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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】室内用昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20240815BHJP
【FI】
B66F9/06 B
B66F9/06 M
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020081140
(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公開番号】P2021175686
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-11-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135737
【氏名又は名称】株式会社バンザイ
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】田口 曉穂
(72)【発明者】
【氏名】本田 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】河野 元彦
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-524317(JP,A)
【文献】特開2000-226106(JP,A)
【文献】特開平08-099701(JP,A)
【文献】特開平07-315795(JP,A)
【文献】特開平09-040119(JP,A)
【文献】米国特許第05154569(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/06
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内を移動可能な、上下方向に延びる昇降用枠体と、
該昇降用枠体に沿って上下動する昇降体と、
前記昇降体に設けた作業カゴと、
該作業カゴを、前記昇降体に対して、前後方向に移動させるせり出し機構部とよりなり、
前記せり出し機構部は、
前記昇降体に固定された、水平状に設けられた固定テーブルと、
該固定テーブルに対して、前後方向に移動するよう形成されると共に、該固定テーブル上に、水平状に重ね合わされて設けられた第1の移動テーブルと、
該第1の移動テーブルに対して、前後方向に移動するように形成されると共に、該第1の移動テーブル上に、水平状に重ね合わされて設けられた第2の移動テーブルと、
該第2の移動テーブルに対して、前後方向に移動するように形成されると共に、該第2の移動テーブル上に、水平状に重ね合わされて設けられた最外側の移動テーブルと、
前記固定テーブルの上面に設けられた、前後方向に延びる固定側ラック部と、
前記第1の移動テーブルの上面に設けられた、前後方向に延びる第1のラック部と、
前記第2の移動テーブルの下面に設けられた、前後方向に延びる第2のラック部と、
前記最外側の移動テーブルの下面に設けられた、前後方向に延びる最外側ラック部と、
前記第1の移動テーブルの下面の後側に設けられた、前記固定側ラック部に噛み合う固定側ピニオン部と、
前記第1の移動テーブルの上面の前側に設けられた、前記第2のラック部に噛み合う第1のピニオン部と、
前記第2の移動テーブルの下面の後側に設けられた、前記第1のラック部に噛み合う第2のピニオン部と、
前記第2の移動テーブルの上面の前側に設けられた、前記最外側ラック部に噛み合う回転自在な最外側ピニオン部と、
前記固定側ピニオン部と、前記第1のピニオン部とに掛け渡されて設けられた、前記固定側ピニオン部の回転を、前記第1のピニオン部に伝えるベルト又はチェーンと、
前記第2のピニオン部と、前記最外側ピニオン部とに掛け渡されて設けられた、前記第2のピニオン部の回転を、前記最外側ピニオン部に伝えるベルト又はチェーンと、
前記固定テーブル上に設けた、前記第1の移動テーブルを前記固定テーブルに対して前後方向に移動させる移動手段と
よりなることを特徴とする室内用昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の塗装ブース内などの室内に設けられる、作業員が高所作業を行うための昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型自動車の高所部の塗装や、塗装前の脱脂やマスキングなどの準備作業においては、塗装ブース内に設けた昇降装置に作業員が乗り、該昇降装置により作業員が所望の高さまで上昇し、前記作業を行う。
【0003】
従来においては、前記昇降装置は、例えば、室内の側壁の上端から下方に吊り下げられた支柱と、該支柱を昇降する昇降体と、該昇降体に設けた、作業員が乗る作業カゴ(作業床)と、該作業カゴを、車両側に離接可能とするために、前方にせり出し可能とするせり出し機構部とよりなる。そして、前記昇降体は、ワイヤー駆動やチェーン駆動により昇降するように形成され、また、前記せり出し機構部は、例えば、前記昇降体に設けたX状のリンク機構部を介して、前記作業カゴを連結し、前記X状の一方のリンクの基部を、油圧シリンダー等により上下方向に移動させることにより、前記X状の各リンク間を離接させて、前記作業カゴを前後方向に移動するよう形成していた。
【0004】
また、前記側壁の上部には、水平方向に延びるレールが設けられると共に、前記支柱が該レールに左右方向に移動自在に設けられ、作業員が、広範囲にわたって作業ができるように形成される。
【0005】
そして、作業員が車両の高所を作業する場合には、前記支柱を、前記レールに沿って、所望の位置まで移動させて、前記作業カゴがせり出していない状態で、前記昇降体を、床面まで下げ、そして、前記作業カゴに作業員が乗り、所望の高さまで上昇させて、前記せり出し機構により前記作業カゴを、車両側にせり出して、作業員が、車両の高所を作業できるようにする。
【0006】
例えば、一般の昇降装置としては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-247947号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のせり出し機構部は、前記リンクの基部の移動量に応じて、作業カゴが前後に移動するため、作業カゴのせり出し量を多くするには、前記シリンダー長を長いものとする必要があった。
【0009】
また、前記リンクの基部の上下動量と、作業カゴのせり出し量が一致せず、乗り心地がスムーズでなかった。
【0010】
本発明はこれらの問題点を解消するようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(テーブルが3つの場合の構成)
【0012】
前記の目的を達成すべく、本発明の室内用昇降装置は、室内を移動可能な、上下方向に延びる昇降用枠体と、該昇降用枠体に沿って上下動する昇降体と、前記昇降体に設けた作業カゴと、該作業カゴを、前記昇降体に対して、前後方向に移動させるせり出し機構部とよりなり、前記せり出し機構部は、前記昇降体に固定された、水平状に設けられた固定テーブルと、該固定テーブルに対して、前後方向に移動するよう形成されると共に、該固定テーブル上に、水平状に重ね合わされて設けられた第1の移動テーブルと、該第1の移動テーブルに対して、前後方向に移動するように形成されると共に、該第1の移動テーブル上に、水平状に重ね合わされて設けられた最外側の移動テーブルと、前記固定テーブルの上面に設けられた、前後方向に延びる固定側ラック部と、前記第1の移動テーブルの上面に設けられた、前後方向に延びる第1のラック部と、前記最外側の移動テーブルの下面に設けられた、前後方向に延びる最外側ラック部と、前記第1の移動テーブルの下面の後側に設けられた、前記固定側ラック部に噛み合う固定側ピニオン部と、前記第1の移動テーブルの上面の前側に設けられた、前記固定側ラック部に噛み合う最外側ピニオン部と、前記固定側ピニオン部と、前記最外側ピニオン部とに掛け渡されて設けられた、前記固定側ピニオン部の回転を、前記最外側ピニオン部に伝えるベルト又はチェーンと、前記固定テーブル上に設けた、前記第1の移動テーブルを前記固定テーブルに対して前後方向に移動させる移動手段とよりなることを特徴とする。
【0013】
(テーブルが4つの場合の構成)
【0014】
また、本発明の室内用昇降装置は、室内を移動可能な、上下方向に延びる昇降用枠体と、該昇降用枠体に沿って上下動する昇降体と、前記昇降体に設けた作業カゴと、該作業カゴを、前記昇降体に対して、前後方向に移動させるせり出し機構部とよりなり、前記せり出し機構部は、前記昇降体に固定された、水平状に設けられた固定テーブルと、該固定テーブルに対して、前後方向に移動するよう形成されると共に、該固定テーブル上に、水平状に重ね合わされて設けられた第1の移動テーブルと、該第1の移動テーブルに対して、前後方向に移動するように形成されると共に、該第1の移動テーブル上に、水平状に重ね合わされて設けられた第2の移動テーブルと、該第2の移動テーブルに対して、前後方向に移動するように形成されると共に、該第2の移動テーブル上に、水平状に重ね合わされて設けられた最外側の移動テーブルと、前記固定テーブルの上面に設けられた、前後方向に延びる固定側ラック部と、前記第1の移動テーブルの上面に設けられた、前後方向に延びる第1のラック部と、前記第2の移動テーブルの下面に設けられた、前後方向に延びる第2のラック部と、前記最外側の移動テーブルの下面に設けられた、前後方向に延びる最外側ラック部と、前記第1の移動テーブルの下面の後側に設けられた、前記固定側ラック部に噛み合う固定側ピニオン部と、前記第1の移動テーブルの上面の前側に設けられた、前記第2のラック部に噛み合う第1のピニオン部と、前記第2の移動テーブルの下面の後側に設けられた、前記第1のラック部に噛み合う第2のピニオン部と、前記第2の移動テーブルの上面の前側に設けられた、前記最外側ラック部に噛み合う回転自在な最外側ピニオン部と、前記固定側ピニオン部と、前記第1のピニオン部とに掛け渡されて設けられた、前記固定側ピニオン部の回転を、前記第1のピニオン部に伝えるベルト又はチェーンと、前記第2のピニオン部と、前記最外側ピニオン部とに掛け渡されて設けられた、前記第2のピニオン部の回転を、前記最外側ピニオン部に伝えるベルト又はチェーンと、前記固定テーブル上に設けた、前記第1の移動テーブルを前記固定テーブルに対して前後方向に移動させる移動手段とよりなることを特徴とする。
【0015】
(テーブルが5つ以上の場合の構成)
【0016】
また、本発明の室内用昇降装置は、室内を移動可能な、上下方向に延びる昇降用枠体と、該昇降用枠体に沿って上下動する昇降体と、前記昇降体に設けた作業カゴと、該作業カゴを、前記昇降体に対して、前後方向に移動させるせり出し機構部とよりなり、前記せり出し機構部は、前記昇降体に固定された固定テーブルと、該固定テーブルに対して、4枚以上積み重ねられると共に、各隣接するテーブルの一方に対し、他方が前後方向に移動するよう形成される3枚以上の中間の移動テーブル及び最外側に位置する最外側の移動テーブルと、前記固定テーブル及び、これに隣接する移動テーブルのいずれか一方に設けた、前後方向に延びる固定側ラック部と、他方に設けた、前記固定側ラック部に噛合可能な固定側ピニオン部と、前記中間の移動テーブルのうち、互いに隣接する第1の移動テーブル及び第2の移動テーブルのいずれか一方に設けた、第1のラック部と、他方に設けた、前記第1のラック部に噛合可能な第1のピニオン部と、前記第1の移動テーブル及び、前記第2の移動テーブルのいずれか一方に設けた、第2のラック部と、他方に設けた、前記第2のラック部に噛合可能な第2のピニオン部と、前記最外側の移動テーブル及びこれに隣接する前記中間の移動テーブルのいずれか一方に設けた、前後方向に延びる最外側ラック部と、他方に設けた、前記最外側ラック部に噛合可能な最外側ピニオン部と、前記固定側ピニオン部とこれに隣接する前記第1のピニオンとの間で回転を伝達させる回転伝達手段と、前記中間の移動テーブルのうち、固定のテーブル側から最外側の移動テーブル側に向かって、順次、隣接する移動テーブルにピニオンの回転が伝達されるように設けられた、第2のピニオン部と、これに隣接する第1のピニオン部との間で回転を伝達させる複数の回転伝達手段と、前記最外側のピニオン部と、これに隣接する第2のピニオンとの間で回転を伝達させる回転伝達手段と、前記中間の移動テーブルまたは前記最外側の移動テーブルのうちの少なくとも一つを、前記固定テーブルに対して、前後方向に移動させる移動手段とよりなることを特徴とする。
【0017】
また、前記昇降用枠体は、上下方向に延びる、外周面にネジが形成されたネジ軸を有し、前記移動体には、前記ネジ軸に螺合されるナット部を有し、前記ネジ軸に対して相対的に、前記ナット部を回転させる、又は、前記ナット部に対して相対的に、前記ネジ軸を回転させる回転駆動手段を設け、前記ネジ軸に対して相対的に、前記ナット部を回転させる、又は、前記ナット部に対して相対的に、前記ネジ軸を回転させることにより、前記移動体を、前記昇降用枠体に対して、昇降させることを特徴とする。
【0018】
また、前記回転駆動手段は、ベルト、又は、チェーン、又は、ドライブシャフトであることを特徴とする。
【0019】
また、前記ラックと、これに噛合するピニオンのピッチは、それぞれ同じであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の移動テーブルを用いて、作業カゴをせり出させるため、ピストン長を短くすることができるようになる。また、複数の移動テーブルを用いることにより、せり出し量を大きくとれるようになる。
【0021】
また、ラックと、これに噛合するピニオンのピッチを、それぞれ同じにすることにより、各テーブルが、同じ量ずつ前方へせり出すので、前記作業カゴの移動が安定するようになる。
【0022】
また、各テーブルをラックとピニオンにより移動させることにより、前記押圧シリンダーが停止すれば、全てのテーブルが停止すると共に、固定されるため、安全となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の昇降装置の使用状態を示す概略平面図である。
図2】本発明の昇降装置の使用状態を示す概略側面図である。
図3】本発明の昇降装置の使用状態を示す概略正面図である。
図4】本発明の昇降装置の説明用側面図である。
図5】本発明の昇降装置の説明用正面図である。
図6】本発明の昇降装置の説明用側面図である。
図7】本発明の昇降装置の説明用正面図である。
図8】本発明の昇降装置の説明用側面図である。
図9】本発明の昇降装置の説明用正面図である。
図10】本発明の昇降装置のせり出し機構部の固定テーブルの説明用平面図である。
図11】本発明の昇降装置のせり出し機構部の動作説明用側面図である。
図12】本発明の昇降装置のせり出し機構部の動作説明用側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例1を図1図12によって説明する。
【0026】
(1.本発明の室内昇降装置の説明)
【0027】
(1.1.室内昇降装置の概要の説明)
【0028】
図1図3は、本発明の昇降装置の使用状態の概略図を示し、図4図9は、本発明の昇降装置の説明図を示し、図10は、本発明の昇降装置のせり出し機構部の固定テーブルの一例を示し、図11及び図12は、本発明の昇降装置のせり出し機構部の動作説明図を示す。
【0029】
本発明の室内用昇降装置は、図1図9に示すように、例えば、大型自動車等の車両1等の塗装や準備作業等の作業を行う、密閉される塗装ブース等の室2内に設けられる、上下方向に延びる昇降用枠体3と、該昇降用枠体3に設けた、該昇降用枠体3に沿って上下動する昇降体4と、該昇降体4に設けた作業カゴ5と、該作業カゴ5を、前記昇降体4に対して、前後方向(車両に離接する方向)にせり出させるせり出し機構部6とよりなる。
【0030】
また、前記昇降用枠体3は、例えば、図4図9に示すように、前記室2の壁面2aに、その面が対向して設けられた、矩形状に形成された枠体7と、該枠体7の中央に垂設して固定された、外周面に上下に渡ってネジが形成されたネジ軸(ウォーム軸)8とよりなる。
【0031】
また、図4に示すように、前記枠体7の上部には、前記壁面2aの上部に固定された、水平方向に延びる、例えば、コ字状のレール9内に係合して、水平方向に移動自在なレール用車輪部10を有し、また、前記枠体7の下端には、床面2b上を移動可能な床用車輪部11が設けられ、該枠体7が、図1に示すように、壁面2aに沿って、左右方向に、移動可能に形成される。
【0032】
また、前記昇降体4は、昇降本体12と、該昇降本体12に設けた、前記ネジ軸8に螺合されると共に、該ネジ軸8の軸回りに回転自在なナット部13と、該ナット部13を回転させる、エアモータや油圧モータなどのナット部回転駆動部14とよりなり、また、該昇降本体12に、前記せり出し機構部5が固定され、該せり出し機構部6が、前記昇降本体12の共に、昇降するようになる。
【0033】
(1.2.せり出し機構部の説明)
【0034】
(1.2.1.せり出し機構部が4つのテーブルからなる場合の説明)
【0035】
また、前記せり出し機構部6は、例えば、4つのテーブルから構成される場合、図4図12に示すように、基部を、前記昇降本体12に固定された、水平状に設けられた矩形板状の固定テーブル15と、該固定テーブル15上に、コロ等の回転ローラー30を介して、水平状に重ね合わされて載置され、該固定テーブル15に沿って前後方向に移動するよう形成された矩形板状の第1の移動テーブル16と、該第1の移動テーブル16上に、回転ローラー30を介して、水平状に重ね合わされて載置され、該第1の移動テーブル16に沿って前後方向に移動するよう形成された矩形板状の第2の移動テーブル17と、該第2の移動テーブル17上に、回転ローラー30を介して、水平状に重ね合わされて載置され、該第2の移動テーブル17に沿って前後方向に移動するよう形成された矩形板状の最外側となる移動テーブル18と、前記固定テーブル15上に設けた、前記第1の移動テーブル16を前記固定テーブルに対して前後方向に移動させるピストン部等の前後移動手段19とよりなる。
【0036】
なお、図10中、19aは、シリンダー部、19bは、油圧やエアにより該シリンダー部19aに対して伸縮するピストンロッド部を示し、該ピストンロッド部19bの先端部に、前記第1の移動テーブル16が固定され、該ピストン部により前後移動するようになる。
【0037】
また、前記固定テーブル15の上面には、前後方向に延びる固定側ラック部20が設けられ、また、前記第1の移動テーブル16の上面には、前後方向に延びる第1のラック部21が設けられ、また、前記第2の移動テーブル17の下面には、前後方向に延び第2のラック部22が設けられ、前記最外側の移動テーブル18の下面には、前後方向に延びる最外側ラック部23が設けられる。
【0038】
また、前記第1の移動テーブル16の下面の後側には、前記固定側ラック部20に噛み合う、回転自在な固定側ピニオン部24が設けられ、また、前記第1の移動テーブル16の上面の前側には、前記第2のラック部22に噛み合う、回転自在な第1のピニオン部25が設けられ、また、前記第2の移動テーブル22の下面の後側には、前記第1のラック部21に噛み合う、回転自在な第2のピニオン部26が設けられ、また、前記第2の移動テーブル22の上面の前側には、前記最外側ラック部23に噛み合う、回転自在な最外側ピニオン部27が設けられる。
【0039】
また、前記固定側ピニオン部24と、前記第1のピニオン部25には、前記固定側ピニオン24の回転を、前記第1のピニオン部25に伝えるベルト28が掛け渡されるなど、前記固定側ピニオン部24と、前記第1のピニオン部25との間の回転を伝達する回転伝達手段が設けられる。
【0040】
また、前記第2のピニオン部26と、前記最外側ピニオン部27には、前記第2のピニオン部26の回転を、前記最外側ピニオン部27に伝えるベルト29が掛け渡されるなど、前記第2のピニオン部26と、前記最外側ピニオン部27との間の回転を伝達する回転伝達手段が設けられる。
【0041】
なお、前記固定側ラック部20と、これに噛合する固定側ピニオン部24のピッチと、前記第1のラック部21と、これに噛合する第1のピニオン部25のピッチと、前記第2のラック部22と、これに噛合する第2のピニオン部26のピッチと、前記最外側ラック部23と、これに噛合する最外側ピニオン部27のピットは、それぞれ同じに形成され、すなわち、互いに隣接するテーブル間のせり出し移動量が、それぞれ同じになるように、ラック部と、これに噛合するピニオン部が形成される。
【0042】
なお、前記第1の移動テーブル16及び前記第2の移動テーブル17には、必要に応じて、前記ベルト28、29が貫通するための穴が形成されている。
【0043】
また、前記最外側の移動テーブル23には、前記作業カゴ5が固定されている。
【0044】
なお、図11に示すように、前記固定テーブル15、第1の移動テーブル16、第2の移動テーブル17、最外側の移動テーブル18の前後方向の長さはほぼ同一であり、前記せり出し機構部5をもっとも縮小させた場合には、テーブル1枚分の長さとなる。
【0045】
なお、塗装ブース内など電気が使えないような場合のために、前記室内における駆動アクチュエータは全て、エア式や油圧式などの流体駆動方式とされ、電装品は前記室外に設けられるように形成される。
【0046】
また、前記作業カゴには、各駆動源(流体アクチュエータ)の切り替えバルブを設け、該作業カゴが任意の位置に、上下、前後、左右の移動操作ができるようにしてもよい。
【0047】
なお、前記各テーブルに設けられる、対になる前記ラック部と、これに噛合するピニオン部において、該ラック部、ピニオン部を逆にして、ピニオン部と、ラック部をそれぞれ対応する位置に設けるようにしてもよい。
【0048】
かかる場合、各移動テーブルが同じ方向にそれぞれ移動するように、必要に応じて、2つのピニオン部間を掛け渡すベルトをO状に掛け渡す、あるいは、8の字に掛け渡すようにする。
【0049】
また、前記ピストン部などの前後移動手段19は、第1の移動テーブルを前後に移動させる代わりに、他の移動テーブルを移動させるようにしてもよい。
【0050】
また、前記ネジ軸8を前記昇降用枠体3に固定し、これに螺合したナット部13を、前記昇降体4に対して、回転させて、前記昇降体4を昇降させる代わりに、ナット部13を前記昇降体4に固定し、前記ネジ軸8を前記昇降用枠体3に対して回転させるようにして、前記昇降体4を昇降させるようにしてもよい。
【0051】
(2.本発明の室内用昇降装置の動作の説明)
【0052】
次に、本発明の室内用昇降装置の作用と効果を説明する。
【0053】
本発明においては、まず、前記室2に車両1を入庫し、該車両1を、該室2の壁面2aに、前記車両1の側面が平行となるように位置させる。
【0054】
そして、前記車両1の整備すべき位置まで、前記昇降装置を壁面に沿って移動させさて、作業員が前記作業カゴ5に乗れるようにするために、前記回転駆動部14を駆動させて、前記ナット部13を回転させ、前記昇降体4を最下端まで移動させるようにする。
【0055】
また、前記せり出し機構部6を、図4及び図5に示すように、一番縮めた状態とする。
【0056】
なお、作業員が乗っていない場合には、前記せり出し機構部6を、常時、一番縮めた状態とするようにしてもよい。
【0057】
この状態で、作業員が、作業カゴ5に乗り、前記ナット部13を回転させて、作業カゴ5を所望の位置まで垂直に上昇させるようにする。
【0058】
なお、ネジ軸とナット部を用いて、昇降させることにより、ワイヤーやチェーンを用いて昇降させる昇降装置と比べて、不意の落下を防止することができるようになる。
【0059】
そして、例えば、作業員が操作レバー等により、前記せり出し機構部6を、前方に移動するように操作すれば、前記第1の移動テーブル16を、前記前後移動手段19により、前後移動するようになる。
【0060】
そして、前記第1の移動テーブル16が、前記固定テーブル15に対して、所望量だけ移動すると、前記固定側ラック部20に噛合した前記固定側ピニオン24が所望量回転し、この回転がベルトにより前記第1のピニオン部25に伝わり、該第1のピニオン部25も前記所望量、同じ方向に回転し、該第1のピニオン部25に噛合した前記第2の移動テーブル17が、前記所望量だけ、同じ方向の前方に移動するようになる。
【0061】
また、前記第2の移動テーブル17が前方に前記所望量移動することにより、前記第2のラック部22に噛合した第2のピニオン部26が前記所望量、同じ方向に回転し、この回転が前記最外側ピニオン部27に伝わり、該最外側ピニオン27も前記所望量、同じ方向に回転し、該最外側ピニオン部27に噛合した前記最外側の移動テーブル18が、前記所望量だけ、同じ方向の前方に移動するようなる。
【0062】
なお、前記前後移動手段19により、前記第1の移動テーブル16を後方に移動させる場合は、前記と逆に動くようになる。
【0063】
(1.2.2.せり出し機構部が3つのテーブルからなる場合の説明)
【0064】
前記せり出し機構部5の例は、4つのテーブル、すなわち、一つの固定テーブル15と、一つの最外側の移動テーブル18と、前記固定テーブルと前記最外側の移動テーブルの間に設けられた中間の2つの移動テーブル16、17からなる例を示したが、3つのテーブル、すなわち、一つの固定テーブル15と、一つの最外側の移動テーブル18と、前記固定テーブルと前記最外側の移動テーブルの間に設けられた中間の1つの移動テーブル16からなるようにしてもよい。
【0065】
(1.2.3.せり出し機構部が5つ以上のテーブルからなる場合の説明)
【0066】
また、5以上のテーブル、すなわち、一つの固定テーブル15と、一つの最外側の移動テーブル18と、前記固定テーブル15と前記最外側の移動テーブル18の間に設けられた中間の3つ以上の移動テーブル16からなるようにしてもよい。
【0067】
かかる場合、複数のテーブルのうち、固定テーブルと、最外側の移動テーブルを除いた中間の移動テーブルにおいて、各隣接する移動テーブルを構成する第1の移動テーブルと、第2の移動テーブルに、それぞれ前記第1のラック部と、前記第1のピニオン部と、前記第2のラック部と、前記第2のピニオン部をそれぞれ設けるようにし、そして、前記中間の移動テーブルのうち、固定のテーブル側から最外側の移動テーブル側に向かって、各テーブルの移動が伝達するように、前記第2のピニオン部と、第1のピニオン部とをそれぞれベルト等の回転伝達手段で連結するようにする。
【0068】
(3.本発明の効果)
【0069】
本発明によれば、複数の移動テーブルを用いて、作業カゴをせり出させるため、ピストン長を短くすることができるようになる。
【0070】
また、複数の移動テーブルを用いることにより、せり出し量を大きくとれるようになる。
【0071】
また、ラックと、これに噛合するピニオンのピッチを、それぞれ同じにすることにより、各テーブルが、同じ量ずつ前方へせり出すので、前記作業カゴの移動が安定するようになる。
【0072】
また、各テーブルをラックとピニオンにより移動させることにより、前記押圧シリンダーが停止すれば、全てのテーブルが停止すると共に、固定されるため、安全となる。
【0073】
また、移動テーブルを駆動する駆動源が一つであり、省スペース化を図ることができるようになる。
【0074】
なお、シリンダー部を設けることなく、例えば、前記固定側ピニオン24をモータにより回転させて、前記各テーブルを前後に移動させるようにしてもよい。
【0075】
また、前記駆動の伝達方法としては、タイミングベルトや、チェーンや、ドライブシャフト等を用いて、伝達するようにさせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の室内用昇降装置は、塗装やその準備作業以外に、広告などのラッピング・ステッカー張り作業や、エアコン整備、HVバッテリー整備、高所電装品整備、バン/ウイング整備等の整備にも利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 車両
2 室
2a 壁面
2b 床面
3 昇降用枠体
4 昇降体
5 作業カゴ
6 せり出し機構部
7 枠体
8 ネジ軸
9 レール
10 レール用車輪部
11 床用車輪部
12 昇降本体
13 ナット部
14 回転駆動部
15 固定テーブル
16 第1の移動テーブル
17 第2の移動テーブル
18 最外側の移動テーブル
19 前後移動手段
19a シリンダー部
19b ピストンロッド部
20 固定側ラック部
21 第1のラック部
22 第2のラック部
23 最外側ラック部
24 固定側ピニオン部
25 第1のピニオン部
26 第2のピニオン部
27 最外側ピニオン部
28 ベルト
29 ベルト
30 ローラー

図1
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図3
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図12