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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-14
(45)【発行日】2024-08-22
(54)【発明の名称】プリンタシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240815BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240815BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240815BHJP
【FI】
G06F3/12 324
B41J29/38 203
G06F3/12 303
G06F3/12 371
G06F3/12 329
G06F3/12 385
G06Q30/0601 330
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020141589
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037446
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 倫靖
(72)【発明者】
【氏名】原 翔吾
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117114(JP,A)
【文献】特開2017-126130(JP,A)
【文献】特開2020-046720(JP,A)
【文献】特開2002-133278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00- 29/70
H04N 1/00
G06Q 30/0601
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客を識別するための識別情報を取得してサーバに送信し、前記顧客に対するレコメンド情報を前記サーバから取得して出力するプリンタと、
前記プリンタから取得した識別情報により識別される顧客の属性情報および行動履歴情報の少なくとも一方に基づいて、位置情報を含むレコメンド情報を生成して前記プリンタに送信するサーバと、を備え
前記サーバは、前記レコメンド情報が前記顧客に発行された後に、前記発行されたレコメンド情報に関連する前記顧客の行動履歴情報を取得し、
前記サーバは、前記発行されたレコメンド情報に関連付けられた前記顧客の行動のタイミングの後に、前記発行されたレコメンド情報の発行タイミングおよび前記顧客の行動のタイミングに基づいて、新たなレコメンド情報を生成し、
前記プリンタは、前記新たなレコメンド情報を前記サーバから取得して出力するプリンタシステム。
【請求項2】
前記サーバは、商品の在庫情報および役務の予定情報の少なくとも一方に基づいて、商品または役務を示す情報と、前記商品または役務が得られる位置に関する位置情報とを含むレコメンド情報を生成して前記プリンタに送信する請求項1に記載のプリンタシステム。
【請求項3】
前記サーバは、前記商品または役務が得られる店舗の位置、前記商品または役務が得られる店舗内の詳細位置、前記商品または役務が得られる店舗がある施設の位置、および、前記商品または役務が得られる施設内の詳細位置の少なくとも一つを示す位置情報を含むレコメンド情報を生成して前記プリンタに送信する請求項2に記載のプリンタシステム。
【請求項4】
前記サーバは、前記識別情報を利用する複数の店舗における前記顧客の行動履歴情報に基づいて、前記プリンタが設置される店舗、または、前記プリンタが設置される店舗とは別の店舗に関するレコメンド情報を生成して前記プリンタに送信する請求項1から3のいずれか一項に記載のプリンタシステム。
【請求項5】
前記サーバは、前記識別情報を利用する複数の施設内の複数の店舗における前記顧客の行動履歴情報に基づいて、前記プリンタが設置される店舗がある施設と同じ施設内の別の店舗、または、前記プリンタが設置される店舗がある施設とは別の施設内の店舗に関するレコメンド情報を生成して前記プリンタに送信する請求項1から3のいずれか一項に記載のプリンタシステム。
【請求項6】
前記サーバは、前記プリンタが設置される店舗が提供する商品または役務と同じ商品または役務を提供する別の店舗、または、前記プリンタが設置される店舗が提供する商品または役務とは異なる商品または役務を提供する別の店舗に関するレコメンド情報を生成して前記プリンタに送信する請求項1から5のいずれか一項に記載のプリンタシステム。
【請求項7】
前記サーバは、前記プリンタが設置される店舗と提携する別の店舗に関するレコメンド情報を生成して前記プリンタに送信する請求項1から6のいずれか一項に記載のプリンタシステム。
【請求項8】
前記サーバは、前記識別情報を利用する施設内における前記顧客の行動履歴情報に基づいて、前記施設または前記施設内の店舗に関するレコメンド情報を生成して前記プリンタに送信する請求項1から7のいずれか一項に記載のプリンタシステム。
【請求項9】
前記行動履歴情報は、店舗での顧客の予約に関する情報、および店舗での顧客への試供品提供に関する情報の少なくとも一つを含む請求項1から8のいずれか一項に記載のプリンタシステム。
【請求項10】
前記プリンタは、前記顧客に対するレコメンド情報の出力選択画面を表示し、前記出力選択画面は、前記レコメンド情報の印刷、前記レコメンド情報の画面表示および前記レコメンド情報の顧客端末への送信のいずれかを選択可能である請求項1から9のいずれか一項に記載のプリンタシステム。
【請求項11】
顧客を識別するための識別情報をプリンタから取得する機能と、
前記取得した識別情報により識別される顧客の属性情報および行動履歴情報の少なくとも一方に基づいて、位置情報を含むレコメンド情報を生成する機能と、
前記生成したレコメンド情報を前記プリンタに送信する機能と、
前記レコメンド情報が前記顧客に発行された後に、前記発行されたレコメンド情報に関連する前記顧客の行動履歴情報を取得する機能と、
前記発行されたレコメンド情報に関連付けられた前記顧客の行動のタイミングの後に、前記発行されたレコメンド情報の発行タイミングおよび前記顧客の行動のタイミングに基づいて、新たなレコメンド情報を生成する機能と、
前記生成した新たなレコメンド情報を前記プリンタに送信する機能と、をコンピュータに実現させるプログラム。
【請求項12】
顧客を識別するための識別情報を取得してサーバに送信する機能と、
前記顧客に対する位置情報を含むレコメンド情報を前記サーバから取得する機能と、
前記顧客に対するレコメンド情報の出力選択画面であって、前記レコメンド情報の印刷、前記レコメンド情報の画面表示および前記レコメンド情報の顧客端末への送信のいずれかを選択可能である出力選択画面を表示する機能と、
前記出力選択画面における選択操作に応じて前記レコメンド情報を出力する機能と、をコンピュータに実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店などの店舗では、顧客向けにクーポンを発行するためのプリンタが利用されている。例えば、商品を購入する顧客の会員情報や購入する商品のバーコードをレジで読み込むことで、特定の商品の割引クーポンが発行される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-076393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
割引クーポンなどのおすすめ情報は、顧客にとって馴染みのある商品が対象となることもあれば、馴染みのない商品が対象となることもある。販売側の立場からすると、顧客が普段買わないような商品を提案して顧客の購入行動につなげることが望ましい。しかしながら、顧客が普段買わないような商品の場合、商品の売場が分からないといった事由が存在することで、実際の購入行動につながらないかもしれない。
【0005】
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、より好ましいレコメンド情報を出力可能なプリンタシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様のプリンタシステムは、顧客を識別するための識別情報を取得してサーバに送信し、顧客に対するレコメンド情報をサーバから取得して出力するプリンタと、プリンタから取得した識別情報により識別される顧客の属性情報および行動履歴情報の少なくとも一方に基づいて、位置情報を含むレコメンド情報を生成してプリンタに送信するサーバと、を備える。
【0007】
本発明のある態様のプログラムは、顧客を識別するための識別情報をプリンタから取得する機能と、記取得した識別情報により識別される顧客の属性情報および行動履歴情報の少なくとも一方に基づいて、位置情報を含むレコメンド情報を生成する機能と、生成したレコメンド情報をプリンタに送信する機能と、をコンピュータに実現させる。
【0008】
本発明のある態様のプログラムは、顧客を識別するための識別情報を取得してサーバに送信する機能と、顧客に対する位置情報を含むレコメンド情報をサーバから取得して出力する機能と、をコンピュータに実現させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のある態様によれば、より好ましいレコメンド情報をプリンタから出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係るプリンタシステムの機能構成を概略的に示すブロック図である。
図2】プリンタが出力するクーポンの一例を示す図である。
図3】レコメンド情報の出力選択画面を模式的に示す図である。
図4】プリンタシステムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図5】プリンタシステムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0012】
本実施の形態の概要について説明する。本実施の形態は、サーバと、プリンタとを備えるプリンタシステムである。プリンタは、顧客を識別するための識別情報を取得してサーバに送信し、顧客に対するレコメンド情報をサーバから取得して出力する。サーバは、プリンタから取得した識別情報により識別される顧客の属性情報および行動履歴情報の少なくとも一方に基づいて、位置情報を含むレコメンド情報を生成してプリンタに送信する。レコメンド情報とは、顧客に対して商品や役務(サービス)を提案または推薦するための情報である。レコメンド情報は、例えばプリンタから出力されるクーポンなどの形式で顧客に提供される。
【0013】
本実施の形態では、商品や役務を提案するだけでなく、商品または役務が得られる位置に関する位置情報を提示するため、レコメンド情報にしたがって商品や役務が得られる場所への移動を顧客に促すことができる。その結果、位置情報が含まれないレコメンド情報を提示する場合に比べて、レコメンド情報に基づく商品や役務の購入といった顧客の実際の行動を促進する効果が期待できる。レコメンド情報を発行する販売側の立場では、好ましいレコメンド情報の提示によって売上増加が期待できる。レコメンド情報を受け取る顧客側の立場では、位置情報が明示されることでレコメンドされた商品や役務を見に行くための負担が軽減され、レコメンド情報を活用しやすくなる。
【0014】
本実施の形態に係るプリンタシステムは、百貨店やショッピングモールなどの大規模商業施設で利用できる。商業施設内には複数の店舗が設けられ、複数の店舗の少なくともいずれかにプリンタが設置される。プリンタは、店舗外に配置されてもよく、商業施設の出入口や案内所に設置されてもよい。商業施設内で共通利用される顧客カードをプリンタにかざすと、顧客に応じたレコメンド情報がサーバで生成され、位置情報を含むレコメンド情報がプリンタから出力される。レコメンドされる商品または役務は、レコメンド情報を出力するプリンタが設置される店舗が提供してもよいし、別の店舗が提供してもよい。
【0015】
以下、本実施の形態について、複数の店舗が設けられる商業施設での利用を例示しながら詳述する。
【0016】
図1は、実施の形態に係るプリンタシステム10の機能構成を概略的に示すブロック図である。本実施の形態において示される各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0017】
プリンタシステム10は、管理サーバ12と、プリンタ14とを備える。管理サーバ12およびプリンタ14は、インターネットなどのネットワーク80に接続されている。プリンタ14は、顧客カード52や顧客端末54から顧客を識別するための識別情報を取得して管理サーバ12に送信する。管理サーバ12は、プリンタ14から取得した識別情報により識別される顧客に対するレコメンド情報を生成してプリンタ14に送信する。プリンタ14は、管理サーバ12から取得したレコメンドをクーポン56として出力する。
【0018】
図2は、プリンタ14が出力するクーポン56の一例を示す図である。図2では、バッグをレコメンド対象の商品としている。クーポン56には、レコメンド対象となる顧客の氏名90と、レコメンド対象の商品名91、商品説明92および商品画像93とが印刷されている。クーポン56には、レコメンド対象の商品を提供する店舗名94、施設内の店舗位置95および店舗内の商品の詳細位置を示す地図画像96が印刷されている。また、クーポン56には、店舗や商品にアクセスするための詳細情報を見るための2次元コード97が印刷されており、スマートフォンなどの顧客端末54を用いて詳細情報を参照できる。クーポン56には、レコメンド情報を識別するための発行ID98や、クーポン56の発行日99が印刷されている。クーポン56には、購入時の割引金額や割引率、来店時のノベルティ贈呈やポイント付与といった特典情報が印刷されてもよい。
【0019】
管理サーバ12は、図1に示す施設サーバ16や複数の店舗サーバ17a,17b,17cから取得する情報に基づいてレコメンド情報を生成する。施設サーバ16は、管理サーバ12とは別に用意される外部サーバであり、複数の店舗を収容する商業施設(単に施設ともいう)に関する情報を管理する。店舗サーバ17a~17cは、管理サーバ12とは別に用意される外部サーバであり、施設内の店舗ごと、または、店舗の運営主体ごとに用意される専用サーバである。
【0020】
以下、管理サーバ12およびプリンタ14の構成を詳述する前に、施設サーバ16および複数の店舗サーバ17a~17cについて説明する。なお、施設サーバ16および複数の店舗サーバ17a~17cを総称して「外部サーバ18」ということがある。
【0021】
施設サーバ16は、顧客情報60と、店舗情報62とを有する。顧客情報60は、施設を利用する顧客に関するデータを含み、顧客を識別するための識別情報である顧客IDをキーとして、顧客の氏名や住所といった基本情報と、顧客の年齢、性別、職業、家族構成、趣味嗜好といった属性情報とを含む。顧客情報60に登録されている顧客には顧客カード52が付与され、顧客カード52に顧客IDが記載される。顧客情報60は、施設全体で利用可能なポイントに関するデータを含んでもよく、ポイントの取得履歴や使用履歴といった顧客の施設内での行動履歴情報を含んでもよい。施設全体で利用可能なポイントは、例えば、施設内の店舗で商品や役務を購入する際に付与される。
【0022】
店舗情報62は、施設内に設けられる複数の店舗に関するデータを含む。店舗情報62は、店舗を識別するための店舗IDをキーとして、店舗名、業種、施設内での店舗の位置といったデータを含む。店舗情報62は、各店舗の提携関係を示すデータを含んでもよく、各店舗の運営主体に関するデータや、各店舗の運営主体の資本関係に関するデータを含んでもよい。例えば、店舗Aの運営主体と店舗Bの運営主体が同じグループ会社である、店舗Cと店舗Dの運営主体が同じである、といった内容が店舗情報62に定められてもよい。
【0023】
施設サーバ16は、施設内に設置される施設端末68と接続されている。施設端末68は、例えば、施設の出入口や案内所、イベントスペースといった店舗とは異なる場所に設置される。施設端末68は、施設のマップ、施設内の店舗の情報、施設内でのイベント情報などを提供する。施設端末68は、施設で利用可能なポイントの残額情報を顧客に提示してもよい。
【0024】
店舗サーバ17a~17cは、施設内の各店舗A~Dの情報を管理する。第1店舗サーバ17aは、店舗Aの専用サーバであり、店舗Aに関する情報を管理する。第2店舗サーバ17bは、店舗Bの専用サーバであり、店舗Bに関する情報を管理する。第3店舗サーバ17cは、店舗Cおよび店舗Dの運営主体の専用サーバであり、店舗Cおよび店舗Dに関する情報が管理する。
【0025】
各店舗A~Dには、レジ端末78a,78b,78c,78dが設置されている。レジ端末78a~78dは、対応する店舗サーバ17a~17cと接続されている。レジ端末78a~78dは、商品を購入しようとする顧客に関する情報、購入される商品に関する情報などを取得して店舗サーバ17a~17cに送信する。レジ端末78a~78dは、商品の購入時にクーポン56などのレコメンド情報が利用された場合、利用されたレコメンド情報に関する情報を取得して店舗サーバ17a~17cに送信する。
【0026】
第1店舗サーバ17aは、会員情報70と、商品情報72と、履歴情報74と、在庫情報76とを有する。会員情報70は、店舗Aを利用する顧客に関するデータを含む。会員情報70は、会員IDをキーとして、会員の基本情報や属性情報を含む。会員IDは、顧客IDとは異なる店舗Aで独自に付与される顧客の識別情報であってもよいし、施設サーバ16で管理する顧客IDと共通であってもよい。店舗Aで独自に付与される会員IDを用いる場合、会員情報70において顧客IDと会員IDが紐付けられてもよい。
【0027】
商品情報72は、店舗Aが提供する商品に関する商品データを含む。商品情報72は、商品IDをキーとして、商品名、商品種別、商品画像、商品の詳細説明といったデータを含む。商品情報72は、店舗Aが提供する役務に関する役務データを含んでもよく、役務データのみで構成されてもよい。役務データは、役務IDをキーとして、役務名、役務種別、役務画像、役務の詳細説明といったデータを含む。
【0028】
履歴情報74は、店舗Aでの顧客の行動履歴を示すデータを含む。履歴情報74は、店舗Aの売上データを含み、店舗Aにおける顧客の購入履歴データを含むとも言える。履歴情報74は、例えば、顧客を識別するための会員IDまたは顧客IDと、顧客が購入した商品を識別するための商品IDと、購入日時、購入金額、購入数といった詳細情報とを含む。履歴情報74は、役務の購入履歴データを含んでもよいし、役務の購入履歴データのみで構成されてもよい。履歴情報74は、商品や役務の購入時にクーポン56などのレコメンド情報が利用されたか否かの情報を含んでもよく、利用されたレコメンド情報を識別するための発行IDを含んでもよい。履歴情報74は、商品や役務の購入とは異なる顧客の行動履歴データを含んでもよく、例えば、店舗Aへの顧客の来店、店舗Aでの顧客の予約、店舗Aでの顧客への試供品提供といった売上に直結しない行動を示すデータを含んでもよい。履歴情報74は、店舗Aにおける顧客の様々な行動を記録する「行動履歴情報」とも言える。
【0029】
在庫情報76は、店舗Aが提供する商品の在庫を管理するためのデータである。在庫情報76は、商品IDをキーとして、在庫数や在庫位置を示すデータを含む。商品が店頭に陳列されている場合、在庫位置データとして、商品の陳列棚を識別するための棚番号や、陳列棚の上段、中段、下段といった陳列場所の詳細位置を示すデータが含まれてもよい。商品の在庫が店舗のバックヤードにある場合、バックヤードの保管棚を識別するための棚番号や、保管棚の上段、中段、下段といった保管場所の詳細位置を示すデータが含まれてもよい。
【0030】
第1店舗サーバ17aは、在庫情報76に加えてまたは在庫情報76に代えて、役務の予定情報を含んでもよい。役務の予定情報は、役務IDをキーとして、役務の提供予定時間、予定時間における予約の有無、役務の提供場所といった詳細データを含んでもよい。役務の予定情報を参照することで、役務が得られる空き予定時間を特定できる。
【0031】
図示してはいないが、第2店舗サーバ17bおよび第3店舗サーバ17cも、第1店舗サーバ17aと同様の情報を有する。プリンタシステム10にて利用する店舗サーバの数は特に限定されず、プリンタシステム10を利用する店舗の数または店舗の運営主体の数に応じた店舗サーバが存在してもよい。
【0032】
つづいて、管理サーバ12の機能構成について説明する。管理サーバ12は、データ収集部20と、データ分析部22と、レコメンド決定部24と、出力データ生成部26とを備える。管理サーバ12は、顧客マスタ30と、商品マスタ32と、発行情報34と、位置情報36とを有する。
【0033】
顧客マスタ30は、レコメンドの対象となる顧客の識別情報および属性情報を管理する。顧客マスタ30は、施設サーバ16から取得する顧客情報60に基づいて生成される。顧客の識別情報は、顧客情報60で用いる顧客IDであってもよいし、別のIDであってもよい。顧客マスタ30は、店舗サーバ17a~17cの会員情報70に基づく情報を含んでもよい。
【0034】
商品マスタ32は、レコメンドの対象となる商品および役務の情報を管理する。商品マスタ32は、複数の店舗サーバ17a~17cから取得する商品情報72に基づいて生成される。商品マスタ32における商品および役務の識別情報は、商品情報72で用いる商品IDや役務IDと同じであってもよいし、別のIDであってもよい。
【0035】
発行情報34は、管理サーバ12が生成してプリンタ14から出力されたレコメンド情報の発行履歴データを含む。発行情報34は、例えば、図2に示したクーポン56に印刷された情報を含み、発行IDをキーとして、発行日時、顧客ID、商品ID、店舗IDおよび商品の詳細位置を示す情報などが含まれる。発行情報34は、クーポン56の状態として、例えば、未発行、発行済、使用済のいずれであるかを示すフラグを有してもよい。
【0036】
位置情報36は、レコメンド情報に含まれる位置情報を管理する。位置情報36は、商品または役務が得られる店舗の位置や、商品または役務が得られる店舗内の詳細位置を示すデータを含む。位置情報36は、クーポン56に印刷される地図画像を生成するためのデータを含んでもよく、施設のマップデータや各店舗のマップデータなどを含んでもよい。
【0037】
データ収集部20は、レコメンド情報の生成に必要なデータを収集する。データ収集部20は、外部サーバ18から様々なデータを収集する。データ収集部20は、施設サーバ16や店舗サーバ17a~17cとは異なるサーバからデータを収集してもよい。データ収集部20は、インターネット上の任意のウェブページから天候情報やニュース情報、トレンド情報などを取得してもよい。例えば、特定の検索サイトでの検索ランキングで上位となる話題の情報などを取得してもよい。
【0038】
データ分析部22は、データ収集部20が取得するデータを分析し、レコメンド情報を生成するためのレコメンドエンジンを生成する。データ分析部22は、例えば、複数の店舗サーバ17a~17cの履歴情報74を学習データとする機械学習によってレコメンドエンジンを生成する。データ分析部22は、いわゆる協調フィルタリングの技術を用いてもよく、履歴情報の類似性に基づいて顧客を分類し、同じ分類の顧客の履歴情報に基づいたレコメンド情報を出力するレコメンドエンジンを生成してもよい。データ分析部22は、施設サーバ16の顧客情報60に含まれる施設内での顧客の行動履歴情報を学習データとして用いてもよい。データ分析部22は、顧客の属性情報に基づいて顧客を分類してもよい。データ分析部22は、顧客の最新の行動履歴情報に基づいてレコメンドエンジンを逐次更新してもよい。なお、レコメンドエンジンの生成手法やレコメンドエンジンの生成に利用する情報は特に限られず、任意の手法および任意の情報を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0039】
データ分析部22は、発行情報34を学習データとして使用し、発行されたレコメンド情報と顧客の行動履歴情報の相関を利用してレコメンドエンジンを生成してもよい。例えば、レコメンド情報を利用した商品の購入確率が高い商品についてレコメンドの優先度を高くしてもよい。また、レコメンド情報の発行タイミングからレコメンド情報に関連する顧客の行動タイミングまでの時間が短い商品についてレコメンドの優先度を高くしてもよい。レコメンド情報に関連する顧客の行動とは、例えば、レコメンド対象の商品または役務の購入、レコメンド対象の店舗への来店などである。一方、発行されたレコメンド情報に対応する顧客の行動履歴が存在しない商品や、レコメンド情報に対応する顧客の購入履歴が存在しない商品については、レコメンドの優先度を低くしてもよい。レコメンドの発行履歴に基づく分析は、顧客全体に対してなされてもよいし、顧客の分類ごとになされてもよいし、顧客ごとになされてもよい。例えば、顧客ごとの趣味嗜好を分析し、顧客の分類を決定するために、顧客ごとのレコメンド情報の使用履歴データが利用されてもよい。
【0040】
レコメンド決定部24は、データ分析部22が生成するレコメンドエンジンを用いて、レコメンドの対象となる商品または役務を決定する。レコメンド決定部24は、プリンタ14からレコメンドの対象となる顧客を識別する識別情報を取得すると、その顧客に対してレコメンドすべき商品または役務を抽出する。レコメンド決定部24は、例えば、レコメンド対象の顧客の分類を特定し、同じ分類に含まれる別の顧客の履歴情報と、レコメンド対象の顧客の履歴情報とに基づいて、レコメンドすべき商品または役務を抽出する。レコメンド決定部24は、例えば、同じ分類の別の顧客が購入したことがある商品または役務であって、レコメンド対象の顧客が購入したことのない商品または役務を抽出する。レコメンド決定部24は、同一顧客の履歴情報に基づいてレコメンドすべき商品または役務を抽出してもよい。例えば、レコメンド対象の顧客が頻繁に購入している商品または役務を抽出してもよいし、レコメンド対象の顧客が過去に購入したことがあるが、直近の所定期間(1月、半年、1年など)において購入していない商品または役務を抽出してもよい。
【0041】
レコメンド決定部24は、抽出された商品または役務を提供可能な店舗を特定する。レコメンド決定部24は、店舗サーバ17a~17cの在庫情報76に基づいてレコメンド対象の店舗を決定してもよい。例えば、実際に在庫があって顧客がすぐに購入できる店舗をレコメンド対象として決定してもよい。レコメンド決定部24は、プリンタ14の設置位置に基づいてレコメンド対象の店舗を決定してもよい。例えば、プリンタ14の設置位置に近い店舗をレコメンド対象としてもよい。レコメンド決定部24は、履歴情報74に基づいてレコメンド対象の店舗を決定してもよい。例えば、レコメンド対象の顧客の利用率が低い店舗や、レコメンド対象の顧客と同じ分類に含まれる別の顧客の利用率が高い店舗をレコメンド対象としてもよい。レコメンド決定部24は、各店舗の提携関係に基づいて、プリンタ14が設置される店舗と提携関係にある店舗をレコメンド対象の店舗として決定してもよい。
【0042】
レコメンド決定部24は、プリンタ14が設置される店舗が提供する商品または役務をレコメンド対象としてもよい。レコメンド決定部24は、プリンタ14が設置される店舗とは別の店舗が提供する商品または役務をレコメンド対象としてもよい。例えば、店舗Aに設置されるプリンタ14において店舗Bの商品をレコメンドしてもよい。レコメンド決定部24は、プリンタ14が設置される店舗が提供する商品または役務と同じ商品または役務をレコメンド対象としてもよい。例えば、衣料品を扱う店舗に設置されるプリンタ14において同じ衣料品をレコメンドしてもよい。ここで「商品または役務が同じ」とは、商品IDや役務IDが同じであることを意味してもよいし、商品や役務の種別が同じであることを意味してもよい。レコメンド決定部24は、プリンタ14が設置される店舗が提供する商品または役務と異なる商品または役務をレコメンド対象としてもよい。例えば、衣料品を扱う店舗に設置されるプリンタ14において化粧品をレコメンド対象としてもよい。
【0043】
出力データ生成部26は、プリンタ14に送信するレコメンド情報を生成する。出力データ生成部26は、図2に示されるクーポン56を印刷するための印刷データを生成する。出力データ生成部26は、例えば、クーポン56の印刷レイアウトが定義されたテンプレートデータに文字や画像を埋め込むことで印刷データを生成する。クーポン56に印刷される顧客の氏名90は、顧客情報60から取得される。クーポン56に印刷される商品名91、商品説明92および商品画像93は、レコメンド決定部24が決定した店舗IDおよび商品IDをキーとして店舗サーバ17a~17cの商品情報72から取得される。クーポン56に印刷される店舗名94および店舗位置95は、レコメンド決定部24が決定した店舗IDをキーとして施設サーバ16の店舗情報62から取得される。
【0044】
出力データ生成部26は、位置情報36に基づいてクーポン56に印刷される地図画像96を生成する。クーポン56に印刷される地図画像96は、商品または役務が得られる位置を示すための案内図である。案内図は、店舗内での商品または役務が得られる位置を示してもよい。案内図は、店舗内での商品の陳列場所を示してもよいし、店舗の入口から商品の陳列場所までの経路を示してもよい。案内図は、クーポン56を提示された店員のために、店舗内での商品在庫の保管場所を示してもよい。案内図は、施設内の詳細位置として店舗の位置を示してもよいし、施設内の店舗に至る経路を示してもよい。案内図は、施設の出入口から店舗までの経路を示してもよいし、プリンタ14が設置される店舗からレコメンド対象の店舗までの経路を示してもよい。案内図は、施設の位置を示してもよく、施設の最寄り駅や施設周辺の主要道路から施設までの経路を示してもよい。出力データ生成部26は、施設の位置を示す案内図、店舗の位置を示す案内図、および、店舗内の商品または役務の位置を示す案内図の少なくともいずれかを適宜組み合わせた地図画像96を生成してもよい。
【0045】
出力データ生成部26は、店舗および商品へのアクセス情報を表示するためのウェブサイトのアドレス情報に基づいて、クーポン56に印刷される2次元コード97を生成する。2次元コード97には、クーポン56を識別するための発行IDなどの識別情報が埋め込まれ、発行IDに応じた詳細情報がウェブサイトにて参照可能となる。出力データ生成部26は、顧客端末54などに表示させるウェブサイトの表示データを生成してもよい。
【0046】
出力データ生成部26は、プリンタ14の画面にレコメンド情報を表示させるための画面データを生成してもよい。画面データは、印刷データと同様の内容が含まれてもよいし、印刷データとは異なる内容が含まれてもよい。画面データには、動画データまたは動画データの格納先を示す情報が含まれてもよく、プリンタ14の画面にレコメンドに応じた動画が再生されてもよい。出力データ生成部26が生成したレコメンド情報は、発行情報34として管理サーバ12に保存される。
【0047】
つづいて、プリンタ14の機能構成について説明する。プリンタ14は、第1通信部40と、第2通信部42と、表示操作部44と、印刷機構46と、記憶部48と、制御部50とを備える。
【0048】
第1通信部40は、ネットワーク80を通じて管理サーバ12と接続する。第1通信部40は、ネットワーク80と無線接続するよう構成されてもよいし、ネットワーク80と有線接続するよう構成されてもよい。第1通信部40は、管理サーバ12に顧客の識別情報を送信する。第1通信部40は、管理サーバ12から顧客に対するレコメンド情報を取得する。
【0049】
第2通信部42は、顧客カード52や顧客端末54と通信して顧客の識別情報を取得する。第2通信部42は、NFC(Near field communication)で顧客カード52や顧客端末54と無線接続し、顧客の識別情報を取得する。プリンタ14は、バーコードリーダ(不図示)と接続されてもよく、バーコードリーダで読み取った顧客の識別情報を取得してもよい。第2通信部42は、顧客カード52や顧客端末54にレコメンド情報を送信してもよい。
【0050】
表示操作部44は、タッチパネル式のディスプレイで構成され、プリンタ14を動作させるための画面表示および入力操作を実現する。表示操作部44は、表示部と操作部が別々に構成されてもよく、液晶ディスプレイなどで構成される表示部の周囲にボタンやスイッチなどで構成される操作部が配置されてもよい。表示操作部44は、ユーザからの音声入力操作を受け付けるためのマイクを有してもよいし、ユーザの身振りや手振り(ジェスチャー)による入力操作を受け付けるためのカメラを有してもよい。
【0051】
印刷機構46は、クーポン56を印刷する。印刷機構46は、用紙を搬送する搬送機構と、用紙に文字や画像を印刷する印刷ヘッドとを有する。印刷機構46は、印刷された用紙を所定のサイズにカットする切断機構を有してもよい。
【0052】
記憶部48は、プリンタ14が取得したデータを記憶する。記憶部48は、管理サーバ12から取得するレコメンド情報を記憶する。記憶部48は、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置や、ハードディスクなどの磁気記憶装置で構成される。
【0053】
制御部50は、プリンタ14の動作全般を制御する。制御部50は、第2通信部42を通じて顧客の識別情報を取得した場合、取得した識別情報とともにレコメンド情報を要求するコマンドを管理サーバ12に送信する。制御部50は、表示操作部44への入力操作を契機として管理サーバ12にコマンドを送信してもよい。
【0054】
制御部50は、管理サーバ12からレコメンド情報を取得した場合、取得したレコメンド情報を出力する。制御部50は、表示操作部44への画面表示によってレコメンド情報を出力してもよいし、印刷機構46による印刷によってレコメンド情報を出力してもよいし、顧客カード52や顧客端末54へのデータ送信によってレコメンド情報を出力してもよい。制御部50は、レコメンド情報を出力した場合、管理サーバ12にレコメンド情報の出力完了を通知する。
【0055】
図3は、レコメンド情報の出力選択画面を模式的に示す図である。制御部50は、レコメンド情報を取得した場合、図3の画面を表示操作部44に表示させてもよい。図3の画面では、特定の顧客に対するレコメンド情報を取得したことが示されるとともに、出力方法の選択肢として「印刷」「画面表示」「スマホに転送」の三つが表示されている。制御部50は、「印刷」が選択された場合、印刷機構46を動作させてクーポン56を印刷させる。制御部50は、「画面表示」が選択された場合、表示操作部44にレコメンド情報を表示させる。制御部50は、動画を再生させてもよい。制御部50は、「スマホに転送」が選択された場合、第2通信部42を通じて顧客端末54にレコメンド情報を送信する。レコメンド情報を取得した顧客端末54は、ブラウザや専用のアプリを通じてレコメンド情報の詳細内容を表示可能であってもよいし、レコメンド情報を使用するための2次元コードを表示可能であってもよい。
【0056】
顧客に対して出力されたレコメンド情報は、店舗での商品または役務の購入時に使用される。例えば、顧客が店舗Aのレジでクーポン56を提示することで、店舗Aのレジ端末78aのバーコードリーダを通じて2次元コード97が読み込まれる。これにより、クーポン56の使用履歴が第1店舗サーバ17aの履歴情報74に記録される。店舗Aのレジ端末78aにおいて、顧客カード52や顧客端末54からレコメンド情報が読み込まれてもよい。その他、店舗Aのレジ端末78aで取得される顧客IDに基づいて、第1店舗サーバ17aから管理サーバ12にレコメンド情報が照会されてもよい。管理サーバ12は、店舗Aで利用可能なレコメンド情報がある場合、第1店舗サーバ17aにレコメンド情報を送信してもよい。
【0057】
つづいて、プリンタシステム10の動作の流れを説明する。図4は、プリンタシステム10の動作の一例を示すシーケンス図であり、プリンタ14で顧客IDを取得してからプリンタ14でレコメンド情報を出力するまでの処理の流れを示す。図4のシーケンス図では、施設サーバ16および複数の店舗サーバ17a~17cを総称して「外部サーバ18」としている。
【0058】
プリンタ14は、顧客を識別するための顧客IDを顧客カード52や顧客端末54から取得し(S10)、取得した顧客IDを管理サーバ12に送信する(S12)。管理サーバ12は、取得した顧客IDによって識別される顧客に関する情報を外部サーバ18に要求する(S14)。外部サーバ18は、要求された顧客に関する情報として、顧客の基本情報、属性情報および行動履歴情報などを管理サーバ12に送信する(S16)。管理サーバ12は、取得した顧客に関する情報に基づいて顧客に対するレコメンド対象を決定する(S18)。管理サーバ12は、例えば、レコメンド対象となる商品と、その商品を提供する店舗とを決定する。
【0059】
管理サーバ12は、外部サーバ18にレコメンド対象の商品の在庫情報を要求する(S20)。外部サーバ18は、要求された商品の在庫情報を管理サーバ12に送信する(S22)。管理サーバ12は、レコメンド対象の商品の在庫があれば(S24のY)、レコメンド対象として決定した商品および店舗を顧客に提示するための出力データを生成し(S26)、プリンタ14に出力データを送信する(S28)。プリンタ14は、管理サーバ12から取得した出力データを出力し(S30)、レコメンド情報の出力完了を管理サーバ12に通知する(S32)。管理サーバ12は、発行情報34を更新してプリンタ14から通知されたレコメンド情報のフラグを「未発行」から「発行済」に変更する(S34)。
【0060】
管理サーバ12は、S24において商品の在庫がなければ(S24のN)、在庫のある商品および店舗が特定されるまで、S18~S22の処理を繰り返してもよい。管理サーバ12は、S18~S22の処理を所定回数繰り返しても在庫のある商品および店舗が特定されない場合、処理を中止し、レコメンド情報の生成を中止した旨をプリンタ14に通知してもよい。
【0061】
図5は、プリンタシステム10の動作の一例を示すシーケンス図であり、レコメンドエンジンを生成するための処理の流れを示す。レジ端末78では、商品を顧客に販売するための売上処理がなされている。レジ端末78は、顧客から提示される顧客カード52を読み取って顧客IDを取得し(S40)、顧客が購入する商品のバーコードを読み取って商品IDを取得する(S42)。顧客がクーポン56を持っていれば(S44のY)、レジ端末78は、クーポン56の2次元コード97を読み取って発行IDを取得する(S46)。顧客がクーポン56を持っていなければ(S44のN)、S46の処理はスキップされる。レジ端末78にて売上処理が完了すると、レジ端末78は、外部サーバ18に売上データを送信する(S48)。
【0062】
外部サーバ18は、レジ端末78から取得した売上データを履歴情報74として記録し、売上データに基づいて在庫情報76を更新する(S50)。外部サーバ18は、購入履歴データを管理サーバ12に送信する(S52)。S52において、外部サーバ18は、管理サーバ12から要求があった場合に購入履歴データを管理サーバ12に送信してもよい。管理サーバ12は、外部サーバ18から購入履歴データを取得し、購入履歴データにクーポン56の使用履歴が含まれていれば(S54のY)、発行情報34を更新して使用されたレコメンド情報のフラグを「発行済」から「使用済」に変更する(S56)。管理サーバ12は、購入履歴データにクーポン56の使用履歴が含まれていなければ(S54のN)、S56の処理をスキップする。管理サーバ12は、取得した購入履歴データを分析し、レコメンドエンジンを生成または更新する(S58)。管理サーバ12は、プリンタ14から顧客の識別情報を取得した場合、図4のシーケンスにしたがって、更新されたレコメンドエンジンを用いて新たなレコメンド情報を生成する。
【0063】
本実施の形態によれば、位置情報を含むレコメンド情報が出力されるため、レコメンド情報にしたがって商品や役務を得ようとする顧客の利便性を高めることができる。本実施の形態によれば、在庫のある商品や空き予定のある役務がレコメンド対象となるため、欠品や予約不可などの理由によって商品や役務が得られなくなる可能性を低減できる。本実施の形態によれば、施設内の複数の店舗での顧客の行動履歴情報に基づいてレコメンド情報が生成されるため、バリエーションに富むレコメンド情報を提供できる。例えば、プリンタ14が設置されている店舗とは異なる店舗の商品または役務や、プリンタ14が設置されている店舗が提供する商品または役務とは異なる商品または役務をレコメンドすることができ、顧客が知らない目新しい情報を提供可能となる。店舗側の立場では、普段とは異なる顧客が来店するきっかけを作ることができ、売上の向上が期待できる。また、提携関係のある店舗をレコメンド対象とすることで、提携する複数の店舗間で顧客を融通することができ、提携する複数の店舗全体として売上の向上を図ることができる。
【0064】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上述の実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0065】
上述の実施の形態では、特定の商業施設に対してプリンタシステム10を導入する場合について示した。別の実施の形態では、複数の商業施設にわたってプリンタシステム10を導入してもよい。この場合、複数の商業施設で共通利用可能な顧客IDを用いて顧客を識別してもよいし、各商業施設で独自に発行される顧客IDを関連付けて顧客を識別してもよい。複数の商業施設にわたってプリンタシステム10を導入する場合、複数の施設内の複数の店舗における顧客の行動履歴情報に基づいてレコメンドエンジンが生成されてもよい。この場合、プリンタ14が設置される店舗がある施設と同じ施設内の店舗をレコメンド対象としてもよいし、別の施設内の店舗をレコメンド対象としてもよい。別の施設内の店舗をレコメンド対象とする場合、レコメンド情報に含まれる位置情報として、レコメンド対象の施設の位置、レコメンド対象の施設内の詳細位置(店舗の位置)、および、店舗内の詳細位置の少なくとも一つを含んでもよい。本実施の形態によれば、特定の施設内の店舗でのみ提供される限定商品などをレコメンド対象とすることで、顧客が普段利用しない施設への来店を促すことができ、複数の商業施設全体で売上向上を図ることができる。
【0066】
上述の実施の形態では、店舗で提供する商品または役務をレコメンド対象とする場合について示した。別の実施の形態では、商業施設が提供する商品または役務をレコメンド対象としてもよい。例えば、商業施設でイベントが開催される場合にイベントの実施情報やイベントの参加券、イベントで配布する商品の引換券などをレコメンド情報として提供してもよい。商業施設が提供する商品または役務をレコメンドした場合、商業施設の施設端末68にてレコメンドの使用情報が取得され、レコメンドの使用履歴が顧客情報60として記録されてもよい。管理サーバ12は、顧客情報60に記録される使用履歴に基づいてレコメンドエンジンを生成または更新し、顧客に対する新たなレコメンド情報を生成してもよい。
【0067】
上述の実施の形態では、店舗のレジ端末でクーポン56を読み取って使用する場合について示した。別の実施の形態では、店舗に設置されるプリンタ14でクーポン56を読み取ってもよい。この場合、プリンタ14から管理サーバ12に送信されるデータに基づいて管理サーバ12の発行情報34が更新されてもよい。また、レコメンド情報が顧客端末54に保存される場合、顧客端末54で実行されるブラウザや専用アプリでレコメンドを使用する操作がなされ、顧客端末54から管理サーバ12にレコメンドの使用履歴が送信されてもよい。
【0068】
上述の実施の形態では、例示的な機能ブロックを示しながら、サーバが提供する各種機能および各種機能の関係性について示した。上述の機能ブロックの境界は、説明の便宜のために任意に決められたものであり、各種機能および各種機能の関係性が適切に実現される限り、上述の機能ブロックとは別の境界が決められてもよい。また、サーバが提供する各種機能は、単一のサーバ装置で実現されてもよいし、複数のサーバ装置の連携によって実現されてもよい。したがって、特定のサーバが特定の機能を提供するということは、特定の機能が単一のサーバ装置で実現される場合と、特定の機能が複数のサーバ装置で実現される場合とを含み、特定の機能が特定のサーバ装置のみによって実現されなければならないことを必ずしも意味しない。
【符号の説明】
【0069】
10…プリンタシステム、12…管理サーバ、14…プリンタ、16…施設サーバ、17a~17c…店舗サーバ、18…外部サーバ、20…データ収集部、22…データ分析部、24…レコメンド決定部、26…出力データ生成部、30…顧客情報、32…商品情報、34…発行情報、36…位置情報、40…第1通信部、42…第2通信部、44…表示操作部、46…印刷機構、48…記憶部、50…制御部、52…顧客カード、54…顧客端末、56…クーポン。
図1
図2
図3
図4
図5