(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】装着型送風機
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20240815BHJP
A41D 27/28 20060101ALI20240815BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20240815BHJP
F04D 29/54 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D27/28 A
F04D25/08 301A
F04D29/54 D
(21)【出願番号】P 2021089698
(22)【出願日】2021-05-28
(62)【分割の表示】P 2020007982の分割
【原出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-06-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2019149654
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391036404
【氏名又は名称】株式会社ロゴスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】柴田 茂樹
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】西 秀隆
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-128801(JP,A)
【文献】特開2018-23694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C15/00
A41D13/002
A41D27/28
F04D25/08
F04D29/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の腰に装着可能なバッグ部内に配置されたファンを駆動させることによって前記バッグ部内に空気を導入し、前記バッグ部から排出する装着型送風機であって、
前記バッグ部は、可撓性を有する生地又は織物で構成されており、
前記バッグ部には、
前記バッグ部の上側部の一部を貫通しており且つ上方向の成分を含む方向に開口した排気口と、前記排気口の周りを補強する補強部とが設けられている装着型送風機。
【請求項2】
人の腰に装着可能なバッグ部内に配置されたファンを駆動させることによって前記バッグ部内に空気を導入し、前記バッグ部から排出する装着型送風機であって、
前記バッグ部は、可撓性を有する生地又は織物で構成されており、
前記バッグ部には、
前記バッグ部の内側部の一部を貫通しており且つ前記バッグ部が人に接する方向である内方向に開口した排気口と、前記排気口の周りを補強する補強部とが設けられている装着型送風機。
【請求項3】
人の腰に装着可能なバッグ部内に配置されたファンを駆動させることによって前記バッグ部内に空気を導入し、前記バッグ部から排出する装着型送風機であって、
前記バッグ部は、可撓性を有しており、
前記バッグ部には、上方向の成分を含む方向に開口した排気口と、前記排気口の周りを補強する補強部とが設けられており、
前記排気口は、前記バッグ部が人に接する方向である内方向にも開口している装着型送風機。
【請求項4】
請求項1記載の装着型送風機において、
前記補強部は、連通孔を有しており、
前記連通孔は、前記補強部を貫通しており、
前記補強部は、前記連通孔が前記排気口に連通するように前記バッグ部に固定されている装着型送風機。
【請求項5】
請求項2記載の装着型送風機において、
前記補強部は、連通孔を有しており、
前記連通孔は、前記補強部を貫通しており、
前記補強部は、前記連通孔が前記排気口に連通するように前記バッグ部に固定されている装着型送風機。
【請求項6】
人の腰に装着可能なバッグ部内に配置されたファンを駆動させることによって前記バッグ部内に空気を導入し、前記バッグ部から排出する装着型送風機であって、
前記バッグ部は、可撓性を有
する生地又は織物で構成されており、
前記バッグ部には、
上方向の成分を含む方向に開口した排気口と、前記排気口の周りを補強する補強部とが設けられており、
前記排気口は、前記バッグ部の上側部の一部を構成するメッシュ生地で構成されている装着型送風機。
【請求項7】
人の腰に装着可能なバッグ部内に配置されたファンを駆動させることによって前記バッグ部内に空気を導入し、前記バッグ部から排出する装着型送風機であって、
前記バッグ部は、可撓性を有
する生地又は織物で構成されており、
前記バッグ部には、
前記バッグ部が人に接する方向である内方向に開口した排気口と、前記排気口の周りを補強する補強部とが設けられており、
前記排気口は、
前記バッグ部の内側部の一部を構成するメッシュ生地で構成されている装着型送風機。
【請求項8】
請求項
3記載の装着型送風機において、
前記排気口は、メッシュ状である装着型送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着型送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2には従来の装着型送風機が記載されている。特許文献1記載の装着型送風機は、リング状のケースと、導入管と、ファンと、導出管とを備えている。ケースは、人の腰に外嵌可能な内部が中空の環状体であって、複数の接続孔が設けられている。導入管は、ケースの前側部に接続されている。導出管は、ケースの接続孔の何れか一つに接続されている。ファンは、ケース内に設けられている。このファンが回転することによって、空気が導入管を通じてケース内に導入され、導出管から人の汗をかく箇所に送風されるようになっている。特許文献2記載の装着型送風機は、特許文献1記載の装着型送風機から導出管が省略され、ケースの接続孔が排気口となっており、排気口から空気が、人の肌と下着との間に送り込まれるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭52-65654号公報
【文献】実開昭52-65655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の装着型送風機は、導入管がケースの前側部に接続され且つ上方に延びているため、ケースを人の腰に装着すると、導入管が人の前側に位置して邪魔になる。
【0005】
本発明は、人に装着された状態で、人の邪魔になり難い装着型送風機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の装着型送風機は、人の腰に装着可能なウエストバッグと、ファンとを備えている。ウエストバッグは、人の腰に接触可能なバッグ部を有する。
【0007】
バッグ部には、上方向の成分を含む方向又は内方向に開口した排気口と、取付孔とが設けられており、内方向は、バッグ部が人に接する方向とすると良い。この取付孔は、下方向及び外方向の少なくとも一方の方向の成分を含む方向に開口した構成とすることが可能である。外方向は、内方向の反対方向である。この場合、ファンは、バッグ部の取付孔の周縁部に固定され且つ取付孔から露出しており、ファンが駆動することによって、空気がバッグ部内に導入され、排気口から排出される構成とすることが可能である。
【0008】
このような態様の装着型送風機による場合、バッグ部に下方向及び外方向の少なくとも一方の方向の成分を含む方向に開口した取付孔が設けられている。この取付孔の周縁部にファンが固定され、取付孔から露出している。そのため、ウエストバッグが人の腰に装着された状態で、空気をバッグ部内に取り込むためのファンが、人の邪魔になることはない。
【0009】
又は、バッグ部には、上方向の成分を含む方向又は内方向に開口した排気口と、吸気口とが設けられており、吸気口は、下方向及び外方向の少なくとも一方の方向の成分を含む方向に開口した構成とすることが可能である。この場合、ファンは、バッグ部内に収容され且つ吸気口に対向しており、ファンが駆動することによって、空気が吸気口からバッグ
部内に導入され、排気口から排出される構成とすることが可能である。
【0010】
このような態様の装着型送風機による場合、バッグ部に下方向及び外方向の少なくとも一方の方向の成分を含む方向に開口した吸気口が設けられているだけであるので、ウエストバッグが人の腰に装着された状態で、空気をバッグ部内に取り込むための吸気口が、人の邪魔になることはない。
【0011】
取付孔は、下方向、又は、下方向及び外方向の成分を含む斜め方向に開口していても良い。この場合、ファンは、取付孔から下方向又は斜め方向に露出した構成とすることが可能である。
【0012】
バッグ部は、上側部を有する構成とすることが可能である。上側部は、内方向側の内側端部を有しており、排気口は、上側部の内側端部に設けられた構成とすることが可能である。
【0013】
上記した何れかの態様の装着型送風機は、補強部を更に備えた構成とすることが可能である。補強部は連通孔を有する構成とすることが可能である。連通孔は、補強部を貫通していると良い。補強部は、連通孔が排気口に連通するようにバッグ部に固定された構成とすることが可能である。
【0014】
排気口がバッグ部の上側部の内側端部に設けている場合、補強部は、上側部の内側端部に固定されており且つ内側端部に沿って延びた構成とすることが可能である。この場合、補強部には、連通孔が設けられていても良いし、設けられていなくても良い。
【0015】
バッグ部の上側部の内側端部は、外方向に凸の円弧状に湾曲した構成とすることが可能である。補強部は、内側端部に沿って円弧状に湾曲した構成とすることが可能である。
【0016】
上記した何れかの装着型送風機は、ファンに電気的に接続されたバッテリーを更に備えた構成とすることが可能である。バッテリーは、バッグ部内に収容され且つ上側部の内側端部に対して外方向側に配置されていても良い。又は、バッテリーは、バッグ部内に収容され且つ内側部に沿って配置されていても良い。
【0017】
排気口は、バッグ部の上側部の内側端部の両端部に少なくとも一つずつ設けられており、且つウエストバッグが人の腰に装着された状態で、当該人の腰の両横側に配置される構成とすることが可能である。
【0018】
上記した何れかの排気口は、メッシュ状とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明の実施例1に係る装着型送風機の正面、平面及び右側面から表した斜視図である。
【
図1B】前記装着型送風機の背面、底面及び左側面から表した斜視図である。
【
図1C】前記装着型送風機の背面、底面及び左側面から表した斜視図であって、ファンを取り外した状態の図である。
【
図3】前記装着型送風機の
図1A中の模式的3-3断面図である。
【
図4】前記実施例1の装着型送風機の第1設計変形例のバッグ部の平面図である。
【
図5】前記第1設計変形例の前記装着型送風機の前記バッグ部の底面図である。
【
図6】前記装着型送風機の
図4中の模式的6-6断面図である。
【
図7A】前記実施例1の装着型送風機の第2設計変形例の背面、底面及び左側面から表した斜視図である。
【
図7B】前記第2設計変形例の装着型送風機の正面図である。
【
図7C】前記第2設計変形例の装着型送風機の背面図である。
【
図7D】前記第2設計変形例の装着型送風機の平面図である。
【
図7E】前記第2設計変形例の装着型送風機の底面図である。
【
図7F】前記第2設計変形例の装着型送風機の右側面図である。
【
図7G】前記第2設計変形例の装着型送風機の左側面図である。
【
図8】本発明の実施例2に係る装着型送風機のバッグ部の正面図である。
【
図11】前記装着型送風機の
図9中の模式的11-11断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例1、実施例2及びこれらの設計変形例について説明する。なお、後述する実施例及び設計変更例の各構成要素は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能であることに留意されたい。また、後述する実施例の各態様及び設計変形例における装着型送風機の各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の実施例1及びその設計変更例を含む複数の実施例に係る装着型送風機D1について、
図1A~
図6を参照しつつ説明する。
図1A~
図3には、実施例1の装着型送風機D1が示されている。
図4~
図6には、実施例1の装着型送風機D1の第1設計変形例が示されている。
図7A~
図7Gには、実施例1の装着型送風機D1の第2設計変形例が示されている。実施例1の装着型送風機D1と、第2設計変形例の装着型送風機D1とは、後述するウエストバッグ100のバッグ部110の外形が相違する以外、略同じ構成である。
図1A~
図1C、
図3、
図6及び
図7Aには、上方向Z、下方向Z’、内方向Y、外方向Y’が示されている。下方向Z’は、上方向Zの反対方向であり、内方向Y及び外方向Y’は、上方向Z及び下方向Z’に交差しており、外方向Y’は内方向Yの反対方向である。上方向Z及び下方向Z’は上下方向ともいう。
【0022】
装着型送風機D1はウエストバッグ100を備えている(
図1A~
図7G参照)。ウエストバッグ100は、人の腰に装着可能なバッグであれば良く、所謂、ウエストポーチ、ヒップバッグ及びボディバッグの何れであっても良い。ウエストバッグ100は、バッグ部110及びベルト部121、122を有する構成とすることが可能である。ベルト部121、122は、バッグ部110の両端部から延びており、その先端部にバッグルが設けられている。バッグ部110を人の腰に当接させ、ベルト部121、122を人の腰に巻き付け、ベルト部121、122のバッグルを連結させることにより、ウエストバッグ100が、人の腰に装着されるようになっている。以下、説明の便宜上、ウエストバッグ100が人の腰に巻き付けて装着された状態を、「装着状態」という。
【0023】
バッグ部110は、上側部111と、内側部112と、外側部113とを有している。上側部111、内側部112及び外側部113は、ナイロン、ビニル及び/又はポリエステル等で構成された生地、又は、糸を高密度に織り込んだ高密度織物で構成されていると良いが、これに限定されるものではない。前記生地の片面又は両面には、ポリウレタン系樹脂(例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU(Thermoplastic Polyurethane))等)、ポリエステル系樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の樹脂膜がコーティング又はラミネートによって形成されていても良いし、PVC(ポリ塩化ビニル)加工が施されていても良い。上側部111、内側部112及び外側部113は、可撓性を有している。
【0024】
上側部111及び/又は外側部113の引裂強度は、内側部112の引裂強度よりも大きくすると良く、外側部113の引裂強度は、上側部111の引裂強度と略同じ又は大きくすると良いが、これに限定されるものではない。
【0025】
上側部111は、バッグ部110の上方向Z側に位置する部分である。上側部111は、内方向Y側の内側端部111aと、外方向Y’側の外側端部111bと、内側端部111aと外側端部111bとの間の中間部とを有している。内側部112は、装着状態で人の腰に当接又は沿って配置される部分である。内側部112は、上端部と、下端部とを有している。内側部112の上端部が上側部111の内側端部111aに縫い付け又は接着などによって接続され、内側部112が上側部111の内側端部111aから垂下されている。内側部112の下端部の上下方向の高さ位置は、上側部111の外側端部111bよりも下側に位置する。外側部113は、上側部111の外側端部111bと内側部112の下端部とを繋いでいる。この外側部113は、上端部と、下端部とを有している。外側部113の上端部は、上側部111の外側端部111bに縫い付け又は接着などによって接続されている。外側部113の下端部は、内側部112の下端部に縫い付け又は接着などによって接続されている。
【0026】
上側部111は、平面視において略U字状とすることが可能である(
図1A及び
図7D参照)。この場合、内側端部111aは、装着状態で人の腰に沿うように円弧状に湾曲していると良く、外側端部111bも、円弧状に湾曲していると良い。内側部112の上端部は上側部111の内側端部111aの形に応じて円弧状に湾曲しており、これに伴って内側部112自体も上側部111の内側端部111aの形に応じて円弧状に湾曲している。内側部112の下端部は、中央部が下方向Z’に凸となるように膨出している。外側部113の上端部は、上側部111の外側端部111bに沿って円弧状に湾曲しており、これに伴って外側部113自体も上側部111の外側端部111bの形に応じて円弧状に湾曲している。外側部113の下端部は、内側部112の下端部の形状に沿った形状である。外側部113の中央部が上側部111の外側端部111bから内側部112の下端部にかけて下方向Z’及び内方向Yの成分を含む第1斜め方向に下り傾斜している(
図3、
図6及び
図7F~
図7G参照)。なお、上側部111の内側端部111aの両端部は、装着状態で人の腰の両横側に配置されるようになっていても良いが、これに限定されるものではない。
【0027】
図示しない別の態様では、上側部111、内側部112及び外側部113は、略矩形状とすることが可能である。この場合、内側部112は、内側端部111aから下方向Z’に垂下されており、内側部112の下端部の上下方向の高さ位置は、上側部111の外側端部111bよりも下側に位置し、且つ外側部113は、内側部112の下端部から上側部111の外側端部111bにかけて前記第1斜め方向に下り傾斜している。バッグ部110は、一対の側面部を更に有し、側面部が上側部111、内側部112及び外側部113によって区画される両側の開口を塞ぐように構成されている。
【0028】
上記何れかの態様の上側部111には、少なくとも一つの排気口114が設けられている(
図1A、
図4、
図7C、
図7D、
図7F及び
図7G参照)。少なくとも一つの排気口114は、装着状態で、人の上衣の前身頃及び/又は後身頃の下端より内方向Y側に位置するよう、上側部111の内側端部111a及び/又は上側部111の中間部の内側端部111aの内方向Y側の部分に設けられていると良い(
図1A、
図7C、
図7D、
図7F及び
図7G参照)が、装着状態で、上側部111が人の上衣の前身頃及び/又は後身頃の下端より内方向Y側に位置する場合には、上側部111の任意の箇所に設けられていていても構わない(
図4参照)。少なくとも一つの排気口114は上側部111を貫通し、上方向Zの成分を含む方向(例えば、上方向Z、上方向Z及び内方向Yの成分を含む方向、
又は、上方向Z及び外方向Y’の成分を含む方向等)に開口している。
【0029】
内側端部111aが円弧状に湾曲している場合、少なくとも一つの排気口114は、内側端部111aに沿って円弧状に延びた態様とすることが可能である。内側端部111aが直線状に延びている場合、少なくとも一つの排気口114は、内側端部111aに沿って直線状に延びた形状とすることが可能である。
【0030】
少なくとも一つの排気口114は、複数とすることが可能である(
図1A、
図4、
図7C、
図7D、
図7F及び
図7G参照)。例えば、複数の排気口114は、上側部111の内側端部111aの両端部に少なくとも一つずつ設けられていても良い。上側部111は、平面視において略U字状であり、上側部111の内側端部111aの両端部が装着状態で人の腰の両横側に配置される場合、当該両端部に設けられた排気口114も、装着状態で人の腰の両横側に配置されることになる。
【0031】
上記何れかの態様の外側部113の中央部には、取付孔115が設けられている(
図1C、
図3、
図6及び
図7E参照)。取付孔115は、少なくとも一つの排気口114よりも下方向Z’側に位置している。取付孔115は、下方向Z’及び外方向Y’の成分を含む第2斜め方向に開口している。なお、この第2斜め方向が特許請求の範囲の斜め方向に相当する。
【0032】
装着型送風機D1は、ファン200を更に備えている。ファン200は、回転羽210と、図示しないモータと、筐体220と、図示しない固定具とを有している。筐体220は、円筒部と、外側、内側ガード部と、フランジとを有している。回転羽210及びモータは筐体220内に保持されている。円筒部の外周面には、ねじ部が形成されている。円筒部の外径は、取付孔115の径と略同じ又は若干小さい。この円筒部が取付孔115内に挿入されている。フランジは、円筒部の外周面から延びており且つ外側部113の取付孔115の周縁部に外側から当接している。外側ガード部は円筒部の外側の開口を塞ぐように形成された格子である。内側ガード部は円筒部の内側の開口を塞ぐように形成された格子である。固定具は、内周面にねじ部が形成された円筒体であって、筐体220の円筒部に螺着し且つ外側部113の取付孔115の周縁部に内側から当接している。このようにフランジと固定具とで取付孔115の周縁部を挟持することによって、ファン200が取付孔115の周縁部に固定されている。この固定された状態で、外側ガード部及びフランジは取付孔115から前記第2斜め方向に露出している。このようにしてファン200が取付孔115から前記第2斜め方向に露出している。その一方で、ファン200の円筒部、回転羽210、モータ及び固定具はバッグ部110内に収容されている。
【0033】
回転羽210は、モータの回転軸に直接的又はギヤなどを介して間接的に接続され、回転可能になっている。ファン200のモータが駆動し、回転羽210が回転することによって、空気がバッグ部110内に導入され、少なくとも一つの排気口114から排出される。なお、モータは、図示しないスイッチによってオン/オフされる。
【0034】
装着型送風機D1は、バッテリー300を更に備えていても良い。バッテリー300がファン200に電気的に接続されることによって、バッテリー300からファン200のモータに電力が供給されている。バッテリー300は、バッグ部110内に収容されている。例えば、バッテリー300は、バッグ部110の上側部111の中間部に線ファスナ116で開閉可能なポケット内に収容された構成とすることが可能である。この場合、バッテリー300は、バッグ部110の上側部111の内側端部111aに対して外方向Y’側に配置されている(
図3参照)。又は、バッテリー300は、バッグ部110の内側部112の内面に設けられたポケット内に収容された構成とすることが可能である。この場合、バッテリー300は、内側部112に沿って配置に配置されている(
図6参照)。
なお、バッテリー300は省略可能である。この場合、ファン200を駆動させるために、外部バッテリーを使用すると良い。
【0035】
装着型送風機D1は補強部400を更に備えていても良い。補強部400は、可撓性を有していても良いし、リジットであっても良い。補強部400は、樹脂プレート、又は、バッグ部110の上側部111と同様の生地若しくは高密度織物で構成されている。樹脂プレートは、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA樹脂)又はABS樹脂等で構成されていると良い。補強部400は、上側部111の内面の任意の箇所に固定されている。例えば、補強部400は、内側端部111aの内面に固定されており且つ内側端部111aに沿って延びた構成とすることが可能である。内側端部111aが円弧状に湾曲している場合、補強部400は内側端部111aに沿って円弧状に延びており(
図1A、
図2及び
図7D参照)、内側端部111aが直線状に延びている場合、補強部400は内側端部111aに沿って直線状に延びていると良い。補強部400が、補強部400を貫通する排気口114と同じ数の連通孔410を有する構成とすることが可能である。この場合、補強部400は、連通孔410が排気口114に連通するように、上側部111の内側端部111aに固定されていても良いし、上側部111の内側端部111a以外の部分に固定されていても良い。なお、
図1A及び
図7Dでは、補強部400は、連通孔410が排気口114に連通するように上側部111の内側端部111aに固定され且つ内側端部111aに沿って円弧状に延びている。
図7A~
図7C及び
図7E~
図7Gでは、補強部400は図示省略されている。補強部400は、省略可能である(
図4~
図6参照)。連通孔410も省略可能である。
【0036】
以上のような装着型送風機D1による場合、バッグ部110に取付孔115が上記第2斜め方向に開口するように設けられている。この取付孔115の周縁部にファン200が固定され、取付孔115から露出している。そのため、装着状態で、空気をバッグ部110内に取り込むためのファン200が、人の邪魔になることはない。
【0037】
しかも、装着型送風機D1は、装着状態で、少なくとも一つの排気口114が、人の上衣の前身頃及び/又は後身頃の下端より内方向Y側に位置し、前身頃及び/又は後身頃と人の身体との間に空気を送風するようになっている。そのため、人がどのような上衣を着ていても、装着型送風機D1は、前身頃及び/又は後身頃と人の身体との間に空気を送風することができる。また、少なくとも一つの排気口114が、上側部111の内側端部111aの両端部に少なくとも一つずつ設けられており、且つ装着状態で人の腰の両横側に配置される場合、装着型送風機D1は、排気口114から排出される空気を人の身体の脇下に送風することできる。
【0038】
上側部111の引裂強度が内側部112の引裂強度よりも大きい場合、上側部111が可撓することによって、上側部111の少なくとも一つの排気口114が潰れ、部分的又は全面的に塞がるのを抑制できる。外側部113の引裂強度が、内側部112の引裂強度よりも大きい場合、外側部113がファン200を支持する一方で、内側部112による人に対する接触感を柔らかくすることができる。
【0039】
また、補強部400が設けられている場合、補強部400によって上側部111の少なくとも一つの排気口114周りが補強されているので、上側部111が可撓することによって、少なくとも一つの排気口114が潰れ、部分的又は全面的に塞がるのを防止することができる。
【実施例2】
【0040】
以下、本発明の実施例2及びその設計変形例を含む複数の実施例に係る装着型送風機D
2について、
図8~
図11を参照しつつ説明する。
図8~
図11には、実施例2の装着型送風機D2が示されている。装着型送風機D2は、バッグ部110’の構成が、装着型送風機D1のバッグ部110の構成と相違する以外、装着型送風機D1と同様の構成である。以下、その相違点について詳しく説明し、装着型送風機D2の説明のうち、装着型送風機D1と重複するものについては省略する。なお、
図11にも、上方向Z、下方向Z’、内方向Y、外方向Y’が示されている。
【0041】
バッグ部110’は、上記上側部111、内側部112及び外側部113に加えて、底側部117を有している(
図8~
図11参照)。底側部117も、上記した生地又は高密度織物で構成されていると良いが、これに限定されるものではない。
【0042】
上側部111、外側部113及び/又は底側部117の引裂強度は、内側部112の引裂強度よりも大きくすると良く、底側部117の引裂強度は、上側部111及び/又は外側部113の引裂強度と略同じ又は大きくすると良いが、これに限定されるものではない。
【0043】
上側部111は、バッグ部110’の上方向Z側に位置する部分である。内側部112は、装着状態で人の腰側に当接する部分である。内側部112の上端部が上側部111の内側端部111aに縫い付け又は接着などによって接続され、内側部112が上側部111の内側端部111aから垂下されている。外側部113の上端部が上側部111の外側端部111bに縫い付け又は接着などによって接続され、外側部113が上側部111の外側端部111bから垂下されている。底側部117は、内側部112の下端部と外側部113の下端部とを繋いでいる。底側部117の内側端部は、内側部112の下端部に縫い付け又は接着などによって接続されている。底側部117の外側端部は、外側部113の下端部に縫い付け又は接着などによって接続されている。
【0044】
上側部111は、外方向Y’側に凸の略山型とすることが可能である(
図8参照)。この場合、上側部111の内側端部111aは、直線状に延びており、上側部111の外側端部111bは、前記略山型の稜線に沿った形となっている。内側部112の下端部及び外側部113の下端部は、中央部が下方向Z’に凸となるように膨出している(
図9参照)。底側部117の内側端部は、内側部112の下端部に沿った形状であり、底側部117の外側端部は、外側部113の下端部に沿った形状である(
図10参照)。
【0045】
図示しない別の態様では、上側部111、内側部112、外側部113及び底側部117は、略矩形状とすることが可能である。この場合、内側部112、外側部113は、上側部111の内側端部111a、外側端部111bから下方向Z’に垂下されており、底側部117は、内側部112の下端部と外側部113の下端部とを繋いでいる。バッグ部110’は、一対の側面部を更に有し、側面部が上側部111、内側部112、外側部113及び底側部117によって区画される両側の開口を塞ぐように構成されている。
【0046】
取付孔115は、上記何れかの態様の底側部117(
図11参照)及び/又は外側部113に設けられている。ファン200は、上記の通り、取付孔115の周縁部に固定されている。取付孔115が底側部117に設けられている場合、ファン200は、取付孔115から下方向Z’に露出している。取付孔115が外側部113に設けられている場合、ファン200は、取付孔115から外方向Y’に露出している。
【0047】
装着型送風機D2は、装着型送風機D1と同様に、バッテリー300及び/補強部400を更に備えていても良いが、これに限定されるものではない。装着型送風機D2においても、バッテリー300及び/補強部400は省略可能である。
【0048】
以上のような装着型送風機D2による場合、バッグ部110’に取付孔115が下方向Z’及び/又は外方向Y’に開口するように設けられている。この取付孔115の周縁部にファン200が固定され、取付孔115から露出している。そのため、装着状態で、空気をバッグ部110’内に取り込むためのファン200が、人の邪魔になることはない。
【0049】
しかも、装着型送風機D2は、装着状態で、少なくとも一つの排気口114が、人の上衣の前身頃及び/又は後身頃の下端より内方向Y側に位置し、前身頃及び/又は後身頃と人の身体との間に空気を送風するようになっている。そのため、人がどのような上衣を着ていても、装着型送風機D2は、前身頃及び/又は後身頃と人の身体との間に空気を送風することができる。
【0050】
上側部111の引裂強度が内側部112の引裂強度よりも大きい場合、上側部111が可撓することによって、上側部111の少なくとも一つの排気口114が潰れ、部分的又は全面的に塞がるのを抑制できる。底側部117の引裂強度が、内側部112の引裂強度よりも大きい場合、底側部117がファン200を支持する一方で、内側部112による人に対する接触感を柔らかくすることができる。
【0051】
また、補強部400が設けられている場合、補強部400によって上側部111の少なくとも一つの排気口114周りが補強されているので、上側部111が可撓することによって、少なくとも一つの排気口114が部分的又は全面的に塞がるのを防止することができる。
【0052】
なお、本発明の装着型送風機は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0053】
本発明のバッグ部は、リジッドな成形樹脂等で構成することが可能である。この場合も、バック部は、上側部111、内側部112及び外側部113を有する構成、又は、上側部111、内側部112、外側部113及び底側部117を有する構成とすることが可能である。前者の場合、上側部111、内側部112及び外側部113は、成形樹脂等で構成されている以外、上記の通りの構成とすると良い。後者の場合、上側部111、内側部112、外側部113及び底側部117は、成形樹脂等で構成されている以外、上記の通りの構成とすると良い。
【0054】
本発明のバッグ部は、取付孔が設けられているとしたが、取付孔の代わりに、少なくとも一つの吸気口が設けられていても構わない。この場合、吸気口は、下方向及び外方向の少なくとも一方の方向の成分を含む方向に開口しており、ファン全体が本発明のバッグ部内に収容されており且つ少なくとも一つの吸気口に対向するように配置されていると良い。
【0055】
本発明の少なくとも一つの排気口は、バッグ部の上側部ではなく、バッグ部の内測部に設けられていても構わない。この場合、排気口は、内測部を貫通し、内方向に開口している。勿論、本発明の排気口が、バッグ部の上測部及び内測部の双方に設けられていても構わない。また、本発明の少なくとも一つの排気口は、メッシュ状とすることが可能である。例えば、バッグ部の上側部及び/又はバッグ部の内測部の一部又は全部をメッシュ生地で構成し、当該メッシュ生地部分を排気口とすることが可能である。又は、排気口は、バック部の上側部及び/又は内側部を貫通した貫通孔と、この貫通孔を閉塞するメッシュ生地とを有する構成とすることも可能である。
【0056】
本発明の補強部は、バッグ部の上側部の内側端部だけでなく、バッグ部の補強すべき任意の箇所に設けられていても構わない。例えば、補強部は、バッグ部の上側部の内側端部
及び中間部に設けられていても良いし、バッグ部の上側部の内側端部及び外側端部に設けられていても良いし、バッグ部の上側部の全領域に設けられていても構わない。また、補強部は、バッグ部の上側部の代わり又はバッグ部の上側部に加えて、バッグ部の内側部、外測部及び/又は底側部に設けられていても構わない。
【0057】
本発明のウエストバッグは、ベルト部の代わりに、上記した何れかの態様のバッグ部に連結されており且つ人の下衣のベルトループ等に吊り下げ可能なフックが設けられていても構わない。この場合、フックがベルトループ等に吊り下げられることによって、ウエストバッグが人の腰に装着される。
【0058】
本発明のファンは、少なくとも一つあれば良い。換言すると、本発明のファンは、一又は複数とすることが可能である。ファンが複数である場合、取付孔115もファン200の数に応じて複数とすることが可能である。この場合、上記の通り、ファン200が取付孔115に各々取り付けられた構成とすることが可能である。又は、複数のファンがバッグ部内に収容され、且つ、取付孔の代わりに、少なくとも一つの吸気口が設けられていても構わない。
【0059】
なお、本発明の内方向は、本発明のウエストバッグを人の腰に装着したときに、ウエストバッグのバッグ部が人に接する方向であれば良い。本発明の外方向は、本発明の内方向の反対方向であれば良い。
【符号の説明】
【0060】
D1、D2:装着型送風機
100:ウエストバッグ
110、110’:バッグ部
111:上側部
111a:内側端部
111b:外側端部
112:内側部
113:外側部
114:排気口
115:取付孔
116:線ファスナ
117:底側部
121:ベルト部
122:ベルト部
200:ファン
210:回転羽
220:筐体
300:バッテリー
400:補強部
410:連通孔