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特許7538548プログラム更新装置および電気錠システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】プログラム更新装置および電気錠システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20240815BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
E05B49/00 J
E05B65/00 Y
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022081470
(22)【出願日】2022-05-18
(65)【公開番号】P2023170032
(43)【公開日】2023-12-01
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001074
【氏名又は名称】クロイ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 雅則
(72)【発明者】
【氏名】木村 周平
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-049298(JP,A)
【文献】特開2013-191154(JP,A)
【文献】特開昭59-158458(JP,A)
【文献】特開2019-039238(JP,A)
【文献】特開2001-032587(JP,A)
【文献】株式会社北斗電子HP,FLASHMATE5V1取扱説明書[online],1999年12月19日,https://www.hokutodenshi.co.jp/7/OnboardProgrammer-2.htm,[検索日:2024年7月9日]
【文献】株式会社北斗電子HP,FM-ONE取扱説明書[online],2005年01月19日,https://www.hokutodenshi.co.jp/7/OnboardProgrammer-1.htm,[検索日:2024年7月9日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の接続状態をとりうる切替スイッチと、
前記切替スイッチの接続状態に基づいて、外部記憶装置から取得するプログラム情報を識別するプログラム識別情報を特定するプログラム特定部と、
第1釦スイッチと、
前記第1釦スイッチが押下されると、特定された前記プログラム識別情報で識別される前記プログラム情報を前記外部記憶装置から取得するプログラム取得部と、
前記第1釦スイッチとは異なる第2釦スイッチと、
前記第2釦スイッチが押下されると、取得された前記プログラム情報を電気錠装置へ送信するプログラム送信部と、を備える、
プログラム更新装置。
【請求項2】
少なくとも1つの表示部と、
前記プログラム取得部が前記外部記憶装置から前記プログラム情報を取得している取得期間中において前記少なくとも1つの表示部が予め設定された第1表示態様となり、前記取得期間の終了時において前記少なくとも1つの表示部が前記第1表示態様とは異なる予め設定された第2表示態様となり、前記プログラム送信部が前記プログラム情報を前記電気錠装置へ送信している送信期間中において前記少なくとも1つの表示部が予め設定された第3表示態様となり、前記送信期間の終了時において前記少なくとも1つの表示部が前記第3表示態様とは異なる予め設定された第4表示態様となるように前記少なくとも1つの表示部を制御する表示制御部と、を更に備える、
請求項1に記載のプログラム更新装置。
【請求項3】
前記第2釦スイッチが押下されると、取得された前記プログラム情報を暗号化する暗号化処理部を更に備え、
前記プログラム送信部は、暗号化された前記プログラム情報を前記電気錠装置へ送信する、
請求項1または2に記載のプログラム更新装置。
【請求項4】
電気錠装置と、前記電気錠装置で使用されるプログラム情報を更新するために前記電気錠装置へ新たなプログラム情報を送信するプログラム更新装置と、を備え、
前記プログラム更新装置は、
複数種類の接続状態をとりうる切替スイッチと、
前記切替スイッチの接続状態に基づいて、外部記憶装置から取得するプログラム情報を識別するプログラム識別情報を特定するプログラム特定部と、
第1釦スイッチと、
前記第1釦スイッチが押下されると、特定された前記プログラム識別情報で識別される前記プログラム情報を前記外部記憶装置から取得するプログラム取得部と、
前記第1釦スイッチとは異なる第2釦スイッチと、
前記第2釦スイッチが押下されると、取得された前記プログラム情報を前記電気錠装置へ送信するプログラム送信部と、を有する、
電気錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム更新装置および電気錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気錠制御装置と電気錠とを備えた電気錠システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。この電気錠システムでは、使用者が磁気カード等によりIDコードを電気錠制御装置に入力すると、電気錠制御装置が、そのIDコードが予め登録されたコードと一致するか否かを認証し、一致する場合には電気錠解錠命令である制御信号を電気錠へ送信し、電気錠は、電気錠制御装置からIDコードを受信すると解錠する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-18660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された電気錠システムでは、例えば電気錠システムの更新等により電気錠システムを制御するためのプログラムの更新が必要となった場合、電気錠制御装置または電気錠に内蔵されたROM(Read Only Memory)の交換等が必要となるためプログラムの更新作業に手間を要する虞がある。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、プログラムの更新を容易に行うことができるプログラム更新装置および電気錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るプログラム更新装置は、
複数種類の接続状態をとりうる切替スイッチと、
前記切替スイッチの接続状態に基づいて、外部記憶装置から取得するプログラム情報を識別するプログラム識別情報を特定するプログラム特定部と、
第1釦スイッチと、
前記第1釦スイッチが押下されると、特定された前記プログラム識別情報で識別される前記プログラム情報を前記外部記憶装置から取得するプログラム取得部と、
前記第1釦スイッチとは異なる第2釦スイッチと、
前記第2釦スイッチが押下されると、取得された前記プログラム情報を電気錠装置へ送信するプログラム送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、切替スイッチ、第1釦スイッチおよび第2釦スイッチを操作するだけで外部記憶装置が記憶するプログラム情報を電気錠装置へ送信することができる。従って、電気錠装置で使用されるプログラム情報の更新を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る電気錠システムの概略図である。
図2】実施の形態に係る電気錠システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る電気錠装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態に係るプログラム更新装置の概略図である。
図5】実施の形態に係るプログラム更新装置の機能構成を示すブロック図である。
図6】実施の形態に係るプログラム識別情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図7】実施の形態に係る電気錠システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図8】実施の形態に係る電気錠システムの動作を説明するためのシーケンス図である。
図9】実施の形態に係る電気錠装置で実行される電気錠制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】実施の形態に係る電気錠装置で実行される電気錠制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】実施の形態に係る電気錠装置が電気錠制御処理を実行しているときの電気状態装置の状態の遷移を示す状態遷移図である。
図12】実施の形態に係るプログラム更新装置で実行されるプログラム更新処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】実施の形態に係るプログラム更新装置で実行されるプログラム更新処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】実施の形態に係るプログラム更新装置がプログラム更新処理を実行しているときのプログラム更新装置の状態の遷移を示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係るプログラム更新装置について図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係るプログラム更新装置は、複数種類の接続状態をとりうる切替スイッチと、切替スイッチの接続状態に基づいて、外部記憶装置から取得するプログラム情報を識別するプログラム識別情報を特定するプログラム特定部と、第1釦スイッチと、第1釦スイッチが押下されると、特定されたプログラム識別情報で識別されるプログラム情報を外部記憶装置から取得するプログラム取得部と、第1釦スイッチとは異なる第2釦スイッチと、第2釦スイッチが押下されると、取得されたプログラム情報を電気錠装置へ送信するプログラム送信部と、を備える。
【0010】
本実施の形態に係る電気錠システムは、例えば図1に示すように、電気錠装置9と、電気錠装置9と無線通信可能であり電気錠装置9で用いるプログラムを更新するためのプログラム更新装置10と、を備える。電気錠装置9は、宿泊施設、住宅の玄関等に設置され、扉を施錠状態で維持し、使用者がカードキーを近づけたときに解錠し、その後、扉が閉まったことを検知すると再び扉を施錠状態にする。電気錠装置9は、扉のノブN1の旋回を規制することにより扉を施錠する施錠ユニット92と、無線モジュール93と、表示部951、952と、制御部91と、を有する。また、電気錠装置9は、電気錠装置9の駆動電源を供給するバッテリ(図示せず)を有する。無線モジュール93は、プログラム更新装置10の無線通信ユニット2との間で、例えばISO/ICEで規定される近距離無線通信規格に基づく通信プロトコルで通信する。無線モジュール93は、プログラム更新装置10から送信されるフレームを取得すると、取得したフレームを制御部91へ転送する。また、無線モジュール93は、制御部91から転送されたフレームを取得すると、取得したフレームをプログラム更新装置10へ送信する。
【0011】
また、無線モジュール93は、カードキーが近づけられると、カードキーが保持するカードキー識別情報、カードキー種別情報を読み出し、読み出したカードキー識別情報およびカードキー種別情報を含むフレームを生成して制御部91へ転送するいわゆる非接触式カードリーダとしての機能も有する。カードキーの種別としては、少なくとも、宿泊施設の利用者等が入室の際に使用する入室用のカードキーと、例えば宿泊施設の管理者、電気錠装置9のメンテナンスを行う業者等が電気錠装置9で用いられているプログラムを更新する際に使用するプログラム更新用のカードキーと、が存在する。表示部951は、例えば緑色光を放射するLED(Light Emitting Diode)を有し、制御部91から入力される制御信号に基づいて点灯または点滅する。また、表示部952は、例えば赤色光を放射するLEDを有し、制御部91から入力される制御信号に基づいて点灯または点滅する。
【0012】
制御部91は、例えばRX231グループマイクロコンピュータ(ルネサスエレクトロニクス社製)により実現され、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)901と、RAM(Random Access Memory)902と、ROM(Read Only Memory)903と、フラッシュメモリ904と、施錠インタフェース(以下、「I/F」と称する。)9051と、通信I/F9052と、表示I/F9054と、これらを接続するバス909と、を有する。ROM903は、制御部91の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。RAM902は、CPU901の作業領域として使用される。施錠I/F9051は、施錠ユニット92に接続されており、制御部91から施錠指示情報が入力されると、これに応じて扉が施錠状態になるように施錠ユニット92を駆動するための施錠信号を生成して施錠ユニット92へ出力する。一方、施錠I/F9051は、制御部91から解錠指示情報が入力されると、これに応じて扉が解錠状態になるように施錠ユニット92を駆動するための解錠信号を生成して施錠ユニット92へ出力する。
【0013】
通信I/F9052は、無線モジュール93に接続されており、無線モジュール93から転送されたフレームを取得すると、取得したフレームに含まれる情報を抽出してCPU901へ転送する。また、通信I/F9052は、CPU901からプログラム更新装置10へ送信する情報を取得すると、取得した情報を含むフレームを生成して無線モジュール93へ転送する。また、通信I/F9052は、無線モジュール93がカードキーから読み取ったカードキー識別情報、カードキー種別情報を含むフレームを取得すると、取得したフレームに含まれるカードキー識別情報、カードキー種別情報を抽出してCPU901へ転送する。表示I/F9054は、制御部91から表示部951、952の表示態様を制御するための制御情報が入力されると、入力される制御情報に対応する制御信号を生成して表示部951、952へ出力する。
【0014】
CPU901は、ROM903が記憶するプログラムをRAM902に読み込んで実行することにより、図3に示すように、カード情報取得部911、解錠判定部912、施錠ユニット制御部913、通信判定部914、表示制御部915、プログラム取得部916、復号処理部917、誤り有無判別部918、認証部919、更新部920および起動制御部991として機能する。また、図2に示すRAM902には、図3に示すように、プログラム更新装置10から取得したプログラムを一時的に記憶するプログラムバッファ921が設けられている。更に、図2に示すフラッシュメモリ904は、図3に示すように、施錠ユニット92を制御するためのプログラムを記憶するプログラム記憶部941と、フラグ記憶部942と、を有する。フラグ記憶部942は、プログラムバッファ921が記憶するプログラムを用いて既にプログラム記憶部941が記憶するプログラム情報を更新するか否かを示すフラグ情報を記憶している。このフラグ情報は、プログラム情報の更新が許可されている場合、「更新可」に設定され、プログラム情報の更新が許可されていない場合、「更新不可」に設定される。
【0015】
カード情報取得部911は、無線モジュール93で読み取られたカードキー識別情報およびカードキー種別情報を取得する。そして、カード情報取得部911は、プログラム記憶部941が記憶するプログラムに基づいて、取得したカードキー種別情報に応じてカードキー識別情報を解錠判定部912または通信判定部914に通知する。ここで、カード情報取得部911は、カードキー種別情報が前述の入室用のカードキーであることを示す場合、カードキー識別情報を解錠判定部912に通知する。一方、カード情報取得部911は、カードキー種別情報が前述のプログラム更新用のカードキーであることを示す場合、カードキー識別情報を通信判定部914に通知する。
【0016】
解錠判定部912は、カード情報取得部911からカードキー識別情報が通知されると、プログラム記憶部941が記憶するプログラムに基づいて、通知されたカードキー識別情報が扉の解錠を許可できるカードキー識別情報であるか否かを判定する。ここで、解錠判定部912は、扉の解錠を許可できるカードキー識別情報であると判定すると、扉の解錠を指令する解錠指令情報を施錠ユニット制御部913に通知する。施錠ユニット制御部913は、解錠判定部912から前述の解錠指令情報が通知されると、プログラム記憶部941が記憶するプログラムに基づいて、扉が解錠させるように施錠ユニット92を制御する。
【0017】
通信判定部914は、カード情報取得部911からカードキー識別情報が通知されると、プログラム更新装置10とのコネクションが確立しているか否かを判定する。表示制御部915は、通信判定部914によりプログラム更新装置10との間でコネクションが確立していると判定されると、表示部951、952が予め設定された表示態様、例えば、表示部951、952の両方が点灯状態となるように表示部951、952を制御する。
【0018】
プログラム取得部916は、通信判定部914によりプログラム更新装置10との間でコネクションが確立していると判定された後、プログラム更新装置10から送信されるフレームに含まれる暗号化されたプログラム情報を取得する。そして、プログラム取得部916は、取得したプログラム情報を復号処理部917に通知する。ここで、表示制御部915は、プログラム取得部916がプログラム更新装置10から送信されたプログラム情報の取得を開始した後、プログラム情報を取得している取得期間中において、表示部951、952が交互に点滅するように表示部951、952を制御する。そして、表示制御部915は、プログラム取得部916がプログラム更新装置10から送信されたプログラム情報の取得を完了すると、表示部951、952の両方が消灯するように表示部951、952を制御する。
【0019】
復号処理部917は、プログラム取得部916から通知される暗号化されたプログラム情報に対して復号処理を実行してからプログラムバッファ921に記憶させる。ここで、プログラム情報は、電気錠装置9とプログラム更新装置10とで共通する共通鍵により暗号化されており、復号処理部917は、前述の共通鍵を用いてプログラム情報の復号処理を実行する。プログラム情報は、例えばAES(Advanced Encryption Standard)等の共通鍵暗号方式で暗号化されている。
【0020】
誤り有無判別部918は、プログラム取得部916が取得したプログラム情報に付加されたチェックサム情報に基づいて、誤りの有無を判別する。そして、誤り有無判別部918は、プログラム情報について誤りが無いと判定すると、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報をプログラム更新可に設定する。一方、誤り有無判別部918は、プログラム情報に誤りが有ると判定すると、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報をプログラム更新不可に設定する。
【0021】
認証部919は、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報がプログラム更新可に設定されている場合、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報に含まれるセキュリティコード情報を抽出し、抽出したセキュリティコード情報が予め設定されたセキュリティコード情報と一致するか否かを判定する。更新部920は、認証部919によりプログラム情報から抽出したセキュリティコード情報が予め設定されたセキュリティコード情報と一致すると判定されると、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報を用いて、プログラム記憶部941が記憶するプログラム情報を更新する。
【0022】
起動制御部991は、電気錠装置9のバッテリの電圧が再起動に必要な基準電圧以上であるか否かを判定する。そして、起動制御部991は、電気錠装置9のバッテリの電圧が再起動に必要な基準電圧以上であると判定すると、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報を「更新不可」に設定してから電気錠装置9の再起動を実行する。
【0023】
本実施の形態に係るプログラム更新装置10は、図4に示すように、装置本体1と、装置本体1と信号線L1を介して接続された無線通信ユニット2と、を備える。装置本体1は、USB(Universal Serial Bus)端子台12と、ロータリスイッチ14と、釦スイッチ151、152と、表示部161、162と、制御部11と、を有する。また、装置本体1は、扁平な矩形箱状でありUSB端子台12、ロータリスイッチ14、釦スイッチ151、152、表示部161、162および制御部11を纏めて収納する筐体1aと、筐体1aに設けられストラップ1bを筐体1aに連結するための連結部材1cと、を有する。また、無線通信ユニット2は、無線モジュール13と、扁平な矩形箱状であり内側に無線モジュール13を収納する筐体2aと、を有する。筐体1a、2aは、例えば樹脂から形成されている。ロータリスイッチ14は、1つの共通端子(図示せず)と複数の選択端子(図示せず)とを有し、共通端子に連結された把持部(図示せず)を回転させることにより、共通端子と複数の選択端子のうちのいずれかとが接続した複数種類の接続状態をとりうる切替スイッチである。
【0024】
無線モジュール13は、電気錠装置9との間で、例えばISO/ICEで規定される近距離無線通信規格に基づく通信プロトコルで通信する。無線モジュール13は、電気錠装置9から送信されるフレームを取得すると、取得したフレームを制御部11へ転送する。また、無線モジュール13は、制御部11から転送されたフレームを取得すると、取得したフレームを電気錠装置9へ送信する。表示部161は、例えば緑色光を放射するLEDを有し、制御部11から入力される制御信号に基づいて点灯または点滅する。また、表示部162は、例えば赤色光を放射するLEDを有し、制御部11から入力される制御信号に基づいて点灯または点滅する。
【0025】
制御部11は、例えばRX231グループマイクロコンピュータ(ルネサスエレクトロニクス社製)により実現され、図2に示すように、CPU101と、RAM102と、ROM103と、フラッシュメモリ104と、USBI/F1051と、通信I/F1052と、入力I/F1053と、表示I/F1054と、これらを接続するバス109と、を有する。ROM103は、制御部11の各種機能を実現するためのプログラムを記憶する。RAM102は、CPU101の作業領域として使用される。USBI/F1051は、USB端子台12に接続されており、例えばUSB端子台12にUSBメモリが接続された状態でUSBメモリが記憶するプログラム情報を制御部11へ転送する。
【0026】
通信I/F1052は、無線通信ユニット2の無線モジュール13に信号線L1を介して接続されており、無線モジュール13から転送されたフレームを取得すると、取得したフレームに含まれる情報を抽出して制御部11へ転送する。また、通信I/F1052は、制御部11から電気錠装置9へ送信する情報を取得すると、取得した情報を含むフレームを生成して無線モジュール13へ転送する。入力I/F1053は、ロータリスイッチ14、釦スイッチ151、152に接続されており、ロータリスイッチ14の出力レベルからロータリスイッチ14の状態を示す状態情報を生成して制御部11へ転送する。また、入力I/F1053は、釦スイッチ151、152に接続されており、釦スイッチ151、152が押下されたことを検知すると、押下検知情報を生成して制御部11へ転送する。表示I/F1054は、制御部11から表示部161、162の表示態様を制御するための制御情報が入力されると、入力される制御情報に対応する制御信号を生成して表示部161、162へ出力する。
【0027】
CPU101は、ROM103が記憶するプログラムをRAM102に読み込んで実行することにより、図5に示すように、プログラム特定部111、プログラム取得部112、表示制御部113、暗号化処理部114およびプログラム送信部115として機能する。また、図2に示すフラッシュメモリ904は、図5に示すように、USB端子台12に接続されたUSBメモリから取得するプログラムを識別するプログラム識別情報を記憶するプログラム識別情報記憶部141と、外部記憶装置から取得したプログラム情報を記憶するプログラム記憶部142と、を有する。プログラム識別情報記憶部141は、例えば図6に示すように、プログラム識別情報を、対応するロータリスイッチ14の出力レベルを示す出力レベル情報に対応づけて記憶する。図6に示す例では、プログラム識別情報として、プログラムが記述されたファイルのファイル名が採用されている。
【0028】
プログラム特定部111は、ロータリスイッチ14の状態に基づいて、USB端子台12に接続されたUSBメモリから取得するプログラムを識別するプログラム識別情報を特定する。ここで、USBメモリには、例えばパーソナルコンピュータを使用して電気錠装置9で使用されるプログラム情報が記憶されている。プログラム特定部111は、例えばロータリスイッチ14の出力レベルが図6に示す「R[3]」に設定されている場合、プログラム識別情報「File[3].mot」を特定する。プログラム取得部112は、釦スイッチ151が押下されると、プログラム特定部111により特定されたプログラム識別情報で識別されるプログラム情報をUSB端子台12に接続されたUSBメモリから取得する。ここで、プログラム取得部112は、USBメモリからのプログラム情報の取得を開始すると、取得開始通知情報を表示制御部113に通知する。そして、プログラム取得部112は、取得したプログラム情報をプログラム記憶部142に記憶させていく。また、プログラム取得部112は、USBメモリからのプログラム情報の取得が完了すると、取得完了通知情報を表示制御部113に通知する。
【0029】
表示制御部113は、プログラム取得部112から前述の取得開始通知情報が通知されると、プログラム取得部112がUSBメモリからプログラム情報を取得している取得期間中において表示部161、162が予め設定された第1表示態様となるように表示部161、162を制御する。ここで、表示制御部113は、前述の取得期間中において、例えば表示部161が点灯し、表示部162が消灯した状態となるように表示部161、162を制御する。そして、表示制御部113は、プログラム取得部112から前述の取得完了通知情報が通知される前述の取得期間の終了時において表示部161、162が前述の第1表示態様とは異なる予め設定された第2表示態様となるように表示部161、162を制御する。ここで、表示制御部113は、前述の取得期間の終了時において、例えば表示部162の消灯状態を維持したまま、表示部161を予め設定された回数(例えば5回)だけ点滅させた後、表示部161を消灯させる。
【0030】
暗号化処理部114は、釦スイッチ152が押下されると、プログラム記憶部142が記憶するプログラム情報を暗号化する。ここで、暗号化処理部114は、例えば共通鍵暗号方式によりプログラム情報を暗号化する。暗号化処理部114は、暗号化したプログラム情報をプログラム送信部115に通知する。プログラム送信部115は、暗号化処理部114から暗号化されたプログラム情報が通知されると、通知されたプログラム情報を電気錠装置9へ送信する。ここで、プログラム送信部115は、プログラム情報の送信を開始すると、送信開始通知情報を表示制御部113に通知する。そして、プログラム送信部115は、プログラム情報の送信が完了すると、送信完了通知情報を表示制御部113に通知する。
【0031】
ここで、表示制御部113は、前述の送信開始通知情報を取得すると、プログラム送信部115がプログラム情報を電気錠装置9へ送信している送信期間中において、表示部161、162が予め設定された第3表示態様となるように表示部161、162を制御する。ここで、表示制御部113は、前述の送信期間中において、例えば表示部161と表示部162とが交互に点滅するように表示部161、162を制御する。また、表示制御部113は、プログラム送信部115から前述の送信完了通知情報が通知される前述の送信期間の終了時において、表示部161、162が第3表示態様とは異なる予め設定された第4表示態様となるように表示部161、162を制御する。ここで、表示制御部113は、前述の送信期間の終了時において、例えば表示部162が消灯した状態を維持しつつ、表示部161を予め設定された回数だけ点滅させてから消灯するように表示部161、162を制御する。
【0032】
次に、本実施の形態に係る電気錠システムの動作について図7および図8を参照しながら説明する。まず、図7に示すように、プログラム更新装置10へ電源を投入して起動操作を行うと、プログラム更新装置10は、緑色光を放射する表示部(以下、「表示部(緑色)」と称する。)161を消灯させたまま、赤色光を放射する表示部(以下、「表示部(赤色)」と称する。)162を点灯させる(ステップS1)。次に、電気錠装置9で用いられるプログラムの更新作業を行う作業者が、新たなプログラム情報を記憶したUSBメモリをUSB端子台12に接続してから、ロータリスイッチ14を操作して更新対称となるプログラムに対応する番号を選定し、釦スイッチ151を押下したとする。この場合、プログラム更新装置10は、プログラム識別情報記憶部141が記憶するプログラム識別情報の中からロータリスイッチ14の出力レベルに応じたプログラム識別情報で識別されるプログラムを特定する(ステップS2)。続いて、プログラム更新装置10は、USBメモリが記憶する新たなプログラム情報の取得を開始する(ステップS3)。その後、プログラム更新装置10は、新たなプログラム情報の取得期間中において、表示部(緑色)161、表示部(赤色)162を交互に点滅させる(ステップS4)。次に、プログラム更新装置10は、プログラム情報の取得が完了すると(ステップS5)、表示部(赤色)162を消灯させて表示部(緑色)161を予め設定された回数だけ点滅させた後消灯させる(ステップS6)。これにより、プログラム更新装置10のプログラム記憶部142に、USBメモリが記憶していた新たなプログラム情報が記憶される。
【0033】
また、作業者が、プログラム更新用のカードキーを、扉に配設された無線モジュール93に近づけると、電気錠装置9は、プログラム更新用のカードキーを検出する(ステップS7)。そして、電気錠装置9は、無線通信ユニット2とのコネクションが確立したと判定すると(ステップS8)、赤色光を放射する表示部(以下、適宜「表示部(赤色)」と称する。)952を消灯させたまま、緑色光を放射する表示部(以下、適宜「表示部(緑色)」と称する。)951を点灯させる(ステップS9)。続いて、作業者が、プログラム更新装置10の釦スイッチ152を押下したときに、プログラム更新装置10が、電気錠装置9とのコネクションが確立していると判定したとする(ステップS10)。この場合、プログラム更新装置10は、プログラム記憶部142が記憶するプログラム情報を暗号化する暗号化処理を実行する(ステップS11)。その後、暗号化されたプログラム情報が、プログラム更新装置10から電気錠装置9へ送信される(ステップS12)。ここで、プログラム更新装置10は、図8に示すように、プログラム情報の送信開始後、プログラム情報を電気錠装置9へ送信している送信期間中において、表示部161、162を交互に点滅させる(ステップS13)。一方、電気錠装置9は、プログラム更新装置10から送信されたプログラム情報の取得を開始した後、プログラム情報を取得している取得期間中において、表示部(緑色)951と表示部(赤色)952を交互に点滅させる(ステップS14)。
【0034】
次に、プログラム更新装置10が、プログラム情報の送信が完了したと判定したとする(ステップS15)。この場合、プログラム更新装置10は、表示部(赤色)162を消灯させた状態を維持しつつ、表示部(緑色)161だけを予め設定された回数だけ点滅させてから消灯させる(ステップS16)。一方、電気錠装置9が、プログラム更新装置10から送信されたプログラム情報の受信を完了したと判定したとする(ステップS17)。この場合、電気錠装置9は、取得したプログラム情報に対して復号処理を実行してからプログラムバッファ921に記憶させた後(ステップS18)、表示部(緑色)951および表示部(赤色)952の両方を消灯させる(ステップS19)。続いて、電気錠装置9は、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報に付加されたチェックサム情報に基づいて、プログラム情報に誤りが無いと判定したとする(ステップS20)。この場合、電気錠装置9は、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報をプログラム記憶部941が記憶するプログラム情報の更新が可能であることを示す「更新可」に設定する(ステップS21)。その後、電気錠装置9は、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報が「更新可」に設定されていることに応じて、プログラム情報に含まれるセキュリティコード情報が予め設定されたセキュリティコード情報と一致しているか否かを判定し、セキュリティコード情報が一致していると判定したとする(ステップS22)。この場合、電気錠装置9は、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報を用いて、プログラム記憶部941が記憶するプログラム情報の更新を開始する(ステップS23)。そして、電気錠装置9は、プログラム情報の更新を行う更新期間中において、表示部(赤色)952を消灯させて表示部(緑色)951を点滅させる(ステップS24)。次に、電気錠装置9が、プログラム記憶部941が記憶するプログラム情報の更新を完了したと判定したとする(ステップS25)。この場合、電気錠装置9は、表示部951、952の両方を消灯させてから(ステップS26)、再起動する(ステップS27)。そして、電気錠装置9は、再起動後、更新後のプログラム情報に基づいて動作する。
【0035】
その後、電気錠装置9が設置された部屋の利用者が、入室用のカードキーを、扉に配設された無線モジュール93に近づけると、電気錠装置9は、入室用のカードキーを検出する(ステップS28)。そして、電気錠装置9が、更新後のプログラム情報に基づいて、解錠可能と判定したとする(ステップS29)。この場合、電気錠装置9は、解錠する(ステップS30)。
【0036】
次に、本実施の形態に係る電気錠装置9が実行する電気錠制御処理について図9および図10を参照しながら説明する。ここで、電気錠装置9は、既に電源が投入されているものとする。また、この電気錠制御処理と並行して、扉が開状態から閉状態になったことを検知すると、施錠ユニットを制御して施錠する処理が実行されているものとする。更に、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報は、この電気錠制御処理の開始時において「更新不可」に設定されているものとする。まず、図9に示すように、カード情報取得部911は、プログラム更新用のカードキーを検出したか否かを判定する(ステップS201)。ここで、カード情報取得部911は、無線モジュール93で読み出されたカード識別情報およびカード種別情報を取得し、取得したカード種別情報がプログラム更新用のカードキーであることを示している場合、プログラム更新用のカードキーを検出したと判定する。ここで、カード情報取得部911が、プログラム更新用のカードキーを検出していないと判定すると(ステップS201:No)、後述のステップS215の処理が実行される。一方、カード情報取得部911が、プログラム更新用のカードキーを検出したと判定したとする(ステップS201:Yes)。この場合、通信判定部914は、プログラム更新装置10の無線通信ユニット2との間でコネクションが確立しているか否かを判定する(ステップS202)。ここで、通信判定部914は、プログラム更新用のカードキーを検出した後、予め設定された待機時間の間、無線通信ユニット2との間でコネクションが確立しない状態が継続したと判定すると(ステップS202:No)、後述のステップS215の処理が実行される。
【0037】
一方、通信判定部914が、無線通信ユニット2との間でコネクションが確立していると判定すると(ステップS202:Yes)、表示制御部915が、表示部(緑色)951を点灯させる(ステップS203)。次に、プログラム取得部916は、プログラム更新装置10から送信されるプログラム情報の受信を開始したか否かを判定する(ステップS204)。ここで、プログラム取得部916が、コネクションが確立していると判定された後、予め設定された待機時間の間にプログラム情報が受信されなかった場合(ステップS204:No)、表示制御部915が、表示部(緑色)951を消灯し(ステップS205)、後述のステップS215の処理が実行される。一方、プログラム取得部916が、プログラム情報が受信を開始したと判定すると(ステップS204:Yes)、表示制御部915が、表示部(緑色)951と表示部(赤色)952とを交互に点滅させる(ステップS206)。
【0038】
続いて、プログラム取得部916が、プログラム情報の受信を完了したか否かを判定する(ステップS207)。ここで、プログラム取得部916は、プログラム情報の受信を未だ完了していないと判定すると(ステップS207:No)、プログラム情報の取得を開始してからの経過時間がプログラム情報を取得するための時間の上限に相当する予め設定された上限受信時間を経過したか否かを判定する(ステップS208)。ここで、プログラム取得部916が、前述の経過時間が未だ上限受信時間を経過していないと判定すると(ステップS208:No)、再びステップS206の処理が実行される。一方、プログラム取得部916が、前述の経過時間が上限受信時間を経過したと判定したとする(ステップS208:Yes)。この場合、表示制御部915が、表示部951、952を消灯させるとともに、プログラム取得部916が、プログラムバッファ921に記憶させた情報を消去する(ステップS209)。その後、後述のステップ215の処理が実行される。
【0039】
一方、プログラム取得部916が、プログラム情報の受信が完了したと判定すると(ステップS207:Yes)、復号処理部917が、プログラム取得部916が取得した暗号化されたプログラム情報に対して復号処理を実行してからプログラムバッファ921に記憶させる(ステップS210)。次に、表示制御部915は、表示部951、952を消灯させる(ステップS211)。続いて、図10に示すように、誤り有無判別部918は、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報に誤りが含まれるか否かを判定する(ステップS212)。ここで、誤り有無判別部918が、プログラム情報に誤りが含まれると判定したとする(ステップS212:Yes)。この場合、表示制御部915が、表示部(赤色)952を一定時間点灯させるとともに、誤り有無判定部918が、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報を消去する(ステップS213)。その後、後述のステップS215の処理が実行される。一方、誤り有無判別部918は、プログラム情報に誤りが含まれないと判定すると(ステップS212:No)、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報を「更新可」に設定する(ステップS214)。
【0040】
次に、認証部919は、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報が「更新可」に設定されているか否かを判定する(ステップS215)。認証部919が、フラグ情報が「更新不可」に設定されていると判定すると(ステップS215:No)、後述のステップS226の処理が実行される。一方、認証部919は、フラグ情報が「更新可」に設定されていると判定すると(ステップS215:Yes)、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報に含まれるセキュリティコード情報が予め設定されたセキュリティコード情報と一致するか否かを判定する(ステップS216)。ここで、認証部919は、プログラム情報に含まれるセキュリティコード情報が予め設定されたセキュリティコード情報と一致しないと判定すると(ステップS216:No)、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報を消去し(ステップS217)、後述のステップS226の処理が実行される。一方、認証部919がプログラム情報に含まれるセキュリティコード情報が予め設定されたセキュリティコード情報と一致すると判定したとする(ステップS216:Yes)。この場合、更新部920は、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報を用いて、プログラム記憶部941が記憶するプログラム情報の更新を開始する(ステップS218)。続いて、表示制御部915は、表示部(緑色)951を点滅させる(ステップS219)。
【0041】
その後、更新部920は、プログラム情報の更新を完了したか否かを判定する(ステップS220)。ここで、更新部920は、プログラム情報の更新を未だ完了していないと判定すると(ステップS220:No)、更新エラーが発生しているか否かを判定する(ステップS221)。ここで、更新エラーとは、例えばプログラム情報のプログラム記憶部941への書き込み処理中にハングアップが発生した場合に相当する。更新部920は、更新エラーが発生していないと判定すると(ステップS221:No)、再びステップS220の処理が実行される。一方、更新部920により更新エラーが発生したと判定されると(ステップS221:Yes)、表示制御部915は、表示部(赤色)952を点灯させて(ステップS222)、電気錠制御処理が終了する。一方、更新部920が、プログラム情報の更新を完了したと判定すると(ステップS220:Yes)、表示制御部915が、表示部(緑色)951を消灯させる(ステップS223)。
【0042】
次に、起動制御部991は、電気錠装置9のバッテリの電圧が再起動に必要な基準電圧以上であるか否かを判定する(ステップS224)。ここで、起動制御部991が、電気錠装置9のバッテリの電圧が再起動に必要な基準電圧未満であると判定すると(ステップS224:No)、電気錠装置9の再起動を実行せずに後述のステップS226の処理が実行される。一方、起動制御部991は、電気錠装置9のバッテリの電圧が再起動に必要な基準電圧以上であると判定すると(ステップS224:Yes)、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報を「更新不可」に設定してから電気錠装置9の再起動を実行する(ステップS225)。
【0043】
続いて、カード情報取得部911は、入室用のカードキーを検出したか否かを判定する(ステップS226)。ここで、カード情報取得部911は、無線モジュール93が読み出したカード識別情報およびカード種別情報を取得し、取得したカード種別情報が入室用のカードキーであることを示している場合、入室用のカードキーを検出したと判定する。ここで、カード情報取得部911が、入室用のカードキーを検出していないと判定すると(ステップS226:No)、再びステップS201の処理が実行される。一方、カード情報取得部911が、入室用のカードキーを検出したと判定したとすると(ステップS226:Yes)、解錠判定部912は、扉の解錠が可能か否かを判定する(ステップS227)。具体的には、解錠判定部912は、プログラム記憶部941が記憶するプログラムに基づいて、カード情報取得部911が取得したカードキー識別情報が扉の解錠を許可できるカードキー識別情報であるか否かを判定する。ここで、解錠判定部912が、扉の解錠が不可であると判定すると(ステップS227:No)、再びステップS201の処理が実行される。一方、解錠判定部912により扉の解錠が可能であると判定されると(ステップS227:Yes)、施錠ユニット制御部913は、施錠ユニット92を制御して扉を解錠する(ステップS228)。その後、再びステップS201の処理が実行される。
【0044】
ここで、本実施の形態に係る電気錠装置9の動作について図11に示す状態遷移図に基づいて説明する。まず、電気錠装置9は、電源が投入されると、フラグ記憶部942が記憶するフラグ情報の確認待ちの状態になる(ST201)。ここで、電気錠装置9は、フラグ情報が「更新不可」に設定されている場合、そのままスタンバイ状態となる(ST202)。そして、電気錠装置9は、プログラム更新用のカードキーを検出すると、プログラム更新装置10との通信開始待ちの状態になる(ST203)。ここで、電気錠装置9は、プログラム更新装置10とのコネクションが確立すると、プログラム情報を受信している状態となる(ST204)。そして、電気錠装置9は、プログラム情報の受信が完了するまでこの状態を維持する。また、電気錠装置9は、プログラム情報の受信を完了すると、プログラム情報に誤りが含まれるか否かの誤り有無判定結果の待ち状態となる(ST205)。ここで、電気錠装置9は、プログラム情報に誤りが含まれると判定すると、表示部(赤色)952を一定時間点灯させるエラー表示状態となった後(ST206)、再びスタンバイ状態(ST202)となる。一方、電気錠装置9は、プログラム情報に誤りが含まれないと判定すると、プラグ記憶部942が記憶するフラグ情報が「更新可」に設定された状態となる(ST207)。そして、電気錠装置9は、再びフラグ記憶部942が記憶するフラグ情報の確認待ちの状態になる(ST201)。ここで、電気錠装置9は、フラグ情報が「更新可」に設定されている場合、プログラム情報に含まれるセキュリティコード情報の確認待ちの状態となる(ST208)。そして、電気錠装置9は、プログラム情報に含まれるセキュリティコード情報が予め設定されたセキュリティコード情報と不一致と判定すると、そのままスタンバイ状態となる(ST202)。一方、電気錠装置9は、プログラム情報に含まれるセキュリティコード情報が予め設定されたセキュリティコード情報と一致すると判定すると、プログラム記憶部941が記憶するプログラム情報の更新待ち状態となる(ST209)。ここで、電気錠装置9は、電気錠装置9のバッテリの電圧が再起動に必要な基準電圧未満であると判定すると、スタンバイ状態になる(ST202)。一方、電気錠装置9は、電気錠装置9のバッテリの電圧が再起動に必要な基準電圧以上であると判定すると、プログラムバッファ921が記憶するプログラム情報を用いて、プログラム記憶部941が記憶するプログラム情報の更新処理を実行している状態となる(ST210)。ここで、電気錠装置9は、更新処理の実行中に前述の更新エラーが発生すると、表示部(赤色)952を点灯させてエラー表示状態となる(ST211)。一方、電気錠装置9は、プログラム情報の更新が完了すると、スタンバイ状態となる(ST202)。
【0045】
次に、本実施の形態に係るプログラム更新装置10が実行するプログラム更新処理について図12および図13を参照しながら説明する。ここで、プログラム更新装置10は、既に電源が投入されており、表示制御部113が、表示部(緑色)161を消灯させ、表示部(赤色)162を点灯させているとする。まず、図12に示すように、プログラム特定部111は、USB端子台12にUSBメモリが接続されているか否かを判定する(ステップS101)。ここで、プログラム特定部111が、USB端子台12にUSBメモリが接続されていないと判定すると(ステップS101:No)、後述のステップS110の処理が実行される。一方、プログラム特定部111が、USB端子台12にUSBメモリが接続されていると判定したとする(ステップS101:Yes)。この場合、プログラム特定部111は、「READ」表示に対応する釦スイッチ151が押下されたか否かを判定する(ステップS102)。ここで、プログラム特定部111が、USBメモリがUSB端子台12に接続された後、予め設定された待機時間の間、釦スイッチ151が押下されなかったと判定すると(ステップS102:No)、後述のステップS110の処理が実行される。
【0046】
一方、プログラム特定部111は、釦スイッチ151が押下されたと判定すると(ステップS102:Yes)、プログラム識別情報記憶部141が記憶するプログラム識別情報を参照して、ロータリスイッチ14の状態に基づいて、USB端子台12に接続されたUSBメモリから取得するプログラムを識別するプログラム識別情報を特定する(ステップS103)。次に、プログラム取得部112は、プログラム特定部111により特定されたプログラム識別情報で識別されるプログラム情報をUSB端子台12に接続されたUSBメモリからの取得を開始する(ステップS104)。ここで、プログラム取得部112は、取得したプログラム情報をプログラム記憶部142に記憶させていく。また、表示制御部113は、USBメモリからプログラム情報を取得している取得期間中において、表示部(緑色)161を点灯させ、表示部(赤色)162を消灯させる(ステップS105)。
【0047】
続いて、プログラム取得部112は、プログラム情報のUSBメモリからの取得が完了したか否かを判定する(ステップS106)。ここで、プログラム取得部112が、プログラム情報の取得が完了したと判定すると(ステップS106:Yes)、表示制御部113は、表示部(赤色)162の消灯状態を維持したまま、表示部(緑色)161を予め設定された回数だけ点滅させた後、消灯させる(ステップS107)。一方、プログラム取得部112は、プログラム情報のUSBメモリからの取得が未だ完了していないと判定すると(ステップS106:No)、プログラム情報の取得を開始してからの経過時間がプログラム情報を取得するための時間の上限に相当する予め設定された上限取得時間を経過したか否かを判定する(ステップS108)。ここで、プログラム取得部112が、前述の経過時間が未だ上限取得時間を経過していないと判定すると(ステップS108:No)、再びステップS106の処理が実行される。一方、プログラム取得部112が、前述の経過時間が上限取得時間を経過したと判定したとする(ステップS108:Yes)。この場合、表示制御部113が、表示部161、162の両方を消灯させるとともに、プログラム取得部112が、プログラム記憶部142に記憶させた情報を消去する(ステップS109)。
【0048】
その後、暗号化処理部114は、「WRITE」表示に対応する釦スイッチ152が押下されたか否かを判定する(ステップS110)。ここで、暗号化処理部114が、釦スイッチ152が押下されていないと判定すると(ステップS110:No)、再びステップS101の処理が実行される。一方、暗号化処理部114が、釦スイッチ152が押下されたと判定すると(ステップS110:Yes)、プログラム送信部115は、電気錠装置9との間でコネクションが確立しているか否かを判定する(ステップS111)。ここで、プログラム送信部115が、釦スイッチ152が押下された後、予め設定された待機時間の間、電気錠装置9との間でコネクションが確立できないと判定すると(ステップS111:No)、再びステップS101の処理が実行される。
【0049】
一方、プログラム送信部115が、電気錠装置9との間でコネクションが確立していると判定すると(ステップS111:Yes)、図13に示すように、暗号化処理部114は、プログラム記憶部142が記憶するプログラム情報を暗号化する暗号化処理を実行する(ステップS112)。次に、プログラム送信部115は、暗号化されたプログラム情報の電気錠装置9への送信を開始する(ステップS113)。ここで、表示制御部113は、プログラム送信部115がプログラム情報を電気錠装置9へ送信している送信期間中において、表示部(緑色)161と表示部(赤色)162とを交互に点滅させる(ステップS114)。続いて、プログラム送信部115は、プログラム情報の電気錠装置9への送信が完了したか否かを判定する(ステップS115)。ここで、プログラム送信部115が、プログラム情報の送信を完了したと判定すると(ステップS115:Yes)、表示制御部113は、表示部(赤色)162を消灯させて、表示部(緑色)161を予め設定された回数だけ点滅させた後、消灯させる(ステップS116)。一方、プログラム送信部115は、プログラム情報の電気錠装置9への送信が未だ完了していないと判定すると(ステップS115:No)、プログラム情報の送信を開始してからの経過時間がプログラム情報を送信するための時間の上限に相当する予め設定された上限送信時間を経過したか否かを判定する(ステップS117)。ここで、プログラム送信部115が、前述の経過時間が未だ上限送信時間を経過していないと判定すると(ステップS117:No)、再びステップS115の処理が実行される。一方、プログラム送信部115が、前述の経過時間が上限送信時間を経過したと判定したとする(ステップS117:Yes)。この場合、表示制御部113が、表示部161、162を消灯させる(ステップS118)。その後、再びステップS101の処理が実行される。
【0050】
ここで、本実施の形態に係るプログラム更新装置10の動作について図14に示す状態遷移図に基づいて説明する。まず、プログラム更新装置10は、電源が投入されると、スタンバイ状態になる(ST101)。ここで、プログラム更新装置10は、「WRITE」表示に対応する釦スイッチ151が押下されると、電気錠装置9との通信開始待ちの状態になる(ST102)。ここで、プログラム更新装置10は、電気錠装置9とのコネクションが確立すると、プログラム情報を送信している状態となる(ST103)。ここで、プログラム更新装置10は、前述の上限送信時間が経過したと判定すると、スタンバイ状態となる(ST101)。一方、プログラム更新装置10は、プログラム情報の電気錠装置9への送信を完了すると、表示部(緑色)161を予め設定された回数だけ点滅させて(ST104)、スタンバイ状態になる(ST101)。ここで、USBメモリをUSB端子台12に接続して「READ」表示に対応する釦スイッチ152が押下されると、プログラム更新装置10は、USBメモリからプログラム情報を取得している状態となる(ST105)。ここで、プログラム更新装置10は、前述の上限取得時間が経過したと判定すると、スタンバイ状態となる(ST101)。一方、プログラム更新装置10は、プログラム情報のUSBメモリからの取得が完了すると、表示部(緑色)161を予め設定された回数だけ点滅させて(ST104)、スタンバイ状態になる(ST101)。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態に係るプログラム更新装置10によれば、ロータリスイッチ14、釦スイッチ151、152を操作するだけでUSBメモリが記憶するプログラム情報を電気錠装置9へ送信することができる。従って、電気錠装置9で使用されるプログラムの更新を容易に行うことができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、切替スイッチが、トグルスイッチで実現されていてもよく、或いは、機械式リレー、半導体リレー等を組み合わせて実現されていてもよい。
【0053】
実施の形態において、プログラム更新装置10が、自装置の電源となるバッテリと、バッテリの出力電圧を検出する電圧監視部と、を有するものであってもよい。そして、電圧監視部により、検出されたバッテリの出力電圧が予め設定された基準電圧未満であると判定されると、表示制御部113が、表示部(赤色)162を点滅させるものであってもよい。また、電圧監視部が、釦スイッチ151、152が押下された直後のバッテリの出力電圧を検出するものであってもよい。そして、表示制御部113が、検出した出力電圧が基準電圧未満である場合、押下された釦スイッチ151、152の種類に応じて、表示部161、162を互いに異なる表示態様で点灯または点滅させるものであってもよい。
【0054】
実施の形態では、プログラム更新装置10が、電気錠装置9で用いられるプログラム情報の更新を行うために使用される例について説明した。但し、これに限らず、プログラム更新装置10が、他の近距離無線通信機能を有する装置で用いられるプログラム情報の更新を行うために使用されるものであってもよい。
【0055】
以上、本発明の各実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態及び変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、近距離無線通信機能を有する装置で用いられるプログラム情報の更新を行う作業に使用されるプログラム更新装置として好適である。
【符号の説明】
【0057】
1:装置本体、1a,2a:筐体、1b:ストラップ、1c:連結部材、2:無線通信ユニット、9:電気錠装置、10:プログラム更新装置、11,91:制御部、12:USB端子台、13,93:無線モジュール、14:ロータリスイッチ、92:施錠ユニット、101,901:CPU、102,902:RAM、103,903:ROM、104,904:フラッシュメモリ、109,909:バス、111:プログラム特定部、112:プログラム取得部、113,915:表示制御部、114:暗号化処理部、115:プログラム送信部、141:プログラム識別情報記憶部、142,941:プログラム記憶部、151,152:釦スイッチ、161,162,951,952:表示部、911:カード情報取得部、912:解錠判定部、913:施錠ユニット制御部、914:通信判定部、916:プログラム取得部、917:復号処理部、918:誤り有無判別部、919:認証部、920:更新部、991:起動制御部、921:プログラムバッファ、942:フラグ記憶部、1051:USBI/F、1052,9052:通信I/F、1053:入力I/F、1054,9054:表示I/F、9051:施錠I/F、N1:ノブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14