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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】アライメント装置、アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20240815BHJP
   B23Q 1/62 20060101ALI20240815BHJP
   B23Q 1/48 20060101ALI20240815BHJP
   F16C 29/06 20060101ALI20240815BHJP
【FI】
H01L21/68 F
B23Q1/62 B
B23Q1/48 B
F16C29/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020022663
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021129019
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】廣田 淳
(72)【発明者】
【氏名】山本 冬起
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-230836(JP,A)
【文献】特開平08-025163(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017988(WO,A1)
【文献】実開平03-117537(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
B23Q 1/62
B23Q 1/48
F16C 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材と対向するテーブル部材と、
前記ベース部材と前記テーブル部材との対向領域の外側から、前記テーブル部材の側壁部を支持すると共に、前記テーブル部材に対し、少なくとも前記ベース部材と前記テーブル部材とが対向する対向方向と直交する2軸直交方向に配置された複数のアクチュエータと、を備え、
前記複数のアクチュエータのそれぞれは、
前記側壁部に取り付けられ、前記2軸直交方向のうち、前記側壁部に沿う方向に前記テーブル部材を案内する第1直動装置と、
前記第1直動装置を支持し、前記2軸直交方向のうち、前記側壁部に近接離反する方向に前記テーブル部材を案内すると共に、前記対向方向に延びる軸回りの前記テーブル部材の回転を許容する隙間が形成された移動体及び駆動体を有する第2直動装置と、を備え、
前記第2直動装置の駆動体は、ねじ軸であり、
前記第2直動装置の移動体は、前記ねじ軸の回転により移動する移動プレートであり、
前記移動プレートが、前記第1直動装置を支持している、ことを特徴とするアライメント装置。
【請求項2】
前記複数のアクチュエータのそれぞれは、
前記テーブル部材を前記ベース部材に押し付ける付勢部材を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のアライメント装置。
【請求項3】
ベース部材と、
前記ベース部材と対向するテーブル部材と、
前記ベース部材と前記テーブル部材との対向領域の外側から、前記テーブル部材の側壁部を支持すると共に、前記テーブル部材に対し、少なくとも前記ベース部材と前記テーブル部材とが対向する対向方向と直交する2軸直交方向に配置された複数のアクチュエータと、を備え、
前記複数のアクチュエータのそれぞれは、
前記側壁部に取り付けられ、前記2軸直交方向のうち、前記側壁部に沿う方向に前記テーブル部材を案内する第1直動装置と、
前記第1直動装置を支持し、前記2軸直交方向のうち、前記側壁部に近接離反する方向に前記テーブル部材を案内すると共に、前記対向方向に延びる軸回りの前記テーブル部材の回転を許容する隙間が形成された移動体及び駆動体を有する第2直動装置と、
前記テーブル部材を前記ベース部材に押し付ける付勢部材と、を備える、ことを特徴とするアライメント装置。
【請求項4】
前記テーブル部材は、前記側壁部として、前記2軸直交方向のうちの第1方向に延びる第1側壁部と、前記2軸直交方向のうちの前記第1方向と異なる第2方向に延びる第2側壁部と、を備え、
前記複数のアクチュエータは、前記第1側壁部において前記第1方向に隙間をあけて取り付けられた一対の第1アクチュエータと、前記第2側壁部に取り付けられた第2アクチュエータと、を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のアライメント装置。
【請求項5】
対象物に取り付けられ、第1ストローク方向に前記対象物を案内する第1直動装置と、
前記第1直動装置を支持する移動プレートと、回転によって前記移動プレートを第2ストローク方向に移動させる駆動体と、を有し、前記移動プレートと前記駆動体との間に、前記第1ストローク方向及び前記第2ストローク方向のそれぞれと直交する方向に延びる軸回りの前記対象物の回転を許容する隙間が形成された第2直動装置と、
前記移動プレートを前記第2ストローク方向に付勢する付勢部材と、を備える、ことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1ストローク方向と前記第2ストローク方向は、互いに異なる方向である、ことを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメント装置、アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のアライメント装置は、ベース部材とテーブル部材との間に、テーブル部材を平面移動(X方向の移動及びY方向の移動)させる直動装置を設けるのが通常であったため、テーブル部材の高さ(Z方向の寸法)が大きく、スペースの制約のあるユニット(例えばプロジェクターなどの投影装置)には使用できないという課題があった。
【0003】
下記特許文献1には、アライメント装置の一つとして、ベース部材とテーブル部材との対向領域の外側に直動装置を設け、テーブル部材の外側からテーブル部材を移動させるテーブル装置が開示されている(特許文献1の図5及び図6など参照)。これにより、テーブル部材の下面をベース部材の上面に接触させるようにして、テーブル部材をガイドすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-100531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記テーブル装置の直動装置は、ロッド及び軸受(回転案内)を介してテーブル部材に接続されている。テーブル装置は、直動装置を含む複数台のアクチュエータを備えており、その中の2台並んだアクチュエータの作動量を変えることで、θZ方向(回転方向)にテーブル部材を移動させることができる。しかしながら、上記回転案内を設けると、部品点数が増加すると共に、装置全体の重量が増加するという課題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、少ない部品点数でテーブル部材をX、Y、θZ方向に移動でき、且つ、テーブル部材の高さを小さくできるアライメント装置、及び、それに適したアクチュエータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のアライメント装置は、ベース部材と、前記ベース部材と対向するテーブル部材と、前記ベース部材と前記テーブル部材との対向領域の外側から、前記テーブル部材の側壁部を支持すると共に、前記テーブル部材に対し、少なくとも前記ベース部材と前記テーブル部材とが対向する対向方向と直交する2軸直交方向に配置された複数のアクチュエータと、を備え、前記複数のアクチュエータのそれぞれは、前記側壁部に取り付けられ、前記2軸直交方向のうち、前記側壁部に沿う方向に前記テーブル部材を案内する第1直動装置と、前記第1直動装置を支持し、前記2軸直交方向のうち、前記側壁部に近接離反する方向に前記テーブル部材を案内すると共に、前記対向方向に延びる軸回りの前記テーブル部材の回転を許容する隙間が形成された移動体及び駆動体を有する第2直動装置と、を備える。
【0008】
また、本発明のアクチュエータは、対象物に取り付けられ、第1ストローク方向に前記対象物を案内する第1直動装置と、前記第1直動装置を支持する移動プレートと、回転によって前記移動プレートを第2ストローク方向に移動させる駆動体と、を有し、前記移動プレートと前記駆動体との間に、前記第1ストローク方向及び前記第2ストローク方向のそれぞれと直交する方向に延びる軸回りの前記対象物の回転を許容する隙間が形成された第2直動装置と、前記移動プレートを前記第2ストローク方向に付勢する付勢部材と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少ない部品点数でテーブル部材をX、Y、θZ方向に移動でき、且つ、テーブル部材の高さを小さくできるアライメント装置、及び、それに適したアクチュエータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態におけるアライメント装置の斜視図である。
図2】本発明の実施形態におけるアライメント装置の平面図である。
図3】本発明の実施形態におけるアクチュエータの斜視図である。
図4図3に示す矢視A-A断面図である。
図5】本発明の実施形態におけるアクチュエータが備える第1直動装置の構成図である。
図6】本発明の実施形態におけるアライメント装置の回転動作時の平面図である。
図7】本発明の実施形態におけるアライメント装置の回転動作時の平面図である。
図8】本発明の実施形態におけるアライメント装置の平面(水平)動作時の平面図である。
図9】本発明の実施形態におけるアライメント装置の平面(水平)動作時の平面図である。
図10】本発明の実施形態におけるアライメント装置の平面(水平)動作時の平面図である。
図11】本発明の実施形態におけるアライメント装置の平面(水平)動作時の平面図である。
図12】本発明の実施形態の一変形例におけるアライメント装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために、例を挙げて説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態におけるアライメント装置1の斜視図である。図2は、本発明の実施形態におけるアライメント装置1の平面図である。
これらの図に示すように、アライメント装置1は、テーブル部材10と、ベース部材20と、複数のアクチュエータ30と、を備えている。
【0013】
テーブル部材10は、ベース部材20に重なるようにベース部材20と対向して配置されている。複数のアクチュエータ30は、ベース部材20とテーブル部材10との対向領域40の外側から、テーブル部材10の側壁部12を支持する。また、複数のアクチュエータ30は、少なくともベース部材20とテーブル部材10とが対向する対向方向と直交する2軸直交方向に配置されている。
【0014】
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。Z方向は、テーブル部材10とベース部材20とが対向する対向方向であり、X方向は、対向方向(Z方向)と直交する2軸直交方向のうちの第1方向であり、Y方向は、当該2軸直交方向のうちの第2方向である。
【0015】
テーブル部材10は、ベース部材20とZ方向で対向する平面部11と、平面部11の端縁に立設する側壁部12と、を備えている。平面部11は、図2に示す平面視で矩形に形成されている。なお、平面部11は、X-Y平面に沿って延びる平面形状であれば、図2に示す矩形に限定されるものではない。
【0016】
側壁部12は、図1に示すように、上述した2軸直交方向のうちの第1方向(X方向)に延びる第1側壁部12Aと、2軸直交方向のうちの第1方向と異なる第2方向(Y方向)に延びる第2側壁部12Bと、を備えている。第1側壁部12Aは、平面部11のX方向に延びる一辺の端縁から、ベース部材20と反対側(+Z側)に立設している。第2側壁部12Bは、平面部11のY方向に延びる一辺の端縁から、ベース部材20と反対側(+Z側)に立設している。
【0017】
複数のアクチュエータ30は、第1側壁部12Aにおいて第1方向(X方向)に隙間をあけて取り付けられた一対の第1アクチュエータ30A1,30A2と、第2側壁部12Bに取り付けられた第2アクチュエータ30Bと、を含む。第1アクチュエータ30A1,30A及び第2アクチュエータ30Bは、配置が異なるだけで、構成は同一である。
以下、アクチュエータ30の構成について説明する。
【0018】
図3は、本発明の実施形態におけるアクチュエータ30の斜視図である。図4は、図3に示す矢視A-A断面図である。図5は、本発明の実施形態におけるアクチュエータ30が備える第1直動装置60の構成図である。
図3に示すように、アクチュエータ30は、ケース50と、第1直動装置60と、第2直動装置80と、を備えている。ケース50は、ボルト51を介してベース部材20に固定されている。
【0019】
第1直動装置60は、図1に示すように、側壁部12に取り付けられ、2軸直交方向のうち、側壁部12に沿う方向にテーブル部材10を案内する。例えば、第1アクチュエータ30A1の第1直動装置60であれば、第1側壁部12Aに取り付けられ、2軸直交方向のうち、第1側壁部12Aに沿う方向(X方向、第1ストローク方向)にテーブル部材10を案内する。第1アクチュエータ30A2においても同様である。なお、第2アクチュエータ30Bにおいては、第2側壁部12Bに取り付けられ、第2側壁部12Bに沿う方向(Y方向、第2ストローク方向)にテーブル部材10を案内する。
【0020】
図6に示すように、第1直動装置60は、長手方向に沿って転動体転走溝63が設けられた軌道レール61と、転動体転走溝63に対向する負荷転動体転走溝64が設けられたスライダブロック62と、転動体転走溝63と負荷転動体転走溝64との間に配置された複数のボール65(転動体)と、を備える。
【0021】
軌道レール61は、断面視略矩形状の長尺部材である。軌道レール61の幅方向(図6において紙面左右方向)の外側面61bには、軌道レール61の長手方向(図6において紙面垂直方向)に沿って転動体転走溝63が形成されている。転動体転走溝63は、外側面61bに対して略円弧状に窪んでいる。この転動体転走溝63は、軌道レール61の左右に一対で形成されている。
【0022】
軌道レール61には、対象物(後述する図4に示す移動プレート82)に固定されるための固定孔66(軌道体固定孔)が形成されている。固定孔66は、軌道レール61の厚み方向(図6において紙面上下方向)に貫通して形成されている。固定孔66には、軌道レール61を固定するボルト(不図示)を、軌道レール61の上面61aよりも低い位置に位置させる座ぐり66aが形成されている。
【0023】
スライダブロック62は、ブロック本体67と、ブロック本体67に取り付けられた蓋体68と、を備える。ブロック本体67は、軌道レール61を収容するレール収容溝69を有する。レール収容溝69は、ブロック本体67の下面に開口している。ブロック本体67の上面である取付面67aには、対象物(テーブル部材10の側壁部12)を固定するための固定孔70(移動体固定孔)が形成されている。固定孔70は、ブロック本体67の厚み方向に所定の深さで形成されている。固定孔70は、ネジ孔であり、上記対象物を固定するボルト72(図4参照)が螺合する。
【0024】
レール収容溝69には、軌道レール61の転動体転走溝63に対向する負荷転動体転走溝64が形成されている。負荷転動体転走溝64は、レール収容溝69の内側面に対して円弧状に窪んでいる。この負荷転動体転走溝64は、軌道レール61を挟むように、スライダブロック62の左右に一対で形成されている。負荷転動体転走溝64は、軌道レール61の転動体転走溝63と対向し、負荷をかけた状態でボール65を転動させる負荷転動体転走路C1を形成する。
【0025】
第1直動装置60の一例である有限ストローク型リニアガイドは、転動体転走溝63と負荷転動体転走溝64との間にケージ(転動体保持部材)が配置され、ボール65を回転自在に保持するものである。但し、ケージが配置されていないボール65だけでも同様の効果が得られる。ボール65は、軌道レール61とスライダブロック62との間に介在して、軌道レール61に対するスライダブロック62の移動を円滑に行わせるものである。
【0026】
なお、第1直動装置60は有限ストローク型に限らず、無限循環型リニアガイドでも、軌道レール61に対するスライダブロック62の移動を円滑に行わせることができる。ブロック本体67には、無負荷転動体転走路C2が形成されている。無負荷転動体転走路C2は、ブロック本体67を長手方向に貫通して形成されている。無負荷転動体転走路C2の内径は、ボール65のボール径よりも大きく、ボール65に負荷をかけないようになっている。この無負荷転動体転走路C2は、負荷転動体転走溝64(負荷転動体転走路C1)に対応して、スライダブロック62の左右に一対で形成されている。
【0027】
蓋体68は、ブロック本体67の長手方向の両端面に取り付けられている。蓋体68は、ブロック本体67と同様に、軌道レール61を収容するレール収容溝71を有する。蓋体68には、ブロック本体67の両端面と対向する対向面に、転動体方向転換路C3が形成されている。一対の転動体方向転換路C3は、負荷転動体転走路C1と無負荷転動体転走路C2の両端をそれぞれ連結し、ボール65の無限循環路Cを形成する。
【0028】
無限循環路Cは、軌道レール61の長手方向に延びる一対の直線状部分(負荷転動体転走路C1及び無負荷転動体転走路C2)と、この一対の直線状部分の端部同士を連結する一対の半円弧曲線状部分(転動体方向転換路C3)とから構成される。本実施形態では、軌道レール61の幅方向において間隔をあけ、軌道レール61の長手方向に沿って平行に延在するように2条の無限循環路Cが形成される。
【0029】
本実施形態のボール65は、無限循環路Cの内部にほぼ隙間無く配設されて、無限循環路Cを循環する。なお、第1直動装置60は、左右に2条ずつ、計4条の無限循環路Cが形成されるものを使用してもよい。
【0030】
図4に示すように、第2直動装置80は、第1直動装置60を支持し、2軸直交方向のうち、側壁部12に近接離反する方向(側壁部12の面直方向とも言う)にテーブル部材10を案内する。例えば、第1アクチュエータ30A1の第2直動装置80であれば、2軸直交方向のうち、第1側壁部12Aに近接離反する方向(Y方向)にテーブル部材10を案内する。第1アクチュエータ30A2においても同様である。なお、第2アクチュエータ30Bにおいては、2軸直交方向のうち、第2側壁部12Bに近接離反する方向(X方向)にテーブル部材10を案内する。
【0031】
第2直動装置80は、側壁部12に近接離反する方向に延びるねじ軸81(駆動体)と、ねじ軸81の回転により側壁部12に近接離反する方向に移動する移動プレート82(移動体)と、を備えている。移動プレート82は、平面部82aと、逃げ部82bと、支持部82cと、を有する。平面部82aは、ねじ軸81に螺合するねじ孔が形成されている。平面部82aは、側壁部12に近接して配置され、側壁部12と平行にZ方向に延びている。
【0032】
逃げ部82bは、平面部82aの上端部に連接され、側壁部12から離間する方向に延びている。逃げ部82bは、第1直動装置60の寸法分、側壁部12から離間する方向に逃げている。支持部82cは、逃げ部82bの側壁部12から離間する方向の先端部に連接され、側壁部12と平行にZ方向に立設している。支持部82cには、上述した第1直動装置60の軌道レール61が、ボルト73及びナット74を介して固定されている。
【0033】
ねじ軸81は、図4に示すように、軸受83を介してケース50に支持されている。軸受83の外輪は、バネ受け部材84を介してケース50に固定されている。ねじ軸81には、ウォームホイール85が取り付けられている。ウォームホイール85は、ねじ軸81に螺合する固定ナット86によって、軸受83の内輪と共に、ねじ軸81に固定(軸受83と共締め)されている。
【0034】
ウォームホイール85は、図3に示すように、ケース50に支持されたウォームシャフト88と噛み合っている。ウォームシャフト88は、ギアボックス89を介してモータ90と接続されている。モータ90は、例えば、ステッピングモータなどが好ましい。ケース50は、ウォームシャフト88の上方に、ギアボックス89及びモータ90を支持するモータブラケット52を備えている。モータブラケット52は、ボルト53を介してケース50に固定されている。
【0035】
ウォームシャフト88の両端部は、軸受55によって軸支される。ウォームシャフト88の下端を軸支する軸受55は、ケース50に固定されている。ウォームシャフト88の上端を軸支する軸受55は、モータブラケット52の下方に横架された軸受ブラケット54に固定されている。軸受ブラケット54は、図示しないボルトを介してケース50に支持されている。
【0036】
上記構成のアクチュエータ30によれば、モータ90及びギアボックス89を介してウォームシャフト88を回転させると、図4に示すように、ウォームシャフト88に噛み合うウォームホイール85が回転する。ウォームホイール85が回転すると、ウォームホイール85と共にねじ軸81(駆動体)が軸回りに回転し、ねじ軸81に螺合する移動プレート82(移動体)が、側壁部12に近接離反する方向にねじ送りされる。これにより、ベース部材20に対してテーブル部材10をX方向やY方向に平面移動させることができる。
【0037】
ところで、ねじ軸81と移動プレート82との間には、ベース部材20に対してテーブル部材10をθZ方向(第1ストローク方向及び第2ストローク方向のそれぞれと直交する方向に延びる軸回り)に移動(回転)させるための隙間(クリアランス)が形成されている。後述する図6に示すように、2台の第1アクチュエータ30A1,30A2のそれぞれの第2直動装置80におけるねじ軸81の送り量を異ならせることで、テーブル部材10をθZ方向に移動(回転)させることができる。つまり、アクチュエータ30は、他の駆動方向のアクチュエータ30の駆動は第1直動装置60で受け、テーブル部材10の回転はねじ軸81と移動プレート82のねじ部のクリアランスで受ける。
【0038】
図4に示すように、移動プレート82とバネ受け部材84との間には、移動プレート82をねじ軸81が延びるY方向(第2ストローク方向)に付勢する付勢部材87が配置されている。本実施形態の付勢部材87は、圧縮ばねであり、ベース部材20に押し付けるようにテーブル部材10を付勢する。これにより、付勢部材87は、上述したねじ軸81と移動プレート82との隙間によるテーブル部材10のガタツキを抑制する。
【0039】
詳しくは、付勢部材87は、Z方向において、ねじ軸81と第1直動装置60との間に配置されている。これにより、移動プレート82に、ねじ軸81を支点とし、第1直動装置60を作用点とする回転モーメントが発生する。このため、ベース部材20にテーブル部材10の平面部11が近接するように移動プレート82を付勢することができる。これによって、テーブル部材10の下面をベース部材20の上面に接触させるようにして、テーブル部材10をガイドすることができる。
【0040】
図6及び図7は、本発明の実施形態におけるアライメント装置1の回転動作時の平面図である。
例えば、テーブル部材10を左回転させる場合、図6に示すように、第1アクチュエータ30A1(詳しくは第2直動装置80の移動プレート82、以下同じ)を第1側壁部12Aに近接する方向にm1だけ駆動させ、第1アクチュエータ30A2を第1側壁部12Aに離反する方向にm2だけ駆動させる。
【0041】
そうすると、テーブル部材10は、全体がZθ方向に移動(回転)すると共に、その中心Pが符号Mの方向にずれた状態となる。仮にMの方向が紙面45°方向の場合、図7に示すように、第2アクチュエータ30Bを第2側壁部12Bに近接する方向にm3だけ駆動させると、図6においてずれた中心Pが元の位置にもどり、テーブル部材10の全体が左回転した状態となる。
【0042】
テーブル部材10の右回転は、上述した駆動量は同じで、m1~m3の矢印の向きを逆にすることで可能となる。なお、Mの方向が紙面45°方向の場合でなくとも、以下に説明する平面動作を組み合わせることで、テーブル部材10の中心Pを元の位置に戻すことができる。
【0043】
図8図11は、本発明の実施形態におけるアライメント装置1の平面(水平)動作時の平面図である。
例えば、図8に示すように、第1アクチュエータ30A1,30A2を第1側壁部12Aに近接する方向にm1,m2だけ駆動させ、第2アクチュエータ30Bを第2側壁部12Bに近接する方向にm3だけ駆動させると、テーブル部材10を紙面下方向(Mの方向)に移動させることができる。なお、m1~m3の駆動量は同一である。
【0044】
また、例えば、図9に示すように、第1アクチュエータ30A1,30A2を第1側壁部12Aに離反する方向にm1,m2だけ駆動させ、第2アクチュエータ30Bを第2側壁部12Bに離反する方向にm3だけ駆動させると、テーブル部材10を紙面上方向(Mの方向)に移動させることができる。
【0045】
また、例えば、図10に示すように、第1アクチュエータ30A1,30A2を第1側壁部12Aに近接する方向にm1,m2だけ駆動させ、第2アクチュエータ30Bを第2側壁部12Bに離反する方向にm3だけ駆動させると、テーブル部材10を紙面右方向(Mの方向)に移動させることができる。
【0046】
また、例えば、図11に示すように、第1アクチュエータ30A1,30A2を第1側壁部12Aに離反する方向にm1,m2だけ駆動させ、第2アクチュエータ30Bを第2側壁部12Bに近接する方向にm3だけ駆動させると、テーブル部材10を紙面左方向(Mの方向)に移動させることができる。
【0047】
このように、本実施形態のアライメント装置1によれば、上述した図6図11に示すように、各アクチュエータ30をm1~m3の方向に駆動させ、各アクチュエータ30の駆動の組み合わせによって、テーブル部材10をX、Y、θZ方向に移動できる。また、アクチュエータ30は、他の駆動方向のアクチュエータ30の駆動は第1直動装置60で受け、テーブル部材10の回転は、ねじ軸81と移動プレート82のねじ部のクリアランスで受けるため、回転案内を必要としない。さらに、各アクチュエータ30は、ベース部材20とテーブル部材10との対向領域40の外側に配置されているため、ベース部材20とテーブル部材10との間を非常に薄くでき、スペースに制約されない。
【0048】
したがって、上述した本実施形態によれば、ベース部材20と、ベース部材20と対向するテーブル部材10と、ベース部材20とテーブル部材10との対向領域40の外側から、テーブル部材10の側壁部12を支持すると共に、テーブル部材10に対し、少なくともベース部材20とテーブル部材10とが対向する対向方向(Z方向)と直交する2軸直交方向(X,Y方向)に配置された複数のアクチュエータ30と、を備え、複数のアクチュエータ30のそれぞれは、側壁部12に取り付けられ、2軸直交方向のうち、側壁部12に沿う方向にテーブル部材10を案内する第1直動装置60と、第1直動装置60を支持し、2軸直交方向のうち、側壁部12に近接離反する方向にテーブル部材10を案内すると共に、対向方向に延びる軸回りのテーブル部材10の回転(θZ方向の移動)を許容する隙間が形成された移動体(移動プレート82)及び駆動体(ねじ軸81)を有する第2直動装置80と、を備える、ことによって、少ない部品点数でテーブル部材10をX、Y、θZ方向に移動でき、且つ、テーブル部材10の高さを小さくできるアライメント装置1が得られる。
【0049】
また、本実施形態では、テーブル部材10は、側壁部12として、2軸直交方向のうちの第1方向(X方向)に延びる第1側壁部12Aと、2軸直交方向のうちの第1方向と異なる第2方向(Y方向)に延びる第2側壁部12Bと、を備え、複数のアクチュエータ30は、第1側壁部12Aにおいて第1方向に隙間をあけて取り付けられた一対の第1アクチュエータ30A1,30A2と、第2側壁部12Bに取り付けられた第2アクチュエータ30Bと、を含む。この構成によれば、必要最小限のアクチュエータ30の設置数で、テーブル部材10をX、Y、θZ方向に移動できる。
【0050】
また、本実施形態では、第2直動装置80の駆動体は、ねじ軸81であり、第2直動装置80の移動体は、ねじ軸81の回転により移動する移動プレート82であり、移動プレート82が、第1直動装置60を支持している。この構成によれば、テーブル部材10のθZ方向の移動(回転)をねじ軸81と移動プレート82のねじ部のクリアランスで受けるため、回転案内を必要としない。
【0051】
また、本実施形態では、複数のアクチュエータ30のそれぞれは、テーブル部材10をベース部材20に押し付ける付勢部材87を備える。この構成によれば、ねじ軸81と移動プレート82との間に設定した隙間量による、テーブル部材10のガタツキを防止することができる。
【0052】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0053】
例えば、図12に示す一変形例のように、上述した第1アクチュエータ30A1を、同図に示す他の第1アクチュエータ30A3と置き換えても構わない。図12に示すテーブル部材10は、2軸直交方向のうちの第1方向(X方向)に延びる一対の第1側壁部12Aを備えている。一対の第1側壁部12Aのうち、一方の第1側壁部12Aには、第1アクチュエータ30A2が取り付けられ、他方の第1側壁部12Aには、第1アクチュエータ30A3が取り付けられている。第1アクチュエータ30A3の取付位置は、第1アクチュエータ30A1の取付位置と同一直線L1上に位置し、直線L1は第1アクチュエータ30A2の取付方向に延びる直線L2と平行である。上記構成であっても、上記実施形態と同様に、各アクチュエータ30の駆動方向の組み合わせで、テーブル部材10をX、Y、θZ方向に移動できる。但し、第1側壁部12Aが2つ必要となるので、その分の寸法及び重量は増加する。
【符号の説明】
【0054】
1…アライメント装置、10…テーブル部材、12…側壁部、12A…第1側壁部、12B…第2側壁部、20…ベース部材、30…アクチュエータ、30A1…第1アクチュエータ、30A2…第1アクチュエータ、30B…第2アクチュエータ、40…対向領域、60…第1直動装置、80…第2直動装置、81…ねじ軸、82…移動プレート、87…付勢部材
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12