(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】電気的効率性が改善された電気油圧システム
(51)【国際特許分類】
F15B 11/00 20060101AFI20240815BHJP
F15B 11/02 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
F15B11/00 E
F15B11/02 B
(21)【出願番号】P 2022546556
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(86)【国際出願番号】 KR2022001266
(87)【国際公開番号】W WO2022234926
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0058267
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522302932
【氏名又は名称】ピョン カン バイオ アイティー メカトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PYUNG KANG BIO IT MECHATRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】44, Samginonggongdanji-gil, Samgi-myeon Iksan-si Jeollabuk-do 54528 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】チェ、キルホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ドンヒ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ラクジュン
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/114339(WO,A1)
【文献】特許第6117956(JP,B1)
【文献】実開平04-083729(JP,U)
【文献】特開平05-338000(JP,A)
【文献】特開昭57-176375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00- F15B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の油圧アクチュエータ1~k(A
1~A
K)を備える電気油圧システムであって、
複数のモータ1(M
1)、モータ2(M
2)、... モータn(M
n)と、前記それぞれのモータにバッテリーの直流を交流に変換し、且つ、モータの回転速度を変換するために連結されるそれぞれのインバータ1(I
1)、インバータ2(I
2)、 ... インバータn(I
n)と、
前記複数のモータの軸にそれぞれ直結され、貯蔵タンクから流入される作動油をメインコントロールバルブ(MCV)に供給する複数の油圧ポンプ1(P
1)、油圧ポンプ2(P
2)、... 油圧ポンプn(P
n)と、
前記油圧ポンプ1~n(P
1~P
n)から供給される作動油を受けて、複数の油圧アクチュエータ1~k(A
1~A
k)に選択的に作動油を供給又は遮断するように、内部に複数の制御弁1~j(V
1~V
j)を設けて、作動油の流路を変換するメインコントロールバルブ(MCV)と、
前記メインコントロールバルブ(MCV)の作動油を供給されて、所定の作業を行う複数の油圧アクチュエータ1~k(A
1~A
K)と、
前記それぞれのインバータ1~n(I
1~I
n)及び前記それぞれのモータ1~n(M
1~M
n)と、前記メインコントロールバルブ(MCV)内に設けられる複数の制御弁1~j(V
1~V
j)を個別的に制御する制御部(100)と、
前記油圧ポンプ1~n(P
1~P
n)に作動油を供給し、前記メインコントロールバルブ(MCV)から戻される作動油を収容する貯蔵タンク(400)と、
前記モータ1~n(M
1~M
n)、前記メインコントロールバルブ(MCV)、及び前記制御部に電流を供給するバッテリーと、
前記バッテリーを制御管理するバッテリー管理システム(BMS)とを含み、
前記油圧ポンプ1~n(P
1~P
n)の吐出口には、それぞれの排出管1~n(L
1~L
n)が連結され、前記それぞれの排出管は、1つの供給管(L
100)に統合され、前記供給管(L
100)は、メインコントロールバルブ(MCV)の流入口に連結され、
前記制御部(100)は、複数のモータ1~n(M
1~M
n)の中から要求される作動油の流量に基づいて、油圧ポンプ及びモータを選択して
駆動させるが、
選択しようとするモータが既に過熱されている場合、
当該過熱されているモータを駆動することなく、過熱されたモータに対応する油圧ポンプよりも容量の大きい油圧ポンプのうち、最小容量の油圧ポンプとモータを駆動するように選択されることを特徴とする電気油圧システム。
【請求項2】
前記油圧ポンプ1~n(P
1~P
n)は、互いに異なる容量の油圧ポンプが複数設けられ、前記制御部(100)は、まず、1つの油圧ポンプを作動させて、一定の油圧を維持し、時間間隔をおいて、他の1つの油圧ポンプを順次作動させることを特徴とする請求項1に記載の電気油圧システム。
【請求項3】
前記制御部(100)は、1つ以上の前記油圧アクチュエータ1~k(A
1~A
K)を作動させるためにかかる作動油の総量に基づいて、前記油圧ポンプの中から選択して駆動させ、小容量の油圧ポンプから先に駆動して、要求される流量の作動油を吐出するように制御することを特徴とする請求項1に記載の電気油圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気油圧システムに関し、より詳しくは、バッテリー及びモータ(電動機)により作動する油圧ポンプと、油圧ポンプにより供給される作動油を供給する供給ラインと、複数のアクチュエータと、前記モータとアクチュエータを制御するコントローラとを備え、並列的に制御することで、電気的効率性が顕著に改善された油圧システムに関する。
【0002】
本発明は、複数のモータと、該モータにそれぞれ対応する複数の油圧ポンプとを備え、前記複数の油圧ポンプから作動油を供給されて、複数のアクチュエータに供給するメインコントロールバルブ(MCV)を設けることにより、作動負荷、作動温度、供給流量などによって効率よく制御して、モータの消費電力を最小化し、電気的効率性を改善することにより、運転時間を画期的に増大した電気油圧システムである。
【背景技術】
【0003】
一般に、掘削機、特装車など、重装備に使用されるアクチュエータは、油圧シリンダ又は油圧モータであって、油圧システムにより作動される。従来の油圧システムは、エンジンの出力軸に結合される動力取出装置(PTO、power take-off)を通じて駆動される油圧ポンプで、作動油をコントロールバルブに供給し、コントロールバルブの開閉操作により、油圧シリンダ及び油圧モータのような複数の油圧アクチュエータを作動させることで、重装備の作業目的を達成している。しかし、最近の環境的な議論により、重装備の油圧システムを電気モータにより行わせる努力が進行されている。すなわち、エンジンの始動を消すか、もしくはエンジンがない状態で、バッテリーと電気モータによってのみ、油圧ポンプを駆動して、作動油を供給することである。
【0004】
但し、従来の電気モータを用いた重装備油圧システムは、同時多発的に様々なアクチュエータの作業を行わばならない特性上、十分な作動油を供給すべきであるが、モータの容量とバッテリーの容量を無制限に大きくすることができないという不都合がある。
【0005】
図1から見るように、従来の電気駆動油圧システムは、電気掘削機を挙げると、ブーム、アーム、バケットのための油圧シリンダが設けられ、油圧シリンダは、インバータとメインモータにより駆動され、別に掘削機の走行のために、インバータとサブモータが設けられる。
【0006】
このような油圧システムは、十分な作動油を複数のアクチュエータに供給するために、大容量のメインモータを要するため、容易にバッテリーが放電してしまうという問題がある。これに対して、本発明の発明者は、作業のエネルギー効率性を大きく改善した電気駆動油圧システムを着眼することになった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、電気エネルギーの効率的な使用が可能であり、作業のエネルギー効率性を大きく改善した電気油圧システムを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、油圧アクチュエータの作業にかかる作動油によって計算される作動油の総量を最適に供給するように作動されるモータ及び油圧ポンプにより無駄になる作動油を最小化し、電気エネルギーの無駄を最小化する電気油圧システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような技術的課題を解決するための本発明の電気的効率性が改善された電気油圧システムは、複数の油圧アクチュエータ1~kを備える電気油圧システムであって、作動油を収容する貯蔵タンクと、複数のモータ1~nと、前記それぞれのモータにバッテリーの直流を、モータのための交流に変換し、且つ、モータの駆動力と回転速度を変換するために連結されるインバータ1~nと、前記複数のモータの軸にそれぞれ直結され、前記貯蔵タンクから流入される作動油をメインコントロールバルブ(MCV)に供給する複数の油圧ポンプ1~nと、前記油圧ポンプ1~nから供給される作動油を受けて、複数の油圧アクチュエータ1~kに選択的に作動油を供給又は遮断するために、流路を開閉制御するように設けられる複数のバルブを備えたメイン制御バルブ(MCV)と、前記それぞれのインバータ、及び前記メイン制御バルブ(MCV)に設けられたそれぞれのバルブを個別的に制御する制御部と、前記モータ1~n、前記メイン制御バルブ(MCV)、及び前記制御部に電流を供給するバッテリーと、前記バッテリーを制御管理するバッテリー管理システム(BMS)とを含む。
【発明の効果】
【0010】
1つの大容量モータと油圧ポンプにより作動油を供給する場合、起動電流による消費電力が増加することに対して、本発明によると、複数の小型モータを使用するので、モータの起動電流を最小化し、不要な電流消費を抑制することができる。
【0011】
また、本発明によると、制御部は、油圧システムに設けられた各アクチュエータ動作によりかかる作動油の流量を計算して、1つ以上のモータを選択し、その回転数を制御して、メインコントロールバルブ(MCV)に供給し、重装備の各動作に必要な作動油の流量を考えて、メインコントロールバルブの各バルブを個別的に制御することで、捨てられる動作油を最小化し、効率性を極大化することができる。
【0012】
また、本発明のメインコントローラは、各モータの過熱状態又はその他の問題を診断し、これにより、他のモータに入れ替えて作動可能であるので、効率性と危機対処能力が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、重装備において、一般の電気油圧システムの構成図である。
【
図2】
図2は、本発明による電気油圧システムの概念図である。
【
図3】
図3は、本発明による電気油圧システムの作動シーケンス図である。
【
図4】
図4は、本発明による電気油圧システムの作動例示図である。
【
図5】
図5は、本発明による油圧ポンプ別駆動消費電を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、電気駆動油圧システムに関し、別の内燃機関エンジンを含まず、そこで、エンジン出力軸に連動される動力取出装置(PTO、power take-off)を設けない。但し、複数の油圧ポンプを駆動するために、対応する複数のモータを備える。一般に、モータの速度制御は、モータの種類によって異なる。産業用大型交流モータの場合は、インバータ方式で速度を制御し、家庭用小型電子製品に使われる小型交流モータは、位相制御方式で速度を調節する。
【0015】
そこで、本発明において、複数のモータにはそれぞれ、インバータが設けられる。インバータは、バッテリーの直流を所望する任意の周波数を有した交流に変換させてモータに供給し、モータの回転速度を制御する。すなわち、インバータ(I)で変換される交流の周波数によって、モータの回転速度が変わることになる。
【0016】
本発明は、説明の容易のために、重装備の中から掘削機を実施例とし、
図2を参照して説明する。但し、本発明は、掘削機に限定して適用されるものではない。掘削機は、モータの駆動力を直接使用して働く装置と、モータの駆動力を油圧に変更して、油圧アクチュエータを使用して働く装置とに分けられる。すなわち、掘削機は、モータの駆動力を直接使用して働く走行装置である。走行装置は、具体的に、走行用モータR(M
r)と、前記モータR(M
r)の回転速度を調節するインバータR(I
r)とが備えられ、モータR(M
r)の出力軸には、選択的に減速機R(D
r)が設けられる。
【0017】
本発明の油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる手段として、モータ1(M1)、モータ2(M2)、モータ3(M3)、及びモータ4(M4)のような複数のモータを備え、前記複数のモータ(M1~Mn)は、それぞれのインバータ(I1~In)により、回転速度が調節される。そして、前記モータの出力軸には、それぞれの油圧ポンプ(P1~Pn)が直結される。
【0018】
前記それぞれの油圧ポンプ(P1~Pn)の排出端には、作動油が排出されるそれぞれの排出管(L1~Ln)が連結され、前記複数の排出管は、1つの供給管(L100)に統合され、前記供給管(L100)は、メインコントロールバルブ(MCV)の流入口に連結される。そこで、1つ以上の油圧ポンプから排出されるそれぞれの作動油は、前記1つの供給管を介して、メインコントロールバルブの流入口に供給され、制御部により制御される前記メインコントロールバルブの制御弁1~j(V1~vj)は、前記流入口を通じて流入された作動油が、選択的に1つ以上の油圧アクチュエータ1~k(A1~Ak)に供給されて、必要な作業を行った後に、排出口に連結された戻り管(L200)を通じて、作動油タンクに戻されるか、もしくは、油圧アクチュエータの作業がしばらく中断された場合は、流入口から流入された作動油が、直ぐ排出口を通じて、作動油タンクに戻される。
【0019】
前記メインコントロールバルブ(MCV)は、内部に設けられ、制御部により電子的に制御される複数の制御弁により、作動油の通過又は遮断を制御する。具体的に、作動が要求される油圧アクチュエータとその作動方向によって、各制御弁が選択的に作動油を供給又は遮断することが可能である。すなわち、油圧ポンプから前記供給管を通じて供給される作動油は、メインコントロールバルブ内に設けられた制御弁により流路が制御されて、複数の油圧アクチュエータ1~k(A1~Ak)のうち、要求される油圧アクチュエータに選択的に作動油を供給することで、油圧アクチュエータを作動させることになる。
【0020】
前記メインコントロールバルブは、油圧又は電気的な方法で、制御弁(スプール)の流路を選択的に開閉して、作動油の流れを制御する。望ましくは、本発明は、制御部により、前記インバータと前記メインコントロールバルブの制御弁を電気的に制御する。
【0021】
前記制御部は、それぞれのインバータ1~n(I1~In)を個別的に制御して、各モータの回転速度を調節し、もって、各油圧ポンプ(P)から排出される作動油の流量を調節することができる。また、モータのそれぞれに設けられる温度センサにより過熱状態を検出し、過熱された状態のモータに対して、作動を止め、最上の状態で作動可能なモータを選択的に稼動することで、モータの効率を極大化することができる。
【0022】
本発明は、最適の効率でバッテリーを使用できるように、バッテリー管理システム(BMS)を必要とし、前記制御部と前記バッテリー管理システムは、制御情報を授受する。
【0023】
本発明は、制御部がメインコントロールバルブの制御弁を制御して、各油圧アクチュエータに向かう作動油を選択的に制御する。これと共に、これにかかる作動油の総量を制御して、要求される量の作動油を供給できるようにモータが選択されて、油圧ポンプにより作動油を、前記メインコントロールバルブに供給する。
【0024】
前記複数のモータ1~n(M1~Mn)はそれぞれ、互いに異なる容量の油圧ポンプ1~n(P1~Pn)に直結されて、それぞれモータを設けることで、複数のモータを組み合わせて、油圧アクチュエータが必要とする作動油の流量を最適に供給することができる。
【0025】
本発明による作動例について説明する。すなわち、本発明は、1次的に、油圧ポンプ1により、油圧システムで使用する油圧を生成し、流量制御による圧力補償により、油圧システムを駆動できるように、一定の油圧を維持する。そして、必要に応じて、油圧ポンプ2、油圧ポンプ3... 油圧ポンプnを動作させるため、油圧を形成するに必要なエネルギーを最小に使用することができる。また、油圧システム内において、特定のモータ又は油圧ポンプの動作に問題が生じる場合、他のモータ及び油圧ポンプを用いて作動することになるので、油圧システムで発生し得る問題を解消することができる。
【0026】
図3は、本発明による油圧システムにおいて、制御部は、油圧アクチュエータにかかる作動油を計算し、これを基に、複数の油圧ポンプの中から、駆動する油圧ポンプを選択し駆動することになる。
【0027】
すなわち、制御部は、基本的に、油圧ポンプ1を作動させることで、油圧システム内に一定の圧力を維持する。そして、油圧アクチュエータの更なる作動が必要であるかによって、更なる油圧ポンプの作動が必要であるかを判断する。もし、更なる油圧ポンプの作動が不要であると、油圧ポンプ1の動作を維持し、更なる油圧ポンプの作動が必要であると、更に要求される作動油の流量によって、油圧ポンプ2、3、...nの中から選択して作動させ、モータの回転数を調節して、最適の作動油の流量を吐出する。但し、この時、常時的にモータの電圧、電流、回転数、トルク、温度特性をチェックし、モニタリングする。そして、特定のモータが過熱により制限範囲を超えると、制限範囲を超えたモータの作動を止め、過熱されたモータは、冷却となるまで待機し、他の代替モータを選択して駆動し、必要な作動油の流量を補う。例えば、モータ2が過熱で制限範囲を超えた場合は、モータ2は、冷却のために作動を待機し、モータ2に代えて、モータ3を作動させ、モータ2は、電力を遮断して待機させ、冷却が十分行われた後は、モータ3に代えて、モータ2を作動させる。
【0028】
図4は、本発明による油圧システムの一実施例を示している。本発明の油圧システムは、1つ以上の油圧アクチュエータから、30L/minの作動油が要求される場合、まず、モータ1により、小容量(2cc/rpm)の油圧ポンプ1を4000rpmで駆動して、8L/minで作動油を供給し、一定の油圧を維持する。そして、更なる作動油の流量が求められる場合、モータ2に過熱などの問題が生じた場合、モータ3により、中容量(6cc/rpm)の油圧ポンプ3、また、モータ4により、大容量(8cc/rpm)の油圧ポンプ4を駆動する。通常、油圧システムは、最小の一定の油圧を保持する必要がある。そこで、(1) モータ1を4000rpmでアイドリング駆動する場合、油圧ポンプ1は、8L/minで作動油を持続的に供給して、一定の油圧を維持することができる。そして、更なる作動油が必要になると、(2) モータ3と中容量(6cc/rpm)の油圧ポンプ3を2000rpmで駆動し、油圧ポンプ3は、12L/minで作動油を供給し、(3) モータ4と相対的に大容量(8cc/rpm)の油圧ポンプ4は、1250rpmで駆動する場合、油圧ポンプ4は、10L/minで作動油を供給できることになる。このような駆動方式により、30L/minの作動油を供給することができる。
【0029】
図5は、それぞれの油圧ポンプにおいて、モータで回転数の当たり、吐出可能な作動流量に対する消費電力をグラフで示す図である。個別的にそれぞれの油圧ポンプを駆動することになると、モータの消費電力は、起動電力により、初半には急増してから、逐次減少する傾向を有している。このような起動電力は、容量が大きい油圧ポンプを駆動するために、更に大きくなる。同じ容量の作動油を吐出するに使われるポンプを選択することに当たり、駆動順によって、消費電力の差が発生すること示している。
【0030】
すなわち、曲線aは、小容量(2cc/rpm)の油圧ポンプ1を一定のrpmで稼動する場合、最初には、起動電力により、消費電力が増加してから減少して、一定の消費電力を維持することを示している。曲線bは、中容量(6cc/rpm)の油圧ポンプ3を一定のrpmで稼動する場合、最初には、起動電力により、消費電力が増加してから減少して、一定の消費電力を維持することを示している。曲線cは、大容量(8cc/rpm)の油圧ポンプ4を一定のrpmで稼動する場合、最初には、起動電力により、消費電力が増加してから減少して、一定の消費電力(W)を維持することを示している。
【0031】
曲線b'は、小容量(2cc/rpm)の油圧ポンプ1を駆動して、一定の油圧が形成された後に、中容量(6cc/rpm)の油圧ポンプ3を一定のrpmで稼動した場合、油圧ポンプ3の消費電力(W)を表示したものであり、これに対して、曲線bは、油圧ポンプ3のみを単独で駆動させたときの消費電力曲線である。これより、曲線b'の起動電力が、曲線bの起動電力よりも低くなることが分かる。
【0032】
また、曲線cは、大容量(8cc/rpm)の油圧ポンプ4(P4)により、作動油を吐出したとき、消費電力曲線を示すものであり、曲線c'は、小容量(2cc/rpm)の油圧ポンプ1(P1)により、作動油を吐出させて、一定の油圧が形成されるようにした後、油圧ポンプ3(P3)により、中容量(6cc/rpm)を駆動して、総作動油の流量を8cc/rpmとしたとき、消費電力曲線を示すものであって、これらを互いに比較すると、大容量の油圧ポンプを使用するよりも、小容量と中容量を共に使用する方が、起動電力を含む消費電力において、顕著に有利である。
【0033】
さらには、油圧アクチュエータの作業によって、大容量(8cc/rpm)の油圧ポンプ4を、モータ4で駆動すべき状況であると、小容量(2cc/rpm)の油圧ポンプ1を駆動後に、中容量(6cc/rpm)の油圧ポンプ3を駆動し、その後に、油圧ポンプ4を駆動することにより、油圧ポンプ4を駆動するためにかかるモータ4の消費電力を、顕著に減少することができる。すなわち、複数の油圧ポンプを互いに時間間隔を置いて、順次作動させることで、起動電力を含む消費電力を顕著に低減することができるので、バッテリーの使用時間を更に向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、電気油圧システムに関し、具体的に、バッテリー及びモータにより作動する油圧ポンプと、油圧ポンプにより供給される作動油を供給する供給ラインと、複数のアクチュエータと、前記モータとアクチュエータを制御するコントローラとを備え、並列的に制御することで、電気的効率性が顕著に改善された油圧システムに関するので、特装車などに適用可能であり、産業上利用可能性がある。