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特許7538620付加製造粉末粒子、付加製造粉末粒子を処理する方法、および付加製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】付加製造粉末粒子、付加製造粉末粒子を処理する方法、および付加製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/28 20210101AFI20240815BHJP
   B22F 1/14 20220101ALI20240815BHJP
   B22F 10/34 20210101ALI20240815BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240815BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20240815BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240815BHJP
   B33Y 70/10 20200101ALI20240815BHJP
【FI】
B22F10/28
B22F1/14 600
B22F10/34
B29C64/153
B29C64/314
B33Y10/00
B33Y70/10
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020082889
(22)【出願日】2020-05-09
(65)【公開番号】P2021006658
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】16/429,845
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シンハ, ニシャント クマール
(72)【発明者】
【氏名】プラカシュ, オム
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-529003(JP,A)
【文献】国際公開第2020/212312(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/145844(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109648082(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/14,3/105,3/16,10/28,10/34
B28B 1/30
B29C 64/153,64/314
B33Y 10/00,70/10
C01F 17/241
C04B 35/628
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造のための方法(600)であって、
プラズマ放射(150)で付加製造粉末粒子(410)を処理することと、
付加製造プロセスのレーザエネルギーに前記付加製造粉末粒子(410)を露出することとを含み、前記プラズマ放射(150)で前記付加製造粉末粒子(410)を処理することによって、前記付加製造粉末粒子のレーザエネルギー吸収を高め、
前記プラズマ放射(150)を伴う前記付加製造粉末粒子(410)の表面(110)に前記プラズマ放射(150)で官能基(170)を形成することをさらに含み、前記官能基(170)は、前記付加製造プロセスの前記レーザエネルギーのレーザ波数範囲に対応する分子振動周波数を有する、方法。
【請求項2】
前記プラズマ放射(150)によって前記付加製造粉末粒子(410)を処理することが、前記付加製造粉末粒子(410)を攪拌することを含む、請求項1に記載の方法(600)。
【請求項3】
二酸化炭素レーザで前記レーザエネルギーを生成することをさらに含み、プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することで、前記付加製造粉末粒子の表面にヒドロキシル官能基を形成する、請求項1または2に記載の方法(600)。
【請求項4】
プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記付加製造粉末粒子の攪拌を含むこと、または、前記付加製造粉末粒子(410)の表面(110)に、酸素官能基(172)、カルボキシル官能基(173)、ヒドロキシル官能基(171)、エステル官能基(174)およびエーテル官能基(175)のうち一以上を形成すること、のうち少なくとも1つをなす、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項5】
前記付加製造粉末粒子(410)を処理する前記プラズマ放射(150)のタイプが前記付加製造プロセスのレーザエネルギーのタイプに依存する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項6】
前記付加製造プロセスが選択的レーザ焼結付加製造プロセスである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項7】
表面(110)と、
前記表面(110)上に形成された、付加製造ポリマー粒子(100)のレーザエネルギー吸収を高める、少なくとも1つの官能基(170)とを備え、
0から200ミクロンの直径(199)を有する、付加製造粉末粒子(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの官能基(170)が、所定の波長を有するレーザに対して前記付加製造ポリマー粒子(100)のレーザエネルギー吸収を高めること、または、酸素官能基(172)、カルボキシル官能基(173)、ヒドロキシル官能基(171)、エステル官能基(174)およびエーテル官能基(175)のうち一以上を含むこと、のうち少なくとも1つをなす、請求項7に記載の付加製造粉末粒子(100)。
【請求項9】
金属コア(210)またはセラミックコア(212)をさらに含む、請求項7または8に記載の付加製造粉末粒子(100)。
【請求項10】
前記表面(110)が、ナイロン、ポリアリールエーテルケトン、ポリエチレン、ポリウレタン、またはポリスチレンを含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子(100)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの官能基(170)が、前記少なくとも1つの官能基を有さない他の表面に比べて前記表面(110)の表面張力(109)を高め、前記他の表面が前記表面と類似の材料組成を有する、請求項7から10のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子(100)。
【請求項12】
付加製造粉末粒子(410)を処理するための方法(700)であって、
プラズマ放射(150)に付加製造粉末粒子(410)を露出することであって、前記プラズマ放射(150)が前記付加製造粉末粒子(410)の表面(110)上に、付加製造プロセスのレーザエネルギーによる照射に反応して振動する分子結合を有する官能基(170)を形成する、プラズマ放射(150)に付加製造粉末粒子(410)を露出することと、
前記プラズマ放射(150)に前記付加製造粉末粒子(410)を露出するために、前記付加製造粉末粒子(410)を移動させることと、を含み、
前記官能基(170)は、前記付加製造プロセスの前記レーザエネルギーのレーザ波数範囲に対応する分子振動周波数を有する、方法(700)。
【請求項13】
前記プラズマ放射(150)が、
前記レーザエネルギーの所定のレーザ波数範囲に基づいて前記官能基(170)を形成することと、
前記表面(110)上に、二酸化炭素レーザによる照射に反応して振動する分子結合を有するヒドロキシル官能基(171)を形成することと、のうち1つから選択される、請求項12に記載の方法(700)。
【請求項14】
前記付加製造粉末粒子(100)のそれぞれの表面(110)に形成された官能基(170)を有する各付加製造粉末粒子(100)の部分の、前記プラズマ放射(150)に露出されていない前記付加製造粉末粒子(100)の部分に対する比率が約0.001である、請求項12または13に記載の方法(700)。
【請求項15】
前記プラズマ放射(150)が、酸素官能基(172)、カルボキシル官能基(173)、エステル官能基(174)、ヒドロキシル官能基(171)およびエーテル官能基(175)のうち一以上を形成する、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法(700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的実施形態は、概して、付加製造に関し、より具体的には、指向性エネルギー付加製造およびその粉末粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
一般的に、指向性エネルギー付加製造において、粉末粒子がレーザなどの指向性エネルギー源によって溶融する。指向性エネルギー付加製造の1つのタイプは、粉末粒子がビルドプレート上(または、ビルドプレート上に堆積した粉末粒子の前の層によって形成された粉末床上)に広げられ、次いで、製造物(本明細書では「構造物」と称する)の所望の部分/物品を形成するために、指向性エネルギー源によって溶融する、粉末床製造である(一例は、選択的レーザ焼結すなわち「SLS」である)。指向性エネルギー付加製造の別のタイプは、粉末粒子が堆積ヘッドを通じて供給され、次いで、堆積ヘッドの指向性エネルギー源によって、溶融されてメルトプールになる粉末供給製造である。供給材料コスト(例えば粉末粒子)および指向性エネルギー源の稼働に必要なエネルギー関連コストにより、溶融フィラメント製造などの他の付加製造技術と比較して、指向性エネルギー付加製造に関連するコストは高止まりしている。
【発明の概要】
【0003】
そのため、少なくとも上述の懸念に対処することを目的とした装置及び方法は有用となろう。
【0004】
以下は、本開示による主題の例を非網羅的に列挙したものであり、これらは特許請求されている場合も、されていない場合もある。
【0005】
本開示による主題の一例は、付加製造方法に関し、プラズマ放射で付加製造粉末粒子を処理すること、付加製造プロセスのレーザエネルギーに付加製造粉末粒子を露出することを含み、この場合、プラズマ放射で付加製造粉末粒子を処理することは、付加製造粉末粒子のレーザエネルギー吸収を高める。
【0006】
本開示による主題の別の例は、付加製造粉末粒子に関し、表面および該表面に形成される少なくとも1つの官能基を含み、少なくとも1つの官能基は、付加製造ポリマー粒子のレーザエネルギー吸収を高める。
【0007】
本開示による主題のさらに別の例は、付加製造粉末粒子を処理する方法に関し、該方法は、プラズマ放射に付加製造粉末粒子を露出することを含み、この場合、プラズマ放射は付加製造粉末粒子の表面上に、付加製造プロセスのレーザエネルギーによる照射に反応して振動する分子結合を有する官能基を形成し、かつ、プラズマ放射に付加製造粉末粒子を露出するために、付加製造粉末粒子を移動させることを含む。
【0008】
したがって、本開示の例は一般論として説明し、以下で添付図面を参照するが、それらは必ずしも正寸で描かれているわけではなく、複数の図を通して、類似の参照記号は同一または類似の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示の態様による、付加製造粒子の概略図である。
図1B】本開示の態様による、図1Aの付加製造粒子の概略ブロック図である。
図1C】本開示の態様による、図1Aの付加製造粒子の概略ブロック図である。
図2A】本開示の態様による、付加製造粒子の概略図である。
図2B】本開示の態様による、図2Aの付加製造粒子の概略ブロック図である。
図3】本開示の態様による、プラズマ処理装置の概略ブロック図である。
図4】本開示の態様による、付加製造装置の概略図である。
図5】本開示の態様による、付加製造装置の概略図である。
図6】本開示の態様による、例示的な方法のフロー図である。
図7】本開示の態様による、例示的な方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aおよび2Aを参照すると、付加製造粒子410(図4および5参照)群中の1つの付加製造粉末粒子100が描かれている。指向性エネルギー付加製造において、付加製造粉末粒子410は、指向性エネルギービーム450(例えばレーザ‐図4および5参照)からのエネルギーを吸収して、付加製造粉末粒子410の融点に達する。付加製造粉末粒子410の吸収が増大した場合、付加製造プロセスに関連したエネルギー消費が低下すること、かつ/または、所定量の付加製造粉末粒子410を処理するのに必要な時間が減少することがあろう。本開示の付加製造粉末粒子100は、指向性エネルギー付加製造に関連したコストを削減し得る。例えば、付加製造粉末粒子は、熱及び焼結の挙動の観点からみると、例えば焼結に関しては一般的に最適化されるが、本開示の付加製造粉末粒子100はまた、未修飾の付加製造粉末粒子(または化学的に官能基化されていない粒子)と比較して、指向性エネルギー源451(図4および5参照)からの指向性エネルギービーム450(例えばレーザ、図4および5参照)からのエネルギー吸収に関しては強化される。付加製造粉末粒子100は、少なくとも1つの官能基170が付加製造粉末粒子100の表面110に形成されるということにおいて強化される(すなわち、付加製造粉末粒子100の表面は化学的に官能基化されている。)官能基は、指向性エネルギー源451からの指向性エネルギービーム450によって照射された際、付加製造粉末粒子100のエネルギー吸収を高めるように、使用される指向性エネルギー源の所定のタイプに応じて選択される。
【0011】
付加製造粉末粒子100による指向性エネルギーの(使用される指向性エネルギー源の所定のタイプの一定の波長での)より高い吸収により、化学的に官能基化されていない付加製造粒子の焼結に必要な投入エネルギー密度と比較して、指向性エネルギー源451(図4および5)からのより低い投入エネルギー密度で付加製造粉末粒子410(図4および5)の焼結をもたらし得る。付加製造粉末粒子100による指向性エネルギーの(使用される指向性エネルギー源の所定のタイプの一定の波長での)より高い吸収により、また、付加製造処理時間を減少させ得る。例えば、指向性エネルギー動力源が減少しない場合、指向性エネルギー源の稼働時間がより少ないことにより、コストも削減し得る。
【0012】
本開示の態様は、付加製造粒子410の各々の表面110で少なくとも1つの官能基170の形成を誘導するために、プラズマ放射150で付加製造粒子410(図4および5参照)を処理することを含む付加製造の方法600(図6参照)も提供する。本開示の態様にしたがって、付加製造粒子410(図4および5参照)の表面110に形成されることになっている少なくとも1つの官能基170の一または複数のタイプによって、プラズマ放射150を生成するためのガス330(図3)が選択され得る。本開示の態様は、付加製造粒子410の表面110に少なくとも1つの官能基170の形成を誘導するために、付加製造粒子410(図4および5参照)の処理のための方法700(図7参照)も提供する。
【0013】
図1A、1Bおよび1Cを参照すると、付加製造粒子410(図4および5)は、均一な構成を有する付加製造粉末粒子100を含む。本態様において、付加製造粉末粒子の均一な構成とは、粒子が唯一の基部材料101から形成されるということを意味する。例えば、基部材料はポリマー102(図1B)であってよく、一方、他の態様においては、基部材料はセラミック103(図3)であってもよい。基部材料101がポリマー102である場合、基部材料101(および均一な構成による付加製造粉末粒子100の表面110)は、ナイロン111(例えば、ナイロン-11,ナイロン-12等)、ポリアリールエーテルケトン(例えば、「PEEK」と称されるポリエーテルエーテルケトン)、ポリウレタン113、ポリエチレン114、ポリスチレン115または指向性エネルギー付加製造に適した任意の他のポリマーであり得る。
【0014】
別の態様では、図2Aおよび2Bを参照すると、付加製造粒子410(図4および5)は、層状の構成を有する付加製造粉末粒子100を含む。本態様において、付加製造粉末粒子の層状の構成とは、粒子が基部材料101に塗布されたコーティング200を伴う基部材料101から形成されるということを意味する。例えば、基部材料101は、金属コア210、ポリマーコア211(ポリマー102に類似)またはセラミックコア212であり得る。基部材料101に塗布されたコーティング200は、付加製造粉末粒子100の表面110を形成する。コーティング200(およびそれにより形成される表面110)は、ナイロン111(例えば、ナイロン-11,ナイロン-12等)、ポリアリールエーテルケトン(例えば、「PEEK」と称されるポリエーテルエーテルケトン)、ポリウレタン113、ポリエチレン114、ポリスチレン115または指向性エネルギー付加製造に適した任意の他のポリマーであり得る。本態様では、基部材料101がポリマー211である場合、基部材料101はコーティング200のタイプとは別のタイプのポリマーである(例えば、基部材料101はナイロン111であり得、コーティング200はポリアリールエーテルケトン112であり得る)。
【0015】
図1Aおよび2Aを参照すると、付加製造粉末粒子100は約10ミクロン~約200ミクロンの直径199を有する。他の態様では、直径199は約200ミクロンよりも大きいこと、または約10ミクロンよりも小さいことがあり得る。例えば、付加製造粉末粒子100がポリエチレン、PEEKまたはナイロン11を含む場合、付加製造粉末粒子100は二酸化炭素レーザに対して0.01~0.1の範囲でのエネルギー吸収度を有する。本明細書に提供される例は、二酸化炭素レーザである指向性エネルギービーム450(図4および5)ならびに二酸化炭素レーザ源である指向性エネルギー源451に対して記載されていることに留意されたい。しかし、本開示の態様は、二酸化炭素レーザに限定されるものではなく、任意の好適な指向性エネルギー源451(図4および5)によって生成される任意の好適な指向性エネルギービーム450での使用に適合され得る。
【0016】
さらに図1Aおよび2Aを参照すると、少なくとも1つの官能基170が付加製造粉末粒子100の表面110で形成される。上述のように、少なくとも1つの官能基170は、付加製造ポリマー粒子100のレーザ(例えば指向性エネルギービーム)エネルギー吸収を高める。特に、少なくとも1つの官能基170は、所定の波長を有するレーザ(例えば、図4および5の指向性エネルギービーム450)に対して、付加製造ポリマー粒子100のレーザエネルギー吸収を高める。例示を目的にしたものにすぎないが、二酸化炭素レーザは波数約940 cm-1~約1070cm-1に対応する波長を有する。付加製造粉末粒子100の表面110に形成された少なくとも1つの官能基170は、少なくとも1つの官能基170の振動周波数に基づいて選択され得る。例えば、赤外領域における指向性エネルギー放射(例えば、二酸化炭素レーザ)は、付加製造粉末粒子100によって吸収され得る。付加製造粉末粒子100による指向性エネルギー放射の吸収は、付加製造粉末粒子に存在する官能基の振動による。
【0017】
官能基の特性に応じて、種々の付加製造粉末粒子は指向性エネルギー放射に対して高い吸収または低い吸収を示す。本開示の態様にしたがって、一例として二酸化炭素レーザを使用すると、付加製造粉末粒子100の表面に誘導されるように選択された少なくとも1つの官能基170は、実質的に二酸化炭素レーザの振動波数の範囲内の振動周波数を有する。例えば、ヒドロキシル官能基171が選択されることがあり、約1100cm-1の振動波数を有し、二酸化炭素レーザ放射の吸収増大を示し得る。選択され得る他の官能基のタイプとしては、酸素官能基172、カルボキシル官能基173、エステル官能基174および/またはエーテル官能基175を含むが、それらに限定されるものではない。加えて、付加製造粉末粒子100の表面は、酸素官能基172、カルボキシル官能基173、ヒドロキシル官能基171、エステル官能基174およびエーテル官能基175のうち一以上を含むように、化学的に官能基化され得る。
【0018】
付加製造粉末粒子100のエネルギー吸収の増大は、付加製造粉末粒子410(図4および5)の溶融/融解のためのエネルギー必要量を削減し得る。例えば、約60ミクロンの直径、PEEK(例えば、ポリアリールエーテルケトン112ファミリー材料からなる材料)から形成された表面110を有し、(例えば、少なくともヒドロキシル官能基171を形成するために)表面110が空気プラズマで処理された付加製造粉末粒子100を使用すると、付加製造粉末粒子410(図4および5)を溶融/融解するのに必要なエネルギーは、約7%だけ削減され得る。例えば、ヒドロキシル官能基171のC-OH結合の振動によるエネルギー吸収Evibは、
vib=hc/λ
ここで、hはプランク定数、cは光速、λは指向性エネルギービーム450(図4および5)の波長である。この例では、波長(例えば、、約9.4~約10.6ミクロン)は二酸化炭素レーザの波長である。ここで、Evibは約12kJ/molである。約288のモノマー重量を有するPEEKの場合、空気プラズマ処理は、PEEKモノマー当たり約3個のヒドロキシル官能基171(例えば、約17gm/mol)を生成する。少なくとも1つの官能基(この場合、ヒドロキシル官能基171)は、約10nm以下の深さ(例えば、プラズマ処理の処理深度)まで付加製造粉末粒子100の表面110に形成される。ここで、付加製造粉末粒子100のそれぞれの表面110に形成された官能基を有する各付加製造粉末粒子100の部分の、プラズマ放射に露出されていない付加製造粉末粒子の部分に対する比率は、約0.001である(例えば、約60ミクロンの直径を有する付加製造粉末粒子100の体積全体の約0.1%である)。本開示のPEEK付加製造粉末粒子410 1gmの場合、Evibは実質的に、
vib=0.1%*2.11kJ=0.00211kJ
【0019】
従来のPEEK付加製造粉末粒子1gmの融解熱は、約0.033kJである。よって、本開示のPEEK付加製造粉末粒子410の融解熱の減少率は、従来のPEEK付加製造粉末粒子よりも約7%少ない。本明細書に記載のように融解熱の減少は、指向性エネルギー源451および指向性エネルギービーム450(図4および5)に関して必要となる電力の削減、および/または、付加製造処理時間の短縮をもたらす。
【0020】
上述したように、少なくとも1つの官能基(この場合、ヒドロキシル官能基171)は、約10nm以下の深さ(例えば、プラズマ処理の処理深度)まで付加製造粉末粒子100の表面110に形成される。約10nm以下の深さへのプラズマ処理の適用は、少なくとも1つの官能基を有していない別の表面と比較すると、少なくとも1つの官能基170には表面110の表面張力109の増加をもたらす。この場合、他の表面は該表面と同様の材料組成を有している。表面張力109の増加は、本開示の態様により、表面110が化学的に官能基化されていない場合にネック550が形成されるよりも早く形成するように、付加製造粒子410(図4および5)において接触している付加製造粉末粒子100の間にネック550(図5参照)をもたらす。
【0021】
図1A、2Aおよび3を参照すると、本明細書にも記載のように、付加製造粉末粒子410に形成される官能基170のタイプに応じて、あるいは基づいて、付加製造粉末粒子410(図4および5)のプラズマ処理を行うように、ガス330(図3)が選択される。本明細書に記載の官能基170のタイプは、例えば、付加製造プロセスにおいて使用される指向性エネルギービーム450の波数/波長範囲に基づいて選択される(すなわち、ガス330は、振動励起モードが、使用されている指向性エネルギービーム450の周波数に対応する官能基170を誘導すべきである)。振動励起モードが、使用されている指向性エネルギービーム450の周波数に対応する官能基170を生成するためのガス330の選択(例えばガスのタイプ)は、指向性エネルギービーム450を動作するために必要な動力/エネルギーを低減させ、かつ/または化学的に官能基化されていない付加製造粉末粒子と比較して付加製造処理時間を減少させ得る。例えば、二酸化炭素レーザなどを用いて、付加製造処理用に少なくともヒドロキシル官能基171を形成するには、空気プラズマを生成する任意の好適なプラズマ処理装置300での使用に、空気が選択されてもよい。空気プラズマは、プラズマ処理装置300の任意の好適なプラズマ発生器310で生成され得る。
【0022】
図1A、2A、4、5および6を参照すると、付加製造のための方法600は、プラズマ放射150で付加製造粉末粒子410を処理することを含む(図6、ブロック610)。付加製造粉末粒子410は、個々の製造粉末粒子100の表面110に生成される官能基170のタイプ(例えば、レーザエネルギー/上述の付加製造プロセスの指向性エネルギービームのタイプ)に応じて選択されたガス330によって、任意の好適なプラズマ処理装置300内で処理される。一態様では、付加製造粒子410は、プラズマ放射150による処理中に、移動または攪拌される。例えば、プラズマ処理装置300は、個々の製造粉末粒子100を攪拌または移動させる任意の好適なアジテータ(例えば、機械振動子、流体攪拌、超音波振動子等)を含み、その結果、付加製造粉末粒子100の1つ1つ(あるいは、少なくともそのいくつかまたはほとんど)の表面110のほぼ全体(あるいは一部または大部分)がプラズマ放射150に露出される。プラズマ放射150で付加製造粉末粒子410を処理することにより、個々の付加製造粉末粒子100の表面110に官能基170が形成される。本明細書に記載の官能基170は、付加製造プロセスのレーザエネルギー/指向性エネルギービーム450のレーザ波数範囲に対応した分子振動周波数を有する。プラズマ放射150で付加製造粉末粒子410を処理することにより、個々の付加製造粉末粒子100の表面110に、酸素官能基172、カルボキシル官能基173、ヒドロキシル官能基171、エステル官能基174およびエーテル官能基175のうち一以上が形成される。
【0023】
図1A、2A、4、5および6をさらに参照すると、方法600は付加製造プロセスのレーザエネルギー(例えば指向性エネルギービーム450)に付加製造粉末粒子410を露出することをさらに含む(図6、ブロック620)。上述のように、プラズマ放射150で付加製造粉末粒子410を処理することは、付加製造粉末粒子410のレーザエネルギー吸収を高める。一態様では、付加製造プロセスは、粉末床付加製造装置400(図4)によってもたらされる粉末床付加製造プロセスで実行される選択的レーザ焼結プロセスである。例示的目的のために、粉末床付加製造装置400は、その上に粉末散布機430がホッパ440からの付加製造粉末粒子410を散布する粉末床420を含む。ホッパ440は、粉末散布機430による抽出のために粉末を上昇させるエレベータ441を含む。付加製造部分470を形成するために、粉末散布機430によって粉末床420に堆積されたあるいは散布された付加製造粉末粒子410は、指向性エネルギー源451からの指向性エネルギービーム450によって焼結する。別の態様では、付加製造プロセスは、粉末供給付加製造装置500(図5)で実行される指向性エネルギー堆積製造プロセスである。本態様において、粉末供給付加製造装置500は支持台501を含む。任意の好適な基板505が支持台501に置かれる。粉末供給付加製造装置500の堆積ヘッド510(自由度3のガントリ525上で動くように取り付けられている)が任意の好適なホッパ515から付加製造粉末粒子410を受け取り、基板505に向かって付加製造粉末粒子410を放出する。付加製造粉末粒子410が放出される際、付加製造された部分570を形成するために、堆積ヘッド510の指向性エネルギービーム450は、付加製造粉末粒子410を基板505(または堆積ヘッド510によって予め堆積された材料の層)上で溶融してメルトプールにする。粉末供給付加製造装置500は、堆積材料の凝固に先立って、堆積材料を成形/圧縮する平滑化ヘッド535を含み得る。一態様では、指向性エネルギービーム450は二酸化炭素レーザ源451によって生成され、付加製造粉末粒子410は付加製造粉末粒子410の表面110の少なくともヒドロキシル官能基171で化学的に官能基化されている。一方、他の態様では、指向性エネルギービームは、任意の好適な指向性エネルギー源によって生成されることがあり、付加製造粉末粒子は使用されている指向性エネルギー源に対応する官能基で化学的に官能基化され得る。
【0024】
図1A、2A、4、5および7を参照すると、付加製造粉末粒子410を処理する方法700は、プラズマ放射150へ付加製造粉末粒子410を露出することを含む(図7、ブロック710)。本明細書に記載のプラズマ放射150は、付加製造粉末粒子410の表面110に官能基170を形成する。官能基170は、フリーラジカルに基づく放射化、プラズマ誘導グラフト重合または他の任意の好適な手段によって形成され得る。官能基170は、上述のような付加製造プロセスの指向性エネルギービーム450などのレーザエネルギーによる照射に反応して振動する分子結合を有する。プラズマ放射150は、レーザエネルギー/指向性エネルギービーム450の所定のレーザ波数範囲によって官能基170を形成するように選択される。一態様では、プラズマ放射150は、表面110上に、二酸化炭素レーザによる照射に反応して振動する分子結合を有する少なくともヒドロキシル官能基171を形成するように選択される。他の態様では、プラズマ放射150は、酸素官能基172、カルボキシル官能基173、エステル官能基174、ヒドロキシル官能基171およびエーテル官能基175のうち一以上を形成する。上述のように、付加製造粉末粒子410が露出されるプラズマ放射150のタイプは、付加製造プロセスのレーザエネルギーのタイプに依存する。一態様では、付加製造粉末粒子410が露出されるプラズマ放射150のタイプは、本明細書に記載のような選択的レーザ焼結付加製造プロセスに基づいて選択される。
【0025】
方法700は、プラズマ放射150へ付加製造粉末粒子410を露出するために、付加製造粉末粒子410を移動させることも含む(図7、ブロック720)。本明細書に記載の付加製造粒子410はプラズマ処理装置300(図3)で処理され、プラズマ放射150に個々の付加製造粉末粒子100のそれぞれの表面110を実質的に露出するために、アジテータ320(図3)によって攪拌または移動される。
【0026】
本開示の態様にしたがって、以下が提供される。
【0027】
A1.付加製造のための方法であって、
プラズマ放射で付加製造粉末粒子を処理することと、
付加製造プロセスのレーザエネルギーに前記付加製造粉末粒子を露出することと、を含み、前記プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することによって、前記付加製造粉末粒子のレーザエネルギー吸収を高める、方法。
【0028】
A2.前記プラズマ放射を伴う前記付加製造粉末粒子の表面に前記プラズマ放射で官能基を形成することをさらに含む、項目A1に記載の方法。
【0029】
A3.前記官能基が前記付加製造プロセスの前記レーザエネルギーのレーザ波数範囲に対応する分子振動周波数を有する、項目A2に記載の方法。
【0030】
A4.前記付加製造粉末粒子のそれぞれの表面に形成された官能基を有する各付加製造粉末粒子の部分の、前記付加製造粉末粒子の未処理の部分に対する比率が約0.001である、項目A2に記載の方法。
【0031】
A5.前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記付加製造粉末粒子と同様の材料組成を有する未処理の付加製造粉末粒子と比較して、前記付加製造粉末粒子の表面張力を高める、項目A1からA4のいずれか一項に記載の方法。
【0032】
A6.プラズマ放射によって前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記付加製造粉末粒子を攪拌することを含む、項目A1からA5のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
A7.前記付加製造粉末粒子を処理するプラズマ放射のタイプは、前記付加製造プロセスのレーザエネルギーのタイプに依存する、項目A1からA6のいずれか一項に記載の方法。
【0034】
A8.前記レーザエネルギーの所定のレーザ波数範囲に応じて、前記付加製造粉末粒子の表面に官能基を形成するように、前記プラズマ放射が選択される、項目A1からA6のいずれか一項に記載の方法。
【0035】
A9.前記付加製造プロセスが選択的レーザ焼結付加製造プロセスである、項目A1からA8のいずれか一項に記載の方法。
【0036】
A10.プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記プラズマ放射に個々の付加製造粉末粒子のそれぞれの表面を露出することを含む、項目A1からA9のいずれか一項に記載の方法。
【0037】
A11.粉末粒子がポリマー粉末粒子である、項目A1からA10のいずれか一項に記載の方法。
【0038】
A12.粉末粒子がポリマーによって被覆された金属粉末粒子である、項目A1からA10のいずれか一項に記載の方法。
【0039】
A13.前記粉末粒子がセラミック粉末粒子である、項目A1からA10のいずれか一項に記載の方法。
【0040】
A14.粉末粒子がポリマーによって被覆されたセラミック粉末粒子である、項目A1からA10のいずれか一項に記載の方法。
【0041】
A15.前記プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記付加製造粉末粒子の表面にエステル官能基を形成する、項目A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0042】
A16.前記プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記付加製造粉末粒子の表面に酸素官能基を形成する、項目A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0043】
A17.前記プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記付加製造粉末粒子の表面にカルボキシル官能基を形成する、項目A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
A18.前記プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記付加製造粉末粒子の表面にヒドロキシル官能基を形成する、項目A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
A19.前記プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記付加製造粉末粒子の表面にエーテル官能基を形成する、項目A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0046】
A20.前記プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することが、前記付加製造粉末粒子の表面に、酸素官能基、カルボキシル官能基、ヒドロキシル官能基、エステル官能基およびエーテル官能基のうち一以上を形成する、項目A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0047】
A21.二酸化炭素レーザでレーザエネルギーを生成することをさらに含み、前記プラズマ放射で前記付加製造粉末粒子を処理することは、前記付加製造粉末粒子の表面にヒドロキシル官能基を形成する、項目A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0048】
B1.表面と、
前記表面上に形成された、付加製造ポリマー粒子のレーザエネルギー吸収を高める、少なくとも1つの官能基とを備える、付加製造粉末粒子。
【0049】
B2.前記少なくとも1つの官能基が、所定の波長を有するレーザに対して、前記付加製造ポリマー粒子のレーザエネルギー吸収を高める、項目B1に記載の付加製造粉末粒子。
【0050】
B3.金属コアをさらに備える、項目B1またはB2に記載の付加製造粉末粒子。
【0051】
B4.セラミックコアをさらに備える、項目B1またはB2に記載の付加製造粉末粒子。
【0052】
B5.前記表面がナイロンを含む、項目B1からB4のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0053】
B6.前記表面がポリアリールエーテルケトンを含む、項目B1からB4のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0054】
B7.前記表面がポリエチレンを含む、項目B1からB4のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0055】
B8.前記表面がポリウレタンを含む、項目B1からB4のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0056】
B9.前記表面がポリスチレンを含む、項目B1からB4のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0057】
B10.約10~200ミクロンの直径を有する、項目B1からB9のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0058】
B11.前記少なくとも1つの官能基は、前記表面から約10nm以下の深さまで形成される、項目B1からB10のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0059】
B12.前記少なくとも1つの官能基は、他の表面が前記表面に対して同様の材料組成を有する場合、前記少なくとも1つの官能基を有していない前記他の表面と比較して、前記表面の表面張力を高める、項目B1からB11のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0060】
B13.前記少なくとも1つの官能基が、エステル官能基を含む、項目B1からB12のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0061】
B14.前記少なくとも1つの官能基が、酸素官能基を含む、項目B1からB12のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0062】
B15.前記少なくとも1つの官能基が、カルボキシル官能基を含む、項目B1からB12のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0063】
B16.前記少なくとも1つの官能基が、ヒドロキシル官能基を含む、項目B1からB12のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0064】
B17.前記少なくとも1つの官能基が、エーテル官能基を含む、項目B1からB12のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0065】
B18.前記少なくとも1つの官能基が、酸素官能基、カルボキシル官能基、ヒドロキシル官能基、エステル官能基およびエーテル官能基のうち一以上を含む、項目B1からB12のいずれか一項に記載の付加製造粉末粒子。
【0066】
C1.付加製造粉末粒子を処理する方法であって、
プラズマ放射が前記付加製造粉末粒子の表面上に、付加製造プロセスのレーザエネルギーによる照射に反応して振動する分子結合を有する官能基を形成する場合、プラズマ放射に前記付加製造粉末粒子を露出すること、および
前記プラズマ放射に前記付加製造粉末粒子を露出するために、前記付加製造粉末粒子を移動させることを含む、方法。
【0067】
C2.前記プラズマ放射が前記レーザエネルギーの所定のレーザ波数範囲に応じて前記官能基を形成するように選択される、項目C1に記載の方法。
【0068】
C3.前記付加製造粉末粒子を移動させることが、前記プラズマ放射に個々の付加製造粉末粒子のそれぞれの表面を露出する、項目C1またはC2に記載の方法。
【0069】
C4.前記付加製造粉末粒子のそれぞれの表面に形成された官能基を有する各付加製造粉末粒子の部分の、前記プラズマ放射に露出されていない前記付加製造粉末粒子の部分に対する比率が約0.001である、項目C1からC3のいずれか一項に記載の方法。
【0070】
C5.プラズマ放射に前記付加製造粉末粒子を露出することが、前記付加製造粉末粒子に類似した材料組成を有する未処理の付加製造粉末粒子に対する前記付加製造粉末粒子の表面張力を高める、項目C1からC4のいずれか一項に記載の方法。
【0071】
C6.前記付加製造粉末粒子が露出される前記プラズマ放射のタイプが、前記付加製造プロセスのレーザエネルギーのタイプに依存する、項目C1からC5のいずれか一項に記載の方法。
【0072】
C7.前記付加製造粉末粒子が露出される前記プラズマ放射のタイプが、選択的レーザ焼結付加製造プロセスに基づいて選択される、項目C1からC5のいずれか一項に記載の方法。
【0073】
C8.前記付加製造粉末粒子を移動させることが、付加製造粉末粒子を攪拌することを含む、項目C1からC7のいずれか一項に記載の方法。
【0074】
C9.粉末粒子がポリマー粉末粒子である、項目C1からC8のいずれか一項に記載の方法。
【0075】
C10.粉末粒子がポリマーによって被覆された金属粉末粒子である、項目C1からC8のいずれか一項に記載の方法。
【0076】
C11.前記粉末粒子がセラミック粉末粒子である、項目C1からC8のいずれか一項に記載の方法。
【0077】
C12.粉末粒子がポリマーによって被覆されたセラミック粉末粒子である、項目C1からC8のいずれか一項に記載の方法。
【0078】
C13.前記プラズマ放射が、前記表面上に、二酸化炭素レーザによる照射に反応して振動する分子結合を有するヒドロキシル官能基を形成するように選択される、項目C1からC12のいずれか一項に記載の方法。
【0079】
C14.前記プラズマ放射が、前記付加製造ポリマー粉末粒子の前記表面上に酸素官能基を形成する、項目C1からC12のいずれか一項に記載の方法。
【0080】
C15.前記プラズマ放射が、前記付加製造粉末粒子の前記表面上にカルボキシル官能基を形成する、項目C1からC12のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
C16.前記プラズマ放射が、前記付加製造粉末粒子の前記表面上にヒドロキシル官能基を形成する、項目C1からC12のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
C17.前記プラズマ放射が、前記付加製造粉末粒子の前記表面上にエーテル官能基を形成する、項目C1からC12のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
C18.前記プラズマ放射が、酸素官能基、カルボキシル官能基、エステル官能基、ヒドロキシル官能基およびエーテル官能基のうち一以上を形成する、項目C1からC12のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
C19.前記プラズマ放射が、前記付加製造粉末粒子の前記表面にエステル官能基を形成する、項目C1からC12のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
上述の図において、様々な要素および/または構成要素を連結する実線が存在する場合、これらの実線は、機械的、電気的、流体的、光学的、電磁的、無線およびその他の連結、ならびに/またはこれらの組み合わせを表し得る。本明細書における「連結され(coupled)」とは、直接的および間接的に関連付けられていることを意味する。例えば、部材Aは部材Bに直接的に関連付けられるか、あるいは、例えば別の部材Cを介して間接的に関連付けられ得る。様々な開示された要素間のすべての関係が必ずしも表されているわけではないことが理解されるであろう。そのため、図面に示されているもの以外の連結も存在し得る。様々な要素および/または構成要素を指し示すブロック同士を接続する破線が存在する場合、これらの破線は、機能および目的の点で実線によって表されているものに類似した連結を表す。しかし、破線によって表された連結は、選択的に提供されるか、または、本開示の代替例に関連するかの、いずれかであり得る。同様に、破線で表された要素および/または構成要素が存在する場合、それらは本開示の代替例を示す。実線および/または破線で示されている一以上の要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の実施例から省略してもよい。環境的な要素が存在する場合、それらは点線で表される。仮想的な(架空の)要素も、明確性のために示され得る。図に示す特徴の一部は、図や他の図面、および/またはそれらに伴う開示において説明されている他の特徴を含むことを必要とせずに、様々な方法で組み合わせることができるが、このような一または複数の組み合わせは、本明細書では明示的に示されていないことを、当業者は理解するであろう。同様に、提示されている実施例に限定されない追加的な特徴が、本明細書で示されかつ記載されている特徴のうちのいくつかまたはすべてと組み合わされてもよい。
【0086】
上記の図6および7では、ブロックは動作および/またはその一部を表すことが可能であり、様々なブロックを接続する線は、動作またはその一部のいかなる特定の順番または従属関係も示唆しない。破線で示されるブロックは、代替的な工程および/またはその一部を示す。様々なブロックを接続する破線がある場合、その破線は、工程またはその一部の代替的な従属関係を表す。様々な開示された工程間のすべての従属関係が必ずしも表されるわけではないことが理解されよう。本明細書に明記された一または複数の方法の工程を記載している図6および7、ならびに付随する開示は、必ずしも工程が実行されるべき順序を決定付けていると解釈すべきではない。むしろ、ある例示的な順番が示されているが、工程の順序は、適切な場合に修正することができることを理解されたい。したがって、ある特定の工程は、別の順番で、または実質的に同時に実行されてもよい。加えて、必ずしも記載されている全工程を実行する必要はないことを、当業者は理解するであろう。
【0087】
以下の説明において、開示された概念の完全な理解をもたらすために、多数の特定の詳細が明記されるが、その概念はこれらの特定事項の一部またはすべてがなくとも実施され得る。他の事例においては、開示を不必要に分かりにくくすることを避けるために、既知のデバイスおよび/またはプロセスの詳細が省略されている。一部の概念は特定の実施例と併せて説明されることになるが、これらの実施例は、限定を目的とするものではないことが理解されよう。
【0088】
別途指示されない限り、「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語は、本明細書では単に符号として使用されており、順序的、位置的、または序列的な要件をこれらの用語が指し示すアイテムに課すことを意図するものではない。さらに、例えば「第2」のアイテムへの言及は、例えば「第1」のアイテムもしくはより小さい数が振られたアイテム、および/または、例えば「第3」のアイテムもしくはより大きな数が振られたアイテムの存在を、必要とすることも、排除することもない。
【0089】
本明細書における「一実施例」への言及は、その実施例に関連して説明される一以上の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実行形態に含まれることを意味する。明細書内で頻出する「一実施例」という表現は、同一の実施例を表すこともあり、または同一の実施例を表さないこともある。
【0090】
本明細書において、特定の機能を実行するように「構成された(configured to)」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、実際には、いかなる変更も伴わずにその特定の機能を実行することが可能であり、さらなる改変の後にその特定の機能を実行する可能性があるにすぎないというものではない。言い換えると、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、その特定の機能を実行するという目的のために、特に選択、創出、実装、利用、プログラミング、かつ/または設計される。本明細書で使用される場合、「ように構成された」という表現は、システム、装置、構造物、物品、要素、構成要素またはハードウェアがさらなる改変なしで特定の機能を実行することを可能にする、システム、装置、構造物、物品、要素、構成要素またはハードウェアの存在する特性を意味する。この開示において、特定の機能を実行する「ように構成されている」と説明されているシステム、装置、構造物、物品、要素、構成要素またはハードウェアは、追加的または代替的には、その機能を実行するよう「適合している(adapted to)」、および/または、実施するよう「動作可能である(operative to)」とも説明され得る。
【0091】
本明細書で開示された装置および方法の種々の実施例は、多種多様な構成要素、特徴および機能を含む。本明細書で開示されている装置および方法の様々な実施例は、それ以外の本明細書で開示されている装置および方法の実施例のうち任意のものの、任意の構成要素、特徴および機能を、任意の組み合わせにおいて含む可能性があること、および、かかる可能性はすべて本開示の範囲に含まれることが意図されていることを、理解すべきである。
【0092】
上記の説明および添付図面に提示された教示を利用して、本開示が関係する当業者には、本明細書に明記された実施例の多数の改変例が、想起されるであろう。
【0093】
したがって、本開示は例示された特定の実施例に限定されることがないことと、改変例及びその他の実施例は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることとを理解されたい。さらに、上述の説明および関連図面は、要素および/または機能のある例示的な組み合わせに照らして本開示の例を説明しているが、付随する特許請求の範囲から逸脱しなければ、代替的な実行形態によって、要素および/または機能の種々の組み合わせが提供され得ることを、理解するべきである。そのため、付随する特許請求の範囲に記載されたカッコ内の参照番号は、例示のためだけに提示されており、特許請求される主題の範囲を、本開示で提供されている特定の例に限定することを意図するものではない。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7