下段壁34Bは、例えば、遊技球が丁度1つ収まる大きさの略正方形で平坦な上面を始端転動面95Aとして有している。また、
図5に示すように、上段壁34Aと下段壁34Bとの間の空間は、左右両方向に開放していて、遊技球が始端転動面95A上から第3流下経路93へと移動可能になっている。
【0030】
しかしながら、始端転動面95Aは左下がりに傾斜し、これに加えて、遊技球が始端転動面95Aから第3流下経路93へと向かい難くするために規制突部44Aが設けられている。その規制突部44Aは、
図3に示すように、上段壁34Aの下面の右側縁部に沿って前後方向H2に延びている。また、
図10に示すように、前面プレート42の後面のうち、上段壁34Aと下段壁34Bとの間の空間と対向する球受部42Aには、始端転動面95Aから左側に遊技球が転動するように案内するガイド突部44Bが設けられている。具体的には、ガイド突部44Bは、球受部42Aの横方向H1の中央から右側縁部に向かうに従って後方に迫り出すように傾斜したガイド面44B1を有した形状をなしている。
【0031】
また、
図6に示すように、球受部42Aの上部には、弾み規制突部44Cが設けられている。弾み規制突部44Cは、球受部42Aのうち上下方向の中間位置から上縁部に向かうに従って後方に迫り出すように傾斜したガイド面44C1を有する。そして、縦長ダクト33から前進してきた遊技球が上下に弾んだ場合に、ガイド面44C1にて遊技球の弾みを抑える。さらに、始端転動面95Aの後部には、後方が高くなった段差部33Dが形成され、始端転動面95Aから縦長ダクト33側への逆流が規制されている。
【0032】
図5に示すように、第2流下経路92のうち始端転動面95Aより下流側は、遊技球を転動させる転動路96になっていて、その転動路96に前述の通り第2始動入賞口15が開口して通常はスライド扉15Tによって閉塞されている。
【0033】
具体的には、第2始動入賞口15は、始端転動面95Aの左隣に位置し、その第2始動入賞口15の左隣には、終端転動面95Bが設けられている。終端転動面95Bは、始端転動面95Aに対して横方向H1においては遊技球の4~6個分だけ離れ、始端転動面95Aに対して上下方向においては遊技球の1~2個分だけ離れた斜め左下に位置している。そして、始端転動面95Aと終端転動面95Bの間の全体が第2始動入賞口15になっている。
【0034】
第2始動入賞口15内では、始端転動面95Aの左端部からガイド面15Aが垂下されて終端転動面95Bより下側となる位置で左側に屈曲して延びてから、下方に屈曲して延び、終端転動面95Bの右端部から垂下した導入面15Cとの間に導入路15Dが形成されている。そして、第2始動入賞口15に入賞した遊技球が導入路15Dの下端部から遊技板11の後方へに取り込まれ、導入路15Dの途中に設けられた検出スイッチ15Sによって第2始動入賞口15に入賞した遊技球が検出されるようになっている。
【0035】
終端転動面95Bは、左下がりに僅かに傾斜して斜め横方向H1に延び、その終端(左端)に第2流下経路92の排出口92Bが開口し、その排出口92Bの真下に前述の通り第3始動入賞口16が位置している。詳細には、入賞ユニット30の左下側部の仕切壁34には、第3始動入賞口16を上方と右側方とから覆うように湾曲した湾曲部34Cと、湾曲部34Cの頂点部分から右側方に延びる転動板部34Dとが備えられている。そして、転動板部34Dの上面が終端転動面95Bをなし、転動板部34Dの一端部でもある湾曲部34Cの頂点部分を排出口92Bが上下に貫通している。また、排出口92Bの真上には、第1流下経路91の下流側の円弧部91Dを形成るために仕切壁34に設けられた円弧部34Eが位置する。なお、湾曲部34Cの右側下端部とガイドレール12との間が、前述した第3流下経路93の排出口93Bになっている。
【0036】
図7に示すように、排出口92Bの開口縁は、ベースプレート32の前面から終端転動面95Bの前後方向H2の中間位置まで前方に真っ直ぐ延びる1対の側辺部92B1と、それら1対の側辺部92B1の前端から前方に向かうに従って互いに接近するように延びる1対の斜辺部92B2と、それら1対の斜辺部92B2の前端の間を連絡して横方向H1に延びる前辺部92B3とを有し、終端転動面95Bの前後方向H2における後側に寄せて配置されている。
【0037】
図5に示すように、ベースプレート32のうち排出口92Bの真後となる部分には、上下方向に延びるガイド溝35が設けられている。ガイド溝35は、ベースプレート32に上下方向に延びかつ上端部が半円形のスリット35Sを形成し、そのスリット35Sの後面開口を遊技板11の前面で閉塞してなる。また、ガイド溝35の溝側面35Mとなるスリット35Sの内面は、
図7に示すように、ガイド溝35の後端から前方に向かうに従って拡開するように傾斜している。即ち、ガイド溝35の幅方向で対向する1対の溝側面35MはV字状になっている。そして、ガイド溝35内に収まった遊技球が、スリット35Sの奥の遊技板11の前面と当接又は隣接した状態で1対の溝側面35Mの両方又は一方と当接する。
【0038】
前面プレート42からは、排出口92Bの前方となる位置からは、排出口92Bに向かって排出ガイド部80が突出している。排出ガイド部80は、平断面が略直角三角形をなして上下方向に延び、その頂点部分は、排出口92Bにおける前辺部92B3の真正面に位置し、頂点部分より右側に傾斜したガイド面80Gを有する。詳細にはガイド面80Gは、排出口92Bのうち上流側の側辺部92B1の正面となる位置から前辺部92B3の正面となる位置に向かうに従って後方に迫り出している。これにより終端転動面95Bを転動してきた遊技球がガイド面80Gに当接して排出口92Bにおける後側に案内される。
【0039】
また、ベースプレート32及び前面プレート42の対向面には、複数の縦長突条92Tが設けられて終端転動面95Bの長手方向に沿って千鳥状に配置にされ、終端転動面95B上を転動する遊技球を蛇行させるようになっている。また、最も排出口92Bに近い縦長突条92Tは、ベースプレート32側に配置されている。そして、終端転動面95Bを転動してきた遊技球が、排出口92Bの手前で縦長突条92Tによって前方に向けられて排出ガイド部80にガイド面80Gに当接し、そのガイド面80Gで遊技球が後方に案内されて排出口92Bから第3始動入賞口16へと排出される。これにより、排出口92Bから排出される遊技球の多くは、ガラス板10Gの後面と遊技板11の前面との間の空間のうち遊技板11の前面側に寄せられて第3始動入賞口16に向かう。
【0040】
図8には、第3始動入賞口16を上面に有する入賞突部16Aが示されている。入賞突部16Aは、遊技板11から前方に突出する断面円弧状の溝壁16Bの前端を前面壁16Cで閉塞した構造をなしている。また、溝壁16Bの基端部は、遊技板11を貫通する貫通孔11A内に受容され、溝壁16Bの底面は後方に向かって下るように傾斜し、溝壁16Bの底面と前面壁16Cとの間は三角リブ16Dで連絡されている。また、前面壁16Cの上端部における横方向H1の中央からガイド突部16Eが起立していて(
図2参照)、そのガイド突部16Eの先端部の後面には傾斜面16Fが形成されている。そして、本実施形態の遊技機10では、上述の通り排出口92Bから排出される遊技球は、遊技板11の前面側に寄せられて流下するので、第3始動入賞口16の前側部分(ガイド突部16E,前面壁16C)に触れることなく第3始動入賞口16内の溝壁16Bの底面に到達してスムーズに遊技板11の後方に取り込まれる。
【0041】
ここで、もし排出口92Bが
図9に示すように、終端転動面95Bの幅方向の全体に亘って開口し、ガイド溝35も排出ガイド部80も備えていない構成としたら、排出口92Bから排出される遊技球の前後方向H2における位置のばらつきにより、例えば、前側に寄った遊技球の後に後側に寄った遊技球が落下して、同図に示すように、2つの遊技球が第3始動入賞口16の前面壁16Cと遊技板11の前面との間に噛み込んで球詰まりを生じることが考えられるが、上述した本実施形態の構成によれば、そのような球詰まりの発生が抑えられる。
【0042】
図10には、スライド扉15Tが閉じた状態が示され、
図11には、スライド扉15Tが開いた状態が示されている。
図10に示すようにスライド扉15Tが閉じると、遊技板11の前面より前側で遊技球がスライド扉15T上を転動して前述の始端転動面95Aから終端転動面95Bへと移動する直進転動路96A(
図3参照)が形成される。また、その直進転動路96Aの後方には、直進転動路96Aの始端部から後方に分岐し、直進転動路96Aの中間位置に合流する迂回転動路96B(
図3参照)が備えられている。
【0043】
具体的には、
図15に示すように、スライド扉15Tは、前方から見ると略クランク状に屈曲した形状をなし、
図12(A)に単体状態で示すように、上段板部61と、その斜め左下に位置する下段板部62と、それら上段板部61と下段板部62の間を連絡する段差板部63とを有する。上段板部61は前後方向H2に延びる一方、下段板部62は横方向H1に延び、これら上段板部61と下段板部62とは、上下方向で遊技球半球分程度、ズレている。また、段差板部63は、上段板部61の一側縁部における前後方向H2の中間位置から鉛直下方に垂下され、下段板部62の右側部の後端部が、段差板部63の前端部に接続されている。また、段差板部63のうち下段板部62が接続された前端部より後側部分は下段板部62より下方に垂下されて、その下端縁からは左側方に連結板64が張り出し、そこには横方向H1に延びる長孔64Hが形成されている。
【0044】
図13には、スライド扉15Tを駆動する駆動装置72の上面にフード部73を備えた駆動ユニット70Uが示されている。駆動ユニット70Uは、駆動装置72にスライド扉15Tを装着された状態で、
図3に示すようにベースプレート32の後面に固定されて、ベースプレート32に形成されている流路開口32Kを主としてフード部73で後側から覆っている。
【0045】
図13に示すように、フード部73には、その内部を右側の往路部屋73Aと、左側の復路部屋73Bとに仕切る起立壁77が備えられ、また、往路部屋73Aの底壁75と復路部屋73Bの底壁74との間には、前後方向H2に延びるスリット76が形成されている。また、復路部屋73Bの底壁74の下方には底下空間71が形成されていて、その底下空間71とフード部73内とがスリット76を介して連通している。また、底下空間71内の下面からは、駆動装置72の出力部であるボス79Tが突出していて、底下空間71内を前後に直線移動するようになっている。
【0046】
そして、
図4又は
図14に示されているように、スライド扉15Tの段差板部63がスリット76に受容され、下段板部62及び連結板64が底下空間71に収容されると共に、上段板部61が往路部屋73Aに収容されて、底壁75の上に重ねられている。また、連結板64の長孔64Hにボス79Tが係合し、これによりスライド扉15Tが駆動装置72によって前後に直線移動するように駆動される。そして、
図10に示すように、スライド扉15Tが閉位置に配置されると、上段板部61及び下段板部62が後部を流路開口32K内に受容された状態でベースプレート32の前面から突出して第2始動入賞口15を閉塞し、
図11に示すように、スライド扉15Tが開位置に配置されると、上段板部61及び下段板部62の全体が、ベースプレート32の前面より後方に引っ込んで、第2始動入賞口15が開放される。
【0047】
図14に示すように、起立壁77は、復路部屋73Bの底壁74の前端から前後方向H2の中間位置に亘って形成され、往路部屋73Aと復路部屋73Bの後端部の間は、起立壁77で仕切られていない。また、復路部屋73Bの底壁74は、後端から前端に向かって緩やかに傾斜し、底壁74上を遊技球が前方に向かって転動するようになっている。また、その転動速度を抑えるために、起立壁77の復路部屋73B側の側面における後端寄りには、上下方向に延びる縦長突条77Gが形成され、さらには、
図10に示すように復路部屋73Bのうち起立壁77と対向する内側面の前端縁にも縦長突条77Jが形成されている。
【0048】
一方、往路部屋73Aの底壁75は略水平になっていて、スライド扉15Tのうち上段板部61から垂下したリブ61T(
図12及び
図15参照)が、スライド扉15Tの前後移動に伴って底壁75と摺接して上段板部61が底壁75にて下方から支持されるようになっている。
【0049】
図10に示すように、往路部屋73Aの後面73Cは、後方に移動してきた遊技球を復路部屋73B側に跳ね返すように傾斜し、復路部屋73Bの後面73Dは、往路部屋73Aから移動してきた遊技球を前方に案内するように湾曲している。また、フード部73における往路部屋73Aの後面下部には、フード部73の一部を後方に膨出させて拡張部屋73Fが形成され、往路部屋73Aの後面73Cの下部に開口している。そして、
図11に示すように、スライド扉15Tが開位置に移動すると、上段板部61の後端部が拡張部屋73Fに受容される。
【0050】
図12(B)に示すように、スライド扉15Tの下段板部62は、前述の通り、横方向H1に延び、下段板部62の前縁部は、左側に向かうに従って後方に向かうように傾斜し、後縁部は、横方向H1と平行に延びている。そして、
図15に示すように、下段板部62の上面は、全体が一定の勾配で左下がりに傾斜している。また、下段板部62の上面は、前後方向では水平になっている。なお、下段板部62の前縁部及び次述する上段板部61の前縁部等の傾斜により、遊技球がスライド扉15Tと前面プレート42との間に挟まった場合に、スライド扉15Tの上方か下方に逃げ易くなっている。
【0051】
図12(B)に示すように、スライド扉15Tの上段板部61は、前述の通り、前後方向H2に延び、前端縁の全体と後端縁の左端部を除く全体は、共に左側に向かうに従って後方に向かうように傾斜し、後端縁の左端部は、横方向H1と平行になっている。また、
図12(A)に示すように、上段板部61の上面は、前後方向H2の中間部61Cと前端部61Fと後端部61Rとで勾配が異なる。即ち、上段板部61の中間部61Cの上面は、緩やかに後下がりに傾斜すると共に
図15に示すように左下がりに傾斜している。また、上段板部61の後端部61Rの上面は、前後方向H2では水平で僅かに左下がりに傾斜している。さらには、上段板部61の前端部61Fの上面は、中間部61Cより急な勾配で後下がりに傾斜すると共に、横方向H1では、僅かに右下がりに傾斜している。また、中間部61Cと前端部61Fとの境界線は、横方向H1に対して上段板部61の前縁部と同じ向きに傾斜している。さらには、前端部61Fには、後方に向かうに従って幅広になるガイド溝61Gが形成されている。そして、スライド扉15Tが閉位置に配置されると、上段板部61の前端部61Fが始端転動面95Aから転動して来る遊技球を受け止め、その多くを後方の往路部屋73Aへと誘導する。
【0052】
図10に示すように、前面プレート42のうち往路部屋73Aの前方位置には、ガイド突部44Dが設けられている。ガイド突部44Dは、前面プレート42の後面のうち、往路部屋73Aとの対向部の右側端部から横方向H1の中央右寄り位置に亘って形成され、左側に向かうに従って後方に迫り出すように傾斜したガイド面44D1を有する。始端転動面95Aを転動してきた遊技球を往路部屋73Aへと誘導するようになっている。また、流路開口32Kの右側縁部からは縦長突条44Eが前方に突出している。これにより、縦長ダクト33から始端転動面95Aに排出された遊技球がガイド突部44Dに向かうように始端転動面95Aにおける遊技球の転動範囲が絞られている。なお、流路開口32Kの左側縁部からも縦長突条44Gが前方に突出している。
【0053】
また、前面プレート42の後面のうち、流路開口32Kとの対向位置には、ガイド突部44Dより下側にガイド突条44Fが設けられている。
図3に示すように、ガイド突条44Fは、後方から見ると、横方向H1に延び、その長手方向の中間部に段差部を有してクランク状に屈曲した構造をなしている。また、ガイド突条44Fの段差部は、起立壁77の前方に位置し、ガイド突条44Fのうち段差部より下流側部分は、スライド扉15Tの下段板部62の上方に位置して(
図14参照)、
図10に示すように、終端転動面95B側に向かうに従って前面プレート42からの突出量が徐々に小さくなっている。これにより、復路部屋73Bから下段板部62上に進んだ遊技球がガイド突条44Fに当接して終端転動面95B側に案内される。また、ガイド突条44Fのうち段差部より上流側部分は、上段板部61の僅かに下方に位置して、下段板部62から上段板部61の前端部61Fの下方に遊技球が進入することを規制している。
【0054】
本実施形態のパチンコ遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態のパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。パチンコ遊技機10で右打ちの遊技を行うと、
図5に示すように、複数の遊技球が絞り通過部94Aを通過して第1~第3の流下経路91,92,93のいずれに分かれて流下し、多くは、第2流下経路92に流れ込む。そして、始動ゲート18を通過してから湾曲流路92C(
図6参照)で流下速度を落とされて始端転動面95Aに到達し、その始端転動面95A以降の転動路96(
図3参照)を転動する。このとき、
図11に示すようにスライド扉15Tが開いていると、始端転動面95Aから転動路96を進んだ遊技球は、全て第2始動入賞口15に入賞する。
【0055】
一方、
図10に示すように、スライド扉15Tが閉じていると、第2始動入賞口15の上方を横切る直進転動路96Aと、その直進転動路96Aの始端部から分岐しかつ直進転動路96Aの途中位置に合流する迂回転動路96Bとが形成される。そして、始端転動面95Aから転動してくる遊技球が、直進転動路96Aか迂回転動路96Bかに分岐して転動する。
【0056】
ここで、一般的な遊技機では、スライド扉15Tが閉じると、第2始動入賞口15の上方を横切る直進転動路96Aを遊技球が直進することになるが、本実施形態の遊技機10では、遊技球の多くは、直進転動路96Aから後方に分岐した迂回転動路96Bに進むので、従来にはない転動態様を楽しむことができる。また、第2始動入賞口15の上方の直進転動路96Aから迂回転動路96Bを進んだ遊技球が再び第2始動入賞口15の上方の直進転動路96Aと合流するので、この点においても、従来にはない転動態様を楽しむことができる。
【0057】
また、大量の遊技球が第2流下経路92に流れ込んで迂回転動路96Bへの転動が滞ったり、迂回転動路96Bが満杯になれば、遊技球は直進転動路96Aを直進し、第2始動入賞口15の近傍に多くの遊技球が集まる。そして、スライド扉15Tが開いたときには、スライド扉15T上の遊技球と同様に、迂回転動路96Bの遊技球も第2始動入賞口15に流れ込むので、遊技球が迂回転動路96Bにあること自体で期待感を膨らませることができる。
【0058】
遊技球が、第2始動入賞口15を通過して転動路96を進むと、終端転動面95Bに到達し、その終端の排出口92Bから排出される。その際、遊技球は、緩やかな傾斜の終端転動面95B上を複数の縦長突条92Tにより蛇行しながら転動するので、十分に速度を落とされて排出口92Bに向かう。そして、排出口92Bでは、前述の通り、遊技球は、排出ガイド部80とガイド溝35とにより、遊技板11の前面に近づけられた状態で、しかも、ガイド溝35により真下に案内されて排出口92Bから排出される。これにより、入賞ユニット30の前面ダクト30Dから排出される遊技球の多くが、第3始動入賞口16の開口縁に触れずに第3始動入賞口16の奥部に次々とスムーズに吸い込まれ、遊技者に爽快感を提供することができる。
【0059】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、
図10に示すように、入賞ユニット30の直進転動路96Aから分岐した分岐転動路(詳細には、迂回転動路96B)が直進転動路96Aと合流する構成であったが、
図16に示すように、分岐転動路96Vが例えば、アウト口22や遊技板11の後側につながった構成であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、第2始動入賞口15を開閉するスライド扉15Tの後方に分岐転動路を設けたが、これら第2始動入賞口15及びスライド扉15Tが設けられていない直進転動路96Aに分岐転動路を設けてもよい。その際、分岐転動路の分岐口の前面に仕切壁34Vを設けて、その仕切壁34Vを、スライド扉15Tにおける上段板部61の前端部61Fと同様の構成とすると共に、ガイド溝34Gを設けた構成とすればよい。
【0061】
(2)上記実施形態では、
図7に示すように、排出ガイド部80が前面プレート42の後面を突出させた構成になっていたが、例えば、
図17に示すように、前面プレート42を排出口92Bに向かって遊技板11側に近づけるように傾斜させて排出ガイド部80Vとする構成であってもよい。
【0062】
(3)上記実施形態では、
図7に示すように、入賞ユニット30の排出口92Bが後方に寄せて配置されていたが、
図18に示すように、排出ガイド部80を備えていれば、排出口92Bは下段壁34Bの前端部から後端部の全体亘って形成されていてもよい。
【0063】
(4)上記実施形態では、
図7に示すように、排出口92Bの後方にガイド溝35が形成されていたが、
図19に示すように、ガイド溝35に替えて排出口92Bの1対の側辺部92B1の幅に合わせた切欠部35Vを形成してもよい。
【0064】
また、これらガイド溝35又は切欠部35Vを設けない構成であってもよい。さらに、ガイド溝35のスリット35Sを前後方向に貫通させずに、ベースプレート32の前面に対して陥没させた構成であってもよい。
【0065】
(5)上記実施形態では、スライド扉15Tのうち上段板部61の前端部61Fの上面が横方向H1で僅かに右下がりに傾斜した逆勾配になっていたが、例えば、ゼロ勾配であってもよいし、始端転動面95Aより緩い勾配であってもよい。
【0066】
(6)上記実施形態では、
図5に示すように、第3始動入賞口16が入賞ユニット30の排出口92Bの真下に位置していたが、第3始動入賞口16が排出口92Bに対して左右方向にズレて配置された構成であってもよい。その際、排出孔92Bから排出された遊技球が第3始動入賞口16に案内されるように障害釘や樹脂突部を設けてもよい。
【0067】
(7)入賞ユニット30の排出口92Bの真下に配置される入賞役物は、始動入賞口に限らず、例えば、前面に開放し、下端部を中心に回動する回動扉を有する大入賞口であってもよいし、始動ゲートであってもよい。
【0068】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【0069】
<付記>
以下、上述した実施形態から抽出される第1~第4の発明群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0070】
(第1の発明群)
第1の発明群は、「遊技板の前面から突出する前面ダクトを備えた従来の遊技機で(例えば、特開2018-126562(
図3,4参照))、前面ダクトから複数の遊技球が連なって排出されるときに生じる球噛み現象を抑えるためのもの」であり、以下の構成と作用・効果を有する。
【0071】
[発明1]
遊技板とそれを前方から覆う透明な透光窓板との間の流下空間を遊技球が流下すると共に、前記遊技板の前面から前面ダクトと入賞突部とが突出して、前記前面ダクトに取り込まれた遊技球が前記前面ダクトの下面に開口する排出口から、その下方に設けられた前記入賞突部の上面の入賞口に向けて排出される遊技機において、
前記前面ダクト内を流下してくる遊技球を前記遊技板の前面側に寄せるように案内して前記排出口に向かわせる排出ガイド部が備えられている遊技機。
【0072】
発明1の遊技機のように、遊技板と透光窓板との間の流下空間を遊技球が流下するものでは、遊技板の前面か透光窓板の後面かの何れかに板状部材が重なることで流下空間の前後方向で狭くなる部分で球噛みが生じ得る。そして、上面に入賞口を備える入賞突部では、入賞口を前方から覆う入賞突部の前面壁が、透光窓板の後面に重なる板状部材に相当するので、入賞突部の入賞口の上方に排出口を有する前面ダクトを備えたものでは、排出口から遊技球が連なって排出されると、入賞突部の前面壁に乗り上がって遊技板の前面側に寄った遊技球と遊技板の前面との間に後続の遊技球が挟まれて球噛みが生じ得る。これに対し、本発明の遊技機は、前面ダクト内を流下してくる遊技球を遊技板の前面側に寄せるように案内して排出口に向かわせる排出ガイド部を備えるので、排出口から連なって排出される遊技球がスムーズに入賞口に入賞して、球噛みの発生が抑えられる。
【0073】
[発明2]
前記前面ダクトは、前記遊技板の前面に重ねられる後側板部と、前記透光窓板の後面に隣接する前側板部と、を有し、
前記排出ガイド部は、前記前側板部の後面から突出している発明1に記載の遊技機。
【0074】
排出ガイド部は、前面ダクトの下面や上面に設けてもよいし、発明2の構成のように、前面ダクトの前側板部の後面から突出させてもよい。
【0075】
[発明3]
前記前面ダクトの内部には、前記前面ダクト内を斜め下方に向かうように転動させて前記排出口に案内する転動面が設けられ、
前記排出ガイド部は、前記転動面を転動してきた遊技球を受けて後方に向かわせるように転動方向に対して傾斜する横傾斜ガイド面を備える発明2に記載の遊技機。
【0076】
発明3によれば、転動面を転動してきた遊技球を横傾斜ガイド面によりスムーズに遊技板側に寄せることが可能となる。
【0077】
[発明4]
前記前面ダクトは、前記遊技板の前面に重ねられる後側板部と、前記透光窓板の後面に隣接する前側板部と、を有し、
前記後側板部には、前記排出口から上方に延びるガイド溝が陥没形成されている発明1から発明3の何れか1に記載の遊技機。
【0078】
発明4によれば、ガイド溝によって遊技球を遊技板の前面に近い位置から下方へと案内しながら排出することが可能となる。
【0079】
[発明5]
前記ガイド溝は、前記後側板部を貫通している発明4に記載の遊技機。
【0080】
ガイド溝は、後側板部を貫通していてもいなくてもよいが、発明5のようにガイド溝が後側板部を貫通していることが好ましい。
【0081】
[発明6]
前記ガイド溝のうち幅方向で対抗する1対の溝側面がV字型に開いている発明4又は発明5に記載の遊技機。
【0082】
発明6によれば、ガイド溝上を流下する遊技球の軌道が安定する。
【0083】
[発明7]
前記前面ダクトは、前記遊技板の前面に重ねられる後側板部と、前記透光窓板の後面に隣接する前側板部と、を有し、
前記後側板部のうち前記排出口より上側部分を切り欠いてなる切欠部を備える発明1から発明3の何れか1に記載の遊技機。
【0084】
発明7によれば、遊技球を遊技板の前面に寄せて排出することが可能となる。
【0085】
[発明8]
前記入賞突部のうち前記入賞口の前側開口縁部から突出する前側突片と、
前記前側突片の後面に形成され、前記前側突片の先端から下方に向かうに従って後方に向かうように傾斜した縦傾斜ガイド面と、を備える発明1から発明7の何れか1に記載の遊技機。
【0086】
発明8によれば、入賞突部の前側突片に衝突した遊技球を縦傾斜ガイド面で遊技板側へと案内してスムーズに入賞口に入球させることが可能となる。
【0087】
(第2の発明群)
第2の発明群は、「遊技板の前面から突出する前面ダクトを備えた従来の遊技機で(例えば、特開2018-126562(
図3,4参照))、前面ダクトから複数の遊技球が連なって排出されるときに生じる球噛み現象を抑えるためのもの」であり、以下の構成と作用・効果を有する。
【0088】
[発明1]
遊技板とそれを前方から覆う透明な透光窓板との間の流下空間を遊技球が流下すると共に、前記遊技板の前面から前面ダクトと入賞突部とが突出して、前記前面ダクトに取り込まれた遊技球が前記前面ダクトの下面に開口する排出口から、その下方に設けられた前記入賞突部の上面の入賞口に向けて排出される遊技機において、前記前面ダクトの下面の前後方向の中央に対し、前記排出口の前後方向の中心が後側にずらして配置されている遊技機。
【0089】
発明1の遊技機のように、遊技板と透光窓板との間の流下空間を遊技球が流下するものでは、遊技板の前面か透光窓板の後面かの何れかに板状部材が重なることで流下空間の前後方向で狭くなる部分で球噛みが生じ得る。そして、上面に入賞口を備える入賞突部では、入賞口を前方から覆う入賞突部の前面壁が、透光窓板の後面に重なる板状部材に相当するので、入賞突部の入賞口の真上に排出口を有する前面ダクトを備えたものでは、排出口から遊技球が連なって排出されると、入賞突部の前面壁に乗り上がって遊技板の前面側に寄った遊技球と遊技板の前面との間に後続の遊技球が挟まれて球噛みが生じ得る。これに対し、本発明の遊技機は、前面ダクトの下面の前後方向の中央に対し、排出口の前後方向の中心が後側にずらして配置されているので、排出口から連なって排出される遊技球がスムーズに入賞口に入賞して、球噛みの発生が抑えられる。
【0090】
(第3の発明群)
第3の発明群は、「遊技板に対して前後方向に移動する可変部材を備えて、可変部材が前側位置に配置された状態から後退すると、前側位置のときに可変部材上を転動していた遊技球が下方へと落下する従来の遊技機(例えば、特開2018-126562号公報(
図5,6参照))に対し、可変部材周辺の趣向性の向上を図ったもの」であり、以下の構成と作用・効果を有する。
【0091】
[発明1]
前面を遊技球が流下する遊技板に対して前後方向で第1位置と第2位置との間を往復移動する可変部材と、
前記可変部材に設けられて、前記第1位置に位置したときには、前記遊技板の前面から突出し、前記第2位置に位置すると、前記遊技板の前記前面より前方に突出しなくなるか前記遊技機の前面からの突出量が減少する出没転動部と、を備え、
前記可変部材が前記第1位置に配置されているときには、前記出没転動部の上面を遊技球が転動可能になり、前記可変部材が前記第2位置に配置されているときには、前記出没転動部の前方を遊技球が落下して通過可能に転動可能になる遊技機において、
前記遊技板の前面に開口する球取込口と、それより斜め下方位置で前記遊技板の前面に開口する球排出口との間を連絡して、前記球取込口から後方に取り込んだ遊技球を前記球排出口から前方に排出する後方迂回路を有し、
前記出没転動部には、前記可変部材が前記第1位置に位置したときに、前記球取込口の前方に位置する第1転動部と前記球排出口の前方に位置する第2転動部とが備えられ、
遊技球が前記第1転動部から前記遊技板の前面の前方を通って前記第2転動部へと転動する第1経路と、前記第1転動部から前記後方迂回路を通って前記第2転動部へと転動する第2経路とを有する遊技機。
【0092】
発明1によれば、可変部材が第1位置から第2位置に配置されると、可変部材上を転動していた遊技球に加えて、後方迂回路に取り込まれていた遊技球を可変部材の前方から落下させることができる。これにより、従来にはない遊技球の落下態様を遊技者にみせることができ、可変部材周辺の趣向性を高めることが可能となる。
【0093】
[発明2]
前記第1経路に進む遊技球より前記第2経路を進む遊技球の方が多くなるようにガイドする分岐ガイド機構を備える発明1に記載の遊技機。
【0094】
発明2によれば、第1経路より第2経路に向かう遊技球の方が多いので、従来にはない遊技球の落下態様を遊技者に多くみせることができる。
【0095】
[発明3]
前記可変部材の下方に遊技球が入賞可能な入賞口又は前記入賞口に遊技球をガイドする入賞ガイドが備えられている発明1又は発明2に記載の遊技機。
【0096】
発明3によれば、可変部材が第1位置から第2位置に配置されたときに、可変部材上を転動している遊技球に加えて、後方迂回路に取り込まれた遊技球が入賞口又は入賞ガイドに落下するので、遊技者を高揚させることができる。
【0097】
[発明4]
前記第1転動部の上面は、前記球取込口に向かって下るように傾斜している発明1から発明3の何れか1に記載の遊技機。
【0098】
発明4によれば、第1転動部の上面の傾斜により遊技球を球取込口へと案内することができる。
【0099】
[発明5]
前記第1転動部の上面には、前後方向に延びかつ前記球取込口に向かうに従って幅が拡がるガイド溝が設けられている発明1から発明4の何れか1に記載の遊技機。
【0100】
発明5によれば、上流側から流下してきた遊技球をガイド溝にて受容して球取込口へと案内することができる。
【0101】
[発明6]
前記第1転動部は、前記可変部材が前記第2位置に配置されると、前記後方迂回路の上に重ねて配置される発明1から発明5の何れか1に記載の遊技機。
【0102】
可変部材が第2位置に配置されるときに、第1転動部が後方迂回路の下側に配置される構成の場合、第1転動部と後方迂回路との段差によって第1転動部上の遊技球が後方迂回路側への流下することが困難になるという問題があるが、発明6の構成によれば、前記問題が発生せず、遊技球がスムーズに後方迂回路へと流下する。
【0103】
[発明7]
前記第1転動部は、後方に延長され、常時、前記後方迂回路の上に重ねて配置される発明6に記載の遊技機。
【0104】
発明7によれば、第1転動部の後端部と後方迂回路の内側面との間で遊技球が球噛みすることがなく、スムーズに遊技球が後方迂回路を流下することができる。
【0105】
[発明8]
前記第2転動部は、前記可変部材が前記第2位置に配置されると、前記後方迂回路の下に備えた収容空間に収容される発明1から発明7の何れか1に記載の遊技機。
【0106】
発明8によれば、可変部材が第2位置に配置されると、第2転動部上の遊技球が収容空間と後方迂回路との間の段差によって前側に押し出されるように落下するので、第2転動部上の遊技球が後方迂回路へと逆走し、後方迂回路に取り込まれた遊技球が球排出孔から落下するのを邪魔するような事態を抑制することができる。
【0107】
(第4の発明群)
第4の発明群は、「転動路を備えた従来の遊技機(例えば、特開2018-57980号公報
図3,4参照)にはない新しい転動態様で遊技球を転動させることが可能な遊技機を提供する」ためのものであり、以下の構成と作用・効果を有する。
【0108】
[発明1]
遊技球が前面を流下する遊技板と、
前記遊技板の前面から突出する前面突部の上面に設けられ、遊技球が前記遊技板の前面に沿って転動する転動路と、
前記遊技板の前面に開口して、前記転動路の途中位置に臨む分岐口を一端に有し、前記遊技板の前面より後方に延びる分岐路と、
前記転動路を挟んで前記分岐口に対向する前面壁と、
前記転動路を転動する遊技球の前記分岐口の前の通過と、前記分岐口から前記分岐路への進入との両方を許容すると共に、前記分岐口の前を通過する遊技球より前記分岐口から前記分岐路への進入する遊技球の方が多くなるようにガイドする分岐ガイド部と、を備える遊技機。
【0109】
発明1によれば、転動路の途中位置に分岐路を設け、分岐ガイド部により、転動路よりそこから分岐する分岐路に多くの遊技球を転動させるという、従来の遊技機には無い新しい転動態様を提供することができる。
【0110】
[発明2]
前記分岐ガイド部は、
前記前面壁から後方に突出し、前記転動路を始端位置から前記途中位置まで転動してきた遊技球を前記分岐路に案内する後方ガイド突部と、
前記後方ガイド突部と前記分岐口の開口縁との間に設けられて、遊技球が前記分岐口の前を通過可能とする直進転動スペースと、を備える発明1に記載の遊技機。
【0111】
発明2では、転動路を始端位置から途中位置まで転動してきた遊技球が後方ガイド突部に触れなければ、分岐口の前の直進転動スペースを通過して転動路を直進することになり、後方ガイド突部に触れると分岐路に案内される。
【0112】
[発明3]
前記直進転動スペースの幅方向で遊技球が動き得る遊びより、前記分岐口の幅方向で遊技球が動き得る遊びの方が大きい発明2に記載の遊技機。
【0113】
発明3によれば、確実に転動路より分岐路に多くの遊技球を転動させることができる。
[発明4]
前記直進転動スペースの幅方向で遊技球が動き得る遊びより、前記前面壁からの前記後方ガイド突部の突出量の方が大きい発明2又は発明3に記載の遊技機。
【0114】
発明4によっても、確実に転動路より分岐路に多くの遊技球を転動させることができる。
【0115】
[発明5]
前記分岐ガイド部は、前記分岐口より上流側に設けられて、前記転動路を転動する遊技球を斜め前方の前記後方ガイド突部へと誘導する前方誘導部を備える発明2から発明4の何れか1に記載の遊技機。
【0116】
発明5によれば、前方誘導部により後方ガイド突部に向かって遊技球が誘導され、分岐口側へ向かう遊技球を多くすることが可能となる。
【0117】
[発明6]
前記分岐ガイド部は、前記転動路のうち前記分岐口の前側部分に設けられ、前記分岐口に向かって下るように傾斜する後方傾斜部を備える発明1から発明5の何れか1に記載の遊技機。
【0118】
発明6によれば、後方傾斜部により転動路を流下してきた遊技球の進路を分岐口側に変更することが可能となる。
【0119】
[発明7]
前記分岐ガイド部は、前記転動路のうち前記分岐口の前側部分に設けられ、前後方向に延びかつ前記分岐口に向かうに従って幅が拡がるガイド溝を備える発明1から発明6の何れかに1に記載の遊技機。
【0120】
発明7によれば、転動路を流下してきた遊技球をガイド溝に受け止めて、分岐口へと誘導することが可能となる。
【0121】
[発明8]
前記転動路の全体の横方向の転動勾配に比べ、前記転動路のうち前記分岐口の前側部分の横方向の転動勾配が小さいかゼロか逆勾配になっている発明1から発明7の何れか1に記載の遊技機。
【0122】
発明8によれば、転動路を流下してきた遊技球の速度を分岐口の前側部分で抑えることが可能となる。
【0123】
[発明9]
前記遊技板の前面のうち前記転動路より上側で開口する入口と、前記転動路の始端位置に後方から臨む位置に開口する出口とを両端に備えて、それら入口と出口の間で湾曲又は屈曲し、遊技球が1つずつ通過する後側湾曲経路を備える発明1から発明8の何れか1に記載の遊技機。
【0124】
発明9によれば、後側湾曲経路によって遊技球の速度を抑えた状態で転動路に進入させることが可能となる。
【0125】
[発明10]
前記分岐ガイド部は、前記前面壁の後面のうち前記後側湾曲経路の前記出口との対向部から突出し、前記出口から前方に転動する遊技球を前記転動路の前記途中位置側に案内する始端ガイド突部を備える発明9に記載の遊技機。
【0126】
発明10によれば、始端ガイド突部によって転動路へと遊技球をスムーズに案内することが可能になる。
【符号の説明】
【0127】
10 パチンコ遊技機
10G ガラス板
11 遊技板
15 第2始動入賞口
15T スライド扉
16 第3始動入賞口
18 始動ゲート
30 入賞ユニット
30D 前面ダクト
96A 直進転動路
96B 迂回転動路