(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】収容ラック等に受け面を取付けるプリフォーム
(51)【国際特許分類】
F16B 5/00 20060101AFI20240815BHJP
F16B 12/42 20060101ALN20240815BHJP
【FI】
F16B5/00 D
F16B12/42 A
(21)【出願番号】P 2024082701
(22)【出願日】2024-05-21
【審査請求日】2024-05-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390032056
【氏名又は名称】ヒロホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】小早川 昌士
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-141116(JP,A)
【文献】特開2000-325154(JP,A)
【文献】実開昭59-051205(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0826478(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0332839(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00- 5/12
F16B 12/00- 12/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に外方に突設した被把持部が長さ方向に延長して形成された成形パイプを組み合わせて井桁とされた箇所に取り付けられ、受け面が真空成形により形成される成形主部と、前記井桁の対辺に配置された成形パイプの前記被把持部を夫々が掴む一対の接合形状部が設けられた矩形状のプリフォームであって、
前記成形主部から下向きに前記プリフォームの対辺に沿って夫々が延在する前記接合形状部が形成されており、
前記接合形状部には、前記被把持部のエッジに係合する上下一対の係合爪が設けられ、かつ、
前記接合形状部には、その延在範囲に下側の係合爪が設けられていない第1の範囲と、下側の係合爪が設けられている第2の範囲とがあり、
前記第1の範囲の下側先端には、外側には、下方向に対して傾斜したテーパー面となる操作部が設けられ、
前記第2の範囲の下側先端には、外側には、下方向に対して傾斜したテーパー面となる操作延長部が設けられ、前記操作部に連続していることを特徴とするプリフォーム。
【請求項2】
請求項1に記載のプリフォームにおいて、
前記接合形状部と前記成形主部との接続箇所の外側にはテーパー面が形成されており、当該テーパー面、前記操作部のテーパー面、前記操作延長部のテーパー面は、45度以下であることを特徴とするプリフォーム。
【請求項3】
請求項1に記載のプリフォームにおいて、
前記成形主部から下向きに、前記プリフォームの他の一対の対辺に沿って夫々が延在する一対の堤部を有し、前記成形主部の周囲を一対の前記接合形状部と一対の堤部で取り囲んでおり、かつ、
前記一対の堤部には、堤部が延在する方向には重複しない位置に夫々設けられた鍔部を有し、各鍔部の下面の上下方向の高さは、前記プリフォームが前記井桁に取り付けられたときに、前記成形パイプの前記エッジが張り出した高さに合わせられていることを特徴とするプリフォーム。
【請求項4】
請求項1に記載のプリフォームにおいて、
前記プリフォームは平面視において、正方形であることを特徴とするプリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形により予め作り込まれた部分と射出成形の後に受け面が真空成形される成形主部を有するプリフォームに関し、特に収容ラック等を構成する成形パイプへ嵌合できる受け面を取付けるプリフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
工場の現場においては、作業負荷の軽減や省力化、省スペース化など現場改善を行うために、現場では標準化された資材から収容ラックや運搬車、冶具(以下、収容ラック等)を組み上げて使用している。例えば、この用途として利用される成形パイプとして、特許文献1、2、3に開示されるようなアルミパイプ構造材が知られている。ここに開示されるアルミパイプ構造材は、略丸パイプ状の部材である。
【0003】
アルミパイプ構造材は標準的な構造材として市販されており、レンチ1本で組立可能な多種類の接続部品も容易に入手でき、誰でも簡単に組み立てができるようになっている。そして、組立てるだけで高い直角度・平行度が出せる利点を有している。例えば、特許文献4には、アルミパイプ構造材を利用して自動車組立現場における台車を作成した例が示されている。尚、このようなアルミパイプ構造材として、SUS株式会社(識別番号595034204)のアルミパイプ構造材GFや鍋清株式会社(識別番号309032706)のアルミパイプ構造材等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-84926号公報
【文献】特開2018-76912号公報
【文献】特開2018-28348号公報
【文献】特開2019-89384号公報
【文献】特許第7215795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工場の作業現場では、収容ラック等に工場製品に組み付ける部品を収容している。収容の際には、部品の傷付きを防ぐために当該部品に対応した受け面の形状を有する受け材が取り付けられていることが望ましい。
【0006】
成形パイプで組み立てられた収容ラック等に受け材を取り付けるには、成形パイプに板材、ボード材をテープやボルトで取り付けるホルダを利用する事ができる。このようなホルダは市販されている。成形パイプにホルダを取付け、さらにホルダにボード材を取り付け、そしてボード材に接着テープや結束バンド、ボルト、ピン等の結束具により受け材を固定することにより、受け材の設けられた収容ラック等を作成することができる。しかしながら、成形パイプから受け材までの構成点数が多くなり、その結果、重量の増加、収容ラック等の組立て作業時間が増える。また、ホルダ同士の干渉や、取付け位置やスペース的な制約が発生することもある。
【0007】
そこで本発明は、ホルダやボードや受け材、その固定に必要な結束具が不要で、直接成形パイプに取り付けることができ、かつ任意の形状を3次元形状の受け面を具備した収容ラック等の製作工程の削減を図り、短納期でかつ、部品点数が削減され分別廃棄が容易なプリフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプリフォームは、外周面に外方に突設した被把持部が長さ方向に延長して形成された成形パイプを組み合わせて井桁とされた箇所に取り付けられ、受け面が真空成形により形成される成形主部と、前記井桁の対辺に配置された成形パイプの前記被把持部を夫々が掴む一対の接合形状部が設けられた矩形状のプリフォームであって、
前記成形主部から下向きに前記プリフォームの対辺に沿って夫々が延在する前記接合形状部が形成されており、
前記接合形状部には、前記被把持部のエッジに係合する上下一対の係合爪が設けられ、かつ、
前記接合形状部には、その延在範囲に下側の係合爪が設けられていない第1の範囲と、下側の係合爪が設けられている第2の範囲とがあり、
前記第1の範囲の下側先端には、外側には、下方向に対して傾斜したテーパー面となる操作部が設けられ、
前記第2の範囲の下側先端には、外側には、下方向に対して傾斜したテーパー面となる操作延長部が設けられ、前記操作部に連続していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のプリフォームによれば、成形パイプにより組まれた井桁に対してプリフォームを形成する樹脂の弾性により脱着することができる。すなわち、収容ラック等を分解しなくても、プリフォームに真空成形により受け面を形成し、このプリフォームの交換だけで異なる形状の受け面をもつ収容ラック等に変更することができるので、収容ラック等自体はそのままにして兼用・流用がしやすいという効果がある。また、受け面が形成される成形主部と接合形状部、堤部は一体であるため、部品点数が極めて少なく、収容ラック等への取付け工数が少ない。プリフォームは、樹脂の一種類から構成されているため、分別廃棄も容易である。そして、部品点数が少ないということは、脱着漏れも抑制できる。さらに、成形主部は、真空成形により受け面が作成されるため、顧客の要望に合わせた受け面を短時間で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】収容ラック等を組立てる際の構造体とするアルミパイプ構造材と、組立てに利用される接続部品の例を示す図である。
【
図3】アルミパイプ構造材により構成された収容ラック等に対して、プリフォームを取付け、若しくは取り外す方法を説明する図である。
【
図4】プリフォームを外す方法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、
図1を用いて、収容ラック等を組立てる際の構造体とする成形パイプ1と、組立てに利用される接続部品2~5の例を挙げて説明する。成形パイプ1として、先に述べたSUS株式会社のアルミパイプ構造材GFを利用した。
図1Aにおいて、成形パイプ1は、略丸パイプ状の部材であり、外周面の周方向に90度間隔で4個の被把持部1aが長さ方向に延長して形成されている。また、被把持部1aは、その横断面形状が、外方に突設された略扁平に近い円弧状の凸部であり、被把持部1aの外方先端部のコーナ部には、付け根部Sよりも左右側方に幾分張り出すようにエッジTが形成されている。また、被把持部1aの内側の内周面には、係合凹部1bが、被把持部1aに対応して4個設けられている。係合凹部1bは、被把持部1aに対応して略扁平に近い円弧状をした一回り小さな凹部によって構成されている。
【0012】
図1Bは接続部品の一例を示している。この接続部品2は、一対のコネクタ要素2aをボルト2bにより互いに近接させることで成形パイプ1の端部の係合凹部1bへの定着と、成形パイプ1の側面の被把持部1aへの定着を同時に行うものである。具体的には、各コネクタ要素2aの一端には被把持部1aの片側に係合する係合爪tが設けられており、各コネクタ要素2aの他端にはアルミパイプ構造材の内周に挿入される挿入部vが設けられている。ボルト2bを締めてゆくと、一端の係合爪tは互いに近接する方向に動いて被把持部1aを掴む。このとき、他端の挿入部vは互いに離間する方向に動いて係合凹部1bを固定する。
【0013】
図1Cは、他の接続部品3を示している。この接続部品3は、一対のコネクタ要素3aをボルト3bにより互いに近接させることで成形パイプ1の側面の被把持部1aへの定着し、ボルト孔3cを成形パイプ1横に設置して他の部品や機器類(図示せず)を取り付けることができる。
【0014】
図1Dは、樹脂成形された接続部品4であり、並列に設けられた突起4aの間にプレート(図示せず)を取り付けることができる。この接続部品4は、一対の係合爪tを向かい合わせて設けられている。
【0015】
図1Eは、アルミの押し出しにより成形された接続部品5であり、
図1Dの接続部品4と同じく、係合爪tが向かい合って設けられ、U字部5aの弾性力により成形パイプ1の被把持部1aを把持する。接続部品5は、プレート(図示せず)を取り付けることができる棚5bを成形パイプ1の横に設置することができる。
【0016】
この他にも、成形パイプ1に関して利用出来る接続部品は多数種あり、これらを用いて工場の作業現場等で利用される収容ラック等が組立てられる。
【0017】
以下、添付図面を参照して本実施例によるプリフォームを詳細に説明する。
図2において、プリフォーム10は、平面視において矩形状であり熱可塑性樹脂を射出成形して成形される樹脂成形物である。プリフォーム10は、収容ラック等に取り付けて、工場製品に組み付ける部品の傷付きを防ぐために当該部品に対応した受け面を提供する。
【0018】
図2Aはプリフォーム10を上から見た斜視図、
図2Bは下から見た斜視図、
図2Cは平面、正面、底面、側面、P-P断面、Q-Q断面を示している。プリフォームを形成する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリカーボネート系樹脂を挙げることができる。図において、直交座標x、y、zにより3次元の方向を定義している。
【0019】
プリフォーム10は、射出成形により予め作り込まれた一対の接合形状部20と成形主部30と一対の堤部40を有している。平面視において中央の矩形状の成形主部30の周囲を、接合形状部20と一対の堤部40が取り囲む。成形主部30は、真空成形を受けて顧客の要望によりオーダーメイドされる受け面が形成される箇所であって、xy平面に延びる板状になっている。成形主部30の背面側の面は、Z方向上側に凹状であり、凹状の底からZ方向下側に立ち上がったリブ31が設けられている。リブ31は、縦線および横線による格子状である。成形主部30が真空成形で変形するとき、リブ31は成形型により押し潰され、樹脂材料を周囲に供給するとともに、形状付けされた受け面の骨部として作用する。なお、リブ31の詳細な作用については、特許文献5に開示されている。
【0020】
一対の接合形状部20は、成形主部30のy方向に延びる一対の辺の位置からz方向に下側に夫々が突出し、y方向に延在している。また、一対の堤部40は、成形主部30のx方向に延びる一対の辺の位置からz方向に下側に突出し、x方向に延在している。一対の接合形状部20と一対の堤部40により、成形主部30の周囲を取り囲んでいるのである。一対の接合形状部20と一対の堤部40は、真空成形時におけるプリフォーム10の熱収縮の抑制と、成形パイプ1とプリフォーム10の結合状態を保持する強度を付与する機能を有している。
【0021】
上下一対の接合形状部20は一対の係合爪tが設けられている。接合形状部20のz方向下側において、そのy方向のその延在範囲において下側の係合爪tが設けられていない範囲R(第1の範囲)と、下側の係合爪tが設けられている範囲F(第2の範囲)とを有している。図面上では接合形状部20のz方向上側の範囲Rに係合爪tが無い状態で描かれているが、範囲Rにおいては上側の係合爪tは有っても無くても良い。係合爪tは、夫々
図1B~
図1Eにおいて示した接続部品2~5と同様に、成形パイプ1の被把持部1aのエッジTに対し、エッジTの張り出しの下側の付け根部Sに嵌まり込むように形成されている(エッジT、付け根部Sについては
図1A参照)。
【0022】
下側の係合爪tが設けられていない範囲Rは接合形状部20のy方向の両端の範囲である。範囲Rは、接合部材2に重複しない位置でもある。下側の係合爪tが設けられている範囲Fは、両端の範囲Rに挟まれた範囲である。そして、範囲Rにおいては、接合形状部20のz方向下側に先端に操作部21が設けられている。操作部21は、z方向において下側の係合爪tよりもさらに下側まで接合形状部20を延長した箇所である。操作部21の外側は、z方向の下側に行くほど、x方向の厚さが減少させることにより、テーパー面21aを設けている。テーパー面21aは、z方向に対して角度θに設定されている。角度θは45度以下の角度である。尚、操作部21は、z方向を保ったまま、範囲Rを越えて範囲Fな設けられた操作延長部22に連続している。操作延長部22は、係合爪tよりもさらに下側まで接合形状部20を延長した箇所である。操作延長部22にも、操作部21の角度θのテーパー面21aが連続したテーパー面22aが設けられている。操作延長部22は、範囲Rに付与された力が範囲Fに及ぶようにするものである。
【0023】
接合形状部20と成形主部30との接続箇所Jの外側においても、操作部21の角度θ及び操作延長部22の角度αと同様に、テーパー面の角度が45度以下に面取りがされている。
【0024】
一対の堤部40は、x方向をその長さ方向にしている。一対の堤部40には、鍔部41が設けられている。夫々の鍔部41は、x方向に重複しない位置に設けられる。鍔部41の設けられる位置は、接合部材2に重複しない位置でもある。鍔部41の下面のz方向の高さは、成形パイプ1のエッジTが張り出した高さに合わせられている。
【0025】
図3において、成形パイプ1により構成された収容ラック等に対して、プリフォーム10を取付け、若しくは取り外す方法を説明する。
【0026】
プリフォーム10が取り付けられる箇所は、
図3Aに示すように、収容ラック等の構造の中で成形パイプ1が接続部品により井桁Eに組まれた箇所である。本例では、接続部品として
図1Bに示した接続部品2を利用した。井桁Eの大きさは、プリフォーム10が1個又は直列に並べられたプリフォーム10が複数個に収容できる大きさに組まれている。
【0027】
プリフォーム10の対辺に設けられた一対の接合形状部20の夫々は、対応する井桁Eを構成する一対の成形パイプ1の被把持部1aを掴むことで固定される。具体的には、
図3Bに示すように、接合形状部20を下にしてプリフォーム10を井桁Eの上から回すように差し込むと、接合形状部20は弾性変形の後、係合爪tが平行に配置された一対の成形パイプ1の側面の被把持部1aのエッジTに夫々係合する。これにより、被把持部1aがプリフォーム10の両対辺の接合形状部20により掴まれることになる。
【0028】
図3Cは、成形パイプ1により組まれた井桁E内に1つのプリフォーム10が取り付けられた様子を示している。プリフォーム10の成形主部30には、真空成形により受け面11が形成されている。この状態において、受け面11に荷重がかかる場合には、
図3Dに示すように、鍔部41は、成形パイプ1のエッジTに当接して、成形パイプ1に荷重を分散する。
【0029】
図4を用いて、プリフォーム10を外す方法について説明する。尚、図では、x方向の成形パイプ1は、外す方法がわかりやすいように省略して図示している。
図1D、
図1Eに示した接続部品4、5は、1つの成形パイプ1と係合していたが、これと違い、プリフォーム10は2つの成形パイプ1の両側から挟まれるように井桁Eの中に係合している。このため、取り外しが容易ではない。よって、プリフォーム10では、接合形状部20には、下側の係合爪tが設けられていない範囲Rと、その範囲Rに角度θに傾斜したテーパー面21a持つ操作部21が設けられている。
【0030】
プリフォーム10が成形パイプ1に取り付けられた状態(
図4A)から操作部21のテーパー面21aを押すと(矢印G)、
図4Bのように操作部21はz方向及び内側に向けて2点鎖線w1で示すように、操作部21は成形パイプ1から離れ、仰け反るように湾曲する。本実施例に反して、もし操作部21に下側の係合爪tを設けていると、当該係合爪tがエッジTに嵌合したまま干渉してこのような湾曲はできない。これが、操作部21に下側の係合爪tを設けない理由である。また、操作部21が湾曲(w1)したとき、y方向で見れば、範囲Rの操作部21に付与された力が、これに続く範囲Fの操作延長部22の端を2点鎖線w2で示すように、成形パイプ1から離れるように変形させて、端から順に範囲Fの内側に向けて順番に下側の係合爪tの係合を解除してゆく。下側の係合爪tが解除されれば、上側の係合爪tは単に上側に外れるだけである。
【0031】
操作部21は接合形状部20の両端にあるので、両方の操作部21を同時に操作すれば、より係合爪tとエッジTの係合は外れやすくなる。
【0032】
図5を用いて、プリフォーム10の取付け例を示す。プリフォーム10は、接合形状部20と成形主部30との外側接続箇所Jにおけるテーパー面の角度、及び接合形状部20の先端の操作部21における角度θ及び角度αが、45度以下になっている。このため、
図5Aに示すように成形パイプ1による井桁Eを直角に配置して夫々にプリフォーム10を取り付けた場合でも、互いのプリフォーム10は干渉することなく取り付けることが可能である。よって、
図5Bのように、1本の成形パイプ1の周囲に対して、90度ずつずらしてプリフォーム10を取り付けることも可能である。
【0033】
また、プリフォーム10の一対の堤部40に夫々設けられた鍔部41は、互いに点対称の位置にあるため、
図5Cに示すように、2つ以上のプリフォーム10を収容できる井桁Eに対して、鍔部41が互い違いに重なることがなく、並べて配置できる。
【0034】
さらに、プリフォーム10の平面視形状を正方形にした場合、
図5Dに示すように、平面視において90度回転して、正方形に組まれ、並んで配置された井桁Eに取り付けることができる。接合形状部20の範囲Rが接合部品2に重複しない位置に設けられ、かつ堤部40の鍔部41も接合部品2に重複しない位置に設けられているため、縦・横を問うことなく、連結することが可能になるのである。
【0035】
プリフォーム10は、樹脂の弾性により成形パイプ1で構成された井桁Eに脱着することができる。すなわち、収容ラック等を分解しなくても、プリフォーム10の交換だけで異なる受け面をもつ収容ラック等に変更することができるので、収容ラック等自体はそのままにして兼用・流用がしやすいという効果がある。また、受け面が形成される成形主部30と接合形状部20、堤部40は一体であるため、部品点数が極めて少なく、収容ラック等への取付け工数が少ない。プリフォーム10は、樹脂の一種類から構成されているため、分別廃棄も容易である。そして、部品点数が少ないと言うことは、脱着漏れも抑制できる。さらに、成形主部30は、真空成形により受け面が作成されるため、顧客の要望に合わせた受け面を短時間で提供することができる。
【0036】
上下一対の係合爪tを有する接合形状部20には、下側の係合爪tが設けられていない範囲Rと設けられている範囲Fとがあり、範囲Rの下側先端には操作部21を設け、かつ操作部21の外側は、z方向の下側に行くほどx方向の厚さが減少するテーパー面21aであって、操作部21は範囲Rを越えて範囲Fな設けられた操作延長部22に連続している。このため、操作部21は、成形パイプ1から仰け反るように離れ、これに続く範囲Fの操作延長部22の端を変形させて、端から順に範囲Fの内側に向けて順番に下側の係合爪tの係合を解除していくことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 成形パイプ
1a 被把持部
1b 係合凹部
2~5 接続部品
2a、3a コネクタ要素
2b、3b ボルト
3c ボルト孔
4a 突起
5a U字部
5b 棚
10 プリフォーム
11 受け面
20 接合形状部
21 操作部
21a テーパー面
22 操作延長部
22a テーパー面
30 成形主部
31 リブ
40 堤部
41 鍔部
【要約】
【課題】直接成形パイプで組まれた収容ラック等に製品の受け面を取り付けることができるプリフォームを提供すること。
【解決手段】
プリフォーム10は、成形パイプ1を組み合わせた井桁Eに取り付けられ、受け面11が真空成形により形成される成形主部30と、成形パイプ1の被把持部1aを掴む一対の接合形状部20が設けられている。接合形状部20は、被把持部1aのエッジTに係合する上下一対の係合爪tが設けられている。接合形状部20には、下側の係合爪tが設けられていない第1の範囲Rと、設けられている第2の範囲Fとがあり、第1の範囲の下側先端には、テーパー面21aを有する操作部21が設けられ、第2の範囲の下側先端の操作延長部に連続している。
【選択図】
図2