(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240815BHJP
B23D 36/00 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B23D36/00 501D
(21)【出願番号】P 2024513146
(86)(22)【出願日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 JP2023039149
【審査請求日】2024-02-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392028321
【氏名又は名称】株式会社小林製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 靖典
【審査官】後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】特許第7353420(JP,B1)
【文献】特開2008-112442(JP,A)
【文献】特許第7061402(JP,B2)
【文献】特開2014-099129(JP,A)
【文献】特開2000-237935(JP,A)
【文献】特開2009-129399(JP,A)
【文献】特開2001-184110(JP,A)
【文献】特許第5879725(JP,B2)
【文献】特許第6572356(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B23D 36/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付ける受け付け手段と、
前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得する取得手段と、
受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択する選択手段と、
指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示する指示手段と、
前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てる搬送割り当て手段と、
前記割り当ての結果を出力する出力手段と、
前記工数及び前記納期を用いて、前記複数の製品の各々を構成する1又は複数の部品の各々について当該部品の抜き工程の最遅開始日を計算する計算手段と
を有し、
前記選択手段は、前記最遅開始日に基づいて前記少なくとも一部の部品を選択する
管理装置。
【請求項2】
板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付ける受け付け手段と、
前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得する取得手段と、
受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択する選択手段と、
指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示する指示手段と、
前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てる搬送割り当て手段と、
前記割り当ての結果を出力する出力手段と
を有し、
前記複数の搬送手段が、形状又は種類の異なる複数の搬送手段を含み、
前記搬送割り当て手段は、前記一部の部品の各々の搬送条件に応じて、前記複数の搬送手段の中から一の搬送手段を選択し、選択した搬送手段に当該部品を割り当て、
前記搬送条件が、前記部品に対する前記抜き工程よりも後の後工程及び当該後工程の作業者に関する条件を含む
管理装置。
【請求項3】
前記板材に前記部品を割り付ける際の歩留まりに基づいて前記割り付けの修正の要否を決定する決定手段を有し、
前記歩留まりが基準を満たさず、前記決定手段により前記修正が必要であると決定された場合、前記指示手段は、前記割り付け手段に、
前記板材に割り付ける部品を追加するよう前記割り付けの修正を指示する
請求項
1又は2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、工程毎に定義された工数が記録されたデータベースから、前記複数の工程の各々について当該工程に要する工数を取得する
請求項
1又は2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記少なくとも一部の部品を複数のグループに分けるグループ化手段と、
前記複数の工程のうち特定の工程において、複数の作業者を前記複数のグループに割り当てる作業者割り当て手段と
を有し、
前記データベースにおいて、工程毎及び作業者毎に工数が記録され、
前記取得手段は、前記データベースから、前記割り当てられた作業者が前記特定の工程の作業に要する工数を取得する
請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記搬送条件が、前記部品の形状、サイズ、重量、及び取り扱い注意の有無のうち少なくとも一種に関する条件を含む
請求項
2に記載の管理装置。
【請求項7】
前記複数の搬送手段が、台車、パレット、及び無人搬送車の少なくとも一種を含む
請求項
2に記載の管理装置。
【請求項8】
前記複数の搬送手段の現在位置が記録されたデータベースにアクセスするアクセス手段を有し、
前記搬送割り当て手段は、前記複数の搬送手段のうち特定の位置にある搬送手段に前記部品を割り当てる
請求項
1又は2に記載の管理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付けるステップと、
前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得するステップと、
受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択するステップと、
指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示するステップと、
前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てるステップと、
前記割り当ての結果を出力するステップと
前記工数及び前記納期を用いて、前記複数の製品の各々を構成する1又は複数の部品の各々について当該部品の抜き工程の最遅開始日を計算するステップと
を有し、
前記選択するステップにおいて、前記最遅開始日に基づいて前記少なくとも一部の部品が選択される
管理方法。
【請求項10】
コンピュータが、
板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付けるステップと、
前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得するステップと、
受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択するステップと、
指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示するステップと、
前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てるステップと、
前記割り当ての結果を出力するステップと
を有し、
前記複数の搬送手段が、形状又は種類の異なる複数の搬送手段を含み、
前記割り当てるステップにおいて、前記一部の部品の各々の搬送条件に応じて、前記複数の搬送手段の中から一の搬送手段が選択され、選択された搬送手段に当該部品が割り当てられ、
前記搬送条件が、前記部品に対する前記抜き工程よりも後の後工程及び当該後工程の作業者に関する条件を含む
管理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付けるステップと、
前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得するステップと、受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択するステップと、
指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示するステップと、
前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てるステップと、前記割り当ての結果を出力するステップと
前記工数及び前記納期を用いて、前記複数の製品の各々を構成する1又は複数の部品の各々について当該部品の抜き工程の最遅開始日を計算するステップと
を実行させるためのプログラムであって、
前記選択するステップにおいて、前記最遅開始日に基づいて前記少なくとも一部の部品が選択される
プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付けるステップと、
前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得するステップと、受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択するステップと、
指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示するステップと、
前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てるステップと、前記割り当ての結果を出力するステップと
を実行させるためのプログラムであって、
前記複数の搬送手段が、形状又は種類の異なる複数の搬送手段を含み、
前記割り当てるステップにおいて、前記一部の部品の各々の搬送条件に応じて、前記複数の搬送手段の中から一の搬送手段が選択され、選択された搬送手段に当該部品が割り当てられ、
前記搬送条件が、前記部品に対する前記抜き工程よりも後の後工程及び当該後工程の作業者に関する条件を含む
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理方法、及びプログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を製造する工場において各工程のスケジュールを管理する技術が知られている。例えば特許文献1は、製造の対象となる製品の点数が多い場合にも、製品を製造する作業のスケジュールを見易くする管理装置を開示している。
【0003】
特許文献2は、素材板材から部品板材を切断し、切り抜き加工する工程において、素材板材から切り抜き加工された部品板材と対応するデータベース内の表示用情報及びネスティング配置図等の画像を表示する表示装置を備えた板金工程作業支援システムを開示している。
【0004】
特許文献3は、部品の切り抜き工程において、基盤となる材料に対して残材の割合を表す歩留まり率を改善するために、各部品に関する情報として長さを含む複数の部品の部品データをもとに、使用可能材料に各製作対象部品を配置するネスティングを実行するための配置データを作成する配置データ作成装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許7061402号
【文献】特許5879725号
【文献】特許6572356号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明は、あくまで製造工程全体のスケジュールをユーザに見易く提示するだけに留まるものであった。また、特許文献2の発明は、部品板材の切り抜き工程において、板材内の部品に対応する付加情報・ネスティング配置図等を作業者に表示するものの、これはあくまで、作業者側の利便性だけを追求したものであって、製造工程のスケジュール管理にまで及ぶ発明ではなかった。また、特許文献3の発明は、基盤となる材料に対し、部品をネスティングする際に、各部品の物理的要件(長さ・形状・材料の種類等)を考慮して、部品を選択し、最も無駄のない配置図を作成することが可能なものの、あくまで残材の割合を少なくする歩留まり効率の改善という一般的な課題を解決するだけに留まるものであった。
【0007】
上記の背景に鑑み、本発明は、工程スケジュールを考慮したネスティング配置を決定するとともに、製造工程の作業性及び利便性を向上させるための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付ける受け付け手段と、前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得する取得手段と、受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択する選択手段と、指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示する指示手段と、前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てる搬送割り当て手段と、前記割り当ての結果を出力する出力手段とを有する管理装置を提供する。
【0009】
前記工数及び前記納期を用いて、前記複数の製品の各々を構成する1又は複数の部品の各々について当該部品の抜き工程の最遅開始日を計算する計算手段を有し、前記選択手段は、前記最遅開始日に基づいて前記少なくとも一部の部品を選択してもよい。
【0010】
前記割り付けの修正の要否を決定する決定手段を有し、前記決定手段により前記修正が必要であると決定された場合、前記指示手段は、前記割り付け手段に、前記割り付けの修正を指示してもよい。
【0011】
前記取得手段は、工程毎に定義された工数が記録されたデータベースから、前記複数の工程の各々について当該工程に要する工数を取得してもよい。
【0012】
前記少なくとも一部の部品を複数のグループに分けるグループ化手段と、前記複数の工程のうち特定の工程において、複数の作業者を前記複数のグループに割り当てる作業者割り当て手段とを有し、前記データベースにおいて、工程毎及び作業者毎に工数が記録され、前記取得手段は、前記データベースから、前記割り当てられた作業者が前記特定の工程の作業に要する工数を取得してもよい。
【0013】
前記複数の搬送手段が、形状又は種類の異なる複数の搬送手段を含み、前記搬送割り当て手段は、前記一部の部品の各々の搬送条件に応じて、前記複数の搬送手段の中から一の搬送手段を選択し、選択した搬送手段に当該部品を割り当ててもよい。
【0014】
前記搬送条件が、前記部品の形状、サイズ、重量、及び取り扱い注意の有無のうち少なくとも一種に関する条件を含んでもよい。
【0015】
前記搬送条件が、前記部品に対する前記抜き工程よりも後の後工程及び当該後工程の作業者に関する条件を含んでもよい。
【0016】
前記複数の搬送手段が、台車、パレット、及び無人搬送車の少なくとも一種を含んでもよい。
【0017】
前記複数の搬送手段の現在位置が記録されたデータベースにアクセスするアクセス手段を有し、前記搬送割り当て手段は、前記複数の搬送手段のうち特定の位置にある搬送手段に前記部品を割り当ててもよい。
【0018】
本開示の別の態様は、コンピュータが、板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付けるステップと、前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得するステップと、受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択するステップと、指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示するステップと、前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てるステップと、前記割り当ての結果を出力するステップとを有する管理方法を提供する。
【0019】
本開示の別の態様は、コンピュータに、板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付けるステップと、前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得するステップと、受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択するステップと、指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示するステップと、前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てるステップと、前記割り当ての結果を出力するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、工程スケジュールを考慮したネスティング配置を決定するとともに、製造工程の作業性及び利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】関連技術に係る管理システムの処理の概要を例示する図。
【
図2】管理システム1のシステム構成を例示する図。
【
図4】管理装置10のハードウェア構成を例示する図。
【
図5】ユーザ端末20のハードウェア構成を例示する図。
【
図6】管理システム1における動作概要を例示するフローチャート。
【
図7】管理システム1におけるネスティングの割り付け方法を例示するシーケンスチャート。
【
図10】溶接作業/溶接スケジュールを例示する図。
【
図13】管理システム1における再ネスティング方法を例示するフローチャート。
【
図14】管理システム1における搬送手段の位置情報の取得方法を例示するシーケンスチャート。
【
図16】管理システム1における搬送手段の割り当て方法を例示するシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.概要
図1は、関連技術に係る管理システムの処理の概要を例示する図である。この例において管理システムとは、複数の工程(製造工程又は製造プロセス)を経て製造される製品に対し、各工程を管理するためのシステムを指す。この例において製品とは、顧客からの注文を受けて工場等で製造される物品を言う。この例において製品は、1又は複数の部品から構成される。ここでは、説明の便宜上、顧客の受注及び最終的な納品に係る製造物を製品と呼び、完成前の状態の物を部品と呼ぶ。この例において管理システムは、以下のような製造工程を有する。
【0023】
ステップSS1において管理システムは、顧客から製品を受注する。この例において受注の際、管理システムは、顧客及び製品に関する情報、例えば、顧客の氏名・名称及び住所、並びに、製品の数量、納期、仕様書、製造工程の作業指示内容を表す指示書、及び部品数/種類という注文情報を取得する。この例において納期は、完成品としての製品を顧客の元へ届けなければならない期日を含む。ステップSS2において管理システムは、注文情報をもとに事務処理を行う。これ以降、工場の現場(作業場の一例)等における製造の処理に進む。
【0024】
ステップSS3において管理システムは、抜き工程を管理する。この例において抜き工程とは、板金等の加工対象素材(又は単に板材)から1又は複数の部品を抜く、つまり、板材を様々な形状にカット(切断)する工程である。この例において抜き工程は、プレス機又はレーザ機等を用いて行われる。ここで、より具体的には、抜き工程は以下の3つの工程に細分化される。
【0025】
ステップSS31において管理システムは、ネスティングを管理する。この例においてネスティングとは、例えば、1枚の板材に対し、1又は複数の部品を選択し、各部品の配置を決定することを言う。この例において部品の選択は、例えば、取得した注文情報をもとに行われる。また、板材に対する部品の配置の決定は、ネスティング専用のサーバ(又はシステム)によって行われる。この例においてネスティングは、板材に対する残材の割合又は時間対成果(効果)等のいわゆる「歩留まり」が最適になるように行われることが通例である。なお、ここで決定された配置のことは、ネスティングの割り付けとも呼ばれる。
【0026】
ステップSS32において管理システムは、ネスティングの割り付けに従い、板材から部品を抜く工程を管理する。これはいわゆる上述した抜き工程そのものに相当する。この例において抜き工程では、第1に、プレス機又はレーザ機等が、上述したネスティングの割り付けに従い、板材を各部品の形状にカットする。第2に、工場等に従事する作業者が板材からカットされた各部品を抜き出す。これによって、管理システムは、基礎となる部品を製造・加工することができる。
【0027】
ステップSS33において抜き加工が行われた部品は、作業者等を介して、台車等の搬送手段に積載される。この例において搬送手段とは、抜き工程よりも後の工程(後工程)が行われる場所まで部品を搬送・運搬するための物理的方法のことを指す。この例において抜かれた部品は、予め搬送手段に割り当てられ、次の工程に運搬される。続いて抜き工程よりも後の工程について説明する。
【0028】
ステップSS4において管理システムは、曲げ工程を管理する。この例において曲げ工程とは、抜き工程によって抜かれた部品を立体(平面)形状にプレス機等で加工する工程である。なお、この例において各工程の管理は、作業者による進捗の入力(キーボード若しくはバーコード)又は現場に設置されたカメラによる自動判断によって行われる。また、工程の少なくとも一部は作業者によって行われる。ステップSS5において管理システムは、溶接工程を管理する。この例において溶接工程とは、前工程によって製造された部品同士を溶接機等で繋ぎ合わせて新たなパーツ(部品の一例)を製造・加工する工程である。ステップSS6において管理システムは、検査工程を管理する。この例において検査工程とは、前工程によって製造された部品の品質(状態)、数量、動作、及び規格等の適合性を確認する工程である。ステップSS7において管理システムは、塗装工程を管理する。この例において塗装工程とは、各部品の外観に対し、塗料等を塗布する工程である。ステップSS8において管理システムは、組立工程を管理する。この例において組立工程とは、製造された部品を組立図面に沿って組み合わせ、製品として仕上げる工程である。ここまでが一般的な製造工程である。
【0029】
そして最終的に、ステップSS9において管理システムは、注文情報をもとに製品(完成品)を届け先へ発送する出荷工程を経て、製品を顧客へ納品することができる。なお、この例において
図1で示した動作はあくまで一例であり、一般的には、製品の仕様又は工場の製造設備等に応じて自由に工程を変更(追加・削除・入替)することが可能である。また、上記を含む任意の工程に対し、時系列としてそれよりも前に行われる工程を前工程、後に行われる工程を後工程として定義する。
【0030】
ここで、製造工程全体を管理する管理システムに要求される機能として、工場で取り扱う複数の製品における全工程(納期)、各工程、及び作業者等のスケジュール管理、並びに、各工程及び工程間の作業性・利便性の向上が考えられる。より具体的には、例えば、ステップSS31において、単に歩留まり率の最適なネスティングの割り付け処理を行うだけでは、必要十分な機能とは言えない。複数の製品(部品)の納期に加え、各部品に係る曲げ工程及び/又は溶接工程等の後工程の工数、並びに、後工程に関わる作業者のスケジュール、作業能率、及び工数を事前にシミュレートし、ネスティングを行うことが求められる。なお、この例において工数とは、例えば、1つの部品を加工するための時間がどの程度かかるのかという工程毎に定義された作業時間を表す。以上より、本発明では、特に、各部品の後工程の工数及び納期に基づいてネスティングを行うことを目的の一つとする。
【0031】
また、ステップSS32において単に歩留まりを最適化することだけを考慮してネスティングの割り付けを行い、板材から部品を抜くと、搬送手段の設備状況又は後工程の処理状況により、切り抜かれた部品が抜き工程の出口に溜まってしまうおそれがある。このような事態を回避するには、搬送手段の設備状況等に応じて最適な割り当てが予め行われる必要がある。より具体的には、台車の種類・部品の種類に応じた割り当て、後工程の種類・現場の場所、及び積載の順番などを考慮した作業性のよい割り当てが求められる。さらには抜き出された各部品に対し、製品情報及びスケジュール(工程)情報を明確に対応させるとともに、作業者にそれを把握させるような利便性の高い運用が求められる。これらを本発明における別の目的の一つとする。以上より、本発明は、主としてこのような目的を達成するための特徴を有する。続いて、本発明におけるより具体的な構成及び動作について、それぞれ2章及び3章で説明する。
【0032】
2.構成
図2は、管理システム1のシステム構成を例示する図である。この例において管理システム1は、管理装置10、サーバ装置100、ユーザ端末20、抜き装置30、台車40、カメラ、及びユーザ端末90を有する。この例においてシステムの各構成要素は、ネットワーク9を介して
図2のようにそれぞれ複合的に接続される。この例においてネットワーク9は、インターネット等のコンピュータネットワークである。
【0033】
この例において管理装置10は、管理システム1における情報処理装置/サーバ装置である。この例において管理装置10は、顧客の端末であるユーザ端末90から製品を受注し、その際に、製品の納期を受け付ける。この例において管理装置10は、受注した製品を製造するための工場の全工程及び各工程を管理する。この例において管理装置10は、板材から部品を抜く抜き工程を管理する際に、工数及び納期に基づいて部品を選択する。また、管理装置10は、選択された部品を抜き工程のため板材に割り付ける専用サーバである、サーバ装置100(割り付け手段の一例)に、割り付けを指示する。
【0034】
また、この例において管理装置10は、抜き工程から得られた部品の各々を、抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段の一例である台車40に割り当てる。さらに、管理装置10は、部品の各々の識別又は後工程に関する製品情報、部品情報、及び工程情報を明確に対応させ、部品に割り当てられた台車40の移動指示を含む情報を現場の作業者(又は単にユーザという)に提示する。
【0035】
この例においてサーバ装置100は、管理システム1におけるネスティングの割り付けを行う専用サーバである。サーバ装置100は、例えば、抜き装置30の製造又は販売会社により管理・運用される。すなわちこの例において、サーバ装置100は、管理装置10とは別の事業者により管理・運用される。サーバ装置100は、管理装置10から割り付けの指示を受け付ける。サーバ装置100は、指示された部品を、抜き工程のため、板材に割り付ける、つまり、ネスティングを行う。サーバ装置100は、生成したネスティングの割り付けを表すデータを管理装置10に出力する。
【0036】
ここで、ユーザ端末20、抜き装置30、台車40、及びカメラは、製造現場である工場等において、工程毎の現場に設置される装置又は設備等を含む。この例において工程毎の現場とは、例えば、抜き現場、曲げ現場、又は溶接現場等のように、工程毎に現場が区分けされる現場を表す。
【0037】
この例においてユーザ端末20は、現場のユーザが操作する端末を表す。この例においてユーザは、各工程の現場で作業・管理する構成員を指し、基本的に全ての工程現場に配置される(一部図示略)。この例において、例えば、抜き現場のユーザは、プレス機/レーザ機等を用いて板材から部品を抜く。また、ユーザは、抜かれた部品を仕分けて、台車40に積載し、抜き工程よりも後の後工程の現場へ移動させる。この例においてユーザ端末20は、管理装置10から取得した部品の各々の各種情報、例えば、部品に割り当てられた台車40の対応関係及び台車40の移動指示を含む情報を現場のユーザに提示する。なお、ユーザ端末20は、部品毎に各種情報を現場のユーザに提示するラベルを印刷するための印刷装置を有する。この例においてラベルは、抜き工程において抜かれた部品に貼り付けることで、ユーザに各種情報を提示することができる。
【0038】
この例において抜き装置30は、抜き工程において板材から部品を抜くためのプレス機/レーザ機等を含む。抜き装置30は、管理装置10又はサーバ装置100から直接取得したネスティングの配置図等をもとに板材から部品を切り抜く。
【0039】
この例において台車40(搬送手段の一例)は、工程毎の現場間で部品を搬送・運搬させるための移動手段・移動設備を含む。台車40は、汎用的な台車に加え、パレット及び無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)を含む。台車40は、ネットワーク9を介し、自身の位置を管理装置10に送信し、データベースに記録させることができる。
【0040】
この例においてカメラは、工程毎の現場を監視・記録するための撮影手段を含む。この例においてカメラは、製造工程に異常がないかを監視したり、台車40の居場所を特定したりする際に利用される。
【0041】
この例においてユーザ端末90は、顧客が使用する端末を表す。この例においてユーザ端末90は、顧客から受け付けた受注等の注文情報及び製品の納期を管理装置10に送信する。
【0042】
図3は、管理システム1の機能構成を例示する図である。この実施形態では、管理装置10は、受け付け手段11、取得手段12、選択手段13、指示手段14、搬送割り当て手段15、出力手段16、計算手段171、決定手段172、グループ化手段173、作業者割り当て手段174、アクセス手段18、記憶手段191、及び制御手段192を有する。この例において記憶手段191は、例えば、データベースを含む各種のデータを記憶する。この例において制御手段192は、各種の制御を行う。
【0043】
この例において受け付け手段11は、板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、ユーザ端末90を介して、顧客から受注した製品の納期の入力を受け付ける。受け付け手段11は、受け付けた納期をデータベースに記録する。
【0044】
この例において取得手段12は、複数の工程の各々について、工程毎に要する工数を取得する。この例において取得手段12は、工程毎に定義された工数が記録されたデータベースから、複数の工程の各々について工程に要する工数を取得する。
【0045】
この例において選択手段13は、受注済の製品のうち抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、工数及び納期に基づいて選択する。
【0046】
この例において指示手段14は、指示された部品を抜き工程のため板材に割り付ける割り付け手段(例えば、サーバ装置100)に、選択された部品の割り付け(ネスティングの割り付け)を指示する。この例において指示とは、管理装置10によって選択された部品を含む指示である。また、指示手段14は、上述した指示とともに、各部品のサイズ、数量、及び材質等の種々の情報をサーバ装置100に出力することができる。これらの指示をもとに、サーバ装置100は、ネスティングの割り付けを行う。
【0047】
この例において搬送割り当て手段15は、割り付け手段により選択された部品が割り付けられた板材に対する抜き工程から得られた選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち部品を抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てる。この例において複数の搬送手段は、形状又は種類の異なる複数の搬送手段を含む。この例において搬送割り当て手段15は、一部の部品の各々の搬送条件に応じて、複数の搬送手段の中から一の搬送手段を選択し、選択した搬送手段に部品を割り当てる。この例において搬送条件は、部品の形状、サイズ、重量、及び取り扱い注意の有無のうち少なくとも一種に関する条件を含む。また、搬送条件は、部品に対する抜き工程よりも後の後工程及びその後工程の作業者に関する条件を含む。この例において複数の搬送手段は、台車、パレット、及び無人搬送車の少なくとも一種を含む。
【0048】
この例において出力手段16は、ユーザ端末20に、割り当ての結果を出力する。この例において出力手段16は、ユーザ端末20及び抜き装置30にネスティング配置図等を含む各種データを出力することができる。
【0049】
この例において計算手段171は、工数及び納期を用いて、複数の製品の各々を構成する1又は複数の部品の各々について部品の抜き工程の最遅開始日を計算する。この例において最遅開始日は、製品の納期に間に合うために、最低この日(この時)までに部品の抜き工程が始められる必要があるというデッドラインの日時を含む。この例において選択手段13は、最遅開始日に基づいて少なくとも一部の部品を選択する。
【0050】
この例において決定手段172は、割り付けの修正の要否を決定する。この例において決定手段172により修正が必要であると決定された場合、指示手段14は、割り付け手段に、割り付けの修正を指示する。
【0051】
この例においてグループ化手段173は、少なくとも一部の部品を複数のグループに分ける。この例においてグループは、製品に応じたグループ、部品に応じたグループ、作業者に応じたグループ、及び納期又は最遅開始日に応じたグループを含む。
【0052】
この例において作業者割り当て手段174は、複数の工程のうち特定の工程において、複数の作業者を複数のグループに割り当てる。ここで、データベースにおいて、工程毎及び作業者毎に工数が記録される。この例において取得手段12は、データベースから、割り当てられた作業者が特定の工程の作業に要する工数を取得する。
【0053】
この例においてアクセス手段18は、複数の搬送手段の現在位置が記録されたデータベースにアクセスする。この例において搬送割り当て手段15は、複数の搬送手段のうち特定の位置にある搬送手段に部品を割り当てる。
【0054】
図4は、管理装置10のハードウェア構成を例示する図である。この例において管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF104を有するコンピュータ又は汎用サーバである。CPU101は、プログラムに従って各種の演算を行うプロセッサである。メモリ102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ103は、各種のデータ及びプログラムを記憶する補助記憶装置であり、例えばSSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disc Drive)を含む。通信IF104は、所定の通信規格に従って他の装置と通信する装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。
【0055】
この例においてストレージ103が記憶するプログラムには、コンピュータを管理システム1におけるサーバとして機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という。)が含まれる。CPU101がサーバプログラムを実行している状態において、CPU101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF104は、管理装置10を動作させるための機能の一例である。CPU101は、取得手段12、選択手段13、搬送割り当て手段15、計算手段171、決定手段172、グループ化手段173、作業者割り当て手段174、アクセス手段18、及び制御手段192の一例である。メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方は、記憶手段191の一例である。通信IF104は、受け付け手段11、指示手段14、及び出力手段16の一例である。なお、サーバ装置100は、上述した管理装置10と同様のハードウェア構成を有するコンピュータ又は汎用サーバである(図示略)。
【0056】
図5は、ユーザ端末20のハードウェア構成を例示する図である。この例においてユーザ端末20は、CPU201、メモリ202、ストレージ203、通信IF204、入力装置205、及び表示装置206を有するコンピュータであり、例えばスマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピュータを含む。CPU201は、プログラムに従って各種の演算を行うプロセッサである。メモリ202は、CPU201がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置であり、例えばRAMを含む。ストレージ203は、各種のデータ及びプログラムを記憶する補助記憶装置であり、例えばSSD又はHDDを含む。通信IF204は、所定の通信規格に従って他の装置と通信する装置であり、例えば無線で通信する場合には無線チップを含む。入力装置205は、ユーザ端末20に情報を入力するための装置であり、例えばタッチスクリーン、キーボード、マウス、又はポインティングデバイスを含む。表示装置206は情報を表示する装置であり、例えば有機ELディスプレイ又は液晶ディスプレイを含む。
【0057】
この例においてストレージ203が記憶するプログラムには、コンピュータを管理システム1におけるクライアントとして機能させるためのプログラム(以下「クライアントプログラム」という。)が含まれる。CPU201がクライアントプログラムを実行している状態において、CPU201、メモリ202、ストレージ203、通信IF204、入力装置205、及び表示装置206は、ユーザ端末20を動作させるための機能の一例である。
【0058】
ユーザ端末90は、上述したユーザ端末20と同様のハードウェア構成を有するコンピュータであり、例えばスマートフォン、タブレット、又はパーソナルコンピュータを含む(図示略)。この例においてユーザ端末90は、上述したユーザ端末20と同様のクライアントプログラムを有する。ここまで管理システム1の構成を説明した。次に、管理システム1の動作を説明する。
【0059】
3.動作
図6は、管理システム1の動作概要を例示するフローチャートである。この例において管理システム1は、全体として次のような制御(フロー)に沿って処理を進める。ステップS1において管理システム1は、顧客から製品を受注する。この例において管理システム1は、上述した注文情報等を取得し、データベースに記録する。
【0060】
ステップS2において管理システム1は、注文情報をもとに複数の製品の製造工程のスケジュールをシミュレートする。この例においてシミュレートとは、製品の納期に対し、部品毎の工程をスケジュール上で決定することを指す。この例において管理システム1は、各部品の工数及び製品の納期をもとにシミュレートが行われる。
【0061】
ステップS3において管理システム1は、ネスティング割り付けを行う。この例において管理装置10は、シミュレーションによって決定されたスケジュールをもとに、板材に対し、割り付けを行う部品を選択する。管理装置10は、サーバ装置100に、割り付けを指示する。サーバ装置100は、管理装置10から割り付けの指示を受け付ける。サーバ装置100は、選択された部品を板材に割り付けるネスティングを行う。
【0062】
ステップS4において管理システム1は、ネスティングされた部品毎に、搬送手段を割り当てる。この例において管理システム1は、例えば、搬送条件及び/又は台車40の位置をもとに、どの部品をどの搬送手段に積載するのかを予め決定する。
【0063】
ステップS5において管理システム1は、抜き工程を管理する。この例において、例えば、現場に設置された抜き装置30は、決定されたネスティング割り付けをもとに、板材から各部品を切り抜く。
【0064】
ステップS6において管理システム1は、抜き出された部品を搬送手段に積載する。この処理は、作業者であるユーザの手を借りたり、あるいはロボットハンド又はベルトコンベア等を利用して搬送手段に積載したりする場合が考えられる。この時、抜き出した部品のそれぞれに対して、どの搬送手段に積載するのか(又は積載せずに所定の場所に載置されるのか)が予め定められた情報をもとに、各部品は、対応する搬送手段に積載される(又は載置される)。
【0065】
ステップS7において管理システム1は、搬送手段を後工程の現場へ移動させる。若しくは、搬送手段を抜き現場に残留させる。搬送手段の移動は、例えば作業員が人力で運んだり、搬送ロボット又はベルトコンベアが自動で運んだりする例が考えられる。
【0066】
ステップS8において管理システム1は、部品を移動させた後工程の現場において、曲げ、溶接、検査、塗装、及び/又は組立等を行い、最終的に顧客の届け先に向けて製品を出荷する。曲げ、溶接、検査、塗装、及び/又は組立は、その工程の少なくとも一部が作業員により人力で行われてもよい。
【0067】
以上より、管理システム1の動作概要を説明した。なお、
図6は、あくまで動作例の概要に過ぎず、より具体的な動作(シーケンス)の詳細は、管理システム1内の装置、端末、機器、及び設備等によって行われる。また、上述した動作は、
図1で説明した関連技術の概要と技術的に矛盾するものではない。次に、詳細な動作を以下に説明する。
【0068】
3-1.ネスティングの割り付け方法
図7は、管理システム1におけるネスティングの割り付け方法を例示するシーケンスチャートである。このシーケンスは、上述した
図6の動作のうち、ステップS1~ステップS3において、受注からネスティングの割り付けを決定するまでの動作に相当する。ステップS101において、管理装置10は、ユーザ端末90を介して、顧客から受注した製品の納期の入力を受け付ける。なお、受け付ける情報は、製品の納期に加え、各種の注文情報等を含む。
【0069】
ステップS102において、管理装置10は、受け付けた各種データをデータベースに記録する。ここで、データとして記録される製品及び部品を管理するためのデータベースについて説明する。
【0070】
図8は、製品管理データベースを例示する図である。この例において製品管理データベース1001は、複数のレコードを含む。各レコードは、1つの注文に対応する。各レコードは、管理ID、納期、製品名・会社名、納品数、部品名、部品数量、工程・工数(分)、及び最遅開始日(抜き)を含む。この例において管理IDは、注文情報をもとに、各受注に対し、固有に識別可能なID情報を含む。この例において納期は、製品の納期を表す情報、例えば日付を含む。この例において製品名・会社名は、製品及び顧客を特定するための固有の情報を含む。なお、これらはID情報等であってもよい。この例において納品数は、納品に必要な製品の数量を表す情報を含む。この例において部品名は、製品を構成する部品毎の固有の名称若しくは識別情報を含む。この例において部品数量は、製品を構成する上で必要な部品の数量を表す情報を含む。この例において工程・工数(分)は、各部品の工程及び各工程に必要な工数(分数)を表す情報を含む。この例において最遅開始日(抜き)は、製品の納期から各工程の工数を逆算して算出される抜き工程のデッドライン(締め切り)を表す情報、例えば日付を含む。ここで、最遅開始日(抜き)を算出するための製品の納期は、顧客から受け付けた注文情報に相当する。一方で、各工程の工数は、管理装置10によって見積もられる(シミュレートされる)数値である。次に、各工程の工数の見積もり方法について説明する。
【0071】
図7に戻る。ステップS103において、管理装置10は、各種データベースを参照し、各工程の工数、つまり製品スケジュールをシミュレートする。ここで、シミュレーションに必要な各種データベース及びシミュレートされたスケジュールの結果について説明する。なお、以降の説明は、例えば、ユーザである作業者等の人の手によって行われる溶接工程を一例として取り上げる。
【0072】
図9は、溶接の作業効率を例示する図である。この例において溶接作業効率データベース2001は、作業者名、会社名/製品名、及び作業効率を含む。この例において溶接作業効率データベース2001は、予め作成されるマスタである。例えば、製品が一度製造されたことのあるリピート品である場合には、過去の実績から推定される作業効率がマスタとして記録されている。この例において作業者名は、工場等で従事する構成員であって、溶接工程の現場で溶接作業を行うユーザを表す情報を含む。この例において会社名/製品名は、作業者に割り当てられた顧客である会社名及び顧客から受注した製品名を表す情報を含む。この例において作業効率は、例えば、作業者がある製品1個あたりの溶接作業にかかる分数(時間)、つまり工数を表す情報を含む。この例において作業効率は、作業者の実績をもとに予め算出される。なお、製品がリピート品ではなく、初めて製造する場合であったとしても、任意の作業者に割り当てられてもよい。この場合、過去の実績ではなく、製品の作業工程及び工程の詳細が記された仕様書等をもとに、作業者の熟練度等を考慮して予め算出された数値がデータベースに記録される。なお、作業効率は、製品毎に加え、製品を構成する部品毎に予め設定されてもよい。次に、溶接工程における作業者の割り当て及びスケジュールのシミュレート方法について説明する。
【0073】
図10は、溶接作業/溶接スケジュールを例示する図である。この例において溶接作業データベース3001は、優先順位、会社名、製品名、製品数量、製品納期、部品名、部品数量、担当作業者、及び溶接工数(分)を含む。この例において溶接作業データベース3001は、予め定められた優先順位(例えば製品納期順及び/又は受注日順)で並べられた各製品に対し、担当作業者及び溶接工数(分)を記録するデータベースを表す。この例において溶接作業データベース3001は、各製品に対し、溶接作業効率データベース2001をもとに、担当作業者毎の作業効率を比較検討し、作業者を割り当てる。また、溶接作業データベース3001は、割り当てた作業者において、各製品の数量に応じた溶接工数(分)を算出し、記録する。なお、この例において溶接作業データベース3001は、各部品の数量を考慮して算出された、製品毎の担当作業者による溶接工数(分)を記録してもよい。次に、溶接工程におけるスケジュールのシミュレート方法について説明する。
【0074】
この例において溶接スケジュール3002は、溶接作業を行う作業者毎のスケジュールに対し、溶接作業データベース3001に記録される担当作業者毎の溶接工数(分)を割り当てた結果を表す。この例において溶接工数(分)は、作業者の労働時間に応じて割り当てられる。この例において実質労働時間が一日8時間(480分ただし休憩除く)の場合、作業者ヤマダの直近のスケジュールに対し、優先順位1番目の製品Aにおける溶接工数(分)960分を1月11日及び1月12日の丸二日に割り当てた結果を表す。以下同様に、作業者タナカ及びサトウについても、それぞれのスケジュールに対し、溶接工数(分)が割り当てられる。なお、このスケジュールの割り当て(シミュレート)結果は、あくまで溶接工程に関するものである。この例において溶接工程は、人の手を介して行われるため、製造工程の中でもボトルネック、つまり業務の停滞や生産性の低下が起こりやすい可能性のある工程(時間的な予測結果に誤差が生じやすい工程)の一例と言える。そのためここでは、溶接工程を予め決定する方法として説明した。続いて製品の全工程のシミュレート結果について説明する。
【0075】
図11は、全工程スケジュールを例示する図である。この例において全工程スケジュール3003は、製品毎の全工程スケジュールを表す。この例において全工程スケジュール3003は、予め決定された溶接工程のスケジュールを基準として、それ以外の各工程のスケジュールを予め定められた方法で決定したシミュレート結果を表す。この例において溶接工程を含む各工程の工数は、上述した方法/それ以外の方法で算出される。この例において各工程の工数は、例えば、リピート製品の過去の実績又は仕様書等の作業工程をもとに算出される。なお、ここでは作業者ではなく製品毎(又は部品毎)にスケジュールが決定される(各工程が必ずしも人の手を介して行われるものであるとは限らないため)。以上より、管理装置10は、上述した方法で製品毎のスケジュールをシミュレートすることができる。そして最終的に、シミュレートされたスケジュールにおける抜き工程の実施日時、例えば製品Aであれば「1/10」が、その製品の最遅開始日(抜き)として製品管理データベース1001に記録される。なお、最遅開始日(抜き)は、部品毎に決定されてもよい。
【0076】
図7に戻る。ステップS104において、管理装置10は、ネスティングのための部品を選択する。この例において管理装置10は、受注済の製品のうち抜き工程が完了していない部品の中から、上述した最遅開始日(抜き)に基づいて少なくとも一部の部品を選択する。この例において「最遅開始日に基づく」とは、最遅開始日を参照して部品を選択することをいい、例えば、最遅開始日(抜き)があらかじめ決められた期間(例えば当日、翌操業日、及び翌々操業日)に含まれる部品を選択する例を含む。又は、「最遅開始日に基づく」とは、最遅開始日(抜き)が現在日時に近いものから順に与えられる優先順に従って、部品を選択する例を含む。以上より、管理装置10は、最遅開始日に基づいて、部品を選択することができる。なお、管理装置10は、1日毎に予め設定された抜き工程の工数をもとに選択数の上限値を定めて、選択された部品にかかる工数の積算がその上限値に達するまで部品を選択してもよい。
【0077】
ステップS105において、管理装置10は、サーバ装置100に、割り付けを指示する。この例において管理装置10は、選択した各部品の識別情報、サイズ、数量、及び材質等の種々の情報を含む割り付けの指示をサーバ装置100に出力する。なお、種々の情報には、割り付けされる板材に関する情報が含まれてもよい。
【0078】
サーバ装置100は、管理装置10から割り付けの指示を受け付けると、指示に含まれる各部品を板材に割り付ける、つまりネスティングを行う(ステップS106)。この例において板材へのネスティングは、歩留まり等の観点をもとに、既知の方法で行われる。ここで、ネスティングについて説明する。
【0079】
図12は、ネスティング配置を例示する図である。この例においてネスティング配置データ4001は、選択した部品を板材に割り付けたネスティングデータの一例を表す。この例において板材B1は、製品毎の部品の基礎となる板材(大板とも言う)を表す。この例において部品a1は、製品Aの部品を表す。この例において板材B1には、製品A、製品C、及び製品Dにおける製品毎の部品がネスティングされている。これらの部品は、ステップS104において、管理装置10によって、最遅開始日(抜き)に基づいて選択された部品の一例である。ここで、
図12中に示される歩留まりR1は、例えば、板材B1の面積に対するネスティングされた部品の合計の面積の割合を表す比率(%)である。この例においてサーバ装置100は、各板材の歩留まりを算出する。サーバ装置100は、指示された部品を、歩留まりを最適化(例えば最大化)するように板材B1に割り付ける。
【0080】
図7に戻る。ステップS107において、サーバ装置100は、ネスティングの割り付けが完了すると、作成したネスティングデータを管理装置10に出力する。この例において管理装置10は、出力されたネスティングデータをデータベースに記録する。なお、管理装置10は、出力されたネスティングデータをもとに、抜き工程に要する合計又は1日毎の作業時間を算出してもよい。
【0081】
ステップS108において、管理装置10は、サーバ装置100からネスティングデータを取得すると、そのデータの確認を行う。この例においてデータの確認とは、取得したネスティングデータ(割り付けの一例)の修正の要否の決定を含む。一例において、管理者等の実際の人間がネスティングデータを目で見て、歩留まり等の種々の観点をもとに、そのデータに修正、部品追加、及び/又は削除等の再ネスティングの必要があるか(修正の要否の一例)を判断する。作業者は、判断の結果を管理装置10に入力する。管理装置10は、この入力をもとに、修正の要否を決定する。なお、修正の必要がある場合、管理装置10は、再度、サーバ装置100にネスティングの再割り付けを指示することができる。ここで、ステップS108についてより具体的に説明する。
【0082】
図13は、管理システム1における再ネスティング方法を例示するフローチャートである。ステップS11において、管理装置10は、ネスティングデータを取得する。この例においてステップS11の処理は、
図7におけるステップS107の処理に相当する。以下の動作について、管理装置10は、作業者と協業し、処理を進める。なお、この例において作業者と協業とは、各ステップに係る判断の少なくとも一部を作業者等の人間(ユーザ)が行うという意味を含む。
【0083】
ステップS12において、管理装置10は、取得したネスティングデータについて、歩留まりが基準を満たすかどうかを判断する。この例においてサーバ装置100は歩留まりを最大化するように部品の割り付けを行うが、板材B1の面積に対して選択された部品の合計面積が著しく少ない場合等、歩留まりが要求水準に満たない状態が起こり得る。この例においてある板材の歩留まりが、歩留まりの要求水準(例えば70%以上)を下回る歩留まり(例えば20%)である場合(つまり板材の残材の割合が80%もある場合)、要求水準以上の歩留まりを得るには割り付ける部品を追加することが好ましい。この例において歩留まりが基準を満たさないと判断された場合、管理装置10は、部品の再選択(例えば部品の追加)を行う。この例において部品の再選択は、上述した方法(最遅開始日に基づく方法)で行われてもよいし、異なる方法で行われてもよい。部品を追加するための方法あれば、どのような方法でもよい。この例において管理装置10は、スケジュールを再度参照し、ネスティングから加工までの日数に余裕がある部品を選択してもよい。また、部品の再選択後に、再ネスティングを行う場合、管理装置10は、サーバ装置100に再度割り付け指示を出力し、再ネスティングを行わせる。これによって、管理装置10は、部品の追加による再ネスティングを行うことができる。
【0084】
ここで、歩留まりに関する基準について補足する。例えば、合計100個の部品を板材に割り付ける指示がされた場合において、1枚に板材には100個全ての部品が収まらず、板材B1に70個の部品が、板材B2に30個の部品が、それぞれ割り付けられる例を考える。
【0085】
一例における「歩留まり」は、1回の指示に対して割り付けが行われた複数の板材全体としての歩留まり、すなわち(部品100個の合計面積)/(板材2枚の合計面積)である。この場合、歩留まりの値は1つであり、歩留まりが基準を満たしているか否かは複数の板材全体について一括で判断される。再ネスティングは、100個の部品及び追加された部品全体を対象として行われる。
【0086】
別の例における「歩留まり」は、複数の板材の各々における歩留まりである。板材B1については(部品70個の合計面積)/(板材の面積)が歩留まりであり、板材B2については(部品30個の合計面積)/(板材の面積)が歩留まりである。この場合、歩留まりの値は板材の枚数分(2つ)あり、歩留まりが基準を満たしているか否かは複数の板材の各々について個別に判断される。再ネスティングは、歩留まりが基準を満たさなかった板材(この例では板材B2)に割り付けられた部品(この例では30個の部品)及び追加された部品を対象として行われる。
【0087】
部品の再選択は、部品の追加及び削除の双方を含む概念である。部品の再選択として追加及び削除のいずれを採用するかは、設定された条件に基づいて判断される。例えば、抜き工程の工数が上限に達していない場合は部品の追加が選択され、抜き工程の工数が上限に達している場合は部品の削除が選択される。あるいは、最遅開始日までの期間が基準よりも短い場合は部品の追加が選択され、最遅開始日までの期間が基準よりも長い場合は部品の削除が選択される。なおこれらは判断条件の項目の一例であり、これらの項目が組み合わされた条件に基づいて、追加及び削除のいずれを採用するかが判断されてもよい。
【0088】
ステップS13において、管理装置10は、新たな受注がないか判断する。この例において顧客からの受注は不規則であるため、ネスティングの途中で注文を受けた場合、管理装置10は、新たに受注された製品について、再ネスティングに適用可能かどうかを考慮することができる。この例において管理装置10は、例えば、データベース等を参照し、新たな受注がないか判断する。新たな受注がある場合、管理装置10は、例えば、上述したステップS103と同様に、再度スケジュールのシミュレートを行う。管理装置10は、シミュレートしたスケジュールにおける最遅開始日に基づいて、新たに受注した製品の部品を選択する。管理装置10は、サーバ装置100を介して、選択した部品を対象の板材に割り付ける。これによって、管理装置10は、ネスティングデータの修正及び部品の追加による再ネスティングを行うことができる。
【0089】
ステップS14において、管理装置10は、抜き工程の工数が基準を満たすかどうか判断する。この例において管理装置10は、作業者又は抜き現場に所属する作業者等の判断によって、再ネスティングしたネスティングデータが、所定の期間(例えば当日中)で実施可能かどうかを決定する。この例において抜き工程の工数が基準を満たさない場合、例えば、再ネスティングした結果、当初よりも抜き工程の工数が増加し、当日中に実施できる量ではないと作業者が判断した場合、管理装置10は、サーバ装置100を介して、再ネスティングしたネスティングデータから任意の部品(又は板材)を削除する。これによって、管理装置10は、部品の削除による再ネスティングを行うことができる。
【0090】
図7に戻る。ステップS109において、管理装置10は、上述したネスティング配置データ4001、つまり板材への割り付けが完了したネスティング配置図(又は単にネスティング図)を抜き装置30に出力する。以上より、管理システム1は、工程スケジュールを考慮したネスティング配置を決定することができる。続いて、板材にネスティングされた各部品に対し、搬送手段の割り当てを決定する動作方法について説明する。
【0091】
3-2.搬送手段の位置情報の取得方法
図14は、管理システム1における搬送手段の位置情報の取得方法を例示するシーケンスチャートである。ここでは、上述した
図6の動作のうち、ステップS4の前段階として、搬送手段の位置情報を取得する動作について説明する。この例において位置情報(現在位置の一例)は、抜き工程によって抜かれた部品を搬送手段に割り当てる際に利用される。ここで、
図14における処理に関し、以下の2通りの処理が実装される。1つ目は、(A)管理装置10が、作業者からユーザ端末20を介して位置情報を取得する場合の処理である。2つ目は、(B)管理装置10が、台車40から直接、位置情報を取得する場合の処理である。初めに処理(A)について説明する。
【0092】
ステップSA201において、ユーザ端末20は、作業者から複数の台車40の位置情報の入力を受け付ける。この例において作業者は、抜かれた部品を積載するために、予め空いている台車40を探して、所定の位置、例えば台車40を待機させるための場所に持ってくる。この例において作業者は、所定の位置に待機させた台車40の識別情報(台車ID)を、部品の割り当てに可能な搬送手段としてユーザ端末20に入力する。なお、部品の積載には、基本的に空の台車40が利用される。そのため、作業者は、搬送手段の使用状況(空き状況)も含めてユーザ端末20に入力する。
【0093】
ステップSA202において、管理装置10は、ユーザ端末20から台車40の位置情報を取得する。この例においてユーザ端末20は、作業者から受け付けた入力内容に応じて台車40毎の位置情報を管理装置10に送信する。
【0094】
ステップSA203において、管理装置10は、ユーザ端末20から取得した台車40の位置情報をデータベースに記録する。この例において管理装置10は、データベースにおける台車40の現在位置を最新情報に更新する。これによって管理装置10は、複数の搬送手段の現在位置を記録することができる。ここで、搬送手段が記録されたデータベースについて説明する。
【0095】
図15は、搬送手段及び搬送条件を例示する図である。この例において搬送手段データベース5001は、各搬送手段と、部品を積載するための搬送条件及び位置情報との対応関係を示したデータベースの一例を表す。この例において搬送手段データベース5001は、台車ID、名称・種類、搬送条件、位置情報、及び使用状況を含む。この例において台車IDは、各搬送手段に対し、固有に識別可能なID情報を含む。この例において名称・種類は、各搬送手段の種類及び名称を表す情報、例えば台車、パレット、及びAGV(無人搬送車)等を含む。この例において搬送条件は、例えば部品の形状、サイズ、重量、及び取り扱い注意の有無を含む。この例において部品形状は、部品自体の形状を表す情報、例えば、抜き直後のプレーンの形状の部品なのか、それとも曲げ加工された形状の部品も積載可能なのかを含む。この例においてサイズは、最大縦幅(X)、最大横幅(Y)、及び最大高さ(Z)を含む。この例において最大縦幅(X)、最大横幅(Y)、及び最大高さ(Z)は、搬送手段における積載部の三辺をそれぞれX軸、Y軸、及びZ軸と定めた場合に、搬送手段に複数の部品が積載された状態において、積載された部品全体としての最大値(上限値)を表す。この例において最大重量(合計)は、搬送手段に積載可能な部品全部を合計した重量の最大値を表す。この例において取り扱い注意の有無は、予め各部品に定められた取り扱い注意の有/無のいずれかに対し、各搬送手段の適合性を表す情報を含む。この例において位置情報は、各搬送手段の現在位置を表す情報を含む。現在位置は、例えば、作業工程現場名、あらかじめ定義された工場内のエリア名、又は座標等を含む。この例において使用状況は、抜き工程において部品の積載が可能な搬送手段であるか否か、空きの搬送手段であるか否かを含む情報を表す。この例において位置情報及び使用状況は、作業者によって、ユーザ端末20に入力されるデータの一例である。以上により、管理装置10は、第1に、位置情報が抜き現場を表す搬送手段のうち、使用状況が使用可を表す搬送手段を、部品の積載が可能な搬送手段として判断することができる。また、管理装置10は、第2に、使用可能な搬送手段として判断したものの中から、部品の各々に対し、搬送条件に適合する搬送手段を選択し、割り当てを行うことができる。次に処理(B)について説明する。
【0096】
ここで、処理(B)では、主として、管理装置10が、台車40から直接、位置情報を取得する場合が想定されている。これは例えば、搬送手段に自身の位置情報を特定させるための機能、例えば、GPS(Global Positioning System)及びビーコン等が実装される場合を含む。
【0097】
ステップSB201において、管理装置10は、台車40から位置情報を取得する。この例において台車40は、ネットワーク9を介して常時又は予め定められたタイミング/時刻/間隔で施設内における自身の位置情報を管理装置10に送信する。
【0098】
ステップSB202において、管理装置10は、台車40から取得した位置情報をデータベースに記録する。この例において管理装置10は、データベースにおける台車40の現在位置を最新情報に更新する。これによって管理装置10は、複数の搬送手段の現在位置を記録することができる。なお、ステップSB201~ステップSB202までの動作は、常時又は予め定められた頻度で行われる。
【0099】
なお、上述した処理(A)及び処理(B)以外に、管理システム1は、各工程現場に設置されたカメラで台車置き場等を撮影して現在位置を特定したり、工場内にセンサを張り巡らせ、センサで搬送手段を検知したりする方法を実装・併用して、搬送手段の位置情報及び使用状況を取得してもよい。また、搬送手段の使用状況に加え、例えば、積載量(%)がシステムで管理されてもよく、そのために、搬送手段にセンサを取り付ける等の実装が加えられてもよい。
【0100】
3-3.搬送手段の割り当て方法
図16は、管理システム1における搬送手段の割り当て方法を例示するシーケンスチャートである。ここでは、上述した
図6の動作のうち、ステップS4において、板材にネスティングされた各部品に対し、搬送手段の割り当てを決定する動作を説明する。ステップS301において、管理装置10は、データベースからネスティング図を取得する。この例において管理装置10は、例えば、上述したネスティング配置データ4001を取得する。ここでは、ネスティング配置データ4001に含まれる各部品を搬送手段に割り当てる場合が想定されている。
【0101】
ステップS302において、管理装置10は、複数の搬送手段の現在位置が記録されたデータベースにアクセスする。この例において管理装置10は、上述した搬送手段データベース5001を参照し、台車40の搬送条件、位置情報、及び使用状況を取得することができる。なお、この例において管理装置10は、取得した位置情報及び使用状況のうち、例えば抜き工程の現場付近に位置する台車40が使用可か否かで、使用可能な搬送手段を特定することができる。
【0102】
ステップS303において、管理装置10は、スケジュール(例えば全工程スケジュール3003等)を参照し、各部品の後工程及び後工程に関与する作業者の情報を取得する。これによって管理装置10は、ネスティング図における部品の各々に対し、後工程に関する情報を取得・紐付けすることができる。ここで取得したデータは、各部品の後工程を作業者に提示するために利用される。
【0103】
ステップS304において、管理装置10は、使用可能な搬送手段として判定した台車40の中から、部品の各々に対して割り当てを行う。この例において管理装置10は、上述した搬送手段データベース5001における搬送条件に応じて、各部品に対し、複数の搬送手段の中から一の搬送手段を選択し、選択した搬送手段を部品に割り当てる。この例において搬送手段の割り当て方法は、例えば、管理装置10が板材に割り付けた部品から順番に、部品毎のサイズ(特に、縦幅及び横幅)が搬送手段の規定サイズ以下に収まるかどうかを判断し、割り当てる。若しくは、部品毎の高さを合計して行き、最大高さに達するまで、割り当てを行う。若しくは、部品毎の重量が、最大重量に達するまで割り当てを行う。若しくは、スケジュールを参照し、曲げ工程によって部品の形状が変化するか否か、つまり搬送手段が、曲げ工程によって立体形状が変化した部品にも対応しているか否かで、割り当てを行う。若しくは、部品毎の取り扱い注意の有無に搬送手段が対応しているか否かで、割り当てを行う。この例において搬送手段の割り当て方法は、搬送条件及びスケジュール等を用いて行われるものであればどのような方法でもよい。ここで、ネスティングされた各部品に対する搬送手段の割り当てについて説明する。
【0104】
図17は、搬送手段の割り当て結果を例示する図である。この例において板材B1は、抜き工程によって抜かれる各部品のネスティング図を表す。なお、板材B1は、上述したネスティング配置データ4001を含む。この例において割り当てデータベース6001は、板材B1における各部品に対し、管理装置10が割り当てた搬送手段及び後工程の情報を表す。この例において割り当てデータベース6001は、板材ID、製品名、部品名、台車ID、及び後工程/実施予定日/作業者を含む。また、この例において板材IDは、上述したネスティング配置データ4001をもとに抜かれる板材及び部品の抜き工程処理(バッチ処理)を固有に識別するためのID情報を含む。この例において製品名及び部品名は、板材IDに対応する抜き工程で抜かれた製品及び部品をそれぞれ固有に識別する情報を含む。この例において台車IDは、各部品に対し、管理装置10によって割り当てられた搬送手段(台車40)の固有のID情報を含む。この例において後工程/実施予定日/作業者は、各部品(又は各製品)の抜き工程よりも後の後工程の有無の一覧、工程毎の実施予定日、及び担当する作業者がいる場合は、その作業者名を表す情報を含む。この例において管理装置10は、部品毎に、後工程のそれぞれが有るか無いか、有る場合の実施予定日はいつか、作業者は誰かの情報を管理することができる。なお、この例において割り当てデータベース6001は、部品を積載した台車40に対する指示、例えば、後工程毎に対応する移動指示/残留指示等を含んでもよい。
【0105】
図16に戻る。ステップS305において、管理装置10は、ユーザ端末20に割り当ての結果を出力する。この例において割り当ての結果は、ネスティング配置データ4001及び割り当てデータベース6001内の情報を含む。つまり、割り当ての結果は、抜き工程によって抜かれる/抜かれた部品の情報、並びに、各部品に対して割り当てられた搬送手段及び後工程の情報を含む。なお、部品の抜き工程自体は、ネスティングの割り付け及び搬送手段の割り当てが完了した段階であれば、どのタイミングで実施されてもよい。
【0106】
ステップS306において、ユーザ端末20は、管理装置10から取得した割り当ての結果をラベルとして印刷する。この例においてユーザ端末20は、予め定められた印刷用ラベルのフォーマットに従い、割り当ての結果のうち、必要なデータをフォーマットに入力する。この例においてユーザ端末20は、所定の印刷装置に接続される。この例においてユーザ端末20は、印刷装置を利用して各種データが反映されたラベルを印刷する。ここで、ラベルについて説明する。
【0107】
図18は、ラベルを例示する図である。この例においてラベルL1は、各種データが反映された印刷済みのラベルを表す。この例においてラベルL1は、板材ID、部品名、製品名、台車ID、及び後工程/実施予定日/作業者を含む。なお、ラベルL1は、作業者の作業性及び利便性を向上させるための情報であれば、どのようなデータが印刷されてもよい。この例においてラベルは、部品毎に印刷される。ラベルの表面には、各種情報が印刷される。なお、ラベルの裏面は、部品に貼付可能(又は取り外し可能)な機能、例えば、シール機能を有してもよい。これによって、作業者は、例えば、板材B1から切断された各部品に対し、ラベルに印刷された情報をもとに、張り付けることができる。
【0108】
図16に戻る。ステップS307において、作業者は、ユーザ端末20から印刷装置を介して印刷されたラベルを取得する。
【0109】
ステップS308において、作業者は、各部品にラベルを張り付ける。この例において抜き現場の抜き装置30の周辺には、板材から切断された(くりぬかれた)状態で部品が載置されている。そのため、作業者は、例えば、ユーザ端末20又は抜き装置30に表示されるネスティング図に従い、ラベルに印刷された情報を参照しながら、各部品の上に対応するラベルを張り付ける。なお、抜き現場の作業者は、ラベルが全て印刷された段階で、所定の場所にある搬送手段を、部品毎又は後工程の作業者毎に仕分けておいてもよい。
【0110】
ステップS309において、作業者は、各部品にラベルを張り付けたあと、板材から部品を抜く。この段階において各部品は、既に板材から切り離されているものの、板材に対し、ネスティング図で表される位置状態を保持しているため、作業者は、板材から部品を抜く必要がある。
【0111】
ステップS310において、作業者は、ラベルをもとに、抜いた部品を台車40に積載する。この例において抜いた部品が全て台車40に積載されると、作業者は、ラベル又は予め通知されたスケジュールをもとに、台車40を後工程の作業場に移動させる。なお、これらの移動は、割り当てデータベース6001において、部品を積載した台車40に対する指示、例えば、後工程毎に対応する移動指示/残留指示等をもとに実行されてもよい。つまり、どのような方法で、作業者が台車40の運用を判断してもよい。ここで、搬送手段の工程間移動について説明する。
【0112】
図19は、搬送手段の工程間移動を例示する図である。この例において工程間移動モデル7001は、各部品を積載済みの搬送手段が、工程間をどのように移動するかを模式的に表現したモデルの一例を表す。また、この例において工程間移動モデル7001は、管理装置10のデータベース等で管理される。この例において工程間移動モデル7001は、抜き工程、曲げ工程、溶接工程、・・・(中略)・・・、及び出荷工程までの工程のフローを有する。この例において工程間移動モデル7001は、各種台車IDで表される搬送手段の工程毎の作業を表す。この例において工程毎の作業とは、例えば、作業日、部品毎の積み下ろし、積み上げ、積み増し、及び載せ替え等、並びに、搬送手段毎の移動指示及び残留指示等を含む。この例において台車IDが「001」で表される搬送手段(以下「台車001」という)は、抜き工程において、例えば、製品Cの部品c1及びc2等、並びに、製品Dの部品d1及びd2等を積載する。この例において台車001は、曲げ工程において、1月11日に、製品Dのみの部品を積み下ろす。その後、溶接工程に進み、台車001は、1月11日に、残りの製品Cの部品を全て積み下ろす。また、台車001は、溶接工程において、1月12日の午後に、溶接された製品Cの部品を積み上げる。その後、台車001は、検査工程を通過し、後工程の作業場に進む。この例において台車IDが「002」で表される搬送手段についても同様の工程間移動モデルが提供される。なお、工程間移動モデル7001では、あくまで、工程間移動モデルの一例を表すにすぎず、工程毎の部品及び搬送手段に関する情報がどのように工程間移動モデルに反映されてもよい。また、これらの工程間移動モデルの少なくとも一部は、作業者に共有されてもよい。これによって作業者の作業性及び利便性を向上させることができる。この例において作業者は、これらの工程間移動モデルを用いて、搬送手段の運用を自由に管理してもよい。この例においてある工程で、搬送手段に対し、部品の積み増しが発生する場合、予め余分の搬送手段を工程毎に用意してもよい。また、曲げ工程等による部品の形状が変化し、載せ替えが発生する場合も同様に、変形後の部品の形状に最適な搬送手段を工程毎に用意してもよい。
【0113】
以上より、管理システム1は、例えば、各部品を台車等の搬送手段毎に分類し、台車を移動させる作業者に、各種情報を提示することができる。これによって、抜かれた部品の適切な運用管理が行われ、各工程の作業性が向上する。また、部品が紛失したり、所在不明の部品が現場に放置されたり、作業者が部品の後工程を把握できなかったりすることがなくなり利便性が向上する。さらに、搬送手段の工程間移動モデルを利用することで、搬送手段等の管理性・運用性が改善される。
【0114】
4.変形例
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する事項のうち2つ以上の事項が組み合わされて適用されてもよい。
【0115】
(1)管理システム1
管理システム1におけるハードウェア構成及びネットワーク構成は、実施形態において例示したものに限定されない。要求される機能を実現できるものであれば、管理システム1はどのようなハードウェア構成及びネットワーク構成を有していてもよい。例えば、物理的に複数の装置が協働して管理システム1として機能してもよい。なお、
図2が表す主体、構成、及びシステム構造は、あくまで一例であり、システムの概要を表すに過ぎない。そのため、管理システム1において、例えば、現場毎に構築されたネットワークによってユーザ端末20が各装置を管理する構成を有していてもよい。
【0116】
(2)管理装置10・サーバ装置100
管理装置10の機能の一部は他のサーバに実装されてもよい。このサーバは、例えば、物理サーバでもよいし、仮想サーバ(いわゆるクラウドを含む)であってもよい。また、機能要素とハードウェアとの対応関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、実施形態において、管理装置10に実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部が他の装置又はシステムに実装されてもよいし、反対に、他の装置又はシステムに実装されるものとして説明した機能の少なくとも一部が管理装置10に実装されてもよい。この例において管理装置10は、例えば、サーバ装置100、ユーザ端末20、抜き装置30、及び/又は台車40の機能の少なくとも一部を有してもよく、例えば、各装置における各種データを常時取得する構成であってもよい。また、管理装置10は、サーバ装置100の代わりにネスティングの割り付け処理を行ってもよい。また、サーバ装置100は、実施形態において例示したものに限定されない。サーバ装置100の割り付け手段の少なくとも一部は、管理装置10に実装されてもよい。これによって管理装置10は、上述したネスティングの割り付け処理を行うことができる。
【0117】
(3)ユーザ端末20・ユーザ端末90
ユーザ端末20及びユーザ端末90は、実施形態において例示したものに限定されない。この例において各端末を利用するユーザ(作業者又は顧客等)は、各自の端末を介して、管理システム1を利用するが、どのような表示画面、入力装置、及び各種UIによって上述した構成及び動作が実現されてもよい。また、ユーザ端末20は、印刷装置に加え、種々の装置と接続される構成であってもよい。この例においてユーザ端末20は、シール機能を印刷物に付与することが可能な装置を有してもよい。これによって、印刷されるラベルにシール機能を付与することができる。また、作業者に各種情報を提示する方法は、ラベルに限定されず、どのような方法・手段を用いてもよい。
【0118】
(4)抜き装置30
抜き装置30は、実施形態において例示したものに限定されない。この例において抜き装置30は、プレス加工機又はレーザ加工機に加え、ガス切断機及びプラズマ切断機等であってもよい。また、要求される機能・動作を実現できるものであれば、抜き装置30はどのようなハードウェア構成を有していてもよい。この例において抜き装置30は、取得したネスティング図を解析処理するためのCPU、各種データの記憶手段としてのメモリ又はストレージ、各装置と通信処理を行うための通信IF、作業者の各種操作を受け付けるための入力装置、及び/又は各種データを表示するための表示装置等を有する構成であってもよい。
【0119】
(5)台車40(搬送手段)
台車40(搬送手段)は、実施形態において例示したものに限定されない。この例において台車40は、台車、パレット、フォークリフト、及び無人搬送車に加え、ベルトコンベア、昇降装置(エレベータ又はリフト)、及び搬送ロボット(ロボットアーム)等であってもよい。また、要求される機能・動作を実現できるものであれば、台車40はどのようなハードウェア構成を有していてもよい。この例において台車40は、各種データ処理、例えば自装置の現在位置の算出、移動経路のシミュレート、又は貨物の占有率の計算を実行するためのCPU、各種データの記憶手段としてのメモリ又はストレージ、各装置と通信処理を行うための通信IF、作業者の各種操作を受け付けるための入力装置、及び/又は各種データを表示するための表示装置等を有する構成であってもよい。
【0120】
(6)カメラ
カメラ(撮影手段)は、実施形態において例示したものに限定されない。要求される機能・動作を実現できるものであれば、カメラはどのようなハードウェア構成を有していてもよい。この例においてカメラは、各種データ処理を実行するためのCPU、各種データの記憶手段としてのメモリ又はストレージ、各装置と通信処理を行うための通信IF、作業者の各種操作を受け付けるための入力装置、及び/又は各種データを表示するための表示装置等を有する構成であってもよい。
【0121】
(7)製品・部品
製品及び部品は、それぞれ実施形態において例示したものに限定されない。この例において製品は、どのようなものであってもよく、例えば、金属/非金属製品、プラスチック製品、機械・電子製品、木製品、及び革製品等であってもよい。この例において部品は、どのようなものであってもよく、例えば、金属/非金属部品、プラスチック部品、機械・電子部品、木製の部品、及び革製の部品等であってもよい。
【0122】
(8)板材
板材は、実施形態において例示したものに限定されない。この例において板材は、どのようなものであってもよく、例えば、金属板、一例として、軟鋼板、ステンレス鋼板、表面処理鋼板、アルミニウム板、及び銅板等であってもよい。若しくは、木質材料等であってもよい。
【0123】
(9)動作概要
図6に示すフローチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、管理システム1及び管理装置10の動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が省略されてもよいし、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。この例においてステップS5にて、抜き装置30によって部品が抜かれる直前であれば、ステップS3におけるネスティング割り付けが行われてから所定の時間が経過した後にステップS4における搬送手段の割り当てが行われてもよい。これによって管理システム1は、搬送手段の状況に応じた最適な割り当てに更新することができる。
【0124】
(10)ネスティングの割り付け方法
図7に示すシーケンスチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、管理システム1の動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が省略されてもよいし、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。この例においてステップS103にて、管理装置10は、工程のスケジュールをシミュレートする前に、予め少なくとも一部の部品を複数のグループ、例えば、製品グループ又は顧客グループ等に分けてもよい。また、管理装置10は、複数の工程のうち特定の工程(例えば溶接工程)において、複数の作業者を複数のグループに割り当ててもよい。これによって管理装置10は、製品グループ毎又は顧客グループ毎の担当作業者を割り振ることができる。これはすなわち、溶接作業データベース3001にデータを登録するための処理として導入される。なお、部品毎の作業者の割り当てはどのような方法で行われてもよい。
【0125】
また、この例においてステップS104にて、管理装置10は、シミュレートによって計算された部品毎の最遅開始日に基づいて、現在日時に近い順から部品を選択するが、どのような順番で部品を選択してもよい。例えば、管理装置10は、上述したグループに基づいて部品を選択してもよい。この例において管理装置10は、最遅開始日が同日(同時)の部品が複数ある場合、例えば、いずれか一方を優先的に選択するとともに、同じ製品グループに分類される複数の部品をまとめて順番に選択してもよい。
【0126】
また、この例においてステップS103~ステップS106にて、管理システム1が行うシミュレーションからネスティングまでの処理は、例えば、受注時に行われてもよい。受注時にネスティングを行う場合、管理システム1は、およそ何枚の板材を使用するのかを予め算出することができる。
【0127】
また、この例においてステップS108にて、管理装置10及び作業者等によって行われるネスティングデータのデータ確認の処理は、例えば、全て管理装置10が(すなわち自動的に)行ってもよい。この例において作業者は、歩留まり等の予め定められた基準及び基準に達しない場合の制御をプログラムとして入力することで、ネスティングデータの確認、修正、部品の再選択、再シミュレート、及び部品の削除等を全て管理装置10が実行する実装に変更してもよい。
【0128】
図13に示すフローチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、管理装置10の動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が省略されてもよいし、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。この例においてステップS12~ステップS14にて、部品の追加、ネスティングの修正、又は部品/板材の削除等の再ネスティングはどのような判断を契機(トリガ)として実行されるものであってもよい。この例において管理装置10は、搬送手段(台車40)の運用状況又は抜き現場に残留する部品数量に応じて再ネスティングの実行内容を決定してもよい。また、管理装置10は、作業者による判断の少なくとも一部をプログラム等で表現した機能として実装してもよい。これによって管理装置10は、作業者の判断を待つことなく、自動的に再ネスティングの実行内容(指示内容)を決定することができる。
【0129】
(11)搬送手段の位置情報の取得方法
図14に示すシーケンスチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、管理システム1の動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が省略されてもよいし、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。この例において搬送手段の位置情報及び使用状況を取得する方法は、どのようなものであってもよい。上述したカメラ及びセンサに加え、搬送手段の位置情報及び使用状況を取得する装置であれば、どのような、装置が管理システム1及び/又は管理装置10に導入・実装されてもよい。また、データベースに記録される位置情報及び使用状況を表すデータは、どのようなものであってもよい。あるいは、管理システム1は搬送手段の位置情報を管理しなくてもよい。すなわち管理システム1は搬送手段の位置情報をデータベースに記録しなくてもよい。この場合、作業者が、空いている搬送手段を目視で確認して使用してもよい。
【0130】
(12)搬送手段の割り当て方法
図16に示すシーケンスチャートはあくまで動作の一例を示すものであり、管理システム1の動作はこれに限定されない。図示した動作の一部が省略されてもよいし、順番が入れ替えられてもよいし、新たな動作が追加されてもよい。この例においてステップS304にて、管理装置10は、部品に対する抜き工程よりも後の後工程及びその後工程の作業者に関する条件を含む搬送条件に応じて、搬送手段を選択し、選択した搬送手段に部品を割り当ててもよい。これによって管理装置10は、抜き工程の後工程毎/後工程に関わる作業者毎に部品を搬送手段に割り当てることができるため、作業性・利便性が向上する。また、データベースに記録される搬送条件を表すデータは、どのようなものであってもよい。また、搬送手段がロボットアームの場合、例えば、ステップS305にて、アーム側の制御装置に、各種データベースの割り当てデータが出力されてもよい。この例においてアームは、出力されたデータに従って部品を台車に積載することができる。
【0131】
(13)データベース
図8、
図9、
図10、
図11、
図15、及び
図17に示す管理システム1のデータベース(又はデータそのもの)は、実施形態において例示したものに限定されない。この例においてデータベースに登録されるデータはどのようなものでもよく、例えば、顧客情報、注文情報、製品仕様書、スケジュール情報、及び図面データ等であってもよい。また、データベースのレイアウトは、図示したものに限定されず、どのようなレイアウトでデータが管理されてもよい。なお、管理装置10が各装置に出力するデータは、データベースに登録されたデータであればどのようなものであってもよい。
【0132】
(14)AI
実施形態において例示した構成及び動作に関し、AI及び機械学習機能が管理システム1に実装されてもよい。この例において管理システム1におけるAIの実装に関し、例えば、本発明の動作に係る最適なネスティング配置の決定・提案、抜き工程で切り抜かれた部品に対する搬送手段の割り当て、及びその他、工程及び作業者のスケジュール管理等を行うための機能が実装されてもよい。
【0133】
(15)ブロックチェーン
実施形態において例示した構成及び動作に関し、ブロックチェーン技術が管理システム1に適用されてもよい。この例において管理システム1におけるブロックチェーン技術の適用に関し、例えば、データベース内に登録されたデータが、ブロックチェーンネットワークに記録されてもよい。これによって各種データの削除及び書き換え等ができない状態でデータを保護することができる。また、ブロックチェーンネットワークに記録されるデータはどのようなものであってもよい。
【0134】
(16)その他
CPU101及びCPU201等によって実行される各種プログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供されるものであってもよいし、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。なお、各プロセッサは、CPUに代えて、例えば、MPU(Micro Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。
【符号の説明】
【0135】
1…管理システム、10…管理装置、100…サーバ装置(割り付け手段)、20…ユーザ端末、30…抜き装置、40…台車(搬送手段)、90…ユーザ端末、9…ネットワーク、11…受け付け手段、12…取得手段、13…選択手段、14…指示手段、15…搬送割り当て手段、16…出力手段、171…計算手段、172…決定手段、173…グループ化手段、174…作業者割り当て手段、18…アクセス手段、191…記憶手段(DB)、192…制御手段、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF、201…CPU、202…メモリ、203…ストレージ、204…通信IF、205…入力装置、206…表示装置、1001…製品管理データベース、2001…溶接作業効率データベース、3001…溶接作業データベース、3002…溶接スケジュール、3003…全工程スケジュール、4001…ネスティング配置データ、5001…搬送手段データベース、6001…割り当てデータベース、7001…工程間移動モデル、B…板材、R…歩留まり(率)、L…ラベル
【要約】
管理装置は、板材から1又は複数の部品を抜く抜き工程を含む複数の工程を経て製造される複数の製品の各々について、顧客から受注した当該製品の納期の入力を受け付ける受け付け手段と、前記複数の工程の各々について、当該工程に要する工数を取得する取得手段と、受注済の製品のうち前記抜き工程が完了していない1又は複数の製品を構成する複数の部品の中から、少なくとも一部の部品を、前記工数及び前記納期に基づいて選択する選択手段と、指示された部品を前記抜き工程のため前記板材に割り付ける割り付け手段に、前記選択された部品の割り付けを指示する指示手段と、前記割り付け手段により前記選択された部品が割り付けられた前記板材に対する前記抜き工程から得られた前記選択された部品の各々を、複数の搬送手段のうち当該部品を前記抜き工程よりも後の後工程の作業場まで搬送する搬送手段に割り当てる搬送割り当て手段と、前記割り当ての結果を出力する出力手段とを有する。