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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】展開可能放射線遮蔽体カバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/10 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
A61B6/10 503
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021578026
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 US2020040365
(87)【国際公開番号】W WO2021003191
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】62/869,675
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518161329
【氏名又は名称】ラディアクション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イファット, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】バール, ヨッシ
(72)【発明者】
【氏名】ベルソン, アミール
【審査官】佐藤 賢斗
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-500624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0232282(US,A1)
【文献】国際公開第2018/007437(WO,A1)
【文献】中国実用新案第203898342(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0099969(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0084574(KR,A)
【文献】国際公開第2013/129449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
A61N 5/00 - 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線システムの放射線遮蔽体を被覆するための放射線遮蔽体カバーであって、前記カバーは、
カバー側面と、
前記カバー側面の底部におけるカバー底部であって、前記カバー底部は、患者との前記放射線遮蔽体の接触を防止するように構成される、カバー底部と、
放射線検出器および/または放射線源、および/または、前記X線システムの前記放射線遮蔽体に前記カバーを接続するための接続機構と、
前記放射線遮蔽体が後退および/または拡張するとき、またはその後、前記遮蔽体カバーを後退および/または拡張させるように構成される展開機構と
を備える、カバー。
【請求項2】
前記カバー側面は、前記放射線検出器および/または前記放射線源および/または前記放射線遮蔽体に取り付けられるように構成される、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記接続機構は、周辺弾性バンドを有する開口部を伴うカバー上部を含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
前記カバーは、使い捨てであるように設計される、請求項1に記載のカバー。
【請求項5】
前記展開機構は、前記放射線遮蔽体カバーを後退させるように構成される、請求項1に記載のカバー。
【請求項6】
前記展開機構は、前記カバーに動作可能に接続される少なくとも1つの油圧動作式伸縮自在デバイスに流動的に接続されるポンプを備える、請求項1に記載のカバー。
【請求項7】
前記展開機構は、モータと、前記モータおよび伸縮自在デバイスに動作可能に接続されるケーブルとを備える、請求項1に記載のカバー。
【請求項8】
前記展開機構は、前記カバーに動作可能に接続される少なくとも1つの弾性部材を備える、請求項1に記載のカバー。
【請求項9】
前記展開機構は、少なくとも1つのカバー/遮蔽体締結具を備える、請求項1に記載のカバー。
【請求項10】
前記少なくとも1つのカバー/遮蔽体締結具は、その外部側において前記遮蔽体に接続されるアンカと、前記カバーの内部側に接続されるフックとを備える、請求項9に記載のカバー。
【請求項11】
前記展開機構は、少なくとも1つの遮蔽体カバーケーブルと、少なくとも1つのケーブル間締結具と、少なくとも1つのモータシャフトケーブルと、モータシャフトを有する少なくとも1つの電気モータとを備え、前記遮蔽体カバーケーブルは、一端において、前記カバーの遠位部分に接続され、その他端において、ケーブル間締結具に接続され、モータシャフトケーブルは、一端において、ケーブル間締結具に接続され、その他端において、前記モータシャフトに接続され、前記カバーの後退中、前記モータシャフトケーブルは、前記モータシャフト上に巻回されるように構成され、拡張中、前記モータシャフトケーブルは、前記モータシャフト上で解巻されるように構成される、請求項1に記載のカバー。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電気モータは、前記カバーの同一面に沿って配置される2つのモータシャフトケーブルに接続され、前記シャフトケーブルのうちの1つは、前記モータシャフトの下部または下側に取り付けられ、他のモータシャフトケーブルは、前記モータシャフトの上部または上側に取り付けられ、それによって、前記電気モータが動作されてモータシャフトが回転すると、前記2つのモータシャフトケーブルは、同時に、前記モータシャフト上に巻回される、または、同時に、前記シャフトから解巻される、請求項11に記載のカバー。
【請求項13】
前記少なくとも1つのモータシャフトは、シャフト付属品を有し、シャフト軸受が、前記シャフト付属品上に配置され、前記シャフト付属品は、前記シャフトより大きい直径を有し、モータシャフトケーブルを用いて、同時に、前記カバーの後退中、前記シャフト上に巻回し、前記カバーの拡張中、そこから解巻するように構成される、請求項11に記載のカバー。
【請求項14】
前記モータシャフトケーブルおよび/または前記遮蔽体カバーケーブルは、モータ停止センサと、視覚的センサ停止フラグとを備え、前記モータ停止センサは、フラグが後退方向に到着するときを感知し、信号を前記電気モータに送信し、動作を停止させ、それによって、過巻回を防止するように構成される、請求項11に記載のカバー。
【請求項15】
前記展開機構は、少なくとも1つのプーリシステムを備え、前記少なくとも1つのプーリシステムは、収縮および拡張し、それぞれ、前記ケーブルを解放および引動させるように構成される、請求項11に記載のカバー。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプーリシステムは、線形モータによって上昇および降下される略水平ロッドを備える、請求項15に記載のカバー。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプーリシステムは、前記略水平ロッドを安定させるための1つ以上の垂直安定化ロッドをさらに備える、請求項16に記載のカバー。
【請求項18】
前記水平ロッドは、1つ以上の垂直安定化ロッドによって安定させられ、前記1つ以上の垂直安定化ロッド上で、1つ以上の安定化リングが、摺動することができる、請求項16に記載のカバー。
【請求項19】
前記展開機構は、前記カバーの角に取り付けられる遮蔽体カバーケーブルを備え、前記遮蔽体カバーケーブルは、スリーブを通して延設される、請求項1に記載のカバー。
【請求項20】
前記展開機構は、前記カバーの角に取り付けられる遮蔽体カバーケーブルを備え、前記遮蔽体カバーケーブルは、一連のリングを通して延設される、請求項1に記載のカバー。
【請求項21】
前記展開機構は、前記遮蔽体カバーケーブルに沿った一連の場所から前記カバーの縁に沿った一連の対応する場所まで延在する一連のケーブル/カバーケーブルを伴う遮蔽体カバーケーブルを備える、請求項1に記載のカバー。
【請求項22】
前記ケーブル/カバーケーブルは、前記遮蔽体カバーケーブルの遠位端から、前記カバーの前記底部と前記側面のうちの1つとにおける角における場所および前記角に隣接する場所を含む場所まで延在する、請求項21に記載のカバー。
【請求項23】
正方形状の外形を形成する4つのカバー側面が、存在する、請求項1に記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年7月2日に出願された米国仮特許出願第62/869,675号からの優先権を主張し、その開示は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、放射線保護機器に関し、特に、放射線遮蔽体を被覆して患者汚染を防止するための放射線遮蔽体カバーに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
X線機器は、種々の用途およびシステムにおいて日常的に使用されている。例えば、医療設定では、X線が、診断ツールとして広く使用されている。それにもかかわらず、X線システムを動作させる医療提供者および技術的人員は、通常、放射線に暴露され、そのような累積X線暴露によって害を受け得る。
【0004】
X線遮蔽機器(例えば、蛍光透視法Cアーム遮蔽体)は、X線手技の間、迷放射線への医療チームの暴露を低減させるために有利に使用されることができる。遮蔽機器(例えば、Cアーム蛍光透視法遮蔽装置)と関連付けられる課題のうち、無菌状態を維持し、患者間汚染を防止することは、要件である。
【0005】
本発明の分野および技術における例示的教示は、本発明の同一出願人/譲受人によって、以下の開示、すなわち、米国第8,439,564号、米国第8,113,713号、米国第9,370,331号、米国第9,907,519号、米国第10,244,996号、米国第2018/249,972号、PCT/US2019/069158、およびPCT/US2019/069162において提供され、その教示は、本明細書に完全に記載される場合と同様に、参照により援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8,439,564号明細書
【文献】米国特許第8,113,713号明細書
【文献】米国特許第9,370,331号明細書
【文献】米国特許第9,907,519号明細書
【文献】米国特許第10,244,996号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/249,972号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、清浄性を確実にするための放射線遮蔽体または放射線遮蔽装置のためのカバーに関する。本発明は、特に、拡張し(例えば、拡張され)および後退(例えば、折畳)し、放射線遮蔽機器および/またはX線システムまたはその一部と患者との間の滅菌障壁を提供することができるカバーに関する。
【0008】
カバーは、放射線遮蔽体の少なくとも一部にわたって設置可能であり、放射線遮蔽体、および/または、X線撮像機器のCアーム検出器および/または源または同等物と患者との間の滅菌障壁を提供し、可能性のある患者間汚染を防止するように構成される。
【0009】
本発明の一側面によると、X線システムの放射線遮蔽体を被覆するための放射線遮蔽体カバーが提供され、カバーは、
放射線遮蔽体カバー側面と、
カバー側面の底部におけるカバー底部であって、カバー底部は、患者との放射線遮蔽体の接触を防止するように構成される、カバー底部と、
放射線検出器および/または放射線源および/またはX線システムの放射線遮蔽体にカバーを接続するための接続機構と
を備える。
【0010】
別の側面によると、本発明は、X線システムの放射線遮蔽体を被覆するための放射線遮蔽体カバーを提供し、カバーは、
カバー側面と、
カバー側面の底部におけるカバー底部であって、カバー底部は、患者との放射線遮蔽体の接触を防止するように構成される、カバー底部と、
放射線検出器および/または放射線源および/またはX線システムの放射線遮蔽体にカバーを接続するための接続機構と、
放射線遮蔽体が後退および/または拡張するとき、またはその後、遮蔽体カバーを後退および/または拡張させるように構成される展開機構と
を備える。
【0011】
別の側面によると、本発明は、装置を被覆する放射線遮蔽体を提供し、放射線遮蔽体は、
展開機構と、
カバー側面と、カバー側面の底部におけるカバー底部であって、カバー底部は、患者との放射線遮蔽体の接触を防止するように構成される、カバー底部とを有する放射線遮蔽体カバーと
を備え、
展開機構は、放射線遮蔽体カバーを後退および/または拡張させるように構成される、装置を提供する。
【0012】
1つ以上の実施形態では、カバー側面は、放射線検出器および/または放射線源および/または放射線遮蔽体に取り付けられるように構成される。
【0013】
1つ以上の実施形態では、カバーは、それを放射線検出器および/または放射線源および/またはX線放射線遮蔽体に接続するための接続機構を含む。
【0014】
1つ以上の実施形態では、接続機構は、周辺弾性バンドを有する開口部を伴うカバー上部を含む。
【0015】
1つ以上の実施形態では、カバーは、使い捨てであるように設計される。
【0016】
1つ以上の実施形態では、カバーは、それと関連付けられかつ放射線遮蔽体カバーを後退させるように構成される展開機構をさらに含む。1つ以上の実施形態では、カバーは、それと関連付けられかつ放射線遮蔽体カバーを拡張させるように構成される展開機構をさらに含む。1つ以上の実施形態では、展開機構は、放射線遮蔽体カバーを拡張させるように構成されない。
【0017】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、カバーに動作可能に接続される少なくとも1つの油圧動作式伸縮自在デバイスに流動的に接続されるポンプを含む。
【0018】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、モータと、モータおよび伸縮自在デバイスに動作可能に接続されるケーブルとを含む。
【0019】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、カバーに動作可能に接続される少なくとも1つの弾性部材を含む。
【0020】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、少なくとも1つのカバー/遮蔽体締結具を含む。
【0021】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つのカバー/遮蔽体締結具は、その外部側において遮蔽体に接続されるアンカと、カバーの内部側に接続されるフックとを含む。
【0022】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、少なくとも1つの遮蔽体カバーケーブルと、少なくとも1つのケーブル間締結具と、少なくとも1つのモータシャフトケーブルと、モータシャフトを有する少なくとも1つの電気モータとを含み、遮蔽体カバーケーブルは、一端において、カバーの遠位部分に接続され、その他端において、ケーブル間締結具に接続され、モータシャフトケーブルは、一端において、ケーブル間締結具に接続され、その他端において、モータシャフトに接続される。
【0023】
1つ以上の実施形態では、遮蔽体カバーケーブルは、カバーに取り付けられ、遮蔽体カバーとともに除去されることができる。
【0024】
1つ以上の実施形態では、電気モータが動作されてモータシャフトが回転すると、モータシャフトケーブルは、モータシャフト上に巻回される、または、シャフトから解巻される。
【0025】
1つ以上の実施形態では、カバーの後退中、モータシャフトケーブルは、モータシャフト上に巻回されるように構成され、拡張中、モータシャフトケーブルは、モータシャフト上で解巻されるように構成される。
【0026】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの電気モータは、カバーの同一面に沿って配置される2つのモータシャフトケーブルに接続され、シャフトケーブルのうちの1つは、モータシャフトの下部または下側に取り付けられ、他のモータシャフトケーブルは、モータシャフトの上部または上側に取り付けられ、それによって、電気モータが動作されてモータシャフトが回転すると、2つのモータシャフトケーブルは、同時に、モータシャフト上に巻回される、または、同時に、シャフトから解巻される。
【0027】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの電気モータは、カバーの同一面に沿って配置されるモータシャフトケーブルに接続され、それによって、電気モータが動作されてモータシャフトが回転すると、モータシャフトケーブルは、同時に、モータシャフト上に巻回される、または、同時に、シャフトから解巻される。
【0028】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの電気モータは、カバーの同一面に沿って配置される2つのモータシャフトケーブルに接続され、シャフトケーブルのうちの1つは、モータシャフトの下部または下側に取り付けられ、他のモータシャフトケーブルは、モータシャフトの上部または上側に取り付けられ、それによって、電気モータが動作されてモータシャフトが回転すると、2つのモータシャフトケーブルは、同時に、モータシャフト上に巻回される、または、同時に、シャフトから解巻される。
【0029】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つの電気モータは、対向して拡張するモータシャフトを含み、シャフトの各々は、シャフト付属品を有し、シャフト軸受が、シャフト付属品上に配置され、シャフト付属品は、シャフトより大きい直径を有し、モータシャフトケーブルを用いて、同時に、カバーの後退中、シャフトのうちの1つを巻回し、カバーの拡張中、そこから解巻するように構成される。
【0030】
1つ以上の実施形態では、モータシャフトケーブルおよび/または遮蔽体カバーケーブルは、モータ停止センサと、視覚的センサ停止フラグとを含み、モータ停止センサは、フラグが後退方向に到着するときを感知し、信号を電気モータに送信し、動作を停止させ、それによって、過巻回を防止するように構成される。
【0031】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、少なくとも1つのプーリシステムを含み、少なくとも1つのプーリシステムは、収縮および拡張し、それぞれ、ケーブルを解放および引動させるように構成される。
【0032】
1つ以上の実施形態では、少なくとも1つのプーリシステムは、線形モータによって上昇および降下される略水平ロッドを含む。
【0033】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、略水平ロッドを安定させるための1つ以上の垂直安定化ロッドを含む。
【0034】
1つ以上の実施形態では、水平ロッドは、1つ以上の垂直安定化ロッドによって安定され、1つ以上の垂直安定化ロッド上で、1つ以上の安定化リングが、摺動することができる。
【0035】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、カバーの角に取り付けられる遮蔽体カバーケーブルを含み、遮蔽体カバーケーブルは、スリーブを通して延設される。
【0036】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、カバーの角に取り付けられる遮蔽体カバーケーブルを含み、遮蔽体カバーケーブルは、一連のリングを通して延設される。
【0037】
1つ以上の実施形態では、展開機構は、遮蔽体カバーケーブルに沿った一連の場所からカバーの縁に沿った一連の対応する場所まで延在する一連のケーブル/カバーケーブルを伴う遮蔽体カバーケーブルを含む。
【0038】
1つ以上の実施形態では、遮蔽体カバーケーブルは、遮蔽体カバーケーブルの遠位端から、カバーの底部と側面のうちの1つとにおける角における場所およびそれに隣接する場所を含む場所まで延在する複数のケーブル/カバーケーブルを有する。
【0039】
1つ以上の実施形態では、正方形状の外形を形成する4つのカバー側面が、存在する。1つ以上の実施形態では、三角形外形を形成する3つのカバー側面が、存在する。1つ以上の実施形態では、カバーは、丸みを帯びた外形を有する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
X線システムの放射線遮蔽体を被覆するための放射線遮蔽体カバーであって、前記カバーは、
カバー側面と、
前記カバー側面の底部におけるカバー底部であって、前記カバー底部は、患者との前記放射線遮蔽体の接触を防止するように構成される、カバー底部と、
放射線検出器および/または放射線源、および/または、前記X線システムの前記放射線遮蔽体に前記カバーを接続するための接続機構と、
前記放射線遮蔽体が後退および/または拡張するとき、またはその後、前記遮蔽体カバーを後退および/または拡張させるように構成される展開機構と
を備える、カバー。
(項目2)
前記カバー側面は、前記放射線検出器および/または前記放射線源および/または前記放射線遮蔽体に取り付けられるように構成される、項目1に記載のカバー。
(項目3)
前記接続機構は、周辺弾性バンドを有する開口部を伴うカバー上部を含む、項目1に記載のカバー。
(項目4)
前記カバーは、使い捨てであるように設計される、項目1に記載のカバー。
(項目5)
前記展開機構は、前記放射線遮蔽体カバーを後退させるように構成される、項目1に記載のカバー。
(項目6)
前記展開機構は、前記カバーに動作可能に接続される少なくとも1つの油圧動作式伸縮自在デバイスに流動的に接続されるポンプを備える、項目1に記載のカバー。
(項目7)
前記展開機構は、モータと、前記モータおよび伸縮自在デバイスに動作可能に接続されるケーブルとを備える、項目1に記載のカバー。
(項目8)
前記展開機構は、前記カバーに動作可能に接続される少なくとも1つの弾性部材を備える、項目1に記載のカバー。
(項目9)
前記展開機構は、少なくとも1つのカバー/遮蔽体締結具を備える、項目1に記載のカバー。
(項目10)
前記少なくとも1つのカバー/遮蔽体締結具は、その外部側において前記遮蔽体に接続されるアンカと、前記カバーの内部側に接続されるフックとを備える、項目9に記載のカバー。
(項目11)
前記展開機構は、少なくとも1つの遮蔽体カバーケーブルと、少なくとも1つのケーブル間締結具と、少なくとも1つのモータシャフトケーブルと、モータシャフトを有する少なくとも1つの電気モータとを備え、前記遮蔽体カバーケーブルは、一端において、前記カバーの遠位部分に接続され、その他端において、ケーブル間締結具に接続され、モータシャフトケーブルは、一端において、ケーブル間締結具に接続され、その他端において、前記モータシャフトに接続され、前記カバーの後退中、前記モータシャフトケーブルは、前記モータシャフト上に巻回されるように構成され、拡張中、前記モータシャフトケーブルは、前記モータシャフト上で解巻されるように構成される、項目1に記載のカバー。
(項目12)
前記少なくとも1つの電気モータは、前記カバーの同一面に沿って配置される2つのモータシャフトケーブルに接続され、前記シャフトケーブルのうちの1つは、前記モータシャフトの下部または下側に取り付けられ、他のモータシャフトケーブルは、前記モータシャフトの上部または上側に取り付けられ、それによって、前記電気モータが動作されてモータシャフトが回転すると、前記2つのモータシャフトケーブルは、同時に、前記モータシャフト上に巻回される、または、同時に、前記シャフトから解巻される、項目11に記載のカバー。
(項目13)
前記少なくとも1つのモータシャフトは、シャフト付属品を有し、シャフト軸受が、前記シャフト付属品上に配置され、前記シャフト付属品は、前記シャフトより大きい直径を有し、モータシャフトケーブルを用いて、同時に、前記カバーの後退中、前記シャフト上に巻回し、前記カバーの拡張中、そこから解巻するように構成される、項目11に記載のカバー。
(項目14)
前記モータシャフトケーブルおよび/または前記遮蔽体カバーケーブルは、モータ停止センサと、視覚的センサ停止フラグとを備え、前記モータ停止センサは、フラグが後退方向に到着するときを感知し、信号を前記電気モータに送信し、動作を停止させ、それによって、過巻回を防止するように構成される、項目11に記載のカバー。
(項目15)
前記展開機構は、少なくとも1つのプーリシステムを備え、前記少なくとも1つのプーリシステムは、収縮および拡張し、それぞれ、前記ケーブルを解放および引動させるように構成される、項目11に記載のカバー。
(項目16)
前記少なくとも1つのプーリシステムは、線形モータによって上昇および降下される略水平ロッドを備える、項目15に記載のカバー。
(項目17)
前記少なくとも1つのプーリシステムは、前記略水平ロッドを安定させるための1つ以上の垂直安定化ロッドをさらに備える、項目15に記載のカバー。
(項目18)
前記水平ロッドは、1つ以上の垂直安定化ロッドによって安定され、前記1つ以上の垂直安定化ロッド上で、1つ以上の安定化リングが、摺動することができる、項目16に記載のカバー。
(項目19)
前記展開機構は、前記カバーの角に取り付けられる遮蔽体カバーケーブルを備え、前記遮蔽体カバーケーブルは、スリーブを通して延設される、項目1に記載のカバー。
(項目20)
前記展開機構は、前記カバーの角に取り付けられる遮蔽体カバーケーブルを備え、前記遮蔽体カバーケーブルは、一連のリングを通して延設される、項目1に記載のカバー。
(項目21)
前記展開機構は、前記遮蔽体カバーケーブルに沿った一連の場所から前記カバーの縁に沿った一連の対応する場所まで延在する一連のケーブル/カバーケーブルを伴う遮蔽体カバーケーブルを備える、項目1に記載のカバー。
(項目22)
前記ケーブル/カバーケーブルは、前記遮蔽体カバーケーブルの遠位端から、前記カバーの前記底部と前記側面のうちの1つとにおける角における場所およびそれに隣接する場所を含む場所まで延在する、項目21に記載のカバー。
(項目23)
正方形状の外形を形成する4つのカバー側面が、存在する、項目1に記載のカバー。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本発明は、以下の図面を参照するとともに、その非限定的例示的実施形態の以下の詳述な説明の熟読に応じて、より明確に理解され得る。
【0041】
図1図1は、X線システムの例示的先行技術Cアームの側面図である。
図2図2は、例示的先行技術放射線遮蔽体がそこに接続される図1のCアームの斜視図である。
図3A図3Aおよび3Bは、それぞれ、本発明の実施形態による、図1または2のCアームに取り付けられる、後退および拡張位置における例示的展開可能放射線遮蔽体カバーの斜視図である。
図3B図3Aおよび3Bは、それぞれ、本発明の実施形態による、図1または2のCアームに取り付けられる、後退および拡張位置における例示的展開可能放射線遮蔽体カバーの斜視図である。
図4図4は、本発明の実施形態による、放射線遮蔽体カバーの斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態による、油圧伸縮自在デバイスを含む、そのための例示的遮蔽体カバー展開機構と関連付けられる放射線遮蔽体カバーの斜視図である。
図6図6Aおよび6Bは、本発明の実施形態による、それぞれ、Cアームの検出器および放射線源に取り付けられる放射線遮蔽体カバーの斜視図であり、スプール状モータシャフトを伴うモータを含む別の例示的遮蔽体カバー展開機構を図示する。
図7図7は、本発明の実施形態による、弾性バンドを含む、そのための別の例示的遮蔽体カバーおよび例示的展開機構の斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態による、カバー/遮蔽体締結具を含む、そのためのさらに別の例示的遮蔽体カバーおよび例示的展開機構の斜視図である。
図9A図9Aおよび9Bは、本発明の実施形態による、それぞれ、後退および拡張位置における放射線遮蔽体カバーの概略斜視図であり、遮蔽体カバー展開機構の例示的詳細を図示する。
図9B図9Aおよび9Bは、本発明の実施形態による、それぞれ、後退および拡張位置における放射線遮蔽体カバーの概略斜視図であり、遮蔽体カバー展開機構の例示的詳細を図示する。
図10図10は、本発明の実施形態による、スピンモータを含む別の例示的遮蔽体カバー展開機構を図示する概略側面図である。
図11図11は、本発明の実施形態による、モータ停止センサを含むさらに別の例示的遮蔽体カバー展開機構の概略側面図である。
図12図12は、本発明の実施形態による、プーリシステムを含むさらに別の例示的遮蔽体カバー展開機構の概略側面図である。
図13図13A~13Dは、本発明の実施形態による、遮蔽体カバー展開機構の付加的例示的オプションを図示する概略側面図である。
【0042】
本発明の実施形態の以下の詳述な説明は、上記で参照される付随の図面を参照する。図に示される構成要素および特徴の寸法は、提示の便宜上または明確性のために選定され、必ずしも、正確な縮尺で示されない。可能な限り、同一の参照番号が、同一および同様の部品を指すために、図面全体および以下の説明を通して使用される。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(実施形態の詳細な説明)
本発明の例証的実施形態が、下記に説明される。明確性のために、実際の実装の全ての特徴/構成要素が、必ずしも、説明されるわけではない。
【0044】
X線システムの医療上の使用に起因するX線放射線への繰り返される暴露は、実質的に有害な健康効果を引き起こす。その結果、周囲をX線の迷放射線から遮蔽(保護)するために構成される放射線遮蔽装置が、本発明の本発明者らのうちの少なくとも一部によって以前に考案されている。例示的なそのような放射線遮蔽装置は、以下の本発明の同一出願人/譲受人によって以前に出願された開示、すなわち、米国特許第8,439,564号および第8,113,713号ならびに国際出願第WO/2017/083437号(その教示は、参照により本明細書に援用される)に提供される。
【0045】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、放射線遮蔽装置のカバーに関し、これは、X線システムまたはその一部と患者および/または保健医療スタッフとの間の滅菌障壁をもたらし、可能性のある患者間汚染を防止することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態の可能性のある利点は、X線遮蔽体カバーが、単純で、信頼性があり、コスト効果的であり、容易に取付可能であり、置換可能であり、かつコンパクトであることを含む。
【0047】
有利なこととして、カバーは、除去可能であり、使い捨て可能または再使用可能であり得る(すなわち、種々の公知の滅菌技法を用いて滅菌されることができる)。随意に、カバーは、使い捨てであり、それに関連する付属品は、再使用可能である。さらに随意に、カバーは、使い捨てであり、その展開機構は、再使用可能である。さらに随意に、カバーは、その展開機構とともに、再使用可能である。
【0048】
本発明の実施形態は、放射線遮蔽装置とともに使用されることができてX線手技中に患者の滅菌/より清浄な周囲環境を可能にする付属品または補助製品を提供するために使用されてもよい。本発明のさらに例示的実施形態は、Cアーム放射線遮蔽装置およびその展開可能カバーに関する。
【0049】
本明細書の遮蔽体カバーは、透明、半透明、または不透明であってもよい。カバーは、種々の可撓性、軽量、および/または拡張可能材料から作製されてもよい。カバーの材料のための非限定的実施例は、ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルを含む。
【0050】
カバーは、カバーを後退させるように構成される展開機構を含む。加えてまたは代替として、展開機構は、カバーが拡張することを可能にする拡張機構を含む。展開機構の非限定的実施例は、油圧ピストン、伸縮自在部材、ばね、ケーブル後退-拡張機構(例えば、モータ式ローラ機構)を伴うケーブル、および同等物を含む。
【0051】
本放射線遮蔽体カバーは、明細書および請求項において、一対のそのようなカバーがCアームX線システムに対して使用され得るにもかかわらず、単数形において説明され得る。例えば、上側カバーは、Cアームの検出器に取り付けられ得/取付可能であり得、下側カバーは、Cアームの源に取り付けられ得る/取付可能であり得る。
【0052】
用語「X線システム」およびその派生語は、本明細書では、非限定的様式において使用され、任意のX線撮影または放射線療法X線放出型システム(例えば、デジタル放射線医学、蛍光透視法、血管造影法(Cアーム)、またはデジタルX線システム)を指す。本用語はまた、非医療用途における使用に適したX線放出型システムを指し得る。
【0053】
図1は、例示的先行技術CアームX線システム5を図示し、図2は、X線システム5によって放出される散乱されたX線から周囲環境を保護するように構成される例示的先行技術放射線遮蔽装置10を図示する。X線システム5は、Cアーム9の対向端上に搭載される放射線源8および放射線検出器6を含む。放射線源8は、患者1の撮像される面積4を通して放射線検出器6に向かって通過するX線ビーム2を放出し、放射線検出器6は、X線放射線への暴露を記録し、リアルタイムでまたは後の時間のいずれかにおいて、画像またはビデオフィードをコンピュータおよび/またはディスプレイに送信する。
【0054】
図2は、上側放射線遮蔽体11および下側放射線遮蔽体13を示し、これは、Cアーム9の放射線検出器6および放射線源8を含み、それぞれ、支持基部19を介して放射線検出器6および放射線源8に周辺上で結合される。放射線遮蔽体11、13は、放射線遮蔽を周囲環境に提供し、X線技術者およびスタッフを保護する。遮蔽体11、13は、患者1と軟接触し得る自由端または自由縁17を有する。遮蔽体11、13は、専用モータ式後退/拡張機構(図示せず)を介して、さらに動的に後退可能および拡張可能である。
【0055】
図3Aおよび3Bは、それぞれ、後退位置および拡張位置における例示的放射線遮蔽体カバー200を示す。図示されるように、カバー200は、放射線遮蔽体11および13を完全に被覆し、それによって、遮蔽体11、13と患者1との間の滅菌障壁を提供するように構成されてもよい。随意に、カバー200はまた、放射線検出器6および/または放射線源8の全部または一部を被覆する。代替として、カバー200は、患者1に近接近するまたは接触する面積を少なくとも被覆するように成形および定寸されてもよい。
【0056】
放射線遮蔽体11、13が動的に後退および拡張するように構成されるため、カバー200は、有利に後退および拡張し、それによって、遮蔽体11、13の動的寸法/位置に適合し、大体、遮蔽体の形状に共形化することができる。下記により詳細に詳述されるように、カバー200は、遮蔽体11および13の拡張および後退運動機構から独立してその収縮/折畳を促進するための展開機構を含んでもよい。代替として、カバーは、遮蔽体11および13の後退とともに折畳/収縮されてもよい。遮蔽体11、13上の任意の抵抗力および/またはその拡張機構への拘束を回避するために、カバーは、受動的に(すなわち、随意に放射線遮蔽体がカバー上に印加する拡張力に起因する、遮蔽体11および13の拡張とともに)拡張されてもよい。代替として、カバーは、能動的に拡張されてもよい。
【0057】
図4は、4つの側面200sと底部200bとカバー上部200tとを有する遮蔽体カバー200の設計を示す(用語「底部」および「上部」は、図4に図示されるカバーの配向に従い、カバーが上側放射線遮蔽体11または下側放射線遮蔽体13を被覆するかどうかに応じて逆配向となり得る)。図示される4つのカバー側面200sは、正方形状の外形を形成するが、それにかかわらず、長方形状または円形状の外形もまた、熟慮される。カバー上部200tは、図示されるように、周辺弾性バンド201eを伴う接続機構100(例えば、(例えば、一般的シャワーキャップに類似する)開口部201)を含み、放射線検出器6または放射線源8、および/または、放射線遮蔽装置10の支持基部19への接続を促進する。随意に、カバー上部200tは、代替様式において(例えば、接着剤細片、フックおよびループ締結具、クリップ、フック等によって)、接続機構100を介して取り付けられることができる。
【0058】
いくつかの設計では、側面200sは、上部200tの必要なく、放射線検出器6または放射線源8、および/または、支持基部19に取り付くように構成される。そのような場合、側面200sは、接着剤細片、フックおよびループ締結具、クリップ、フック、ゴムバンド等を組み込む接続機構100を含んでもよい。
【0059】
カバー200は、補強のために、角縁にかつ/または側面200sに沿って、1つ以上の縫目200gを有してもよい。カバー200は、使い捨てであり、単回使用のために意図され得る、または、代替として、清浄/滅菌後の繰り返しの使用のために意図され得る。カバー200は、低重量でありかつ/または費用対効果が良い(例えば、低コストの薄いシートポリマーから作製される)ように設計されることができる。有利なこととして、カバー200は、種々の技法を介して(例えば、化学滅菌、UV放射線、および同等物によって)滅菌プロセスを受けることができる材料から製造されてもよい。
【0060】
加えて、その材料特性および設計に起因して、カバー200は、特に、後退(例えば、折畳)されるとき、サイズおよび/または形状がコンパクトである。1つ以上の実施形態では、カバー200は、圧潰/後退されたサイズの最大約1000%までの長さおよび/または体積に拡張可能であるように、コンパクトに折畳可能である。例えば、カバー200は、圧潰されたサイズの最大約900%、最大約800%、最大約700%、最大約600%、最大約500%、最大約450%、最大約400%、最大約350%、最大約300%、最大約250%、最大約200%、または最大約150%の長さおよび/または体積に拡張可能であってもよい。
【0061】
静的(すなわち、非展開可能)であるCアーム放射線遮蔽装置10の先行技術滅菌カバーは、かなり大きく、より嵩張り、かつより煩雑であり得る。遮蔽体カバー200は、CアームX線システム5等のX線システムのための滅菌カバーを有利に提供し、放射線遮蔽ユニット(例えば、検出器/源の遮蔽ユニット)全体を被覆し、随意に、放射線遮蔽装置10に従ってまたは放射線遮蔽装置10とともに動的に拡張および/または後退することができる。
【0062】
滅菌カバー200は、透明、半透明、または不透明であってもよい。本明細書に開示されるカバー200を製造するための種々の材料が、熟慮され、適用可能であり得る。カバー材料の非限定的実施例は、ポリエチレンおよびポリ塩化ビニルを含む。滅菌カバー200は、放射線遮蔽体11、13の動的寸法に従って拡張および/または後退することができるように設計される。
【0063】
図5は、放射線遮蔽体カバー200と関連付けられる展開機構300を図示する。特に、その拡張機構上の遮蔽体11、13の動的性質上の任意の拘束を回避するために、カバー200は、遮蔽体11、13の拡張とともに受動的に拡張するように構成されてもよい。それにもかかわらず、展開機構300はまた、カバー200の拡張を促進し得る。展開機構300は、油圧タイプであってもよく、(例えば、油圧動作式区画またはピストンを含む)少なくとも1つの油圧伸縮自在デバイス205の形態における、展開デバイス202に流動的に接続されるポンプ203を含んでもよい。油圧伸縮自在デバイス205の拡張を介したカバー200の拡張は、放射線遮蔽体11および13の拡張の前または放射線遮蔽体11および13の拡張とともに実施されてもよく、カバーの後退(油圧伸縮自在デバイス205の後退)は、放射線遮蔽体の後退の後または放射線遮蔽体の後退とともに実施されてもよい。
【0064】
カバー200は、展開デバイス202(特に、その油圧伸縮自在デバイス205)がポンプ203によって動作されると、拡張/後退されることができる。油圧伸縮自在デバイス205は、好ましくは、軽量であり、ポリマー材料(例えば、PVC、ポリエチレン、アミド、PTFE、PET、PEEK、または同等物)から作製され得る、または、軽金属(例えば、アルミニウム)から作製されてもよい。代替としてまたは加えて、ピストンは、カーボンファイバ材料等の軽量剛性材料から作製されてもよい。油圧伸縮自在デバイス205は、低コストかつ低重量であり得る。
【0065】
油圧伸縮自在デバイス205は、本デバイスの区画毎のストッパとしての役割を果たしかつ/またはポンプ203による事実上の流体流動を提供するためのガスケットとしての役割を果たすプラスチックリング(不可視)を含んでもよい。有利なこととして、後退および/または拡張は、油圧伸縮自在デバイス205を介して1つ以上の液体を流動させることによって行われ、要求される後退/拡張機能のための「気密」シールを提供する特定の要件は、存在しない。低体積油圧伸縮自在デバイス205(例えば、20~50cc)を使用して、低圧において約100~300cc/秒の空気圧流動が、展開のために十分であり得る。代替として、油圧伸縮自在デバイス205は、空気圧で後退および/または拡張されることができる一方で、後退/拡張動作のうちの少なくとも1つは、空気圧を伴うことなく(すなわち、放射線遮蔽体11、13の重力および/または動作(拡張/後退)を介して)受動的に達成されることができる。随意に、ポンプ203は、負の空気圧を印加することによって、カバー200の後退をアクティブ化し、これは、油圧伸縮自在デバイス205を能動的に収縮させ、カバーを後退位置に配列する(例えば、折畳されたまたは縮らされた状態にする)。
【0066】
展開デバイス202は、カバー220の後退のみをもたらすように設計されることができる。展開デバイス202は、カバー220の拡張のみをもたらすようにも設計されることができる。随意に、展開デバイス202は、カバー220の拡張および後退の両方をもたらすように設計されることができる。随意に、展開デバイス202は、カバー200の少なくとも1つの角に配置されることができる。随意に、展開デバイス202は、カバー200の少なくとも1つの面角に配置されることができる。展開デバイス202は、それまたはその一部あるいはそのユニットを支持基部19および/または放射線遮蔽体11および13に直接または間接的に接続するための手段を含む。
【0067】
1つ以上の実施形態では、滅菌カバー200は、X線手技中、遮蔽体11、13の移動(すなわち、拡張および後退)とともに、動作可能に展開可能である。
【0068】
カバー200の拡張および/または後退のためのさらに例示的展開デバイス202は、少なくとも1つの空気圧ピストン、油圧ピストン、伸縮自在ピストン、弾性バンド、ケーブル、ワイヤ、ばね、電気ピストン、フックおよびループ締結具、機械的ピストン、係留点、およびそれらの任意の組み合わせを含む。展開デバイス202は、カバー200の種々の位置に取り付けられてもよい。例えば、展開デバイス202は、カバー200の遠位端および/または遮蔽体11、13の長さに沿った任意の点に取り付けられてもよい。
【0069】
1つ以上の実施形態では、カバー200は、放射線遮蔽体11、13またはその一部を事実上被覆またはシールする(典型的には、少なくとも自由縁17を被覆する)。カバー200は、放射線遮蔽装置10またはその一部の1つ以上の寸法の輪郭/長さ/幅に調節または修正されてもよい。カバー200は、カバーまたはその一部あるいはそのユニットを放射線遮蔽装置10におよび/またはX線撮像システム5に直接または間接的に接続するための機構を含んでもよい。随意に、カバー200は、各放射線遮蔽体11、13の約50%以上を被覆する。
【0070】
図6Aおよび6Bは、それぞれ、上側および下側放射線遮蔽体カバー200と、展開機構300とを図示し、機構は、スプール状モータシャフト216を伴うモータ215と、モータシャフト216を、特にその遠位端においてカバー200に接続される機械的伸縮自在デバイス206に接続するケーブル204とを含む展開デバイス202を含む。モータ215は、アクティブ化され、ケーブル204を巻回または解巻し、機械的伸縮自在デバイス206を拡張または後退させ、それによって、カバー200を拡張または後退させるように、いずれかの方向に、モータシャフト216をスピンさせることができる。機械的伸縮自在デバイス206は、1つ以上のばね(図示せず)を含み、本デバイスを拡張位置に付勢してもよい。したがって、ケーブル204(単数または複数)をモータシャフト216上に巻回するモータ215は、機械的伸縮自在デバイス206をばねの付勢に対して移動させ、カバー200を後退させることができ、これは、放射線遮蔽体11、13の後退から独立する、および/または、放射線遮蔽体11、13の後退とともに行うことができる。
【0071】
図7は、弾性材料から作製される少なくとも1つの弾性バンド210を含むさらに別の例示的展開デバイス202を図示する。弾性バンド210は、少なくとも1つの縫目片(不可視)を介してまたは任意の適した技法による接着/接続によって、滅菌カバー200に接続されてもよい。弾性バンド210および随意にまたカバー200は、放射線遮蔽装置10が拡張されるとカバーが遮蔽装置10とともに拡張されるように、放射線遮蔽体11、13に接続される。弾性バンド210は、拡張されると、抵抗力をカバー200上に印加するように構成される。弾性バンド210の弾性引動力に起因して、カバー200は、放射線遮蔽体11、13が後退すると、折畳/後退する。
【0072】
図8は、さらに別の例示的展開デバイス202を描写し、これは、少なくとも1つのカバー/遮蔽体締結具305を含み、各締結具は、その外部側において遮蔽体11、13の自由縁17に近接して接続されるアンカ301と、カバー200の内部側の遠位端に近接する点に接続されるフック302とによって例示される。アンカ301およびフック302の接続の結果として、カバー200は、遮蔽体11、13の移動(拡張および後退)とともに移動する。カバー200と放射線遮蔽体11、13との間の接続のための種々の代替カバー/遮蔽体締結具が、熟慮され、フックおよびループ締結具、クリップ、スナップ、接着剤、および同等物を含む。
【0073】
図9Aおよび9Bは、それぞれ、後退および拡張位置における別の例示的展開機構300を示す。この設計では、展開機構300は、少なくとも1つの遮蔽体カバーケーブル400と、少なくとも1つのケーブル間締結具402と、少なくとも1つのモータシャフトケーブル404と、モータシャフト408を有する少なくとも1つの電気モータ406とを含む。遮蔽体カバーケーブル400は、一端において、カバー200の遠位部分407に接続され、他端において、ケーブル間締結具402に接続される。モータシャフトケーブル404は、一端において、ケーブル間締結具402に接続され、他端において、モータシャフト408に接続される。
【0074】
機構300は、1つのモータ406、2つのモータ406、3つのモータ406、または4つのモータ406を含み得、各々、支持基部19および/または遮蔽体11および13の上側部分内にまたは隣接して、かつ/または、放射線源6および/または放射線検出器6に隣接して配置される。
【0075】
図示されるように、モータ406は、カバー200の1つの面に沿って配置される2つのモータシャフトケーブル404に接続されてもよく、シャフトケーブルのうちの1つは、モータシャフト408の下部/下側に取り付けられ、別のシャフトケーブルは、モータシャフト408の上部/上側に取り付けられる。したがって、モータ406が動作されてモータシャフト408が回転すると、両ケーブル404は、同時にシャフト上に巻回される、または、同時にシャフトから解巻される。
【0076】
カバー200が遮蔽体11、13とともに拡張することを可能にするために、モータ406は、モータシャフト係脱モードに設定され、それによって、シャフト408は、自由に回転し、カバーが遮蔽体11および13の移動(拡張)を介して(それとともに)拡張することを可能にすることができる。カバー200の後退中、シャフト408は、モータシャフト係合モードに設定され、それによって、シャフト408が回転すると、カバーは、後退する。
【0077】
カバー200に接続されることで、遮蔽体カバーケーブル400は、カバー200とともに除去または置換されるように構成され得る一方で、モータシャフトケーブル404は、モータ406に恒久的に取り付けられてもよい。代替として、遮蔽体カバーケーブル400およびモータシャフトケーブル404は両方とも、置換可能であり、カバー200および/または放射線遮蔽体11、13および/または支持基部19との任意の取付から除去されることができる。代替として、遮蔽体カバーケーブル400およびモータシャフトケーブル404の両方とも、恒久的である。随意に、モータシャフトケーブル404および遮蔽体カバーケーブル400の一方または両方のいずれかは、放射線減衰材料およびカーボンファイバを含む複合材料等の放射線透過性材料から作製される。代替材料は、ポリアミド等の成型可能ポリマーから作製されるプラスチックケーブルを含んでもよい。
【0078】
図10は、対向して拡張するモータシャフト408を伴う代替モータ406を図示する。各シャフト408は、シャフト上に配置されかつ1つ以上の軸受要素411を装備するシャフト付属品410を有してもよい。シャフト付属品410は、シャフトより大きい直径を有し、モータシャフトケーブル404に、同時に、カバー200の後退中、その上に巻回させ、カバーの拡張中、そこから解巻させるように構成されてもよい。随意に、遮蔽体11、13がその拡張中にカバー200上に印加する力は、軸受要素411、モータ406、および/またはモータシャフト408上に印加される摩擦力より高く、それによって、遮蔽体11、13が拡張すると、カバー200の受動拡張を可能にする。さらに随意に、遮蔽体11、13が拡張すると、モータ406は、解放または自由モードに設定されてもよく、それによって、ケーブル400および404は、遮蔽体の方向に(図11における下向きに)移動することができ、カバー200は、遮蔽体11、13とともに自由に移動することができる。
【0079】
図11は、図10のものの代替設計を図示し、展開機構300は、モータ停止センサ500と、視覚的センサ停止フラグ502とを含む。動作時、モータ停止センサ500は、フラグ502が後退方向に(図11における上向きに)到着するときを感知し、信号をモータ406に送信し、動作を停止させ、それによって、過巻回を防止する。停止フラグ502は、モータシャフトケーブル404に取り付けられるように図示されるが、停止フラグは、代替として、カバーケーブル400に結合されてもよい。随意に、遮蔽体11、13が拡張すると、モータ406は、解放または自由モードに設定されてもよく、それによって、ケーブル400および404は、遮蔽体の方向に(図11における下向きに)移動することができ、カバー200は、遮蔽体11、13とともに自由に移動することができる。
【0080】
図12は、展開機構300の別の代替設計を示し、遮蔽体カバーケーブル400およびモータシャフトケーブル404の解放および引動は、収縮および拡張し、それぞれ、ケーブル400、404を解放および引動させるように構成されるプーリシステム600によって遂行される。プーリシステム600に取り付けられるものは、略水平ロッド602であり、これは、線形モータ604によって上昇および降下される。ロッド602の上下移動は、その上で1つ以上の安定化リング608が摺動することができる1つ以上の垂直安定化ロッド606によって安定されてもよい。
【0081】
遮蔽体11、13が拡張すると、線形モータ604は、解放または自由モードに設定されてもよく、それによって、ロッド602は、遮蔽体の方向に(図12における下向きに)移動することができ、カバー200は、遮蔽体とともに自由に移動することができる。カバー200を後退させるために、線形モータ604は、アクティブモードに設定され、ロッド602を引動させ、ひいては、ケーブル400および404を後退方向に引動させる。
【0082】
図13A~13Dは、展開機構300のさらなる設計を図示し、遮蔽体カバーケーブル400をカバー200に取り付けるためのオプションを例示する。図13Aは、遮蔽体カバーケーブル400がカバー200の角に取り付けられかつ遮蔽体カバーケーブル400がシリンダまたはスリーブ412を通して延設されるオプションを示す。図13Bは、図13Aのものに類似する設計を示すが、しかしながら、スリーブ412の代わりに、遮蔽体カバーケーブル400は、一連のリング414を通して延設される。
【0083】
図13Cでは、遮蔽体カバーケーブル400は、遮蔽体カバーケーブル400に沿った一連の場所からカバー200の縁に沿った一連の対応する場所に延在する一連のケーブル/カバーケーブル401を有する。図13Dでは、遮蔽体カバーケーブル400は、遮蔽体カバーケーブル400の遠位端から、カバー200の角における場所およびそれに隣接する場所を含む場所に延在する複数のケーブル/カバーケーブル403を有する。
【0084】
用語「includes(~を含む)」、「including(~を含む)」、「has(~を有する)」、「having(~を有する)」、「comprises(~を備える)」、および「comprising(~を備える)」、ならびにその派生語の各々は、本明細書で使用される場合、「including, but not limited to(限定ではないが、~を含む)」を意味し、述べられた構成要素(単数または複数)、特徴(単数または複数)、特性(単数または複数)、パラメータ(単数または複数)、整数(単数または複数)、またはステップ(単数または複数)を規定するものとして捉えられ、その1つ以上の付加的構成要素(単数または複数)、特徴(単数または複数)、特性(単数または複数)、パラメータ(単数または複数)、整数(単数または複数)、ステップ(単数または複数)、またはそれらの群の追加を除外するものではない。
【0085】
用語「consisting essentially of(~から本質的に成る)」は、請求項の範囲が、規定された要素と、請求されるデバイスおよび材料の基本および新規特性に実質的に影響を及ぼさないものとに限定されることを意味する。
【0086】
語句「consisting of(~から成る)」および「consists of(~から成る)」、およびその派生語は、本明細書で使用される場合、「including and limited to(~を含み、それに限定される)」を意味する。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「method(方法)」は、限定ではないが、開示される発明の関連分野における当業者に公知であるかまたは当業者によって公知のステップ、手技、様式、手段、および/または技法から容易に開発されるかのいずれかであるステップ、手技、様式、手段、および/または技法を含む所与のタスクを遂行するためのそれらのステップ、手技、様式、手段、および/または技法を指す。
【0088】
本開示全体を通して、パラメータ、特徴、特性、物体、または寸法の数値は、数値範囲によって述べられ得るまたは説明され得る。本明細書で使用される場合、そのような数値範囲は、本発明のいくつかの例示的実施形態の実装を例証し、本発明の例示的実施形態の範囲を非柔軟に限定するものではない。故に、述べられるまたは説明される数値範囲はまた、その述べられるまたは説明される数値範囲内のあらゆる可能性のある下位範囲および個々の数値も指し、かつ包含する(数値は、整数、自然数、または分数として表され得る)。例えば、述べられるまたは説明される数値範囲「1~6」はまた、述べられるまたは説明される数値範囲「1~6」内のあらゆる可能性のある下位範囲(例えば、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」等)および個々の数値(例えば、「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」、および「6」)を指し、かつ包含する。これは、述べられるまたは説明される数値範囲の数値範疇、範囲、またはサイズにかかわらず、適用される。
【0089】
さらに、数値範囲を述べるまたは説明するために、語句「in a range of between about a first numerical value and about a second numerical value(約第1の数値と約第2の数値との間の範囲内)」およびその派生語は、語句「in a range of from about a first numerical value to about a second numerical value(約第1の数値から約第2の数値までの範囲内)」に等しいと見なされ、それと同一であることを意味し、したがって、その2つの同等意味の語句は、同義的に使用され得る。
【0090】
用語「about(約)」、いくつかの実施形態では、述べられた数値の±30%を指す。他の実施形態では、本用語は、述べられた数値の±20%を指す。さらに他の実施形態では、本用語は、述べられた数値の±10%を指す。
【0091】
明確にするために複数の別個の実施形態の文脈または形式で例証的に説明および提示される本発明のある側面、特性、および特徴はまた、単一実施形態の文脈または形式における任意の適した組み合わせまたは副次的組み合わせで例証的に説明および提示され得ることを完全に理解されたい。逆に言えば、単一実施形態の文脈または形式における組み合わせまたは副次的組み合わせで例証的に説明および提示される本発明の種々の側面、特性、および特徴はまた、複数の別個の実施形態の文脈または形式で例証的に説明および提示され得る。
【0092】
本発明は、その具体的実施形態を用いて説明されたが、その多くの代替、修正、または/および変形例が当業者に明白となることは明らかである。故に、全てのそのような代替、修正、または/および変形例が添付の請求項の精神および広範な範囲内に該当することが意図される。
【0093】
本明細書に述べられた全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個々に本明細書に列挙された場合と同程度に、参照によりその全体が本明細書に援用される。加えて、本願内の任意の参考文献の引用または識別は、そのような参考文献が本発明の従来技術として利用可能であるという承認として解釈されるものとしない。見出しが使用される範囲において、それらは、必ずしも限定として解釈されるべきではない。
【0094】
上記の説明は単に例示的であること、および、変更すべきところは変更して考案され得る本発明の種々の実施形態、および上記に説明される実施形態に説明される特徴、ならびに本明細書に説明されないものは、別個にまたは任意の適した組み合わせにおいて使用され得ることを理解されたく、本発明は、上記に説明される実施形態に必ずしも従うことなく、考案されることができる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D