(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】横形製袋充填機の物品押え装置
(51)【国際特許分類】
B65B 9/067 20120101AFI20240815BHJP
【FI】
B65B9/067
(21)【出願番号】P 2022081145
(22)【出願日】2022-05-17
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】早川 明大
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘人
(72)【発明者】
【氏名】太田 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】飯田 健雄
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-240709(JP,A)
【文献】特開2018-100120(JP,A)
【文献】特開2004-90939(JP,A)
【文献】国際公開第2014/013478(WO,A1)
【文献】特開2010-32217(JP,A)
【文献】特開2018-154469(JP,A)
【文献】特開2021-147089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状包装材中に所定間隔毎に供給された物品間において、上下のシール体で筒状包装材を挟持して包材搬送方向に移動しつつ横シールを施すようにした横形製袋充填機において、
前記シール体の上流側に配設され、前記筒状包装材の上方から物品を支持して搬送可能に、無端索条体の外方へ物品押えを所定間隔毎に突出形成した押え手段と、
前記シール体で横シールを施す際に該シール体が前後移動するのに伴って、前記押え手段を、前記シール体と共に前後移動する作動手段と、を備え、
前記押え手段が前後移動される際に、前記押え手段が筒状包装材中の物品を支持して筒状包装材の搬送速度と対応する速度で包材搬送方向へ移動するよう構成し、
前記押え手段は、
支持部材に対して高さ調節手段によって上下に位置調節可能な支持ベースと、
該支持ベースに対して包材搬送方向の前後にスライド可能に支持され、前記作動手段によって前記シール体の前後移動に伴い包材搬送方向の前後に移動されるスライドベースと、
前記支持ベースに配設され、駆動モータによって周回走行する駆動索条体と、
前記無端索条体を周回走行可能に前記押え手段が配設されると共に、前記スライドベースに支持された支持体と、
前記駆動索条体の駆動力を、前記支持ベースに対するスライドベースのスライドを許容して前記無端索条体に伝達する伝達手段と、を備え、
前記支持体は、前記伝達手段により駆動索条体から無端索条体へ駆動力を伝達し得る状態で、前記スライドベースに対して包材搬送方向の前後何れか一端部が回転可能に支持されるよう構成した
ことを特徴とする横形製袋充填機の物品押え装置。
【請求項2】
前記作動手段は、前記スライドベースに配設された係合部材と、前記シール体における包材搬送方向の前後移動に連動し、前記係合部材と係合して前記スライドベースを一体で移動させる結合部材と、を備え、
前記結合部材は、前記押え手段の高さの変化を許容可能に前記係合部材に係合されるよう構成したことを特徴とする請求項1記載の横形製袋充填機の物品押え装置。
【請求項3】
前記シール体に向けて搬送される筒状包装材を下方から支持する搬送コンベヤが配設され、
該搬送コンベヤは、コンベヤ搬送終端を、前記シール体の開閉移動と前後移動との動作に連動して包材搬送方向の前後に伸縮する伸縮部を備え、
該伸縮部に、前記結合部材を設けるよう構成したことを特徴とする請求項2記載の横形製袋充填機の物品押え装置。
【請求項4】
前記支持体を、前記スライドベースに対し、前記無端索条体の下側走行部に位置する物品押えの突出端が包材搬送方向に向けた軌跡で移動する姿勢で位置決め保持する保持手段を備えたことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の横形製袋充填機の物品押え装置。
【請求項5】
前記保持手段は、前記スライドベースに対して前記支持体が回転可能に支持される一端部から離間する他端部において、支持体およびスライドベースの一方に設けた磁石および他方に設けた磁性体から構成したことを特徴とする請求項4記載の横形製袋充填機の物品押え装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横形製袋充填機において、筒状包装材中に供給されている物品を上方から押えて搬送する物品押え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横形製袋充填機などの包装機では、原反ロールから引き出されて製袋手段で案内されるフィルム(包装材)は、幅方向の両端縁部が合掌状に重合されて筒状に成形され、その重合部にフィルムの搬送方向に向けた縦シールを施すと共に、筒状フィルム中に所定間隔毎に供給された各物品の前後位置において搬送方向と交差する横シールを横シール装置で施してピロー包装品を得ている。また包装機では、製袋手段から横シール装置までの間において、筒状フィルムの搬送方向に向けた所定範囲で、シリコーンゴム製の複数の歯が幅方向に並んだ櫛歯部が無端索条体の外側に突出するよう、櫛歯部を無端索条体の走行方向に所定間隔毎に配設した押え手段を設けて、筒状フィルム中の物品を押え手段により上方から支持して横シール装置での横シール位置に向けて送り込むことにより、物品の搬送姿勢の乱れや物品の位置ずれを防止し、また筒状フィルム中の余分な空気を排除している(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5342494号公報
【文献】特開2018-100120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筒状フィルムを横シールする際に該筒状フィルムが上下に絞り込まれるのに伴って、物品が搬送上流ヘ押し戻されたり、物品が複数集合した集合品として包装するような場合に、集合状態の物品の姿勢や集合状態の乱れなどが生じたりすることがないように、横シール位置の近くまで物品が上方から押え手段により支持されていることが望ましい。
【0005】
特許文献1、2に開示されているように、横シール位置がフィルム搬送方向に変動しない、一対のシール体を相互に反対方向に回転して横シールする回転式の横シール装置では、押え手段による支持位置が、横シール位置の近傍までとなるように押え手段を配置することは可能である。しかし、シール体で筒状フィルムを挟持してフィルム搬送方向に移動する、所謂ボックスモーション方式の横シール装置においては、定位置に配置した押え手段から横シール位置までの筒状フィルムの未支持領域が、シール体の搬送下流への移動に伴い拡大してしまい、押え手段により筒状フィルムを横シール位置に向けて送り込む際の、フィルムに与える搬送力の低下や、物品の位置ずれや、集合品の姿勢、集合状態の乱れなどを防止する効果が低下する問題が指摘される。
【0006】
本発明の目的は、ボックスモーション方式の横シール装置が採用された横形製袋充填機において、押え手段から横シール位置までの筒状包装材の未支持領域が拡がることがなく、効果的に物品の上方を支持可能な横形製袋充填機の物品押え装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明の横形製袋充填機の物品押え装置は、
筒状包装材(10)中に所定間隔毎に供給された物品(11)間において、上下のシール体(15,16)で筒状包装材(10)を挟持して包材搬送方向に移動しつつ横シールを施すようにした横形製袋充填機において、
前記シール体(15,16)の上流側に配設され、前記筒状包装材(10)の上方から物品(11)を支持して搬送可能に、無端索条体(56)の外方へ物品押え(59)を所定間隔毎に突出形成した押え手段(27)と、
前記シール体(15,16)で横シールを施す際に該シール体(15,16)が前後移動するのに伴って、前記押え手段(27)を、前記シール体(15,16)と共に前後移動する作動手段(32)と、を備え、
前記押え手段(27)が前後移動される際に、前記押え手段(27)が筒状包装材(10)中の物品(11)を支持して筒状包装材(10)の搬送速度と対応する速度で包材搬送方向へ移動するよう構成し、
前記押え手段(27)は、
支持部材(28)に対して高さ調節手段(29)によって上下に位置調節可能な支持ベース(30)と、
該支持ベース(30)に対して包材搬送方向の前後にスライド可能に支持され、前記作動手段(32)によって前記シール体(15,16)の前後移動に伴い包材搬送方向の前後に移動されるスライドベース(31)と、
前記支持ベース(30)に配設され、駆動モータ(46)によって周回走行する駆動索条体(49)と、
前記無端索条体(56)を周回走行可能に前記押え手段(27)が配設されると共に、前記スライドベース(31)に支持された支持体(33)と、
前記駆動索条体(49)の駆動力を、前記支持ベース(30)に対するスライドベース(31)のスライドを許容して前記無端索条体(56)に伝達する伝達手段(60)と、を備え、
前記支持体(33)は、前記伝達手段(60)により駆動索条体(49)から無端索条体(56)へ駆動力を伝達し得る状態で、前記スライドベース(31)に対して包材搬送方向の前後何れか一端部が回転可能に支持されるよう構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、シール体における包材搬送方向の前後移動に合わせて押え手段を包材搬送方向の前後に移動するようにしたので、筒状包装材の未支持領域が拡がることはなく、物品の上方を横シール位置の近傍まで押え手段で支持して、筒状包装材に与える搬送力の低下や、物品の位置ずれや、集合品の姿勢、集合状態の乱れなどを効果的に防止することができる。また、押え手段が包材搬送方向の前後に移動しても、筒状包装材中の物品を上方から支持している物品押えは、筒状包装材の搬送速度と対応する速度で包材搬送方向へ移動するので、物品が位置ずれしたり、集合品の姿勢や集合状態が乱れたりすることなく筒状包装材に搬送力を適正に付与することができる。
また、高さ調節手段によって支持ベースを上下動することで、押え手段の前後移動に影響を与えることなく、押え手段による筒状包装材の支持高さを調節することができる。また、支持体を回転して押え手段を筒状包装材から離間させる操作時に、モータなどからの駆動伝達機構の連繋部の解除や結合に要する煩わしい作業を不要とすることができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記作動手段(32)は、前記スライドベース(31)に配設された係合部材(62)と、前記シール体(15,16)における包材搬送方向の前後移動に連動し、前記係合部材(62)と係合して前記スライドベース(31)を一体で移動させる結合部材(61)と、を備え、
前記結合部材(61)は、前記押え手段(27)の高さの変化を許容可能に前記係合部材(62)に係合されるよう構成したことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、物品の支持高さの変更設定に際して、支持ベースの高さ調節を行っても、係合部材と結合部材との係合状態が解除されることなく、押え手段をシール体と一体で移動することができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記シール体(15,16)に向けて搬送される筒状包装材(10)を下方から支持する搬送コンベヤ(13)が配設され、
該搬送コンベヤ(13)は、コンベヤ搬送終端を、前記シール体(15,16)の開閉移動と前後移動との動作に連動して包材搬送方向の前後に伸縮する伸縮部(21)を備え、
該伸縮部(21)に、前記結合部材(61)を設けるよう構成したことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、別途専用の駆動手段を設けることなく、シール体の開閉移動並びに前後移動する際の動作に連動して押え手段をシール体と共に移動させることができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記支持体(33)を、前記スライドベース(31)に対し、前記無端索条体(56)の下側走行部に位置する物品押え(59)の突出端が包材搬送方向に向けた軌跡で移動する姿勢で位置決め保持する保持手段(63)を備えたことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、押え手段が上下に変位することなく、該押え手段によって物品を上方から適切に支持することができる。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記保持手段(63)は、前記スライドベース(31)に対して前記支持体(33)が回転可能に支持される一端部から離間する他端部において、支持体(33)およびスライドベース(31)の一方に設けた磁石(64)および他方に設けた磁性体(65)から構成したことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、磁石と磁性体とによる磁力吸着によって支持体を位置決め保持するので、結合および解除操作を極めて簡単に実施することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シール体の包材搬送方向への前後移動に合わせて押え手段を移動するようにしたので、横シール位置に対して物品の上方を支持する未支持領域が拡がることはなく、物品の上方を横シール位置の近傍まで押え手段で支持して、物品の位置ずれや、集合品の姿勢、集合状態の乱れなどを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】物品押え装置の概略斜視図であって、一部の部材を透過して示している。
【
図4】物品押え装置を上流側から視た概略図である。
【
図5】物品押え装置を下流側から視た概略縦断面図である。
【
図6】押え手段がフィルム搬送方向の前後に移動する際の物品押えの動きを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る横形製袋充填機の物品押え装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0015】
横形製袋充填機(包装機)は、原反ロールから引き出した帯状フィルム(包装材)を、その長手方向両端縁部を合掌状に重合して筒状フィルム(筒状包装材)10として成形する製袋手段と、筒状フィルム10に向けて物品11を所定間隔毎に供給する供給コンベヤと、前記合掌状に重合した筒状フィルム10の重合部にフィルムの搬送方向に向けた縦シールを施す縦シール装置と、前記筒状フィルム10の重合部を挟持して縦シール装置に向けて筒状フィルム10を搬送するフィルム搬送手段と、筒状フィルム10中に所定間隔毎に供給された物品11の前後位置で筒状フィルム10を挟持し、フィルムの搬送方向と交差する方向(幅方向)に横シール・切断を施す横シール装置12と、の夫々を備える。また、包装機は、横シール装置12におけるフィルムの搬送方向の前後に、筒状フィルム10中に供給された物品11が載置されて、筒状フィルム10を下方から支持して下流側に搬送する搬送コンベヤ13と搬出コンベヤ14とが設けられ、横シール・切断されて上流側の筒状フィルム10から切り離された袋詰め製品(ピロー包装品)として搬出コンベヤ14によって次工程に搬出するよう構成される。
【0016】
図1に示す如く、前記横シール装置12は、搬送コンベヤ13で搬送される筒状フィルム10の搬送路を挟んで上下に対向する一対のシール体15,16を備える複数(実施例では3基)のシールユニット17a,17b,17cを備え、複数のシールユニット17a,17b,17cは、筒状フィルム10の搬送方向(以後、フィルム搬送方向(包材搬送方向)と称す)に並んで配設される。複数のシールユニット17a,17b,17cは、夫々独立して一対のシール体15,16を相互に接近・離間移動する複数の開閉機構18と、複数のシールユニット17a,17b,17cの夫々を独立してフィルム搬送方向に沿って往復移動する複数の往復動機構19と、を備える。各シールユニット17は、開閉機構18および往復動機構19を作動することで、一対のシール体15,16が、前記搬送路を挟んで相互に離間する初期位置から相互に接近して筒状フィルム10における物品間の位置を挟持し、その挟持状態で筒状フィルム10のフィルム搬送方向の下流側に移動した後に、相互に離間して初期位置に復帰する所謂ボックスモーション動作を行うよう構成される。各シールユニット17は、フィルム搬送手段で搬送される筒状フィルム10を、一対のシール体15,16で挟持してフィルム搬送方向の下流側に移動する間に、筒状フィルム10の幅方向に横シールを施すと共に、一方のシール体15に内装したナイフによって筒状フィルム10を幅方向に切断するよう構成される。
【0017】
図1に示す如く、前記搬送コンベヤ13は、固定フレーム20に対して可動フレーム21がフィルム搬送方向の前後に移動自在に配設され、両フレーム20,21に配設した複数のプーリ22間に無端ベルト23が走行可能に巻き掛けられている。搬送コンベヤ13の可動フレーム21は、シールユニット17a(本例では最上流のシールユニット)の開閉機構18に連動して一対のシール体15,16の開閉移動に追従して水平移動するよう、一対のシール体15,16が接近する際には、搬送コンベヤ13の終端のプーリ22に巻掛けられた無端ベルト23の転向部を、フィルム搬送方向の上流側に移動して、一対のシール体15,16の噛合位置へ向けた通過を許容し、また、一対のシール体15,16が離間する際には、前記無端ベルト23の終端のプーリ22の転向部を、フィルム搬送方向の下流側に移動するよう構成される。また、可動フレーム21は、前記シールユニット17a(シール体15,16)におけるフィルム搬送方向の前後移動に追従して、フィルム搬送方向の前後に水平移動する。前記搬出コンベヤ14は、搬送コンベヤ13と同様の構成であって、固定フレームに対してフィルム搬送方向の前後に移動自在に配設された可動フレーム24が、シールユニット17c(本例では最下流のシールユニット)における一対のシール体15,16の開閉移動と前後移動とに連動するよう、搬出コンベヤ14の始端のプーリ25に巻掛けられた無端ベルト26の転向部を、フィルム搬送方向の下流側およびフィルム搬送方向の上流側に移動するよう構成されると共に、シールユニット17cがフィルム搬送方向前後へ移動するのに追従して、前記無端ベルト26の転向部がフィルム搬送方向の前後に水平移動する。前記搬送コンベヤ13において、固定フレーム20に対してフィルム搬送方向下流部が伸縮する可動フレーム21が、一対のシール体15,16の開閉移動とフィルム搬送方向の前後移動とに連動して(対応して)フィルム搬送方向の前後に移動(伸縮)する伸縮部を構成する。
【0018】
図1、
図4、
図5に示す如く、前記横シール装置12における前記シールユニット17aの上流側には、筒状フィルム10を、該筒状フィルム10中に供給された物品11の上方から支持して走行することで、筒状フィルム10の搬送を補助する押え手段27を、前記搬送コンベヤ13の上方に配置した物品押え装置が配設される。該物品押え装置は、前記シール体15,16のフィルム搬送方向の前後移動に合わせて押え手段27をフィルム搬送方向の前後に移動する作動手段32を備え、押え手段27が前後移動する際に、前記物品11を支持している物品押え59が筒状フィルム11の搬送速度と同調した速度でフィルム搬送方向へ走行するよう構成される。また、物品押え装置は、支柱(支持部材)28に対して高さ調節手段29によって上下に位置調節可能な支持ベース30と、該支持ベース30に対してフィルム搬送方向の前後にスライド可能に支持されたスライドベース31と、押え手段27が配設されると共に、スライドベース31に対してフィルム搬送方向の前後何れか一端部が回転可能に支持された支持体33と、押え手段27の後述する無端ベルト(無端索条体)56を所定方向に周回走行する駆動機構34と、を備え、前記作動手段32によって、前記スライドベース31に配設された押え手段27は、前記シールユニット17aのフィルム搬送方向の前後移動に合わせて一体でフィルム搬送方向の前後に移動される。
【0019】
図1~
図5に示す如く、前記支柱28は、包装機の機枠に配設されて、搬送コンベヤ13における搬送路の一側に立設され、該支柱28に配設されて上下方向に延在する複数のスライドシャフト35を介して、前記支持ベース30が上下方向に移動可能に支持されている。支柱28には、ネジ軸36が上下方向に支持され、該ネジ軸36が、支持ベース30に配設された雌ネジ部材37に螺合されている。支柱28から上方に延出するネジ軸36の上端部に操作ハンドル38が一体回転可能に配設されており、該操作ハンドル38を正、逆回転することで、ネジ軸36と雌ネジ部材37とからなる調節ネジ手段による螺合作用下に、雌ネジ部材37がスライドシャフト35に沿って移動して、支持ベース30は支柱28に対して上下方向に移動し、筒状フィルム10の高さ寸法に応じて搬送コンベヤ13の搬送面に対する前記押え手段27の高さ位置を調節し得るよう構成される。操作ハンドル38、スライドシャフト35、ネジ軸36、雌ネジ部材37により前記高さ調節手段29が構成される。
【0020】
図2~
図4に示す如く、前記支持ベース30における筒状フィルム10の搬送路側に臨む前面に、フィルム搬送方向に延在するガイドレール39が配設され、該ガイドレール39に、前記スライドベース31がフィルム搬送方向の前後にスライダ40を介してスライド可能に支持される。スライドベース31におけるフィルム搬送方向の上流側に回転軸41が回転自在に支持され、該回転軸41におけるスライドベース31の背面側に延出する端部に、歯付きの第1プーリ42が一体回転可能に配設されると共に、回転軸41におけるスライドベース31の前面側に延出する端部に、歯付きの第2プーリ43が一体回転可能に配設される。また、スライドベース31には、第1プーリ42の配設位置より上方において、該第1プーリ42を挟むフィルム搬送方向の前後位置に、案内ローラ44が回転自在に支持されている。
【0021】
前記支持ベース30の前面には、フィルム搬送方向の上流側となる位置に歯付きの駆動プーリ45が回転可能に支持され、該駆動プーリ45は、支持ベース30の背面側に配設された歯付きのベルト-プーリからなる連繋機構47を介してサーボモータからなる駆動モータ46に連繋されている。また、支持ベース30におけるフィルム搬送方向の下流側の前面側に、歯付きの従動プーリ48が回転可能に支持され、該従動プーリ48と駆動プーリ45とに歯付きで無端の駆動ベルト(駆動索条体)49が巻き掛けられている。該駆動ベルト49における下側走行部は、前記スライドベース31に配設された前記第1プーリ42に巻き掛けられて、案内ローラ44、44により第1プーリ42への周回範囲を多く保持するように案内される。このような構成により、駆動モータ46で駆動プーリ45が回転され、駆動ベルト49が周回走行されることで、第1プーリ42を経て第2プーリ43が回転するよう構成される。スライドベース31がフィルム搬送方向の下流側にスライドする際に、駆動モータ46は、該スライドベース31が水平移動する移動速度に合わせた速度で駆動ベルト49を周回走行することで、該駆動ベルト49に噛合している第1プーリ42が回転することなく下側走行部と共にフィルム搬送方向の下流側に移動する(
図6(a),(b)参照)よう構成される。
【0022】
図2、
図3に示す如く、前記スライドベース31におけるフィルム搬送方向の下流端部(一端部)に、前面側に向けて延びる支持軸50が配設され、該支持軸50を回転自在に支持し、その軸支部からフィルム搬送方向上流へ延在する前記支持体33に沿うよう、前記押え手段27が配設されている。押え手段27は、無端コンベヤからなり、前記支持軸50に自由回転可能に支持された歯付きのコンベヤ用駆動プーリ52と、支持体33におけるフィルム搬送方向の上流端側において、支持体33から背面側に離間する支持片53とにより支持された従動軸54に自由回転可能に支持された歯付きのコンベヤ用従動プーリ55と、コンベヤ用駆動プーリ52とコンベヤ用従動プーリ55との間に巻き掛けられた歯付きの無端ベルト56と、を備える。また、コンベヤ用駆動プーリ52の背面側に、該コンベヤ用駆動プーリ52と一体で回転可能な歯付きの伝達プーリ57が支持軸50に自由回転可能に支持され、該伝達プーリ57と前記第2プーリ43との間に歯付きの伝達ベルト58が巻き掛けられる。そして、第2プーリ43の回転が伝達ベルト58、伝達プーリ57およびコンベヤ用駆動プーリ52に伝達されて、無端ベルト56を所定方向に周回走行するよう構成される。無端ベルト56の外周面には、シリコーンゴム製で櫛歯状の複数の物品押え59が、周方向に等間隔で配設されており、無端ベルト56の周回走行により、下側走行部の物品押え59が筒状フィルム10中に供給された物品11の上方を押さえて、筒状フィルム10の搬送を補助するよう構成される。押え手段27は、スライドベース31がフィルム搬送方向の下流側へ筒状フィルム10に沿って水平にスライドする際には、前記第1および第2プーリ42,43が回転することなく駆動ベルト49の下側走行部と共にフィルム搬送方向の下流側に移動することで、
図6(a),(b)に示す如く、無端ベルト56が周回走行することなく下側走行部の物品押え59は、スライドベース31の移動に伴ってフィルム搬送速度と同調(対応)した速度でフィルム搬送方向の下流側に移動する。また、押え手段27は、スライドベース31がフィルム搬送方向の上流側にスライドする際には、駆動ベルト49の周回走行によって第1および第2プーリ42,43がスライド量と同じ距離分回転することで、
図6(c)に示す如く、無端ベルト56が周回走行して下側走行部の物品押え59は、フィルム搬送速度と同調(対応)した速度でフィルム搬送方向の下流側に移動するよう構成される。実施例では、駆動モータ46、連繋機構47、駆動ベルト49、第1プーリ42、第2プーリ43、伝達ベルト58、伝達プーリ57およびコンベヤ用駆動プーリ52から、押え手段27の無端ベルト56を所定方向に周回走行する前記駆動機構34が構成される。また、第1プーリ42、第2プーリ43、伝達ベルト58および伝達プーリ57から、支持ベース30に対するスライドベース31のスライドを許容して駆動ベルト49の駆動力を無端ベルト56に伝達する伝達手段60が構成される。
【0023】
ここで、前記支持体33は、スライドベース31に配設した支持軸50に回転可能に支持されると共に、該支持軸50に伝達プーリ57およびコンベヤ用駆動プーリ52が自由回転可能に支持されており、伝達ベルト58と伝達プーリ57との巻き掛け状態が変化することなく、伝達手段60により駆動ベルト49から無端ベルト56へ駆動力を伝達し得る状態で、支持体33は、スライドベース31に支持された支持軸50を支点としてフィルム搬送方向の上流端側(他端部側)を上下動し得るよう構成されている。
【0024】
図1、
図2、
図5に示す如く、前記作動手段32は、前記搬送コンベヤ13の可動フレーム21と、該可動フレーム21を前記スライドベース31に結合する結合手段67と、を備え、スライドベース31が可動フレーム21と一体でフィルム搬送方向の前後に移動するよう構成される。また、結合手段67は、可動フレーム21に配設されて上方に延出する結合部材61と、スライドベース31に回転可能に支持された係合部材としてのローラ62と、を備え、結合部材61に形成されて上方に開口する長溝61aにローラ62が上方から挿入されることで、可動フレーム21とスライドベース31とが結合される。そして、ローラ62が長溝61a内に位置する範囲で、前記高さ調節手段29による押え手段27(スライドベース31)の高さ位置(高さ変化)の調節を許容する。なお、実施例では、フィルム搬送方向に離間して2つのローラ62,62がスライドベース31に回転可能に支持されると共に、両ローラ62,62に対応して結合部材61には2つの長溝61a,61aが設けられている。また、ローラ62を、長溝61aから上方に抜き外すことで、可動フレーム21とスライドベース31との結合状態を解除し得るようになっている。
【0025】
図2、
図3、
図4に示す如く、物品押え装置は、前記支持体33、すなわち前記押え手段27を、前記スライドベース31に対し、前記無端ベルト56の下側走行部に位置する前記物品押え59の突出端が、フィルム搬送方向に向けた軌跡で移動する姿勢で位置決め保持する保持手段63を備えている。該保持手段63は、スライドベース31におけるフィルム搬送方向の上流側に配設された磁石64と、前記支持片53に配設された金属材からなる磁性金属65と、を備え、無端ベルト56の下側走行部がフィルム搬送方向の下流側から上流側に向けて上方傾斜する姿勢(
図1の二点鎖線参照)から、支持体33を前記支持軸50を支点としてフィルム搬送方向の上流端を下降するよう回転することで、支持体33の磁性金属(磁性体)65がスライドベース31の磁石64に磁力吸着されて、無端ベルト56の下側走行部がフィルム搬送方向に沿う姿勢(
図1の実線参照)に位置決め保持される。本実施例では、保持手段63で保持される押え手段27における物品押え59の突出端の下側走行部での移動軌跡が、フィルム搬送方向に沿う水平としたが、下流側に向けて下方傾斜する移動軌跡となる姿勢で押え手段27を位置決め保持するものであってもよい。また、支持体33の前面には、フィルム搬送方向の上流側において前面側に突出する棒状の操作ハンドル(操作部)66が設けられ、該操作ハンドル66により支持体33を持ち上げることで、保持手段63による保持が解除されて支持体33を、支持軸50を支点として回転することができる。
【0026】
次に、実施例に係る横形製袋充填機の物品押え装置の作用について説明する。なお、
図6はシールユニット17aの動作と物品押え59の移動の関係を示す作用説明図であって、理解に資するため、便宜上、所定位置の物品押え59および該物品押え59で支持されている物品11にのみハッチングを付して、筒状フィルム10中に供給された物品11の経時的な移動との関係を示す。
【0027】
図6(a),(b)に示す如く、前記押え手段27が、前記シールユニット17aと一体でフィルム搬送方向の下流側に移動する際には、前記第1および第2プーリ42,43が回転することなく駆動ベルト49の下側走行部と共にフィルム搬送方向の下流側に移動することで、無端ベルト56が周回走行しないまま下側走行部の物品押え59は、スライドベース31の移動に伴ってフィルム搬送速度と同調した速度でフィルム搬送方向の下流側に移動する。下側走行部において物品11を上方から支持している物品押え59は、該物品11と共にフィルム搬送方向の下流側に移動するので、物品11との相対位置関係が変化することはなく、物品11を適正に支持して筒状フィルム10の搬送を補助することができる。
図6(b)は、
図6(a)の位置からフィルム搬送方向の下流側に物品押え59が距離Yだけ移動した状態を示している。また、
図6(c)に示す如く、前記押え手段27が、前記シールユニット17aと一体でフィルム搬送方向の上流側に移動する際には、第1および第2プーリ42,43はフィルム搬送方向の上流側に移動するが、前記駆動ベルト49の周回走行に伴って第1および第2プーリ42,43がスライド量と同じ距離分回転することで無端ベルト56が周回走行して下側走行部の物品押え59は、フィルム搬送速度と同調した速度でフィルム搬送方向の下流側に移動する。すなわち、第1および第2プーリ42,43が押え手段27のスライド量と同じ距離分回転することで、押え手段27が距離Yだけ上流側に移動すると、下側走行部において物品11を上方から支持している物品押え59は距離Yだけ下流側に移動し、物品11との相対位置関係が変化することはなく、物品11を適正に支持して筒状フィルム10の搬送を補助することができる。
【0028】
実施例の物品押え装置では、前記支持ベース30に対してフィルム搬送方向の前後にスライド可能に支持したスライドベース31に押え手段27を配設すると共に、スライドベース31を、前記シールユニット17aにおける一対のシール体15,16の開閉移動とフィルム搬送方向の前後移動とに連動して伸縮する搬送コンベヤ13の可動フレーム21に結合して、一対のシール体15,16のフィルム搬送方向の前後移動と一体で押え手段27を移動するよう構成した。これにより、
図6に示す如く、押え手段27と、前記シールユニット17aの一対のシール体15,16との間隔Nは変化することはなく、筒状フィルム10の未支持領域が拡がることなく、物品11の上方を横シール位置の近傍まで押え手段27で支持して筒状フィルム10の搬送を補助することができる。従って、押え手段27によって筒状フィルム10に与える搬送力の低下や、物品11の位置ずれや、集合品の姿勢、集合状態の乱れなどを効果的に防止することができる。また、搬送コンベヤ13の可動フレーム21を用いて押え手段27を、シール体15,16と一体で移動するよう構成したので、該押え手段27を、別途専用の駆動手段を設けることなく筒状フィルム10の未支持領域が拡がらないように適切に移動することができる。
【0029】
実施例の物品押え装置では、前記押え手段27は、筒状フィルム10中の物品11を上方から支持する物品押え59を、押え手段27のフィルム搬送方向の下流側への移動時および上流側への移動時の何れの場合も、筒状フィルム10の搬送速度と同調(対応)した速度で下流側へ移動するよう構成したので、筒状フィルム10中の物品11が位置ずれしたり、集合品の姿勢や集合状態が乱れたりすることなく、筒状フィルム10の搬送を適正に補助して物品11を位置ずれさせずに筒状フィルム10と共に適正に搬送することができる。
【0030】
実施例の物品押え装置は、前記押え手段27が配設されたスライドベース31をフィルム搬送方向の前後にスライド可能に支持する支持ベース30を、支柱28に対して高さ調節手段29によって上下に位置調節して、押え手段27による筒状フィルム10の支持高さを調節可能に構成したので、押え手段27のフィルム搬送方向の前後移動に影響を与えることなく支持高さを調節することができる。また、前記作動手段32のローラ62は、スライドベース31を上下動する際には前記結合部材61の長溝61a内を移動して係合状態を維持するので、筒状フィルム10の支持高さを調節した場合においても、押え手段27のフィルム搬送方向の前後移動の結合状態が解かれることなく、筒状フィルム10の支持高さを調節できる。
【0031】
実施例の物品押え装置は、前記押え手段27を、前記無端ベルト56の下側走行部に位置する前記物品押え59の突出端が、フィルム搬送方向に向けた軌跡で移動する姿勢で、前記スライドベース31に対して前記保持手段63によって位置決め保持するよう構成したので、包装運転時に押え手段27が上下に位置変動してしまうのを防いで、該押え手段27によって物品11を上方から適切に支持することができる。また、押え手段27は、前記駆動ベルト49の駆動力を伝達手段60によって無端ベルト56へ伝達可能な状態で、フィルム搬送方向の一端部(支持軸50)を支点として搬送上流端を上方に持ち上げ得るよう構成したので、包装運転を開始する前のフィルムセッティングその他の準備作業や筒状フィルム10の搬送部に係る各種メンテナンス作業に際し、伝達手段60の連繋状態の解除や結合などに要する煩わしい操作を省略でき、短時間で作業することができる。また、保持手段63は、押え手段27を磁力吸着によって位置決め固定できるので、結合および解除操作を極めて簡単に実施することができる。また、支持体33に、回転支点(支持軸50)から離間するフィルム搬送方向の上流端側に操作ハンドル66を設けているので、メンテナンスなどに際し、支持体33と共に押え手段27の持ち上げ操作が容易となって、操作性がよい。
【0032】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) シールユニット17は、1つ、2つ、または4つ以上の複数設けたものであってもよい。
(2) 実施例では、駆動機構34や伝達手段60を、歯付きの無端ベルト56および歯付きのベルト49,58やプーリ45,42,43,52,57を用いたが、無端チェンやスプロケットに代えることができる。
(3) 実施例では、スライドベース31を搬送コンベヤ13の可動フレーム21に結合して、スライドベース31をシール体15,16と一体で移動するよう構成したが、可動フレーム21に代えて、少なくともシール体15,16と一体でフィルム搬送方向の前後に移動する部材にスライドベース31を結合する構成を採用することができる。
(4) 実施例では、シール体15,16と一体で移動する可動フレーム21によってスライドベース31を移動するよう作動手段32を構成したが、該作動手段32としては、モータやシリンダなどの駆動手段によってスライドベース31をシール体15,16と一体的にフィルム搬送方向の前後に移動する構成を採用することができる。
(5) 結合手段67は、結合部材61とローラ(係合部材)62との配設対象が、実施例と逆であってもよい。
(6) 保持手段63は、磁石64と磁性金属(磁性体)65とで構成したが、磁力吸着可能な2つの磁石で構成してもよい。また、保持手段63は、磁力吸着する構成に代えで、ネジ止め式や、所定の操作によって係合部を係合位置と解除位置とに変化するラッチ式など、その他各種の位置決め保持可能な手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 筒状フィルム(筒状包装材),11 物品,13 搬送コンベヤ,15 シール体
16 シール体,21 可動フレーム(伸縮部),27 押え手段,28 支柱(支持部材)
29 高さ調節手段,30 支持ベース,31 スライドベース,32 作動手段
33 支持体,46 駆動モータ,49 駆動ベルト(駆動索条体)
56 無端ベルト(無端索条体),59 物品押え,60 伝達手段,61 結合部材
62 ローラ(係合部材),63 保持手段,64 磁石,65 磁性金属(磁性体)